環境省自然環境・生物多様性国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会

国立・国定公園内における
風力発電施設設置のあり方に関する検討会(第1回)
議事要旨


委員名簿(50音順・敬称略)
氏名 所属
飯田 哲也 NPO環境政策エネルギー研究所所長(欠席)
牛山 泉 足利工業大学総合研究センター長
小河原 孝生 (株)生態計画研究所所長
熊谷 洋一 東京大学大学院新領域創成科学研究科・農学生命科学研究科教授
瀬田 信哉 (財)国立公園協会理事長
本藤 祐樹 (財)電力中央研究所 経済社会研究所 主任研究員
森本 幸裕 京都大学地球環境学堂大学院教授(欠席)
山岸 哲 (財)山階鳥類研究所所長
吉野 正敏 筑波大学名誉教授・国際連合大学上席学術顧問

1 開催日時:

平成15年8月1日(金)10:00〜12:00

2 開催場所:

KKRホテル東京「朱鷺の間」

3 議題:

(1) 国立・国定公園における風力発電導入の現況等について
(2) 各委員からのコメント
(3) その他(今後の検討の進め方)

4 議事経過:

◆検討会の議論の進め方等について

○許可基準の検討にあたっては、まず、公園内に風力発電施設を設置した場合に起こりうる自然環境及び社会経済上の事象を網羅的に書き出すとともに、事象間の価値付けの基礎となる基本原則を決定し、これに基づいて具体的な基準を議論すべき。また、価値付けの過程における明確性及び透明性の確保が重要。

○自然公園とエネルギー開発の調整の歴史は長く、大正時代の水力発電に始まり、火力発電、原子力発電施設と続いてきた経緯があり、新たに風力発電施設が登場した。風力発電に限らず、新たな工作物の類型が現れた場合の対応のあり方という面も勘案する必要がある。

○国益や経済性という価値観に左右されず、長期的な視点から国立・国定公園の保護の原点に立ち返って検討すべき。

◆風力発電施設の環境への影響等について

○ウィンドファームは、取付道路や送電線等の附帯行為を伴う面的にも大規模な開発になるほか、バードストライク(鳥類の衝突)の問題など、自然環境に対して直接的な影響を与えうることが特徴である。

○バードストライクに関する定量的データは日本には未だない。また、この問題は風力発電に限ったことではなく、橋や冷却塔等、他の構造物による影響も大きい。しかし、海外では風力発電施設の設置によって鳥類の渡りの経路が変わったという報告もあり、我が国でもこれからはきちんとした影響調査を行う必要がある。

○新・生物多様性国家戦略にも盛り込まれた「エコシステム・アプローチ(予防的順応的態度)」の考え方が重要。

○生態系は絶えず変化していることから、環境への影響を把握するためには建設後のフォローアップとモニタリングの実施が重要である。

○景観には、地形的、自然・生物的、文化的という3つの要素がある。風力発電施設は文化的景観や、自然とのふれあいの推進(地球環境やエネルギーに関する学習)という観点からは新たな価値を有するかもしれないが、地形的、自然・生物的景観要素が損なわれた場合に、低減や代償措置が可能であるかどうか疑問。

○自然環境への影響は局所的・特異的に生ずることがあるため、一律に方針を決められない部分もある。また、自然公園の地種区分とは異なる観点からの評価が必要。

○NEDOが策定した風力発電施設に関する環境影響評価マニュアルの内容も踏まえつつ、本検討会において自然公園内でのアセスメント指針を検討すべき。

○デンマークでは既に陸上における風力発電施設の設置は法律で規制されており、洋上立地に向かっている。日本でも今後は海域における設置の動きが進むと考えられ、こういった点を踏まえた検討が必要。

○人工物の設置によって景観上悪影響を与えるばかりではなく、かえって景観を引き立てるという事例もありうるのではないか。その地域ごとで設置の是々非々を判断する必要がある。また、垂直軸型の風車など、その場所の景観にマッチした風力発電施設の導入も検討すべきであるが、現在最も問題となっているのは事業用の大規模施設であり、これについては設置場所やレイアウトも含めた検討が必要。

○風景(landscape)の中には音による風景(sound-scape)とでも呼ぶべきものが含まれ、風車によって生ずる音の利用が一つの観光資源(wind-scape?)になり得るのではないか。

◆今後の検討会におけるヒアリング及び情報収集について

○風力発電施設を観光資源として捉える向きがあるが、全国で設置事例が増えると価値が薄れるのではないか。理念なき競争は避けるべきであり、設置を要望する自治体等の本音を知りたい。

○風力エネルギーの需要見込みの決定方法はどうなっているのか把握すべき。また、地熱発電の例に見られるように、自然保護と両立させるような技術開発の可能性も追求すべき。

○風力発電施設による野生生物への影響、特に動物の行動様式の変化や、海洋生態系への影響に関する文献があれば入手してほしい。また、デンマーク等風力発電分野の先進国における調査事例を収集してはどうか。


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環境省自然環境局国立公園課(大代表03−3581−3351)
課長    笹岡達男(内線6440)
課長補佐  牛場雅己(内線6442)
保護管理専門官  中島尚子(内線6438)