1. 開催日時 |
平成18年6月22日(木)16:30~18:40 |
2. 開催場所 |
オカモトヤ虎ノ門会議室
(東京都港区虎ノ門1-1-24 第一オカモトヤビル4階) |
3. 出席者 |
- 検討員
- 石井 実(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 教授)
- 太田 英利(琉球大学熱帯生物圏研究センター 教授)
- 幸丸 政明*(岩手県立大学総合政策学部 教授)
- 高桑 正敏(神奈川県立生命の星・地球博物館 学芸部長)
- 松井 正文(京都大学大学院人間・環境学研究科 教授)
- 横山 隆一(財団法人日本自然保護協会 常勤理事)
- 環境省
- 自然環境局国立公園課長、同課長補佐、同保護管理専門官
- 事務局
- 財団法人自然環境研究センター
- オブザーバー
- (*座長)
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4. 議題 |
(1)国立・国定公園特別地域内において捕獲等を規制する動物(指定動物)の選定に関する意見募集の結果について
(2)追加指定の検討結果について
(3)指定候補種の保全方策の検討状況について
(4)今後の作業スケジュールについて
(5)その他 |
5. 議事要旨
国立公園課長の挨拶、環境省からの連絡事項の後、各議題について、配布資料に基づき環境省より説明、のち質疑応答。議題(1)~(5)について、各検討員より意見、議論がなされた。今回の検討会における主な意見の概要は以下のとおりであった。
■国立・国定公園特別地域内において捕獲等を規制する動物(指定動物)の選定に関する意見募集の結果について
(環境省より資料1、資料2及び資料3に基づき説明)
- (環境省)5月18日から6月16日までの30日間、9種類の動物を指定動物に指定することについてパブリックコメントを実施した。また、5月27日に「指定動物の選定に関する説明・意見交換会」を開催した。全体的に捕獲規制だけでなく生息地保全が必要という意見が多かった。パブリックコメントでは、特に指定を見直さなければならない意見はなかったと考え、今回の指定候補種9種類については指定動物に指定したいと考える。
- 資料2の4番等の回答に、「適切に運用していく」とあるが、「適切に」という言葉には具体性がなく、何を言っているのかわからない。もう少し回答に具体性を持たせられないか。
- (環境省)審査基準の中に、生息地として重要なところは特別保護地区並みに厳しく規制できるという規定がある。その他に、許認可の審査の際に配慮を求めれば対応してもらえることもあると思う。
- また、都道府県との連携について、資料2の29番の回答にある、情報はホームページを通じて提供するというのは、いかにも連携がとれていないという印象を持つ。
- (環境省)「指定動物の選定に関する説明・意見交換会」において、昆虫関係の方からは、今回のように絞り込んで生息地保全も行うという前提で選定するのはよいという評価を受けた。また、県や市町村が指定するものについて、今回当省が採用したような考え方で指定するよう県や市町村を指導してほしいと言われた。地方分権や法律の違いがあるので指導することはできないが、指定の考え方を伝えることはできる。そうすれば、現場で対応してもらえるのではないかと考えている。
- 資料2の33番の回答に見られる、「地域の専門家」と「アマチュア」の使い分けについてはどう考えているか。
- (環境省)「地域の専門家」については、県の検討会の委員、地元の大学の先生、学会に入っている方等という意味で記述している。自然公園を管理する立場から言えば、地元で活動している団体を大事にすべきと考えており、そこに外部の専門家に入ってもらい、指導してもらいながら活動してもらうということができないかと考えている。
- 例えば昆虫の場合、「専門家」と「アマチュア」の線引きは難しい。実際に審議委員が専門家かと言われるとそうでない場合もあるのではないか。
- (環境省)保全を行うために地元で検討会を作る際に、誰に入ってもらうかについては悩ましい。
- 回答では「専門家」と「アマチュア」は分けないで、「その生物と生息地の実情に詳しい研究家」というように1つにした方がよいのではないか。
- 「アマチュア」という言葉はあまり使わないほうがよいのではないか。また、使用する場合は「いわゆるアマチュア」とするのはどうか。コレクターのような人たちに、この機会に動物の保護に参加してもらいたいという気持ちもある。
- (環境省)「いわゆるアマチュアの方も含め、生息地や種の生態に詳しい方」というような表現でどうか。
- 資料2の32番及び33番の意見は、よい意見なのではないかと考える。32番は憂慮される。
- 回答の中で「予定」とか「検討」とか「期待」となっているものについて、もう少し前向きに言い切るかたちにできないか。
- (環境省)調整相手があるものについては、やりますとはっきり言い切れないところがある。また、国定公園については最後まで国が実施するわけにいかないが、県もすぐには動けない。国で指定して保全のやり方を示した上で県に管理を任せるという仕組みを作れないかと考えている。
今回の指定では、全国的な観点から絞り込みを行い、検討会の判断を優先してきたが、今後の指定では、国定公園の指定動物については、基本的に県で管理できるものを県から要望してもらい、検討会で議論していただく方がよいと考えている。
- 指定だけがどんどん進んでいくのは理解が得られないと思うので、具体的なアクションが指定に続いて出てくればよい。
- 資料2の23番について、回答の最後が「ありません」では関係ないというニュアンスが出てしまう。「残念ながら~」とか、「善処したい」「何かできる努力を考えたい」「環境省としても県と連携してよい状態になることを望んでいる」といった前向きな表現にできないか。
- 「自然公園法では対応できないが、生物多様性保全上問題があるのであれば、他の部局とも相談したい」では言い過ぎになるか。
- (環境省)「自然公園法上はそういう判断ができる立場にはないが、クリーンエネルギーの推進と希少種の保全は両立させる必要があると考えている」ということを回答に盛り込みたい。
- 資料2の32番について、保全施策がないまま天然記念物や希少野生動植物に指定している県があり、環境省の指定動物制度がそれをさらに加速させるのではないかという疑心暗鬼を持っている人たちがいる。環境省では、動物を指定してどういうアクションを起こし、具体的にどう保全が進んだかをアピールする場を持つべし。アマチュアや地方自治体に対してやるべきことを示すべし。
- 都道府県の審議会には国の出先の長が入っていることが多い。本省でそれを把握しておいて、そういう場でちゃんと意見を述べるよう地方環境事務所に伝えた方がよい。
- パブコメの意見に捕獲圧の話が出てくるが、環境省で「捕獲圧がある」と言うときはどういう状態を言っているのか。
- (環境省)「圧」という言葉がつくと特別な意味を帯びてしまうが、多くの人が採集に来ていることが指摘されている状態を考えている。
- (環境省)捕獲圧イコール即悪影響とは考えていない。
- 捕獲圧という言葉の使い方が難しい。害虫を捕る場合は捕獲圧とは言わない。自然界では天敵もいるが、採集者だけが悪いというのを捕獲圧という言葉で表すとカチンとくる部分もあるのではないか。データが示せれば一番よいが、それが示せない状態だと水掛け論になって、捕獲圧があるかないかは環境省側の感情的な判断ではないかと言われることになる。
- 資料2の10番の意見に対しては、捕獲圧があるという数字を示さなければならないが、「捕獲規制により捕獲圧を排除するとともに~」では答えになっていない。「本種に対する特に目立った乱獲及び不必要と思われるような採集は見られない」という意見に対しては、逆の考えがあるとか、こういう報告があるといったことを書かないと回答にならない。
- タイワンツバメシジミの個別の問題として考えるしかないが、採集マップとか本やインターネット上で採集地が紹介されているという事実を調べた上で、地元や生息場所に詳しい人に聞いた上で、採集者がたくさん訪れているという確認をとって回答に盛り込めると一番よい。
- 絶滅危惧I類なので減少しているのは間違いない。この機会に生息地保全やモニタリングをやる、そのとき同時に採集についての規制もかける、と言うふうに捕獲規制を後ろに移した方がよいのではないか。
- 資料2の14番について、「土着が確認されていない」という意見に対して「生息が確認されている」という回答でよいか。
- (環境省)生月島と平戸島の生息地には採集者が集まっている。
- 「土着の確認だけにとらわれずに指定する」という言い方でないと、「土着が確認されていない」という意見に対して「生息が確認されている」では答えになっていない。
- チョウを扱う人は慎重に考えているので、越冬しながら数10年その場所に居続けているのかと、資料2の14番では聞いていると思われる。
- いくつかの信頼できる図鑑を見ればいつごろから見られるという情報が書いてあるはず。安定的に発生していると言えるとなおよい。
- 文献で当たるのが一番よい。「蝶類生態図鑑」や「長崎県の蝶」を見ればわかると思う。
- 環境省が「土着」という言葉を使う場合は、外来生物行政との整合性をとって使ってもらわないと困るので、定義をよく調べてもらう必要がある。
- (環境省)「重要な生息地であるので指定の効果はあると考えている」と回答したい。
- ウミガメについては、ボランティアで保護活動を行っている人たちにとっては重要な関心事項であり、指定によって手続きが煩雑になると困るという話があるようだ。慶良間ではウミガメの卵を保護しないとイタチにすべて食べられてしまう。「審査基準に照らして許可しうるものであり」ではなく「許可を出せる」というような言い回しにできないか。逆に安易に許可が下りるようにするとまずい例もあり、ウミガメの団体が乱立して卵を全部掘り出して自分たちの手で孵化させていたりする。ウミガメの卵は温度で性別が決まるので、高温で孵化させるとメスばかりになってしまう。または、ヘッドスターティングのまねごとをしてアカウミガメを育ててから放流会をしている業者があるが、アカウミガメの生活史を乱すものであり問題がある。
- (環境省)指定動物を指定した事務所や県に対して、保護活動をしている人に対しては迅速・簡便に許可が下りるように配慮してほしいということと、簡便にしすぎると逆に問題があるという情報もあるということを注意喚起するタイミングはあると思う。
- 例えば、台風が来たときに波を被りそうな場所を予想して、それよりも下側のウミガメの巣を全部掘り出して波が被らないところまで持って行ってもう1回埋め直すということを即座の判断でやっている。
- (環境省)そのような場合は、「傷病その他の理由により緊急に保護を要する動物の捕獲等」に該当し、不要許可となっている。そのことを周知したい。
- 現場の事務所はウミガメの団体との接触はあるか。
- (環境省)石垣の事務所には照会が来ており、本省と事務所で調整して回答している。
- 地元との信頼関係を築くことが大事である。この機会に現場主義に立ち戻ってほしいと思う。
- 指定をするだけで環境省が自ら何もしないとか、資料2の1番にあるように車の乗入れの問題について指摘されても「問題が生じているのであれば検討します」という回答をするのでは信頼されない。
- (環境省)車の乗入れの問題が起こりそうなところが具体的にイメージできなかったので、まず実態把握をする必要があると考えている。
- 西表の南東側の海岸では、レンタカーを乗り入れて走っているのをときどき見かける。町は乗入れを禁止しているが、そういった看板も台風のたびに飛ばされたり、目立たないところにあったりするのであまり効果がない。
- トンボ類について、生息地が限られているので捕獲圧は少ないという意見があったと思うが、これについてはどうなっているか。
- (環境省)資料2の30番にある「採集圧の排除」の意見の前段部分にあったものである。
- (環境省)パブリックコメントの回答については、修文して再度検討員の皆様に確認していただいた上で公表したい。指定候補種については、指定動物に指定するということで、これで進めてよいか。
(異議なし)
■今後の作業スケジュールについて
(環境省より資料7に基づき説明)
- 次回以降の指定よりも、今回の指定以後どういうアクションがなされたかというレビューとして年度末にぜひ検討会を開催してほしい。
以上
(文責:環境省自然環境局国立公園課 速報のため事後修正の可能性あり)