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開催日時 |
平成18年4月21日(金)16:30~18:35 |
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開催場所 |
環境省第2会議室(23階) |
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出席者 |
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検討員 |
石井 実(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 教授)
太田 英利(琉球大学熱帯生物圏研究センター 教授)
幸丸 政明*(岩手県立大学総合政策学部 教授)
高桑 正敏(神奈川県立生命の星・地球博物館 学芸部長)
松井 正文(京都大学大学院人間・環境学研究科 教授)
横山 隆一(財団法人日本自然保護協会 常勤理事) |
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環境省 |
自然環境局国立公園課長、同課長補佐、同保護管理専門官
自然環境局生物多様性センター総括企画官 |
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事務局 |
財団法人自然環境研究センター
(*座長) |
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オブザーバー 関係省庁 |
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議題: |
(1)国立・国定公園特別地域内において捕獲等を規制する動物(指定動物)の選定方針に関する意見募集の結果について
(2)指定動物の選定に向けた今後の作業について
(3)その他 |
5. |
議事要旨: |
自然環境局国立公園課長の挨拶、環境省からの連絡事項の後、各議題について、配布資料に基づき環境省より説明、質疑応答。議題(1)~(3)について、各検討員より意見、議論がなされた。今後、環境省で選定方針に関する意見への回答についての整理を行い、公表することとなった。また、検討対象種の情報整理についても今後の作業を進めることとなった。
今回の検討会における主な意見の概要は以下のとおりであった。 |
■ 国立・国定公園特別地域内において捕獲等を規制する動物(指定動物)の選定方針に関する意見募集の結果について
(環境省より資料1及び資料2に基づき説明)
- 資料2の3番の意見への回答であいまいな点がある。「特別保護地区に準ずる地域として開発行為を厳しく制限することが可能」とあるが、具体的にどういうことを指しているのか。
- (環境省)審査基準によって第2種、第3種特別地域でも開発行為を認めない場合のことを指している。天然記念物であれば該当するし、学術論文等で野生生物の重要地域ということが明らかになっていれば、そのような取扱いも可能である。
- 23番の意見について、「レンジャーや指導員と昆虫採集者とのトラブルを防ぐために、レンジャーや指導員の質の向上及びトラブルの対応方法の明確化を要望する」とあるが、これに対して、「法的規制と自粛要請の違いを踏まえて対応する必要がある」との回答になっている。この「法的規制」と「自粛要請」の違いは何か。
- (環境省)例えば、国立公園内で法的規制はないが、地域で自主規制ルールとして捕獲のルールが確立されている場合があり、そのような場合に指導員やレンジャーと採集者との間でトラブルが起きている話を聞いている。法律で禁止されている場合と地域のルールで規制されている場合とを区別して、環境省職員や指導員が現場で対応できるようマニュアル的なものを用意し、周知していきたい。
- 公園で捕虫網を持っているだけで注意されたり、成虫の発生期でない時期であっても注意されたりする場合があると聞いている。そういう事例から、特定の種のみの捕獲規制であっても、特別地域全体で種に関係なく採集が駄目と思われることを懸念している。捕獲への対応のあり方がレンジャーに問われている。レンジャーへの周知や教育をしてほしい。
- 現実問題として、特定の種を指定してその種だけ規制するというのは難しい。特定の種だけ捕らないようにさせる必要あり。
- 天然記念物では発生期に生息地に行くだけで注意されることがある。レンジャーや指導員に生態や同定法を周知するとともに、何かあったときの対処方法のガイドラインを作るべし。
- 「関係者に周知する」だけでなく、「地域ごとに対応のマニュアルの作成に努める」いったように前向きに回答する必要あり。現状では監視員に任せっきりになっている。
- 指定する種の発生期は張りついて監視する必要あり。そのくらいしないと形式的に指定しただけということになる。
- (環境省)国立公園、県の条例、天然記念物等規制が重なっている場合は、権限外のものでも一体的に監視するとか、逆に県等が監視を行う際に指定動物についても配慮してもらうということも考えられる。
- 23番の回答について、「なお、地域のルールとして昆虫採集の自粛を申し合わせているような地域では、そのことへの配慮も必要です」とあるが、配慮するのは誰か。回答が質問に対応していない。
- (環境省)「配慮していただくことも必要です」というのが正しい。23番の質問への回答を再考したい。
- 国立公園の地域のルールと言えば、「植物は採らないようにしましょう」といった立て札等を根拠にしていたが、そのようなルールを国立公園内で認めるということか。
- (環境省)地域のルールがどのように合意形成されたかを考慮する必要がある。管理計画に記載されていればお願いベースではあるが対応できる。
- 採集する方も管理する方も同じものに基づいていればよいのではないか。コストがかかるかもしれないが、国立公園ごとに小さなパンフレットを作成して、何が規制されているかを明示すればよい。ただし、そういう情報を出すことで逆に採集圧がかかることもあるので注意が必要。
- 33番の質問に関連するが、特別保護地区の範囲の明確化については前から意見があった。今回は特別地域においての規制であり、実際にどこで規制されるのかという情報が現場で必要。主要なルートでは案内を立ててほしい。ちゃんと対応しないとトラブルが発生するだろう。
- (環境省)外国人が採集することはあるか。例えば、看板などを作成する際に、英語、中国語、韓国語くらいは必要になるか。
- アジアの人は昆虫採集に熱心で、日本に来て採集している。韓国や台湾からが多く、ゲンゴロウ等を捕っている。韓国人は対馬で採集している。中国でも昆虫採集が盛んになりつつある。
- 沖縄での外国人の採集は多く、クワガタ、トンボ、水生昆虫等が採集されている。西表ややんばるでも採集されている。外国人は捕獲してもよい種を調べて採集している。彼らは学名で覚えているから、看板などには学名を表示した方がよいだろう。米軍が帰国する際に持ち出してブラックマーケットに出ているようであるが、これは規制しにくい。
- (環境省)西日本の公園では外国語の看板が必要かもしれない。
- 外国人による昆虫等の採集は、他の国では非常に厳しく、こんなに緩いのは日本だけである。遺伝子の持ち出し、攪乱の問題もあり悩ましい。税関でチェックする等の対応が必要。
- 実態として野放しになると意味がない。外国での採取規制の状況を把握した方がよい。
- 鳥獣保護区は看板を出して境界を明示している。国立公園でも境界を示す話が以前あったが明示されておらず、国立公園の入口の道路に看板があるだけ。現場では地種区分がほとんどわからない。ただ、全部で境界を示すとなると大変になる。少なくとも監視する側は把握しておく必要あり。
- (環境省)普及啓発用の地図や標識については何らかの工夫をしたい。
- 5番の意見に対する回答が、「自然公園法施行規則第12条第27号の2において、特別地域内における許可又は届出を要しない行為として、『有害なネズミ属、昆虫等を捕獲し、若しくは殺傷し、又はそれらの卵を採取し、若しくは損傷すること』を規定しています。」となっている。鳥獣保護法では、逆にネズミ類で研究対象のものは許可が必要になった。
- (環境省)基本的に害虫や外来生物の防除に関しては規制をしないということである。
- 9番、10番の回答について、次回以降の指定について踏み込んで書く必要があるか。
- 30番の回答について、違法捕獲された標本の取扱いについて検討しないこととなっているが、9番、10番の回答では将来の話をしておりちぐはぐになっている。
- 違法捕獲されたものでも、ちゃんと管理して有効に活用してもらわないと困る。
- 30番の回答は「今のところ検討しておりません」ではなくて、「今後検討してまいります」くらいにしてほしい。別に展示はしなくてよく、使いたいときに使えるよう収蔵してもらえればよい。
- 違法かどうかは標本には関係ない。
- 違法捕獲されたものは積極的に求めないということではないか。
- 6番の意見に対する回答について、今回の指定ではデータはないが経験則で規制するということであるが、NPOでデータの提供に協力しているところはある。(1)データの根拠がないのに規制しようとしている、(2)レッドリストの改訂のためにまじめにデータを集めている、という2つの意味で問題。「不十分なところはあるがデータは改善している、着実に集めている」とする必要あり。
- 一部についてはデータを保有しているとする必要あり。書き方の問題。
- レッドリストの改訂を繰り返しながら着実にデータの蓄積は進んでいるということであろう。一部については成果が挙がってきているという書き方でよいのではないか。
- (環境省)データがあるものについてはデータを活用する、データがないものについては予防的原則で規制を行う、と書き分けたい。
- レッドリストとの連動を書くべし。
- 31番の回答について、地方分権の観点から国として都道府県に指導を実施することはできないが、都道府県からアドバイスを求められれば適切に助言するとのことであるが、こういう書き方しかできないか。
- 昆虫採集を一律に規制した自治体があり、この質問はそういうものについて国で指導してほしいと言っているのではないか。
- 「望ましい規制が普及することを期待しています」とした方がよいのではないか。
- 今、生物多様性国家戦略の見直しも行っているのであれば、種の保存について国と地方でバラバラに対応しないでほしい。
- 国から積極的に地方を指導できないか。地方はアドバイスをほしがっている。
- 地方では、介入されているという感覚よりも、国(環境省)からの一言があれば動けるのにと考えている場合もある。例えば、レッドデータブックは環境省のものを参考にして各県が作成している。国(環境省)は影響力を考慮してアドバイスをしてほしい。地方はお墨付きがほしいと思っているはず。
- 地方との連携を書けないか。
- (環境省)31番の意見への回答は、本日いただいたご意見を踏まえ、「連携や適切な助言は必要に応じてできます」としたい。
- (環境省)パブリックコメントの回答については、修文して再度検討員の皆様に確認していただいた上で公表したい。基本方針等については、修文が必要なものはないということで、これで進めてよいか。
- (異議なし)
■指定動物の選定に向けた今後の作業について
(環境省より資料6に基づき説明)
以上
(文責:環境省自然環境局国立公園課 速報のため事後修正の可能性あり)