環境省自然環境・自然公園指定動物保護対策検討会

平成17年度指定動物保護対策検討会(第1回) 議事要旨


1. 開催日時: 平成18年1月23日(月)14:00〜16:20
2. 開催場所: 経済産業省別館8階821号会議室
3. 出席者:  
  検討員: 石井 実(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 教授)
太田 英利(琉球大学熱帯生物圏研究センター 教授)
幸丸 政明*(岩手県立大学総合政策学部総合政策学科 教授)
高桑 正敏(神奈川県立生命の星・地球博物館 学芸部長)
松井 正文(京都大学大学院人間・環境学研究科 教授)
横山 隆一(財団法人日本自然保護協会 常勤理事)
  環境省: 自然環境局長、大臣官房審議官
自然環境局国立公園課長、同課長補佐、同保護管理専門官
  事務局: 財団法人自然環境研究センター
オブザーバー 関係省庁
(*座長)
4. 議題: (1)国立公園における動物の保護施策と指定動物の選定に向けた今後の作業について
(2)その他
5. 議事要旨: 自然環境局長の挨拶、環境省からの連絡事項の後、各議題について、配布資料に基づき環境省より説明、質疑応答。議題(1)「国立公園における動物の保護施策と指定動物の選定に向けた今後の作業」については、「国立公園における動物の保護に関する基本方針」、「国立・国定公園特別地域内において捕獲等を規制する動物の選定要領」及び「指定動物の選定に係る作業方針」の各項目に関する各検討員からの意見、議論を受け、環境省でその内容の整理を行い、第2回検討会にて詳細に検討を行うこととなった。
今回の検討会における主な意見の概要は以下のとおりであった。

■「動物の保護に関する基本方針」について

(環境省)資料2の基本方針については、「動物の保護は生息地保全を基本とする」という姿勢を示す観点から作成したもの。基本方針は策定済みであるが、ご了承いただければ、今日のご指摘を踏まえ、より充実したものとすべく改定案を作成し、次回にお示ししたい。資料2の参考1の具体的施策については、国立公園内においてどういう保護施策が現状で可能かをリストアップしたもの。公園内の動物のモニタリングについては今後強化していきたい。指定動物の検討対象となる特別地域だけでなく、特別保護地区についても専門家と連携して捕獲調査を実施することなども考えられる。指定動物という枠組みにかかわらず、国立公園内における動物の保護施策として何が必要かという観点でご指摘をいただきたい。資料2の参考2の連携方策については、データ収集などの面でアマチュアを含む研究者や関係団体との連携方策についてとりまとめたもの。生物分類群ごとに対応は異なるかもしれないが、より詳細に検討したい。

(環境省)自然環境についてある程度専門の知識・経験を持っている者が採用されるが、種の分類について必ずしも詳しいわけではない。地元で活動している専門家との協働、種を同定するためのマニュアルの作成などの対応を考えていきたい。

(環境省)許可を出す相手は一定の要件を満たしていることが必要になる。予算については、全国で一斉に行うのは予算的に厳しいので、公園の中でも優先順位をつけて体制を考えていく必要がある。

(環境省)標本収集は重要と考えている。標本の管理については生物多様性センターに相談する。学術的なしっかりしたモニタリングのみでなく、簡易なモニタリングについても実施していきたい。

■「国立・国定公園特別地域内において捕獲等を規制する動物の選定要領」、「指定動物の選定に係る作業方針」について

(環境省)選定要領については、平成16年4月に策定したもの。しかし、その後何人かの検討員の方からもご指摘いただいているが、指定による効果の有無を検討すると、捕獲規制のみでなく具体的な保護施策の実施の可否も重要である。また、生息地情報については、把握可能なものと、今後調査を実施しないとわからないものなども混在。このため、検討対象種の全てについて情報が集まるのを待って指定するのではなく、条件が整ったものから段階的に指定することとしたい。この観点から第1次指定の絞り込みの考え方を整理する必要がある。 作業方針については、第1次で指定すべきものについて考え方を整理したい。この考え方を第2回検討会までにとりまとめ、その上で種の選定に入っていく予定。第1次で指定すべきものの基準についてご意見をいただきたい。いただいたご意見をもとに文章に書き下ろしたものを作成し、第2回検討会までにお示しすることとしたい。

(環境省)哺乳類、鳥類は鳥獣保護法ですでに捕獲規制がかかり、一部生息地保全も行われているので、それ以外の両生類、爬虫類、昆虫類を指定したいと考えている。天然記念物などで自治体などによりすでに捕獲規制がかかっているものについても、公園にとって重要なものは、生息地保全の施策とセットで実施していきたいと考えており、指定していきたい。

(環境省)捕獲規制に加えて鳥獣保護区の制度もあり、保全施策も一部行われている。

(環境省)種の保存法による国内希少野生動植物種や生息地等保護区の指定は危機的状況のものが対象であり、ハードルが高いという難点がある。本指定動物は、国立・国定公園の生物多様性保全の責務のもと、種の保存法を補完するものとして機能する。また、自然公園法であれば開発規制も可能であり、生息地保全を図ることもできる。

(環境省)第1次指定ではレッドリストの絶滅危惧T類に含まれるものを優先的に指定し、第2次指定では幅広く検討したい。

(環境省)自然公園法ではこだわりたいところであるが、「景観」の中身の説明が必要と考えている。その動物がそこにいることで公園利用者がやって来る、その動物の生息地であるということでみんなが大切にしていることなどを想定している。種の保存の観点だけでなく、公園のシンボルとなるものについて、自然再生事業の目標としたり、地元の子供達を巻き込んで保全活動をやることで環境学習に役立てるといった取組が考えられる。

(環境省)自然公園は優れた風景地を保護する制度であるため、動物の生息地・繁殖地というだけで公園区域に入れるのは難しい。自然公園法に限らず、都道府県の自然環境保全地域など他の保護制度を活用できればよい。都道府県やNGOと情報交換する仕組みもいずれ必要と考えている。

(環境省)特別保護地区に指定できない場合であっても、学術的価値を示すデータを示すことができれば、現在の審査基準では特別保護地区に準ずる地域として開発行為を厳しく制限することが可能である。(資料2の参考1の1. [1]参照)

(環境省)自然公園法の「景観」は、一般的に使われる「景観」とは異なり、動植物や生態系も含めた概念である。景観として優れた場所であれば、特別保護地区の指定が可能である。

(環境省)取引規制は、自然公園法の範疇を超える。

(環境省)生息地の破壊などがあり得るが、自然公園法の許認可で、重要な生息地との情報を有しておらずしらないうちに生息地の破壊を見逃していることもあるかもしれない。十分に情報収集をして保全していきたい。

(環境省)「国立・国定公園特別地域内において捕獲等を規制する動物の選定要領」、「指定動物の選定に係る作業方針」のそれぞれについて、選定要件、詳細要件に地域個体群に関する記述を追加したい。

(環境省)資料に対していただいたご意見については、資料を修正して後日送付するので、添削していただければ次回の検討会に提出する。

(環境省)食草のうち特に重要で希少な種については、昆虫と食草の位置関係などを調べ、指定植物になっていないものは指定することも考えている。食草の特性についても、作業の一環としてできる範囲で調べたい。

(環境省)ここで言う外来生物とは、特定外来生物法における外来生物ではなく、本来公園に生息していなかった生物のことを指している。特段、外来生物を指定することはないと考えている。

(環境省)作業方針及び個別の種について、追加でご意見があればメールなどでいただければ検討して次回検討会で報告する。

以上