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阿寒摩周国立公園(PC表示) 阿寒摩周国立公園(SP表示)

阿寒摩周国立公園のストーリー

阿寒摩周国立公園には屈斜路、摩周、阿寒という3つのカルデラと、それぞれに特徴的な湖が存在する。火山活動によって形成された多様な地形や地熱の恩恵を受けた特殊な生物相が狭い範囲に集中している様は世界に誇れるものだ。
ここは、日本でも最も原生的な自然が残る場所の1つでもある。晩秋には屈斜路湖に、シベリアからオオハクチョウが飛来する。湖底から湧く温泉のお陰で湖の一部が結氷を免れるため、冬の間、ここで栄養を補給したり、羽を休めたりするのだ。
阿寒湖は美しい球形のマリモの世界で唯一の群生地である。また、阿寒湖原産であるヒメマスは、ベニザケの一種で、もともとは海と川を行き来していたものが、火山の噴火により湖に閉じ込められて淡水魚になったという。
この地では、アイヌの文化も大切に残されており、「阿寒湖アイヌコタン」や「屈斜路コタン」では、自然と寄り添って生きてきたアイヌの生活や文化に触れることもできる。

今なお活動する地球のエネルギーを感じる
3つのカルデラと湖

3つのカルデラと湖を中心とした壮大な景色を生み出した原因を知ろうとしたら、数十万年前まで遡る必要がある。はるか昔に起きた火山活動によってできた窪みと、長い年月をかけて、そこに水が溜まった結果だ。付近では現在でも活発な火山活動が続いている。なかでもアトサヌブリ(硫黄山)は1500以上もある噴気孔から絶え間なく噴気を上げる迫力がある。

阿寒湖にヒメマスなどの魚類がいるのも火山のお陰だ。湖の中からも湧き出している温泉には、リンや窒素などの栄養分が多量に含まれていて、これが大量のプランクトンを発生させ、ヒメマスをはじめ、様々な魚たちの食物となる。そしてこの魚たちは、周辺に住む動物たちの胃袋も満たす。

夏の時期に、訪れる人の目を奪うのが摩周湖と屈斜路湖の雲海。雲が織りなす自然界のアートだ。この雲海は、太平洋から流れ込んだ温かい空気により発生した霧が、内陸へと押し寄せ、カルデラに留まってできたもの。深い霧は森を潤し、河川となって再び海へと還っていく。壮麗な景色の裏には、水の循環の物語があるのだ。

3つのカルデラと湖を中心に巡る生き物たちの暮らしと、移り変わる景観。火山と水の循環を通じて、地球のダイナミズムに思いを馳せられる場所だ。

阿寒湖
阿寒カルデラの中央に位置する。 特別天然記念物の「阿寒湖のマリモ」の生育地や、 ヒメマスの原産地として知られる。
屈斜路湖
日本最大のカルデラ湖。湖水の面積は約80㎢。冬には湖水が凍結し、割れた氷がせりあがる「御神渡り現象」が起こる。
アトサヌプリ(硫黄山)
かつては硫黄の採掘が行われていた。噴気孔の数が大小合わせて1,500以上あり、常時、白い噴気を上げている。アトサヌプリはアイヌ語で「裸の山」の意味。
摩周湖の雲海
太平洋、釧路沖で発生した雲海が、南風に乗って内陸へと運ばれ摩周湖まで流れ込んでくることで発生する。

アイヌの自然観・カムイの存在

狩猟採集を行ってきたアイヌにとって、自然とは恵みを与えてくれる存在であり、同時にままならない存在でもあった。そうしたアイヌの信仰の形は、当然、自然に寄り添ったものとなった。山も川も火も風も自然界の多くのものはカムイ(神)やその化身であり、時には動物という形で現れて、貴重な食料となってくれる。

その存在に最大限の敬意を払うことで、大いなる自然と調和を図って暮らしてきたのだ。

国立公園の西側にある「阿寒湖アイヌコタン」では、そのようなアイヌの文化に触れることができる。伝統的な舞踏や衣服、紋様、そして生活様式。そのいずれもが、自然に対する畏敬の念に溢れている。屈斜路湖の南岸の屈斜路コタンには、アイヌの民族資料館もある。

自然に寄り添ったアイヌの価値観を体感できるこの地は、自然の貴重さ、尊さから隔絶されがちな現代人にとって、学びの多い特別な場所である。

もう一度、1つの生き物に立ち返って、自分を取り巻く世界に目を向ける。じっと静かに、人間という存在を自然の一部として見つめ直す。そんな静的体験ができるのも、阿寒摩周国立公園の魅力の1つだ。

クマゲラ
日本最大のキツツキ。クマゲラが木にあける穴の形からアイヌの人々が舟の製作を思 いついたと言われ、アイヌ語では「チブタッチカプカムイ (舟を彫る鳥の神)」と呼ぶ。
まりも祭り
毎年10月上旬に阿寒湖で行われる、 マリモの保護の推進を目的とした行事。 湖上に丸木舟を浮かべ、アイヌ流の儀式が行われる。
エゾジカ
ニホンジカの仲間の中で最大。アイヌ語では「ユㇰ」 と呼び、 意味は獲物。アイヌ の人々によく食べられていた。
摩周岳と摩周湖
摩周岳はアイヌ語で「カムイヌプリ (神の山)」。 世界屈指の透明度を持つ摩周 湖は「カムイトー (神の湖)」 と呼ばれる。

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