環境省自然環境・生物多様性国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会

第2回「管理運営に関する分科会」の概要


1.日時

平成18年12月19日
13:30〜16:30
環境省第一会議室

2.出席委員

北村委員、九里委員、櫻井委員、高橋委員、竹田委員、原委員、羽山委員、渡部委員

3.会議の概要

 資料1〜5を用いて事務局より説明を行った。委員からの意見とそれに対する事務局回答の概要は下記のとおりであった。

○ 層雲峡の施設整備は環境省としてうまくいったと言える事例か。観光客は増えたのか。

→ (事務局)観光客は増えていないかもしれないが、地域と合意形成を行いながら整備を行った事例であり、地域の人々が主体的に街づくりに関わっていく意識を持ったことには効果があったと言えるのではないか。

○ 神奈川県の自然環境保全センターには100人の職員がいるという話だが、全て県職員か。

→ (羽山委員)県の組織であり県の職員。

○ 阿蘇における施策の段階を時系列で教えて欲しい。

→ (高橋委員)熊日新聞での草原の危機に関する特集や、(財)阿蘇グリーンストックの前身の団体が100円募金を行ったことがきっかけで、ボランティアが組織化されてきた。当初ボランティアは牧野組合等に受け入れられていなかったが、ボランティア側も責任を持ち、研修を積み重ねることで技術者の集団になった。年に何度も作業を行うボランティア集団は、地元の牧野組合(毎年1回)よりも多くの回数の火入れ・輪地切り(防火帯切り)を経験する事により、プロ集団となり、今では多くの牧野(30%以上)でボランティアが活躍している。環境省は草原に関する懇話会を1年間行い、それが自然再生の母体となった。農政部局は牧野の活性化を目的とし、6年前に施行された中山間地域等直接支払い制度を活用してきた。あと5年もすれば、牧野組合等の草原管理の担い手が高齢化等により半分に減る可能性があり、ますますボランティアへの依存度が高まってくると予想される。

○ 丹沢総合調査実行委員会には営利企業が入っているが、どのような関与をしているか。

→ (羽山委員)トヨタやサントリー等が入っている。トヨタ・サントリーは丹沢に社有林を持っており社員活動の実績があった。またサントリーは丹沢の水を使ってビールを造っている。実行委員会は民間組織なので企業からの出資は大変ありがたい。

○ 阿蘇・丹沢ともに地域を巻き込んでの取組だが、国立・国定公園の保護規制の線引きは事業を進めていく上でどのように作用しているか。

→ (高橋委員)草原再生も規制がなければ出来ない。牧野組合が管理している草原の多くが普通地域内であるが、逆に地域外の企業等が参入し、土地改変を伴う人工草地の造成を行い,大規模な畜産を始める事を規制できないという心配の声が地元からある。また、公園外は間違いなく農地の転用が進んでいる。
(羽山委員)希少種は保護地域内に多く生息しているので、規制の意味はある。一方で里山地域にも希少種等が残されており、他の仕組みが必要。丹沢の1万6千haが鳥獣保護区になっているが、そこにシカが集中する事態が生じている。それについても考え直さないといけない。

○ 利用を推進していくとのことだが、利用されなくてもそこに存在するだけで価値のある原生的な自然もある。ゾーニングは個別にかなり異なり、一つ一つの国立公園には個性がある。サンクチュアリ的な部分と遊べる部分のスタンダードが必要だし、それが観光ビジネスの展開につながる。環境省が国立公園について一つの診断を下すことが、様々な国立公園がある中で逆にマイナスになることはないか。

○ 今回阿蘇・丹沢の事例を紹介した趣旨を説明してほしい。

→ (事務局)地域ごとに課題は別だが、地域の人達や関係行政機関を多く交えて合意形成をしなければいけない点については同じであり、そのモデルケース的事例を紹介してもらった。

○ 地域住民の能動的な参画にはいくつかのパターンがある。地域に経済的メリットがなくても危機感がある場合は呼びかければ参画してくれる。危機感があるかどうかについては徹底的に掘り下げて把握する必要がある。地元のメリットとしては雇用、産品の販売、評価の向上や教育上の効果等があり、そういう地域振興への期待を整理する必要がある。また、地域外の人間がガイド等で入ってくるような地域外振興の場合は地元にとってプラスにならないこともあるので、その点は分けて整理する必要がある。

○ どうすれば多様な主体をひっぱり出せるか。地元にも参加して頂けるとしたら、国民の財産が危機だからではなく、地元の危機がなければいけない。

○ 資料5−1の図にあった管理運営協議会への参加が期待される主体として教育機関が考えられる。継続性を考えると教育の関与が重要になる。ただ、余り早い段階から入れることは嫌がられることが多い。また、博物館の講座や生涯学習センター等で地元の人材活用の機能を整える事が重要になる。

○ これからは能動的管理が重要だということだが、一方で規制強化すべき点もある。奥入瀬渓流では周辺の森林の手入れがよくない事により水質が悪化している。場所によっては規制強化をして木を切らない事も重要。

○ 国立公園を国立公園らしく残すという観点からは、もう環境省だけでは難しく、関係行政機関や地方自治体と協力することが不可欠。国民の支持を得る事が遠回りのようで近道かもしれない。阿寒湖温泉の例を見ると、環境省は時代に迎合しすぎて失敗しているように感じる。20年以上のスパンで考えることが重要。提言案にもモデル地域で試行しながら中身を変えていく事が書かれているので、今回は完璧な提言を作ることを目指さない方がよいのではないか。

○ 今後の方向性は提言に盛り込む必要はあるだろう。利用者負担のところについては様々な問題が出てくるので書ききれるのか心配がある。

○ 管理運営協議会の形については個別に考えないと具体的なイメージを得られないのではないか。例えば阿蘇の草原再生協議会と管理運営協議会の関係がよくわからない。

○ 資料5−2で紹介されている協議会はどれも課題が明確なものだし、阿蘇の草原再生も目標は明確。様々な課題がある中で、公園全体の協議会でどう地元の参画を得るのかについては考えた方がよい。

○ 丹沢のように情報を集めて一元的に管理する体制は重要だし、情報を地図に落として合意形成を図ることも効果的。協議会の円滑な運営のためには、ある程度協議会に権威を持たせた方がよいが、何をどこまで持たせるかは検討が必要。

○ 環境省の代表者が公園内の情報を網羅的に把握したり、協議会関係者の中でリーダーシップを取るということを考えると、地方事務所をもう一度現場へ近づけるという事が必要になるのではないか。

○ 管理運営協議会が作られて色々協議されるとなると、どこかで公園の保護や利用の「あらまほしき姿」がないと方向性が定まらないのではないか。国立公園は世界遺産に負けているという話があったが、世界遺産はメッセージがわかりやすい。国立公園のメッセージについても改めて文字化・言語化が必要かも知れない。

→ (事務局)世界遺産と競争しているわけではないが、メッセージをわかりやすくする事は当然必要になると認識している。法律の目的に「利用の増進」とあるが、これは単に利用者数を増やす狭義の「利用の増進」ではなく、適正利用や利用調整のような点についても含まれる。つい最近は大台ヶ原の利用調整地区指定について審議会に諮問し、答申を得た。その辺は区別して書ききれてないので、提言案ではわかるように書く。

○ 提言・骨子(案)の中にサービスという言葉があるが、意味がわかりづらい。機能や役割といった言葉に変えた方がいいのではないか。

→ (事務局)サービスという表現は生煮えのところはある。国立公園の保護はかなりやってきたが利用は手薄だった。国立公園の理想的な姿を書いた上で、情報提供をすることはやってこなかった。国立公園の国立公園らしい利用は十分に考えていく。

○ 利用の増進を考える際、利用者数の増加だけでなく、滞留時間とか満足度等を考慮していく必要がある。国立公園の国立公園らしい利用の仕方を考えておく必要がある。例えば、自然資源を活用するとか、その利用は他地域で代替できないとか。

○ 国立公園らしい利用については明文化されたものはあるのか。商売する立場からは利用像が全く異なる事がある。どこかで言語化が必要かもしれない。

→ (事務局)エコツーリズムでは既に考え方の大枠を決めている。地域にあった利用は地域ごとに決まる事であろうし、地域ごとの危機感をとらえながら合意形成していく事が重要になる。

○ 第3回目の分科会でも委員からの発表があるが、提言・骨子(案)にはどう反映するのか。

→ (事務局)発表の後に議論する時間もあり、全体検討会までにまた意見を踏まえて修正を加えることになる。

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