環境省自然環境・生物多様性国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会

第1回「管理運営に関する分科会」の概要


1.日時

平成18年11月17日
16:00〜18:20
レストラン立山会議室

2.出席委員

北村委員、九里委員、櫻井委員、下村委員、高橋委員、竹田委員、原委員、羽山委員、速水委員、渡部委員

3.会議の概要

 資料1〜4を用いて事務局より分科会の進め方、国立公園が提供するサービス、管理運営の方向、管理運営にかかる費用(サービスの対価)の負担のあり方等の論点について説明を行った。委員からの意見とそれに対する事務局回答の概要は下記のとおりであった。

【国立公園が提供するサービス】

○ 資料2−1の中に「地方自治体から見た国立公園指定のメリット・デメリット」のアンケート結果の表があるが、このアンケート調査がどういう設問で、自治体のどういう立場の人宛に出されたものか教えて欲しい。地域の主体的な取組を進めていこうとしても自治体が公園指定のデメリットを多く感じているのであれば、地域に委ねていくことはマイナスになるのでは。

→ (事務局)次回までに確認する

○ 資料2−1の「国立公園を訪ねた目的・今後したいこと」の表では風景探勝の比率が最も高くなっているが、風景には原生自然で構成される景観と里山など人間の管理で出来上がっている景観がある。環境省の里山のモデル地区に関する検討でも全国を6,7地区に分けてサービス・管理を検討しており、国立公園に関しても風景のタイプ別に分けて考えることが必要ではないか。

○ 日本には多様な国立公園があるが、例えば米国のように公園毎に法制度を作って、それぞれの公園にあわせた管理を行っていくような柔軟さはあるのか。

→ (事務局)日本では全ての公園が同一の法体系だが、公園のタイプ別に管理を変えていく事について議論はある。法制度にはこだわらずに両方の観点から議論してほしい。

○ 生態系の一部として国立公園がどういうサービスを提供するのか議論が必要。ただし、公園内だけでなく流域や物質循環の観点から環境サービスや自然の恵み全般を考えていく必要がある。例えば水源地域はほとんど自然公園であろうし、人間のライフラインに直接関わるものの多くを提供しているのではないか。

○ 資料2−2の間接的サービスの中に迷惑施設の排除とあるが、逆に本来の生息地である平地に棲めなくなったシカが自然公園に入り込んでおり、迷惑施設を受け入れているようなもの。サービスとして位置付けられるのではないか。シカの管理も草原の例のように積極的な管理を伴って維持するもの。

○ これまでの国立公園は規制的イメージが強かったので、サービスという点に焦点を当てたのは重要である。管理計画についてはNPO等の意見を聞きながら中身を楽しいものに変えていく必要がある。また法的な位置付けをした上で地方自治体に積極的に関わってもらったほうがよい。

○ 登山利用者の立場から見ても国立公園に対する認識はかなり異なっている。利用者別に行くべき地域を分ける等、国立公園の使い方の「あらまほしき姿」を個別に考えていくことが必要ではないか。各公園には人格があるとすら考えているので、一枚岩より個別の対応が好ましい。

【国立公園の管理運営の方向】

○ 秦野の里山保全に関しては、森林組合や農協等で協議会をつくって目標設定している。その際、10年位先を考えて直近の達成目標を決める事に対しては理解を得ている。小佐渡のトキの野生復帰予定地でも森林組合や漁協、小中学校、ボランティア団体等からなる連絡協議会が2ヶ月に1回開かれており、2015年放鳥を目標に出来ることを話しあっている。NGOがボランティアで方向性や報告を出し、行政がその中から実現可能なものを2年位で実用化する流れになっている。

○ 三重県の地域森林計画の民地に係る部分について、全国で初めてホームページで全国から参加者を募り、ワークショップを開きながら策定した。その際、法律で規定することが絶対に必要とされている部分だけでなく、それ以上のものを盛り込むように努めた。民地が多い地域は国立公園への参加意識がない。計画策定に関わってもらい、当事者意識を持ってもらう事が重要。世界遺産は登録の過程で住民の参加がある。国立公園でも管理運営計画等を住民参加型でたてる必要がある。ただし、計画を作った後に地域で引っ張っていく人がいなければ継続性がないので、一緒にそれを育てていくことが重要。

○ 景観法のように計画策定の中心は地域になってきている。管理には規制と協定等による支援の大きく分けて二つがあるが、国立公園に関して自治体があまりにマイナスイメージを持っているとなると地域の協力を考えるのは難しい。公園計画では面的な利用のゾーニングがあってもよいのではないか。地域へ参加を求めながら、管理計画もそれに合わせる等の方法も考えられる。本当は策定自体を自治体にまかせられるとよい。

○ 阿蘇では自然再生と国立公園がどう住み分けるのか、分かりづらくなっている。制度が増えて錯綜している面がある。三瓶山のウスイロヒョウモンモドキ保全では利害対立者の調整が難しかったため協議会で議論し、その中で管理のための計画を策定した。

○ 多様な主体の参画を促すためには、説明責任を果たし、情報共有を行っていくことが前提となる。また、国があらかじめ方向性を決めた上での参加は意味がない。企業の環境保全活動も増えているが、企業が考える未来は四半期や半年くらいのイメージであり、国立公園の保全活動とはなじまないかもしれない。

○ 公園の管理を考える上で他国の地域制国立公園の例は重要になるので、何故そのような制度を作ったのかという理念、過程等を含めて次回分科会で紹介してほしい。

→ (事務局)次回分科会までに代表的な例を整理する。

【管理運営にかかる費用の負担のあり方】

○ 直接支払制度の話は以前から各地で議論されている。新潟県や秦野市の制度は参考になる。

○ ドイツでは国立公園周辺など自然度の高い地域は環境省が資金を出し、少し劣る地域は環境省と農林水産省が、普通のところは農林水産省が資金を出している。

○ 国立公園が提供するサービスに対して反射的に受益があるわけではなく、利用者は期待を実現した時に対価を支払う。合意形成、地域振興の前提となるサービスの整理が必要。神奈川では水源環境保全税は来年度から公園事業に活用される。自然公園は水源地の保護を通じて水等を提供するという名目。

○ 生物多様性保全等、見えないものを地域に理解してもらう努力や広報がないと負担は求めにくい。

○ チップトイレで成功しているのは上高地と尾瀬くらいである。アンケート結果を見ると利用料支払いへの国民の理解は高いとのことだが、現場ではそうではない。利用料を取る場合は、知らない間に費用をとる体制を検討していかないといけない。

○ 費用負担の問題に結論を出すのは時間がかかる。来年1年間位はかかるのではないか。

○ 国立公園所在市町村への国の支援措置を充実させることができないか。地方交付税を公園面積に応じて市町村に配ったり、特定目的税源を設置する等の方法が考えられないか。

○ 財源は多様になってきているので費用負担も含めて議論することは重要である。観光客から利用料を取ることについても目的を説明すれば十分に受け入れられるのでは。西表や小笠原で観光客を対象に行ったアンケートでは環境省の事業規模を大きく超える額を負担してもよいという結果が出ている。

○ セブン−イレブンみどりの基金は企業が自然の管理に資金を出した成功例。今後の国立公園管理への企業の参加としては、このような基金が参考になるかもしれない。

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