日本の外来種対策

環境省では、日本の生態系等に被害を及ぼす又は及ぼすおそれのある外来種について、
規制や防除、理解促進等に取り組んでいます。

環境省自然環境局

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環境省では、日本の生態系等に被害を及ぼす又は及ぼすおそれのある外来種について、
規制や防除、理解促進等に取り組んでいます。

侵略的な外来種

外来種って何?

  • 外来種とは、たとえばカミツキガメのように、もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のことを指します。
  • “外来種”という言葉を見ると、海外から日本に持ち込まれた生物(国外由来の外来種)のことを表すと思われがちです。しかし、“在来種(本来の分布域に生息・生育する生物)”でも、たとえばカブトムシのように、本来は本州以南にしか生息していない生物が北海道に入ってきた、というように日本国内のある地域から、もともといなかった地域に持ち込まれた場合には、“外来種”となり、もとからその地域にいる生物に影響を与える場合があります。このような"外来種"のことを「国内由来の外来種」と呼んでいます。
  • ※ 渡り鳥、海流にのって移動してくる魚や植物の種などは、自然の力で移動するものなので外来種には当たりません。
  • 外来生物法では海外から日本に持ち込まれた生物(国外由来の外来種)に焦点を絞り、人間の移動や物流が盛んになり始めた明治時代以降に導入されたものを中心に対応します。
  • 外来種は意外と身近にたくさんいます。たとえば、四葉のクローバーでおなじみのシロツメクサは、牧草として外国からやってきました。また、金魚の水草でおなじみのホテイアオイや、アメリカザリガニなども外国起源の生物です。
  • 日本の野外に生息する外国起源の生物の数はわかっているだけでも約2000種にもなります。明治以降、人間の移動や物流が活発になり、多くの動物や植物がペットや展示用、食用、研究などの目的で輸入されています。一方、荷物や乗り物などに紛れ込んだり、付着して持ち込まれたものも多くあります。これらは、意図的、非意図的の違いはありますが、人間の活動に伴って日本に入ってきているという点で共通しています。
  • 外来種の中には、農作物や家畜、ペットのように、私たちの生活に欠かせない生き物もたくさんいます。また、荷物にまぎれたりして非意図的にやってきた生き物もたくさんいます。これらの生物が、何らかの理由で自然界に逃げ出した場合、多くは子孫を残すことができず、定着することができないと考えられています。しかし、中には子孫を残し、定着することができる生物もいます。

侵略的な外来種とは?

  • 外来種の中で、地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かすおそれのあるものを、特に侵略的外来種といいます。具体的な例としては、沖縄本島や奄美大島に持ち込まれたマングース、小笠原諸島に入ってきたグリーンアノールなどがあげられます。
    小笠原諸島は海洋島といって、一度も大陸と陸続きになったことがない島々で、小笠原で独自の進化を遂げてきた固有生物の宝庫と言われています。グリーンアノールは小型のトカゲで、昆虫などを主食にしていて、この小笠原固有の昆虫の多くがグリーンアノールに食べられてしまい、絶滅の危機に瀕しているもの、既に絶滅してしまったかもしれないものが多くいます。
  • 「侵略的」というと、何か恐ろしい・悪い生き物なのかしら?と思われがちですが、本来の生息地ではごく普通の生き物として生活していたものですので、その生き物自体が恐ろしいとか悪いというわけではありません。たまたま、導入された場所の条件が、大きな影響を引き起こす要因を持っていたに過ぎません。
    たとえば、日本ではごく普通にどこにでもいるコイという魚や土手などに生えているクズという植物でも、本来生息・生育していなかったアメリカでは、「侵略的」な外来種だといわれているそうです。
  • 平成27年3月、環境省及び農林水産省において、日本における侵略的外来種を整理した「生態系被害防止外来種リスト※」を作成しました。「生態系被害防止外来種リスト」はこちら
  • ※正式名称:我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト

外来種の問題点

  • 生態系は、長い期間をかけて食う・食われるといったことを繰り返し、微妙なバランスのもとで成立しています。ここに外から生物が侵入してくると、生態系のみならず、人間や、農林水産業まで、幅広くにわたって悪影響を及ぼす場合があります。もちろん全ての外来種が悪影響を及ぼすわけではなく、自然のバランスの中に組み込まれ、大きな影響を与えずに順応してしまう生物もいます。しかし、中には非常に大きな悪影響を及ぼすものもいます。

<生態系への影響>

外来種が侵入し、新たな場所で生息するためには、餌をとったり、葉っぱを茂らして生活の場を確保したりする必要があり、もともとその場所で生活していた在来の生物との間で競争が起こります。

<人の生命・身体への影響>

たとえば、毒をもっている外来種にかまれたり、刺されたりする危険があります。

<農林水産業への影響>

外来種の中には、畑を荒らしたり、漁業の対象となる生物を捕食したり、危害を加えたりするものもいます。

外来種被害予防三原則

  • 外来種による被害を予防するために
  1. 1.入れない ~悪影響を及ぼすおそれのある外来種を自然分布域から非分布域へ「入れない」。
  2. 2.捨てない ~飼養・栽培している外来種を適切に管理し、「捨てない」(逃がさない・放さない・逸出させないことを含む)。
  3. 3.拡げない ~既に野外にいる外来種を他地域に「拡げない」(増やさないことを含む)。
すなわち・・・
  1. 生態系等への悪影響を及ぼすかもしれない外来種はむやみに非自然分布域に「入れない」ことがまず重要で、
  2. もし、すでに非自然分布域に入っており、飼っている外来種がいる場合は野外に出さないために絶対に「捨てない」ことが必要で、
  3. 野外で外来種が繁殖してしまっている場合には、少なくともそれ以上「拡げない」ことが大切
というものです。外来種に関わる際には、この原則を心にとめ、適切な対応とご理解・ご協力を、切にお願いします。