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講演会等

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第2回エコツーリズム推進オリエンテーション

○日程:平成17年11月8日〜10日

○場所:富士山北麓地区(山梨県環境科学研究所 他)

○主催:環境省、山梨県、富士山北麓エコツーリズム推進協議会

○プログラム

1日目(11/8)

  • 13:30 開会式
  • 14:00 各モデル地区からの取り組み状況発表表
    類型1【豊かな自然の中での取り組み】
    知床地区/白神地区/小笠原地区/屋久島地区
    類型2【多くの来訪者が訪れる観光地での取り組み】
    裏磐梯地区/佐世保地区/六甲地区/富士山北麓地区
    類型3【里地里山の身近な自然,地域の産業や生活文化を活用した取り組み】
    田尻地区/飯能・名栗地区/飯田地区/湖西地区/南紀・熊野地区
  • 18:00 交流会

2日目(11/9)

  • 8:00 生物多様性センター視察
  • 9:00 分科会(1)ガイド制度について
    分科会(2)エコツアープログラムづくりと商品化について
    分科会(3)地元推進体制について
    分科会(4)人材育成について
  • 11:30 特別講義「エコツアー実施に関わる法規を学ぶ」
  • 14:00 エコツアー体験
  • 17:00 閉会の挨拶

3日目(11/10)

  • 8:30〜11:30 エコツアー体験
(写真) オリエンテーション開会式

オリエンテーション開会式
11月8日から10日午前にかけて、富士山北麓地区にて「第2回エコツーリズム推進オリエンテーション」が開催されました。モデル地区のエコツーリズム推進関係者など全国から178名が参加して、各地区のモデル事業の進捗状況の報告や、エコツーリズム推進の現場で起きている課題などについて議論をしました。
>>エコツアー体験の記録

第2回エコツーリズム推進オリエンテーションの開催の様子

1.各モデル地区からの取り組み状況発表

類型1【豊かな自然の中での取り組み】

■発表者
知床地区:財団法人知床財団 田中直樹
白神地区:西目屋村企画観光課 工藤重悦、藤里町事業課 小山博
小笠原地区:小笠原村産業観光課 杉本重治
屋久島地区:環境省屋久島自然保護官事務所 廣瀬勇二

■司会:田中直樹((財)知床財団)
日高健((財)屋久島環境文化財団

モデル地区の類型1「豊かな自然の中での取り組み」については、知床地区、白神地区、小笠原地区、屋久島地区からそれぞれエコツーリズム推進取り組み状況の発表がありました。

知床地区からは、世界遺産登録後の状況におけるエコツーリズムやエコツアーへのプラス面とマイナス面が紹介されました。プラス面では、周辺地域をも含めたエリアにおいて経済効果がみられたことなどがあげられました。マイナス面としては、観光客の過度な期待による知床のイメージダウンや、オーバーユースの問題などがあげられました。知床ではガイドライン策定のための検討会が設置され、保護と利用の調和のとれたシステムの構築を目指して協議が続けられているところです。

白神地区からは、青森県西目屋村と秋田県藤里町がそれぞれの特性に合わせたエコツーリズムの推進について紹介されました。白神地区は、今年度はエコツーリズム推進のための仕組みづくりや基本計画(骨子)案の作成に取り組んでいますが、西目屋村では地域連携の仕組みとして、地元の財団を中心としたネットワークの構築を目指した取り組みがすすめられています。藤里町では、年間を通したエコツアー実施が課題となっており、夜のプログラムや農業体験などのプログラムを含むモニターツアーや地元の認定ガイドの研修が実施されました。

小笠原地区からは、地元主体で村内の幅広い関連団体から構成されるエコツーリズム協議会が設置され、エコツーリズム事業計画の策定、エコツーリズムを実践する実行組織の設立、ルールの整理・検討、地元主体のガイド制度の検討が進められています。実行組織は、資源の保全と調査・研究、ルール・ガイド制度の管理と運用、総合的な観光振興、エコツーリズムの普及啓蒙を担うもので、平成18年度中の設立を目指しています。

屋久島地区からは、ガイド制度設立に向けた経緯とモデルツアーの実施について紹介がありました。屋久島のガイド制度については、平成16年10月から協議会にて検討がすすめられ、ガイド登録制度の策定までに合計17回もの作業部会が開催されました。また、ガイド制度の登録内容にもとづき、ガイドを紹介するホームページも作成され、今年12月から公開されるなど、利用者にとっても利便性の高いしくみづくりもすすめられています。

写真・文:(財)日本交通公社

(写真) 各モデル地区からの取り組み状況発表(1) (写真) 各モデル地区からの取り組み状況発表(2)

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類型2【多くの来訪者が訪れる観光地での取り組み】

■発表者
裏磐梯地区:北塩原村観光政策課 井上健
佐世保地区:佐世保市観光商工部エコツーリズム推進室 林健ニ
六甲地区:神戸市生活文化観光局観光・国際部観光交流課 境智司
富士山北麓地区:山梨県観光部観光資源課 川元修

■司会:平野達也(NPO法人ホールアース研究所)
草野治郎(佐世保市観光商工部エコツーリズム推進室)

類型2「多くの来訪者が訪れる観光地での取り組み」は、裏磐梯地区、佐世保地区、六甲地区、富士山北麓地区の4モデル地区から発表がありました。いずれも日本を代表する観光地です。

裏磐梯地区からは、重点モデル事業、裏磐梯エコツーリズム基本計画策定、裏磐梯エコツーフェスタ開催など、新たな取り組みについて発表されました。今後は、推進組織づくりと資金調達方法の早急な確立を目指します。

佐世保地区からは、推進体制の構築、エコツアーのプログラム化、人材育成、「佐世保地区エコツーリズム」ホームページの作成、「基本方針」・「基本計画」の策定などを行いました。今後は、モデル事業最終年度に向けて、18年度予算「エコツー枠」の設定、ランドオペレーターの構築(設置)、成功事例の確立、ツアー実施による環境影響調査に取り組む予定です。

富士山北麓地区からは、平成16年度ワーキンググループ検討会成果のまとめとして、観光の質的な転換や関係者の意識改革、コンセンサスの必要性、各主体間の連携、富士山北麓地区全域での一体的な取り組みなどの課題が挙げられました。今後は、引き続き協議会やワーキング検討会の開催、アンケート調査等を行い、基本計画骨子案や観光サービスのエコ化、人材育成等について取り組んでいく予定です。

写真:秋葉圭太(山梨県観光部観光資源課)
文:(財)日本交通公社

(写真) 各モデル地区からの取り組み状況発表(3) (写真) 各モデル地区からの取り組み状況発表(4) (写真) 各モデル地区からの取り組み状況発表(5) (写真) 各モデル地区からの取り組み状況発表(6)

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類型3【里地里山の身近な自然,地域の産業や生活文化を活用した取り組み】

■発表者
田尻地区:財団法人日本生態系協会 遠藤立
飯能・名栗地区:飯能市市民生活部エコツーリズム推進室 安藤泰雄
飯田地区:NPO法人ふるさと南信州緑の基金 小林天心
湖西地区:高島市企画部企画調整課 森田 茂之
南紀・熊野地区(三重県):紀南振興プロデューサー 橋川史宏
南紀・熊野地区:和歌山県環境生活総務課自然環境室 易本九栄

■司会:財団法人日本交通公社 菅野正洋
飯能市市民生活部エコツーリズム推進室 岡部隆志

類型3「里地里山の身近な自然、地域の産業や生活文化の活用した取り組み」は、田尻地区、飯能・名栗地区、飯田地区、湖西地区、南紀・熊野地区の5モデル地区(南紀・熊野地区は三重と和歌山が別々に発表)からの発表でした。2時間足らずに6名が発表するため、やや駆け足の発表となりましたが、それでも発表者の熱意、心意気が会場全体に伝わり、充実したものとなりました。

最初の発表は田尻地区で、田尻地区はこの日にラムサール条約に登録ということで、非常に時機を得た発表となりました。
飯能・名栗地区からは、都心近郊の里山に残る自然、伝統を生かしたプログラムの紹介がなされました。

飯田地区の発表からは、桜守ガイドから始まったエコツーリズムが次第に地域社会に根付き、発展していく過程が紹介されました。

湖西地区からは、シンポジウムの講演者に著名人を招き、32ものエコツアープログラムを準備するなど、精力的な取り組みが発表されました。

南紀・熊野地区(三重県)からは、紀南ならではのスローなツアー、「得る」から「与える」の発想への転換、理念の重要性などについて発表されました。
南紀・熊野地区(和歌山県)からは、田尻地区同様に串本沿岸海域がラムサール条約に登録されたということで、内陸のツアーのみならず、海岸、海中の魅力をもアピールされました。

写真:萱沼進(山梨県観光部観光資源課)
文:(財)日本交通公社

(写真) 各モデル地区からの取り組み状況発表(7)

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2.分科会

テーマ1 ガイド制度について

■パネリスト
知床地区:知床ガイド協議会 関口均、(財)知床財団 松田光輝
裏磐梯地区:裏磐梯ビジターセンター 伊藤延廣
屋久島地区:屋久島環境文化財団 日高健、屋久島観光協会 柴鐵生
小笠原地区:小笠原村産業観光課 今野満

■コメンテーター:環境省自然ふれあい推進室長 中島慶二

■コーディネーター:(財)日本交通公社 市場調査室長 寺崎竜雄

エコツーリズムにおけるガイド制度は、資源管理、地域の良いエコツアーイメージの確立、参加者の安全管理といった様々な目的において、避けては通れない検討事項であるといえます。分科会1では、「ガイド制度」をテーマとして、知床地区、屋久島地区、小笠原地区、裏磐梯地区からの情報提供をもとに、議論が展開されました。

知床地区からは、知床ガイド協議会の関口氏から、知床のガイド制度設立への取り組み状況についての紹介がありました。知床はヒグマがいるという環境から、観光客の安全を守るためのヒグマ対策の知識を備えることが必要とされ、また、世界遺産登録後に知床外からガイドが訪れるようになり、地元のガイド同士の連携の必要性が高まってきたという状況にあります。まずは観光協会への所属者をメンバーとするガイド協議会が設置され、地域が推奨できるガイドを知床の目指すガイド像として、制度の検討がすすめられています。

裏磐梯地区からは、裏磐梯ビジターセンターの伊藤氏より、福島県の取り組みとしてすすめられてきた福島県ツーリズムガイド認定制度の紹介がありました。福島県ではうつくしま未来博でのボランティアガイドの活躍より、ガイドのネットワーク化や情報発信の一元化等を目指して、福島県ツーリズムガイド連絡協議会が設立され、その運営上でガイド養成やガイド認定の必要性があげられたことから、平成15年度にガイド養成研修制度とガイド認定制度が制定されました。ガイドの認定を受けるためには、全体研修、地域別研修、分野別研修の3種類の研修を含む福島県ツーリズムガイド養成研修を受講します。地域別研修を確立させること、認定の更新についての対応といった制度運営で生じてきた課題の解決にこれから取り組む必要があるとのことです。

小笠原地区からは、小笠原村産業観光課の今野氏から、小笠原の観光事業者でつくられ、そして守られている利用のルールと、村内で実施されているガイド制度について紹介がありました。小笠原では、事業者間で守られている自主ルールがおよそ10あります。これらのルールを守るしくみづくりを確立することや、事業者だけではなく村民を含めた全村的なルールにすることなどが課題としてあげられました。また、村内には東京都と民間のガイド制度があわせて3つありますが、地元主体の小笠原にふさわしいガイド制度の確立に向けて、ルールを守る者のメリットを含めて村内のエコツーリズム協議会にて検討がすすめられています。

屋久島地区からは、平成17年10月に制定された屋久島ガイド制度について紹介がありました。屋久島は1990年代に入り急激に自然ガイドが増加し、現在はおよそ180名のガイドが屋久島で活躍されているといわれます。そこで、ガイドの自然保護への役割や地元への貢献といった点が問題としてとりあげられるようになり、今年10月に屋久島のガイドとして利用のマナーを徹底することなどを目的として、ガイド登録制度が制定されました。制定にいたるまでの合意形成のプロセスについて披露されましたが、ガイド同士が大いに議論をして当事者で決めたという点が重要です。この制度は登録制度ですが、今後は認定制度の制定を目指して引き続きガイド制度の取り組みが続けられるということです。

ガイド制度については、その目的も考え方によって異なります。各発表者からは、ガイド制度のキーワードとして、「生まれ育った自然を守る」「客への良質なサービス提供」「ガイドが商売として成立する」「みんなが幸せになる」「責任の明確化」といった様々な回答が得られました。

写真・文:(財)日本交通公社

(写真) 分科会(1)

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テーマ2 エコツアープログラムと商品化について

■パネリスト
白神地区:財団法人ブナの里白神公社 藤田賀津彦
湖西地区:高島市企画部企画調整課 森田茂之
富士山北麓地区:富士河口湖町 久保拓夫

■コーディネーター:株式会社ピッキオ 桑田慎也

白神地区の財団法人ブナの里白神公社 藤田加津彦氏と藤里町事業課 小山博氏がそれぞれの町村の立場から実際にモニターツアー実施してみての現状と、そこから見えてきた課題について話題提供がありました。

湖西地区からは高島市企画部企画調整課 森田 茂之氏より、既にいくつか存在していたツアーをエコツーリズムの観点からまとめあげていく過程についてふれられました。

富士山北麓地区 富士河口湖町観光課の久保 拓夫氏からは、行政が直接エコツアーの実施主体となっている背景や行政が渉外活動などを行っている様子を紹介し、行政がやると良い部分、民間に委ねる部分について明確にされました。

写真:萱沼進(山梨県観光部観光資源課)
文:(財)日本交通公社

(写真) 分科会(2)

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テーマ3 地元の推進体制について

■パネリスト
飯田地区:飯田市観光課 小林美智子
南紀・熊野地区(和歌山県):和歌山県環境生活総務課自然環境室 服部克彦
飯能・名栗地区:財団法人日本生態系協会 城戸基秀
佐世保地区:させぼパールシー株式会社 原田誠一郎

■コーディネーター:有限会社資源デザイン研究所 海津ゆりえ

分科会のテーマは「地元の推進体制について」で、コーディネーターは有限会社資源デザイン研究所の海津ゆりえ氏、発表したのは飯田地区、南紀・熊野地区(和歌山)、飯能・地区、富士山北麓地区の4モデル地区でした。

飯田地区からは、地元の組織や研究機関との連携により、それぞれが必要なところは協力しあって自分たちの課題を解決するような仕組みづくり、またそれぞれが活かされる関係をつくっていくのが南信州エコツーリズム推進協議会の役割であるという考えが紹介され、今後は、南信州エコツーリズム推進協議会では「住民主体で自ら創り出していく」「プロセスを大切にしたい」という進むべき方向性が示されました。

南紀熊野地区(和歌山県)からは、和歌山県の現状として、和歌山県全域をフィールドとした体験観光「ほんまもん体験」、南紀地区エコツーリズム推進連絡協議会、ラムサール条約串本会議、宇久井海と森の自然塾運営協議会の取り組みについて紹介がありました。

佐世保地区からは、佐世保地区におけるエコツーリズム推進体制・実施体制と各種計画について報告がありました。佐世保市エコツーリズム推進検討会、佐世保地区エコツーリズム推進協議会、各実施団体・実施者の役割から持続可能な取り組みにするためには、各実施団体・実施者を取りまとめる組織が必要であるとの考えが示されました。

最後に、海津氏が各地区の推進組織や実施部隊など推進体制についてまとめました。飯田地区、南紀・熊野地区(和歌山)、飯能・名栗地区、佐世保地区ではそれぞれ推進協議会が、推進組織の主体となります。また、各地区の実施部隊として、研究委員会やオープンカレッジ、活動市民の会などがあげられました。

写真:加々美宏子(山梨県観光部観光資源課)
文:(財)日本交通公社

(写真) 分科会(3) (写真) 分科会(4)

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テーマ4 人材育成について

■パネリスト
田尻地区:財団法人日本生態系協会 遠藤立
六甲地区:神戸市生活文化観光局観光・国際部観光交流課 境都智司
南紀・熊野地区(三重県):紀南振興プロデューサー 橋川史宏

■コーディネーター:株式会社ピッキオ 桑田慎也

田尻地区からは財団法人日本生態系協会の遠藤 立氏より、「町民皆ガイド」を目指して幅広く呼びかけ、エコツーリズム講座を継続して行い、エコツーリズムの輪を広げている現状を紹介されました。

六甲地区の神戸市生活文化観光局 境 智司氏からはこれまで郊外のレジャー地として発展してきた六甲地区にエコツーリズムの考え方を浸透させるため、「六甲麻耶学」を立ち上げるなど、ガイドに地域の魅力を再認識してもらう工夫について話題提供がありました。

南紀・熊野地区(三重県)からは紀南振興プロデューサーの橋川 史宏氏より、歴史と自然それぞれが豊かな熊野で、観光客にガイドとして与えられるものは何かということを念頭にガイド育成を図っている点が強調されました。

写真:萱沼進(山梨県観光部観光資源課)
文:(財)日本交通公社

(写真) 分科会(5)

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特別講義「エコツアー実施に関わる法規を学ぶ」 講師:三浦雅生弁護士(五木田・三浦法律事務所)

「エコツアー実施に関わる法規を学ぶ」と題された特別講義では、エコツアー事業者の法的責任、エコツアー契約の内容について、ガイドの安全確保配慮義務について、消費者契約法による規制など、エコツアーやエコツアー事業者に関わる項目について学びました。

写真・文:(財)日本交通公社

(写真) 特別講義「エコツアー実施に関わる法規を学ぶ」
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