「緑の経済と社会の変革」について

環境省緑の経済と社会の変革>斉藤環境大臣と有識者の意見交換(第 3回)概要

斉藤環境大臣と有識者の意見交換(第3回)概要

1.日時 :

平成21年2月19日(木) 7:00〜8:30

2.場所 :

ルポール麹町3階アメジスト

3.出席者

木原敬介
大阪府堺市長(環境モデル都市(大都市))
森 雅志
富山県富山市長(環境モデル都市(地方中心都市))
安斎 保
北海道下川町長(環境モデル都市(小規模市町村))
中越武義
高知県檮原町長(環境モデル都市(小規模市町村))
斉藤鉄夫
環境大臣
伊藤秀継
秘書官
大熊一寛
秘書官事務取扱
西尾哲茂
環境事務次官
南川秀樹
大臣官房長
小林 光
総合政策局長
寺田達志
地球環境局長
鈴木正規
大臣官房審議官
後藤真一
大臣官房会計課長
紀村英俊
大臣官房政策評価広報課長

4.意見交換の概要

(1)斉藤環境大臣から、「緑の経済と社会の変革」(日本版グリーンニューディール)の検討開始の経緯、今般の意見交換の実施の趣旨等について説明した。

(2)木原敬介堺市長、森雅志富山市長、安斎保下川町長、中越武義檮原町長から、それぞれ意見が述べられた後、意見交換がなされた。

【配布資料】

資料1
「堺市におけるグリーン・ニューディール関連の取り組みについて」及び「堺市環境モデル都市行動計画」 [PDF 771KB]
資料2
“COMPACT CITY TOYAMA” [PDF 1,982KB]
資料3
「環境モデル都市」下川 〜世界へJUMP SHIMOKAWA〜 [PDF 1,345KB]
資料4
「環境モデル都市の取組(梼原町)」 [PDF 548KB]

(3)木原市長からは、概ね以下の趣旨の意見が述べられた。(詳細は資料1を参照)

  • ○堺市は、古代の仁徳天皇稜や千利休や与謝野晶子を始めとする文化の町であり、中世には貿易都市として、古代から現代まで1,500年生き続いてきた。昭和に入って臨海工業地帯となり、一時は公害都市と言われ、ピーク時は大気汚染が深刻だった。今は、環境というキーワードで街を作り直すというコンセプトで取り組んでいる。
  • ○グリーン・ニューディールの雇用・需要を創出するという視点について言えば、一つ目は堺の環境都市戦略は、低炭素にして産業構造を転換・改革(イノベーション)するという視点である。二つ目は自動車交通をはじめとしたエネルギー問題について、堺の都市の構造を大阪の都市の衛星都市としてではなく、オリジナルの都市構造にしたい。三つ目は、環境文化創造イノベーションの視点である。堺は、ため池、水辺が多く、田んぼ、丘陵地、緑を活かして堺の街を変えていくコンセプトである。
  • ○以上の3つの中で最も大切なのは産業構造の転換であり、21世紀型コンビナートを立地させる。環境にやさしい、低炭素型イノベーションというだけではなく、生産過程全体が最も効率的であるというモデルを作り出したい。
  • ○産業の成長にも資すると同時に低炭素型で環境型が成り立つモデルを考えている。平成19年夏にシャープが21世紀型コンビナートを建設すると決定した。太陽光発電、液晶テレビ、印刷、フィルター関連など、関連会社18社が入っている。さらに、産廃埋め立て跡地280ヘクタールに20ヘクタールの太陽光発電所(10MW)の施設もできる。コンビナートの中は、工場の屋根は全て太陽電池パネル、中を走る車は低炭素型(電気自動車やハイブリッド車)を計画している。工場自体が発電所になるようにしている。21世紀の環境のモデルにもなるし、最も効率的でもある。垂直統合型という、すべての企業が一体となって生産するということである。産業構造の転換によって環境都市を作ろうとしている。
  • ○(住宅用太陽電池の)予算については、国からは1kWにつき7万円の補助をいただくことになっており、市からも別途同額を予算化する。今年から約1千戸、5年で1万戸、2030年10万戸を目指している。いかに国の支援をいただいてシステム化できるかが課題である。住宅産業と連携をしながら太陽光発電を普及させていきたい。環境都市推進協議会の設置を産業界、官、そして市民で進めている。また、公共施設への太陽光の導入も考えている。
  • ○都市構造に関しては、街の構造として環境にやさしい構造を作ることを目指している。現在は鉄道が縦方向の構造になっているので、横方向やネットワーク上につなげたい。LRTについては新線での整備を計画しており、市民の合意を得て進めていきたい。
  • ○また、堺は自転車の街と言われており、自転車道の整備も進めている。企業や市民、観光案内所やコンビニとのネットワークを使ってコミュニティサイクルを始めたい。
  • ○さらに、堺市の近くには狭山という池があり、その水を使って農耕していた歴史があった。土居川や環豪についても狭山池の水のシステムを使って、水と緑の街に転換したい。同時に地産地消、かつ生産量も上げられるシステムを農協と協力して進めたい。
  • ○なお、次の予算に関しては、雇用創出と様々な事業を結びつけ、グリーンのみの意味ではないが、思い切って予算をとった。雇用創出については、3年間で1万人の創出を考えている。その中心は環境に関する雇用である。もう少し思い切ったことをしたいが、国の予算の関係がある。
  • ○日本は太陽光発電では最先端であったが、ドイツに追い越された。単に設置の補助金を出すだけでなく、固定価格買い取り制度をつくらないと普及していかない。堺市でも10万世帯を目標にし、グリーン証書システムも考えているが、買い取り制度がないと、償却に30年かかるようでは難しい。思い切って買い取り制度を実施すべきと考える。

(4)森市長からは、概ね以下の趣旨の意見が述べられた。(詳細は資料2を参照)

  • ○昨年の7月に環境モデル都市に認定されたが、この認定はCO2の排出量の成績が良いためではなく、90年比では29%増えている。その原因は、極端な車への依存である。1990年と2003年を比較すると、普通乗用車登録台数は42%、軽自動車に至っては5.5倍に増えている。高齢化の進展もあり、今のような都市構造では暮らしにくくなってしまう。都心部の魅力を高め、交通の便の良いところへ誘導することにより、将来的に車に頼らなくても施設が使えるような都市構造に積極的に取り組んでいる。
  • ○富山では私鉄もバスも含めて、全ての公共交通網が富山駅に結節し、市電も残っている。横の軸は弱いが結節線が非常に強い。この質を高めてゆき、車に頼らなければならない世代の人々が駅周辺に住むよう、時間をかけて誘導していこうとしている。
  • ○その第1弾が富山港線のLRT化。例えば、1時間に1本の運航から15分に1本の間隔にすると、利用者が戻ってくるということがわかった。経営も3年連続黒字決算である。更に、JR西日本の高山本線について市が費用を持って24本の増発をし、30分に1本走らせている。年間1億5千万負担しているが、20年には19年度として1,650万返ってきた。そのため、市民の皆さんには、乗れば乗るほど市の負担は安くなると言っている。現在のところ6%増加しており、新駅も設置した。
  • ○また、市中心部の市電を900m延伸しようと現在工事中であり、今年度中に完成させたい。都心を中心に路面電車のサークルができ、車両が巡回し、そこへ郊外から入り込むというネットワークを考えている。オレゴン州ポートランドでは、中心部の環状線(トラム)は無料であり、そこへ入ってくる時に有料となる。都市中心部の商業者が費用を負担している。富山では商業者の費用負担は難しいが、市電は200円だが環状線は100円で運行できないかと事業者と協議をしている。
  • ○他にも、人口の郊外への流れを止めるために、例えば新たに住宅を求める際に駅から500m以内に建てる際に、住宅ローンの金利分として30万円、50万円を補助するなどを考えている。また、質のいい住宅を建設した場合は、一戸100万円を出して市が買い取り、市営住宅にすることも始めている。今までは、市営住宅は安い土地を求めて郊外に広がって建設していた。そのような市民が車に頼らなければならなくなってきているため、高齢者賃貸住宅やケアハウスの事業者が建設するときは、駅まで歩いて行ける距離に建設していただき、その場合には積極的に補助をするような施策を展開している。
  • ○さらに、堺市が取り組もうとされているが、ヨーロッパのように都心部におけるICタグを使った自転車システムも是非実現したく、事業者と具体的な協議をしている。いずれにしても、質の良い公共交通を提供すれば人は戻っていると考えている。ICカードの複数路線での供用も考えている。
  • ○富山市は3,000m級の山から海岸線まで45kmしかないところを水が流れ落ちている。北陸電力や関西電力は富山県内でかなりの量の水力発電をしており、産業界を挙げて意識は高い。さらに、小水力発電も積極的に進めていきたい。土地改良区に遊休落差を利用した小水力発電を導入し、売電によって維持管理をする発想は非常に大事だとは思っているが難しい。富山県はあちこちに遊休落差があり、将来の資源である。
  • ○また森林も多いが、急傾斜に植えてあるので、ここへ雇用創出の観点からも人を入れて、維持管理することも大事である。今後ペレットの製造にも積極的に取り組んでいきたい。

(5)安斎町長からは、概ね以下の趣旨の意見が述べられた。(詳細は資料3を参照)

  • ○下川町の人口は3,800人、面積は東京23区と同じくらいである。森林の町であり、林業で成り立っている。55年前に国有林を取得し、その後国有林の買い受けも行い、現在約4,500haの町有林がある。
  • ○下川町は、50ha×60年サイクルという循環型森林経営を目指している。これは環境にやさしい林業経営である。伐採、植林、育林を繰り返すことによって、少なくとも20〜30人の年間雇用が発生すると計算している。地域経済への波及効果や、地元の製材業者にも一定の原木を供給できるということで、力を与えたいと考えている。現在3,000人の町で、割り箸、集成材、製材など、6つの工場がある。また、現在森林組合では70名が所属しているが、まだ10名程度が登録待ちである。森林はわが町の基幹産業である。
  • ○森林作りには林道が非常に大事である。どんなに良い木を作っても、良い林道がなければ意味がないため、現在整備している。
  • ○環境に配慮した街づくりとして、平成16年から木質バイオマスによる熱供給を町の温泉、老人ホーム、農業ハウスなど公共施設へ導入している。温泉だけでも平成17年では300万円もの利益を上げ、3年間で900tのCO2削減が出来ている。これからもこのようなものを進めていきたい。
  • ○グリーン・ニューディールへの期待は、やはり林業に関することとして、森林の整備と拡充を促進する施策をお願いしたい。それは農水省の管轄なのかもしれないが、林業は単なる木材の生産だけではなく、現在は「環境」という大きな責任を負っているため、森林に関する政策をお願いしたい。また、下川町では国有林が多く、国有林には手が届かないため、是非、官民が一体となって林業経営できるような施策をお願いしたい。
  • ○現在、バイオマス資源の造成として早生樹であるヤナギを植え、成長したものを買い取ってバイオマスに利用している。刈ったものを乾燥させて、チップやペレットの原料にして利用できる。現在の森林の状況では、どんどんエネルギーにした方が良いのかもしれないということで、早生樹のヤナギを植えており、また同時に遊休地を利用することにもなる。
  • ○このような資源を一括で管理・運営する方法を検討している。資源ストック・加工・生産施設として、木質原料製造保管・生産施設整備をお願いしているところである。将来はここでバイオコークスやペレットの製造を考えており、道北地域への木質バイオマス供給基地にしたいと考えている。北海道は全国平均比1.3倍のCO2排出量があり、その理由は車や長期間の暖房が原因であると考えられる。このことからも、木質のエネルギーを有効に活用することが削減に結びつくのではないかと考えている。
  • ○今後はさらに、地域暖房、老人施設、農業ハウスなどにも木質バイオマスを導入したいと考えている。また、エコ住宅・ゼロカーボン住宅についても検討しており、町民のグループもある。その取り組みの一つとして、町民に対してリフォームをすると補助金を出している。大変好評であり、20〜30%とかなりのCO2削減効果がある。他にもカーボン備蓄事業としては、バイオコークスや木炭、ペレットなどを研究している。木炭は水を浄化する機能もあるため、災害対策にもなる。
  • ○以上の取組により、環境については3点セットで、森林整備をして吸収源の整備、木質バイオマスの利用拡大による排出削減、住宅等木製品の活用拡大によりCO2の固定を図ることに取り組みたい。

(6)中越町長からは、概ね以下の趣旨の意見が述べられた。(詳細は資料4を参照)

  • ○檮原町は、清流四万十川の源流域の町である。また、坂本竜馬が脱藩した土地である。91%が山で、農用地は非常に少ない。一戸当たりにしても、0.4haほどであり、ほとんどが山で生活をしている。
  • ○地域づくりの基本は、環境、健康、教育を柱としており、先人の知恵を生かしながら将来につなげたいという強い思いがある。特に山を活用して子どもたちの健全な育成に目を向けている。また、平成9年に森林セラピー基地の指定も受けている。一般の悩める人の回復のためにも山の活用を図っている。
  • ○今回の環境モデル都市の認定の大きな要素は、産学官民の共同で木質ペレットを製造して、地域の経済循環に活かす取り組みが認められたことである。昨年の4月から稼動し、年間の最高生産量は1,800tである。量は少ないが、利用用途としては、子どもたちの教育を大切にしたいので、中学校の寮に木質ペレットの空調を導入した。さらに福祉施設にも導入した。3月までに温泉設備にも導入する予定である。また、県も牧野植物園の温室に空調導入を考えており、予算も認められているようである。このように、県全体として山の資源を活用して地域に活かすということを考えている。
  • ○平成11年に風力発電を県境に設置した。全国でも最も風況の良い地域だと言われている。北海道の苫前町にも匹敵するような風況である。30mで年間一律の平均風速は7.2〜7.3であると言われている。風力発電設置により得られた利益を地域の資源に戻そうと考えている。山の荒廃を回復させたり、太陽光発電を各家庭に設置するなど、売電収益を環境基金として積み立てている。太陽光発電の場合、1kWあたり20万円の助成をしており、一戸あたり4kWのため、80万の助成をしている。四国の中で一番太陽光発電が設置されている町ではないかと思われる。一方、公共施設にもすべて太陽光発電を設置している。太陽光と風力により、現在のエネルギー自給率は28.6%である。さらに、53kWの小水力に取り組んでおり、地域の夜間の照明は全て小水力でおこなおうとしている。
  • ○町としては風力発電をもう少し設置し、その資源を地域の活力に活かそうと考えているが、もともと取り組んでいた太陽光発電については、今回の補正予算で、新たに建設する地域ふれあいセンターに設置する予定である。地域の建物にはすべて太陽光発電が設置させているので、地域の方々には「思い」のようなものを持っていただきたい。
  • ○心配なのは環境だけでは地域の経済は成り立たないことであり、地域の経済循環をどのように守るかについては、山の資源や現在ある資源を有効に活用することであり、そのためには財政的支援がないとなかなかできない。自分たちでできることを一所懸命に取り組み、それ以外では行政からの支援が重要である。今回、二次補正予算で大きな金額を投入されるとのことであるが、山の資源を活かすためにはある程度林道を整備しないと活かすことはできない。そこへ予算を投入していただきたい。そしてその山の資源の中で使えるものは財・公共財として、使えないものは木質ペレットとして利用することで、森林資源を活かすという循環が図られ、地域経済に大きな影響を及ぼすことになる。このような取り組みが山間地域には必要である。
  • ○今後のことを考えると、子どもたちを健全に育てるために山の資源を活かすということであり、資源を使って地域経済を循環させることである。さらに、低炭素社会を構築して社会に貢献できるような、モデルになるような取組をしたい。

以上

*この概要は、事務局の責任で作成したものであり、今後変更の可能性があります。