「緑の経済と社会の変革」について

環境省緑の経済と社会の変革>斉藤環境大臣と有識者の意見交換(第2回)概要

斉藤環境大臣と有識者の意見交換(第2回)概要

1.日時 :

平成21年1月27日(火) 7:00〜8:00

2.場所 :

ルポール麹町3階オパール

3.出席者

伊藤元重
東京大学大学院経済学研究科教授
吉川 洋
東京大学大学院経済学研究科教授
斉藤鉄夫
環境大臣
伊藤秀継
秘書官
大熊一寛
秘書官事務取扱
南川秀樹
大臣官房長
小林 光
総合政策局長
鈴木正規
大臣官房審議官
後藤真一
大臣官房会計課長
紀村英俊
大臣官房政策評価広報課長

4.意見交換の概要

(1)斉藤環境大臣から、「緑の経済と社会の変革」(日本版グリーンニューディール)の検討開始の経緯、今般の意見交換の実施の趣旨等について説明した。

(2)吉川洋教授、伊藤元重教授から、それぞれ意見が述べられた後、意見交換がなされた。

(3)吉川洋教授からは、概ね以下の趣旨の意見が述べられた。

 詳しくは「構造改革と日本経済」(岩波書店)、特にその154ページ以降に記述しているが、その他も含めて3点お話する。

[1] 経済成長と環境は、しばしばトレードオフ、対立するものと言われるが、必ずしもそうではない。経済成長は、常に新しい物やサービス、新しいセクターが登場して、新しい需要が引っ張っていくというのが、私の基本的な考え方。21世紀初頭の今の日本の経済からすると、環境、医療、介護は、成長セクターと考える。
 一番わかりやすい例は、1970年代のオイルショック、資源制約が問題となったローマクラブの報告も背景にして、アメリカでマスキー法という厳しい自動車排出ガスの規制法ができた。それは当初は日本の自動車産業等にとって大変なチャレンジ、制約と受け取られたが、こうしたチャレンジがあったからこそ、現在世界をリードする日本の自動車産業がある。環境問題はチャレンジであっても、長期的に見ればチャンスである。

[2] アメリカのオバマ政権が誕生して国際的な環境が変わる中で、ポスト京都の あり方、CO2のエミッション等についても、我が国として新たな国際環境を踏まえて考え直さなければならない。国際環境が変わる中で日本も前向きに対応する必要がある。

[3] 一例として、昨秋に東大が作成した環境報告書を配布したが、日本中、国公私立あらゆる大学が環境について、技術開発、大学キャンパスでの環境負荷削減の取組など、あらゆる取組をしている。東大でも電力使用量削減のために電球、冷蔵庫を買い換えた。
 環境省の方で3月に向けてパブリックオピニオンを募集しているが、それとは別に大学というものをターゲットにして呼びかけてみてはどうか。全国の大学で、どういう技術開発に取り組んでいるのか、また若くて元気な学生諸君に呼びかける形で、大学及び学生にグリーンニューディールを訴えかけてみてはどうか。

(4)伊藤元重教授からは、概ね以下の趣旨の意見が述べられた。

 日本がおかれているもっと大きな経済全体の問題の中で考えたときに、地球環境、資源エネルギーの問題について、どのような視点があるかをお話しする。

[1] いま非常に景気が悪化している中で、各国がニューディールないしグリーン ニューディールと言われる政策を進めようとしているが、日本に関してもそれができないだろうか。
 経済学の立場からは、市場的手法の導入が不可欠。財政問題があって非常厳しいが、景気牽引政策として、例えば将来の消費税の引き上げを担保として、それ全体を前出しして使う形で景気対策をやるという形で、消費税の駆け込み需要と景気対策と両方でこれから厳しい面を乗り切って行くという考え方はあり得る。

[2] スターンレビューにあるように、地球温暖化問題、特に温室効果ガス排出抑制は先に延ばせば延ばすほど社会的負担は大きくなる。科学的にはできるだけ早く然るべき温室効果ガス排出抑制をやることが重要であるということになると、いかに投資を前倒しするかという視点でも、今は重要なタイミング。

[3] 国際的な政治の動きが変わってきている。特にオバマ政権が誕生する中で、アメリカがかなり大きく舵を取り始め、こういう中で日本もしっかりした対応を取らないと遅れを取る可能性があるという意味で、そういう国際的な流れをしっかりとふまえて考える時期に来ているのではないか。

[4] 日本の今回の金融危機の大きな背景のひとつは、結局アメリカ以外の、特に 日本やヨーロッパの少子高齢化が進んでいる国で国内の需要を作れてこなかったということが深く関わってきている。今後輸出依存で経済を維持することが難しいとすると、どうしたら国内で需要を作れるかということが非常に重要なポイントになってくる。
 それはもう少し長期の話しで言えば、結局21世紀前半の日本を支えるリーディングインダストリーは何か、という問題。設備を投入し、技術を獲得し、投資をし、物をたくさん作って輸出していくというのが20世紀後半のリーディングインダストリーであるとすると、21世紀は例えば環境、健康、食料、そういうところで高度技術を使いながらその仕組みを進め、そしてそこに付加価値をつけていく、つまり環境対応というのは、マイナスのコストというだけでなく、日本として非常に重要な産業になる可能性があり、そういう視点からもう一度環境や資源、水等の問題を考えていく必要がある。

[5] 3点目と関係するが、日本における日本の中の日本のための政策とは考えないで、資源、エネルギー、環境分野でアジアとの連携にむけて裾野を広げていくグローバルな視点をもっと全面に出していくべきではないか。

以上

*この概要は、事務局の責任で作成したものであり、今後変更の可能性があります。