課題名

D-4 サンゴ礁生態系の維持機構の解明とその保全に関する研究

課題代表者名

梅沢 敏(水産庁西海区水産研究所資源増殖部藻類・介類増殖研究室)

研究期間

平成6−8年度

合計予算額

119,7568年度 46,813)千円

研究体制

(1) 飼育系による環境ストレスがサンゴに及ぼす影響の解明

 ゞ生褐虫藻の生育に及ぼす影響(水産庁養殖研究所)

 ▲汽鵐潅遒寮育に及ぼす影響(委託:琉球大学)

(2) サンゴ礁生態系に及ぼす環境ストレスの影響の解明

 .汽鵐干萓測定法の開発と評価(水産庁西海区水産研究所)

 ▲汽鵐款未砲ける栄養環境とその影響(水産庁中央水産研究所)

 セディメンテーション等の環境変動がサンゴ礁に与える影響(水産庁南西海区水産研究所)

 ぅ汽鵐款明限峽老鯀甘拈己指標の開発(委託:海中公園センター)

 ノΠ茲療效詫用がサンゴ礁に与える影響(委託:海中公園センター)

(3) サンゴ礁変質のモニタリング手法の開発に関する研究

 /綯羃菫アーカイビングによるサンゴ礁変質のモニタリング手法の開発

(環境庁国立環境研究所)

 衛星画像によるサンゴ礁変質のモニタリング手法の開発(水産庁中央水産研究所)

 カラー空中写真の画像解析によるサンゴ礁の生態系総合モニタリング調査手法の開発

(委託:海中公園センター)

 

研究概要

 海洋汚染や環境変動がサンゴ礁に与える影響を把握するため、水温、塩分、濁度、栄養塩等の環境モニタリングを行うとともに、サンゴの成育状況をフィールド調査、光学的手法、衛星画像及び空中写真により解析する。また、サンゴ虫及び共生褐虫藻の飼育系により、各種環境ストレスを与えたときに起こる活性低下過程を解析する。これらのことから、海洋汚染等の環境ストレスに対するサンゴ礁生態系の応答を明らかにし、その保全方法を検討する。

 

研究成果

1.サンゴ共生藻の単離株を用い、各種条件で培養した結果、光強度の低下は36μE/m2/s光合成活性や増殖速度に阻害的な影響がみられた。水温については32℃で増殖速度は最大であったが、光合成活性は28℃以上で阻害的な影響がみられた。水温や光条件が適当であれば、塩分20でも増殖速度や光合成活性に影響はなかった。サンゴに高温及び強光ストレスを与えると変性した共生藻を選択的に排出したが、ストレスの種類により変性過程が異なることが示された。

 

2.サンゴの核酸はClemmesenの方法で抽出でき、核酸比(RNA/DNA)はサンゴの栄養状態の指標として適当であった。遮光下でサンゴを飼育すると、4日目から核酸比、共生藻数等が有意に低下した。サンゴの成育状況は栄養塩が増えるとともに悪化し、サンゴが保全される水質の目安はアンモニアと硝酸・亜硝酸で10°μM、リン酸で101μMと推察された。石垣島浦底湾では岸寄りから沖合に向かい濁度、透明度などの環境条件が良好になり、それにともないサンゴの種数、群体数、被度とも増加した。岸寄りではオニヒトデによる食害後、サンゴ群集の回復が困難であることが示唆された。生存サンゴの被度と魚類の種数、個体数とは正の相関をもち、特にサンゴ食魚に顕著であった。サンゴ礁生態系の健全度の指標生物として、普通種であるミスジチョウチョウウオが有効である。沖縄本島瀬底島ではサンゴ群集の被度の減少が顕著で、オニヒトデの食害が一番の原因であった。これは陸域の開発がオニヒトデの出現を促進する可能性が示唆された。

 

3.サンゴ礁の長期的変動を解析するため、生態系構成要素の分布状況とその成長・変質等を客観記述し、水中画像を系統的にアーカイブする手法を確立した。このような手法はサンゴ礁の変質を解析し、環境管理を行うために有効である。サンゴ礁の広域的なモニタリングにはLANDSATTM画像が適しており、適当な2つのバンドの比を求めることにより赤土流出をとらえた。また、バンドの比の比を採ることによりさらに精度を上げうるが、現場観測による補正が重要となる。カラー空中写真をRGB解析し、その濃度値と現場でのサンゴの被度とを比較した結果、RGB濃度値の関係によりサンゴ被度判定の可能性が示唆された。