課題名

F-2 熱帯アジア地域における湿地の生物多様性保全に関する研究

課題代表者名

環境庁自然保護局(野生生物課)

研究期間

平成4−6年度

合計予算額

83,461千円(6年度 44,902千円)

研究体制

(1) 湿地の生物多様性保全に関する研究(財団法人自然環境研究センター)

(2) 人工衛星データ等利用による湿地環境の調査手法に関する研究(環境庁国立環境研究所)

 

研究概要

(1)湿地の生物多様性保全に関する研究

 熱帯アジアの湿地の生物の多様性を解析し、人間活動との相互関係を把握して湿地の保全方策と利用の指針の作成資料とするため、マレー半島北西部のマタンマングローブ地域を調査対象地とした。また、マングローブ林の伐採とベントス相、栄養塩類の関連については西表島のマングローブ林を比較対象地とし、以下のような方法で研究を行った。

 .泪鵐哀蹇璽嵶咾両況による湿地依存種の多様性の差異を把握するため、マタン地域にて動物相やその密度の調査を行った。そのうちベントス相については西表島を比較対象地とした。

 ▲泪織鹵楼茲梁論冓の層相や珪藻化石の特徴から環境変化を考察した。

 H穏里砲茲襯戰鵐肇港蠅髪浜椡類の流出状況の関連把握を目的として、マタン地域と西表島において物理化学的測定を行った。

 ぅ泪鵐哀蹇璽嵶啼發籠眇緻未砲ける生物の生態的地位や物質循環を明らかにするため安定同位体分析を行った。

 ゼ消呂離皀縫織螢鵐絢衙,粒発を目的として、採集した貝殻の成長線の分析を行った。

 上記の調査結果を受けて、湿地の保全対策の検討を試みた。

(2)人工衛星データ等利用による湿地環境の調査手法に関する研究

 〜患絣特呂ら選択された代表的な湿地における植生分布等の環境特性を調査するため、アジア・太平洋地域の代表的な湿地において、人工衛星画像データ約600シーンを検索、収集し、マタン地域など個別湿地の植生分布、土壌分布等環境特性を計測する手法について検討した。

 ∧数のセンサー、データを複合利用するセンサーフュージョン手法と、高分解能の局所レベル情報と低分解能の広域センサーデータの併用によるスケーリング手法について検討した。

 

研究成果

(1)湿地の生物多様性保全に関する研究

 .泪鵐哀蹇璽屬貌値のベントスをはじめ、29種の哺乳類、161種の鳥類、89種の魚類をマタン地域で確認した。伐採地周辺ではそれらの生息種数や密度は減少傾向にあった。マタン地域と西表島で確認したベントス相は、種数に大差はないが共通種はわずかであった。

 ▲泪織鹵楼茲任蓮堆積層ごとに特徴的な珪藻の分布が見られ、マングローブ堆積物の平均的な厚さは2.8mであった。

 マングローブ林内と河川のNH3-NNO3-Nの交換があることを確認した。伐採地周辺の栄養分の流出は残存林より大量であることが明らかになった。

 の啼發瞭以は森林生態系に、前浜干潟の動物は内水面生態系に依存することが明らかになった。

 ゥ魯ぅイの約50%が当歳貝、残りが1年貝であることが明らかになった。雨季に障害輪が認められ気象状況が貝殻成長に影響を及ぼしていることが示唆された。

 θ穏里湿地依存種の生息環境に様々な影響をもたらしているという調査結果をもとに、伐採地の配分方法や保護地域指定など湿地保全対策の検討を行なった。

(2)人工衛星データ等利用による湿地環境の調査手法に関する研究

 .泪織鹵楼菘の個別湿地では、検索収集した人工衛星画像データと現地調査のデータを併用して、植生分類図等の環境特性分布図を作成した。

 ▲札鵐機璽侫紂璽献腑鵑蓮地表面の植生、土壌、水が組合わさった複合的な状況を把握する上で有効な手法で、スケーリング手法は地域レベルの環境情報と地球レベルの環境情報をつなぐ上で有効な手法で、全球湿地モニタリングプロジェクトの有効な観測手段になると考えられた。