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[キーワード]グローバル化、個体群構造、マイクロサテライト、分子タイピング技術、有害・有毒プランクトン

[RF-066 個体群分子タイピングによる有毒微細藻類の人為的グローバル化の実体解明手法の開発]

(1)有毒微細藻類の個体群分子タイピング技術の開発に関する研究[PDF](2,323KB)

  独立行政法人水産総合研究センタ-瀬戸内海区水産研究所
  赤潮環境部有毒プランクトン研究室


長井 敏・西谷 豪

  独立行政法人水産総合研究センタ-瀬戸内海区水産研究所
  赤潮環境部赤潮生物研究室


坂本節子

<研究協力者>

  東京大学アジア生物資源環境研究センター

練 春蘭

  高知大学農学部

山口晴生

  (独)水産総合研究センタ-瀬戸内海区水産研究所

神山孝史

  静岡県水産技術研究所

松浦玲子

  三重県科学技術振興センター

畑 直亜

  香川県赤潮研究所

吉松定昭・大山憲一

  大分県水産試験場

久留浩一郎・宮村和良

  National Fisheries Research and
  Development Institute in Philippines


E.F. Furio, U.M. Montojo

  [平成18~19年度合計予算額] 13,457千円(うち、平成19年度予算額 5,959千円)

[要旨]

  有毒微細藻類の個体群分子タイピング技術の開発に関する研究ということで、2006-2007年の2年間にわたり、6種類の有害・有毒微細藻類の分子タイピング技術の開発に取り組んだ。個体群分子タイピング技術の骨子となる高度多型分子マーカーの開発において、個体ごとに高度の多型性を示すマイクロサテライトマーカー(以下MSマーカー)の開発を実施した。このうちChattonella ovataとHeterocapsa circularisquamaの2種については、それぞれ12および15個のMSマーカーを開発し、個体識別が可能な分子タイピング技術の開発に成功した。いずれの種のMSマーカーも良好なPCR増幅が確認され、また、個体群構造を解析するために十分な多型性が得られた。このうち、H. circularisquamaについては、地方集団の間に有意な集団分化が見られ、また、人為的な要因によると思われる個体群の移送過程の存在が示唆された。さらに、特筆すべき事項として、プランクトン有史以来、培養が不可能と考えられていた下痢性貝毒原因種であるDinophysis属の2種(D. acuminataとD. fortii)が培養可能となり、それぞれ多数の培養株を確立することに成功した。特にD. fortiiについては、現時点で世界初の快挙であり、今後、これまで不明であった増殖生態、特に毒生産生理などの研究が進むことにより、世界的に注目される研究になると予想される。D. acuminataおよびGymnodinium catenatumの2種についても、2~3個の多型を有するMSマーカーの開発に成功した。開発したマーカーは少ないが、これらのマーカーを用いた解析により、有意な集団分化を示したことから、今後、MSマーカーの数を増やすことにより、個体群分子タイピングが可能となると期待できる。今後、さらに多くの海域から培養株を分離し、個体群分子タイピング技術の開発に全力を注ぐとともに、各種の遺伝子型のデータベース化や個体群構造の解明に務めたい。