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[キーワード]]硝酸、三酸素同位体組成、亜酸化窒素、沈着、大気

[RF−065 同位体組成を指標に用いた硝酸の高精度起源推定法開発]

(1)同位体組成を指標に用いた硝酸の高精度起源推定法開発[PDF](1,782KB)

  北海道大学大学院理学研究院

角皆 潤

  北海道大学大学院理学研究院

中川書子

  北海道大学大学院理学研究院

笹川基樹(平成18年度のみ)

  [平成18〜19年度合計予算額] 19,304千円(うち、平成19年度予算額 9,307千円)

[要旨]

  本研究ではNOxに由来するNO3-(NO3-atm)だけが自然発生源で唯一0以外の値を示し、かつ水環境下で起こる一般の反応過程おいて値が変化しないNO3-分子中の酸素原子の三酸素同位体組成Δ17O (=δ17O −0.52×δ18O)のトレーサーとしての活用に着目し、@NO3-のΔ17O値定量法の開発、A陸水・海水試料中のNO3-のΔ17O値の実測、B試料中のNO3-に占めるNO3-atm混合比の定量、CΔ17O指標の有用性や信頼性の検証、を行った。本研究の結果、δ15N値およびδ18O値については4 nmol以上、Δ17O値については20 nmol以上のNO3-量で、高精度定量(δ15N/δ18O/Δ17Oが±0.12/±0.25/±0.20 ‰)が可能となり、また海水試料も同じ精度で定量可能となった。さらにNO2-や有機体窒素、二酸化炭素の同位体組成定量法も開発した。開発した定量法を用いて札幌市内で採取された降水中のNO3-のΔ17O値の時間変化を定量したところ、平均値がΔ17O = +24.8 ± 2.8 ‰であること、夏期に低く冬季に高い季節変動をしていること、この季節変動はNOxからNO3-が生成する際の光化学反応過程の季節変動を反映していること、アラスカの降水との比較から緯度による変化はほとんど無いことを確認した。また各種陸水・海水試料のΔ17O値分析を通して、@摩周湖湖水のNO3-atm混合比は10 %程度で湖内および周辺域での活発な再生が進行中であり、浅層では同化、深層では沈降する有機体窒素から再生したNO3-(NO3-re)の付加が進行していること、A利尻島の陸上湧水中のNO3-atm混合比も10 %程度で、湧水中のNO3-濃度の大小は主にNO3-re寄与量の大小が決めていること、B海洋深層水のNO3-atm混合比がほぼゼロでほぼ全てが海洋内部における有機体窒素の再生に由来すること、C表層水は一般の亜寒帯外洋で4 %程度、亜寒帯湧昇域で1-2 %程度の小さいながらも有意なNO3-atm混合比を普遍的に示すこと、D石垣島の沿岸水や夏期の東京湾表面水ではNO3-atm混合比は増大し一部では30 %に達すること、EΔ17O値から得られたNO3-atm混合比は、同じ海域の新生産量とN沈着フラックスから求めたNO3-atm混合比とよく一致すること、を発見した。