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[キーワード]硝酸、三酸素同位体組成、亜酸化窒素、沈着、大気残留性有機汚染物質、臭素系難燃剤、ポリ臭素化ジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、野生動物

[RF−064 アジア−太平洋地域におけるPOPs候補物質の汚染実態解明と新規モニタリング法の開発]

(1)有機ハロゲン化合物による汚染実態の解明に関する研究[PDF](933KB)

  愛媛大学沿岸環境科学研究センター

高橋 真・国末達也・磯部友彦

  [平成18〜19年度合計予算額] 11,306千円(うち、平成19年度予算額 5,308千円)

[要旨]

  残留性有機汚染物質(POPs)の候補物質として注目されている臭素系難燃剤のポリ臭素化ジフェニルエーテル類(PBDEs)およびヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)を対象に、ガスクロマトグラフ-質量分析器(GC-MS)および液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析器(LC-MS/MS)を用いた分析法を確立した。また、臭素系難燃剤による汚染の実態を把握するため、アジア各国で採取した二枚貝(イガイ)やヒトの母乳、日本の陸上・沿岸や北太平洋外洋域に生息する野生高等動物を対象とした調査研究を実施した。化学分析の結果、ほぼ全ての検体からPBDEsやHBCDsが検出され、アジア−太平洋地域におけるその汚染の広がりが明らかとなった。イガイ中のPBDEs濃度は香港や韓国沿岸などで相対的に高く、経済成長の著しい東アジアの新興工業経済地域における汚染の顕在化が明らかとなった。中国や韓国沿岸のイガイ、アジア各国から採取した母乳、日本周辺および北太平洋外洋域に生息する鯨類や鳥類におけるPBDEsの残留濃度は、欧州諸国と同等のレベルに達していることが確認された。なかでも日本の猛禽類や中国南部のスナメリからは欧米の汚染地域に匹敵する濃度のPBDEsが検出され、地域や生物種による汚染レベルや蓄積特性の違いが明らかとなった。また、生態系におけるPBDEsの分布は、水圏の食物連鎖系を中心に汚染が認められるPCBsに比べ、陸域生態系における汚染が顕著であった。一方、HBCDsはカワウや外洋性鯨類の一部にPBDEsを上回る濃度で蓄積しており、水圏環境や外洋域への汚染拡大が示唆された。さらに臭素系難燃剤による汚染の経時的推移について検討したところ、三陸沖のキタオットセイや日本沿岸に座礁したカズハゴンドウ、中国南部で混獲されたスナメリ東京湾の柱状堆積物の全てにおいて、臭素系難燃剤による近年の汚染の進行が示唆され、とくに日本沿岸ではHBCDs、中国南部ではPBDEsによる汚染レベルが近年顕著に上昇していることが明らかとなった。