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[キーワード]ライトレール、導入効果、利用者意向、交通行動、まちづくり

[H-051 環境負荷低減に向けた公共交通を主体としたパッケージ型交通施策に関する提言]

(2)環境負荷低減に向けたパッケージ型交通施策に関する研究

  8)ライトレールの導入効果に対する利用者意向に関する研究-富山市を対象として-[PDF](390KB)

  神戸大学大学院海事科学研究科

小谷 通泰

<研究協力者>

  神戸大学大学院海事科学研究科

松田 南

  [平成19年度合計予算額] 520千円(うち、平成19年度予算額 520千円)

[要旨]

  本研究は、わが国ではじめての本格的な導入事例である富山市のLRT(ポートラム)を取り上げ、利用者を対象にアンケート調査を実施し、得られた結果をもとに利用行動への影響やまちづくりへの効果を明らかにすることを目的としている。具体的には、LRTの利用実態と選択理由を明らかにするとともに、整備前後における利用者の外出頻度や車の利用頻度の変化、まちの変化に対する評価、さらにCVMにより、LRTの運行を維持・継続するための支払意思額を求めた。この結果、以下の成果が得られた。
  (1)開通後の交通実態については、ポートラムの利用者は、旧富山港線、並行バス路線からの移行者が最も多かったが、車からの転換者もみられた。またポートラムの選択理由としては、開通以前の交通手段が車であった利用者や自由目的での外出者は移動の快適性を、JR富山港線・路線バスからの移行者や通勤・通学目的での利用者は利便性を重視しており、60歳以上の高齢者は、移動の利便性・快適性の両方を重視していた。
  (2)ポートラムの開業後、外出頻度を増加させたとする利用者がみられ、車を使えない利用者でその割合が大きく、このような利用者ほど外出に対する潜在需要が大きかったことがわかった。また、車利用者にはその利用頻度を減らして、外出頻度を増やしている利用者もみられた。こうした行動の変化は、高齢者の自由目的による移動で顕著であった。また、ポートラムの利便性・快適性が、このような交通行動の変化の要因となっていることがわかった。
  (3)まちの変化としては、まちのシンボル化・バリアフリーの改善や賑わいの向上などの点で満足度が高く、大半が全体としてまちが良くなったと答えており、利用者がポートラムの開通によるまちづくりへの効果を高く評価していることがわかった。
  (4)利用者は、ポートラムの運行を維持・継続するために、運賃の支払いに加えて、寄付金として一定金額の支払いに対して肯定的であった。その支払意思額は、平日利用者の方が休日利用者より、通勤目的の利用者の方がその他目的の利用者より高く、さらに高齢者ほど、所得が高いほど高くなっていた。