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[キーワード]パッケージ型交通施策、交通機関選択、社会的相互作用、合意形成、交通施策の複合効果

[H-051 環境負荷低減に向けた公共交通を主体としたパッケージ型交通施策に関する提言]

(2)環境負荷低減に向けたパッケージ型交通施策に関する研究

  4) 交通施策パッケージの基本的考え方

  5) 交通機関選択モデルを利用したパッケージ型交通施策の評価分析

  6) LRT導入時の合意形成に関する分析

  7) パッケージ型交通施策の複合効果計測に関する研究

   (4)~(7) [PDF](194KB)

以下、5)~7)についても同様の研究メンバー、予算で得られた成果であるため、研究メン バー・予算・要旨については、4)に統一して記す。

  広島工業大学環境学部地域環境学科

青山 吉隆

<研究協力者>

  神戸大学大学院
(平成18年度は研究協力者。平成19年度より、研究参画者)


小谷 通泰

  京都大学

武田健太郎

  広島工業大学

大西 学

  [平成18~19年度合計予算額] 16,380千円(うち、平成19年度予算額 8,190千円)

[要旨]

  本研究チームでは、平成18年度において、まず、「パッケージ・アプローチ」についての既存研究を踏まえて、「LRTを中心とする公共交通機関の利用促進政策」と「自動車利用の抑制政策」について整理した。つぎに私的交通から公共交通への利用転換政策を評価するために、京都市を事例として、通勤通学時と買物時の2つのケースについて、パッケージ型交通施策を考慮した交通機関選択モデルを構築した。その結果、自動車交通から鉄道を中心とする公共交通機関へのモーダル・シフトを目指す上で、特に買物時において自動車を選好する自動車免許保有層に対して、これらパッケージ型交通施策の組合せは効果的であることを明らかにした。さらに、わが国が新規にLRTを導入する際に生じる合意形成上の課題を整理するために、広島市を事例として社会的相互作用を考慮した合意形成に関わる分析を行った。その結果、LRTの新規導入において、個人の意思決定に対する近隣地区住民の意見の影響は小さく、その意思決定において参考にする媒体としてテレビや新聞が多いことを明らかにした。また、LRV車(*)両がすでに運行し、多くの市民が利用している広島市においても、LRTに対する認知度が低く、メディアの活用による情報提供の重要性を示唆した。
  平成19年度においては、わが国の都市に適したパッケージ型交通施策を検討するために、広島市を事例として、複数の交通施策を組み合せることによって生じる複合効果に関する分析を行った。その結果、対象地域における交通サービスが高い場合、複数の交通施策を組み合せると、単体の時よりも相殺された効果として表れることがわかった。
(*)LRV車:Light Rail Vehicleの略。意味は軽鉄道車両のこと。新しい路面電車の車両のことをこう呼ぶ。