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[キーワード]森林再生、森林火災、違法伐採、フタバガキ科、成長特性

[E-051 森林-土壌相互作用系の回復と熱帯林生態系の再生に関する研究]

(1)熱帯林における樹木群集の構造と機能の再生過程に関する研究[PDF](1,774KB)

  国立大学法人鹿児島大学
  農学部 生物環境学科

米田 健

  国立大学法人鹿児島大学
  理学部 地球環境科学科

鈴木 英治

  国立大学法人鹿児島大学
  理学部 地球環境科学科

相場 慎一郎

<研究協力者>

  インドネシア インドネシア科学院生物学研究センター

Herwint Simbolon

  インドネシア ハサヌディン大学農学部

Ngakan Putu Oka

  インドネシア アンダラス大学理学部

Chairul

  鹿児島大学 理学部地球環境科学科 プロジェクト研究員

渡辺名月

  鹿児島大学農学部

舘野隆之輔・北岡和彦・鈴木寿仁

  鹿児島大学教育学部(現琉球大学理学部)

久保田康裕

  鹿児島大学 教育学部 修士課程学生

藤井新次郎

  大阪市立大学 理学部

平山大輔

  [平成17~19年度合計予算額] 21,578千円(うち、平成19年度予算額 7,043千円)

[要旨]

  (1)東カリマンタン州ブキットバンキライの1998年2-3月熱帯雨林火災被害地において、被害度が異なる場所に6つの1ha調査区を設定し、2001年9月(火災から3.5年後)から2007年9月(9.5年後)までの森林回復度を調べた。ほとんど地上部植生が消えた重度被害区では、3.5年後に無被害区の3割、9.5年には8割の幹密度(DBH>4.8cm)があった。地上部現存量は、無被害区で3.5年後の327 ton ha-1から9.5年後には326 ton ha-1へとわずかに減ったが、ほぼ枯死木量と成長量が釣り合っていた。重度被害区では3.5年後の53 ton ha-1から9.5年後には92 ton ha-1へと増加した。種数は無被害区で253種が287種、重度被害区で91種が131種と増えた。しかし両者の共通種は2-3割しかなく多変量解析における種組成の変化速度から推測すると、近くに種子供給源林があり火災後人為的撹乱乱がない場合でも、種組成の回復には200年程度かかると予測された。
  (2)西スマトラで厳しい異常乾燥気象と高まる伐採圧という人為撹乱が雨林の構造・機能に及ぼす影響を調査した。標高600mの丘陵帯から1800mの山地帯までの発達した雨林は、1990年代の異常乾燥発生期から林冠木の衰弱・枯死により現存量の衰退が現在でも続いていた。異常気象の影響が長びく一因に、林冠木の枯死に伴う森林構造の変化が示唆された。多種を対象とした最近の伐採法は、現存量の低下だけでなく林分構造の水平的な分散度を増大させている。すなわち、伐採により増幅された林分構造の撹乱は、林分の分断化により再生力を低下させている可能性が高い。撹乱度が異なる環境下に生育する多様な種群の成長特性(潜在的最大成長率、最大サイズ、幹材硬度)を調べ、それらから撹乱圧の変化に伴う構成種群の変化過程を明らかにした。択伐林の純生産力は、胸高断面積合計では成熟林と大差がないが、構成種の樹高―直径関係や幹材硬度(容積比重)の差から、重量ベースでは後退することが示唆された。