課題名

C―2 酸性汚染物質の陸水の水質と生物に与える影響の実態解明に関する研究

課題代表者名

佐竹研一(立正大学 地球環境科学部 教授)

研究期間

平成14−16年度

合計予算額

68,090千円(うち16年度 20,653千円)

研究体制

(1)酸性汚染物質の渓流河川水の水質に与える影響の実態解明

(立正大学、独立行政法人国立環境研究所、財団法人日本環境衛生
センター酸性雨研究センター、 東京農工大学、北海道大学)

(2)渓流河川の水質の魚類の分布行動に与える影響の実態解明

(独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所)

(3)酸性汚染物質の低緩衝能集水域への沈着検証手法の開発と応用

(エコフロンティアーフェロー、立正大学)

研究概要

1.序(研究背景等)

 人間活動の活発化に伴う大気への酸性物質の排出増加は、大気中の酸性汚染物質の濃度を上昇させており、その沈着による森林生態系や陸水生態系への悪影響が懸念されている。特に、北東アジア地域においては今後数10年間にわたって、中国大陸を中心にした窒素や硫黄の排出増加が予測されており、冬季、季節風の風下に位置する我が国の森林生態系への影響が心配されている。一方、近年、陸水の酸性化がもたらす問題として、pH6台の微酸性環境下でサケ科魚類の産卵行動が抑制されることが明らかになり、実際の河川で影響が出ているか否かの早急な調査が求められている。また、都市近郊山岳地帯は既に窒素飽和の状態に達していて、森林の富栄養化が進行していることも確認されており、森林生態系への影響のみならず、飲料水源として需要が増大しつつある河川水や湧水の水質悪化も心配されている。我が国の酸性雨は現在も平均4.7程度で推移しており、一向に改善の兆しが見られない。この様な状況下、上の懸念はますます現実的なものとなりつつある。
 そこで、本研究では、酸性汚染物質の影響実態を解明するために、調査対象地域に、新潟県三面川水系(サケが回帰する河川で、花崗岩地質のために酸緩衝能が低く、かつ越境大気汚染の影響を受ける河川)、北海道北部の朱鞠内湖流域(冷涼で、北欧の酸性化顕在地域と類似した地域)、及び関東山岳水系(富栄養化地域)を、また対照地域に我が国で酸性汚染物質の負荷量が最も少ない屋久島を選定し、各地域で、渓流河川の各種溶存イオン、Alの形態分布、酸素・窒素安定同位体比、段階別酸中和能などの化学特性を空間的・時系列的に追跡するとともに、水生生物(主に魚)の分布調査や窒素安定同位対比の分析なども行って、水質と生態系の現状を解析した。

2.研究目的

 新潟県三面川水系、西関東水系、北海道北部水系を対象にして以下点を明らかにすることを目的
とした。
(1)汚染物質の渓流河川水の水質に与える影響の実態解明:まず、対照(北海道)、微汚染(三面川水系、朱鞠内湖流域)、及び汚染(関東山岳水系)地城の渓流水質(pH;NO3、SO4、NH4、Ca、Mgなどのイオン;各態Al;酸中和能;酸素・窒素同位体比など)を分析する。次に、降水や降雪によってもたらされた酸性汚染物質が森林、土壌層、基盤岩石などを経由して渓流にいたる過程での水質変化(汚染物質の消長)を地域別に明らかにして相互比較する。最終的に、調査水系を酸性化の危惧度によって分類し、その危惧度別に見た渓流河川水の水質の特徴とその地域、地質、その他環境因子との関連を明らかにする。
(2)積雪地域の渓流河川における水質の自動連続モニタリング手法の確立を目的として、三面川水系5箇所に市販のメモリ機能付自動連続水質モニタリング装置を設置し、渓流河川水質の連続モニタリングを行い、装置の評価および得られたデータの解析を行う。
(3)渓流河川の水質の魚類の分布行動に与える影響の実態解明
渓流河川において酸性雨やそれに連動した水質変化が魚類の分布行動にどのような影響を与えているかを明らかにするために、実際の河川で、サケ科魚類の体液イオン組成、内分泌系、及び行動学的変化を指標にした影響評価を実施する。具体的には、三面川でサケ科魚類の産卵行動や稚魚・成魚の分布に関する調査を行うとともに、採取した魚類試料の生化学的分祈を行って、北関東鬼怒川水系の結果と比較する。また、(1)と協力して酸性化危惧度短期評価(酸性汚染物質による水質の短期変動が魚類に与える影響の評価)手法を確立する。

各年度における研究目的は以下の通りである。

初年度 
     1 三面川水系の渓流河川水―水質調査
     2 深度別土壌水中のN化合物鉛直分布調査(三面川、関東、北海道相互比較)
     3 サケ科魚類の分布マップ作成
二年度
     1 三面川水系の酸中和能時系列変化の解明
     2 三面川水系の水移動経路・滞留時間、水質の時系列変化の解明
     3 サケ科魚類のライフサイクルと水質との関係の解明
     4 酸性汚染物質の低緩衝能集水域への沈着検証手法の開発と応用
三年度
     1 酸性化危惧度評価手法の完成+酸中和能
     2 渓流河川水に与える集中域汚染の影響解明
     3 酸性汚染物質の陸水の水質と魚類影響の実態解明
     4 研究成果の発表(2005年酸性雨国際学会 チェコ大会)

3.研究の内容・成果

  (1)汚染物質の渓流河川水の水質に与える影響の実態解明
 新潟県三面川水系は源流部に酸を中和する能力の乏しい花崗岩の分布する水系である。この水系で酸性雨の降下に伴う河川水の酸性化現象の有無を確認するため、酸性雨(pH5.03)の降下時に河川水を連続的に採水し、その化学成分を調べた。その結果、渓流水はpH7.2から6.5に下がった地点や7.3から7.0に下がった地点があった。前者は花崗岩質の基盤岩石の渓流であり、日本の河川でも酸性雨の降下により一時的な酸性化が起ることが三面川流域で確認された。また積雪地域の渓流河川における水質の自動速続モニタリング装置の試行の結果、pH、EC、溶存酸素(DO)、濁度、水質、水温のうち濁度、水深については、河川の状態(水生藻類の付着や汚れなど)によっては、長期間の連続測定に課題が残った。それ以外の項目については、約1ヶ月周期のメンテナンス(校正、電極の洗浄・交換等)を実施することで、連続測定を行うことができた。なお、冬期について
は、メモリ機能を活用することで、メンテナンスフリーで約3ヶ月の連続測定を行うことにより、相対的な水質の変化を捉えることが可能であることが明らかとなった。渓流河川における自動連続水質モニタリング装置を使用する上での留意点として、砂礫混入防止用のフィルターの装着、メンテナンス前後におけるドリフト量の確認および水位の変動により水面からセンサー部が出ないよ
うな適切な場所での設置が必要であることが明らかとなった。
 なお、本研究で得られたデータからは、冬期において複数の河川で、同時期にpHが低下しECが上昇するという特徴的な現象をとらえることができた。また、融雪時のアシッドショックと想定される、pH、ECの変化を明確にかつ連続的にとらえることができた。
 降水に伴う完結的な酸性化ならびに融雪時の酸性化は、土壌からのAlの溶解を促進し、その程度によっては魚類に影響を及ぼす。しかし、河川水中のAlの濃度やその形態は元来地質や植生などによって変動する。そこで、三面川水系の134地点で採水した延べ297試料中のAlの濃度と化学形態のデータを採水地点の地質(流紋岩、花崗岩、堆積岩、安山岩、及び玄武岩の5種類)との関連で解析した。その結果、溶存A1の全量は、流紋岩>花崗岩>安山岩>堆積岩>玄武岩の順に減少した。イオ
ン性Alと有機・無機錯体Alもほぼ同じ順に減少した。一方、コロイド状Alでは,地質による違いがほとんど認められなかった。pHは、全溶存Alとは逆に、流紋岩<花崗岩<安山岩≒堆積岩<玄武岩の順に上昇した。溶存Caは、玄武岩を除くと、pHと同様に、流紋岩<花崗岩≒安山岩<堆積岩の順に増加し、溶存Mgも、安山岩と玄武岩を除くと、流紋岩<花崗岩<堆積岩の順に増加した。また、溶存Naの差異は明瞭でなかったが、溶存Kは、全溶存Alと同様に、流紋岩>花崗岩≒安山岩≒堆積岩>玄武岩の順に低下した。岩石自身の元素組成を見ると(地質調査所の標準岩石の元素組成による)、Alは全て6-8%でほぼ一定していたが、CaとMgは、堆積物を除くと、渓流水中の全溶存Alとは逆に、流紋岩<花崗岩<安山岩<玄武岩の順に増加した。一方、NaとKは、全溶存Alと同様に変化し、流紋岩>花崗岩>安山岩>玄武岩の順に低下した。以上から、三面川水系では、CaとMgが低くNaとKが高い地質を持つ流域、特に流紋岩地域で、渓流水の全溶存Al、イオン性Al、及び有機・無機錯体Alが高く
なることが分かった。Al形態の内、有機錯体Alと地質の関係は不明であるが、他のA1形態は地質の元素組成(塩基性元素とAlの比)を直接反映したと推定される。流紋岩地域では、溶存K、溶存Mg、及び溶存Caも地質を反映していて、Kは高く、MgとCaは低かった。三面川水系中のAlと他の水域(多摩川水域)との比較の結果は三面川水系では、全溶存Al、イオン性Al、有機・無機錯体Alの平均が最も高かった。一方、コロイド状Alの平均は多摩川水系で最も高く、三面川水系で最も低かった。
各態A1はNO3-+SO42-やpHとほとんど相関を示さないことが明らかとなった。
 三面川上流域で行った魚類調査によると、殆どの地点で0〜11種の魚が生息していて、イワナ・カジカの他に、ヤマメ・アブラハヤなどが加わるケースが多かった。同位体比の分析結果は、人工飼育のサケ稚魚がC-18‰、N-13‰で、人工飼料はC-18‰、N-9‰であった。また、魚の元素組成の分析結果から、約2万匹のサケの遡上によって三面川流域にもたらされるK、Na、Fe、P、Caは、それぞれ261、49、0.37、179、10kg/年と推定された。三面川河口では年に1571x106m3の水が海へ供給される。河川水中のK、Na、P、Caの平均濃度はそれぞれO.5、4.9、5.4、0.0036、1.6mg/lであるので、K、Na、P、Caは786、7700、5.7、2500t/年海へ供給されている。したがって流下移送に対してK、Na、P、CaはそれぞれO.03、0.OOO64、3.1、0.0004%がサケによって海から遡上移送されていると推定された。
 一方、過去に酸性汚染物質が最も多く負荷されてきたと想定される関東山地では、土壌を深くまで採取して化学成分の鉛直分布を明らかにする方法により、大気沈着物のインパクトの歴史と関東渓流水の水質形成過程について検討した。渓流水のNO3濃度の高い流域では、根の吸収を免れて土壌深部にまで窒素が溶脱している状況が土壌中のNO3の鉛直分布から明らかになり、渓流NO3濃度の高低と土壌化学性との間に対応関係が見られた。渓流のNO3-濃度が高い森林集水域の土壌では、土壌
プロファイル全体でNO3-が高濃度で、根の到達深度以深まで窒素リーチングが生じており、窒素飽和と呼べる状況が生じていることが実証された。ただし、丘陵部の集水域では、脱窒によってNO3-除去が行われ、NO3-濃度が窒素過剰状況を表さない特例的なケースとなっていることがわかった。窒素飽和の状況にある森林では3mもの深部の土壌でもpHが低く、また、そのような地域の渓流ではpHおよびアルカリ度が減少している傾向にあることが示された。さらに、同じ地域の渓流水水質を過去のデータと比較すると、いずれもNO3-濃度が増加、pHが低下している傾向にあった。また、関東周辺に多い火山灰土壌ではSO4、が交換態として多量に蓄積しており、土壌のSO4吸着ポテンシャル等の解析から、これまでに大気から負荷されたSO4、のほぼ全てが土壌中にトラップされていると判断された。このSO4吸着現象は酸性化をある程度抑制してきたと推定されるが、多量の酸性汚染物質が負荷されてきた関東の森林では、プロトンとのイオン交換によって多量のCaやMgが可溶化し、それと共にNO3が深層土壌にまで運ばれて、pHを有意に低下させたと考えられる。しかし関東山地では、一般にNO3はCaやMgと共に渓流水に流れ出しているので、渓流水のNO3濃度は増加しているが、pHの低下は見られない。
 酸性汚染物質の負荷は比較的少ないが、冷涼で植生条件などが北欧に似ている北海道北部の森林流域においては、重要な酸性汚染物質の一つである窒素の挙動メカニズムを検討した。これまでに、河川への窒素流出の地域変異を解析し、流域の地形の違いによる土壌水分の違いが、流域土壌内の窒素代謝反応に大きく影響し、結果として河川水のNO3濃度が空間的に大きく変化していることを明らかにしてきた。そこで、同じ森林流域のドウラン川支流域(大気からの窒素負荷は約3kgN/ha/y)において、約50kgN/ha/yのNH4NO3を実験的に散布し、土壌中の窒素動態、河川水質の変化を処理流域と窒素を加えていない対照流域で継続的に観測した。散布直後は河川水の硝酸濃度に著しい上昇が認められたものの、その後濃度は低下し、夏季から秋季にかけては対照流域と同様な濃度レベルまで低下した。流域の年間窒素収支を解析すると、実験的に散布した窒素の約90%は森林流域内に保持され、約10%のみが河川へと溶脱しており、流域生態系が非常に高い窒素保持能を有していることが示された。また落葉層、鉱質表層土壌ともに、総窒素代謝プロセスの中ではアンモニウムの無機化と有機化の速度が高く、アンモニウムイオンから生成される硝酸イオンは、それらよりも著しく低い値を示していた。更に落葉層における硝酸態窒素の有機化速度は、硝化速度と比べて高かったが、斜面下部の鉱質表層土壌では硝化速度が硝酸の有機化速度よりも高かった。さらに窒素負荷流域では窒素負荷直後に河川水中の硝酸イオン濃度が一時的に高まったものの、約2ヵ月後には対照流域や負荷以前と同じ濃度レベルまで回復した。これらの現地での土壌窒素の空間分布調査や河川水質の観測、窒素収支の解析などをつうじて、増加した大気窒素の90%が増加初年度に森林流域内に保持されることが明らかとなった。

(2)渓流河川の水質の魚類の分布行動に与える影響の実態解明
酸性降下物により河川が酸性化した際の魚類の分布・行動への影響予測及び酸性化が懸念される河川におけるサケ科魚類の生息に及ぼす酸性降下物の影響実態を明らかにするため、.ぅ錺糞擇咼屮薀Ε鵐肇薀Ε箸鰺僂い秦名綛堝梓兒ー存貝⊆然酸性河川におけるイワナや水生昆虫の分布調査新潟県三面川上流域における河川水質とイワナの生息調査し戝Na+イオン濃度の変化を指標にしたイワナの耐酸性実験を行った。
 その結果、.ぅ錺覆筌屮薀Ε鵐肇薀Ε箸亙貔鄂紊任△辰討pH6.0以下に酸性化した場合には、遡上行動が著しく阻害され、一部は非母川に遡上する。⊆然酸性河川においてイワナは中性の沢の流入地点より上流のpH6.14±0.16以下の水城には生息しない。三面川は現時点では酸性化は顕在化しておらず、イワナは調査した全ての沢で生息が確認されたが、アルカリ度、段階別中和能測定結果などより、局所的、一時的には微弱酸性化している可能性が認められた。せ栖望彷修猟磴ぢ瑤離ぅ錺覆枠羈單耐酸性が比較的高く、一時的にでも微弱酸性環境を経験している可能性が示された。これらのことから、一般に酸緩衝能の乏しい河川の源流域では、現在酸性降下物による酸性化が恒常的にはみられなくとも、一時的・局所的にはイワナの生息・産卵に影響を及ぼす程度の微弱酸性化が起きていることが考えられた。また、今後水域が恒常的にpH6程度に酸性化した場合には生息・産卵域を失う可能性が高いことが明らかになった。また、酸緩衝能の低い河川に生息するイワナは、酸緩衝能の高い河川のイワナよりも酸性環境に生理的に適応していることを示唆する実験結果が得られ、このイワナが融雪期などに一時的にせよ既に弱い酸性環境を経験していることが判明した。

4.まとめと考察

 三面川水系、朱鞠内湖流域、及び関東山地での調査から、以下の重要な点が明らかになった。
1) 自動水質モニタリングシステムを用いて三面水系のpHを連続観測した結果、春先の融雪期に一部の河川でpHが6以下に低下した。このpHはサケ科魚類に影響を与える可能性のある値であった。
2) 三面川水系ではA1濃度は概ね地質に依存していて、流紋岩や花崗岩地域で比較的高かった。また、溶存Alの約半分は魚類に直接影響を与え得るイオン状のAlであった。
3) 三面川上流のサケ科魚類は行動学的には何ら異常無かったが、酸緩衝能の低い地域、すなわちCaやMgが少なくAlが多い流紋岩や花崗岩地域の魚は比較的大きな酸耐性を有することが判明したので、潜在的な酸性化の影響を受けていた可能性が示唆された。三面川では約2万匹のサケが毎年回帰するので、過去には流出する塩基の一部(例えば、Kで0.03%、Caで0.00004%)がそれによって海から流域に回帰していたと思われる(現在は河口で採捕されるので回帰しない)。
4) これまでに多量の酸汚染物質が負荷された関東の山地では、硫黄は殆どが土壌層に捕捉されているが、窒素は塩基とともに渓流に流出し、河川水中のNO3濃度高めていた。しかし、関東の地質は豊富なCaやMgを含むので、pHは現在も低下していない。
5) 流域に負荷された窒素の大部分は植生や土壌表層微生物の働きで固定されるので、窒素の溶脱を抑制するには生物的緩衝作用が無機的緩衝作用にもまして重要であると考えられた。
6) フィルター試料、入皮試料、杉樹皮のICP-MSによる分析結果は冬期に大陸から汚染物質が三面川集水域に飛来することを明確に裏付けるものであった。
7) また、酸性降下物による酸性化が懸念される三面川上流域において、河川水質やイワナの生息に及ぼす酸性降下物の影響実態調査を行うとともに、生息する河川水質の違いによるイワナの耐酸性の差異を明らかにするため、短期間酸性水に曝露したときの血中Na+イオン濃度の変化を指標に比較する実験を行った。その結果、現時点では酸性降下物による水質への影響はほとんどなく、イワナの生息や産卵期の沢への遡上行動も阻害されていないことが明らかになった。しかしながら、いくつかの沢では、水質の特徴から酸性降下物による影響を受けやすい河川であることが明らかにされた。また、酸緩衝能の低い河川に生息するイワナは酸緩衝能の高い河川のイワナよりも酸性環境に生理的に適応していることを示唆する実験結果が得られ、融雪期など一時的にでも弱酸性環境を経験している可能性が考えられた。

5.研究者略歴

課題代表者:佐竹研一
    1945年生まれ、名古屋大学大学院理学研究科満了、理学博士、
    現在、立正大学地球環境科学部教授
主要参画研究者
(1) Ш潅欷Π(同上)
  ◆Ч眈症霄]
    1946年生まれ、京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士、
    現在、独立行政法人国立環境研究所土壌環境研究室長
  :越川昌美
    1971年生まれ、京都大学大学院人間・環境学研究科修了、
    現在、独立行政法人国立環境研究所土壌環境研究室研究員
  ぁ野原精一
    1958年生まれ、東京都立大学理学研究科修士課程修了、
    現在、独立行政法人国立環境研究所生物圏環境研究領域生態系機構研究室室長
  ァЮ古賃郢
    1968年生まれ、甲南大学理学部応用化学科卒業、
    現在、財団法人日本環境衛生センター酸性雨研究センター生態影響研究部・情報管理
    部主任研究員
  Α楊宗興
    1957年生まれ、名古屋大学大学院理学研究科満了、理学博士、
    現在、東京農工大学大学院共生科学技術研究部
(2) 北村章二
    1956年生まれ、東京水産大学大学院修士課程修了、水産学博士、
    現在、中央水産研究所内水面研究部上席研究官
  ◆Ю古掴太
    1959年生まれ、東京大学大学院博士課程満了、農学博士、
    現在、養殖研究所生産システム部長

6.成果発表状況(本研究課題に係る論文発表状況。査読のあるものに限る。投稿中は除く。)
 ・佐竹研一(2004).環境水―酸汚染の歴史と課題―.分析.No.7:415-418.
 ・野原精一・佐竹研一:地球環境9:61-74(2004)「渓流―森林系の物質移動と鮭の遡上」
 ・山本鎔子・大高明史・林卓志・福原晴夫・野原精一・落合正宏・尾瀬アカシボ研究グループ:
  陸水学雑誌:65:181-191(2004)「東北地方の赤雪」
 ・苗村晶彦、藤田俊忠、倉田斉、土器屋由紀子、楊宗興:自然環境研究(Natural Environmental
  Science Research)、16、1-6(2003)
  ”秩父多摩甲斐山岳域における森林渓流水質の標高別分布”
 ・楊宗興・木平英一・武重祐二・杉山浩二・三宅義則:地球環境9、29-40(2004)
  ”渓流水のNO3-濃度と森林の窒素飽和”
 ・Naemura, A. , Yoshikawa, T. , Yoh, M. , Ogura, N. and Y. Dokiya: Natural Environmental Science
  Research, 17, 23-27, (2004)
  ”Dissolved inorganic and organic nitrogen in throughfall and stemflow of coniferous trees in
   nitrogen saturated forest”
 ・K.Ikuta, Y.Suzuki and S.Kitamura: Effects of low pH on the reproductive behavior
  of salmonid fishes. Fish Physiol. Biochem. 28, 407-410(2004)
 ・H. , Yambe, A. Munakata, S. Kitamura, K. Aida, and N. Fusetani: Methyltestosterone
  induces male sensitivity to both primer and releaser pheromones in the urine of
  ovulated female masu salmon. Fish Physiol. Biochem. 28, 279-280(2004)
 ・Shibata, H. , O. Sugawara, H. Toyoshima, S. M. Wondzell, F. Nakamura, T. Kasahara, F. J. Swanson
  and K. Sasa: Biogeochemistry, 69, 1, 83-104(2004)
  ”Nitrogen dynamics in the hyporheic zone of a forested stream during a small storm, Hokkaido,
  Japan”
 ・Xu, X. , Hirata, E. and Shibata, H. : Basic and Applied Ecology, 5, 271-282(2004)
  ”Effect of typoon disturbance on fine litterfall and related nutrient input in a subtropical forest on
  Okinawa lsland, Japan"
 ・若松孝志・高橋 章・佐藤一男・久保井喬・柴田英昭:日本土壌肥料学雑誌、75、2、169-178
  (2004)「窒素安定同位体を用いた大気由来NH4+の森林土壌中における初期動態」