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[F−5 サンゴ礁生態系の攪乱と回復促進に関する研究]

(2)サンゴ礁生態系の回復促進


 流況と水質の相互作用を考慮したサンゴ礁群集の回復促進要因の解明

独立行政法人産業技術総合研究所

 海洋資源環境研究部門

海洋地球変動研究グループ

鈴木 淳・川幡穂高


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 8,138千円
 (うち、平成14年度予算額 3,050千円)

[要旨]

 サンゴ礁における海水の流動は、環境負荷物質を希釈・除去し、水温の安定化に効果的であって、サンゴ礁群集の健全度を維持し、回復を促す効果が期待される。本サブサブテーマでは、この海水の流況という物理的側面に、水質という化学的側面を加え、その相互作用を解析して、サンゴ礁群集の回復促進メカニズムを検討する。平成13〜14年度に、石垣島周辺サンゴ礁の7箇所での夏および冬の観測を行い、(1)サンゴ礁に流れ込む河川水の水質、(2)地域によるサンゴ礁海水の水質の差異、(3)サンゴ礁海水の外洋水との交換過程、および(4)2001年夏の高水温傾向、についての検討を行った。石垣島の主要な河川水の窒素およびリン濃度は一般に高く、地下水とともにサンゴ礁の富栄養化の大きな要因となっていることが確認された。石垣島最長の宮良川について水源である底原ダムから河口までの濃度変化をみると、下流に行くにつれて栄養塩濃度が増加し、これらの栄養塩の起源として中流の農耕地の寄与が大きいことが示唆される。人口が密集する石垣島南部(宮良川河口部や白保)と、自然状態に近い植生が広がる石垣島北部(安良崎および平久保)のサンゴ礁について水質の比較を試みたが、サンゴ礁海水の硝酸態窒素やリン酸態リンなど栄養塩類濃度の差異は必ずしも明瞭ではない。ケイ酸や懸濁物濃度については、島南部のサンゴ礁のほうが北部に比べて若干高い傾向がみられる。また、サンゴ礁海水の外洋との交換状況の推定には多点水温計測による評価が有効と思われる。2001年の夏は、近年では1998年夏の大規模白化現象が観察された年に次いで高水温状態が観測され、沖縄本島周辺では再び白化現象も報告された。石垣島の2ケ所のサンゴ礁(白保、安良崎)の観測点でも日平均水温でも30℃以上の日が9月中旬まで継続しており、平年に比べて高水温傾向であったことが明らかとなった。


[キーワード]

 サンゴ礁、水温、水質、流況解析、河川