検索画面に戻る Go Research



(1.2Mb)

[F−5 サンゴ礁生態系の撹乱と回復促進に関する研究]

(1)サンゴ礁の撹乱、回復の評価とそれに基づく管理手法に関する研究


ぁヾ超ストレス応答の向上によるサンゴ礁管理手法の開発

独立行政法人農業生物資源研究所

 企画調整部技術移転科

萱野暁明

〈研究協力者〉独立行政法人水産総合研究センター

西海区水産研究所

石垣支所 亜熱帯生態系研究室

渋野拓郎・橋本和正


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 7,600千円
 (うち、平成14年度予算額 2,600千円)

[要旨]

 赤土等の各種のストレスがサンゴに与える影響を分子レベルで明らかにするため、種の特定が容易で扱いやすいハナヤサイサンゴを材料とし、ストレス条件下で特異的に発現する遺伝子の探索を行った。500ppmの赤土を加えた試験区と加えない試験区のハナヤサイサンゴからRNAを抽出し、一本鎖の相補的DNA(cDNA)を合成した。このDNAを鋳型として非特異的なPCR反応を行い、ゲル電気泳動によって分離すると(これをディファレンシャル・ディスプレイ法と言う)、赤土を加えた試験区由来の試料にのみ検出される数種類のDNAバンドを確認した。これらのDNAをクローニングして塩基配列を決定すると、その中にアメフラシのヒートショックタンパク質の1種(Hsp70)と高い相同性を有するクローンが見出された。
 この遺伝子の配列をもとにプライマーを設計し、RT-PCR法による発現解析を行ったところ、高温のストレス条件下においてはこの遺伝子の発現は誘導されたが、低塩分のストレス条件下において遺伝了発現は誘導されないことが確認された。このことは各種のストレスによって、発現する遺伝子が異なることを示唆している。
 この部分的cDNAの配列を用いて全長cDNAを取得するために、5'側に延びるcDNAと3'側に延びるcDNAをRACE法によリクローニングした。その結果、全体で約2500塩基対の全長cDNAが同定され、669残基のアミノ酸配列が推定された。この遺伝子はストレスタンパクHsp70に良く似た配列を有しており、アミノ酸レベルでのアメフラシ、ヒト、ショウガサンゴのHsp70に対する相同性はそれぞれ78.2%、80.9%、57.2%であった、このことから、赤土によって誘導されるハナヤサイサンゴの遺伝子は他の生物のHsp70と同じ仲問であることが明らかとなった。


[キーワード]

 ストレス応答、Hsp70、ディファレンシャル・ディスプレイ、cDNAクローニング、ハナヤサイサンゴ