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[F−5 サンゴ礁生態系の撹乱と回復促進に関する研究]

(1)サンゴ礁の撹乱、回復の評価とそれに基づく管理手法に関する研究


 個別サンゴコロニーの成長・劣化解析による環境変動評価と管理手法に関する研究

独立行政法人国立環境研究所

水土壌圏環境研究領域

海洋環境研究室

原島 省

 化学環境研究領域

動態化学研究室

功刀正行

〈研究協力者〉

(株)串本海中公園センター学術部

野村恵一

県立会津大学コンピューター理工学部

浅井信吉


[合計予算額]

 平成12年度〜14年度合計予算額 13,252千円)
 (うち平成14年度予算額 4,500千円)

[要旨]

 サンゴ礁生態系の数年〜10年の時間スケールの撹乱・回復を評価するための手法として、1994年から石西礁湖黒島サンゴ礁のトランセクトにおいて継続取得した水中画像時系列データを基にして群体成長モデルを作成した。大半の画像は、立体形状把握のためのステレオ画像とし、立体写真計測を行うソフトウェアを用いて卓状ミドリイシのコロニー(群体)の外縁径の年次比較を行い、年間5cm内外あるいはそれ以上の速い伸長速度が得られた。また、多数の立体画像に効率的にアクセスし、成長・劣化等を評価するために、画像のアーカイブ(保存文書)をhtml形式のデータベースとして整理した。さらにこれをウェブ公開し、サンゴ礁環境の変化に対する一般の理解を高めることでサンゴ礁保全策の一環とする予定である。一方、成長の遅い塊状サンゴについては、蛍光X線顕微鏡による年輪解析から、1年当たり1cm内外の成長速度が見積もられた。ただし、骨格サンプルのライン上のSr:Ca比の分布から成長当時の水温を再現する試みは、骨格が多孔質であったため誤差が多かった。両者の成長速度値を用いて群体成長のシミュレーションを行い、画像時系列で得られた群体の競合的成長と定性的な一致をみた。この過程について、次の2項が特記される。卓状ミドリイシと塊状サンゴの競合の過程で、前者は闘争には弱いが速く成長して、光を遮蔽するほかに、水流を悪くして後者にシルト堆積その他ネガティブな影響を与えるようである。以上のように、サンゴ礁の多様性を維持している動態も多様であり、その解析には水中画像を継続取得して動態を客観記述することが保全の基礎となる。


[キーワード]

 水中画像時系列、立体写真計測、蛍光X線顕微鏡、年輪解析、群体成長モデル