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[F−5 サンゴ礁生態系の攪乱と回復促進に関する研究]

(1)サンゴ礁の攪乱、回復の評価とそれに基づく管理手法に関する研究


◆^榮粟動物群集によるサンゴ礁生態系の指標化と管理手法の開発

独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所

 石垣支所

亜熱帯生態系研究室

澁野拓郎

東京大学大学院農学国際専攻

佐野光彦

〈研究協力者〉独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所

 石垣支所

亜熱帯生態系研究室

高田宜武・阿部 寧・橋本和正

東京大学大学院農学国際専攻

川崎博之


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 14,198千円
 (うち、平成14年度予算額 5,190千円)

[要旨]

 魚類:サンゴ礁で優占する樹状サンゴが大規模に死滅した場合、死滅サンゴ枝の崩壊の程度、すなわち、サンゴ礁生態系の悪化度を魚類の個体数密度によって間接的に示すことができるかどうかを、小型人工礁を用いた野外実験で検証した。スズメダイ科の稚魚、特にニセネッタイスズメダイの稚魚の個体数密度は、枝状構造が複雑な人工礁に多く、逆に単純な人工礁には少なかった。したがって、スズメダイ科稚魚の個体数密度はサンゴ礁生態系の悪化度を示す指標として有効であると考えられた。さらに、人工礁の大きさとスズメダイ科魚類の個体数密度との関係を調べたところ、人工礁が大きくなっても、個体数密度はほとんど変化しなかった。死滅サンゴ枝が著しく崩壊している場所に人工礁を設置して、魚類の個体数密度を高めたい場合には、設置する人工礁の大きさを重視するよりも、その構造的複雑性を考慮したほうがよいことがわかった。
 ベントス:移動性ベントスを用いてサンゴ礁の環境をモニタリングすれば、サンゴ等よりも小さな空間と時間スケールを対象とした生物指標を確立できると考えられる。サンゴ礫トラップと塩化ビニル製付着板という2種類の基質を用いて、ベントス群集の効率的調査法の確立と指標化を検討した。塩化ビニル製付着板は、群集組成の変異が大きく魚類等の捕食の影響も大きいため、指標化には向かない事が分かった。サンゴ礫トラップでは2〜4週間の設置で周辺の環境を反映した群集が成立し、指標化に有効であった。そこで、サンゴ礫トラップを石垣島東海岸に設置することにより、地点の類別と指標種の抽出を行った。さらに、濁度と塩分がこれらの地点での主要な環境傾度である事を示すともに、指標種の意味付けを行った。中でも2種のヤドカリ類(Diogenes pallescensCalcinus latens)は高濁度地点の有効な指標種といえる。以上の結果から、ベントス群集組成の指標種の抽出と座標付けによる指標値の算出という2通りの方法が確立できた。サンゴ礫トラップのベントス群集を用いる事で、きめ細かなサンゴ礁環境のモニタリングが可能となるであろう。


[キーワード]

 スズメダイ科魚類、人工礁、ベントス、群集組成、指標種