課題名

B-55 交通需要の地域特性に適合した運輸部門の環境効率向上策とその普及促進策に関する研究

課題代表者名

近藤 美則(独立行政法人国立環境研究所 PM2.5DEP研究プロジェクト交通公害防止研究チーム)

研究期間

平成12−14年度

合計予算額

67,835千円(うち14年度 22,401千円)

研究体制

(1)輸送機関の環境効率評価と需要に適合した普及促進策に関する研究

(独立行政法人国立環境研究所、名古屋大学、慶應義塾大学)

(2)運輸部門における消費エネルギーの総量の低減手法に関する研究

(独立行政法人産業技術総合研究所)

(3)低燃費型新形式バスの導入による運輸部門の環境負荷低減に関する研究

(独立行政法人交通安全環境研究所、群馬大学、早稲田大学)

(4) 環境効率向上策のアジア諸国への適用可能性評価に関する研究

(独立行政法人交通安全環境研究所)

研究概要

1.序

 わが国の運輸部門からの二酸化炭素(CO2)排出量は、総排出量の2割を占め、他の部門とは異なり一貫して増加を続けている。また、アジア諸国をはじめとする発展途上国においても、モータリゼーションの急速な進展により、運輸部門の排出が急増傾向にある。CO2排出量の削減目標達成のためには、運輸部門からの排出の89割を占める自動車からの排出削減が不可欠である。このためには、わが国の優れたエネルギー効率の自動車技術や公共交通システム技術を交通需要の地域特性にあわせて内外に適用することが望まれるが、排出削減目標の達成期限や国際的枠組み適用に関する検討状況を勘案すれば、短期間に効率の高い技術を内外で大量に普及促進のための社会・経済的支援策を併せて検討することが緊急の課題と考えられる。ハイブリッド電気自動車(HEVs)は従来の内燃機関自動車の概ね2倍の燃費が確保できることから、開発と普及が盛んで、短期の高効率車両として期待されている。運輸部門でのこれら新種高効率車両の消費エネルギー削減量を検討するために、そのエネルギー効率を他の一般車両と同じスケールで精度よく評価可能な汎用性の高い燃費評価基準が必須である。

 一方、自動車に関わる温暖化対策を短期間のうちに効果的に進めるためには、自家用乗用車から公共交通機関へ需要を誘導することが重要な課題である。公共交通機関の中でも鉄軌道系システムは新規整備が困難で、かつ大量輸送を前提とするため、最も現実的な転換の受け皿はバスであると考えられる。そこで、エネルギー効率に優れたバス輸送を充実させ利用促進を図るため、都市交通用バスに最適な新方式動力システムの技術評価を行い、その導入によるCO2排出抑止効果を明らかにする必要がある。

 

2.研究目的

 本研究課題は4つのサブテーマからなり、各サブテーマの目的は次のようである。

 サブテーマ(1)では、運輸交通手段の利用段階における環境負荷のみならず、エネルギーや燃料の生産から供給までの環境負荷をもその評価軸に組み込んだ、ライフサイクル評価を行うためのエネルギー供給および利用におけるデータ収集及びデータベース化を行うとともに交通手段の効率の評価を目的とする。交通需要の地域特性を反映した運輸部門のCO2排出実態を把握するとともに、交通機関の利用状況に関するパラメータがライフサイクル環境負荷に与える影響の分析手法を開発する。さらに、輸送機関の新規整備に伴う環境負荷変化の効果を定量的に推計するために、LCA(ライフサイクルアセスメント)の手法をべースとしつつ、評価範囲を交通システム全体への波及効果まで広げた「ELCEL<拡張ライフサイクル環境負荷>」の概念を新たに定義し、それに従った輸送システムの環境面からの評価の方法論を示すことを目的とする。

 サブテーマ(2)では、HEVsのエネルギー効率を一般の内燃機関自動車に準じた方法で評価するための試験基準を作成するために、現在、ISOで検討中の3方法の中から、それらの基本になる線形回帰法を中心に、その精度を左右する要素や、車両の形式による問題点等を、市販車両を用いて明らかにする。特に、エネルギー蓄積要素の影響を除去する具体的な手段と、現実に少数回のモード回帰法を中心に、その精度を左右する要素や、車両の形式による問題点等を、市販車両を用いて明らかにする。特に、エネルギー蓄積要素の影響を除去する具体的な手段と、現実に少数回のモード試験のみから、得られた個々のデータの信頼度と採用/排除基準、及びそれらから得られた結果の総合精度の把握方法を明らかにする。

 サブテーマ(3)では、インフラ整備が不要で、多様な交通需要にきめ細かく対応できるバス輸送の特長を最大限に生かして、乗用車に過度に依存している旅客輸送をバスに転換することにより、運輸部門に起因する環境負荷の低減を早急に実現するための対策を検討する。まず車載発電機と外部集電を併用するデュアルモード動力システムについて検討し、バスヘの適用可能性を明らかにする。つぎに、その新型動力システムを採用したバスを都市交通に導入した場合の環境負荷低減効果を、輸送転換率等を考慮して定量的に推計する。

 サブテーマ(4)では、急激なモータリゼーションの嵐に巻き込まれているアジア諸国の中でも特に中国北京を対象とし、高効率な公共輸送機関の整備促進の可能性について評価検討を行う。

 

3.研究の内容・成果

(1)輸送機関の環境効率評価と需要に適合した普及促進策に関する研究

 輸送機関を直接利用する際の環境負荷とともに、その利用のために必要なエネルギー資源の生産から供給までの環境負荷をも対象とするライフサイクル評価を行うための前段として、最新の情報を文献調査等により適宜収集し、車両の駆動方式毎に利用可能なエネルギー源の種類とその生産・輸送プロセスについての関連図をより詳しく作成した。それに基づき、想定される技術や、対象とする地域の社会的・地理的要因に大きく依存する自動車のWell to wheel分析のための基礎データを文献調査により収集・算定するとともに、非常に多岐に渡るWell to wheelパスに含まれる各エネルギー変換プロセスでのエネルギー効率、GHG排出量データのハンドリングと、Well to whee1分析を容易に行うための環境効率解析ツールを構築し、日本、北米、欧州におけるWell to whee1分析を行った。その結果、(a)純水素FCVFCHEVは高いWell to wheel効率を期待できること、(b)内燃機関自動車のWell to whee1効率は、Well to tank段階での効率の高さがTank to wheel段階の効率の低さに相殺されてしまうが、(c)ガソリン車載改質型FCEVFCHEVは車載改質器の性能次第であるが、最も高い効率が期待できる可能性がある、との示唆を得ることができた。また、本研究で構築した環境効率解析ツールは利用可能なデータの制限からエネルギー効率とGHG排出量だけを対象としているが、データがあればNOxPMなどの大気汚染物質も含めた総合的な評価にも拡張可能なものとした。また、アジア諸国のなかでも経済発展が著しく、それに伴い自動車の数が急激に増えている中国を対象とし、北京における交通需要に適合した公共交通システムの形態と可能性について検討を行った。さらに、地域特性の異なる類型ごとに施策の効果を明らかにするため、地域特性を反映したトリップ・エネルギーを算出し、土地利用密度の高い地域では徒歩や自転車の利用が多く、交通エネルギーが小さいことを示すとともに、交通手段と土地利用の関係の解析を行い、低環境負荷型交通体系の整備は、必ずしも均質な地域づくりを目指すものではなく、各空間レベルに応じて地域特性を活かした効率的な土地利用−交通体系とするべきこと、なかでも駐車場および停留所へのアクセスが手段選択の重要な要素であり、停留所の立地を改善することで徒歩圏人口を改善できることを定量的に示した。

 一方、京都議定書遵守のためのCO2削減対策や発展途上国における環境対策の検討のためには、評価の要求水準に基づいたバランスの取れた推計手法を導入するための新たな発想が必要である。このため、輸送機関の新規整備に伴う環境負荷変化効果を定量的に推計するために、LCA(ライフサイクルアセスメント)の手法をベースとしつつ、評価範囲を交通システム全体への波及効果まで広げた「ELCEL<拡張ライフサイクル環境負荷>」の概念を新たに定義し、それに従った輸送システムの環境面からの評価の方法論を示した。さらに、本手法の具体的な適用例として、a)地域内、b)地域間旅客輸送機関の評価を行った結果の概要を示す。

 a)地域内旅客輸送2地点間の輸送機関整備を対象とした推計モデルの定式化を試みた。鉄軌道等の公共交通機関が整備されると、区間需要の一部が転換するとともに、インフラや車両の建設・維持管理が新たに発生し、それに伴う環境負荷を推計する必要が出てくる。また、公共交通機関特有の問題として、事業者が輸送力(運行頻度・編成両数・車両定員等)を決定するため、輸送需要から実際の運行キロや運行効率(混雑率:自動車の場合の平均乗車人員に相当)を直接決定できない点がある。そこで本モデルでは、輸送力を規定する混雑率を政策変数として与え、地下鉄・路面電車(専用/併用軌道)・バス・自動車を比較対象に設定した試算の結果、1)鉄軌道へのシフトによる削減効果に比べ建設・維持管理による排出は小さいものの無視できない値であること、2)地下鉄整備の場合は、30,000 [/日・片道] 程度の需要がないと排出削減にならないこと、3)路面電車整備は、区間総交通需要が小さく転換率が大きい場合のみ排出削減となること、4)路面電車を併用軌道で運行する場合に自動車の速度低下が大きいと環境負荷が増加してしまう可能性が大きいこと、を明らかにした。

 b)地域間旅客輸送:地域間交通整備を環境面から議論することは、そのインパクトの大きさを考えると非常に重要であるものの、整備の計画段階では具体的なデータが得られないため、一般的なISO-LCAの考え方を適用するのは困難である。そこで、交通システムが模型パーツのように分解した「標準モデル」から構成されるものと考え、各標準モデルに関してあらかじめLCAを実施し、それらを組み合せることによりELCELを算出する「簡略LCA」手法を適用した。まず、鉄道を対象に標準モデルおよびその原単位を整備し、さらに、東京〜大阪間における磁気浮上式超高速鉄道の整備を対象に試算を試みる。その際、代替輸送機関である航空・新幹線鉄道・高速道路<バス・自動車>の走行に伴う環境負荷の減少分についても検討し、それをもってELCELを評価した。その結果、1)新幹線鉄道の環境負荷は非常に小さいが、磁気浮上式高速鉄道はその約3倍、航空や自動車はさらにその約3倍程度高いこと、2)磁気浮上式高速鉄道整備によって環境負荷はライフサイクルで3割程度増大するおそれがあること、ただし、3)利便性向上を考えると、それを上回る環境負荷増加には至っていないこと、などを明らかにした。以上、新規交通施設整備に伴う環境負荷の変化を、その需要の変化や波及効果の発生まで含めて評価することを可能とし、さらに実務における適用についての有効性も検証することができた。

(2)運輸部門における消費エネルギーの総量の低減手法に関する研究

 市販ハイブリッド車(HEVs)の体勢をしめる外部充電を要しない形式のHEVsの燃料消費率をガソリン車に準じた方法で評価する手法について、EV用のシャシーダイナモメータと市販HEVsを用いて検討した。

 ガソリンのみで走行した際の燃料消費率をFCoとすると、ガソリンと電気の双方で走行した際の燃料消費率FCmと試験前後での電池の電気量変化SOCには、

   FCmFCo(V/γ)(β/α)・(SOC/L  (1)

なる関係があることを導いた。ここに,α,βは各々、ガソリンまたは電気で走行した際の平均効率、γはガソリンの体積エネルギ密度、Vは電気系のシステム電圧,Lは試験時の走行距離である。これは、試験時の燃費計測値FCm が、ガソリン単独換算の燃費FCoy軸切片とする直線上にあり、この直線の傾きが電気、ガソリン走行時の平均効率比(β/α)に依存することを示し、複数回のモード燃費試験結果(FCmPCm)のデータ群から求めた回帰式からガソリンのみで走行した際の燃費FCoを求めることの妥当性を確認できた。この直線回帰法について試験精度に影響を与える要素等について検討し、試験基準を定める上で重要ないくつかの知見を得た。その例を以下に示す。

 図2は、車両の動作に影響のない範囲で試験開始時の電池状態を放電または充電方向にできるだけ大きく変化させて、比較的大きなSOCにたいする影響を見たものである。SOCの絶対値が大きな範囲で、燃費がより悪くなる方向に偏在し、効率が一定でないことが分かる。したがって、数回の試験結果から直線回帰を行う実際の試験では、直線性を満たすSOCの範囲(車両に依存)の見極めが課題であることがわかる。

 その他、明らかになった主な項目を列挙する。

 

2 燃費の線形性を確保できるSOCの範囲について

 

 1)△SOCと燃料消費量の相関は試験モードに依存する:△SOCの代わりに試験用モードの走行距離(km)で正規化した△SOC/kmの採用によってモード依存性は低減できる。

 2)冷間時スタート試験の測定値は誤差が大きい:複数の試験結果を同様な暖機状態同士で整理する処理方法で精度を大幅に改善できた。

 3)シャシーダイナモメータの模擬誤差:インテリジェントブレーキの模擬には2軸のシャシーダイナモメータが必要で、1軸の装置使用時の誤差は個別検討が必要である。

 少数回の試験結果から不適当なデータを排除する方法と、最終的な試験結果の精度を推測する手法を確立した。

 

3 デュアルモード動力システムの基本概念

 

(3)低燃費型新形式の導入による運輸部門の環境負荷低減に関する研究

 本研究では都市路線バスに最適な低環境負荷型動力システムとして、車載発電機と外部集電を併用し、電気モータで車両を駆動する「デュアルモード動力システム」を採り上げた。まず、デュアルモード動力システムに応用可能な要素技術開発調査を行った。

 

4 ショートトリップ毎にみたモータシステムの電気エネルギーと機械エネルギー

 

 一方、実車走行調査により路線バスに特有な運転条件を把握し、それに要求される動力性能を求めた。これらの結果から、バス用デュアルモード動力システムの基本概念を構築した。

 つぎに、モータシステムや二次電池等の個別要素技術の定量的な性能評価を行うと共に、燃費評価プログラムを作成してデュアルモード動力バスの燃費を算定した。

 都市域のモデル路線を想定し、導入形態を数値化して、乗用車から転換する旅客量を仮定した。それに基づいてモデル路線におけるCO2排出抑制量を推計し、さらにこのシステムを導入可能と考えられる全ての都市域で用いた場合のCO2排出削減効果を予測した。

 これらの成果は以下の通りである。

(a)デュアルモード動力システムに応用可能と考えられる構成要素として、VVVF制御方式誘導電動機、リチウムイオン二次電池、スーパーキャパシタ、接触式集電装置、高効率車載装置等の開発状況を調査した。また既存の路線バス車両を用いて営業路線上で実車走行を行い、車速データを解析して、加減速等の要求性能やエネルギー回生の可能性について考察した。これらの結果に基づき、図3に示すような都市用路線バスに適するデュアルモード動力システムの基本概念を構築した。

(b)駆動モータシステム等の構成要素の性能・効率を、台上運転装置や充放電試験装置等を用いて定量的に評価した。その結果を図4に例示する。またデュアルモード動力システムの燃費計算プログラムを作成しシミュレーションを行った。それらにより、従来型都市バスの2倍の燃費を達成する技術的な見通しを得た。

 

5 デュアルモードバス導入の路線モデル

(大都市:モデル1、地方主要都市:モデル2

 

(c)都市の交通状況とバス輸送の実状を踏まえ、デュアルモードバスを導入する路線のモデルを図5のように設定した。モデル路線にデュアルモードバスを導入した場合のCO2排出量は車両製造、インフラ整備に関わる部分を含め、従来型バスより約50%削減され、またLRTLight Rail Transit)の導入と比較しても排出量削減効果が大きいと予測した。

 

6 デュアルモードバスを導入可能な全都市域で使用した場合のCO2削減効果

 

(d)全国の主要都市でデュアルモード

 バスの導入が可能と考えられる路線を抽出してモデル化し、これらにおける従来型バスの置換に加えて乗用車利用者の一部のバス転換によるCO2排出低減量を試算した。その結果、図6に示すように、乗用車からバスヘの転換率が高くなるとCO2低減効果は大幅に上がり、年間の総排出量は20%の転換で約140kt50%の転換で約330kt低減されると推定した。

(4)環境効率向上策のアジア諸国への適用可能性評価に関する研究

 本サブテーマの目的は発展途上にあるアジア諸国に適した環境に優しい輸送機関を求めることにある。そこで現在急激にモータリゼーションが進展している中国北京市をモデルにして、CO2排出を抑制しつつ、大気汚染を改善することが出来る公共交通機関について考察した。

 

7 想定した60人乗りデュアルモードバス

 

 中国北京市における交通需要の変化は極めて急激である。90年代には6年間で輸送人員は2.5倍に増加した。一方貨物輸送は最初の3年間増加したが、工場等の郊外移転によってその後急激に減少している。また自動車の台数増加も急で、90年代の年平均増加率は乗用車で30%、バス等を含む総台数で20%である。この中でバスは7%増加している。平均経済成長率が10%程度を維持する中で地下鉄整備が進められているが今後もバスを含む自動車輸送に依存していかなければならない現状にある。実際北京市では2008年のオリンピックに向けて地下鉄やライトレールシステムを建設し、総延長距離を2.8倍にする計画であるが、発展中の国にとってコストの高い公共交通機関の建設は負担が大きいため、自由度が高く、比較的安価に導入できるバス輸送についても強化していく方針である。2002年、13,000台の都市バスを2008年には21,000台にする予定である。2008年のバスと鉄道の輸送人員比率は91と予測されており、地球温暖化や大気汚染の観点から環境に優しいバス輸送システムの導入は、北京市にとって最も重要な課題の一つである。

 中国における使用実態に基づいて解析すると、バスの一人当たりの燃料消費は乗用車の13であり地球温暖化防止の観点から、今後急激な増加が見込まれる乗用車の使用を抑え可能な限りバスにシフトする必要がある。またバス輸送は、細かい需要に応じて、路線設定や輸送容量をフレキシブルに変更できるため、発展途上国におけるTDM(交通需要マネジメント)導入のためのべースとして活用できる。環境に優しいバス技術は燃料電池自動車をはじめ多く存在するものの、純粋電気走行とハイブリッド走行を行えるデュアルモードバスは電気駆動であることを活用して、外部信号による自動制御等が可能なことから将来のTDMにも対応できる。また十分熟成された信頼性の高い技術を用いることが出来るため発展途上国に適した新形式バスといえる。

 

8 バスの走行ルートと駆動モード

 

 そこで、サブテーマ(3)で検討したモータ、ニッケル水素電池やキャパシタ等から構成されるハイブリッド動力システム(図7)を想定して、実用条件下におけるエネルギーフロー解析からバスの総合エネルギー効率を求める方法を考案した。そして各種使用条件下における燃費を計算した結果、図8に示す、北京市の中心部における無公害電気走行を5km確保した条件下で、CO2排出が25%低減できるデュアルモードバスが技術的に可能であることがわかった。

 

4.考察

 エネルギー種別・駆動方式別車両の評価に資するデータベース及び車両性能評価システムの開発、エネルギー生産・供給・貯蔵の方式、交通需要等の地域特性を反映した評価が可能となりつつある。一方、HEVsに適したエネルギー効率測定法の開発では、電池の状態変化と燃費が比例状態にある範囲の検定方法、電池の電気量変化の測定精度、少数回の試験結果から不適当なデータを排除する方法、最終的な試験結果の精度を推測する手法を確立した。また、高効率デュアルモードバスについて、実走行データの解析により、発進停止の頻繁な都市路線バスに適した動力性能を持つシステムを設定し、実験によって従来型バスの2倍の燃費が達成できる見通しとその導入効果の推定を行うとともに、中国北京における交通需要を基に導入可能性を検討し、技術的にもその可能性を明らかにした。さらに、拡張ライフサイクル評価(ELCEL)に基づいてインフラ建設、需要誘発、走行速度を考慮するモデルシステムを用いることで、交通施設整備に伴う環境負荷の変化を、その需要の変化や波及効果の発生まで含めて評価することを可能とし、さらに実務における適用についての有効性も検証することができた。

 

5.研究者略歴

課題代表者:近藤美則

1964年生まれ、神戸大学大学院工学研究科修了、博士(工学)、現在、独立行政法人国立環境研究所 PM2.5DEP研究プロジェクト 交通公害防止研究チーム 主任研究員

主要論文:

 ゞ疇ら・大気環境への負荷から見た自動車のLCAの課題、自動車技術、Vo1.56No.7PP.39-442002

◆ゞ疇ら:資源輸入に伴う環境負荷の定量化と負荷の配分方法がLCIに与える影響の分析、日本エネルギー学会誌、第77巻、第11号、1062-10691998

 Y. Kondo et al, C02 emissions in JapanInfluences of imports and exports, Applied Energy, VoI.40, No.4, 1998

 

サブテーマ代表者

(1)近藤美則(課題代表者に同じ)

 

(2)清水健一

1943生まれ、早稲田大学理工学部応用物理学科卒業、工学博士、現在、独立行政法人産業技術総合研究所 エネルギー利用研究部門 クリーン動力研究グループ 主任研究員

主要論文:

 K. Shimizu et al, Chassis Dynamometer for Evaluating EVs, Proc. of the 12th International Electric Vehicle Symposium, Anaheim, Vol.2, pp.689-698, 1994

◆\郷綏魄譴蕁⊇偲転態推定機能を持った車載型電池管理システム、自動車技術会論文集、Vo1.28, No.3, pp.83-88, 1997

 Ko Shimizu et al, A Few Remarks on a Bench Test for Re-generative Energy Evaluation, Proc. of the 16th International Electric Vehicle Symposium, 1999, Beijing, on CD-ROM

 

(3)成澤和幸

1951年生まれ、東北大学大学院工学研究科終了、現在、独立行政法人交通安全環境研究所 環境研究領域 上席研究員

主要論文:

 \澤ら、An EGR Contro1 Method for Heavy-duty Diese1 Engines under Transient Operation, 1990 SAE TRANSACTIONS Section 1990

◆\澤ら、Optimization of Performance and Energy Consumption on Series Hybrid Electric Power System, SAE Hybrid Vehicle Engines and Fuel Technology, SP-1422 (1999), 1999

 成澤ら、Electricity Flow Analysis in the Series Hybrid System by the Charge-discharge Tester, SAE Paper 2001-01-0784 (2001), 2001

 

(4)成澤和幸(サブテーマ3代表者に同じ)