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[F−1 地理的スケールにおける生物多様性の動態と保全に関する研究]

(1)地理的スケールにおける生物多様性の現状と歴史的変化の把握

地理的スケールにおけるバイオトープの縮小・分断化の現状・動態の把握とその要因分析


独立行政法人土木研究所

 

 

 水循環研究グループ

河川生態チーム

島谷幸宏・尾澤卓思・皆川朋子


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11〜13年度合計予算額 37,882千円
 (うち平成13年度予算額 10,065千円)

[要旨]

 扇状地では、農業用水への揚水によって地下水位が低下し、伏流水や湧水の枯渇を招いている。そのため扇状地上を流れる河川は、流量の減少や湧水の減少が生じ、一時的に流水がなくなる区間があらわれる等、流水の分断が生じる。このような流水の分断は、物理的な河川の縦断的・横断的な分断とともに生物に大きな影響を与えていることが懸念されるが、この現状についてはこれまであまり着目されてこなかった。本研究は、環境改変による河川及び生物への影響に関する知見を得ることを目的に、那須野ヶ原扇状地を対象に、そこで生じた環境変化を踏まえ、流水の分断を含めた河川の分断化の現状と魚類への影響について明らかにするものである。
 那須野ヶ原扇状地は、特に昭和20年代から40年代までに森林から水田へと大きく改変された。このような水田の増加は地下水位の低下をもたらし、森林の減少は地下水涵養機能を減少させ、いっそう地下水位の低下を促進させたものと考えられる。地下水位の低下は灌漑初期の春季が大きく、10mにも及び、扇端部を中心に豊富に流出していた湧水の枯渇・減少の大きな要因となっている。
 このような環境変化が生じている地域を流れる小河川の堂川では、農業用水用取水堰が数多く設置され、物理的にも分断が生じ、灌漑初期において、取水や湧水の枯渇により流水の分断が生じていた。これらが及ぼす魚類への影響について調査したところ、落差工等の物理的な分断は魚類の移動を阻害する要因となり、湧水の枯渇による流水の分断は、魚類相が極めて貧弱になる可能性があることを示唆した。


[キーワード]

 河川、生物生息空間、分断化、構造物、魚類、ネットワーク