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[B−5 熱帯アジアの土地利用変化が陸域生態系からの温室効果ガスの発生・吸収量に及ぼす影響の評価に関する研究]

(2)熱帯林による二酸化炭素吸収の現地調査とその広域評価


独立行政法人産業技術総合研究所

環境管理部門 大気環境評価研究グループ

蒲生稔

域間環境評価研究グループ

前田高尚

日本大学生物資源科学部

 

上田真吾

東京情報大学総合情報学部

 

林 正康

(研究協力機関・研究者)

 

 

Center for International Forestry Research

藤間剛

独立行政法人森林総合研究所

森林環境部 樹木生理研究室

石田厚

Mulawarman University,Indonesia

Deddy Hadriyanto,Mansur Fatawi

Indonesian Institute of Sciences

Ridwan Jacub


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成ll〜13年度合計予算額 22,579千円
 (うち、平成13年度予算額 7,182千円)

[要旨]

熱帯多雨林気候帯での二次林の成長過程における二酸化炭素収支の機構解明のため、インドネシアのカリマンタン島において観測を行った。カリマンタン島ブキットスハルトにある30m塔を使用して二次林の成長段階における二酸化炭素収支の観測を行っている。このサイトでは1998年のエルニーニョに伴う異常乾燥による火災で高度15-20mで卓越していた二次林(主にMacaranga属)が消失し、その後3年にして高度10m近くまで復活してきている。観測は渦相関法による二酸化炭素収支、熱収支測定と気象観測からなっている。また土壌呼吸をチャンバー法により測定した。当研究期間中は、典型的な熱帯多雨林気候下での観測であった。年変化より日変化の方が大きいという熱帯多雨林気候のため、データの年内変動が小さい。観測されたCO2フラックス値を気象データでパラメータ化して、年単位の生態系純生産量NEP(あるいは生態系純交換量NEE)を概算した。また、毎木調査から求まる森林バイオマスの増加量から1次の純生産量NPPを求めた。さらに土壌呼吸量も考慮して、総生産GPPや全呼吸量など、この群落における炭素循環の構成パラメータ量も推定した。それによると、NEEはNPPとGPPとともに年々増加傾向にある。熱帯アジアにおける二酸化炭素濃度の季節的変動、大規模森林火災の影響、土地利用変化の影響を調べるため、インドネシアのスマトラ島ブキット・コタ・タバンにある国連環境計画(UNEP)の地球大気監視(GAW)局で二酸化炭素濃度の自動連続測定を行った。
スマトラ島ジャンビ州パシルマヤン試験地において定期的に土壌を採取し,土壌有機物の質的変化を調査した。CO2の土壌放出フラックス,土壌中全糖含有量,土壌呼吸速度との比較から,土壌有機物の窒素安定同位体比(δ15N)が易分解性有機物(EDOM)の量的指標として有効と結論した。パシルマヤン地域で得たδ15NとEDOMの関係が他地域にあてはまるか検討するため,広域で採取した土壌中有機物のδ15NとCO2放出フラックスの関係を解析した。その結果,CO2放出フラックスの地点間変動は,表層土壌有機物の無機速度ではなくリターの分解速度に依存すると推定された。


[キーワード]

 ニ酸化炭素収支 熱帯二次林 渦相関法 土壌有機物 窒素・炭素安定同位体比