検索画面に戻る Go Research



(1.2Mb)

[A−2 オゾン層破壊物質及び代替物質の排出抑制技術システムに関する研究]

(4)臭化メチルと代替物質の放出抑止技術システムに関する研究


独立行政法人農業環境技術研究所

 

 環境化学分析センター

石井康雄

 環境化学分析研究室

殷煕洙

 化学環境部有機化学物質研究グループ

農薬動態評価ユニット

遠藤正造・小原裕三・石原悟


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11〜13年度合計予算額 15,425千円
 (うち、平成13年度予算額 4,799千円)

[要旨]

 土壌くん蒸からの臭化メチルの処理量と大気放出量を削減するため、二酸化チタン光触媒含有積層シートを作成し、夏季における実証試験を行った。二酸化チタン光触媒含有積層シートを用いることで、大気への放出量は、処理量(32.8g/m2)の0.9%にまで削減でき、対照として行ったガスバリアー性フィルムの場合でも3.7%に削減できた。一般に用いられているポリエチレンフィルム(厚さ:0.05mm)で行った結果では、処理量の63.8%に達していた。この被覆資材の改良による大気への放出量削減技術は、これまで農家が行ってきた土壌くん蒸処理作業と同様に行えること、新たな機械類を要しないことが特徴である。また、被覆資材下部の臭化メチルの濃度時間積から、現行の処理量(30g/m2)の2/3程度にまで削減の可能性があることが示された。また、臭化メチルを含めた土壌くん蒸剤の大気中濃度連続一斉モニタリング方法を検討し、カーボン系吸着剤を充填した捕集管による大気捕集と、熱脱離導入装置を備えたガスクロマトグラムイオントラップ質量分析計の最適化を行った。茨城県下の園芸地帯の阿見町と伊奈町で2000年2〜5月に、鉾田町で9〜ll月に大気環境中くん蒸剤濃度の推移を測定した。阿見町では1,3-ジクロロプロペンが頻繁に検出され、最大で600μg/m3(8時間加重平均濃度)を越えた。伊奈町のサンプリング地点は苗生産農家に隣接しており、臭化メチルが土壌くん蒸処理ごとに頻繁に検出され、最大で900μg/m3を超えた。鉾田町では1,3-ジクロロプロペンとメチルイソチオシアネートが数μg/m3以上の濃度で測定期間中常に検出された。さらに、土壌くん蒸処理されたクロルピクリンと1,3-ジクロロプロペンの大気放出量を、実際の農耕地条件下で評価する方法の確立と、大気放出量を評価した。処理直後には、くん蒸剤の地表面への拡散が進んでいないため、大きな放出は観測されなかったが、処理2日後にクロルピクリンで353mg/m2/hr、1,3-ジクロロプロペンで160mg/m2/hの最大の放出フラックスが観測され、その後漸減していった。被覆期間が13日間と長かったため、被覆期間中に被覆資材を通し大気放出と土壌中での分解が進行し、被覆資材撤去時に大きな放出フラックスは観測されなかった。有効成分処理量に対する積算放出量割合は、クロルピクリンで24.6%、1,3-ジクロロプロペンで16.6%であった。


[キーワード]

 臭化メチル、土壌くん蒸、オゾン層破壊、放出抑制技術、代替薬剤