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[G−1 砂漠化の評価と防止技術に関する総合的研究]

(6)中国における砂漠化評価のための指標に関する研究



[環境省国立環境研究所]

 生物圈環境部 環境植物研究室

●戸部和夫、高 永(エコフロンティアフェロー)

 地球環境研究センター

●清水英幸


[平成10〜12年度合計予算額]

1,800千円

(うち、平成12年度予算額 1,800千円)


[要旨]

 世界的に進行する砂漠化を効果的に防止するためには、砂漠化の進行状況を適格に把握するための実用的で高感度な指標が必要である。本研究は砂漠化指標に関する既存知見の収集 ・ 整理とその検討 ・ 評価を目的として実施した。中国における砂漠化研究の歴史は比較的古く、これまでに多くの砂漠化指標やその確立の基盤となるような基礎的知見が蓄積されてきていた。本研究では、これらの中国における砂漠化指標に関連する文献およびその他の世界の砂漠化指標に関連する文献のレビューを行うことにより、既往の砂漠化指標に関連する基盤的情報の整理がなされるとともに、既往の砂漠化指標に関する問題点を明確化した。また、砂漠化指標に関連する文献等の資料のデータベース化がなされ、砂漠化指標に関連する情報の有効活用が可能になった。研究結果の一部として、中国の典型的な砂漠化地域である内モンゴルの放牧地の羊草(Leymus chinensis)草原の砂漠化過程に注目し、砂漠化の進行度と植生の変化との関連性の解析を行った。羊草草原の砂漠化が進行すると、優占種のバイオマス、平均高さ、個体サイズおよび草原の種構成が大幅に変化する。砂漠化か進行すると、優占種の平均高さと個体サイズが減少する。また、良質の植物(Leymus chinensis など)が減り、劣質の植物(Artemisia frigida など)が優占種になるが、これは羊草草原の質が劣化し、草原の利用価値が極めて低い状態になっていることを示す。このように草原の砂漠化指標についての詳細な検討を通して、植物を基準とした砂漠化指標確立のための一手法を提示した。


[キーワード]

砂漠化指標、中国、砂漠化、草原、Leymus chinensis