1.IPCC第4次評価報告書について |
(1) |
IPCCは、温室効果ガスによる気候変動の見通し、自然、社会経済への影響評価及び対策の評価を実施しており、直近では第3次評価報告書が2001年に作成されています(http://www.ipcc.ch)。 |
(2) |
第4次評価報告書は2007年に採択予定であり、第3次評価報告書と共に2005年以降本格化するとされる第2約束期間以降の国際的枠組み交渉における重要な基礎となるものです。 |
(3) |
IPCCは、自らが新たな研究を行うのではなく、発表された論文を評価し、IPCCとしてのとりまとめを行います。IPCCに認められるということは、その研究が国際的に高く評価されるということと同義です。 |
(4) |
IPCCは後述の日程にて作業を進めます。日本としてのこのプロセスに積極的貢献を行う観点からも、関連のご研究をされている方々には、是非ともタイミングを逃がさず論文を出されることを期待いたします。
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2.IPCCの組織 |
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IPCCには、3つの作業部会(WG:Working Group)及びインベントリータスクフォースがあり、第4次評価報告書はそれぞれの作業部会で検討します。
・第1作業部会 (WG1:気候変動の科学的知見)
・第2作業部会 (WG2:気候変動の自然と社会経済へ影響及び適応策)
・第3作業部会 (WG3:気候変動対策)
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3.IPCCの検討テーマ |
(1) |
本年4月に開催された第一回スコーピング会合の結果として、第4次評価報告書の骨子として以下のような提案が出てきています。なお、骨子は継続検討中であり、最終的には2003年11月のIPCC第21回総会で決定されます。
第1作業部会(WG1) |
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科学の進展についての紹介 |
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気候システムとの相互作用 |
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大気圏、陸面、海洋で観測された変化 |
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水圏、降雪、凍土の変化 |
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古気候 |
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気候モデル(気候値や季節変化の再現) |
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気候変動・変化の原因 |
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気候モデルによる予測(大気海洋結合モデルによる予測、予測の不確実性等) |
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地域別気候予測
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第2作業部会(WG2) |
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観察された地域気候変化の影響 |
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予測された将来の気候変動下での影響評価 |
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雪氷圏、土壌、水、生態系、食物、人の健康、海岸、インフラ、資源と開発への影響等 |
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予測される悪影響の軽減・回避手段の評価 |
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適応オプション、能力、プラクティスの評価等 |
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UNFCCC第2条に記されている主要な脆弱性の評価 |
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地域毎の分析 |
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アフリカ、アジア、豪/NZ、欧州、ラ米、北米、極圏、小島嶼国の個別地域ごとに、予想される影響、適応策、政策への影響等を評価
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第3作業部会(WG3) |
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気候変動緩和への挑戦 |
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気候変動の時間軸、長期的な緩和措置と短期・中期的緩和措置の関連 |
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意志決定、不確実性、コスト、技術開発と普及、分配・公平性の枠組み、等 |
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長期安定化及び緩和シナリオの評価 |
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緩和・安定化シナリオ、開発パスの可能性、技術の役割 |
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中・短期緩和措置の長期安定化への影響、等 |
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緩和措置の評価 |
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分野別の緩和措置の評価(温室効果ガス排出削減の可能性と効果、コスト等) |
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分野横断的事項(全般的な措置の可能性、経済的措置、マクロ経済効果、技術移転、持続的開発との関係等) |
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今後の国際合意の様式についての評価 |
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様々な緩和措置の公平性、効率性、効果 |
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適応とのリンク、地域協力、技術協力 |
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意志決定の枠組み等
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横断的テーマ |
横断的テーマは、WGをまたがる主要な課題として選ばれたものです。これらのテーマを報告書の中でどのように扱っていくか(例えば、それぞれのWG報告書の中の部分として扱うか、統合報告書の中で改めて取り上げるかなど)については、現在、検討中です。 |
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不確実性とリスク |
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緩和と適応の統合 |
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主要な脆弱性(GHG濃度の危険なレベルを含む) |
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持続可能な開発 |
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地域毎の評価 |
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水 |
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技術
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(2) |
なお、これらのテーマ及び各国政府の意見を踏まえ、二度(4月及び9月)のスコーピング会合により第4次評価報告書骨子案を検討、作成し、2003年11月の各WG全体会合及びIPCC総会にて第4次評価報告書の骨子及び作成作業計画が承認される予定です。
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4.第4次評価報告書の作成に関する今後の予定
2003年 |
4月14~16日 |
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第1回スコーピング会合(第4次評価報告書の範囲、手法、主要な科学的事項、横断的事項等) |
第1回スコーピング会合後 |
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スコーピングペーパー案配布、各国コメント受付 |
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9月1~3日 |
: |
第2回スコーピング会合(横断的事項、統合報告書、第4次評価報告書骨子案・作業計画作成) |
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11月3~7日 |
: |
IPCC第21回総会(骨子案・作業計画の審議、承認)
(11月4-5日は、各WG全体会合) |
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11月 |
: |
事務局より、各国・機関に対し、執筆者・査読者を募集 |
2004年 |
4月 |
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IPCC及び作業部会ビューロービューローが執筆者・査読者を選択 |
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6月以降 |
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第1回CLA/LA会合の開催 |
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↓ |
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(作業計画に従って、第4次評価報告書ドラフトの執筆に着手) |
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↓ |
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(第1次・第2次ドラフトについて、査読者及び政府によるレビュー) |
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↓ |
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(IPCC総会にて受理、採択又は承認作業が行われ、完成・公表)
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統括執筆者 |
:CLA(第3次評価報告書では、CLA・LA併せて455名、日本からは21名) |
代表執筆者 |
:LA |
執筆協力者 |
:CA(第3次評価報告書では839名) |
査読編集者 |
:RE(第3次評価報告書では72名、日本から3名) |
査読者 |
:Expert Reviewer(第3次評価報告書では日本から68名)
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5.IPCC国内連絡会について |
(1) |
IPCC国内連絡会は、第3次評価報告書の作成にあたって、平成11年より日本国内の執筆者・査読編集者を中心としたメンバー構成により、IPCC全体の進捗状況の把握や第3次評価報告書に関する情報の共有化・意見交換等を図る目的で開催されました。 |
(2) |
第4次評価報告書の作成に向けても、第3次評価報告書と同様に第4次評価報告書の執筆者・査読編集者(2004年4月、IPCCにより決定される予定)を中心にしたメンバーにより、連絡会を開催することを予定しております。 |
(3) |
この連絡会のもとには、必要に応じてIPCCの各作業部会に対応する分科会を設置し、分科会毎に執筆者の支援を行っていくことを検討しております。 |
(4) |
第4次評価報告書に対応した国内連絡会は、2004年度より設置し、開催していく予定です。
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6.IPCC国内連絡会準備会について |
(1) |
当面(H15年度中)は、スコーピング会合での検討状況についての情報提供及び、日本から提供可能な知見に関する検討等を行う目的で、国内の専門家の参加を得て準備会を開催していく予定です。 |
(2) |
構成メンバーは、第3次評価報告書の国内連絡会の委員、第4次評価報告書のスコ-ピング会合の出席者、及びオブザーバーとして今後IPCCでの活動が期待される研究者の参加により開催していく予定です。 |
(3) |
第1回目の会合は5月16日に開催されました。今後も、9月に開催される予定の第2回スコーピング会合に対応して開催する等、必要に応じて開催していくこととしております。
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7.問い合わせ |
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