地球温暖化防止に係る国民規模の啓発及び
国民参加の対策の強化のための基本方針
平成8年12月26日 |
環境庁地球温暖化防止対策推進本部決定 |
平成9年において、地球温暖化防止に係る国民規模の啓発及び国民参加の対策を強化するための環境庁の基本方針を以下のとおり定める。
(1)目的
- 地球温暖化の深刻さ、対策の緊急性など、地球温暖化防止に係る基本的な問題認識が人々に広く共有されることを目指す。
- 共通の基本認識の上に立って、今後の地球温暖化防止の取組について、幅広く、多様な論議や提言が活性化されることを目指す。
- 実際にCO2の削減に効果があり、人々がその実施に手応えを感じられ、取組の成果が分かりやすい、幅の広い取組が展開されることを目指す。
- 特に、地球温暖化防止京都会議に際して、内外に対し、我が国の取組状況等を適時的確に情報提供することを目指す。
(2)啓発や対策の内容
- 基本的な知識の普及
- 地球温暖化の状況、メカニズム、悪影響、人間活動との関わり
- 地球温暖化防止対策の必要性、その内容
- 地球温暖化防止京都会議の概要と意義
- 取組を巡る論議の促進
- 様々な立場からの取組の在り方についての提言の掘り起こし
- 様々な提言の普及や提言に基づく意見交換の促進
- 国民参加の対策の促進
- 様々な場面、立場で取り組むことのできる具体的対策の提案
- 諸外国の対策、国際論議の状況等、取組の背景となる情報の提供
- 全国の取組の実例の紹介、取組の展開や効果・成果の報告、相互の交流や優良事例の顕彰
- 地球温暖化防止京都会議の動きや成果
- 将来の国内施策のあり得る姿に関する国民への情報提供
- 海外のNGO等の参加者への各種の情報提供
- 海外のNGO等の参加者と日本国民との交流
(3)進め方の留意点
- 取組の推進に当たり、上命下達を避け、国民各界各層の主体的な活動を促進すること(それぞれの運動、行事の責任主体の明確化)。
- 京都会議の成功に向けて、様々な運動の相乗効果が出るよう、互いの協力や出会いの確保に力点を置くこと(全国の支援組織や地球環境パートナーシッププラザ等により、情報の集大成、アップデイト、意見や合意の集約、発信の場を提供)。
- 成果を数字で示すように努めること(参加人員、温室効果ガスの削減量等)。
- CO2削減への厳しい覚悟を訴える一方で、温暖化対策は、経済の足かせになるのではなく、新しい経済を作るものであることを訴えることにより、大きな視点を提供すること。
- あらゆる層を対象に、全国津々浦々で、あらゆるメディアを活用して地球温暖化対策を工夫を凝らして訴えること(専門家的なものだけでなく、入門的なものも実施)。
特に、訴える力の強い映像媒体やリアルタイムで情報提供ができ、かつ階層的に詳しい情報まで提供できるコンピューターネットなど、各種メディアの特性を効果的かつ積極的に活用する。
- 広く取組の呼びかけを行うとともに、環境庁を始め政府も率先実行計画を履行するなど積極的取組に努める。
(4)取組体制
- 環境庁内部での取組
- 地球温暖化防止対策推進本部の議論、決定を受けて、地球環境部はもとより各局部で取り組む。
- 地球温暖化に関する様々な動向に関する情報を広く収集し、環境庁のホームページや地球環境パートナーシッププラザを通じ、広く知らせる。
- 政府の関係省庁との協力
- 環境庁として、京都会議のロジ面を協力して分担するため、関係省庁と協力し、積極的に役割を果たす。
- 環境月間についての関係省庁連携体制を活用し、政府主催の催し等の拡充及びこれらについての情報交換や協力を働きかける。
- 広範な環境保全対策の取組については、関係省庁の積極的な参画を期待する。
- 全国の地方公共団体との協力
- 京都府・市は、財界、民間団体を含め、地球温暖化防止京都会議(COP3)京都実行委員会が平成8年末に設置されたが、その平成9年初からの活動開始を期待する。
- 地元での取組の中核となることが期待される関西地域の地方公共団体の協議会は、平成8年内に、その設置のための具体的協議を開始し、平成9年初から活動開始することを期待する。
- 地元の取組を環境庁として支援するほか、全国の地方公共団体へも、環境庁から一層の取組の呼びかけを行う。
- 民間団体(学界、財界、NGO)との協力
- 全国レベル及び関西レベルにおいて、それぞれ官民がこぞって参画する支援組織の設立を働きかけ、平成9年初からの活動開始を期待する。この支援組織においては、啓発の実施、資金の調達と諸活動への支援などを行う。
- 所管法人を始め、それぞれの団体の取組を把握するとともに、一層の取組を呼びかける。
- さらに、より広範な国民的な取組が巻き起こるよう、適切に支援する。また、NGOについては、特に地球市民の立場からの提言や行動及び国外NGOの受入に関して特段の取組が期待される。このため、環境庁としても極力支援に努める。
(5)スケジュール
平成9年を、いわば「環境年」とするような通年的な取組を行うが、時期毎の重点は、以下のとおりとする。
- 平成9年1月〜3月頃
- 地球温暖化の影響、対策の必要性、京都会議の意義などについての基本的な知識の普及、広範な取組の呼びかけ、各方面での取組体制の整備を中心に、9年度の様々な取組の準備を進める。
- 国民が広範に参加できる二酸化炭素削減のための対策の展開に着手する。
- 政令指定都市サミット(北九州市)や地球環境パートナーシップ世界会議(東京都内、GEA主催)等の諸行事を活用し、これとタイアップして啓発を進める。
- 平成9年4月〜8月頃
- 国際的な論議の集約をにらみつつ、対策の強化についての共通認識を形成する。
- 各方面での地球温暖化対策に関する意見形成とその発表を支援し、論議の盛り上がりを喚起する。
- 国民参加の二酸化炭素削減対策を本格的に展開し、成果に見通しをつける。
- 6月の環境月間等の機会を活用し、論議を深化させる。
- 平成9年9月頃〜11月末
- 京都会議に向けて意見や行動を集約し、その周知に努める。
- 各方面での議論の一定の収束や論点の明確化を期待する。
- 国民参加の地球温暖化対策の仕上げ、特に開催前100日の集中的なキャンペーンを展開する。
- 平成9年12月
- 京都会議を取り巻く関連行事の開催等を通じ、会議を盛り上げるとともに、会議の意義を周知する。
- 広範な場面での会議参加者との交流を通じ、京都会議の成果を共有する。
- 平成10年1月以降
- 京都会議の成果の普及を図る。
- 京都会議で合意された新たな国際約束を履行していくための国民的な共通認識の形成・高揚を図る。
- 二酸化炭素排出抑制・削減のための啓発・対策を引き続き強化する。
- 取組の成果を定期的にフォローアップする。
地球温暖化防止に係る国民規模の啓発及び国民参加の対策の強化のための各方面の取組の現状について