環日本海環境協力会議 (NEAC)

 

1 目 的

北東アジア地域各国の環境専門家により、各国の先進的な環境保全への取組、及び本地域における環境協力のあり方などについて、情報交換及び政策対話を進める。

2 参加国

日本、中国、モンゴル、韓国、ロシアの5カ国から、中央政府の環境担当機関、地方自治体、研究機関等の専門家。また、国際機関であるUNEP (国連環境計画)、UNDP (国連開発計画)、ESCAP (国連アジア太平洋経済社会委員会)からも専門家がオブザーバーとして参加している。

3 背 景

昭和63年以降、韓国の提案に基づき日韓環境シンポジウムが開催されてきた。この会議にUNEPの協力を得て中国が参加し、更にはソ連 (当時)とモンゴルがオブザーバーとして出席したことから、北東アジア各国による情報交換及び地域協力の発展の可能性が検討されることとなった。

平成4年からは、「環日本海環境協力会議」と言う新たな枠組みとして、毎年開催している。

4 開催状況
第14回
 
平成18年2月 日本/東京
第1回 4年10月 日本/新潟市
第2回 5年 9月 韓国/ソウル
第3回 6年 9月 日本/城崎町
第4回 7年 9月 韓国/プサン
第5回 8年10月 中国/北京
第6回 9年10月 日本/新潟市
第7回 10年10月 韓国/済州島
第8回 11年11月 日本/舞鶴市
第9回 12年 7月 モンゴル/ウランバートル
第10回 13年10月 韓国/仁川市
第11回 14年12月 中国/海南省
第12回 15年11月   日本/富山市
第13回 16年12月   韓国/ソウル
5 会議の概要

この会議においては、各国の環境専門の行政官や研究者が一堂に会し、環境保全に関する幅広い議論を行っている。従って、何かを決定することよりも、各国の環境情報を共有し、参加者間の相互理解を深め、もって自国の環境政策の推進や、二国間・多国間の公式な協力関係の促進に貢献することを目指している。また最近は、環境協力における地方自治体の役割がますます重要になっている背景から、地方自治体の参加促進のため、公開シンポジウムの開催などを行っている。

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議長サマリー
環日本海環境協力会議
1992年10月15日
新潟・日本

[開催状況]/[TOP]

1992年10月13日から15日まで、新潟市において、環日本海環境協力会議が開催された。会議には、中国、韓国、モンゴル、ロシア及び日本から中央政府及び地方政府が、また、国連環境計画、国連開発計画、アジア太平洋経済社会委員会の代表者が参加した。

会議全体を通じて参加者は、各国の環境の現状、とりわけ、大気及び水質、海洋汚染、廃棄物管理及びリサイクル並びに生物多様性及び自然保護の現状や各国間の環境協力の将来について、オープンで率直な情報と意見の交換を行った。

全ての地域内諸国の間で環境協力をしていくこと、その際には、官民双方の、また、非政府組織や草の根の団体の活発な参画が必要であることに意見の一致を見た。情報、経験及び専門的知見の交流が定期的になされるべきであり、そのことにより、地域全体の共通の関心事項である環境問題に関して、政策対話のプロセスを築いていくことができることが強調された。

会議は、本年9月2日から5日まで「UNCEDと21世紀の環境体制の展望」に関する92年ソウルシンポジウムを開催した韓国当局のイニシアティブに留意するとともに、同シンポジウムで合意された非公式環境ネットワークを一層発展されることを支持した。

環境分野における地域協力を促進するため、環日本海環境協力会議は、今後、毎年定期的に、できれば毎回地域内の異なる国のホストにより、開催されるべきことが合意された。

参加者は、住民のニーズと関心に密接していることから地方自治体が有しているそのユニークな役割に鑑みて、地域協力計画の立案と実施のプロセスに地方自治体の積極的な参加を確保することが重要であることに留意した。

地域協力は、まず、既に一定の行動が開始されているもの、あるいは、緊急の対応が必要なものといった優先分野を選択し、そこから始められるべきことが指摘された。地域協力の形態としては、情報交換ネットワークの早期構築、酸性雨、沿岸域及び内陸水域の汚染、生物多様性等に関する共同調査及びモニタリングの実施、特定分野における共同研究、共同訓練の実施が提案された。また、環境管理のための経済的手段の活用についてケーススタディを実施することに対して、特に強い関心が寄せられた。

こういった活動を促進していくための資金上、組織上その他の具体的なメカニズムのあり方については、近い将来、望むらくは次回の環日本海環境協力会議において、さらに詳細な検討がなされるべきである。次回会議については、韓国政府からこれをホストしたいという申し出があった。これに関連して、国連諸機関は、参加各国の努力や活動の調整、そして国連システム全体の調整に当たって、積極的な役割を果たすべきである。

参加者は、本会議を組織し、開催した日本政府環境庁に対して、また、新潟県当局及び新潟県民による暖かい歓迎に対して、感謝の意を表明した。


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第2回環日本海環境協力会議
1993年9月15~17日
ソウル・韓国

[開催状況]/[TOP]

  1. 第2回環日本海環境協力会議は、1993年9月15日から17日まで韓国・ソウルにおいて開催された。同会議は、大韓民国環境部の主催により、中国、日本、韓国、モンゴル及びロシア連邦の大臣・副大臣レベル、並びに国連環境計画、国連開発計画、アジア太平洋経済社会委員会、国連大学の代表が出席した。
  2. 各国の参加者は、本会議が高まる地域環境問題に対して重要な役割を担っていることを再確認した。参加者は、地域環境の改善に貢献するうえで、各国間の相互理解を深めるために、環境分野における人材、情報、経験、技術などについて、多様な交流を拡大することの必要性を表明した。また参加者は、将来に向けて本会議を継続し、さらに発展させることで合意した。
  3. 参加者は、北東アジア地域の留意すべき環境問題が、大気・海洋・水質汚染防止、廃棄物管理、生態系保護、森林保全、砂漠化防止などであることを表明した。特に環境劣化を抑制するために、経済的誘因の利用と地方政府の役割について重点が置かれた。
  4. セッション3において、参加者は、「共同研究プロジェクトの探究とその実施」における様々な事項について議論を行った。地域共同研究の優先分野として、資源リサイクルネットワークの設置と、クリーンコール燃焼技術の開発や大気モニタリングと分析の方法などを含む大気汚染対策があげられ、承認された。
  5. 会議開催中に、各国の代表者は、Young Sam Kim大韓民国大統領に表敬訪問する機会が与えられた。代表者は、大統領の好意に深い感謝の意を表した。
  6. 各国及び国際機関の参加者は、会議成功に導いた韓国環境部の努力と貢献に感謝し、また会議に貢献したその他の組織に対して、感謝の意を表した。
  7. 各国の参加者は、国際機関の功業と貢献を称賛し、環日本海環境協力会議の発展のために今後の協力も求めた。それに関して、国際機関の代表者は、引き続き協力することで同意した。
  8. 参加者は、第3回環日本海環境協力会議を1994年に日本の兵庫県で開催することで合意した。

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第3回環日本海環境協力会議
1994年9月28~30日
兵庫・日本

[開催状況]/[TOP]

1. 第3回環日本海環境協力会議は、1994年9月28日から30日まで日本の兵庫県城崎町において開催された。同会議には、中華人民共和国、日本、モンゴル及びロシア連邦の中央・地方及び研究機関の高級官吏、並びに国連アジア太平洋経済社会委員会 (UN-ESCAP)の代表が出席した。
2. 本会議は北東アジア地域の環境問題に関する意見・情報交換のためのフォーラムの役割を果たしており、域内の環境保護に関する協力の強化を目的としている。本年の会議の中心テーマの1つは国連持続可能な開発委員会 (UNCSD)のイニシアティブについてフォローアップすることであった。各国の環境保護政策の策定と実施及び域内の持続可能な開発の推進が議論され、持続可能な都市、生物多様性の保全及び将来の地域協力をめぐる問題について情報と意見の交換が行われた。
3. 域内で工業化が進むにつれて、環境と人間の健康に関連する問題も増加している。このような問題は、この地域に広がっており、産業公害、廃棄物処理及び砂漠化は、その問題の一部である。しかしながら、気候変動や生物多様性の喪失を含めて、地域的に取り組まなければならない地球規模の問題も数多くある。したがって、各国はそれぞれの環境保護政策、規制及び活動を強化してきている。
4. 地球サミットにおけるアジェンダ21の採択により、各国は持続可能な開発を達成するための国家戦略を策定することを、努めるように求められている。これは、国際的義務を果たすための国内法の整備を含めて、北東アジア諸国に重要な責任を課している。持続可能な開発への移行が行われるようにするためには、社会・経済構造の改革も必要となるであろう。本会議では、持続可能な開発を達成するためには国家戦略とともに総合的な地域戦略が必要であることが認められた。このような戦略には、経験、情報及び技術の交換、並びに経済的手法の実施を含む効果的な政策と措置の促進を通じた国際協力及び地域協力が含まれるべきである。地域戦略の策定は地域独特の多様性と域内諸国共通の特徴の双方を識別し、これらを効果的に利用するべきである。
5. 本会議で注目を集めた3つの主要テーマは持続可能な都市、生物多様性の保全、及び協力の強化であった。
6. 持続可能な都市
a) 都市は人間の主要な居住地域であり、人間の経済、社会、政治活動の中心となる地域である。市街地や郊外では大量の廃棄物が排出されるため、これらを処分する必要がある。巨大都市の成長が続いており、ハイペースの都市化が予想されている。適切な対策が取られなければ、すでに多くの都市に存在している大気、水及びその他の汚染問題がさらに悪化することになろう。下水処理システムや廃棄物処理システムのようなインフラ施設の不足は汚染や他の都市問題につながるであろう。そのような問題への取組は、持続可能な都市を創造するためのすべての戦略における必須の構成要素とならなければならない。大都市部における資源大量消費パターンを、リサイクリング、再利用及び消費削減を通じてより持続可能な消費パターンに変更していく必要がある。
b) 都市問題は極めて密接に相互関連しているので、持続可能な都市開発の実現には包括的、総合的アプローチが必要である。公害を出さない大量公共輸送システムが必要であり、他方、大気汚染及び水質汚濁を削減するために最良の汚染削減技術及び下水処理技術が導入されるべきである。北東アジアにおける膨大な都市開発問題の解決には注意深く策定された戦略が必要である。
7. 生物多様性の保全
a) 生物多様性条約は1993年12月に発効しており、その実施の詳細について議論するため、締約国会議の第一回会合が本年11月に開催される。本会議は同条約の実施について議論し、関連情報を交換するための時宣にかなった機会を提供した。
b) 域内の生物多様性が保全されるには、各国の状況を明確に把握することが重要である。調査及び監視データを利用可能な形式にまとめるとともに、新しい保護地域と保護されるべき種の指定を含めて、既存の保全活動を改善するために利用する必要がある。参加国間には、類似した似たような自然生態系があるので、各国の保護地域や絶滅に瀕した種の管理のための保全技術並びに生物多様性の状況に関する情報を交換しあうことが有用であろう。
c) 地方政府、地域社会及び個々人による地域レベルでの行動をもっと重視する必要がある。適切な草の根レベルの行動がとられるように生物多様性の重要性について国民の意識を高める必要がある。
d) 生態系と生物多様性を維持するメカニズムは複雑であるので、科学的に適正な政策を開発するためには、それらについての知識を深めることが不可欠である。したがって、所要の研究の推進、研究計画の調整及び情報の交換を促進するべきである。
8. 協力の強化
すべての参加者は北東アジア地域諸国間の協力の強化の重要性を認識した。持続可能な開発に関する行動が効果をあげるためには、社会のあらゆるレベル間の協力が必要である。政府はその政策、計画及び予算が持続可能な開発に向けての協力的な行動を支援するように保障する必要があるだろう。このような計画への国民と産業界への参加を促進するべきである。最終的には、域内における持続可能な開発の成否は、ある程度、民主的意思決定プロセスにおいて自由かつ効果的に協力を行う、域内国民の教育及び能力に依拠するところとなるであろう。
9. 行動のための提案
本会議で2つの協力活動が提案された:
* 国連等の国際機関との緊密な協力により、北東アジア地域の都市の持続可能性に関する報告書の作成。
* この地域の環境分野で活動している中央政府、研究所及び関係機関の連絡先名簿の作成。
10. 感謝
参加者はこの大いに成功した会議を組織した兵庫県及び環境庁に心より感謝の意を表した。
11. 次回会合
第4回環日本海環境協力会議を1995年秋に韓国の釜山市で開催したいという韓国側提案が会議参加者により満場一致で承諾された。

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第4回環日本海環境協力会議
1995年9月19~21日
釜山・韓国

[開催状況]/[TOP]

1. 第4回環日本海環境協力会議は、1995年9月19日から21日まで、韓国の釜山市において開催された。韓国環境部及び釜山市が世界保健機関 (WHO)の支援を得て同会議を組織した。同会議には、中華人民共和国、日本、大韓民国、モンゴル及びロシア連邦の中央・地方政府及び研究機関の高級官吏並びに、国連環境計画 (UNEP)、国連開発計画 (UNDP)及び国連アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP)の代表が出席した。
2. 会議の大きな目的は、北東アジア地域の環境問題のための協力関係を構築することであった。参加者は、各国が環境問題に如何に対処しているか、及び地域環境協力を進めるために北東アジアの国々が如何に効果的に共に行動することができるか、について情報及び、意見を交換した。
3. 会議の内容及び成果から、大気汚染、水質汚濁、廃棄物管理及び温室効果ガスの排出の分野で地域環境協力のために既にいくつもの道筋があることが示された。さらに、アジェンダ21の採択以降、各国は、持続可能な開発に向けて、国内及び国際的な環境問題を統合する努力をしている。この点に関し、参加者は、国によって経済及び技術開発のレベルが異なることから、地域環境戦略を立案し採用する際、共通だが差異のある責任があることを強調した。
4. 第4回環日本海環境協力会議の主要なテーマは、①アジェンダ21の実施を支援するための主要なグループ (地方自治体、NGO)の役割、②汚染物質の越境移動に伴う問題に関する協力方策、③気候変動枠組条約に関する各国の見解及び方策、④有害化学物質の管理に関する経験と方策、⑤都市環境問題 (持続可能な都市、廃棄物管理)への取組み、であった。
5. 地方自治体及びNGOの役割
a. 地方自治体及びNGOの活発な参加及び協力は、アジェンダ21で述べられている持続可能な開発というゴールを達成するために重要である。これらのグループは、持続可能な開発の必要条件である市民の個々の意識及び行動に対し、より直接的に影響を与え得る。
b. 全体的に、これらのグループがアジェンダ21の実施を支援するために、環境保全型都市の実現及び開発と環境の統合のための短期的及び長期的ビジョンが必要である。
6. 汚染物質の越境移動に関する協力方策
a. 大気や水を通した汚染物質の越境移動は、国内的及び地域的に重要な問題である。多くの北東アジア諸国は、海洋汚染、廃棄物の違法取引等に対処する二国間協定を既に結んでいる。
b. 比較可能なデータベースの構築や協力メカニズムの創設のような課題への取り組みを明らかにするために、各国間の協力が必要である。さらに、越境大気汚染問題に対処するため、任意の約束に基づく行動計画が参加者から求められた。東アジア酸性雨モニタリングネットワーク設立に関する進捗状況も報告され、参加者から歓迎された。
7. 気候変動枠組条約に関する見解及び方策
a. 温室効果ガスの発生源及び吸収源に関する各国からの正確で包括的な報告が、条件を効果的に実施するために必要である。
b. 参加者は、この問題は複雑で入り組んだ性質を持っており、共同研究プロジェクトや意見、情報及び資料の頻繁な交換に関する協力のスキームが必要であるとの結論に達した。
8. 有害化学物質の管理に関する経験と方策
a. 各国においては、経済開発及び工業化により、環境中の有害化学物質が増加しつつある。このため、これらの化学物質ラベリング、分類及び環境上健全な管理が、人間の健康及び環境を保護するため、次第に重要になってきた。
b. 有害化学物質の分類及びラベリングを調和させるために、隣国間で統合されたデータベースや有害化学物質の目録のようなスキームを開発するという、より行政的、技術的な協力が必要である。
9. 都市環境問題
a. 人間の活動は、通常都市地域に集中し、これが、環境悪化に最も影響を及ぼす要素の一つである。
b. 参加者は、都市環境を改善するために個々の、及び共同の努力が重要であることを認識した。全ての階層のこれらの努力への参加がさらに奨励される必要がある。個人、政府及びその他のセクターは、都市環境の改善に関する問題、解決方法及びゴールを明かにし、その上で具体的な方策によりこれらに対処するという調和のとれた行動が必要である。
c. 参加者は、韓国の「従量制家庭ごみ収集料システム」が、都市廃棄物を減量しリサイクルするための都市廃棄物管理の一つの好例であると認めた。特に、主催都市釜山市ではこのシステムの実施に成功しており、また、釜山市は、ローカルアジェンダ21も作成している。
d. 参加者は、環日本海環境協力会議が、ハビタットII (第2回国連人間居住会議)において、積極的な役割を果たすべきであるとの提案を歓迎した。
10. 行動の勧告
a. 参加者は、共通の課題に関する地域協力のための具体的な方策が必要であるとの結論に達した。特に、年次報告書、環境法、統計等を相互に交換する行動計画を本会議として策定するメリットを認識した。
b. 参加者は、有害化学物質の管理に関する協力スキームを開始するため、北東アジア地域の各国の環境庁 (庁)がコンタクトパースンを指名する必要があることに合意した。
c. 参加者は、北東アジア地域の環境問題に対処するための協力スキームに関し、当地域の全ての国が参加することが、地域環境問題解決に役立つことを認識した。その意味で、参加者は、環日本海環境協力会議の現在の参加国に加え、北朝鮮が参加すれば、地域環境協力が促進されるであろうと認識した。
11. 感謝
各国代表及び参加者は、韓国環境部及び釜山市に対し、彼らの暖かいホスピタリティーと第4回環日本海環境協力会議を成功裡に組織したことに対して心よりの感謝の意を表した。
12. 次回会合
参加者は、1996年に中国にて第5回環日本海環境協力会議を開催したいという中国の提案を満場一致で承諾した。正確な開催の日時及び都市は、後日、中国側が決定する。

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第5回環日本海環境協力会議
1996年10月7~8日
北京・中国

[開催状況]/[TOP]

1. 第5回環日本海環境協力会議 (NEAC)は1996年10月7日から8日まで中華人民共和国、北京市において開催された。本会議は中華人民共和国国家環境保護局により組織された。同会議には、中華人民共和国、日本、大韓民国、モンゴル、ロシア連邦の中央及び地方の政府・研究機関の高級官吏及び専門家並びに国連開発計画 (UNDP)、世界保健機関 (WHO)及び世界銀行 (WB)の代表が出席した。
2. 本会議の目的は、環日本海環境協力会議の果たす役割を再確認するとともに、過去数回の会議の経験を踏まえ、当地域の持続可能な開発の目標を提供するための機会とすることである。参加者は本会議が北東アジア地域諸国の環境部局にとって相互の環境政策及び管理に関する最新の動向が時宜を得て、発表される重要な概念となってきたことに合意した。
当会議はまた、既存の協力手段を通じた協力活動を進めるために環境協力の可能な分野、方法を拡大し、及び当該地域内での関連する地球環境問題における見解を調整するに当たって重要な役割を担ってきた。
3a. 各国における持続可能な開発を進めるための環境に関する政策、法律、管理等の最近の動き
1992年に開催された、環境と開発に関する国連会議以降、持続可能な開発の概念は人々の間に根づいてきており、また、世界的に経済及び社会開発に関する政策策定の基礎として、次第に組み込まれるようになってきている。会議においては、各国における環境に関する政策、法律、施行及び管理に関する最近の動向並びに持続可能な開発を行うための努力について報告が行われた。

出席者は、持続可能な開発の中核としての環境保全が、経済及び社会開発の過程全体に統合されるべきであることを強調した。これまでに、アジェンダ21及び各国のアジェンダ21を履行するために多大な努力が北東アジア諸国においてなされてきた。出席者は、国連特別総会が1997年6月に開催予定であることを認識した。このことから、アジェンダ21及びUNCEDで行われたその他の決議の履行に関する進行状況についての見解を交換するため、コミュニケーションの強化が必要である。

3b. 固体廃棄物の管理と廃棄物の違法越境移動の防止
参加者は、既にテストされ実行に移されたケーススタディ及び当地域からの参加国の進んだ経験を用いての各国の条件に応じた廃棄物管理の技術ガイドラインの作成について議論した。

会議は、国及び地域レベルでバーゼル条約の原則を実行していく上で、廃棄物管理についての具体的なガイドラインの情報交換の強化が重要であると結論した。

本件についてのキャパシティビルディングについては、次回の会議で更に議論される。

3c. クリーナープロダクション
参加者は、環境保全を推進していくうえで、クリーナープロダクション技術の果たすべき重要な役割について、情報と経験を交換した。

過去の経験から、クリーナープロダクション技術を促進させるうえで直面している問題は、資金及び技術的専門知識の不足、及び、諸制度の未整備であることが示された。

参加者は、NEACの次回会議においてもこの重要な議題について討議を続けることを同意した。次回会議においては、参加諸国における事例研究を報告し、プロセスを導入する際の主な困難さや障害を明らかにするとともに、情報交換ネットワークの協力関係の確立及びこの課題を扱うプロジェクトの検討を含めた次の段階の効果的な形態を議論し形成していく。

4. 大韓民国は、環日本海環境協力大臣級会合を本会合 (NEAC)と兼ねて、原則として2年に1度開催することを提案した。 参加者は、その提案を将来のNEACのセッションの中で更に検討していくことで合意した。
5. 謝辞
参加者及び各国代表者は、中華人民共和国国家環境保護局の温かい歓待及び第5回NEACを成功裡に組織したことに対し深い感謝の意を表した。
6. 次回会合
参加者は、第6回環日本海環境協力会議を1997年に日本の新潟県で開催することに満場一致で承認した。

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第6回環日本海環境協力会議
1997年10月14~16日
新潟・日本

[開催状況]/[TOP]

1. 第6回環日本海環境協力会議 (NEAC)は1997年10月14~16日、日本の新潟市において開催された。同会議は日本の環境庁、新潟県及び新潟市により主催された。参加者は、中華人民共和国、大韓民国、モンゴル及び日本の中央・地方環境当局、調査機関の高官及び専門家、並びに国連開発計画 (UNDP)、国連環境計画 (UNEP)及び国連アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP) の代表であった。
2. NEACは北東アジア地域の環境問題に関する情報・意見交換のためのフォーラムの役割を果たしており、域内の環境協力の強化を目的とするとの相互理解のもとに、各代表が基調演説を行った。参加者は最近の環境問題への取り組みを紹介し、NEACが域内の持続可能な開発を促進する上で重要な役割を果たしていることについて同意した。参加者はまた、1997年における最も重要な環境会議の1 つである国連気候変動枠組条約 (UNFCCC)第 3回締約国会議 (COP3)がこの12月に日本の京都で開催されることに留意した。国際社会にとっての環境問題の重要性を考慮して、参加者は重要な環境問題に関する情報・意見交換を継続し、域内諸国間の協力強化によって環境問題の解決策を追求することに同意した。
3. 第6回環日本海環境協力会議で討議された議題は次のとおりであった。
a. 酸性雨
b. 広域水質汚濁防止
c. 生物多様性保全
d. クリーナー・プロダクション
4. 酸性雨に関するセッションでは、現在のモニタリング実施、酸性雨の現状及び現在実施されている対策について、参加国及び新潟県により発表が行われた。地域協力を促進する活動のうち、日本により提唱された「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」及び韓国により組織された「北東アジアの長距離越境大気汚染物質に関する専門家会議」の2 つのプログラムが域内の既存の活動を調整するための効果的な努力として認識された。とりわけ、モニタリング手法の調査、方法論と事例研究に関する情報交換、及び意思決定プロセスへの科学データの適用に関して、UNDPとUNEPによる支援も提案された。
5. 広域水質汚濁防止に関するセッションでは、水質汚染の現状、沿岸地域の油汚染の問題、及び関連する対策に関して報告が行われた。淡水の水質だけでなく海洋の水質を改善するために陸上の汚染源を管理することが不可欠であることが認識され、諸国間の水質管理政策を調整することの重要性が指摘された。参加者は、この問題は地域協力の観点から次回会議でさらに討議されるべきであることに同意した。
6. 生物多様性保全に関するセッションでは、各国の活動と継続中の北東アジア地域協力活動に関する報告が行われた。いくつかの種は移動性があり、いくつかの種の生息地は国境をまたいでいることから、討議は情報交換を強化する必要性に集中した。参加国は、そのためには、二国間協定や他国間のプログラムのような既存のメカニズムが支援され、効果的に発展されなければならないことを認めた。モンゴル代表は国際越境生物圏の設置の重要性を提案した。
7. クリーナー・プロダクションに関するセッションでは、クリーナー・プロダクションの導入に向けた措置について報告が行われ、具体的なケース・スタディが報告された。参加者はクリーナー・プロダクションの概念が広いことを認めた。経営者、技術者及び従業員の間の認識を高めることの必要性と重要性が強調された。クリーナー・プロダクションを促進するためには、適当な技術が各国の条件に適用させるべきであることが指摘された。さらに、クリーナー・プロダクションを促進するために経済的利益を考慮に入れるべきであることが提案された。参加者は域内のこの分野の改善には諸国間の情報交換が不可欠であることを認識した。
8. 参加者は環境問題が相互に関連していること、したがって環境問題に効果的に取り組み経済的及び社会的悪影響を回避するためには全体的・総合的アプローチが追求されなければならないことに留意した。参加者は既存の協力の枠組みとプロジェクトの効果的実施を通じて環境協力を促進していくことに同意した。
9. 参加者は日本の環境庁、新潟県及び新潟市の温かい歓待と第 6回環日本海環境協力会議を成功裡に組織したことに深い感謝の意を表明した。
10. 参加者は、第 7回環日本海環境協力会議を1998年に韓国で開催したいとの韓国代表の申し出を歓迎した。具体的な開催期日と開催場所は後刻韓国側により決定されることとなった。

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第7回環日本海環境協力会議
1998年10月20~22日
済州島・韓国

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  1. 第7回環日本海環境協力会議 (NEAC)は1998年10月20~22日、韓国の済州島において開催された。同会議は韓国の環境部、斉洲市により主催された。参加者は、中華人民共和国、日本、モンゴル、ロシア連邦及び大韓民国、並びに、国連環境計画 (UNEP)及び国連アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP) の代表であった。
  2. NEACは北東アジア地域の環境問題に関する情報・意見交換のためのフォーラムの役割を果たしており、域内の環境協力の強化を目的とするとの相互理解のもとに、各代表が基調演説を行った。参加者は最近の環境問題への取り組みを紹介し、NEACが域内の環境協力と持続可能な開発を促進するうえで重要な役割を果たしていることに同意した。韓国の代表者が、北東アジア地域の協力を促進・組織化するために、またその主な長期方向を決めるために北東アジア大臣会合の開催を提案した。 
  3. 第 7回環日本海環境協力会議で討議された議題は次のとおりであった。
      a. 渡り鳥とその生息地の保全協力
      b. 地下水保全管理
      c. 持続可能な開発指針の開発と適用
      d. 大気汚染管理
  4. 渡り性水鳥とその生息地の保全協力に関するセッションでは、各国が渡り鳥の種と生息地について研究、監視、保護するなど国内外的に取り組んでいることを紹介した。最近の越境地域保護の成功や将来的に同様のプロジェクトの必要性が特に言及された。また参加者は、日本より提案された1998年3月の第6回ラムサール条約締約国会議においてまとめられたアジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略の重要性の認識と、そのネットワークにおける参加の奨励に対して同意を示した。
  5. 地下水保全管理に関するセッションでは、持続可能な利用を保証されるべき貴重かつ有限な資源として地下水の重要性を認識するために、各国の代表者より、最近の地下水保全及び利用と管理方針について発表が行われた。発表は、地下水資源を引く最新技術と、最近の地下水資源の質量の調査や貴重な資源の有効利用のための新技術の開発などの必要性について重点がおかれた。韓国の代表者は、技術開発、汚染管理、政策などについて多国間による情報交換を提案した。
  6. 持続可能な開発指針の開発と適用に関するセッションでは、最近の持続可能な開発と環境指針の発展状況について、参加国及び斉洲市の代表者より発表が行われた。持続可能な開発のために状況を評価し、政策をまとめるという持続可能な開発指針の重要性について合意が得られた。持続可能な開発指針の選択、開発、適用についての事例研究が発表された。新しい持続可能な開発の定義と会議の提案に向けた環境フォーカスとの関連についての討議が、ロシアと中国の代表者の間で行われ、参加者に同意された。具体的な行動計画を提出するために、次の会議では議題をさらに狭め、事務局のガイドラインに沿った発表資料を用意するなどの提案が出された。参加国における持続可能な開発の事例研究については、次回会議のために選択し、開発することが提案された。
  7. 大気汚染管理に関するセッションでは、大気汚染が環境と人間の健康に逆効果を及ぼすという事実を理解するために、参加国は領域内における最近の大気汚染状態の説明、最近の大気汚染規制の確認、リスク管理の取組の概説、大気汚染モニタリングと規制の将来的な開発の指針などの紹介がなされた。大気汚染の定義と各国によって異なる大気汚染管理政策の開発段階について、指摘があった。
  8. 地下水管理を含む水質管理に関する法大綱、規制、政策声明などは、北東アジア地域内外において持続可能な管理を促進するうえで役立つことが認識された。UNEP代表者は、UNEPが地下水の管理と大綱の出版などの促進に向けて努力しているNEACに対して、限られた財源でサポートすることを述べた。ESCAPの代表者は、技術面を討議するフォーラムの性質や参加と討議内容に関する柔軟性など、フォーラムの特徴を取り上げ、その特徴がさらに助長されることを奨励した。UNEP代表者より、ASEAN諸国が長距離越境大気汚染の地域合意に向けた支援をUNEPに求めている会議について話があった。韓国の代表者は、参加国が北東アジア地域内でも同じような地域合意をまとめることを提案した。
  9. 参加者は環境部と斉洲市の温かい歓待と第 7回環日本海環境協力会議を成功裡に組織したことに深い感謝の意を表明した。
  10. 参加者は、第 8回環日本海環境協力会議を1999年に日本で開催したいという日本代表の申し出を歓迎した。具体的な開催期日と開催場所は後日日本側より決定されることとなった。

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議長サマリー
第8回環日本海環境協力会議
1999年11月14~17日
京都・日本

[開催状況]/[TOP]

1. 第8回環日本海環境協力会議は、京都府舞鶴市において開催された。本会議は、日本国環境庁、京都府、舞鶴市及び環日本海アカデミックフォーラムにより共同で組織された。本会議には、中華人民共和国、日本、モンゴル、大韓民国、ロシア連邦の中央及び地方政府、並びに、国連環境計画及びアジア太平洋経済社会委員会の代表が出席した。
2. 北東アジア地域における環境協力では、地方自治体が重要な役割を果たしている背景から、全体のテーマを「環境保全に関する国と地方自治体の取組と環境協力への反映」として開催した。
 初日には、市民、NGO、地域社会、地方自治体、国における環境保全のための取組及び連携について、一般市民を交えて理解を深める公開シンポジウム「新たな地域連携と環境問題への取組:京都からの発信」を開催した。また、2日目以降は、各国及び国際機関の代表による基調講演の後、分科会として以下の議題による議論を行った。
(1) 地方自治体における環境保全への取組
(2) 環境協力における地方自治体の取組
(3) 気候変動問題への対策に関する国内及び環境行政機関の事業者・消費者としての対策
(4) 環境協力におけるインターネットの活用
3. 公開シンポジウムでは、「美しい風景を感じるとき ~それぞれの国の文化が創る村のデザイン~」と題した記念講演が行われ、伝統的農業による環境保全手法が紹介された。また、パネルディスカッション1「国際的な地域連携による環境問題への取組の可能性」では、地方自治体における情報及びコミュニケーションの欠如を克服することが今後の課題であること、地域社会のイニシアティブによる"市民連携"が北東アジア地域及び地球規模の環境問題の解決に貢献することなどが議論された。また、パネルディスカッション2「地域としての環境問題・環境協力への対応。今、何をすべきか」では、地域社会、国、北東アジア地域、地球規模のそれぞれのレベルでの、産官学の連携の重要性が議論され、同時に環境にやさしいライフスタイルの形成の重要性が強調された。
4. 各国及び国際機関の代表による基調講演では、環日本海環境協力会議が、本地域内での環境問題に関する情報及び意見交換のための重要なフォーラムであると位置付け、今後とも本会議を継続させ、またその役割を強化することの重要性が指摘された。また、各国政府及び各国際機関が近年実施してきた、地域社会、国家及び北東アジア地域のそれぞれのレベルにおける環境保全のための様々な取組みについて報告された。また、これらの取組みの連携の強化が強調された。
5. 分科会1「地方自治体における環境保全への取組」では、参加国の地方自治体による環境保全に関する様々な取組が報告された。また、市民、事業者及び地方自治体の参加が環境保全には不可欠であること、ローカルアジェンダ21の策定、実施が三主体が環境保全への取組みを促進すること、参加国の実施している活動の経験を共有することが不可欠であることなどについて議論された。
6. 分科会2「環境協力における地方自治体の取組」では、参加国の地方自治体による国際環境協力に関する様々な取組が報告された。また、地方自治体による環境協力には大きな可能性があることが指摘されるとともに、環境管理に関する情報、経験、技術の交換に関する姉妹都市関係などの具体的事例が紹介された。また、こうした地方自治体の環境協力の経験は、次回のアジア太平洋地域環境開発閣僚会合に向けての準備過程において、十分貢献しうるとの指摘があった。
7. 分科会3「気候変動問題への対策に関する国内及び環境行政機関の事業者・消費としての対策」では、参加国の気候変動問題に対する対策、及び参加国の環境行政機関が率先的に取り組んでいる様々な事例が報告された。また、来年は京都議定書の発効にとって重要な年であることから、参加国の気候変動問題に関する情報交換をより緊密にすることの必要性が提案された、。さらに、本会合を通じた気候変動問題に関する協力ネットワークの整備は緊密化を促進することが提案された。
8. 分科会4「環境協力におけるインターネットの活用」では、参加国が環境行政機関におけるインターネットの活用事例、及び、将来の活用の可能性について議論がなされた。 インターネットによる自由な対話は環境問題に関する関心を高めることが指摘された。また、課題としてネットワークの拡張にかかるコスト及び翻訳の必要性が議論された。さらに、今後の本会合の準備においてインターネットが活用できることが指摘された。
9. 次回会合及びその他議題の中では、参加者は、第9回環日本海環境協力会議を2000年にモンゴルで主催するというモンゴル政府の申し出、及び、これに対する日本からの旅費及び日当の支援の表明を歓迎した。また、次回会合は7月末を目標として開催されることで合意した。その他議題の中では、以下の提案が参加国からなされた。
(1) 本会議の明確な進展を示すため、UNEP,ESCAP,GEF等の既存のメカニズムを活用した具体的な事業実施を目指すべきである。
(2) 本会議の準備のため、事務レベルでのインターネットを活用すべきである。
(3) 次回会合では、「地方自治体と協力した環境ビジネス」及び「水質汚濁及び浄化」を取り上げるべきである。
(4) 次回会合では、以上の提案を踏まえて、「北東アジア地域における環境協力のレビュー」及び「今後の環日本海環境協力会議」を取り上げるべきである。
(5) 環日本海環境協力会議は、環境保全及び環境協力における地方自治体と市民連携の果たす重要な役割を今後とも評価すべきである。
10. 参加者は、日本国環境庁、京都府、舞鶴市及び環日本海アカデミックフォーラムによる、歓待と、第8回環日本海環境協力会議を成功裏に主催したことに対し、深い感謝の意を表明した。

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