自然環境保全審議会自然公園部会議事要旨

 

1.開催日時    平成12年7月5日(水)16:00~17:20

2.開催場所    霞山会館「うめ・さくら」の間
            (千代田区霞が関3-2-4霞山ビル9階)

3.出席委員 12委員

工 藤 敦  夫 部会長
田 村 久仁夫 小委員長
岡 島 成  行 委員
奥 山 文  雄 委員
川 名 英  子 委員
小 塚  茂    委員
曽田金 久  嗣 委員
田 代 直  弘 委員
玉 光 弘  明 委員
藤 原 一  繪 委員
三 澤  毅    委員
油 井 正 昭  委員

4.議題   (1)諮問事項
          秩父多摩国立公園の公園区域及び公園計画の変更について

        (2)その他
          秩父多摩国立公園の名称変更について

5.配付資料

1-1  秩父多摩国立公園 公園区域及び公園計画の変更案の概要
1-2      〃     指定書及び公園計画書(案)
1-3      〃     公園区域及び保護規制計画変更図(案)
1-4 〃 保護規制計画図(案)
1-5 〃 施設計画図(案)
1-6 〃 公園区域及び公園計画の変更案に関するパブリック・コメントの実施結果について

  参 考

1-1  名称変更について
1-2  名称変更の経緯について
1-3  都県別公園面積・利用状況一覧
1-4  過去の国立・国定公園の名称変更事例
1-5  複数県にまたがる国立公園の都道府県別面積及び年間利用者数

 

6.議事経過   議事録はこちら

(1)秩父多摩国立公園の公園区域及び公園計画の変更について審議がなされ,適当であるとの答申がなされた。

(2)秩父多摩国立公園の名称変更について審議がなされ,当国立公園の名称は「秩父多摩甲斐国立公園」が適当との意見が付された。
なお,主要な発言は以下のとおりである。

<秩父多摩国立公園の公園区域及び公園計画の変更について>

委員:今回の変更により,特別地域が,特別保護地区,第1種特別地域,第2種特別地域,第3種特別地域と区分されるとのことだが,区分する際の基準は。

事務局:特に貴重な自然植生など核心的な風致景観については,厳正に保護規制を図る地域として,特別保護地区,あるいは,第1種特別地域として指定する。

その中でも,現状に手を加えずに,厳正に保護すべき地区を特別保護地区としている。

また,第2種特別地域と第3種特別地域は,農林業などの産業との調整を特に図る必要のある地域については第3種特別地域に指定し,自然環境と農林業などの産業にそれぞれ配慮した形で,地種区分を考えている。

<秩父多摩国立公園の名称変更について>

〔小委員会報告〕

国立公園の名称は当該国立公園の地域を適切に表現する簡明な名称が好ましいが,現秩父多摩国立公園に関してはそのような名称がないため,これまでの経緯や関係都県との調整状況などを踏まえ,環境庁から提案のあった「秩父多摩甲斐国立公園」,「秩父多摩甲信国立公園」及び「秩父多摩甲斐佐久国立公園」の3案について検討することとした。

まず,提案のあった3案の内,「秩父多摩甲斐佐久国立公園」については,名前が長すぎること,一般的にもなじみにくいことから支持する意見はなかった。

 次に,「秩父多摩甲斐国立公園」,「秩父多摩甲信国立公園」の2案について比較検討した。

まず,山梨県域は面積,利用者数が関係都県の中で最も多いというだけでなく,山岳,渓谷,温泉などの景観資源も多数分布しており,国立公園の資質を表現する上で山梨県域にちなむ「甲斐」を付加することが好ましいとの意見が多くあった。

 さらに,この国立公園の名称変更は,最大面積率を有する山梨県域にちなむ名称が入っていないことに端を発し,名称変更の前提として,今回の公園計画変更に際して山梨県に相当の協力を要請してきた経緯がある。これについては,山梨県分の特別地域面積率が他の都県に比較しても増大していることなどからも評価できるとともに,今後の地元の公園管理の協力を得る上で効果が期待できるとの意見も多くあった。

 しかしながら,「甲斐」は山梨県全域を表現するものであること,長野県域も8%程度の国立公園面積率があり,山梨県側と同様すばらしい自然を有していることから「甲信」を付加することが良いとの意見も少なくなかった。

 この意見に対しては,県域がこれ以上の面積率を有していても名称に反映されていない事例は他にもあり,この程度の面積率を有していることを理由に当該県域を表す名称を付加することは,他の公園の名称変更にも波及するとの否定的意見もあった。

 以上の検討を総括すると,名称の表現性や地域のイメージでは両案とも甲乙つけがたいが,特に名称変更による効果や他の公園の名称変更要望への波及,その他審議会の経緯などに鑑み,小委員長判断として,小委員会としては「秩父多摩甲斐国立公園」に名称を変更することを推したいと思う。

委員:小委員会報告に賛成。

「秩父多摩」が指し示す地域の範囲は限られており,この後に「甲信」という広い範囲を示す名称がつくのは,ふさわしくない。「甲斐佐久」は指し示す範囲は限られているが,長すぎる。今回の変更案による特別地域の増加面積など総合的に勘案すると,当国立公園における山梨県域と長野県域の‘重み’は違う。

委員:小委員会の委員でもあり,意見は小委員会報告のとおり。おそらく長野県側に不満が残ると思われるので,この点について,環境庁の方で配慮して欲しい。

委員:小委員会の委員でもあり,意見は小委員会報告のとおり。今後,他の国立公園からも同様に,名称変更要望のあがってくる可能性はあるのか。また,その際,今回と同様に

 [1]名所変更に十分な理由があること
 [2]地元を中心に名称変更を行うことについて合意があること
 [3]変更後の名称が一般に受け入れ易いものであること
 [4]名称変更により当該国立公園の保護,利用に良い影響を及ぼすものであること
 [5]他の国立公園の名称変更要望活動への影響
 [6]その他

の判断項目で検討するのか。

事務局:可能性はある。その場合は,今回と同様の判断項目に基づき検討することになると思う。

委員:よく天気予報で「甲信越」と耳にするが,「甲信」は一般的に定着した地  域を表現する言葉なのだろうか。

事務局:「甲信」は,天気予報などで,一般的に耳に馴染んでいるのは事実だが,天気予報の「甲信」は,山梨,長野両県の全域を指し示す表現とも感じている。

委員:「甲信」という地域の概念は,非常に広範囲に及ぶ。「秩父多摩」は,割に狭い地域の範囲を指し示すものであり,「甲信」を国立公園の名称として,「秩父多摩」と一緒に並べるのは適切でない。直感的にイメージされる範囲が,実際の国立公園と比べて広過ぎる。

委員:今回の変更により,長野県域の特別保護地区の面積は,どのようになっているか。

事務局:長野県域における特別保護地区は,279ha。長野県域の占める公園面積9,716haの3.0%。

委員:小委員会の委員でもあり意見は小委員会報告のとおりだが,長野県側に相当の不満が残ると予想されるので,今後,環境庁として努力してもらいたい。

※自然公園部会小委員会資料は,請求があれば公開する。

 

7.問い合わせ先

  環境庁自然保護局国立公園課

        課          長   田部 和博 (6440)
        公園計画専門官   番匠 克二 (6444) <国立公園計画関係>
                                    <名称変更関係>

  環境庁自然保護局計画課

         課  長  小野寺 浩 (6430)