戻 る

中央環境審議会水質部会
海域環境基準専門委員会(第20回)
(有明海第4回)議事録


1.日  時  平成11年12月3日(金)13:00〜15:00

2.場  所  中央合同庁舎5号館別館7階 共用第12会議室

3.出 席 者

須藤 隆一 委員長
柏谷  衛 専門委員
松崎 勝美 専門委員
渡辺 正孝 専門委員
清水  誠 委員
本城 凡夫 専門委員
宮崎  章 専門委員
(欠席 岡田専門委員、坂本専門委員、中西専門委員、眞柄専門委員、増島専門委員)
   
環境庁 小沢 水質保全局水質管理課長
齊藤 水質保全局総量規制室長 他
オブザーバー 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県

4.議  題

(1) 有明海の水質予測シミュレーションについて
(2) 有明海の水域区分案等について
(3) その他

5.配付資料

資料1 海域環境基準専門委員会名簿
資料2 専門委員会の公開の取扱いについて
資料3 中央環境審議会水質部会海域環境基準専門委員会(第19回)  議事録(案)
資料4−1 有明海における窒素・燐の水質予測に係る現況再現結果について
資料4−2 有明海における窒素・燐の将来水質計算結果について
資料5−1 有明海の類型あてはめ・水域区分(案)
資料5−2 類型あてはめ及び水域区分の考え方について
資料5−3 環境基準点選定の考え方について
資料5−4 達成期間・暫定目標値の設定の考え方について
資料6 有明海における公共用水域測定結果について
参考資料1  海域の全窒素及び全燐に係る環境基準
参考資料2−1  前回資料の修正について
参考資料2−2   有明海における窒素・燐の水質予測に係る現況流動計算及び現況水質計算結果について
参考資料2−3  発生負荷量に関する指摘事項について
参考資料2−4  有明海における漁獲量の経年変化について

6.議  事

【事務局】 中央環境審議会水質部会第20回海域環境基準専門委員会を開催させていただく。
 本日、委員総数12名のうち7名の委員の出席が予定されている。
 開会に先立ち水質管理課長から挨拶させていただく。

【水質管理課長】(挨拶)

【事務局】(配付資料の確認)
  それでは議事に移る。進行を委員長にお願いしたい。

(専門委員会の公開について)

【委員長】本日の議題は、「有明海の水質予測シミュレーション」、「有明海の水域区分等」、の2つが主要な議題であるが、議題に入る前に、本専門委員会の公開の取扱いの問題について、資料2により検討をお願いしたい。
 専門委員会の公開に関しては、8月2日の水質部会において、部会長と専門委員長の相談の上で決定することになり、その案をここに記載してある。
 会議は、非公開とするが、会議資料は原則として公開とし、会議録、議事要旨は公開とすることとしたい。
 従来の取扱いに比べ、会議資料や会議録を公開することにより公開性を高めるという考えに基づいており、水質部会長と相談の上このようにさせていただいたので、特段の意見がなければ、この案で進めさせていただきたいと思うが如何か。(各専門委員、意見なし。)
 それでは、これで了承いただいたということで、よろしくお願いしたい。

(前回議事録の確認について)

【委員長】前回の議事録であるが、資料3の議事録案の各委員の発言内容について、何か意見があれば、後ほど事務局まで申し出ていただきたい。

(前回の指摘事項の整理について)

【委員長】前回までにいろいろ指摘いただいた事項について、事務局から説明をお願いする。ただし、水質予測シミュレーションの部分につきましては、後ほど議題1の中で取り上げることとしたい。
【事務局】 (参考資料の2−1、2−3、2−4により、前回までの御指摘事について説明)
【委員長】前回までに指摘いただいた事項の内、事務局から参考資料の部分で、漁獲量の変化や下水処理場からの負荷、佐賀県の発生負荷量等の問題について説明があったが、さらに質問があればお願いしたい。
【A委員】 一番最後に説明のあった図4であるが、ここで1日当たりの漁獲量は何の漁獲量のことか。
【事務局】 漁獲量は、参考資料2−4、1ページ目の海面漁業漁獲量に相当するものを分子にして漁獲日数で割り算したものである。
【A委員】 総漁獲量ということは、貝類だけではなくてトータルということか。
【事務局】 トータルである。
【B委員】 負荷量の話だが、流域別下水道整備総合計画等の調査での負荷量があるのであれば、それと整合性がとれないとまずいのではないか。その点はどうか。
【事務局】 有明海の流域別下水道整備総合計画については、このあてはめを受けて見直しをするような、そういう作業予定にかかっていると聞いている。
【委員長】 B委員の指摘については今作業中ということでよろしいか。
【B委員】 わかった。
 もう一つは、参考資料2−3の3ページに、緑川を含めて、河川別COD・T−N・T−Pの発生負荷量があるが、これは上流と下流に分けたというのは、何か大きな意味を持っているか。というのは、どこで上流かどこで下流かというのは分け方が難しいと思うが。
【事務局】 ここでいう上流、下流の分け方は、1級河川については、建設省が流量・水質の測定を行っている関係から、その測定地点を起点に上・下流を分けている。上流域については、その測定地点における流量×水質をもって流入負荷を算定している。ここで取り扱っている上流・下流の意味は、測定地点から上流、下流ということである。
【B委員】 上流、下流で分けたというのは、シミュレーションか何かで使うのか。
【事務局】 流入負荷量の算定において、上流域からの負荷量については、その測定地点の流量×水質を実際に入ってくる負荷量として算定している。
【B委員】 わかった。
【C委員】 参考資料2−4で、漁獲量が随分減ってきたということで、前回の専門委員会で私からTBTの話をしたが、昨年度の調査結果では、我々の測定においても、ある県の測定においても事実検出されていたが、今年度、再度調査した結果では検出されなかった。議事録にもあるように、「仮説であって、ひとり歩きしないように」ということについて十分に御理解いただきたい。
【A委員】 漁獲量と出漁日数の関係について、貝類についてもやっておくといいのではないか。総漁獲量よりも、貝類の方が、ある年度からは減り方が大きいことから、横ばいではなくて、出漁日数当たりも減っている可能性はあると思われる。
【委員長】次回までに事務局で整理願いたい。

 それでは、前回の専門委員会の宿題については、ここまでとさせていただきたい。


(議題1 有明海の水質予測シミュレーションについて)

【委員長】「有明海の水質予測シミュレーションについて」事務局から説明をお願いする。
【事務局】 (参考資料2−2により、前回の指摘事項の整理について説明を行った後、資料4−1、4−2により、有明海の水質予測シミュレーション結果を説明)
【委員長】 今の水質予測シミュレーションの部分について何か意見あるいは質問はないか。この結果は、次の議題の水域区分についての説明の後、ここの部分を含めて質問いただく方がよいかと思うので、有明海の水域区分について説明をお願いしたい。

(議題2 有明海の水域区分案等について)

【事務局】 (資料5−1、5−2により説明)
【委員長】 ただいまの説明の部分までで質問があればお願いしたい。
【D委員】 有明海の(イ)、類型IIIに指定されているところの中で、例えば、資料5−1の図7を見ると、平成10年度の全窒素の水質値で熊本市の下流、沿岸のところで2.4mg/lという数字、緑川のところは2mg/l、もう少し外側で1.4mg/lと、かなり全窒素が高い。類型IIIとすると、基準は0.6mg/l以下でなければいけない。ほかのところも今の提案があった類型の基準よりも下回っているという意味ではないが、ここのところがほかの地点に比べて特に高い感じがする。
 燐の方も、図8を見ると、類型IIIであれば0.05mg/l以下でなければならないところが、熊本市の下流では、0.14mg/l、緑川の0.12mg/lと、2倍以上超えている。ここの狭い区域だけを別の類型にするというのは難しいのかもしれないが、ここを全部類型IIIにしたときに、環境基準点をどう選ぶかということがある。ここのところが類型IIIの環境基準を満足するということになかなかならないような感じもするので、そこのところまで含めて類型IIIにしてしまうのがいいのかどうか。
【事務局】 今の話は基準点の設定の仕方に密接な関係があるので、先に基準点の選定の考え方を説明し、併せて回答したいと思う。

 (資料5−3により、環境基準選定の考え方について説明)

【D委員】 確認だけさせていただきたいが、図1と、その次の「環境基準点(案)」という表があるが、結局、緑川の河口のSt−8は非常に高い値が出ており、これは河川の影響が非常に強いと考えられる。その外側のSt−9も、ここではNPの環境基準点に提案したいということだと思うが、その値は、図7の全窒素で見ると、環境基準は、0.6mg/l以下でなければいけないのが、10年度では1.4mg/lということになる。これも、もちろん河川の影響を受けているのだと思うが、河口からはちょっと離れている地点でも2倍以上ある。今は緑川の沿岸のところだけだが、他にも熊本のところはSt−7が環境基準点に提案されているが、全窒素が0.78mg/lとなっている。それほどでもないが、ここのところを一括でやっても、河川の影響だというふうに括ってしまえばいいのかもしれないが、そこのところがよく理解できないところがある。
【事務局】 今の点に関しては、水域の利水が熊本市の前面からすぐにノリ養殖場になっている。図2を見ると分かるが、ノリ養殖の漁場が水域全体に分布しており、この間で水域を区分するのは余り適切ではないのではないかと考えている。
【E委員】 水産庁の浅海定線調査地点とCODの環境基準点をミックスしてNPの環境基準点に提案しているが、データの整合性についてはちゃんととれているのか。
【事務局】 浅海定線のデータを使うというよりは、浅海定線の地点で環境庁と同じ方法でデータをとるということである。
 浅海定線調査自体が、例えば全窒素・全燐の項目がなく、溶解性の燐・窒素、また、CODもアルカリ性法ということで項目自体が合っていない。ただし、水質測定の合理化の必要があり、地点としては、浅海定線調査地点を活用し、場所は一緒にして採水等の便宜は図る、という考え方である。
【委員長】 ということは、浅海定線調査結果の水質はちょっと使えないということか。
【E委員】 浅海定線調査は確か色々な、それ以外の生物分子みたいなものも測っていると思うが。
【委員長】 しかし全窒素、全燐がない。CODもない。
【E委員】 そうすると、例えばCODの方の環境基準点で採ってきた水と、浅海定線調査地点で採ったものも、測定自身はどこか一緒のところでやることになるのか、それとも、分けてやるのか。
【事務局】 そこまでの調整は図ってないが、基本的には、浅海定線調査で採水してもらい、それを同じような条件で分析するというようなことになろうかと思う。
【C委員】 今後、浅海定線調査も兼ねてそういうふうなところでということではないのか。
【事務局】 そういうやり方も一つにはあろうかと思う。いずれにしてもデータの信頼性をきっちり確保してやっていただくということであるが、具体的なやり方については、これから詰めていくことになる。
【E委員】 方向としては非常にいいことだと思う。できればより豊富なデータになるように、足りないところはもっと増やすような。例えばCODを測っている部分は、CODだけではなく、もう少し生物分布も含めてデータがとれるようになると非常にいいというコメントである。
【F委員】 三池港そのものはこれに入っているのか。III類型の続きと考えてよいのか。
【事務局】 そういうことになる。
【A委員】 あてはめ案とか考え方に関しては特に意見はない。既に指摘があったように、環境基準点は多い方がいいと思うのと、NPの分布と環境基準点がどのように対応しているのか、全体を代表するのに重み付けとしてその点がいいかどうかというのは、詳細にみないと分からないので、勉強させていただきたい。
 NPの濃度分布図に環境基準点を入れた方が分かりやすかった。
【事務局】 図7を見ると、図7に●と◎、基本的にデータのあるところは数字を落としてある。ただし、全く新設の地点というのが存在しており、その地点は入っていない。
【A委員】 結局、新設地点が適切に配置されているかどうかというのは、濃度分布図と比べて見る必要がある。特に問題はないと思うが、一応、確認をしたい。
【委員長】 地点が妥当であるかどうかというのは、A委員の発言にあったやり方で見ないといけないと思う。
【A委員】 少し勉強させて下さいということのお願いである。
【委員長】 地点を入れたものを送ったらいいのではないか。事務局、それでいいか。
【事務局】 はい。
【C委員】 有明海(エ)というところが特別に流れが弱いからといって水域を区分したわけだが、ここは濃度が高いのかと考えていたが、思ったほどNPが高くない。時々高くなることがあるのかと思うのが、意外に低い。
 最近の有明海は、NPが高くなりはじめているのか。それともどういう変動をしてるのか、その傾向を少し知っておかないと、類型分けするときに重要である。
【事務局】 お手元と資料6を見ていただくと、最近のデータが出ている。ただし、御承知のとおり、連続的にデータをとられているのは沿岸部だけである。
【C委員】 とにかく赤潮の悪性のものの発生頻度が高くなってきていることだけは事実である。特に長崎県と佐賀県の県境のあたりである。ここでは、クルマエビの被害が相当出ている。そのことを配慮すると、干潟域の部分をIV類型にするよりもIII類型に指定することは、いいかと思っているが、類型IIとしてあるところが、(エ)と(ウ)のところで、今後水質が悪化する傾向にあれば、多少の心配が出てくる。
 それから、海流の影響で少し反映しているのかなと思うのは、図7で島原のところに少し濃度の高いところがあり、図9の平成8年度から平成10年度の3年間の平均でもNPが高い舌状の分布がある。これは恐らく反流の流れによるものでそれが現れているのかなと思うが、今までの栄養塩が過去よりも上がりつつあるのか、そのあたりと類型IIとするところがいいのかどうか、将来少し心配なところがあるように思う。
【委員長】 事務局として、長崎県や佐賀県からも話を聞いていると思うが、水質の傾向としては右肩上がりとか平行とか、ジグザグしているとか、赤潮の発生から見ると、ちょっと悪玉に近いの種が多くなってきているという話なので、窒素・燐濃度のとらえ方としてはどうか。
【事務局】 例えば水質予測シミュレーションの実施に当たり、今後の負荷量の趨勢を各県から提供いただいたデータを見ると、この海域の場合は若干増加する傾向があり、そういう意味では、赤潮が既に出始めているということもあって、少なくとも現状の水質を維持するためには、現時点でなるべく早く目標を定めて手を打っていく必要があるのではないかと思っている。
【C委員】 (エ)が諫早湾の入口で区切ってあるが、舌状に濃度が分布しているところが多少気になる。島原半島に沿って、その下側のところで濃度の高いのが出ているので、それが将来高い値にならなければと思う。全体的に多少とも高くなってきているということであれば、舌状に出ているところの値が類型IIの基準よりも高くなってくることが心配である。
【事務局】 この舌状に出ている部分については、海域中央はもともと基準点がなく、今回の基準設定のために単発的に調査をした地点であり、残念ながら長期トレンドは分からない。よって、類型指定がなされ、今後、モニタリングされるようになれば、その水域の状況も明らかになってくると考えている。
【C委員】 浄化の方向に向かうということは構わないと思うが。データがなければ仕方がない。
【B委員】 ノリの養殖場については、CODはアルカリ法でやっている。一部見ると、平成10年から熊本県は酸性法でやっており、酸性法のデータで9年以前と10年とを比べてみると、ぽんと上がっている。これ自体が、例えば酸性法とアルカリ法とを比べた場合に、ぱっと分けることはできないが、酸性法の方がより水中の藻類の影響を受けていると言っていいと思う。そうした場合に、かなりのものがCODとして生産量があるようなものがここの水域にあるのかと考えられる。
 先ほど資料4−2の表2.1で説明があったのは、水域全体の平均値だけの話であり、(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)の各水域の将来の平成15年の個別の地点の結果を見ると随分ばらばらである。例えば有明海(イ)の場合、異常に高い値も出ていて、平均すればこうですよという話しである。扱いとして、平均だけを問題にして、いわゆる環境基準が守れているか守れてないかというのをやるのか。それとも個別の数値で全部の地点で、例えばIII類型なら0.6mg/lを守れるようにするのか、その辺が先程の説明からは読めない。それについてどう考えているのか。
【事務局】 海域の窒素・燐の評価は平均で行われている。1つの海域内にある全ての環境基準点の平均値で評価することになる。これは他の海域も同様である。よって個々の地点単独に評価することはないが、仮に改善策を検討する場合など、例えば河川の影響などを解析するときには個々のデータも見ていく必要はあるのだろうと考えている。
ただ、水域の評価自体は全地点の平均値で行う、こういうことで考えている。
【B委員】 資料5−1の図1で、今までのCODの環境基準点のほかに加えた新設の地点は全部沖合にあり、陸の方から見れば、当然NもPも低くなる。それを加えて平均して薄めたような印象をもたれるのではないか。平均で評価するとすれば、そのような考え方もとれるのではないかと思うが、事務局としてはどう考えているのか。
【事務局】 熊本沖については、既存の測定地点でなかなかジャストフィットするところがないというのが実情である。St−6、St−8については河川の影響を強く受けていることから環境基準点の選定の考え方に基づき除外している。St−7 St−9についても澪筋の中に位置しているが、これは干満によって採水できる地点も違い、ノリの漁場が水域全体に広がっている関係から、その隙間を縫って採水しなければいけないという制約があることによる。したがって、例えばSt−9については、St−8ほどではないにしてもある程度河川の影響範囲にある地点ではあるが、この地点と中立的な地点というか、沖合に出た地点をとることによって全体を把握する必要があるということで新設地点を選定している。しかし、無作為に設置することはできないことから、沖合の新設の3地点を既存の浅海定線調査地点から選んで採用した。海域全体のバランスをとるのは、この水域では難しいが、ここではこういう形で提案させていただいたと御理解願いたい。
【B委員】 今の話で、いわゆるCODの環境基準点が陸側にあって、それを採用するとなかなか窒素・燐の環境基準のあてはめができないということで、環境基準点を水域の真ん中にもってきて、環境基準点をCODとNPとを変えた例が琵琶湖である。結局、印象的には新設の地点を加えて何とかしようというふうに見るよりは、すっきりと、ノリ養殖だから、NPとCODと別に環境基準地点を設定したらどうか。そういう考え方は成り立たないのか。
【事務局】 事務局としては、データの連続性や蓄積など、なるべく既存の環境基準点を利用することで、効率的、効果的な水質監視を実施することを念頭に置いている。
【B委員】 過去に、琵琶湖の窒素・燐の環境基準点の設定にあたっては、事務局がCODと窒素・燐の環境基準点を変えた例がある。
【事務局】 恐らくそういう形をとると、図2の、塩分濃度にノリ漁場が書いてあるので分かりやすいが、漁場の区画の隙間でとるということにおいては変わらないわけである。そうすると、ここでいうK−12とか15、17に類するような地点でしか結果的に採れない。新たに環境基準点を決めるということになると、要は過去の比較的濃度の高い地点を全部除外し、きれいな地点しか採らなかったというようにむしろ思われるのではないか。ここでは、過去からのデータの継続性もあり、沿岸に近い比較的高い地点と、ノリ養殖の隙間にある外に近いきれいな地点とでバランスをとった方が、むしろ公平な地点の設定としていいのではないかという形で提案させていただいている。
【B委員】 琵琶湖の話のときは、事務局の意見が全く逆で、陸地から近いところは守れないから、琵琶湖全体としてのことを考えると真ん中へもってきた方がいいのではないかということであった。そのときは、CODとNPとはリンクしているのだからおかしいとは思ったが、事務局の言うことも確かに一理あることはあるなということだった。
 だから今日の話は全く逆である。逆に、もう少し安定している沖合に環境基準点があった方が、地点を何点とるかは別として、平均して、この水域では大体こんなところですよという話の方が、水質が不安定なところで、付近にノリ養殖の人がいて、ガタガタやっているところでサンプリングしていて、それで環境基準が守れていない、守れているということも、何となくこれでいいのかなというふうにとれないこともない。
【事務局】 もう一点事務局が考えたのは、仮に環境基準が達成されないときに、どこで対策を打つのがいいのかという解析作業に入ることを考えると、直に河川の影響を受けないまでも、河川の影響範囲に近いところの点もおさえつつ、沖合もおさえるということをした方が、後で対策プランを考えるときにいいだろうと。沖合だけでは、完全に薄まってしまって原因解析がしにくくなるということも一応考えている。
【B委員】 参考地点とか、そういうものはあった方がいいと思う。今の話は全くそのとおりだと思う。それはあくまでも参考地点で、環境基準点とし、いわゆるNPの環境基準が守れているか守れてないかを判断するのに、ここだと、非常に問題だと思っているのは、資料4−2の表2.1を見ると、年平均の予測値も非常にばらばらしている。そういうものを、これで、平均ですよということで、守れている守れていないという話だけでするのは、筋が通らないのではないかという気がするので申し上げている。
【事務局】 実際の測定データでばらつきがあるのは、ある面でやむを得ないと思っており、それを踏まえて海域全体としての評価をどうやっていくかということを考えていく必要があると考えている。
 特に、例えばきれいな方の地点は比較的拡散されて薄まっているところなので、データは揃うが、比較的高濃度の地点、直に河川の影響を受けるところは避けるにしても、河川の影響範囲をあえて外すということ自体がかえって、先ほどの話で、沖合に地点を追加するのは、データを薄めて基準をクリアしやすくしたのではないかというような批判を招くのではないかという指摘もあったわけで、同じような形で、高濃度の地点を除外して、比較的中立的な地点を新たに選ぶとはいっても、結果的にきれいな地点を選ぶことになり、そういう選択肢をとることは、同じような批判を招く可能性があるのではないかと事務局では考えている。
【委員長】 国があてはめるべき海域としては、有明海が最後になっているわけだが、その他、地方自治体で行っている水域があと八十幾つある。この専門委員会の最初のあてはめは東京湾・大阪湾であり、それから伊勢湾、瀬戸内海をやってきたところであるが、特にNPのあてはめについては、従来、沿岸部に集中していたのを、富栄養化という点は水塊全体としてどうなのかということを見るためには、沖合の環境基準点が少し乏しすぎるではないかということで、たしか追加してきたと私は思っている。そのときに、いまB委員が発言したように、沿岸の方が少なくて、沖合の方ばかりつくってしまうと、薄めているのではないかという批判は免れないと思うが、従来のものをもう一度見ると、伊勢湾では既存の環境基準点がちょっと少なく沖合に新設点をつくったと思う。その辺のところで幾つつくれば妥当かどうかははっきりしないが、今後、各県がモニタリングする際の問題として、余りつくりすぎると大変になるため、そういう作業のことも考慮しているのだろうという気がする。
【B委員】 ほかの今までやってきた海域の環境基準点と、有明海とはものすごい違いがある。それはなぜかというと、ノリの養殖がやたらに張りついている。図2で、非常にたくさん張りついている。今までがそうだったから、有明海もそうだという踏襲はおかしいのではないか。ここはここで考えるべきだと思う。そのときに何がいいのか。私も別にこれがいいと言っているわけではないが、ほかから見て、ここは特別問題があるなと。なぜかというと、例えばノリの養殖場があり、そのすぐ近くに環境基準点がある。結局サンプリングしながら隣でノリ養殖の仕事をやっているのではないかというふうな場所が主である。だから、そういうところで、例えばNもPも測定して合ったとか合わないとかの議論は本当かという話になる。
 それから、将来予測を見ても、ガタガタしているのは、一つの理由として、サンプリングのときによってそれぞれ違いがあると、大きな影響があるのではないかという気がする。II類型になる水域については全く問題はないと思うが、III類型の(ア)(イ)については、もう少し検討した方がいいのではないかと思う。
【委員長】 環境基準点を検討するということか。
【B委員】 II類型ところは、いいと思うが、III類型のところは検討が必要である。
【委員長】 (ア)にしても(イ)にしても、環境基準点を2〜3ヵ所追加しているが。
【B委員】 一つは、今までのCODの環境基準点を今度はNPの環境基準点にする場合、事務局で、一つ一つの点について実態をよく調べて、今までのサンプリングはどういうところでどうされていて、そのときのノリの仕事の状況がどうで、それによって水が汚濁されているのかどうか。特に冬の場合、問題だと思う。そういう実態をよく調べ、それでこうこうこういう理由で決めたと言ったら分かるが、恐らく事務局ではそこまで調べてないであろう。
【事務局】 地元自治体にも照会して、サンプリング地点についてはかなり慎重に検討したつもりであるが、例えば図1の地点と図2のノリの養殖の地点を見比べて、有明海の(イ)のIIIについて見ると、例えばSt−9というのは、緑川の先のノリの養殖区域の間を縫って、隙間で辛うじてとっている地点である。K−12というのは、図2で言うと、航路から少し外れて、ノリ養殖が一番ない開けた海面のところでとっている。St−7は、ノリ養殖の隙間が曲がっているところである。比較的海域として中立的な地点を拾っていくと、現況の環境基準点と、今回追加するK−12、15、17というのは、この有明海の(イ)のIIIという海域を見ていくと、基準点を置ける領域がかなり限られており、しかもほかの影響を受けなくて中立的にとれるところをかなり均等に今回の案は拾っているつもりではある。
【委員長】 養殖場の中にあるのではないか。
【事務局】 養殖場と養殖場の隙間が空いている海域を拾っていって、かつ航路から外してというようなところで考えていくと、かなり均等に散らばっているのではないかと思っている。
【委員長】 地図で見ると小さく見えるけれども、隙間といってもキロメートルのオーダーである。養殖作業をやっているところのすぐ隣でサンプリングするとかいうようなイメージではないと思うが。
【事務局】 なるべくそういうところは避けるという形にしている。
【委員長】 隙間といっても1kmぐらいの間隔になるのだろう。
【事務局】 そもそも浅海定線調査の位置の選定が、漁場に踏み込んで選定はされていないはずである。当然こういった間を縫って選定されている。
【委員長】 A委員、如何か。
【A委員】 実際にやられているのだろうと思うので、いいと思う。けれども、図1のトランスペアランシーがあるともっとわかりやすくなったのではないか。
【事務局】 次回、水域と地点の関係がよく分かるように、再度資料を用意したいと思う。【B委員】 もう一つ、さっき言ったように、地点毎の水質が随分ばらばらしている。例えば有明海の(イ)のIII類型というのは、St−9というのは、理由は知らないが、1.3mg/lと非常に飛び抜けている。そういう地点も入れて、要するに平均をとっているのだから、これでいいんだという話であるが、これを見て、「ああ、そうですか、平均ですか、それはいい。」とはなかなか言いにくい数字だと思う。
【委員長】 この水質表から見てもね。
【B委員】 U類型についてはいい。
【委員長】 V類型の(ア)と(イ)だな。
【事務局】 V類型の特に(イ)については、事務局も実は大変苦労しているところで、例えば指摘のあったSt−9というのは、緑川の澪筋の延長線上にあり、採水の時期によってはかなり河川の影響を受ける可能性がある。そのため、恐らく海域の評価をするときには、そういうことも考慮して採水のタイミングを考えないといけないのかなとは思っている。
【B委員】 St−9を入れるのをどうしてこだわるのかと思う。St−9以外も見ると、ちょっと問題かなと思うのもあるが、特にこの地点は高い。
【D委員】 仮にSt−9だけ着目してみると、St−9の高い値が出る原因は何なんだろうというのは、緑川からの負荷と思うが、対策を考えていったときに、この水質環境の平均値、(イ)III全部で平均をとると、この海域ではクリアしている。だからここは、いってみれば問題ないよというよりは、端的にいえば、St−9を含むこのあたりのところは別な水域にして、例えば類型IIIというのは、それも実際かなり厳しいと思うので類型IVにして、類型IVでもクリアしているどうか、平均値をとるとクリアが難しいかもしれない。そこのところを別にして、緑川の影響というのはどうなんだと。結局、対策を立てなければよくならないのだから、対策の効果があるかどうかというところは、ここだけは類型別にしてもいいのではないか。非常に小さくなるかもしれないが。切り方は分からないが、そういう考え方もあると感じている。そうしないと、汚染の対策ということにつながらない感じがするが。
【事務局】 St−9については、ノリ養殖の真ん中にあり、同じノリ養殖の中で類型を変えるというのはちょっと考えにくいと思っている。
【委員長】 水産があるからIV類型にはしにくいわけだが、区切るということはあり得るのか。
【事務局】 それも余り好ましくはないと考えている。そういうところも含め平均的にどうなるかというので評価していけたらと思うが、St−9について、特にここは影響が余りにも大きすぎるということであれば、この環境基準点だけは少し考えてみるというのはあるかもれないと思う。
【A委員】 環境基準点としての適正を考えるということはあるかもしれないが、この表のあり方から見て、そこを区切るというのは適当ではないかと思う。ただ、もともとNPは年間の平均値で評価するわけで、St−9の非常に高い値が地元で影響が出て問題だとか、そういう話があればまた別だが、特にそういうことがないのであれば、今までどおりの区切り方をしたときの平均値をとるということで多分いいのだろうと思う。さっきからこの説明がなかなかつかないという話があるが、実際にシミュレーションを見ても、St−9のところは完全に外れており、これの予測はできていないわけである。だから、まさに原因が分からないというか、モデルに組み込めないような原因が何かあるはずである。そこのところは、基準点をどうするかということでもう一度考えたらどうか。ただ、逆に言って、高いので落としたと怒られないようにした方がいいが。
【委員長】 常に高いからこうしたと、そういう考え方もよくない。
【B委員】 落とさない方がいいに決まっている。だけど、平均で扱うから、異常値のところをして、それについては薄められている感じである。だから問題だと言っているわけであり、そこまで問題だったら、外すのもしょうがないという意見もあるよということである。
【委員長】 これは熊本県からもヒアリングを受けたりして情報はとっていると思うが、自治体の方の意見は何かあったか。
【事務局】 基本的に、緑川の負荷というのは確かに高いのは事実であり、都市部を抱えているというのもあり、それについて対策をとっていかなければいけないという、負荷をなるべく増やさない、下げていくということについては熊本県さんの方針と一致するところである。もう一方、現にこの水域、例えばノリ養殖を含めて、A委員の発言にあったように、今の水質を下げないと重大な支障があるのか、そういう面から見ると、まだそういう問題は起こっていない。少なくとも現状水質を維持あるいは改善という方向でいいのではないかというのが熊本県の認識でもある。
【委員長】 環境基準の評価に当たっては、平均の平均になるから、B委員の発言のように、地点ごとの水質が情報として消えてしまうが、適合するかどうかを見るときの評価手法であり、個々のデータから、その地点がどうで、ここは具合が悪いからというような対策の評価などには当然その地点のデータを使うことになる。しかし、環境基準は適合しているから、例えば何もしなくてもいいという使い方になると問題がある。それがB委員が発言していることだと思う。それぞれの一つ一つの地点が、例えばずっとSt−9が高く続いて、これは緑川なんだよというのが明らかに分かったら、対策を立てなければいけない。実際としての平均値を見ると、要するに環境基準に適合している、だから目標を達成しているのだから何もしなくていいんだよと、こういうふうになるのはよくないと思うが。
【事務局】 熊本県との話の中でも、全体で達成していればいいという認識ではなく、当然対策の話になれば、緑川あるいは白川などの対策を考えることになり、そういったところの効果の状況を見るための環境基準点でもあり、環境基準点での水質を将来的にどうしていくかという対策を推進していく必要がある。そういう個々の評価をする必要があるということでは認識は一致している。ただ、全体で達成しているから何もしなくていいよという認識ではないということである。
【委員長】 そこははっきりさせておく必要がある。
【A委員】 図7をもう一回見直すと、等濃度線が緑川の方へ行くに従って濃くなっていくが、1mg/lの等濃度線より濃い部分にSt−9というのが入っている。この高濃度の水域を代表する地点としてはどうしても、St−9は必要である。St−9がいいのか、それよりもう少し別のところがいいのかは別にして、とにかくそこには必要である。その次の濃度範囲のところぐらいにK−12がくる。K−7とK−15というのはわりと薄いところに入るが、0.5mg/lの近辺にはないが、全体の重みを考えると、もう1地点あってもいいという気はするが、St−9というのは一番高いところの代表点として抜けない気がする。
【委員長】 平均して、この地点も入れれば全部適合してしまうという考えはよくないと思う。環境基準点については、B委員、A委員から意見があったので、再度データ等を重ね合わせたりし、両委員の意見を聞きながら再検討する必要がある。
【事務局】 意見を踏まえて再検討したいと思う。
【委員長】 特に(イ)の濃度の高い部分。ほかもそうかもしれないが、その辺は検討する必要があると思う。
【F委員】 今までの話題とは違うが、専門委員会で水域区分の案が示され、大体それで決定するわけだが、5年ほど前の話になるが、東京湾の類型指定の際、専門委員会の報告書案に水域区分を説明する文章があり、委員会が終わった後で訂正され告示されていた。その訂正された意図はよく分からないし、後で告示内容に沿って図面上に水域区分を落としてみても落とせない。ほかの水域を全部調べたわけではないが、東京湾の別記1に記載されている千葉港の、久保田川の右岸から北方3000m、そこが北緯何度、東経何度と書いてあるが、正確な地図を調べないと分からないが、その水域の表記はおかしいと思う。有明海が終わると、国が関係する告示が完結するが、どう考えても、久保田川の右岸から北方3000mにあるとしている緯度の点が、正確な地図を調べないから分からないが見あたらない。5年前にも指摘したが、環境六法を見ても変わっていない。その後確認をし、間違いがないというのであればいいが、あの当時は「今後気をつける」と言うだけで、あの地点については変わっていない。専門委員会では、水域区分の図を見ながら話をしているが、官報にしろ環境六法にしろ、文言で表記され図は出てこない。一般の人がそれに関心を持ちいざ書こうと思ったときに、書けないことになる。
有明海があてはめの最後になるので、もう一度確認したいと思う。
【事務局】 有明海については、一応海図で緯度経度はきっちり出している。
【F委員】 その元図はあるのか。
【事務局】 海図、大きい図面から割り出してある。
【F委員】 久保田川の河口右岸のどの地点というのはちゃんと書いてあるのか。
【事務局】 今回は海図でやっているが、過去については調べて後ほどまたお答えしたい。
【F委員】 確認しておきたいと思っている。有明海については、特にこの水深10mの線ではだめだということを言っているつもりではないが、ただ、筑後川の河口などは佐賀と福岡の県境は全然変わっている。両県の対策がちゃんと整合をとってやっているのかもちょっと気にはなるところである。県境というのは、お互い両方から勝手に川に流すような体制だと、緑川のようには簡単にいかないのではないかなという気がしている。
【委員長】 この件は、東京湾の類型指定を行った際に、特にF委員から指摘のあったところであるが、以前の専門委員会で事務局が次回以降きっちり合わせるようにしますという約束をしている。要するに、東京湾では、今のような東経何度とちゃんと位置がはっきり示してあるんだけれども、その位置が水域区分(案)に示された位置と合ってないのではないかということになるのか。
【F委員】 地方自治体から、これはおかしいという指摘があると期待していたが、実際には指摘がなかったため、類型指定の本質的な部分ではないが、水域区分が文章のみで告示されることから、誰かが調べておかしいと言われても問題があると思い指摘した。
【E委員】 水域区分の組み方には、(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)というように、類型は同じであっても水域を区切る理由は何かあるのか。例えばIII類型でも、有明海の(ア)と(イ)に分けたというのは、県で分けたという理由なのか。
【事務局】 先ほど説明したように、一つは行政区域で分けることもあるが、海域の流況や流入河川の傾向で分けている。水質を一体として管理する固まりとしてどういうのがいいかという観点で一応分けている。
【E委員】 個人的な感想としては、有明海の(エ)と(ウ)の区分と、有明海の(イ)の中のあらゆる水質項目のグラディエントが逆なんではないかという気がしている。だから(エ)と(ウ)の違いというのはほとんどないのに区分をしている。逆に、(イ)というものは南北に随分と水塊が違うにもかかわらず同じ区分にしているということが多分、言葉を違えてB委員の発言ではないかと感じた。今の流況を考えると、明らかに有明海の(イ)の南と北とは多分流況が随分違っているのだろうという気がしている。同じII類型であっても、(エ)と(ウ)を分けているということの理由がよく分からないということと裏腹であるが。
【C委員】 (エ)は、流れが弱いということで分けたということだったが、NPを見てみると差がない。
【E委員】 逆に言うと、そこを分けなければならない理由がよく分からないのに対して、(イ)というのは非常に差が大きい。にもかかわらず同じ区分に入っているということが、将来的に何か問題が出てくるということはないのだろうか。
【事務局】 図4の水深図を見ていただきますと、例えば(ウ)と(エ)の境界線も概ね水深10mのところで区切っている。比較的深い海域と浅い海域で、かつ深く入りくんでいるところは流況が違うであろうということで分けている。
 それから、(イ)の水域は、一応10mの水深線でなぞっていくと、大体この辺が一帯の水域であろうということで区切っている。
【E委員】 水深としては多分そうなんだろうと思うが、水質のいわゆる代表性というか品質性ということから考えると、ちょっと違っているのではないかという気はしたのだが。
【C委員】 (エ)は流れが弱いから、少しNPが高いのかと思ったら、思ったほど高くない。
【E委員】 しかし、それは流況から見ると、先ほどC委員が指摘したように、諌早の方から何か負荷があったとしても、反時計回りに流れがあり、それは岸を通って島原市に行っているのだろう。だから舌状に全窒素が高くなってきている。それは現時点の測定点では、恐らくB−1とB−2しか測ってないから分からないんだと思う。今後、B−5とB−4を入れたら境目が多分引けるのだろうと思う。
【C委員】 (ウ)もそんな傾向はある。そうすると、(エ)というところからの影響できていると。
【E委員】 その可能性はある。
【委員長】 このことは重要な部分だと思う。環境基準点は、真ん中だったら間違いなくいいということでもない。流況を考えたときは、真ん中だったら停滞していて、汚濁源が岸沿いを回ってたら代表性としてはないわけである。
【E委員】 B−5があればひっかかると思うが。
【事務局】 B−5は環境基準点の予定地点である。
【E委員】 多分これで点としてはひっかかると思う。
【B委員】 一つ確認しておきたいが、先程の話の続きで、結局CODの環境基準点は、ノリの養殖場を避けて決めているという話があったが、これは過去から未来永劫にわたって同じなのか。というのは、例えばノリ養殖の場所が変わっていれば、環境基準点を変えなければならないという話になる。過去から将来にわたってノリ養殖の場所は一緒なのかということは確認をとってもらいたい。
【事務局】 図2で示しているのは、漁業権の設定区画の図なので、この外にはみ出ることはないと思う。
【委員長】 漁業権が設定されているから、いまB委員の言うようなことはあり得ないと。未来永劫というか、どのぐらいが未来永劫か分からないが。将来にわたってというぐらいのところか。
 それでは、残った部分の説明をお願いする。
【事務局】 (資料5−4の達成期間・暫定目標値の考え方について、資料4−2と対比しながら説明)
【委員長】 結果的に暫定目標を設けるということになるのか。暫定目標の達成期間は平成15年で、平成15年度における目標値となるのか。
【A委員】 資料4−2の表1.1、有明海の(ウ)のところで、表の中では将来の年平均値の予測値が0.37mg/lになっているが、暫定目標値は0.36mg/lでよいのか。
【事務局】 実際に暫定目標に使った数値は4ページの表2.1の方を使っている。というのは、現況値がない、例えばK−20という測定点について、予測に基づいて穴埋めをして、全体の平成15年度の海域平均値を表2.1の方では計算している。表1.1の方は穴が空いたままで計算している。暫定目標の設定では、穴をふさいで計算した表2.1のデータを使っている。
【A委員】 細かい話になるが、将来の夏の計算値が0.19mg/lというのは表1.1と表の2.1は同じだが、年平均値の予測値は違ってくるというのは、要するにまるめのところで、何かその下の桁が違っているということか。
【事務局】 そうである。
【D委員】 今と同じような質問で、資料4−2の5ページで燐の有明海の(ア)(III) で予測値が0.074mg/lとなっているが、暫定目標値は0.073mg/となっている。この違いはなにか。もう一つは、有明海の(エ)(II)、燐が予測値が0.043mg/lとなってが、暫定目標値は0.042mg/lとなっている。
【事務局】 これは、暫定目標値の基本的な考え方のところで説明したように、現況値よりも予測値の方が高い場合は、少なくとも現況水質を維持するという意味で現況値をそれぞれ入れている。それが0.001mg/lだけ現況値の方が低いということである。
【委員長】 結果として暫定目標を置かなければいけないということである。
【A委員】 これに反対をすることではなくコメントだが、全窒素に関してはシミュレーションの結果は低めに出ている。資料4−1の43ページに出ているが、燐やCODは比較的計算結果が現況値の範囲に入っているが、窒素に関してはわりと低めに出ている。ということは、ここで達成期間とか暫定目標値を考えている基礎が少し甘いのかもしれない。だから、思惑どおりにはいかないかもしれないということは考えておいた方がいい。
【委員長】 環境基準の適合率というのは、暫定目標を達成したら適合したことにな
るのか。
【事務局】 暫定目標は達成したら、その時点でまた対策メニューを見直して暫定をさらにもう一回改定するか、あるいは本来の目標値に戻すか考える、こういうことになると思う。
【委員長】 そうすると、達成できなかったらずっと暫定が続くのか。
【事務局】 その時点で最大限努力してどこまでいくかということを見込んだ上で暫定目
標値は設定することになる。
【委員長】 それは承知の上だが、もし結果として、東京湾は達成していないのではないか。東京湾も4年か5年たっている。そういう場合は暫定のままいくのか。
【事務局】 その場合は、究極の目標としての達成期限というのはあるが、当面暫定目標というのは設定して対策努力をお願いするという形になると思う。
【委員長】 多少下がってきたら、暫定目標値を少し下げるということもあるのか。
【事務局】 あり得る。その目標時点で。
【A委員】 暫定は、とにかく達成してから次を考えるわけか。
【事務局】 そうである。
【委員長】 途中で、少し下がってきたら、暫定目標値を小さくすることもあるのか。
【事務局】 暫定目標が達成された段階で見直して、次はいきなり環境基準の本来の値でいいかどうか、それとももう一回、少し低くした暫定目標を定める必要があるかどうか検討した上で考えるということになると思う。
【委員長】 東京湾や大阪湾は、たしか暫定目標値も達成していないのではないか。そうすると、それは専門委員会での暫定目標の基準の決め方が甘かったということもあり得るのか。そのときは最大限、暫定目標として達成できるだろうと思い決めた記憶があるが、暫定目標をもう少し緩い基準にしておかなければいけなかったわけか。
【事務局】 暫定目標を達成できない理由は、ケースによって違って、一概に言えないとは思うが、例えば財政事情で下水道の整備が追いつかないことも考えられるし、水域によって理由は違うと思う。必ずしも専門委員会での見込み違いということではなく、執行する側のスピードが追いつかなかったということもあるかと思う。
【F委員】 有明海の将来について心配されるということがあったが、今、下水道整備が財政的にどうのと言われるが、筑後川にしろ、し尿の海洋投棄を止めていくなかで、だんだん財政が整い、下水道整備を行えば窒素と燐がますます重い負荷を与えることになると思うが、下水処理以外の対策といったら何があるのか。下水へ流すとどんどん窒素と燐は増えていく。水はきれいになっているが、窒素・燐については減るはずがないので、それに対する対策というのは県で何か考えているのか。例えば、福岡県と佐賀県がお互い協力してやっているかどうかというのは問題なんだが、どうなのか。
【総量規制室長】 有明海の場合は、系外に持ち出されるし尿の分が、長い目で見ると、一時的にこの湾内に入ってくるということで、多少負荷が増えるのは仕方がないとは思うが、将来的に高度処理の方法如何ですが、この地域では下水処理だけではなく、合併処理浄化槽や農業集落排水をいかに組み合わせてやっていくか。あるいは他の手段というのは、恐らくこの地域のし尿を処理をして系外へ、日本海の方へ出すとか、そういうようなことしか考えようがないが、いずれにしてもし尿の海洋投棄が、まだ強制的な禁止ではないが、近々やめていく自治体がほとんどになっていくという状況なので、それは致し方ない気がしている。
【委員長】 暫定目標を決めるときは、このぐらいだったら何とかなるだろうということで、決めている。それがその目標年度に対して結構乖離していて達成できないというのは、事務局はもちろん、専門委員会としても、検討した結果として出しているので、あてはめを行えばそれで本来の責任は全うできるのではあるが、必ずしもそういう問題だけではなく、きちっと後をフォローしておき、どうして暫定目標が達成できなかったのか、今後の海域の水質保全のために、解析しておいた方がいいと思う。
【事務局】 今、暫定目標の話が出たが、東京湾の暫定目標は平成11年度での水質ということになっているので、最終的な数字は出ていないが、平成10年度の水質を見ると、暫定目標を達成している。
【委員長】 安心した。いくつかの水域で暫定目標があったはずだが。
【事務局】 4水域あるが、平成11年度に水質がどう変化するかというのはまだあるが、平成10年度の水質に関しては暫定目標を達成している。
【B委員】 先程の話で、し尿を他へ持っていくと、一時的に負荷が増えると言ったが。そうした場合には、いつ増えるのか、今の暫定目標というのは直ちにであるが、その負荷が増えるとすると、今環境基準を決めるといのはどうなのか。
【事務局】 平成15年度の予測をしており、その際にはフレーム、人口の割り振りについて、例えば海洋投棄をやめて、それがし尿処理施設に来るとか浄化槽に来るとか、そういったことを見越しているので、少なくとも平成15年度の予測においては問題がないと考えている。
【B委員】 浄化槽では減らないのではないか。
【事務局】 例えば海洋投棄がなくなって、そのほかに振り分けられるわけだが、そのフレームはつかまえている。その結果として浄化槽人口が増えてるということである。
【B委員】 初めから達成できてないから暫定目標である。今の話で、それで決めた場合に、総量規制室長の話で、負荷が増えるといった場合に、本当は増えたところで暫定目標を決めておかないといけないのではないか。
【事務局】 負荷が増えることも織り込んで暫定目標値は算出している。
【委員長】 まだ議論が多少あるが、もう一回ぐらい専門委員会を開催しなければならないので。特に環境基準点について議論があったことと、F委員から、水域区分の表現をはっきりさせなさいという指摘もあったので、そのところは宿題として残ったと思う。
 「その他」で何かあるか。
【事務局】 次回の日程について、1月18日の午後に総量規制専門委員会が開かれることになっており、可能であれば、同じ日に開催できればと思うが。
【委員長】 一応18日の午後ということで、もう一度調整することとしたい。
【事務局】 それでは、総量規制専門委員会を1時から3時ぐらいにし、3時半から5時半ぐらいに開催するということで調整させていただきたい。
【委員長】 大変熱心に御討議いただき感謝申し上げる。続けて最後のまとめをしなければいけないので、次回は1月18日の午後に開催することとさせていただきたい。これをもって、専門委員会を終了したい。