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中央環境審議会第24回大気部会議事録


1. 日  時   平成11年10月26日(火) 14:30〜17:00

2. 場  所   通商産業省別館共用第939会議室

3. 出 席 者

4. 議  題

  (1)ダイオキシン類の環境基準について
  (2)排出ガスに係るダイオキシン類の排出抑制対策について
  (3)その他

5. 配 付 資 料

6. 議  事


【事務局】 時間になりましたので、これより、中央環境審議会第24回大気部会を開催いたします。
  会議に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。

               (配付資料の確認)

 そのほかに「ダイオキシン類」というカラー刷りのパンフレット、これは先日、政府全体で関係省庁共通のパンフレットを作ったものでございます。
 それではここで、大気保全局長から一言御挨拶を申し上げます。

【大気保全局長】 本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。ダイオキシン問題について御審議をいただきたくお願い申し上げます。
 ダイオキシン問題については、去る7月12日、「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立いたしまして、7月16日に公布されました。法の施行は、公布後6ヵ月以内となっておりますので、来年1月15日までに施行されることになっております。大気関係では、大気の環境基準の設定、それに関する特定施設の指定、その施設の排出基準の設定と、これらに関する測定方法等の事項を法施行までに定める必要がございます。したがいまして、中央環境審議会に、環境基準に関する専門委員会と、排出抑制に関する専門委員会を設置していただきまして、その報告書をとりまとめていただきました。
 専門委員会の皆様方には、短期間に集中的な御審議をいただき、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
 そして、本日の部会におきましては、この専門委員会報告を基に御議論いただき、部会報告(案)をまとめていただければと考えております。
 それから、本年9月に、13省庁からなる第5回ダイオキシン対策関係閣僚会議が開催されまして、ダイオキシン対策推進基本指針に基づいて、廃棄物の減量化の目標量やダイオキシン類の測定方法のJIS規格の制定などについて決定するとともに、ダイオキシン類対策特別措置法の成立にに基づき、ダイオキシン対策推進基本指針の見直しが行われました。
 そういう状況の中で、ダイオキシン問題は、国民の関心も大変高く、今後の対策に対する期待も大きいものがございますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

【事務局】 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

【部会長】 ただ今から第24回大気部会を開催いたします。
 本日は、委員の皆様方お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。
 先ほど局長からもお話がございましたように、7月1日の大気部会におきまして、ダイオキシン類環境基準専門委員会が設置され、それ以降、同専門委員会において、ダイオキシン類の大気環境基準について、また、排出抑制専門委員会において、特定施設や排出基準等について、集中的に審議を進めてまいりました。
 本日は、両専門委員会においてそれぞれおまとめいただきました「大気の汚染に係るダイオキシン類環境基準専門委員会報告」と「ダイオキシン類の排出抑制対策のあり方について(排出抑制専門委員会報告)」を審議しまして、当部会として、大気環境基準及び排出基準について、パブリックコメントにかける報告案をまとめていきたいと思います。
 それでは早速でございますが、まず、ダイオキシン類環境基準専門委員会報告について御説明をお願いいたします。

【ダイオキシン類環境基準専門委員長】 お手元の資料2を御覧いただきますと、最初に報告目次がございます。御承知のとおり、TDIが厚生省と環境庁の合同で決められまして、それは当然考慮しなければいけないものとして片方にあります。それと同時に、目次を御覧いただくと分かりますように、曝露が実際にどうなっているのかということを評価していこうということでございまして、さらに、今回の専門委員会の考え方の中で、これまではなかったと思いますけれども、曝露量あるいは摂取量という、外から入ってくる量ではなくて、体の中に入った量を問題にしたいということで、その量を「吸収量」という言葉を使って表現してございますが、体の中に入って幾らあるのかということを取り上げようと。そうしますと、各媒体からの吸収率が変わってまいりますので、それに従って、水からは幾ら、空気からは幾ら、食品からは幾らというふうに、それぞれの吸収率をどう定めたらよいかという問題もあったわけでございます。
 吸収量という概念を取り上げた最大の理由は、TDIが身体負荷量というものを取り上げて毒性を評価しようとしたわけでして、それに対応するために、吸収量を取り上げて吟味しなければいけないということになったわけです。
 そこで、環境中の挙動、環境中の濃度等をレビューいたしました。さらに、人への曝露量がどうなるだろうかということを検討したわけですが、実際に大気のダイオキシン類の濃度を減らすと同時に、それが他の媒体にも当然影響してくるわけでして、その影響によって他の媒体はどのくらい減るだろうかというあたりの推計が必要になってまいります。これは実際には生態系の中でのダイオキシン類の挙動の細かいことが分かっていないとなかなか難しいわけですが、思い切ってその辺はある種の推定をかけて、資料にもお示ししてございますが、動態のモデルをつくってございます。それによって、大気が幾らになったときに何が幾らになるかというのを推定してやろう、こういう作業をしたわけです。
 実際には、大気経由で入ってくるダイオキシン類の量は、総体としての取り込み量に対してどのくらいの割合になるかというのを、いろいろな場面を想定して計算しました。人々の暮らしを考えて、できるだけ偏りのない普通の平均的な状況の場合と、かなり偏りのある、例えばたくさんダイオキシン類を食物から摂取するような場合、あるいは大気中濃度が高いような場合を想定した形で、偏りのある事例を幾つか設定して、それで大気濃度が幾らになったらどれだけの吸収量になるかという計算をいろいろやってみました。
 その結果として、例えば吸収量が2pg/kg/日 という量を一つ問題にするわけでして、これは摂取量としては4pg/kg/日に相当するものですが、いろいろな設定の中で、吸収量として2pg/kg/日を上回らないレベルの大気中濃度は大体こんなものではなかろうかというところが片方では出てくる。片方では、それが総体の摂取量の中で大気経由がどのくらいの割合になるかについてもある程度出てくるということでして、TDIを横目で見ながら、我々としては、できるだけ少なくする方向の条件を探していって、今回、答申になりましたように、0.6pg/m3以下にすればほぼよろしいのではないか、そういう結論に達したわけです。
 細かい点は事務局の方から出してもらうことにして、概略は以上のようなことでございます。

【企画課調査官】 
(事務局より補足説明)

【部会長】 ありがとうございました。
なかなか複雑ですぐにはお分かりいただけないかと思いますが、御質問、御意見をお願いいたします。

【A委員】 質問ですが、この基準値を設定するときに、例えば食物の吸収を50%とするというふうに決めていらっしゃるのですが、乳児の場合には全部母乳ですよね。そうすると、母乳からの吸収は50%ではないような気がするのです。水分が70%としても、吸収率はもう少し高いのではないかと思うんです。それから、大気もすべて含めて、細胞そのものが増殖し、発達しているときの吸収率と、大人とでは吸収率が違うと思うし、少なくとも母乳のダイオキシン量は20年間下がり続けている。これは大分前に分かったことなんですが、そうすると、調べてみれば、もしかすると、今20歳ぐらいの人の催奇形性率と、今の1歳児の催奇形性率というのは違うかもしれない。昔の方が多かったかもしれないと思うのです。いずれにしても、そういったサイドのデータも含めて、乳幼児だけは別基準が要るのではないかと思うのですが、分けて考えられたかどうかだけお伺いしたいと思います。

【ダイオキシン類環境基準専門委員長】 人の側の条件によって吸収率の異なることは、今、乳幼児のことをおっしゃいましたけれども、例えば性によって違うかもしれませんし、年齢によって違うかもしれません。そういう議論は若干いたしました。しかし、我々には、乳幼児だけについて大気の基準を作るというストラテジーをとるだけの能力も情報もないと思っています。ですから、別に作るというのは非常に難しい作業になるだろうと思います。もしできるものなら、それを否定するつもりはございませんけれども、今のところ、我々にはそういう能力がないと私は思っております。

【B委員】 ちょっと細かいことで申し訳ありませんが、17ページの95%タイル値 1.36pg-TEQ/m3というのが、PCカーブと呼んでいるカーブだろうと思うのですが、それが目標値 0.8 pg-TEQ/m3にすると、直線を平行移動させるわけですよね。PCカーブというのは、発生源の位置とレセプターの相対的な関係によって変わるし、拡散によっても変わるんですね。ですから、非常に地域差が出てくると思うので、全国一律でおやりになって、それがそのまま平行移動の格好で動いてくれるかどうかというのは、保証の限りでありませんので、地域的な変化がどれぐらいあるものかというのを調べておいていただいた方がより確実だろうと思います。

【事務局】その点につきましては、 事務局より答えいたします。モデルを検討する際には、全国のデータを使って、全国デフォルトのような形で割り切りとして考えているという点で、B委員が言われたようなことに関しては、少しきめの細かさが足りないという点もあろうかと思いますけれども、一方で、その点については、そういう個別の評価ができるような挙動モデルを考えていかなければならないというような御意見が、この挙動モデルを検討する上でございました。ですから、挙動モデルをまとめました別紙3の18ページの「まとめ」のところにもございますが、「環境挙動モデル及び試算に当たっての仮定等に係る不確実性に十分留意する」ということでございます。それから、本報告書の11ページにございますように、「今後の課題」として、環境中の挙動の把握が適切にできるようにと、それも人への曝露評価を前提としますと、人に対応したような形での環境中挙動の把握といったようなものをしていかなければならないということでございます。

【C委員】 これはあくまでも4pg/kg/日をTDIとした場合の計算結果ですよね。例えばWHOなどは1という数字も出ていますけれども、そうした場合にこの計算はまた変わってくるとか、あるいは他の数値になってくる可能性はあるのですか。

【ダイオキシン類環境基準専門委員長】 おっしゃるとおり、TDIをもっと下げて扱うべきだということになりますれば、もう一回この計算をやり直してみて、0.6pg-TEQ/m3以下だけでは足りない、もっと下げなきゃいけない。だけど、実際に下げられるかという問題はまた別の問題としてありますけれども、そういうことには当然なるだろうと思います。ただ、今の段階で我が国ではTDIを4という数値でセットしたものですから、それを横目でにらんでいて、それよりももっと低いところに落とせると。実際に今日お出ししたいろいろな試算の範囲では、非常に極端に高いケースだけがぎりぎりそこに引っかかっていて、例えば多くの場合にはもっと低いところまで下げられるという意味が 0.6pg-TEQ/m3 以下という数値には入っているわけですね。そうは思いますが、今おっしゃるように、1というのが出てきたら、それはもう一ぺん検討し直しだと私は思います。

【部会長】 よろしゅうございましょうか。
  それでは、今回の報告案は、環境基準と排出基準の両方について盛り込む形となりますので、引き続きまして、規制に関する報告について審議をお願いしたいと思います。
  それでは、排出抑制専門委員会報告について御説明をお願いいたします。

【排出抑制専門委員長】 資料3が専門委員会報告でございます。委員会といたしましては、懇談会2回、正式な委員会2回、都合4回ほど会合を開きました。1回はヒアリングで、関係団体からいろいろ話も聴取いたしております。
  報告の詳細につきましては、後ほど事務局の方から説明していただきますが、まず、これまでの状況が2ページ目あたりに出てくるかと思いますが、排出抑制対策としては、大気汚染防止法あるいは廃棄物処理法で規制を行っておりまして、廃棄物焼却炉、製鋼用電気炉がこれまで法規制の対象になっておりました。
  ごく最近、廃棄物焼却炉については、ばいじんの排出規制も強化されました。この点もダイオキシンの排出については大きな効果を与えることになるかと思います。
  3ページ目あたりに自主管理スキームの話が出てまいりますが、これもこの審議会あるいは実質的には我々の方でも自主的な取組の状況を聴取させていただいておりますが、有害大気汚染物質対策の一環としての自主管理スキームの中にダイオキシンも組み込まれておりまして、そこでの対応が、例えば電気炉についてはとられてきた。また、製鋼業焼結工程、亜鉛回収業、アルミニウム合金製造業についても、これは本当の意味での自主的な取組でございますが、対応がされておりまして、将来の目標値等も示されております。
  廃棄物焼却炉については、ごみの減量化あるいはリサイクルが進展しておりますし、それに伴って焼却炉の削減も図られている。また、小型のものをやめて大型のものに集約化していくような動きも出てきております。
  こうした効果ということで、先ほども御紹介がありましたが、平成9年度の継続地点での年平均値濃度 0.56pg-TEQ/m3に対して、平成10年度は0.31pg-TEQ/m3 、半減までいきませんが、それに近い値になっている。この辺は今のような効果が効いているのだろうというふうに解釈いたしております。
  今後の排出抑制対策でございますが、対策の目標としては、ダイオキシン対策関係閣僚会議の方で出されました、平成14年度に平成9年度比で9割削減するという目標、それから、全国的な形でみたときに、先ほどから議論のあります環境基準を達成するという、この2つの大きな目標を掲げて取り組んでいく。
  4ページ目のあたりで、排出削減のための対策推進の考え方ですが、今もいろいろ御議論があったかと思いますけれども、環境中の挙動については、ダイオキシン類に関して不明な点も多いため、いわゆる発生源、ソースの方からもきちっと対応していかなければいけないということで、それを排出する側で極力抑制していくという方策をこれまでとってきたし、これからもとるということになろうかと思います。
  対策としては、1つは、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく特定施設として指定していくことと、もう1つは、先ほども御説明申し上げた自主的な取組についても積極的に推進していくことが必要だろうと考えております。それと、ごみの減量化等も従来からやられてきたことでございます。これらを総合的に効果的に推進していくということで対応していきたい。
  それから、法規制のあり方でございますが、基本的には、これまで規制してきた廃棄物焼却炉と製鋼用電気炉は特定施設に指定する。では、その他の施設についてどういうふうに考えていけばいいかということで、4ページ目の真ん中あたりにあるかと思いますが、排出が相対的に多いという定義を作りました。内容は、発生源区分ごとにみた排出量、それぞれの施設からの排出濃度、1つの事業所当たりの排出量、この3つの点の大小を判断しまして、それが相対的に多いようなものについて、先ほど申し上げたような排出が相対的に多いという定義にいたしました。基本的にはこれにひっかかるようなものを規制対象としていくべきだと。これは発生源をベースにして対策をとっていくということで、90%を削減するという目標の方がそういう意味では重さとしては大きく位置付けられるといいますか、そちらの方をベースにしながら考えていく中では、当然、今申し上げたような3つの点が重要視されるだろうということでございます。
  では、どういう施設を挙げるかというと、1つは未規制の小型焼却炉(200kg/h 未満のもの)について考えていく。2つ目に、製鋼業焼結工程に係る施設、亜鉛回収工程に係る施設、アルミニウム合金製造工程に係る施設を取り上げていく。
  実態として非常に小さな施設もあります未規制の廃棄物焼却炉、アルミニウム合金整合工程に係る施設については、適当なところでの裾切りが必要だろうということを答申申し上げております。
  この辺のところを全部勘案してまいりますと、平成9年度ベースの排出インベントリーでみた総排出量の97%をカバーすることになろうかと考えております。
  それから、排出基準の設定でございますが、これはこれまでの規制と同じ考え方でございます。新設の大規模施設については実施可能な最善の技術的対応を図る。既設あるいは中小規模の施設についてはその対応能力を考慮して決めていくというふうに考えております。   また、既設の施設については、その着実な対策を進めていくという観点から、当面の基準とその適用期間をあわせて示す必要があるだろうと考えております。
  ここで「技術的対応」という言葉を使わせていただきましたが、これは排出削減のためのハードの技術だけではなくて、それを運用する面での対応、施設全体としての操業管理というソフト的な面も含めて総合的に対応していってもらうという趣旨をきちっと出すために、こういう書き方をさせていただきましたが、前からこの辺の流れは変わっているわけではございません。
  もう1つは、6ページ目の下の方に書いてございますが、今回規制対象に挙げた施設も含め、産業界側の施設で電気炉、亜鉛回収施設、アルミニウム合金製造施設というのは、いずれもスクラップや他の産業からの集じん灰といったような不要物あるいはごみだったりするようなものを対象に、それをマテリアルリサイクルしていくような施設になっているわけでございます。そういう意味では、循環型社会の中でこれからこういう施設は欠くことのできないものだろうと考えております。同時に、こういう施設にあっては、入ってくる原料がダイオキシンの発生の原因になっているということもございますので、上流にさかのぼって、さらにそこの方でも対策を進めていただくことが重要だろう。物質循環全体の中で対策を進めることが必要だと判断しております。
  それから、大気の方だけ下げるような排ガス処理系統を中心として対策をとってきますと、今度はそれで捕集されたばいじんあるいは排水処理等でダイオキシン類の量が増えてしまうということもあるわけです。こうしたトレードオフあるいはプロブレムシフトといいますか、問題を置き換えただけだということになってしまうのは、全体の排出量を下げるという趣旨からも問題になるわけでして、できるだけ発生抑制につながるような技術の対応を優先して考えていくべきだということでございます。   個別の話については、後ほど詳しく説明していただきます。
  8ページ目には、我々の方で提案させていただいた特定施設及び排出基準値が出ております。
  測定法については、JISにのっとって行うということで、規制の問題がございますので、幾つか方式が示されておりますが、定量下限のところで切ってゼロを判断するというような方式になっております。
  最後に、「排出削減対策の着実な推進」あるいは「今後の課題」ということで問題点を整理させていただきましたが、特に、先ほど申し上げたような循環型社会を意識しながら、最後の方にはそれを記述したものがございます。
  詳細につきましては、事務局の方から説明してもらいます。よろしくお願いします。

【大気規制課長】
(事務局より補足説明)

【部会長】 ありがとうございました。
  それでは、今の御説明につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。

【A委員】 質問ですが、ダイオキシンはもともとベトナムの枯れ葉剤の菌から始まって、木材のテルペンと塩素系の物質の起こした反応で起こっているわけで、製紙工場の塩素漂白というのは、別表5を見ても、製紙業に関しては何にも載っていないのですが、塩素漂白からは出るはずだと普通一般人でも考えられるのです。製紙会社によっては酸素漂白に転換しているところもあるのですが。

【排出抑制専門委員長】 ここで扱っているのは大気の話なんですが、今おっしゃられている塩素漂白系のものは、16ページの製紙業の下の「水」というところに入っております。

【A委員】 水の方には書いてありますけれども、大気の方には書いてありませんよね。でも、実際には大気から多分出ていると思うし、漂白の仕方をチェンジすれば、かなり大気の清浄化には貢献できると思うのですが、ここのところの4項目の中に入っていない理由は何なんでしょうか。

【排出抑制専門委員長】 基本的には、塩素漂白系のものは水の方に落ちるというふうに我々は考えています。

【A委員】 大気には全然出ないと。これはデータがないのではなくて、出ないというデータなんですか。

【排出抑制専門委員長】 出ないというか、基本的にはいろいろな処理工程を経るのかもしれませんけれども、最終的には塩素漂白絡みのダイオキシンは、排出源としてみていったときに水の方に出ていきます。

【大気規制課長】 16ページに、今年の6月にまとめた排出インベントリーがございます。製紙業としては3つ欄がございまして、1つがクラフトパルプの回収ボイラー、排出量として1.7g、汚泥の焼却炉、スラッジボイラーとして2.8g、それから「水」と書いて、平成9年では0.4g、10年では0.1gとなっているものでございます。私どもは、塩素漂白絡みの話は、どちらかというと水系の部分、先生のお話のように、かなり酸素漂白に切り替えられて、製紙業でも削減に努力いただいてこのような水準になっていると承知しておりますが、漂白絡みのものはこちらの話なのかなと思います。そのほかにも熱部分がございますので、そこの部分については、インベントリー上不足している。今回対象としておりますのが、こういったところで見て、排出量として相対的に多いものをとらまえて対象としていこうということから、ここにございます製鋼用電気炉は、平成9年ベースで187g、10年ベースで114.7g、鉄鋼業の焼結工程は10年ベースで100.2g、亜鉛の回収として 16.4g、アルミニウム合金製造業として 14.3gといったところに着目したものでございます。

【A委員】 そうすると、幾つレベルからに着目して、幾つレベルからを切ったというのは決められたのですか。

【排出抑制専門委員長】 それは資料3の4ページの真ん中からちょっと下あたりに具体的な数値が入っているかと思います。

【大気規制課長】 4ページの下から 1/3ぐらいのところでございますが、要素としては、区分毎の排出量、濃度レベル、1事業所当たりの排出量を勘案しておりますが、現時点においては、発生源区分毎の排出量が10g-TEQ/年以上、これまでの調査での最高及び平均の排出濃度が1ng-TEQ/m3N以上、1事業所当たりの排出量が 0.1g-TEQ/年以上を一応の目安として、この3要素を総体として勘案して判断したものでございます。

【D委員】 大変な作業で、立派な答申と思うのですが、教えていただきたいことが2つあります。1つは、この基準値を作られたときに、基準値というのは、原料になるかというか、例えばごみなどが入りますが、それのクオリティによってそこのレベルが変わってはこないのですか。
  もう1点は、その使い方、ソフトの面とおっしゃいましたけれども、例えば非常に小型の焼却炉になりますと、頻繁にとめたりつけたりする。特にダイオキシンが出やすいのは、ここにも書いてありましたが、温度が低くなって、ある温度以下になると出やすいということだと思うんです。ですから、オン・オフ、焼却炉を立ち上げたり、あるいはとめたりする、そういった基準とか運用基準はお考えになっていないのでしょうか。

【排出抑制専門委員長】 最初の入り口といいますか、原料の問題なんですが、これはなかなか一言では説明できないかと思いますが、原則論は、入り口状態での、例えば塩素濃度が大きいものは発生する可能性が高まりますよとか、そういうことは言えるだろうと思います。そうした視点で対策の方もまとめてあるし、実態としてもそのような状況が現れていると考えています。そういう意味では入り口サイドの問題も我々としては強く認識した上で、総合的な対策をとるべきだと思っているところです。   もう1つは、焼却炉の運転の問題ですが、これは既に一般廃棄物の焼却炉でも小さなバッチ式のものは、立ち上げ、立ち下げのときに大分出ますので、連続化するなどの指導も展開されているわけです。そうした点も含め、小型の焼却炉になればなるほどその傾向が強まってくるかと思いますので、この辺は、先ほども出てまいりましたが、その点に関するような運転の方法論などを、きちっとまとめ、指導するような体制をとっていくべきだろうという意図で記述してあります。

【D委員】 前の方のことですが、異常なごみ、例えば塩素が非常に多く入っているようなものを使うと、当然これは上がってきますから、標準のもの、そういうふうなものを指定しておく必要はないのかとちらっと思ったのですが、いかがでしょうか。

【排出抑制専門委員長】 その辺は、運転状態との絡みもあって、難しい点がございます。それから、ダイオキシンに対する塩素の効き方もいろいろありますけれども、多くなると余り効いてこないで、量が少ないときに変換率が高い。そんな状況ですから、その濃度を決めるというのは、なかなか難しいかと思います。

【E委員】 資料の8ページにダイオキシン類に係る特定施設及び排出基準値というのがありまして、先ほどの御説明で、1年間の猶予期間ということで、平成12年1月から13年1月までの1年間ということですね。ただ、その間、現在の大気汚染防止法による、23ページに「これまでの法規制について」というのがありますが、これはコプラナーPCB云々は別としても、平成10年12月から14年11月まではこれが効いていますよと。今度のダイオキシン類対策特別措置法の猶予期間はこれが適用されると考えてよろしいのですか。とすれば、その辺を明確にしておかないと、その間、全部猶予期間があって、規制されませんよととられても困るので、その辺を一言入れておく必要があるのではないか。

【大気規制課長】 ダイオキシン類対策特別措置法そもそもの話でいけば、ダイオキシン対策は基本的にこの特別措置法に集約して、この法律の中でやっていくのだという考え方になると思いますので、少なくとも完全施行された状態においては、大気汚染防止法から完全に移行するということは、基本的に間違いのないところだろうと思います。特別措置法の法律上、1年間適用猶予とされたところにおいて、今の大気汚染防止法の附則に基づく排出抑制基準をどうするか。新設と既設がございますので、新設については当然新法に移行しなければいけません。既設がどうなるかということで、法制的にも輻輳しているところなのかなという感じで、私どもは、いま先生のおっしゃった問題意識を持ちながら、どういうことができるのかということについて検討しているところで、的確なお答えが今しきれていないのが非常に申し訳ございませんけれども。

【E委員】 昨日、神奈川県内の産業廃棄物施設の発表がございまして、かなり高濃度のが出ていましたね。例えば、そういう既存の施設について、今後この間どうなるのか、その辺はどうなんですか。

【大気規制課長】 少なくとも廃棄物焼却炉につきましては、大気汚染防止法の附則に基づく抑制基準とともに、廃棄物処理法に基づく維持管理基準としての排出基準が同時にかかっておりますし、聞いているところでは、廃掃法の維持管理基準自体は当然中断することなくいきますので、廃棄物焼却炉自体が全く野放しになるという事態は生じないものと思います。

【E委員】 廃掃法でいっているわけですね。

【大気規制課長】 はい。

【排出抑制専門委員長】 ただ、今、E先生が御指摘になりましたように、ここがすっぽり抜けているという印象を与えるのはちょっと問題かもしれませんね。注意書きで対処すべきでしょうね。ダイオキシン類対策特別措置法においてはこういう格好になるけれども、また別の法律で対処している、その辺が見た瞬間には、ここは猶予されているのか、おかしいじゃないか、という言い方になるのも問題かなと思うのですが。

【大気規制課長】 御趣旨のように、基本的には、つなげるような方向での経過規定といいますか、そういう方向で考えているところでございます。

【部会長】 やはり実効の上がるように運営するのが本当なのだと思うんです。ぜひ御検討いただきたいと思います。

【F委員】 新しい基準ですか、今までの特定施設プラス幾つの施設を新しい特定施設として入れる場合に、相当の投資コストがかかるだろうと思うのですが、その投資に対する効果という意味で、新しい基準を全部適用したときに、現状と比べてインベントリーにどのくらいの差が出てくるのかという推計はされたのでしょうか。
【排出抑制専門委員長】 これはなかなか難しい話かと思いますが、基本的には、かなりの程度、それぞれの業界の方でも自分たちの持っている施設でございますので、どのくらいまで下げられそうだ、あるいは基準のところまでいったら、あるいはもっと下げるような炉も出てきたら、というふうな想定でいろいろ計算されております。我々の聞いている範囲内では、多いところではトータル量で70%ぐらいまで削減するようなところも出てくるだろうと思っています。
  投資コストの話になってきますと、なかなか難しい話なので、ただ、ある意味においては、それほど過大のコスト負担といいますか、効果に対して大きなコスト負担が伴いますよという話は、実施可能性という点からみてみますと、少し外れることになるのかなと思っておりますので、技術の分野としては、そういう点での妥当性も判断していただいていると思っています。

【部会長】 ほかにございませんでしょうか。
  ほかにないようでしたら、この専門委員会報告を踏まえて、当部会としてのパブリックコメントに付する報告案をまとめたいと思います。
 私の方であらかじめ案文を用意しておきましたので、事務局からパブリックコメントについて説明していただいた後で、報告案を朗読させたいと思います。よろしくお願いします。

         〔報告案及びパブリックコメントの表紙を配布〕

【事務局】 それでは、まずパブリックコメントについて簡単に御説明した上で、部会報告の案を読ませていただきたいと思います。
  パブリックコメント手続は、本年の4月1日から政府全体として取り入れられた仕組みでございます。これは規制を作ったり、あるいは規制を変更したりする際に、その意思決定の過程において広く国民に対して案を公表し、それに対して提出された意見、情報を十分考慮した上で決定を行う、こういう観点の仕組みでございます。
  背景としましては、まず、国民の多様な意見、情報、専門的知識などを行政機関が知る必要があること、また、規則制定の公正の確保と透明性の向上を図ることが必要だという考え方から導入されたものでございます。
  具体的には、こういった規制などの案を作る際に、最終的な意思決定を行う前に、その案を公表して、国民の意見を求めるということでございます。
  ただ今、資料番号のない資料を配布させていただきましたが、これがパブリックコメント手続の表書きになるものでございまして、手続的な書類でございますが、頭には案件が何で、公表日、意見の締め切りがいつまでと、この資料については環境庁のホームページとか、問い合わせ先である環境庁の事務局で配布いたします、というような情報が書かれているわけでございます。
  2枚目からが本体の頭書きでございますが、「『今後の有害大気汚染物質対策のあり方について』大気部会報告(案)に対する意見の募集について」ということで、今回の案の趣旨と、パブリックコメントの趣旨について簡単に紹介しているところでございます。
  その下の2つ目の箱の中が趣旨でございますので、読ませていただきます。

     (パブリックコメント(案)の2枚目の2つ目の箱の中を朗読)

  このような説明をしているところでございます。
  その次からの2ページは手続的な説明でございまして、ご意見募集要項として、どういった内容について、いつの期間、形式としては、例えば郵送、ファクシミリ、電子メールでそれぞれ受け付けますという説明書きをしているわけでございます。
  以上がパブリックコメントについての御説明でございます。
  次に、これの本体となる部会報告の案でございますが、配布してあります資料1を御覧いただきたいと思います。部会報告(案)を朗読させていただきます。

(資料1 大気部会報告(案)を朗読)

  以上でございます。
【部会長】 今朗読していただいたような形のものを付けまして、報告案をパブリックコメントに付したいと思いますが、いかがでございましょうか。

【G委員】 パブリックコメントについて質問します。これでコメントを求めて、何かのコメントが上がってきた場合に、その意見ないし御注文を受け入れたか、あるいはそのまま却下するか、そういうことはコメントを出された方に連絡なさるのでしょうか。あるいは今まではどうだったのでしょうか。

【企画課長】 提出された意見につきましては、この部会に提出されますので、各御意見に対して部会としての見解をおまとめいただきます。それを公表するという手立てを考えております。ただ、どのくらい出てくるか分からないのですが、過去の例では何百通と来たこともございまして、個別に通知を差し上げるということまではしておりません。一応部会としての見解をおまとめいただいたものを公表するという手立てをとることになろうかと思います。

【G委員】 私もそれで当面はよろしいかと思いますが、往々にして、意見を提出しても、その意見がどういう形で取り入れられたか、あるいはどういう形で取り入れられなかったかということについて、説明をした方がいい場合もあるのではないか。今、環境庁は「リスクコミュニケーション」ということを大々的にいろいろな方面でおやりになっていらっしゃいますが、こう考えますと、すべての人に意見を求めるなんてことは非現実的ですが、かなり大事な、あるいは採用した方がいいような意見があった場合には、その個人についても何らかの御返事をするという体制をいつかはつくっていただきたいと思います。

【部会長】 ほかによろしゅうございましょうか。
  特に修正意見がなければ、この文章によって、本報告案をパブリックコメントに付することにしたいと思います。よろしゅうございましょうか。

             〔「異議なし」との声あり〕

【部会長】 大変短期間のうちに専門委員会報告をおまとめいただき、ダイオキシン類環境基準専門委員会及び排出抑制専門委員会の方々は大変御苦労されたことと思います。ここに御礼を申し上げたいと思います。
  なお、この報告案はパブリックコメントで幅広く国民の方々の意見を聴いた後、それに対する回答とともに、次回11月29日(月)の第25回大気部会において審議し、最終的に中央環境審議会会長への報告としてとりまとめます。その上で、中央環境審議会会長の御決裁を受けて、中央環境審議会会長から環境庁長官に答申するということになります。
  次に、事務局の方から幾つか資料が提出されておりまして、説明事項の申し出がございますので、それについてお願いしたいと思います。

【事務局】
(参考資料1の説明)

【部会長】 時間も残り少なくなってまいりましたが、次に参考資料2「平成10年度地方公共団体等における有害大気汚染物質モニタリング調査結果」と参考資料3「平成10年度大気汚染状況調査について」、御説明をお願いします。

【大気規制課長】
(参考資料2、3の説明)

【部会長】 次に、「平成12年度予算要求・要望の概要」、「ダイオキシン類対策に係る税制要望」、「平成12年度自動車関係税制の改正要望事項」、続けてお願いいたします。

【企画課長】
(参考資料4〜6の説明)

【部会長】 何か御質問ございますでしょうか。
  よろしゅうございましょうか。
  それでは、ほかに事務局から何かございますか。
【大気生活環境室長】 悪臭防止法に基づく臭気指数規制の規制基準の設定につきまして、取組状況を御報告させていただきます。
  平成7年に悪臭防止法が一部改正されまして、従来の特定の物質の排出濃度に着目した規制、いわゆる物質濃度規制に加えまして、人間の嗅覚を用いて測定する方法による規制、いわゆる臭気指数規制が導入されております。悪臭防止法では、悪臭の排出形態に応じて、敷地境界、気体排出口、排出水のそれぞれについて規制基準を定めることとしておりまして、臭気指数規制に係る規制基準について順次設定してきているところでございます。
  煙突等の気体排出口における規制基準につきましては、平成9年11月21日付けの中央環境審議会答申「悪臭防止対策の今後のあり方について(第二次答申)」を踏まえまして、本年3月12日に悪臭防止法施行規則の一部改正等を行いまして、本年9月13日から施行しているところでございます。
  次に、平成9年の第二次答申におきまして、今後の課題とされている排出水についての規制基準の設定につきましては、排出水に係る臭気指数の測定法の検討、地方自治体を通じた排出水に係る苦情実態の調査等を行ってきているところでありますが、規制基準の設定の検討に必要な知見の集積ができてきたことから、悪臭専門委員会における審議を11月12日に開始していただく予定で準備を進めているところでございます。
  以上、御報告させていただきます。

【部会長】 あとはよろしゅうございますか。
  それでは、これで本日の審議を終わります。大変長時間ありがとうございました。

−−了−−