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中央環境審議会第23回大気部会議事録


               

1. 日  時   平成11年7月1日(木) 11:00〜12:30

2. 場  所   東海大学校友会館 富士の間

3. 出 席 者

4. 議  題

  (1)部会の公開について
  (2)今後のダイオキシン対策の審議の進め方について
  (3)その他

5. 配 付 資 料

6. 議  事


【企画課長】 定刻となりましたので、ただいまから第23回大気部会を始めたいと思います。
  まず、お手元にお配りしております資料について確認させていただきます。

               (配付資料の確認)

  不備等がございましたら、お申し付けいただければと思います。
  それでは、進行につきまして、部会長、よろしくお願い申し上げます。

【部会長】 おはようございます。ただいまから第23回大気部会を開催いたします。
  まず、大気保全局長から一言ございますので、よろしくお願いいたします。

【大気保全局長】 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、感謝を申し上げます。
  昨年12月の前回大気部会以降、大気環境の関係では3つの大きな出来事がございます。一つはダイオキシン問題でございまして、所沢の問題を契機として国民の関心が高まってまいりました。こうした動きを受けまして、3月に「ダイオキシン対策推進基本指針」を策定しまして、政府一体となって対策を推進することとなりました。そして、ダイオキシン対策推進基本指針に基づいて対策を推進しているところでございますが、本日は、これに関して、今後のダイオキシン対策の進め方についても御審議いただきたいと考えております。   なお、国会の方でも議員提案という形でダイオキシン法案が提出されると聞いております。まだその動きについては正確につかんでおりませんが、今後のこともございますが、基本的には、ダイオキシン対策推進基本指針に基づいての討議をよろしくお願いしたいと思っております。
  もう一つは、川崎訴訟における和解が5月20日に国と原告との間で成立しました。道路管理者が関係行政機関等と連携して、環境基準の達成に向けて真摯に取り組むこととなっております。環境庁としましては、都市の大気環境の改善のため、今後とも積極的に対策を推進してまいる所存でございます。
  その一方で、去る5月7日に情報公開法が成立いたしまして、本日の議題となっております、大気部会の公開の方針についても、その流れの中で御理解をいただきたいと考えております。
  なお、大気部会においては、本日御報告申し上げる浮遊粒子状物質対策等、引き続き御審議を賜りたい事項がたくさんあり、今後とも御指導、御鞭撻をいただきますようお願い申し上げまして、御挨拶といたします。よろしくお願い申し上げます。

【部会長】 ありがとうございました。
  本日の議事は3つございます。大変時間が短くて恐縮でございますが、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
  まず「部会の公開について」でございます。これまで当部会における議事運営の方針につきましては、平成8年5月15日付けの部会長決定に基づいて、開かれた議事運営に努めてまいりましたが、行政情報の公開に関する最近の動向等に鑑みまして、議事の公開について、従来の方針を基本といたしますが、若干の変更をすることとしたいと思います。そこで事務局より、まず部会長決定の朗読、それに関する説明をお願いします。

【事務局】 それでは、資料1「大気部会の公開に関する決定について」朗読及び説明をさせていただきます。
  本決定は、「中央環境審議会の運営方針について」という平成7年12月7日付けの総合部会決定に基づくものでございます。総合部会決定の6に「上記のほか、会議、会議録及び議事要旨の公開に関し必要な事項は、会長又は部会長が定めることができるものとする」となっているところでございます。
  従来のものは、平成8年5月15日付けの大気部会長決定でございます。
  まず、新しいものを読ませていただきます。

        (資料1「大気部会の公開に関する決定」を朗読)

  1(2)の別の方法につきましては、裏の「大気部会の会議の公開の方法」によって定められております。この部分につきましては変更ございません。
  2枚目に従来のものが出ております。大きな変更点は、まず1の(1)のところでございますが、従来のものでは「答申又は意見具申の案文の検討を行う会議については」となっておりましたけれども、現在の状況を鑑みますと、このままでは非公開の範囲が広すぎると思われますので、新しい方では「個人のプライバシー及び企業の営業上の秘密に関する事項につき調査・審議を行う場合」にその非公開の範囲を限定しております。
  2番目は、同じく1の(4)のところで資料の公開が定められておりますが、古い決定では「検討中の答申又は意見具申の案文」は非公開ということになっておりますけれども、今回は1の(1)に合わせて、「検討中の答申又は意見具申の案文」という部分は削除しております。
  それから、2の(1)のところで若干変更しておりますが、これは読みやすくするための変更でございまして、中身の変更ではございません。
  2の(3)に、従来のものでは「総合部会決定2(3)@の規定に基づき公開した会議録以外の会議録は、審議会の構成員以外の者は閲覧できないものとする」となっておりましたけれども、公開した会議録以外に別の会議録があるというふうな誤解を招いてはいけませんので、この部分は今回は削除しております。
  3で、従来のものでは「その他」ということで、「本決定の内容については、今後、必要に応じ所要の見直しを行うものとする」とございましたが、これは当然のことですので今回は削除しております。
  以上でございます。

【部会長】 このような方法で今後の運営を行っていきたいと思います。また、この決定は、専門委員会などの議事の公開についてまで及ぶものではございませんが、個々の専門委員会につきましては、私と専門委員会の委員長とでその扱いを相談して、議題の性質が許す範囲でできるだけ公開性を高めていきたいと思っております。
  今の件に関して特に御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。

【A委員】 今の新しい提案でよろしいかと思います。ただ、「企業の営業上の秘密に関する事項につき」という項目は、かなり幅がある決め方なんです。国会で審議されているPRTRの法律では、営業上の秘密、企業秘密というのはかなり厳格に解釈するということになっています。もとになっているのは不正競争防止法なんですが、あそこまでやると厳しすぎると思います。だれが営業上の秘密であるかを判断するかというのは、なかなか難しい問題であるわけですが、これが余り幅広く解釈されないような運用をする必要がありますので、運用については、部会長の適切な御判断を要望いたします。

【部会長】 ありがとうございました。
  ほかにいかがでございましょうか。
  特になければ、このようにして進めさせていただきたいと思います。
  次の議題に移ります。2つ目の議題は「今後のダイオキシン対策の審議の進め方について」でございます。
  当部会ではこれまでも、平成7年の「今後の有害大気汚染物質対策の在り方について」の諮問を受けまして、ダイオキシン対策について審議しまして、一昨年の6月に「ダイオキシン類の排出抑制対策の在り方について」の答申を行い、大気環境指針などの提言を行ってまいりました。その後、ダイオキシン問題への国民の関心が非常に高くなりまして、本年3月にダイオキシン対策関係閣僚会議におきまして、「ダイオキシン対策推進基本指針」が策定され、政府によりまして一層の取組が推進されることになりました。
  これらの状況を踏まえまして、当部会におきましてもダイオキシン対策について更に審議を進めていくことが必要と考えられますので、今回、この今後の審議の進め方について、改めて皆様に図らせていただくことといたしました。
  それでは、今後のダイオキシン対策の審議の進め方について、事務局に資料を用意してもらいましたので、そちらの説明をお願いいたします。

【企画課長】 それでは、資料2−1〜2−4で一連の説明をさせていただきます。まずはじめに私の方から資料2−1、2−2で説明申し上げます。
  ただいま部会長のお話にございましたような経緯があるダイオキシン類対策でございますが、閣僚会議のダイオキシン対策推進基本指針が資料2−1でございます。ごく要点のみをまず御説明申し上げます。
  ここにおきましては、1ページの第1の「基本的考え方」におきまして、「今後4年以内に全国のダイオキシン類の排出総量を平成9年に比べ約9割削減する」という目標を掲げております。この目標に沿いまして、各種の施策を進めていくということでございます。 2ページ目にまいりまして、第2に「緊急に講ずべきダイオキシン対策」として、「1.耐容1日摂取量の見直しを始め各種基準等作り」とありまして、(1)で「ダイオキシン対策の基礎となる我が国の耐容1日摂取量(TDI)については、WHO専門家会合の結論を踏まえ、環境庁及び厚生省の共同作業の下、見直しを行い、3か月以内に結論を得る。また、この結論について国民に分かり易い形で情報を公開する」という方針が打ち出されております。3月末に出された基本指針でございまして、6月末までにという期限を付した取組でございます。
  3ページにまいりまして、このようなことを受けまして、3ページの(3)におきまして、「大気については、TDIの見直し後、6か月程度を目途に大気環境指針の見直しを行うとともに、さらに科学的知見の充実を図り、環境基準の設定を行う。水質については、科学的知見の充実を図り、環境基準又は指針の設定の検討を行い、また、これに合わせ、底質の除去基準についても設定を検討する。土壌についても、科学的知見の充実を踏まえ、環境基準の設定を検討する」となっておりまして、TDIの見直し後、6か月程度を目途に大気環境指針の見直しを行うとされたところでございます。
  その下の2.では「ダイオキシンの排出削減対策等の推進」ということで、(1)で「廃棄物焼却施設等の各発生源別のダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)を本年6月までに整備する」とされております。
  途中省略してまいりますが、4ページの下の方に「ダイオキシン類に関する検査体制の整備」ということがございまして、次の5ページでは、4.で「健康及び環境への影響の実態把握」ということで、大気、土壌、水質等のモニタリングについての方針を掲げてございます。
  6ページには、6.に、排出抑制の根本対策として、「廃棄物処理及びリサイクル対策の推進」としての対策を掲げております。
  以上のような基本指針の下に、政府全体として対策を進めておるわけでございますが、次の資料2−2を御覧いただきますと、先般6月25日に、ダイオキシン対策関係閣僚会議第4回会合が開催されまして、期限が付されていたTDIとインベントリーについて報告がなされ、政府の方針として決まったところでございます。
  表紙をめくっていただきますと、最初に「ダイオキシンの耐容一日摂取量(TDI)について」という環境庁・厚生省の資料が載っております。ダイオキシンのTDIについては、環境庁の中央環境審議会並びに厚生省の生活環境審議会及び食品衛生調査会において、合同で科学的見地からの検討が行われてきたが、今月21日に、その報告書がとりまとめられた。
  ダイオキシンの当面の耐容一日摂取量を、1日体重1キログラム当たり、4ピコグラムとする。なお、動物実験では、TDIの算定根拠とした試験結果の水準以下でも微細な影響が認められていることから、今後とも調査研究を推進していくことが重要。TDIは、ダイオキシン類のほか、コプラナーPCBも対象。これが基本の中身でございます。
  下の方の(参考)の最初の○でございますが、「我が国での平均的暴露量は、平成9年度の厚生省、環境庁調査で、約2.6ピコグラム(うち食品経由が2.41)であり、TDIを下回っている」。
 一つ飛ばした○で、今回の算定の考え方が書いてございます。基本的考え方はWHOと同一。「各種動物試験の結果を総合的に判断し、体重1キログラム当たり86ナノグラムをTDIの根拠とする体内負荷量とし、この値から人の一日摂取量として43.6ピコグラムを求め、これに不確実係数10を適用して、4ピコグラムを算出」ということでございます。
  次のページにございますのが「ダイオキシン類の排出量の目録について」でございます。
  2.に内容が書いてございますが、ダイオキシンの排出量の目録の概要。平成9年の我が国のダイオキシンの排出総量約 6,300g、平成10年の我が国のダイオキシンの排出総量約 2,900g、各発生源別のダイオキシン類の排出量は「別紙のとおり」とありますが、裏に付いております。大気汚染防止法及び廃棄物処理法による規制導入前に比べ、一般廃棄物焼却施設に係る排出総量が、約 3,000g減少するといったふうに、我が国のダイオキシン類の排出総量は1年で半減。
  今後の対応としまして、今後4年以内に全国のダイオキシン類の排出総量を平成9年に比べ約9割削減するというダイオキシン対策推進基本指針を踏まえ、今後とも一層の排出削減対策を推進。平成12年度以降も毎年排出量の目録を更新。こういう中身でございます。
  なお、詳細につきましては、資料2−3で後ほど規制課長の方から御説明申し上げます。
  以上のような内容が直近の政府の対応でございますが、実はこのほかに、局長の挨拶にもありましたが、ダイオキシンの排出抑制のために緊急に特別措置法を設定しようという動きが国会にございます。現在、議員提案という形で各政党間での調整がほぼついて、そう遠くない時期に国会に議員提案されると聞いております。議員提案の中身で正式にまだ国会に提案されておらないものですから、本日、資料をここにお示しすることができなかったわけでございますが、私どもが聞いておりますところによりますと、ダイオキシン類の排出抑制のためのかなり大がかりな総合法制と聞いております。
  中身を少しだけ御紹介申し上げますと、まず、耐容一日摂取量については、国及び地方公共団体が講ずるダイオキシン類に関する施策の指標とすべき耐容一日摂取量は、4ピコグラム以下で政令で定める値とする。
  環境基準として、政府は、ダイオキシン類に関する大気、水質及び土壌についての環境基準を定める。
  3番目、排出ガス及び排出水に関する規制として、ダイオキシン類の排出基準は、排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の削減に係る技術水準を勘案し、総理府令で定める。
  それから、総量規制基準を設けるということもございます。
  それから、排出の制限ということで、一定の猶予期間の経過後は、排出基準又は総量規制基準に違反してダイオキシン類を排出してはならないという規制がございまして、違反した場合には、罰則、直罰もかかるというふうな内容でございます。
  それから、廃棄物焼却炉に係るばいじん等の処理等の規定。
  それから、汚染の状況に関する調査、モニタリングの規定もございまして、都道府県知事は、大気、水質及び土壌のダイオキシン類による汚染の状況について常時監視し、調査測定を行うとされております。
  それから、汚染された土壌に係る措置についての規定もございます。
  それから、国の計画として、内閣総理大臣は、ダイオキシン類の量を削減するための計画を作成することとなっております。
  それから、小規模焼却炉等についての検討規定もございます。
  以上のようなかなり広範な内容からなる、大気のみならず、水、土壌についての内容も含むものでございますが、施行期日としては、原則として、法律が提案され、国会で成立して、「公布ということになった日から起算して6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」とされているところでございます。
  そういうことでございまして、この法律案が各党それほど議論なくということになりますと、成立はそんなに時間がかからないものと予想されまして、それでいきますと、公布の日から6か月を超えない範囲の日から施行ということになりまして、それほど遠いことではないということになります。
  以上が法案の動向でございます。
 このような大変大きな変化の動向を踏まえまして、大気部会に「ダイオキシン類環境基準専門委員会」を設置し、ダイオキシン類の大気環境基準を設定するために必要とされる専門的事項を特別に調査審議することが必要かと考えております。資料2−4でございますが、後ほど具体的に御説明申し上げます。
  それから、ダイオキシン類の排出抑制対策に係る審議でございますが、ただいま御紹介申し上げましたように、今後4年以内に全国のダイオキシン類の排出総量を平成9年に比べ約9割削減するとされておりまして、現時点でのインベントリーも先ほど御紹介申し上げたところでございます。このために、大気部会に設置されております「排出抑制専門委員会」におきまして、引き続きダイオキシン類の排出抑制対策に係る専門的事項を調査審議することといたしたいと思っております。
  私からは以上でございます。
  引き続き規制課長の方から説明申し上げます。

【大気規制課長】 資料2−3「ダイオキシン排出抑制対策検討会第二次報告」を御覧いただきたいと思います。
  めくっていただきまして、委員名簿、検討経緯の後に目次がございます。第一次報告は2年前の平成9年5月に、ダイオキシンの規制を大気汚染防止法で導入したときに出たものでございますが、この中で、今説明がありましたように、排出インベントリーの話、これからの排出抑制の推進方策の2点に絞って御説明させていただきます。
  24ページをお開きいただきたいと思います。排出インベントリーでございます。右側に先ほどの資料の裏にあったものを少し細かくしたダイオキシン排出インベントリーの表がございます。一番下の合計を見ていただきますと、幅はありますが、平成9年がTEQ換算で年間約 6,300g、平成10年が約 2,900gで、この1年で半減しております。
  平成9年5月の第一次報告におきましては、約 5,100〜5,300gという報告でありましたが、その後の調査結果、特に未規制の廃棄物焼却炉の推定あるいは産業系の発生源について調査した結果を入れ込んだ結果、平成9年の値が約 1,000g増えています。
  平成9年と平成10年の両方でインベントリーの結果を出しておりますのは、今申し上げましたように、大気への排出の規制が始まったのが平成9年、具体的には大気汚染防止法及び廃棄物処理法に基づく規制が既設施設も含めて平成9年12月から始まっております。
その効果を見るために、平成9年時点と平成10年時点の両方で推定しているわけです。
  それから、基本的に発生源のカテゴリーでございますが、左側の方に説明しておりますけれども、フローとして環境中へ新たに排出されているものを対象としております。すなわち、ストックのダイオキシンについては対象にしておりません。そういう大きな前提条件がございます。
  個々の数字でございますが、もう一度表を見ていただきたいと思います。一般廃棄物焼却施設、平成9年の値は、厚生省が初めて全国の市町村設置の廃棄物焼却炉について総点検調査をしたときの値であります。 4,320gであったものが、平成10年には 1,340g。この値自体は、平成9年12月から1年以内に1回以上測定しなければならないという廃棄物処理法に基づく義務がかかっております。その値から集計した値でございます。原則として全数調査であります。
 産業廃棄物焼却施設についても同じ測定義務がかかっておりまして、その集計した値が平成10年の 960gという値であります。1年前の平成9年当時にはそういった測定をしておりませんが、排出実態調査の濃度から逆算した値が 1,300g。2年前のインベントリーではおよそ 700gと推定しておりましたから、実際にはその2倍程度の排出があったと見込まれます。
  さらに、未規制の小型廃棄物焼却炉、これは今回初めて推定いたしました。「(事業所)」と書いてございますが、未規制の焼却炉が何台あるかということが巷間言われておりました。焼却炉メーカーの販売実績から計算しますと、9万台とか10万台とかいう非常に大きな数字になるわけですが、現在、家庭等に置かれている焼却炉で使われていないものも相当たくさんある。それらの活動量を推定するのは非常に難しい。あるいはこのインベントリーの目的は、これから削減の対象にしていこうというものを考えていることから、事業所に置かれている未規制の小型焼却炉を対象とした推定をいたしました。その結果、 300g強となります。もちろん対象としていないものもございますので、これよりプラスアルファがあると考えられますが、先ほど申し上げましたように、家庭等に置いてある焼却炉からの排出量は、これを超えるような大きな数字になるとは考えておりません。
  なお、焼却炉のところに「水」と書いてありますのは、水への排出についての調査結果から推定した値でございまして、廃棄物焼却炉で洗煙施設で洗った場合に、それが水に出る可能性があるということで、水へのダイオキシンの排出量も推定しておりますが、ここにございますように、桁が相当に違っている。非常に低くなっております。
  続きまして、製鋼用電気炉、これは既に大気汚染防止法の規制対象になっておりまして、1年の間に 187から 114まで削減されております。
  その後ずっと産業系の発生源が続いておりますが、大きなものを申し上げますと、鉄鋼業の焼結工程が 118から 100、亜鉛回収業が34から16、アルミニウム合金製造業が15.7から14.3となっております。この3つの業種におきましては、既に自主管理に基づく対策が進んでおりまして、その結果、亜鉛回収業などでは半分ぐらいになっているということであります。
  もう一つ御説明させていただきます。今後の排出削減対策に基づいてどのように行っていくかということでございますが、これにつきましては、56ページをお開きいただきたいと思います。このインベントリーに基づきまして、先ほど来お話がありますように、平成14年12月に今の大気汚染防止法、廃棄物処理法の恒久基準がかかります。そのときまでに平成9年に比べ、規制前に比べ約9割の排出総量を削減しよう、こういう目標でありまして、新たな削減対策として、56ページの下にございますように、まず未規制の発生源の対策を立てていこうと考えております。対象としては、これまで規制されている廃棄物焼却炉、製鋼用電気炉以外の施設でございますが、小型の廃棄物焼却炉、産業系の発生源では、先ほど申し上げた鉄鋼業の焼結工程、亜鉛回収業、アルミニウム合金製造業、こういったものを対象として、規制も含めた排出削減対策を一層推進していく必要があると考えております。簡単に言いますと、これまで1年で半分減ったわけですが、9割削減の目標を達成するためには、更に1/5のほど削減しなければいけない。まだまだ大変になっているわけです。
  それから、57ページの下にございますコプラナーPCB対策でございます。TDIが政府として決まったわけですが、このTDIにはダイオキシン、フランのほか、コプラナーPCBも含まれているわけです。コプラナーPCBについては、これまで排出実態調査あるいは環境モニタリング調査をしてきておりますが、まだインベントリーを整備するまでのデータが集まっておりません。引き続き調査をしておりますので、その結果を踏まえてインベントリーを整備していきたいと思っております。と同時に、先ほど来ありましたダイオキシン類対策特別措置法が成立し、それが施行になるまでの間に、できればコプラナーPCBも合わせてダイオキシン類の排出削減対策を開始したいと考えているところであります。
  参考までに、59ページに、諸外国における排出インベントリーの概要として、アメリカ、ドイツ等の最新の結果が出ております。UNEPがこれらの結果を取りまとめて発表したという新聞報道がございましたが、ドイツ、オランダ等に比べて、我が国の排出量が一桁違っておりますが、アメリカは、合計にございますように、 1,026〜7,541 という非常に幅の大きなインベントリーになっております。これは当然といえば当然なんですが、いくつかのサンプルについての排出実態、実測濃度がありまして、そこから推定しておりますので、幅が、誤差範囲が非常に大きくなるわけです。我が国の場合は、先ほど申し上げましたように、測定義務に基づいた、原則として全数の調査を積み上げているということで、このインベントリーについては、諸外国に比べても相当進んだインベントリーができているという評価を受けるものだと思っております。
  私からは以上でございます。

【事務局】 資料2−4につきまして御説明申し上げます。
  先ほど来御説明しましたように、大気につきましては、当審議会で大気環境指針について平成9年6月に御了承を得まして、同年9月、局長通知が行われているところでございます。このたび、TDI見直し後6か月程度を目途に大気環境指針の見直しを行うとされたところから、先ほど課長が御説明いたしましたとおり、大気部会に「ダイオキシン類大気環境基準専門委員会」を設置することにいたしたわけでございます。これは「することとする」ということでございまして、これから御決定いただくことでございます。
  現在、この資料にございますように、中央環境審議会の運営規則に従いまして、1.の(1)から(5)までの専門委員会が置かれておりまして、このうち(1)から(3)までが有害大気汚染物質に係るものでございます。今回は、ダイオキシン類の環境基準の設定を行うための専門委員会としまして、(6)にございますように、「ダイオキシン類環境基準専門委員会」を設けたいということでございます。   従来の環境基準専門委員会は(2)にあるわけですが、特にダイオキシン類について別に専門委員会を設ける必要性について申しますと、ダイオキシン類は、大気への排出といったことに着目して様々な施策が行われているところでございます。従来の環境基準を設定してまいりました物質は、吸入毒性、大気曝露、こういったものを中心に考えればよいものでございましたけれども、ダイオキシンについては、大気を出た後、様々な媒体を経て、最終的に何らかの形で人へ曝露、摂取されるということでございます。そういった観点から、環境挙動を踏まえた曝露評価が重要でございますので、そういった観点でリスク評価をするということでございますと、ダイオキシン類については、別途、環境基準専門委員会を設ける必要があるということで、このようにさせていただきたいということでございます。
  以上でございます。

【部会長】 ありがとうございました。
  今御説明がありましたように、ダイオキシン問題につきましては、新たに「ダイオキシン類環境基準専門委員会」をつくりまして、進めていきたいと思っております。ただ、この専門委員会につきましては、非常に国民の関心が高い問題でございますので、その公開の取扱いにつきましては、会議資料あるいは議事録等について、性質の許す範囲内でできる限り公開する方向で私と専門委員長とで御相談して進めてまいりたいと思っております。
  それでは、これまでの説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。

【B特別委員】 ダイオキシン類の対策は非常にいいと思うのですが、一般の素人の立場でものを考えさせていただきますと、資料2−2の裏側に(参考)ということで、「我が国での平均的暴露量は、平成9年度の厚生省、環境庁調査で、約 2.6ピコグラムであり、TDIを下回っている」と、TDIは4ピコグラムということで、普通の人がこれを読むと、下回っているのだったら、どうして対策を強化して9割も削減していかないといけないのか、その辺のつながりが分かりにくいのです。かつ、下の方に、WHOは行く行くは1ピコグラム未満に低減が適当としたということで、4を1にするとしても、我が国の調査では約 2.6ピコグラムということですので、その辺のところをもう少し分かりやすく説明していただけたらと思います。

【大気規制課長】 実は、この前に大気環境指針で0.8 pgというのを決めた経緯があるのですが、これは厚生省のTDI10pg、環境庁が出した健康リスク評価指針値5pgを基にして出したわけですが、そのときの考え方が多分参考になると思います。これはトータル・ダイエット調査等から平均的に見たときに 2.6pgという値であります。例えば、平均的でない人−−日本の場合、一人一日当たりの魚の摂取量が平均 100g弱だそうですが、2倍食べる人もいるでしょうという仮定を置いた場合、あるいは、今大分減ってきましたけれども、非常に高濃度排出していた廃棄物焼却施設のそばに住んでいる人を仮定したときに、この 2.6pgよりも相当上回る摂取が現実にある。そういったものを抑えるために、昔ございました健康リスク評価指針値5pgを超える可能性があるので、大気環境指針を決めて、大気からの排出をそれ以下に抑制しよう、こういう考え方でございます。B特別委員の御質問にはそう答えるのが一番素直なのかなと思っているところでございます。

【B特別委員】 そういう説明があると、一般の人も分かりやすいのではないかと思います。

【C委員】 B特別委員の御質問にも通じるかと思うのですが、要は、ダイオキシンについては、例えば母乳中のダイオキシン量がデータ的にはここ20年減っている方向にあるんですね。そういうことを考えますと、平成9年度から10年度で、大気中のものが 6,000が2,000 ですから、1/3にはならなかったけれども、1/2強減っているわけで、ここへきて急に減ったということで、庶民が安心しちゃうのではないかとすごい心配なのが一つあるんです。
 それから、確固たる環境基準を作って、今回の法整備で、入り口のところとしては、これからの排出を抑えるという意味では、法の整備がかなりできていっているとは思うのですが、本当の怖さみたいなものをきちっと研究、データをとるということをしていかないと、PCBなどの二の舞みたいな状態になるのではないかと思うんです。例えば、一番ピークだった20数年前の頃から比べてだんだん減っていっているという状態の中で、20年前に生まれた人たちの催奇形性の在り方とか、不眠その他もろもろのデータとか、その人たちを追いかけることによっていろいろなことが分かってくる部分もあると思うんです。そういうことになると、これは環境庁の問題ではないし、いわんや、大気部会でそこまで処すという話ではないと思います。厚生省の方でやるべき問題だと思うのですが、このダイオキシンの問題が始まったときに、まず最初に厚生省の基準と環境基準の基準が違ったりしていましたよね。その辺のところからだんだん歩み寄ったというか、省庁間の流れと、全体的な関心によって一つにまとまっていったみたいなところもあると思いますので、ダイオキシンの環境基準に関しての検討を環境庁はやっていればいいということではなくて、環境庁としては、ダイオキシンの基準については、専門委員会でやっていくにしても、いわゆる環境に関しての汚染と、人体に対しては、公害と考えた方がいいんですかね、公害の部分についてもある程度ウォッチしていくことが必要なんじゃないかと思うんです。だから、だんだん減っていっているからいいじゃないか、みたいな、要するに興味が失われていってしまうような状況でない形に、減ってはいっているけれども、昔あったことによる被害などについてもある程度検討していただけたらと思うんです。

【大気規制課長】 いろいろたくさん御指摘いただいたものですから、検討させていただきたいと思いますが、いくつかの点についてお答えしたいと思います。母乳中のダイオキシン濃度の関係なのですが、今分かったのは、大気への排出量が半減したところまでであります。それで大気中の濃度がどれだけ減ったかはまだまとまっておりませんし、それを経由して、水とか土壌とか、そちらの方がどうなっていくのかも見えておりません。さらに、魚を含めた食品あるいは母乳、人体の方については、引き続き調査をして確認をしていく必要があると思います。
  ただ、我々にとって非常にエンカレッジングなことは、ドイツにおいて10年前、1990年からこういった大気への排出の規制を始めまして、それと並行して、例えば母乳中あるいは血液中のダイオキシンを調査しておりまして、それが時間差はございますが顕著に減ってきているという報告を受けておりますので、私どもも、この努力を続けていけば、タイムラグは当然出てくると思いますが、人体の蓄積量も減っていくだろうという期待をもって対策を立てていけるのではないかと思います。
  もう一つは、先ほどのB特別委員の御質問にも関係すると思うのですが、なぜ削減する必要があるのかといったときに、確かにTDIの計算あるいはTDIから導かれる大気や水の環境基準を満足するのだということで、現状と比べてまだ引き続き削減の努力をしなければいけないというのが一つの論理なわけです。
もう一つ大事なことは、ダイオキシンというのは、国際的にも非常に関心を呼んでいる物質でありまして、大気大循環でPCBと同じようなことになるかどうかは別にして、日本の大気への排出量が諸外国と比べて一桁多いというのは、国際的な問題としても非常に重要ではないかと思っております。9割削減という意味は、少なくとも先に対策を立て始めた欧米並みのレベルにまで環境の濃度を下げていく必要があるのではないか、という発想から9割削減という目標を掲げているわけですが、そういった発想もあったということを御報告したいと思います。

【D特別委員】 今までの議論とも関係してきているのですが、先ほどダイオキシン排出抑制対策検討会の第二次報告の25ページでインベントリーの説明がありました。法規制ではないのですが、焼却炉に関しては、1990年の初めから第一次のガイドラインを決めたり、第二次のガイドラインを出したりということで、ある程度の対策はされてきたわけですね。そういう意味で、これまでの、どの程度そういう対策をやりながらダイオキシンの発生量が減ってきたかという話と、先ほど言われたドイツのような、大気に出、それが沈着したり、呼吸したりという形で人体に取り込まれて、人体中の濃度がどうなっているかというデータ、この辺の対比関係を出される方が、一般の人たちに説明が通じやすいのかなと思っています。インベントリーだけぽっと出されても、どういう意味があるのだという話になってくるわけで、過去にさかのぼった排出量の推計、これはかなり大胆な推計になってしまうかもしれませんが、先ほどのアメリカの例ではないですが、そういうことをやっているような国も相当あるわけで、それに比べれば、日本だって、今のデータを使いながらやっていけば、かなり確度の高い推計ができるのだろうと思っています。そうした努力もしていただきたいというのが第1点。ただ、先ほど排出だけでストック分という話がありました。この辺のところは農薬の話だとか、いろいろ絡んでくるのだろうと思いますので、難しい点はあろうかと思いますが、やれる範囲でできるだけお願いしたい。
  もう一つは、コプラナーPCBも入りましたが、臭素系の問題も基礎データとしてはとっておく必要があるのだろうと思いますので、そちらの関係も、どこでどうするのかよく分かりませんが、委員会の区分の中で、基礎データとしてできるだけいろいろな形で情報を集めていただきたい。この2点をお願いしておきたい。

【大気規制課長】 前段の御指摘は、C委員の御指摘と同じ点があると思います。排出量だけでなく、並行していろいろな調査を進めておりますので、それらとの対比をこれからオープンにしていきたいと思っております。
  それから、過去の分でございますが、実は私どもの認識は、1990年に厚生省がガイドラインを出して、それなりの効果があったはずなんですが、恐らくほとんど効果はなかったと思っております。それは平成9年の一斉調査の結果でこんな高い値が出ている。しかもガイドライン対象の炉についても高い値が出ておりまして、大気汚染防止法、廃棄物処理法の規制の効果が相当に大きかったのではないか。これは製鋼用電気炉という産業系の発生源もそうなんですが、厳しい基準がかかるのは平成14年12月なんですが、厳しい基準をかけるぞと言っただけで自主的な取組が当然進んでくるわけでして、この1年間の効果が一番初めての削減努力が全国的に行われた効果ではないか。逆にいえば、これからの削減が非常に難しい。はじめの1年目は相当いきますが、これから更にそれを1/5にするのは相当な努力が必要だろう。これは事業者にとっても大変なことだろうと思っております。過去についての意味は分かります。ある意味では、環境の濃度あるいは人体の関係で過去のデータとの比較というのは、これまでも厚生省等で行われておりますので、それはやっていきたいと思いますが、排出量の削減については余り期待できないと思います。

【D特別委員】 ただ、ダイオキシン対策でバグフィルターをつけたり、いろいろな形で途中途中でもやってまいりましたよね。確かにそんなにドラスティックに平成9年と10年の間みたいな格好では減っていないのかもしれませんが、努力はしてきたということは事実だと思うんです。その辺のところ、評価だけはやってみる。どのくらいの量だったかという話は、確かに言われるように、少ないかもしれませんが、数値だけは出していただきたいというのが私の要望です。

【E委員】 ダイオキシン類の排出量を、今テクノロジーでやったから半分になり、あと1/5に落とすのは非常に大変だというのはよく分かるのです。ですから、今度は、排出物の量を低減させることもかなり努力しなきゃいけないと思うのです。そちらの方にかなり力を入れてほしいと思います。

【F委員】 今までのお話と関連すると思うのですが、当面9割削減ということですが、理想としてはどの辺に置くのかということがあると思うんです。当面の対策と、将来にわたってダイオキシンに対してどういう対策をとるかというのはまた別になってくると思うんです。今、製鉄所の話がありましたけれども、ドイツのデータを見ると、300 いくつかの中でかなり大きな割合を製鉄所が占めているということになってくると、かなり厳しい規制をしても、この辺が残ってしまうのかなという気もします。単純に平成9年と平成10年のデータを見て、確かに廃棄物ということで注目はしますけれども、詳細に見ていくと、製鉄関係とか産業関係が、全体量としては少ないですが、その周辺住民にとってはかなりショッキングな値ではないかと思うんです。この辺をどういうふうに対策されていくのか、あるいは周辺の住民に対してどういう説明をされていくのか、その辺を伺いたいのです。

【大気規制課長】 今御指摘の諸外国のインベントリーで、ドイツで特に製鉄プラントというのは高い値になっております。現実にダイオキシンが発生する条件を、製鉄プラント、焼結炉とか製鋼用電気炉がそういう工程を持っていることは事実であります。ただ、日本とドイツとを比べたときに、これは検討会でも議論がございましたが、日本の方が一桁小さいのです。その主な理由は、恐らく鉄鋼プラントに対するばいじん規制が日本の方が厳しい、この影響が相当表れているのではないかという専門家の先生方の御意見でございました。   もう一つ大事なことは、ヨーロッパ等で産業系が多いのは、廃棄物焼却炉の規制はありますが、産業系の発生源に対する規制はないところがほとんどだということであります。そういう意味では、昔であれば、ヨーロッパでも規制されていないのになぜ日本で規制するのだという意見があったのでしょうが、今は逆に、日本が率先して、ダイオキシンが発生する工程のあるところを調べて、現実には自主的な取組も含めて、先に走っているというのが産業系発生源については言えるのではないかと思います。
  それがどの程度の寄与になるかというのは、御指摘のとおり、廃棄物焼却炉が注目を集めておりまして、これからどんどん減っていきますと、相対的に産業系発生源の寄与割合が高くなりますので、今御指摘がありましたように、そこに注目が集まってくる。それだけの排出があって大丈夫なのかどうかという更なる検討が必要だと思います。
  あとは、日本の廃棄物焼却炉がやり玉に上がっていますが、先ほど言いましたように、ヨーロッパ等では産業系のところは余り規制しないで、廃棄物焼却炉は10年前から規制しているというパターンがあると同じように、日本の場合は、ここにデータはございませんが、焼却炉の数が市町村設置だけで 1,800あったわけです。小さいものまで入れると10万もある。それに対してドイツは50しかないとか、ヨーロッパは 100以下であるとか、廃棄物の処理の仕組みが全く違っていたというのも大きな原因だと思います。
  日本の基準は、平成14年に厳しい基準がかかるといいながら、ヨーロッパに比べて非常に緩いじゃないかとよく言われるのですが、それはそうではなくて、ヨーロッパ並みの施設に対しては 0.1ngという非常に厳しい基準なんですが、小さい焼却炉もなければ日本の廃棄物の処理システムはうまくいかないから、そういった細かいところまでインセイ評価をして基準を決めているというのが事実であります。そういった施設がない国々ではそういう必要がなかった。ただ、先ほど御指摘がございましたように、焼却するものを減らしていくという発想が実は根本的には大事だと思っておりますが、大気の規制という観点でいきますと、燃やしたところの規制をしていくのですが、その前にさかのぼった、廃棄物の発生量を減らすとか、燃やす量を減らすという政策が非常に重要になってくると思っております。

【G委員】 私は、地域を基盤とする婦人のいわば主婦で構成している団体ですが、主婦の立場で、大変次元が低いですけれども発言させていただきます。
  今おっしゃるとおり、要するに出すごみの焼却というのが一番ダイオキシンのもとになるのですが、私ども婦人団体でも今一番関心が高く、そして学習とか実践運動に取り組んでいるのがこのダイオキシンの問題です。アンケートをとりましても、環境問題の中で一番関心の高いのは、大気汚染と出ておりまして、ダイオキシン、いわば自分たちが生活の中で被害者であり、加害者になっているという現実、これをみんなで何とかやろうということで、マイバッグ運動とかささやかな運動をやっております。しかし、最後に突き当たるのは、焼却して出てくるダイオキシンの元凶、もと、いわば生活の中のいろいろな食品の包装材、塩化ビニール系のもの、これは大変便利で使いやすくて安価だということで開発されてきた商品でしょうけれども、それを燃やすとダイオキシンが発生するということで、私どもの自治体も御他聞に漏れず、ダイオキシンの濃度が基準値以上になりまして、さあ、大変だということで、住民に対してごみの徹底した分別を言いまして、ビニール系のものは全部埋立てになったのです。そうしましたら、ダイオキシンの濃度はぐっと減り、基準以下になりまして、みんな安心したのです。反面、今度は埋立ごみが大変大量に出てきて、埋立処分場の耐用年数が少なくなった。さあ、どうするなんていうことで、これを狭い日本の国の中で対応するのは大変だと思います。
 ダイオキシンの排出量は日本は15カ国で最悪だというのが、先般、国連環境計画が報告書を出したというので、各国を対比したものが新聞に載りました。改めて日本のダイオキシンの排出量がいかに先進15カ国にに比べて最悪の状況なんだということで、みんな危機感を持ったと思うんです。私ども主婦として、運動の中で出てくるのは、もとを断つということで、ダイオキシンの発生する製品を減らしてほしい。ダイオキシン対策推進基本指針の7ページの(3)の中には、「使い捨て製品の製造……製品の開発・製造段階、流通段階での配慮の促進、国民の生活様式の見直し等」という記述が載っています。これはぜひやっていただきたいことですが、その前の(2)の中に、「既に措置された廃棄物対策を着実に推進するとともに、国民がより一層安心できる今後の廃棄物処理の在り方について検討に着手する」というのを見て、今から検討に着手するのかとちょっとがくっときたのです。ここら辺の記述がもう少し強力にならないのか。今から検討に着手するのでは遅いのではないかと思いましたので、発言させていただきました。

【企画課長】 ただいまのお話と先ほどのE委員のお話にお答えいたします。先ほど時間がなくて御紹介が漏れたのですが、資料2−2の3枚目に、インベントリーの次に、実は先だっての閣僚会議におきまして、「廃棄物のリサイクル促進等のための新たな制度の基本的な考え方」という方針も報告されております。資料の中に関係省庁の名前も書いてございますが、政府それぞれ循環型社会を目指して廃棄物そのものを減らしていくということについて、法制度も含めて取り組むという方針が決定されております。
  なお、2001年からの省庁の再編によりまして、環境行政と廃棄物行政が一体化されるということでございまして、このような対策についてはよりとりやすくなるものと考えておりますので、御指摘のような点は重々踏まえて取り組んでまいりたいと思っている次第でございます。

【H委員】 今までの委員の先生方のお話と関連する部分が多いわけですが、環境庁さんをはじめ関係省庁の方が一体となってこの削減に取り組まれてきたということで、平成9年から10年に大変削減されたこと、また、特にこの基本指針に従って、TDIが4pgということで統一されたということは、現場におきましては、大変ありがたいことのように思います。
  ただ、関係閣僚会議の後で、マスコミが新聞あるいはテレビ等でこの問題を取り上げて説明はしておりますが、何分にもあれだけでは国民が理解するということには至らないような気がいたします。基本指針にも、国民への的確な情報提供と情報公開ということが書かれておりますので、ぜひ4pgの根拠、どういう計算に基づいてこうなっているのか、それから、現在の曝露量がどうして 2.6pgになるのか、ということについて、もう少し分かりやすいパンフレット等を出していただけるといいのではないかと思います。
  特に母乳の現在量については、この前送っていただいた環境白書の概要版にもグラフが載っておりまして、大変減少してきているということは分かるのですが、多分4pgでも母乳の中は超えるのではないかという気がいたします。そうしますと、今現在自分のお乳で育てているお母さん方にとりましては、本当にこれでいいのだろうかという不安が強いと思います。母乳で育てることが大事だというような専門家のお話が新聞などに載ったりしますが、この点についても、現在こういう考え方で母乳保育を推進するのだということも載せていただけるようなトータルな、環境庁だけではなくて、せっかく省庁一体となって対策を進めるという指針もできておりますので、一人の人間がどうしていったらいいのかということがその場で自分の行動がとれるようなものにしていただきたいと思います。特に、今の廃棄物の問題は一人一人の問題でもありますので、そういう協力を得るためには大変必要だと思いますし、たばこの中からでもダイオキシンが出るのだということは、愛煙家にはちょっと厳しい問題になりますが、なかなか減らない日本の男性の喫煙の量とかパーセンテージを低めることにもつながるのではないかと期待しております。よろしくお願いいたします。

【I委員】 統計学的な観点から二、三御質問申し上げます。資料2−2の1ページ目といいますか、先ほどB特別委員が話題にされたことですが、まず「平均的暴露量は 2.6ピコグラムであり、TDIを下回っている」というステートメント自体が余り意味がないんです。むしろ教えていただきたいのは、実際に4pg以上の曝露を受けている人が一体何%ぐらいいるのかということです。その数字をもし御存じだったら教えていただきたいということが一つ。
  それから、資料2−3の25ページによると、さっき御説明がありましたとおり、平成9年度と10年度を比較すると、約半減しているわけです。そしてさっきの 2.6という数字は平成9年度の数字ですね。平成10年度にこれだけ排出量が半減したことによって、2.6 という平均あるいは4pg以上の曝露を受けている人の割合はどのぐらい減ったと予想されるのか、あるいは平成9年度の9割まで向こう4年間で削減したとすれば、それによって4pg以上の、要するに危険な状態にある人というのは何%ぐらいに下がることが予想されるのか、ということを教えていただいてはじめてこのあたりの数字の意味がよく分かる。
  もう一つ、先ほど諸外国の例と比較されて、日本は全数調査をやっているとおっしゃいましたね。全数調査をやっているからいいとは言えないわけです。標本調査の方がむしろ正確であるということも言える。つまり、全数調査をやれば、あらゆる廃棄物処理場からデータを出させるわけですね。そうすると、それ自体が非常に不正確な場合が多い。結果的にそれを積み上げた数字がどちらかに偏る。ですから、全数調査だからとそれを誇りをされるのは、統計学的な立場からいって、おかしいのではないかということが一つ。
  それから、そのように全数調査をやっていると、この 6,200とか 2,900という数字は、どっちの方に偏りが生じている可能性があるのか。つまり、多めに出るのか、少なめに出るのか、それについての御判断を聞かせていただきたいと思います。

【大気規制課長】  2.6pgという平均の値ではなくて、例えば、どういう分布になっているか、4pgを超えている人が何人いるかという統計解析はできるのかもしれませんが、やっておりません。これは厚生省のトータル・ダイエット調査の平均値をいただいてここに書いているだけでございますので、I委員の御指摘は、多分、今度の環境基準専門委員会で、どうやって大気の環境基準を決めるのかといったときに、TDIとの関連からいろいろと検討していただくことになりますので、そこで、そういったデータの解析等もしていただくことになるのではないか。今すぐには出せませんが、そういったところでの検討がぜひ必要なのではないかと感じたところでございます。
 そういう意味で、大気の濃度がどれだけ減ったら、4pgを超える人の割合がどれだけ減るか、あるいは9割削減したらどうなるかといったことも、専門委員会での御検討の結果を受けまして、そこからそういう計算ができるのではないかと思ったところでございます。
それから、全数調査の話は、まさに御指摘のとおりでございまして、一つ一つのデータの信頼性の問題を考えたときに、信頼のあるサンプル調査をして、それに対する誤差を考えた方が統計的に正しいことは、私も同じだと思いますが、基本的には、信頼できない測定では困るわけでして、片や測定義務をかけておりますが、この測定義務や測定結果についての精度管理をしっかりして、できるだけ正しくしていくという方向も一つあるのではないかと考えているところであります。
  もう一つの大きな問題は、これは年に1回以上なんですね。ですから、その値が年間の排出量を平均しているかどうか、どちらに振れるかという御質問がございましたが、ほとんど一つのデータで推定しておりますので、御指摘のとおり、一つ一つが非常に誤差を含んでいる可能性が高いというのと、一つのデータだけで年間の平均を判断しておりますので、どちらに振れるか全く分からない。議論がありますのは、NDをゼロとして扱うか、1/2として扱うか、あるいは1として扱うか。国会でも議論がありますが、この場合は、ゼロで扱っておりますので、そこの分は低く出ることになるかもしれませんが、実際の大気の精度管理で定量下限値は非常に低く抑えておりますので、低く出るといっても、ほとんど小数点以下の話になる。それよりも、年に1回のデータで代表することの方が問題だろうと考えております。

【部会長】 ありがとうございました。
  いろいろ御意見も出ましたので、それらの御意見を踏まえて、専門委員会の方で十分審議していただきたいと思います。   ダイオキシン類環境基準専門委員会をつくりますが、その委員の人選につきましては、今回ここで設置が了承されたことといたしまして、直ちに事務局と相談して選任の上、後日御報告いたしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
  それでは次に移りたいと思います。「その他」について、何か事務局の方からありましたらどうぞ。

【大気規制課長】 資料3−1、3−2に浮遊粒子状物質に関する検討結果レポートを用意させていただいておりますので、簡単にかいつまんで御説明させていただきたいと思います。資料3−1が概要版で、資料3−2がレポート本体でございます。図表がございますので、図表で御説明させていただきます。
  6ページをお開きいただきたいと思います。SPM(Suspended Particulate Matter) に係る大気汚染の現状でございまして、昭和49年から平成9年までの一般環境大気測定局(一般局)、自動車排出ガス測定局(自排局)の値が並んでおります。これは環境基準が浮遊粒子状物質、粒径10ミクロン以下の粒子状物質という形で昭和48年に決まっておりまして、その濃度が全国でどう移ってきているか。当初がくっと下がった傾向があるのですが、あとずっと横ばいの状況。もう一つ大事なことは、自動車排出ガス測定局の方が一般環境大気測定局よりもずっと高い濃度を示しているということであります。
  現在の達成状況でございますが、平成9年では、一般局では62%達成、それに対して自排局については34%達成ということで、これは問題になっている都市部で達成されていない場合が多いのですが、達成率そのものは、二酸化窒素(NO2 )に比べて、SPMの方が全国的に見ても、自排局で見ても悪いということであります。特に自動車NOx 特定地域(東京周辺と大阪周辺)における自排局の達成率はわずか9%。NO2 と比べていただきますと分かりますように、SPMの方が環境基準との比較からみると、達成率が悪いということであります。
  その発生源がどうなっているかというのが7ページの図でございまして、関東地域、関西地域、特に達成率が悪いのが関東と関西に集中しておりますので、平成6年の値をもって比べたものがこの円グラフでございます。工場・事業場と自動車の寄与割合を見ていただきますと、自動車が関東で35%、関西で41%ということで、自動車がメインの発生源になっております。
  もう一つ注目すべきことは、工場・事業場の中に小さな円がございまして、2つに色分けをしております。一次粒子と二次生成粒子。一次粒子というのは、ダスト、ばいじんであります。二次生成粒子というのは、煙突から出たときはSOx やNOx といったガスであったものが、大気中で光化学反応等を起こして、硫酸ミスト、硝酸ミストあるいは硫酸塩、硝酸塩という二次的に生成されるもの。この割合が工場・事業場の場合、関東、関西とも圧倒的に多い。こういう解析結果になっております。
 次に8ページを御覧いただきます。2010年時点での将来予測を行っております。2010年をとりました理由は、一つには、ディーゼル車を中心とする自動車排出ガスの規制が、昨年12月に答申をいただいたとおりに進むとしますと、2010年頃に相当効果が上がってくるというのが一つ。
  もう一つは、廃棄物焼却炉のばいじん規制を昨年強化いたしまして、その適用が来年の4月からになります。そういった効果も見込めるというものを見てみますと、平均濃度全体も下がっておりますけれども、工場・事業場と自動車の寄与割合が逆転しております。当然、自動車排出ガスの規制による効果が出てきたということであります。
  ところが、8ページにありますように、平均濃度で関東では41.6、関西では33.2、関東の方が高いわけですが、まだ環境基準を達成できない測定局が残ります。
  9ページを御覧いただきます。どれだけの局が残るかということです。ディーゼル車を中心とする新短期規制あるいは新長期規制も一部始まると思いますけれども、その効果あるいは廃棄物焼却炉のばいじん規制の効果が出てきた時点で、関東地域50の測定局を予測の対象としましたが、25局がそういう対策によってもまだ環境基準を達成できないというのがこの表であります。0%、何もしなかった場合。それで一次粒子、ばいじんを 100%削減したらどうなるか。それでも16局が達成できない。先ほど言いましたSOx 、NOx等の二次生成粒子関連のみを低減した場合と、一次と二次と両方やった場合を見ましても、最終的には1局残ってしまうのですが、仮に9割のところで達成するというレベルを見ますと、50の1/10の5というところを見ますと、50%、更に50%の一次粒子も二次生成粒子の原因物質も削減しなければならないという計算結果です。関東の方が高いからこうなります。関西の方は、34局のうち、ほとんどが達成できるというレベルが10〜20%。ですから、比較的にいいますと、関東地域では固定発生源を中心に50%、関西地域では10〜20%一層の削減が必要である。   10ページは、ばいじん、NOx 、SOx 排出量の各施設ごとの寄与割合でございます。この見方は、廃棄物焼却炉の寄与が高かったのですが、先ほど言った規制の効果によりますと、平成22年時点ではボイラーの寄与率が圧倒的に優位になるということであります。 どういった対策を考えるかというのが11ページの表でございます。この検討結果を受けまして、すぐにでも作業を進めたいと思っておりますのが、廃棄物焼却炉以外の施設についてのばいじん排出規制の強化であります。さらに二次生成粒子対策として塩化水素の基準強化を考えたいと思います。NOx 、SOx の基準強化もございますが、これにつきましては、既に関東、関西地域では、NOx 、SOx の環境基準達成を目標とした総量規制が打たれておりますので、これに重ねて規制強化をするのはすぐには難しいと考えております。
  さらに、下にあります炭化水素類の排出抑制。炭化水素類は二次生成粒子の原因物質となると同時に、光化学反応等の反応を促進する役割を持っております。さらに、光化学オキシダント対策あるいはNOからNO2 への転換を抑制する対策にもつながりますので、この対策も重要と考えております。今申し上げました炭化水素の排出抑制あるいはNOx 、SOx の総量規制という考え方につきましては、現行の大気汚染防止法ではなかなか取り組めないという課題がありますので、制度改正も含めた検討が必要であろうと思っております。   さらに、現行の法体系の中でできますのは、未規制の施設について、小規模施設、先ほどのダイオキシンの廃棄物焼却炉の小型施設の話がございましたが、これについての規模のすそ下げも検討の対象になろうと思います。
  さらに、一番下にございますように、PM2.5 対策というものにつきましても、健康影響の評価を踏まえまして、環境基準の設定・改定について検討する必要が出てくると思います。これまでお話ししましたように、この検討会のレポートを受けまして、行政としてできることが幾つかございます。それと同時に、恐らく制度改正を伴うようなものが、先ほど言いました、炭化水素類の排出抑制、あるいはSOx 、NOx も含めた総合的な総量規制、SPMの環境基準達成のためのSOx 、NOx 、ばいじんの総量規制のような考え方を導入していく必要があると思いますので、近々にもこの大気部会に、こういった対策の具体化に向けての御検討を開始していただく必要があるのではないかと思っているところでございます。
 以上でございます。

【部会長】 時間がなくなりましたが、特に御意見、御質問ございますでしょうか。

【C委員】 ディーゼル排気微粒子をはじめとする大気浮遊物質の問題についてなんですが、前回の会議の後、いろいろお話を伺って、私自身も頭の中がはっきりしたかなと思ったのですが、今、何かというと、環境問題、環境保全みたいな形でいっちゃうのですが、参考資料2には「低公害車」と、「公害」という言葉をきちっと使っていらっしゃいますよね。環境問題としてCO2 の削減とか温室効果ガスの削減みたいなことと、人体に影響する、特に今回の場合、例えば工場から排出される物質の中で、二次的な光化学反応などを起こしたトリニトロベンゾアントレンみたいな、DNAまで傷つけてしまうような物質とか、そういうものは、公害としてしっかりと国民が頭の中に入れておいた方がいいと思うんです。テレビなどを見ていても、自動車でも何でも「環境にやさしいもの」というような言い方をしているのだけど、実は私たちは心の中に多分、日本は公害先進国だから、公害問題の方が自分たちに身近に大切な問題だというところがあると思うので、公害というものと環境保全というのは、この辺で分けるというのは変ですが、どっちを主にしてやっているかということをはっきりうたった方がいいのではないかと思います。

【部会長】 ありがとうございました。
  ほかにございませんか。
  それでは、この件につきましては、部会での審議に向けまして、事務局の方で今後作業をお願いしたいと思います。
  今後、大気部会としましては、このほか、ダイオキシン対策に係る各専門委員会の検討状況の報告を踏まえた審議や、政府のパブリック・コメント手続による国民からの意見聴取の関係での審議がありまして、これまでにも増して活発に御審議をお願いすることになるかと思います。委員の皆様には、こうした点を含めまして、今後とも部会での精力的な審議をよろしくお願いしたいと思います。
  また、事務局の方でも、こうした方向で審議の準備をよろしくお願いしたいと思います。
  最後に委員の方から何かございますでしょうか。
  特にないようですので、本日はこれで閉会といたします。どうも御苦労さまでございました。


−−了−−