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 1970年代、日本は、戦後の経済復興・発展の過程で生じた公害を克服するため、厳しい環境基準を設定した。産業界は、これに対応するため、公害防止のために莫大な投資を行った。しかし、これらの投資は、例えば自動車排ガス規制の結果、効率の高いエンジンが開発され、また公害対策技術への研究開発投資が、排煙脱硫装置等の分野で対策技術のコストを低下させるなど、技術革新を促し、製品の品質向上、コストの削減につながった。また、公害防止機器メーカーの生産も向上し、有効需要が創出された。
 地球温暖化などの地球環境問題への我々の挑戦に当たっても、それを克服していく過程で新たな技術、製品、産業が生まれるものと考えられる。
 京都議定書により定められた削減目標は厳しいものではあるが、その採択を、社会経済システムの変革の好機ととらえ、環境の保全が経済活動に組み込まれた、「持続可能性」という理念を具体化した社会を創造することに向けて、世界に先駆けて行動を起こすことが、世界全体の取組を加速化する上でも必要であり、また、長期的に見れば、我が国の繁栄にもつながることになると考えられる。
今日から、地球温暖化問題へ真正面から取り組み始めなければならない。


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