■もどる■

○説明者(永松) 経団連の永松でございます。
 普通でございましたら、こういう席にお招きいただきましてありがとうございますと申し上げるわけでございますが、本日は先生方の面接を受けるような心境であります。せっかくの機会でございますので、経団連の温暖化問題に対する取り組み、また考え方につきまして、環境税を含めてご紹介をさせていただきます。
 お手元に資料をお配りしてございますので、それをごらんいただきながらお聞き取りいただければと思います。
 経団連では、既に10年来温暖化問題に取り組んでいます。1991年には「経団連地球環境憲章」を策定し、その中で「環境問題への取り組みが企業の存在と活動に必須の要件である」ということを基本理念として掲げまして、環境保全に向けて、自主的かつ積極的に取り組みを進めていくということを宣言したところでございます。
 さらに96年には、地球環境憲章の理念を具体的な行動に結びつけるために、「経団連環境アピール」を発表いたしました。同アピールでは、温暖化対策について産業界として実効ある取り組みを進めるべく、自主行動計画を策定することを宣言いたしたところでございます。これを受けまして、翌97年に「経団連環境自主行動計画」を策定し、現在48業種が参加しておりまして、温暖化問題に加えて廃棄物問題にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 温暖化対策については、2010年度に産業部門及びエネルギー転換部門からのCO2 排出量を1990年度レベル以下に抑制するよう努力するということを統一目標として掲げております。石油危機以降の省エネ努力を受けまして、我が国産業界は欧米諸国に比して既に極めて高いエネルギー効率を達成しております。また、20年間の経済の拡大を考えれば、この目標は非常に厳しく、また裏を返せば意欲的なものというふうに言えるかと思います。
 実際、対策を実施しない場合、BaUの2010年度の排出量は90年度比11%増というものが見込まれておるところでございます。
 温暖化のような長期的かつ地球規模で生ずる環境問題、これはその原因があらゆる事業活動や我々の日常生活の隅々にまで関係しております。そのため、一律に活動を制限するということはできません。また、従来の規制という手法では十分に対処が困難であるというふうに考えます。
 70年代の公害対策等で効果を得てきた従来型の規制的措置にかわって、地球規模での問題について、対策効果が期待されるのが自主的取り組みであるというふうに考えています。
 自主的取り組みは、みずからの業を最もよく知る事業者が、技術動向や他の経営判断など総合的に勘案して、費用対効果の高い対策をみずから立案してこれを実施することで、対策として最も有効であるという考え方に基づいております。
 さらに経団連では、毎年自主行動計画の進捗状況をフォローアップし、その結果をインターネット等を通じまして、広く一般に公表いたしております。つまり、経団連自主行動計画は、目標の設定、目標達成に向けた取り組み、取り組みの進捗状況の定期的なフォローアップ、そしてインターネット等を通じたフォローアップ結果の公表という、4つのステップを毎年繰り返すことで、継続的な改善を促し、目標の未達を事前に防ぐことができる仕組みになっております。
 また、自主行動計画のフォローアップは、98年6月に策定されました地球温暖化対策推進大綱においても対策の主要な柱の1つに位置づけられております。自主行動計画の進捗状況は、毎年関係審議会の場でレビューされており、さらに地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議にも報告されております。
 これまで、98年、99年、2000年、2001年と、4回のフォローアップを行ってまいりました。10月19日に公表いたしました第4回フォローアップの結果につきまして、その概要をご報告申し上げたいと思います。
 2000年度の産業・エネルギー転換部門、36業種からのCO2 排出量は、同部門全体の4分3強をカバーしておりまして、4億 8,600万t-CO2 となりまして、前年度比で 1.1%増加、基準年の1990年度比で 1.2%の増加となっております。
 90年度からの増加の要因を分析いたしましたところ、電力部分のCO2 削減効果がマイナスの 2.2%、業界の自主努力によるCO2 の削減がマイナスの 4.1%ということでございますけれども、景気動向による生産拡大によるCO2 排出量が 7.5%増ということになりまして、差し引き90年度比 1.2%の増加ということになった次第でございます。
 各業種、企業ともCO2 削減対策に努めておりますものの、昨年度は景気が好転し、生産量が伸びたことにより排出量がこれを上回ったということでございます。しかしながら、今年度は景気後退がほぼ確実でございまして、次回フォローアップではCO2 排出量が大幅に減少し、同じく景気が落ち込んだ98年度レベルに近づくのではないかというふうに予想いたしております。
 自主行動計画を策定いたしました97年度からの推移をごらんいただきますと、景気動向に伴う幾分かの増減は見られますものの、おおむね90年度レベルを維持していることがおわかりいただけるかと存じます。したがいまして、私どもはこれまでのところ、目標を着実に達成しているということのように理解いたしております。
 経団連といたしましては、今後とも参加業種に対して個々の目標達成に向けた対策の着実な実施を求めるとともに、全体として統一目標の達成に全力を挙げて努力していく所存でございます。また、民生・運輸部門を含めた参加業種の拡大、CO2 排出量増減にかかわる要因分析の精度の向上など、自主行動計画のより一層の内容の改善、情報開示に努めてまいりたいというふうに考えております。
 今後も一層の信頼性を確保しつつ、中長期に自主行動計画の枠組みの中で、産業界の取り組みを続けるために、民間による第三者認証を視野に入れたスキームとして、自主行動計画参加企業・業界が自主目標、排出実績等を登録する国内登録機関の設置も現在検討しているところでございます。
 それでは、ここで温暖化問題についての基本的な考え方を整理いたしたいと存じます。
 自主行動計画につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。産業界の温暖化対策は、今後とも自主的取り組みを中心とすべきであるというふうに考えています。温暖化対策は、長期的には技術開発がかぎとなるわけでございますので、産業界としては技術開発によって引き続き温暖化対策に貢献してまいりたいというふうに思っております。しかしながら、石油危機以降、既に相当の省エネを達成いたしまして、諸外国に比べて非常に高い省エネを達成した我が国としては、目下ブレークスルーにつながるような技術開発は必ずしも視野に入っていないというのが現状でございます。
 いずれにしましても、原子力をはじめとした既存の技術を総動員するとともに、革新的な技術開発が不可欠であるというふうに考えます。地球温暖化防止技術を国家の技術開発戦略の柱の1つとして位置づけ、民間の技術開発を促すよう政府が中長期的な支援を行っていただきたいというふうに考えております。とりわけ、CO2 を排出しない原子力利用の推進が温暖化対策の上で最重要の課題となります。引き続き、産業界が安全性の確保に最大限の努力を傾注するとともに、国民の理解を得る上で、国・地方自治体がその役割を果たし、原子力利用の推進を図るべきではないかというふうに考えております。
 環境省発表の99年度のCO2 排出量の部門別内訳によりますと、エネルギー転換部門と産業部門のCO2 排出量は90年度以降ほぼ横ばいであるにもかかわらず、民生・運輸部門のCO2 排出量は大幅に増加し、99年度実績で見ますと、日本全体の46.4%を占めるに至っています。これらの部門における対策の遅れを、自主行動計画に参画しみずから温暖化対策に取り組んでいる産業にしわ寄せをすべきではないというふうに思います。
政府は民生・運輸の対策の多くが国民生活に直結する性格のものであることを認識し、我が国の目標達成の厳しさと国民が果たす役割の重要性について、教育・啓蒙に努めるとともに、交通渋滞解消のためのインフラ整備など、CO2 削減に効果のある対策を策定すべきであるというふうに考えます。
 それから、次に国内制度でございますが、イギリス等では、申し上げるまでもございませんけれども、温暖化防止への取り組みにつきまして、業界または企業が政府との間で協定を結ぶ方法が導入されておりまして、我が国にもこれを導入すべきではないかといった議論がございます。しかし、我が国の場合の協定は、従来の公害の例などを見ましても、柔軟性のない規制的・拘束的な意味合いの強い片務的なものになるおそれがございます。温暖化対策をこのように協定化すれば、従来の自主的取り組みのメリットである柔軟性が損なわれるおそれがあり、協定化は導入すべきではないというのが私どもの考え方でございます。
 また、行動計画の策定を義務づけるべきとの議論もございますが、産業界の温室効果ガス排出抑制の取り組みが、先ほど申し上げましたが、みずからの業を最もよく知る事業者自身が自主的に実行計画を策定し、実施するのが最も効果的であるというふうに理解しております。これを義務化することは自主的取り組みのメリットを著しく損なうこととなり、望ましくありません。
 強制的な排出枠の割当を前提とした国内排出量取引制度の構築は、極めて経済統制であり、市場経済になじまないこと、割当における公平性の確保が困難なことなどから不適切でございます。また、特に我が国の場合、企業の省エネルギー目標が相当高いレベルにあり、国内市場に放出するほど排出枠に余裕は生じないということが予想されます。
 最後に、CO2 排出抑制の手段としての環境税でございます。これも、私どもは幾つかの問題がむしろあるという認識でございます。
 第1に、資料をお配りしてございますけれども、石油危機前後のエネルギー価格の動向とガソリン、あるいは電力の需要推移などを見ても、エネルギー需要の価格弾力性は極めて低いということで、環境税のCO2 排出抑制効果は疑わしいという点が第1点でございます。
 第2に、新たに税を課すことは、産業の国際競争力の低下を招くだけでなく、省エネのための技術開発や設備投資など、産業界の自主的な取り組みをも阻害するということでございます。また、環境コストの低い途上国への生産移転を促進し、かえって地球規模ではCO2 の増加を招くという矛盾も生じるのではないかというふうに考えます。
 第3に、現在の経済情勢で新たな税を課せば、経済の活力を損ない、失業等の問題を一層悪化させるため、導入時期としてふさわしくありません。環境税導入の報道だけでも消費者にマイナスのアナウンスメント効果があるのではないかということも懸念いたしております。
 仮に、環境税を導入するとした場合、課税はあくまでCO2 排出量に着目すべきであり、また最終的には消費者負担となるべきでありますが、製造業は激しい国際競争にさらされているため、税の転嫁が困難でございます。国境税調整を行うにしても、製品ごと、生産者ごと、生産国ごとに製造過程におけるCO2 排出量が異なるため、税額の算出が極めて困難ではないかというふうに考えております。むしろ、エネルギーの有効利用を妨げている規制の緩和など、炭素税の導入より先に着手すべき対策がございます。
 例えば、先ほど申し上げました原子力発電にいたしましても、定期検査時期の延長等によって、稼働率が約5%向上するというふうに試算されております。これにより、CO2 排出量を1%ポイント削減することができるという試算もございます。
 以上が、私どもの考え方でございますが、政府はぜひ経済の活力をそぐような規制や税ではなくて、企業や国民が進んで参加できる仕組みを構築していただきたいというふうに思います。先ほどご紹介のございました、昨日の推進本部決定の文書にも書いてございます。私どものスタンスは、アメリカ抜きの比准は急ぐべきではないというスタンスでございますが、この中にもございますように、経済界の創意工夫を生かし、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立に資するような国内制度の整備・構築を目指していただきたいと思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 それでは、皆さんご質問ございましたらどうぞ。
 どうぞ、大塚委員。

○大塚委員 幾つかお伺いしたいと思いますが、余り一般的な話をここでしても仕方がないと思いますので、1つお伺いしたいんですけれども、現在の自主行動計画について第三者機関の認証を入れるということがご検討されているようですが、これについてもう少し詳しくお話いただければというふうに思います。
 それから、これは税の検討会ですから余り一般的なことを聞いてはいけないんだと思うんですけれども、結局、税もだめで排出量取引も嫌だというお考えで、自主的取り組みだけで本当に6%削減に向けて、例えば政府の今までの大綱にあるような2010年に、90年レベルから見ると 7%削減ということを、産業界としてもおやりになれるというふうに本当にお考えなのかどうかということも、それだけはお伺いしておきたい。
 つまり、景気が悪くなればできるかもしれないというようなお考えのようにも受けとれたので、ちょっと失礼な言い方で済みませんが、その辺はどういうふうにお考えなのかということもお伺いしたいと思います。

○説明者(永松) 最初の第三者機関の問題でございますが、実は率直に申し上げまして、こういったこと自体にも業界によってはやりたくないというご意見もあるんでございますが、やはり社会的コミットメントを果たしているわけでございますので、検討はこれからでございますが、積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。

○大塚委員 例えば、第三者機関としてどういうところをお考えとか、そういうことはもうお考えですか。

○永松経済団体連合会常務理事 これからでございます。
 それから、私ども自主行動計画では、先ほど申し上げましたように90年度比、伸び率ゼロということで、大変厳しい環境だとは思いますが、何とか会員企業の協力を得ながら進めていきたいと考えております。
 ただ、大綱の中から出てきております90年比、産業界マイナス7%ということにつきましては、さらに深掘した検討をしていかなければ、容易に達成できない数字だろうと考えております。しかも、聞くところによりますと、この7%達成の根拠として原子力発電20基の増設といったこともあるやに聞いておりまして、これも現在非常に難しいということでございますので、何らかのほかのことを考えなければ到底達成できないんではないかという感じでございます。

○飯野委員長 ありがとうございます。
 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 4つか5つほどお尋ねしたいんで、1問ずつお願いいたします。
 まず、今後、今から言うと2010年という10年後ですね、今後10年で産業構造がどのように変わるように展望しておられるかということなんですね。私の手元にある数字を申し上げると、1985年には製造業のいわゆる付加価値ベースで、いわゆるGDPに占める製造業の付加価値の比率といいますか、生産の比率というのが29.5%だったんですね、約30%。ところが、それが97年、12年間で24.3%までくるわけです。私は、やはり2010年にはヨーロッパ諸国並みの20%ぐらいまでに下がると思うんです。それから同じ製造業の中でも、いわゆる素材型産業の比率がやはり低下するということは、これは鉄鋼業に関連している方から見れば大変不愉快な思いをなさるかもしれませんが、それは致し方のないことだと思うんですね、日本経済の成熟化に伴って。
 念のために申し上げると、製造業に占めるエネルギー多消費型産業、鉄鋼、鉄金属、窯業、土石、金属ですけれども、これらのいわゆるエネルギー多消費型産業の比率というのは、これは1985年には24.3%だったのが、97年には、12年後には16.5%まで下がっているわけですね。この比率も、今後一定のトレンドをもって下がっていくと思います。このことについてどうお考えなのかということです。

○説明者(永松) ちょっと私、具体的な数字はわかりませんけれども、いわゆる製造業のウエートが、今後の経済社会の中で下がっていくだろうということは不可避の感じを受けております。

○佐和委員 そのことが、同じGDPを1単位生産するのに必要なエネルギー、あるいは排出CO2 の量を相当程度減らすことは確実ですよね。そう思っていいですね。

○説明者(永松) はい、そうでございますね。

○佐和委員 ですから、そういう意味で1つのトレンドとしては、つまり仮に各産業の原単位のようなものが全く今後変化しなかったとしても、趨勢として産業部門の排出量というのは減る傾向にあるということを申し上げておきたいと思います。
 それから、自主的取り組みということを大変重視されるというのは大変よくわかるんですが、それは経団連としては、つまり経済団体として、あるいはその中の業界団体としてそういうふうな取り組みをなさるというのは大変よくわかるし、恐らくおっしゃるとおりの効果はあると思うんですが、一体それぞれの業界で、例えば鉄鋼なら鉄鋼、あるいはどういう産業部門でもいいですけれども、経団連にてこのことをいわば上意下達がきくような企業と、そうじゃない中小企業がありますね。その比率はどのくらいですか。

○説明者(永松) 私どもの自主行動計画の産業全体のカバレージは、先ほど申し上げましたように75~76%になっておりますけれども、これは各業界によっては、その業界に中小企業なんかも入っておりまして、一部中小企業も入っております。ただ残りの24~25%というのは、ほとんど中小企業ではないかというふうに思っております。

○佐和委員 その部分はどういうふうにお考えですか。
 その部分といいますのは、中小企業もみずからの環境倫理に照らして削減努力、あるいは省エネを努力すると思われますか、大企業並みに。

○説明者(永松) なかなか難しいと思います。

○佐和委員 先ほどもおっしゃったとおり、運輸とか民生の部門ではなかなかCO2 削減がままならないというようなところで、すべての個人が必ずしも環境倫理を絶えず意識しながら行動しているわけではないという気がするわけですね。同じように、やはり企業の中でもスケールの小さなところというのは、特に目下のような景気低迷のもとでは、とてもそういった省エネ、あるいはCO2 削減に力を割く、あるいはお金を割く余裕がないというふうに私自身は考えております。
 それから、私はどうも経団連というのは、やはりものすごく全体主義的なんですね。つまり、例えば2ページの今後の方針の2行目のところに、「全体として統一目標の達成に全力をあげて努力していく」となっていますけれども、こういう表現はえらく社会主義的というんでしょうか、何か非常に古いんですね、私なんかから見れば。つまり、今の自由主義経済のもとで、余りこういう言葉は使われない方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○説明者(永松) これは、むしろ私どもの自主行動計画に対しまして、目標を達成できないのではないかといったような批判もいろいろ皆さん方から受けておりますので、それにこたえる意味でもこういう言葉を使ったということでございます。

○佐和委員 つまり統一の目標に全体として取り組むということですか。

○説明者(永松) ご案内のとおり、例えばエネルギー使用量の削減で自主行動計画をつくっているところもございますし、あるいは原単位の削減という目標もやっているところもありまして、それぞれの方法でやっておりますので、速やかに一本化できるというような考えではございません。

○佐和委員 よく経団連は事と場合によってはといいますか、よく自由競争ということをおっしゃいますよね、それが望ましいと。そうすると、例えば環境税、あるいは炭素税を課するということは何を意味するかというと、それこそまさに個々の企業の自主的努力、それで努力したところが報われるという、そういうような制度を導入しようということですよね。
 ですけれども、それを否定されて、なおかつ統一的な目標を全体として追求するんだというのは、ちょっと私は今の時代にはふさわしくないようなおっしゃり方ではないかという、これは考え方の違いですから特にお答えは必要ありません。
 それから、原子力利用の推進ですが、これに関して電力需要が伸びるというのはどのようにお考えなのでしょうか。私は、特に電力自由化が多かれ少なかれ進展すれば、電力会社が、少なくとも電力需要が、当然経済成長率が今後2001年から2010年までは恐らく平均年次で1%台の下の方で、まあまあ良しとしなくちゃいけないという状況だと思うんですね。かつまた、その電力需要がどの程度それに応じて伸びるかといったら、もちろん弾性値が云々ということは別にして、0.数%伸びたとしても、自由化によっていろいろな小売り業者なり卸売り業者が参入してくれば、既存の電力会社が供給しなければならない、あるいは電力会社に対する電力需要というのは明らかに減るんですね。
 そういうもとで、原子力発電所をどんどんつくっていくということは、既に存在している、また稼働し得るような石炭火力発電所を閉めて、それのかわりに原子力発電所をつくるという意味なのか。それともそれだけ電力需要が伸びるから、どんどん建設していかなくちゃいけないから、それは全部原子力でいきましょうというようなことで、例えば10数基ぐらいの数になるんでしょうか。

○説明者(永松) 原子力発電の建設ももちろん重要でございますが、先ほど申し上げましたように、例えば稼働率の向上といったことも極めて重要な課題だろうというふうに思っております。

○佐和委員 それから、8ページの環境税の導入には慎重な検討が必要というところの[1]ですね、エネルギー需要の価格弾力性は低いというふうに断定なさっておられますけれども、確かに短期な弾性というのは明らかに低いですね。急にガソリンの値段が50%上がったからといって、ガソリンの消費がそんなには減らない。電力料金が2倍になったからといって、電力需要がそんなには減らないでしょう。これはやや中長期、3年、5年のそのぐらいの時間幅で見れば、例えばガソリンの値段が50%上がれば、それだったら次に車を買いかえるときには、今持っている車よりは燃費効率のいい車に買えましょうと。次にエアコンを買うときには、省電力設計のやつを買いましょうということで、そういうことで価格弾力性は中長期的には明らかに効果があるんですよ、決して小さくない。これが、大体経済学者の常識なんですけれども、その常識はおかしいというふうに思われますか。

○説明者(永松) 私ども何が常識かわかりませんけれども、例えばリッター 100円のガソリンを 102円にする、 103円にすると、そういうことで消費行動が抑制されるかということについては甚だ疑問に思います。

○佐和委員 だけど、弾性値が低いというふうに断定なさっていますから、短期の弾性値は低いけれども、中長期の弾性値は決して低くないと、今私が申し上げたことに対するコメントをお願いしているんです。

○説明者(永松) 資料の10ページの下に、ちょっと資料をお配りをしてございますが、確かに過去オイルショックのころ、50%以上電力料金が上がったときに、確かに若干下がっておりますが、すぐ元に戻るという傾向がございます。

○佐和委員 この一番最後のページの上の図でございますか。

○永松経済団体連合会常務理事 下でございます。

○佐和委員 これは、この電力需要というのは何で決まるかと。価格だけで決まっているんじゃないんですよね。その他の要因がいろいろ加わって、そしてかつまた価格の効果もあるということでしょう。そうしますと、例えば85年から95~96年にかけての間というのは、例えばこの期間に確かに電力料金は上がっているわけですね。ところが、電力需要も確か減っているけれども、横ばっているじゃないかというふうにおっしゃりたいわけですね。しかし、この電力需要の増加というのは、例えば待機電力消費的な電力機器の普及だとか、いろいろなことですよ。あるいは家庭電化製品の大型化とか、いろいろなことがあるわけです。そういう要因も加味した上で、価格だけの効果は幾らなのかというふうに判定してくださらないと、誤解を生むと思います。

○説明者(永松) 確かにいろいろな要素はあると思いますが、石油を見ても、やはり同じようなことなんですね。

○佐和委員 ですから、石油であれ、あるいはガソリンであれ、電力であれ、その需要はいろいろな要因によって決まるわけですね。それを価格と2つの系列をただ見て、価格がこんなに上がっているのに横ばっているじゃないか。だから価格弾力性は小さいというのは、これは経済学のABCをご存じない方のおっしゃることだと私は思います。
 ということで、やはり中長期的にはそういう弾性値が……。ですから、このグラフだけから弾性値が小さいというふうに言い切ってもらっては困りますということです。
 以上です。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 それでは、横山委員。

○横山(裕)委員 2点お尋ねいたします。
 8ページの3.国内制度についての国内排出量取引のところなんですけれども、強制的な排出枠の割当を前提としたものには反対すると、不適切と。そうでないものなら容認してもいいということなんでしょうか、それが1点です。
 それから、もう1点は聞き違えたのかもわかりませんけれども、環境税を導入するならCO2 の排出に対してかけるというふうなことをおっしゃったと思うんですが、それは仮に環境税というものが出てきたときには、水力とか原子力は全然かけないでほしいという要望なんでしょうか。

○説明者(永松) 国内排出量取引につきましては、基本的に公的機関によりまして非常に窮屈な枠がはめられるということで、基本的に反対でございます。2点めは、そういうものは外してくれという意味ではございません。仮に、CO2 抑制のために環境税を導入するということであるならば、CO2 の排出量に着目して課税すべきではないかということでございます。

○横山(裕)委員 それは結局、水力、原子力はやめてくださいということ同じことじゃないんですか。

○説明者(永松) やめてくださいと言っているわけじゃございませんで、あくまでもCO2 の排出量に着目してやるべきだということでございます。

○飯野委員長 そのほか。
はい、横山委員。

○横山(彰)委員 2点、ご質問させていただきたいと思います。
 1点は、この自主的取り組みによって、経団連関連企業全体の目標として、2010年度に産業部門及びエネルギー転換部門からのCO2 排出量を1990年レベル以下に抑制するよう努力するという統一目標をあげている。これが、自主的取り組みでどこまで実現できるのかということについて何らかの裏づけがあるのかどうかということをお尋ねしたいということが1つです。
 それからもう1つは、これは環境税云々ではなくて、経団連という1つの組織あるいは日本のネーションテートの中の1つのセクターが、こういうふうな目標をあげられて、自主的取組に取り組まれるということについては非常にいいことだろうと思いますけれども、この目標を達成するときに、経団連は市場メカニズムというものをベースにして営利活動を営まれている主体の集合でございますから、当然そこで経団連のメンバーがコマンドアンドコントロールのような、あるいは自主的取組というようなもので動くことと、それから価格を1つの判断材料にしていろいろな経済の営みを決定なさっている主体の集合とした場合に、経団連自体の目標を達成するために、例えば団体内部でいわゆる基金を、ある意味で税と補助金の仕組みですね。団体内部の中での国の税と補助金の仕組みではなくて、経団連の企業が何らかの拠出金を出して、そしてその技術や省エネ技術に努力したところに内部補助をしていくような仕組みづくりというんでしょうか。そういうふうな経団連の目標、国が税を掛けるのではなくて、経団連のある意味で今で言うその経団連内部の税みたいなものをお考えになったことがあるのかどうか、この2点をちょっとお尋ねしたいと思います。

○説明者(永松) 最初の裏づけがあるのかという点でございますけれども、これはあくまで自主行動計画ということで、各企業に負うところが多いわけでございまして、先ほど申し上げましたように、まさにこういったものを社会的なコミットメントとして公開していくという、そこでまさにそういった作用が各企業の技術開発の努力なり省エネ努力に及ぶというふうに理解しております。
 それからあとのファンドの件でございますが、これは私どもでは検討したことはございません。

○飯野委員長 ほかございますでしょうか。
 ありませんようですので、どうもきょうはお忙しいところありがとうございました。

○説明者(永松) どうもありがとうございました。

○飯野委員長 それでは、次の団体に移りたいと思います。
 全国法人会総連合の若泉専務理事、よろしくお願いいたします。

○説明者(若泉) 全国法人会総連合の専務理事をいたしております若泉でございます。よろしくお願いします。
 本日、私どもにヒアリングの機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。
 私どもの資料、別封筒に入っておりますので、ごらんになっていただければというふうに思います。
 まず、初めに私どもの団体でございますが、どうしましても法人会と言いましても、なかなか余り知名度がないといいますか、ご存じない方、多数おられるかなというふうに思っております。若干、その内容等につきましてご説明させていただきます前に、法人会の概要等につきまして一言触れさせていただきたいというふうに思います。
 資料の中に、全法連のご案内というパンフレット、冊子が入ってございます。私ども団体は、戦後、昭和22年でございますが、我が国に申告納税制度が導入されたわけでございますが、戦後の荒廃した時代でございまして、なかなかそういう切りかえができない時期にあったわけでございます。そういう中で、幾つかの全国の地域の中で、企業の経営者の方々が、これじゃいかんぞという形で自主的に申告納税制度をいろいろ考えてみようではないか、そして記帳をきちんとやってみようではないか、そういう団体が生まれたわけであります。
 最初の第1号が、宮城県の石巻というところに石巻法人会というのができたわけでございますが、その後、全国各地にそのような団体ができてまいりました。それを全体としまして糾合して、昭和29年に全国団体の組織、私どもの今日の全国法人会総連合ができたわけでございます。私どもの団体は、現在 125万社の会員、主として中小企業でございますが、これを抱えておる団体でございまして、その発足の経緯からいたしましても、健全な納税者の団体といたしまして、よき経営者を目指すものの団体としての事業活動を展開いたしておるところでございます。
 私ども、全国法人会の傘下に各県連段階で法人会がございまして、さらにその下に 440ちょっとの単位法人会と呼んでおりますが、法人会がございまして、具体的にそこに 125万社の主に中小企業の会員さんがいろいろな事業活動に従事しているということでございます。
 私ども、税のオピニオンリーダーという意識を持ちまして、常日ごろ税に関する提言、そしてまた啓発活動を行っているところでございます。昨今は、いろいろ環境問題も地域によりまして大変焦眉の問題になってきているわけでございますので、法人会の方におきましても、税の活動を主体といたしながらも、それぞれまた地域地域におきまして地域社会に貢献する活動という形で、環境問題にも若干ではございますが取り組んで事業活動を展開いたしているところでございます。
 例えば、これは環境省の提唱になるものだというふうに聞いておりますが、環境エコクラブに参加する活動とか、あるいはまたケナフの普及活動、そういう問題にも従事いたしておりますし、そしてまたこれは神奈川の方でございますが、丹沢の方で水資源の森づくりの植樹活動、こういうものにもこの法人会もその一翼を担って参加いたしておるところでございます。
 そういう私どもの団体、まずもってご紹介させていただきます。
 あくまでも、私ども税の団体でございますので、主たる活動といたしまして、毎年税制改正に関する要望といいますか、提言活動を行っておるわけでありますが、この13年度におきましても、14年度の税制改正要望という形で、お手元に配付いたしております14年度税制改正要望書というものをまとめ上げまして、今日いろいろな各方面に私どもの主張を訴えているところでございます。もとより、私ども環境団体ではございませんので、必ずしも十分な環境問題につきまして熟知いたしておるわけではございませんが、この環境問題につきまして、若干全法連といいますか、法人会のスタンス等につきましても触れさせていただきたいというふうに思います。
 実は、私どものこの税制改正要望の1ページを開いていただきますと、9月に全国大会を開催いたしまして決議を行ったわけでございます。冒頭の能書きでは、徹底した行財政改革による財政再建と中小企業活性化に資するような税制の構築ということを訴えておるわけでございます。各般にわたりまして要望いたしておるわけでございますが、その最後のページでございます。
 この要望書の最後のページに、第六、環境税制についてという形で、私どもなりの取り組み方につきまして提言をいたしておるところでございます。昨年度、初めて環境問題、今日の地球的な問題、課題になってきたことを踏まえまして、私どもも真剣にこの問題を考えていかなければならないんではないか、そういう意味合いを込めまして、この要望書に取り上げたわけでございます。最後のこの環境税制というところを見ていただきたいと思いますが、要は、私どもの基本的な会員さんの声といたしましては、その最後のところにございますように、環境対策を視野に入れまして、この環境税を含め、総合的な検討を進め、一刻も早く国民的合意の形成に努めていただきたいというのが、私どもの基本的なスタンスでございます。いろいろな角度でその検討をすると言いましても、専門的な角度、先ほど経団連さんのお話を聞いておりましたんですが、大変ああいう角度の専門的な形で私どもが取り組んでいるというわけではございませんが、この問題は今後の将来のあるべき税制の姿といたしましても、避けて通れない課題なのかなというふうに受けとめておるところでございます。
 ところで、このヒアリング資料のお配りいたしました2枚目をちょっとごらんになっていただきたいと思います。
 この環境問題は、私どもの会員さんがどのような形で一般的に受けとめているのかというような点もございまして、この税制改正の要望をまとめるに当たりまして、環境問題につきましても、アンケート調査を本年度実施させていただいたところでございます。2つの角度から結果的に実施いたしました。
 第1点が、最初の2ページの上の方にございますアンケートでございますが、これは先ほど申し上げましたそれぞれの 400幾つかの法人会におきまして、それぞれ税制委員会というのがございまして、主として税制の問題につきまして、常日ごろタッチしていただいている経営者の方々、中小企業の経営者の方々、ある意味では税の問題につきまして意識が高いというふうに考えてもよろしいかと思いますが、こういう方々が中心となって、それぞれの法人会からアンケートをとったものでございます。税制改正全般につきましてアンケートをとったわけでございますが、その中の1つに、環境税制の整備の問題を取り上げさせていただきました。ここのクエスチョンにございますように、環境税の整備、これが課題となっている。これにつきまして、どのような受けとめ方をしておるかと。もちろん、この設問というのは若干リスクを伴う話ではございます。設問が統一がとれてない面があるわけでございますが、会員さんが、中小企業の経営者の方々が、この環境問題のどの辺に意識が一番現在向いているのかなというような点を把握するために実施したものでございます。
 A、B、C、D、Eとございます。その中に、現在これからいろいろな問題になっていくのであろうと思いますが、環境税の創設というのを入れてみたわけでございますが、 434の法人会から寄せられました回答では、この環境税の創設、これは炭素税というふうな問題も入るんだろうと思いますが、そういう環境税の創設を考えるというのが今後の方向として一番共鳴を感じておるわけでございます。
 それから、Bは化石燃料関係等の特定財源制度を改めるとか、幾つかございます。ただ、税制以外の措置で対応するというのも5分の1ほどでございますが、そういう受けとめ方もあったわけでございます。いずれにいたしましても、主として税の問題に携わりながら、私どもの法人会活動に従事していただいている経営者の方々でございますから、レベルが少し高いといいますか、そういう角度で見ている面もあるのだろうという感じはいたします。
 ところで、次の青年部会アンケート調査報告書というのがございます。これが最近まとまったわけでございます。実は来週、全国の青年部の大会がございます。 2,500名ほど集めて大会を行うわけでございますが、その中の約 500名で事前に幾つかのテーマに基づきまして、グループディスカッションを行うことにいたしておるわけでございます。そのうちの1つのテーマといたしまして、この環境問題も取り上げてはどうかと。もちろん、深みのある討議を行うことは難しい面もあるんだろうと思いますが、やはり将来の次代を担う方々でございますから、その辺を少し意識を深めていただくためにも取り上げさせていただいたわけでございますが、その前提といたしまして、企業活動に伴う環境税制のあり方という形でアンケートをとってみたわけであります。
 この青年部会というのは、一言でいいますとおおむね40歳から50歳ぐらいの若手経営者、このように受けとめてよろしいかというふうに思います。ある意味では、企業の社会的責任というものも認識しておるわけでございますし、反面、現下の大変厳しい環境の中で、厳しいご自身の商売、経営を強いられている方々でもあるわけでございます。税そのものについては、余り詳しいというレベルにないわけでございますが、この方々にアンケートをとってみましたのがこの下の方でございます。
 環境問題につきまして、企業活動に伴う環境税制のあり方、このような形でとらせていただいたわけであります。設問としましてA、B、C、D、Eと答えがございますけれども、その次のページの上の方にございます。先ほどの主として税にやや深く携わって、タッチしておられる経営者の方々に比べますと、企業の厳しい環境の中にさらされている、直面している中小企業の経営者でございますから、意見は分かれております。意見は分かれておりますが、そのAというのが、やはり先ほどのアンケートと同じように環境税、炭素税を我が国としても将来的に導入すべきではないかというのが24%ほどございました。B、Cと意見が分かれております。ただ、Dのところで、税制以外の行政措置、これを主体に対応すべきではないかと、この辺も大変1つの意識があったような結果になっておるわけでございます。
 それから、あわせましてクエスチョンの2といたしまして、道路特定財源制度の問題が焦眉の問題になっておるわけでございますので、この辺も少しどういう感覚でいるのかというような観点からアンケート調査をさせていただいたわけでございますが、このA、B、Cと幾つかございます。そのAの中でございますように、道路特定財源につきまして、環境対策、整備を目途とした税制に改めるべきではないかというような受けとめ方が37%でございました。それからまた、この道路特定財源を一般財源化いたしまして、一般の予算等に使うというのが48%でございまして、いずれにいたしましてもAとB、現在の道路特定財源制度の問題につきましては見直しを図っていくべきではないかというのが、このアンケートで見る限りの中小企業の若手経営者の一般的な意識なのかなというふうに受けとめておるわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、アンケートというのは若干誘導的なところもございますし、これをそのまま鵜呑みにするわけではございませんが、どの辺に環境問題、そして環境税制というものが今日受けとめられているのかなという1つの資料にはなるんではなかろうか。その辺も踏まえまして、先ほど申し上げましたように、昨年来私どもの団体といたしましても、今日全地球的な課題になっておりますこの環境問題につきまして、税制面を含めまして真剣に考えていただきたいという提言をいたしておるところでございます。
 4の環境税制を検討するに当たっての留意事項ということでございます。これは若干私見にまたがるわけでありますが、法人会として、先ほど申し上げました受けとめ方、レベルに現段階ではとどまっているわけでありまして、具体的な検討に踏み込んでおるわけではございません。そしてまた、繰り返すようでございますが、環境問題に専門的な知識を持ち合わせているわけでもございませんし、現時点におきまして、いわゆる環境税というものを導入するということにつきまして、容認するコンセンサスを得ているという状況ではございませんが、今後の問題として、これを検討していかなければならない、そういう意識はあるわけであります。
 さらに、国際的な枠組みが先般のような形になったわけでございます。したがいまして、その根幹となるこの問題につきましては、避けて通れないわけでございますので、少しアクセルを踏んで、やはり検討していただく必要があるのではないか。1つのアウトラインといいますか、そういうのを国民の前に提示していただく必要があるのではないか。そのように感じておるわけであります。
 そういう検討をするに当たりまして、避けて通れない第1番手の問題は、やはり既存のエネルギー関係諸税との調整の問題であろうかと思います。同じように、消費に課税するという問題でございます。地球温暖化対策としての税制、例えば化石燃料、こういう問題につきまして課税を行っていくという点に当たりましては、やはりこの既存の税制の問題、これをどういうふうに調整していくかということが大変重要な問題なのかなというふうに思っているところでございます。
 私見ではございますが、私自身といたしましては、揮発油税等の石油関係諸税につきましては、道路特定財源、これはもちろんそれなりの意味があるわけでございますが、それから脱皮いたしまして、さらに環境税としての機能を重視した税制に衣がえする必要というのもあるんではないか。そういう点も検討していただく必要があるんではないか。それがさらに炭素の含有量に対応した税率構造、その辺に変更することによって、将来的には炭素税という問題も視野に入れながら考えていく必要があるんではないだろうかという感じも持っておるところでございます。
 それから、第2番目の適切かつ効率的な税の執行という問題でございますが、何事もそうでございますが、どうしましても税の問題は複雑になり過ぎでございます。執行のやりやすさというものを考えていただかなければならないんであろう、制度の仕組みを考えるに当たりましては、やはり簡素であるということが大前提であろうかというふうに思います。そして、地球温暖化対策のための税制ということになりますと、グローバルな観点で対応していただかなければなりませんし、恐らくその課税される主体、課税の対象も、事業所等も含めまして広域にわたるわけでありましょうから、そういう点からも国が統一した形でやはりやっていただく必要があるんではなかろうかなというふうに思っておるところでございます。
 第3番目に、中小企業への配慮ということでございます。具体的な何かスキームを念頭に置いているわけではございませんが、今日、中小企業の約7割が赤字でございます。新たな税負担への抵抗感というのは非常に強いわけであります。この環境問題、これを考えるに当たりましても、先ほどのアンケートにございますように、頭では十分理解できていますといいますか、そういう方向はやはりとらざるを得ないというのは理解できるわけでありますが、いかんせん今日の厳しい経済状況、置かれた状況のもとで、体がついていかないと、こういう面もあるわけでございます。したがいまして、この中小企業への配慮、具体的に例えば税収中立の問題だとか、他の税との調整をどのように調整させていくかとか、その辺の問題。それから、納税義務者の問題、事務処理の問題、今後細部を詰めるに当たりまして、その辺の執行のやりやすさともあわせまして、検討していっていただく必要があるのかなというふうに思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、この今後の留意事項につきましては、法人会といたしまして、この辺まで踏み込んで検討しているわけではございません。私自身も含めまして、今後検討してまいりたいというふうに思っておりますが、今後課税の内容、基本的な仕組みを早急にやはりご検討願い、環境対策に役立ち、国民が納得するような1つの合理的なルール、そういうものを確立していただきまして、国民の前に提示していただけないだろうかと、このように考えるわけであります。
 いずれにいたしましても、環境団体でございません。専門的な知識は持ち合わせておりませんが、中小企業の会員を構成員とする団体といたしまして、この問題につきまして、このような雑駁な感じを持っているということをご披露させていただいたところでございます。
 以上でございます。

○飯野委員長 どうもありがとうございました。
 ご質問、何かございましたら。
 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 アンケートに関する質問なんですけれども、この3のこれらのABCD、最初の説明の場合ABCD択一なんですか。

○説明者(若泉) アンケートは択一でとっております。
 したがって、Aもそうだし、Bもそうだと、こういう意見も当然出るんですけれども、どの辺に一番ウエートをかかってこの問題を考えているだろうかと。その辺を把握するという角度からそういう形にいたしたところであります。

○佐和委員 つまり、非常に択一の場合奇妙だと思うのは、環境税の創設を考えると。これは1つの考え方ですね。税制以外の措置で対応するというのは、それに対する考え方ですね。地方自治体の独自課税は慎重に行うというのは、背反的な命題じゃないわけですね。だから、これは択一で答えろというのは難しい。
 それからその次も、Aは環境税を創設すべきであると。2番目が、今度は独自課税で対応するのが望ましいというわけですね。こういうのは余り関係のない、AとBは関係ないんですね。だから、この中で要するにそうだと思うものについて○してくださいと。2つでも3つでも全部○でもいいですよというのだったらわかりますけれどもね。ですから、ちょっとアンケートの設計に私は問題があるというふうに思いますが。

○説明者(若泉) おっしゃるような面もあるんだろうと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたように、私ども税制改正要望全体の中で、ちょっと今日は触れませんけれども、地方税の問題というのも大きなウエートを実は置いてとらえているんですよ。そのときに、地方税というのが昨年から一括法によりまして独自課税も行えると、そういう形になりまして、その中で一番独自課税を行う、その際に一番やりやすいのがこの環境に関連した、いわゆる環境といいましてもいろいろ概念がさまざまでございまして、産廃税の問題だとか、ごみの問題とか、いろいろございますので、その辺をひっくるめてどの辺に会員さんが、例えばこのグローバルな地球温暖化に関連するようなところについてよりも、まず身近な問題のところに関心を持っているという、そういう関心があるのかどうかを把握する、そういう狙いも込めましてやりまして、このもともとの本日の地球温暖化のための税制、そういう角度から必ずしもとったわけではございませんので、ただいまご指摘のような問題点というのも含まれているんではないか。
 したがいまして、これ自体をそのまま全体の傾向として確たる形でとらえる必要はないのではないかというふうに思っております。

○飯野委員長 ほかございますでしょうか。
 横山委員、どうぞ。

○横山(裕)委員 同じアンケートの絡みなんですけれども、会員が、中小企業の7割が赤字だと。頭では理解できてもなかなか環境税とかそういうものの方向に行っていないと言いながら、このアンケートでは4割以上が創設を考えるということは、やはり今の日本の実情を考えると、自分たちの経営の苦しさはともかく、そういう環境税というものの導入が必要だと、かなり前向きに考えているという理解はできないんでしょうか。

○説明者(若泉) 私自身も若干そういうような受けとめ方をいたしているところであります。
 先ほど申し上げましたように、最初のアンケートというのは、私ども全国法人会総連合のもとに、各単位会というのが実は 442あるわけでございます。アンケートの集計は 439でございますが、そこで税制委員会というのをつくっておりまして、その税制の問題、将来の税制のあるべき姿というものを検討いたしておるわけでございますが、経営者の中でそういうところに入っている方というのは、やはりご自身のお仕事もお仕事といたしまして、やはり今後のあるべき姿というものも追求していくという社会的な使命感も持った方々でございます。
 したがいまして、そういう方々の意識から考えますと、この環境税というものは1つの方向として受けとめられているんではないか、そのように私自身も考えております。
 ただ、会員は 125万社おります。先ほども言いましたように7割が赤字でございますので、そういう全員に悉皆的にアンケートをとれば、またこれと少しならされた答えというのも出てくる可能性もあるのではないか。
 したがいまして、このアンケートというのは、先ほどお話もございましたように、これでもってすべてということではなくて、我々のような 125万も大きな、しかも業種も規模もさまざま、地域もばらばらでございますね。北海道、沖縄から東京におられる方もいるわけでございますから、そういう中で大まかな方向づけというものを、こういう問題についてどういうふうに受けとめているかと、そういうものを知るという意味で実施したものでございます。
 いろいろ問題点はございますが、今委員がおっしゃいましたような受けとめ方というのは、私は十分首肯し得る受けとめ方かなというふうに私個人としては思っております。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 ほかございませんでしょうか。
 ありませんでしたら、どうも本当にお忙しいところありがとうございました。

○説明者(若泉) どうもありがとうございました。

○飯野委員長 それでは、次の団体に移りたいと思います。
 全日本トラック協会の豊田専務理事、よろしくお願いいたします。

○説明者(豊田) 全日本トラック協会の専務理事の豊田でございます。本日は意見を聞いていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
 私ども、環境問題という前に、全日本トラック協会はどういうところかということを申し上げますと、全国で約5万 4,000社、 130万台、町中を走っておりますナンバープレートが緑色の事業用のトラックの団体でございます。
 それで、私どもの仕事でございますけれども、それがいいかどうかは別にいたしまして、日本がトラック依存型の物流になっておりまして、トラックでトンキロベースでは5割、これは船の内航海運もございますが、トンベースでも9割、トラックで運んでおりますし、ほかのモードで運びましても、その頭と尻尾はトラックに頼らざるを得ないということになっております。
 私ども今、2年ほど前になりましょうか、石原都知事がペットボトルを振り回しまして、そのすすを出す大型ディーゼル車、特にトラックは悪いという定評ができまして、さらに環境省の方から、NOx・PM法を改正いただきまして、今そちらの方の対応に追われておりまして、重ねて温暖化対策ということになりますと、どっち向いて走ればいいのか難しいというふうに悩んでおりますけれども、そういう状況でございます。
 ただ、私どもやはり社会の中でお役に立つためには、安全と環境、これをちゃんとしないと、共生、社会と共生ということができないということで、できることからいろいろなことに取り組んでまいっているところでございます。
 お手元にお配りさせていただいておりますこの資料も、今まで業界団体というと、何か言うと反対と。のぼりやむしろ旗を立てるというのが定番でございますが、私どもも環境をよくしようということに全く異論はございません。よそに意見を言う前に、まず自分たちの足元をきちんとやろうと、やるべきことをきちんとやろうということで、今年、この環境基本構造計画というのをまとめさせていただきまして、これを中心に頑張っているところでございます。
 本日の地球温暖化の関係の問題でございますと、このお手元の冊子の最初のページを開けていただきますと、そこにNOx・PMの排出量、確かに特にPMにつきましてはディーゼルから出ておりますし、どちらかというと、ここに書いてあります普通貨物車というのは、皆さんがおっしゃる大型トラックでございますけれども、大半が大型トラックから出ているということでございます。
 ただ、残念なのは、その2ページ目のグラフでございますが、環境省からいただきました資料で、上の方、運輸部門がCO2 の我が国の総排出量の21.7%を占めるということになります。この数字をお聞きになりますと、運輸部門で2割、ああそうか、やはりあの大型のトラックがまき散らしているんだなということになるんですが、下の円グラフを見ていただきますと、どういうわけか、この運輸の中に自家用乗用車が入っておりまして、これ本来は民生部門かと思うんですが、その中で、運輸の中の営業用のトラックというのは16.8%を排出割合としております。これを掛け算いたしますと、我が国の総CO2 排出量の約 3.5%が営業用のトラックから出ているということになるわけでございまして、そういう意味で私ども頑張っております。
 それから、対策としていろいろございますが、特に私ども、この冊子でまいりますと、5ページにエコドライブということを挙げさせていただいております。エコドライブというのは、そこにちょっと文字がございますけれども、急発進・急加速・急ブレーキを控える、過積載をしない、経済速度で走る、タイヤの空気圧を適正にする、そういうようなこと、当然のことでございますが、どちらかというと、なかなかこういうところに気配りしないまま走っておりますが、それをきちんとし、ドライバーに徹底いたしますと、私どもの平均値で、やる前とやった後で15%の燃費節減が可能になるというデータが出ておりまして、そういう意味では、私どもが協会会員にこれをきちんと徹底することによって、私どものCO2 削減目標でございます数値を、それだけで何とかクリアすることも可能ではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、さらにはアイドリングストップの徹底でございますとか、あるいは全体的な輸送効率を向上、あるいは低公害車の導入、そのほかによりまして、環境の全体、また温暖化に対しても貢献できる対策をとってきて、あるいはこれからもとっていきたいというふうに考えているところでございます。
 しかしながら、まことに残念なことに、この数年、非常に経営が厳しゅうございまして、全体としまして、景気の低迷の中で運賃の切り下げがございます。また一方では、諸外国に比べて非常に高い高速道路の料金を負担しながら走り回っておりまして、それに重ねまして、自動車につきましては、もうご存じのように取得・保有・走行の各段階にわたりまして課税の対象となりまして、9種類の自動車諸税がかかってまいっております。自動車全体では9兆 2,000億の負担をしておりますし、私ども先ほど申し上げました営業のトラック業界におきましては約 7,700億の税負担を強いられている、私どもの方から言えば強いられてということになるわけでございまして、そういう意味でも、自動車ユーザーの負担は極限に達しているところでございます。
 そういうことで、私どもの基本的な立場を聞かれれば、今お答えできるのは、それが環境税であれ、炭素税であれ、例えばいろいろな新税の構想ございますけれども、とにかくこれより加えられる、重課になる新税については反対の立場をとらざるを得ないというのが素直な意見でございます。
 特に、トラックの燃料につきましては、当然軽油がほとんどでございます。なぜ軽油かといいますと、大きなガソリンエンジンというのは技術的に設計が難しゅうございますし、ご専門の先生方もそちらにお座りでございますけれども、さらには燃費の点で、ガソリンがはるかに落ちるということでございます。
 そういう意味では、私どもの立場からすれば、ディーゼルトラックを使っていること自体が地球温暖化対策に貢献していると胸を張りたいんですが、NOx・PM対策を考えますと、そっちまで大きな顔はできませんので、何とも申し上げられませんが。
 今、既にこの軽油につきまして、暫定税率を含めまして、1リットル当たり32円10銭の税額を負担しております。基本が15円でございますが、17円10銭という暫定税率がかかっております。特にごく最近、平成5年に増税されました7円80銭、これにつきましては、その時点で、運賃に転嫁できるよう努力するというお言葉をいただきましたが、実際には、ご存じのように燃料税でかかってまいりますと、お客さんの1個当たりの燃料税は幾らですという計算がなかなかできませんので、消費税のように運賃に何%掛けるという計算ができればいいんですが、結果として転嫁できずに現在にまいっておりまして、そういう意味ではなかなか私ども、これ以上の新税を負担できる状況にはないというふうに考えるところでございます。
 それから、今逆のことを申し上げますと、7円80銭も含めまして、数段階にわたりまして燃料税が上がってまいりましたが、私どもが見る限り、燃料税が上がったからといって消費量が減ったかというと、必ずしもというよりも、全く減らずにどんどんふえてまいっておりますので、もしこの環境税あるいは炭素税によって、燃料消費の抑制ができるかなということがあれば、少なくとも今までの私どもの経験では、消費量の抑制にはつながらないのかなというふうに思っているところでございます。
 それから、ここ1年ばかり前から、環境対策といたしまして、国の方でもグリーン税制というのを実施されているところでございます。私どもに関係するディーゼル車につきましては、車両が11年を越えますと、あるいはガソリン車では13年を越えますと、自動車税の10%が重課されるというような、一応いい車、悪い車を差別する税が適用されているところでございます。
 それからまた、先ほど申し上げました改正後のNOx・PM法、あるいは都条例、埼玉もそれに続くようでございますが、そういう条例によるいろいろな規制強化も進んでいるところでございます。これらの負担も大変なことでございます。
 ただ、そういう意味では、先ほど冒頭申し上げましたように、NOx・PM・CO2 、そのバランスをどうとっていかれるか、これは国の施策の方向性でございますけれども、そこに単純に税を追加するということだけでは、やはり私どもとしては屋上屋を重ねると言わざるを得ないということで、十分な整合性について配慮をお願いいたしたいと思っております。
 特に私ども、先ほど来申し上げておりますように、NOx・PM法あるいは東京都条例が施行されますと、条例では7年を越えたら買い替えるか、DPF、フィルター、除去装置をつける、あるいは、今ご検討いただいておりますNOx・PM法の政令案では、特定地域内では9年を越えた車は使えないと。厳密に言いますと、ある基準をクリアすればいいんですけれども、実際にはなかなか難しゅうございますので、9年たてば買いかえなければならない。それらの新車への代替に要する資金、これが今政令案で考えられております関東、大阪、それに新たに加わる愛知、三重の一部、その3圏で1兆数千億を超えるお金が、しかも極めて短期集中的に必要となるということになってまいりまして、とてもその資金調達のめども立たない中で、新たな新税の導入をご検討いただくとなると、これはやはり反対の立場をとらざるを得ないのかなということでございます。
 私どもの方としては、最初に申し上げましたように、エコドライブをはじめとして、できる限りの対策を進めてまいる所存でございますし、また自家用トラックに比べまして、はるかに効率のいい輸送をしております。それに重ねて、私どもとしても、さらなる効率化を図ってまいるつもりでございますし、逆に申し上げますと、ここまで厳しくなってまいりますと、車を効率よく使わないと経営が成り立たないという状況でございますので、そういう意味では、エコドライブと合わせて、私どもが排出するCO2 総量をできる限り抑制することは不可能ではないというふうに考えておりますので、新たな税のご検討の際には、その辺のところをぜひご勘案をいただければありがたいと思っております。
 それから、国土交通省の方から、モーダルシフトあるいはモーダルミックスということで、いろいろな施策をご推奨いただいております。私どもも、そのトラックで何が何でも、どこからどこまででもトラックで運ぼうということではなくて、それぞれにふさわしい機関があれば、それぞれに分担してまいりたいと思っておりますけれども、モーダルシフトするシフト先の整備につきましては、これはやはり全く別の観点からインフラの整備をしていただいて、その上で新たな税をお考えいただくとか、そういうことが必要かと思います。
 そういう意味で、まだ私ども今この時点で、トラック業界として環境税に対してどう考えるかと言われますと、まことに消極というよりも、積極的に反対の立場をとらざるを得ない。ただいま現下、小泉総理のご提言のもと、道路財源の使い道の見直しというご議論がございまして、少し中断しているような感じではございますけれども、もしそのような新たな使い道を考えるということであれば、しかもそこで、道路交通に対して何らかの新税が考えられるとすれば、その道路財源の中で、その配分を考えていただくのも一つの手でございます。
 それから、さっき申し上げましたように、皆様方の生活あるいは産業をしっかりと支えているつもりでございます。いつも申し上げるのでございますが、例えば宅配便が翌日、全国かなりの地域で届くのも、夜中に大きなトラックが一生懸命高速道路を走っているわけで、私どもが自分の好き勝手で走っているわけではない。あるいは東京の築地には、全国から旬のものが入ってまいっております。それから、コンビニでは温かいお弁当がいつでも食べられるようになっております。そして、宅配便の時間指定というようなことも、お客さんのいろいろなわがままと言ったら叱られるかもしれません、ニーズに応じて頑張ってまいっておりまして、そういう意味では、私どもだけが悪いのかと。そうではなくて、やはりそういう輸送を求めておられ、そしてそこから受益を受けておられる皆さん方全体で、環境対策の経費をお考えいただくべきではなかろうか。
 したがって、例えば他の団体の資料にありました「川上のところでかける」ということも一つの案でございましょうし、あるいは消費税のような何らかの形で、薄く広くご負担いただくことも一つの案ではなかろうかと。冒頭申し上げましたように、どうしても燃料税の形になりますと、どうしても業界そのものが負担せざるを得ない。それに耐えるにはなかなか厳しいというのが現状でございます。とりあえず、私どもの立場、今話せということでございますれば、そういうことでございます。
 とりあえず私の方からの話は終わらせていただきます。ありがとうございます。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見ございましたら。
 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 先ほど平成5年に税制が増税されたということなんですね。その結果、軽油の消費量は減らなかったというふうにおっしゃいました。それは当然そうだと思うんですね。それは当然、輸送量そのものがふえているからですね。
 ですから、むしろお尋ねしたいのは、トンキロ当たりの軽油の消費量というのは減りましたか、ふえましたか。これが減ったかふえたかが問題なんですよ。

○説明者(豊田) 私どもの今の手元、消費量の直接のデータが、トンキロのデータそのものは増え続けております。

○佐和委員 トンキロ当たりはふえていますか。

○説明者(豊田) トンキロあたりというか、トンキロの輸送量は……

○佐和委員 それは関係ないと思います。ですから、さっきおっしゃった税金が7円80銭上がったけれども、消費量が減らなかったというのは、トンキロ掛けるリッターパートンキロの積になるわけでしょう。ですからトンキロは激増していますよね。ですから、そのリッターパートンキロというのはふえましたか、減りましたかと聞いているわけです。

○説明者(豊田) 燃費原単位的な話になるわけですね。今のところ、私どものデータでは、高速道路を利用することによって伸び、あるいは積算効率を上げることで伸びていますので、そのところでは--ただ車の燃費の向上というのがそれほど、乗用車ほどの前進は見られておりません。

○佐和委員 おっしゃったとおり、積載効率を上げるというふうなことで対応されて、結果的にトンキロ当たりの軽油の消費量が減っているということは、やはり仮にそうすれば、それなりに効果があったということになりますよね。おっしゃることは、当時の統計がないのでわかりませんけれども、トンキロ当たりの消費量というのは減っているはずですよ。

○説明者(豊田) 今ちょっと手元にございませんので、減っているか減っていないかも合わせて、後ほどちょっと事務局とご相談して計算させていただきます。

○飯野委員長 ほか何か。
 安原委員、どうぞ。

○安原委員 軽油引取税とガソリン税の関係でございますけれども、ヨーロッパとかアメリカの場合は、少し軽油引取税の方が高いか、あるいはイコール程度になっていると思うんですけれども、日本の場合は、数年前に引き上げになりましたけれども、それでも揮発油税よりはかなり低いという格差がございますね。これをイコールにすべきじゃないかという議論があると思うんですけれども、これについてはどういう見解か、聞かせていただければと思います。

○説明者(豊田) 私どもが税額を決めたわけではございませんけれども、差があるという発端自体は、やはり産業を支えるための輸送業界への負担の軽減という配慮もあったのかというのが一つございますし、それからもう一つは、やはり燃費のよさということから言うと、軽油の方の税金が下がっているのかと思います。
 ただ、同率にせよという議論も別途あることは承知しておりますけれども、今回のディーゼル問題にいたしましても、私どもが一生懸命走っている横っちょで、RVのでかいのがディーゼルで走っている。そっちと話が一緒になっているのかなと思いますが、ただ私ども、今ご指摘ございますように、揮発油税に比べては少ないものの、それでも負担としては非常に厳しいという状況にございます。

○飯野委員長 ほかにございますでしょうか。
 飯田委員。

○飯田委員 一般論としてですが、95%がトラックで運ばれているという、これは非常に社会に貢献されているとは思います。ただ、その必要があるかどうかを考える。例えば先ほどお話のあったコンビニで温かいお弁当が買える。これは果たしていいことなのか。それは買う人にとってはいいですよ。そのかわり自宅でつくらなくなったり、いろいろな弊害もあるわけですよ。それからあるタレントが、余りにも贈り物がたくさん来たといって離婚した人もいます、奥さんがあきれて。これは奥さんがおかしいですけれども。だけど、私個人から考えて、やたら宅配便が来ます。開けてみますと、確かにうれしいんです。しかし、これを1日で家に届けなきゃならぬほど大切なものかなと。何か我々贅沢し過ぎているんじゃないかなという感がある。
 要するに、今この温暖化ということは、生活のスタイルを変えようということだ。それにはやはりトラック便というのは多過ぎるという気がします。軌道が5%に対して、トラックが90、これは昔からはとても考えられないことで。トラックがふえるから道路が必要になると。道路ができるから、またトラックが余計走ると。これは悪循環ですから--悪と言ってはあれだけれども。循環になりますから、それはトラック業界の方にとっては、非常に厳しい言い方だけれども、もうちょっと事業を縮小されてもいいのではないかなと。
 それから、東京都の場合、二酸化炭素じゃありませんよね。要するにNOx・PMなんですよ。これは裁判の結果でも、やはりトラックから出る。この表でも多いでしょう。やはりそれが東京都なり、埼玉県なりに必要なトラックが入ってきているんじゃなくて、通過トラックがまき散らすんだから税金取ろうと。私、それは東京都の石原さんを別に支持しているわけじゃないんですよ、その税金方法について。しかし、そういう考え方もあってもいいのではないかなという気がいたします。

○説明者(豊田) さっき説明の中で申し上げましたが、私どもが好き好んで一生懸命走っているわけではないので、ある会社の宣伝文句に「あなたのわがまま運びます」というのがありました。結局そういう要求を出され、それにこたえ、またそれが差別化という悪循環を起こしているのは事実だと思います。私もそうですし、先生方も、皆さんの生まれ育ったころには、郵便小包が1週間かかるのが当たり前だったんですが、今では翌日に宅配便が届かなかったら、すぐにクレームが来ます。中身を見ますと、何も生鮮品じゃない、翌日届けなくてもいいものなんですが、もうそれが当たり前になっております。それからまた、本当にその日にそこで食べなきゃいけないのか、よく疑問になるものもあります。また全国の山奥へ行っても、マグロの刺身が出てくる。
 私ども、そういうことをトラック業界が、この荷物あした運ばなくてもいいんじゃないんですかと言いたいんですけれども、そう言えない。そういうところを考えますと、私どもとしても、むだなものは運びたくないわけでございますから、ぜひその生活改善ということをご提案いただいて、その中でむだな輸送がなくなれば、それはそれで私どもは受け入れてまいりますし、それに応じて、当然荷物がなくなれば、業者も縮小されますから。
 ただ私ども、今ある5万 3,000社、 130万台のトラックを引き続き使いたいということは全くございませんので、生活が変わり、ニーズが変われば、それの変化に応じてまいりたいと思うし、逆に、そのことは私ども業界から言えることではございませんので、別途そういうふうな運動が進むことで、私どものむだな輸送が減るならば、ありがたいことだと思っております。
 それからもう一つ、都知事と争うつもりはないんですけれども、東京都の食料自給率は、農林水産省のいろいろな試算がございますが、多摩を含めて1%しかないわけでして、東京都民あるいは都内の産業の食料を賄うには、99%海外を含めて外から来なきゃいけない。
 私どもが言っていますのは、そういう他県依存型の状態でありながら、大きな車入ってくるな。来るなと言われても、環状道路がまだ環状になっていないですし、物流ターミナルどこにあるかというと、港の先の大田だとか築地にある。中を抜けていかなきゃいけない。環状道路がない結果、例えば神奈川から埼玉に行く車も一遍首都高に入らなきゃいけない。
 そういう意味で、いろいろなことの整備がおくれているのに、お前が悪い、入ってくるなというのは、ちょっとバランスがとれていないんじゃないかなというご意見は申し上げております。

○小幡委員 実は、確かにトラックについては、CO2 というよりはNOx・PMで、そちらの方で大変だなという感じはしておりますが、それはともかく、今の行動パターンのお話、飯田委員の話と関連しますよね。
 先ほど、わがままな消費者の行動パターンをどうしようもないとおっしゃいましたけれども、そこは価格による誘導の可能性がございますので、つまり上乗せ分を物流の価格に転嫁する道も当然ありえます。そんなに翌日すぐに着かないでよいけれども、むしろ効率的に物流を行うことによって、例えば3日も4日もかかるかもしれないけれども、値段は安いというものがあっても当然よろしいわけですよね。
 ですから、消費者の行動パターンを変えるいろいろなインセンティブをつけるということが大事で、この今回の環境税の考え方も結局はそういうことになるわけです。我々非常に便利なんですが、余りそこの便利さを追い求め過ぎてはいけないという物流パターンを変えるためのツールが、実はあるのではないかと私は思うんですが、要するに価格差をつけるということですね。そういうことのお考えはございませんか。

○説明者(豊田) 例えば、これ私どもトラック業界が自分で提案できるかというと、また別ですけれども、商品物流全体の提案方法のところで仮にそうしたとしましても、今、仮に小幡委員が何か宅配便で送ろうと思ったときの料金を思い浮かべていただきますと、もうかなり安いんですね。
 ですから、それよりも安くて日数かかる設定をして、そっちへいくかというと、それをストックしている場所が今度はロスタイムになりますので、そういう意味ではなかなか難しいんじゃないかと思います。
 ただ、そういう意味でもし私どもが、これ1週間かかってもいいと言われたとしても、半額でもだめでしょう。10分の1ぐらいでないと、じゃお願いしますと言ってくれないと思うんですね。預かったはいいけれども、どこへ置いておこうか。もう積んでいってもらった方が早いよということになりますので、今ちょっとお話ございました、ほかのモード機関がそういう意味でしっかりしておって、そっち経由で、例えば内航海運でじっくり時間かけて運んでもいいやというようなものならいいと思うんですけれども、どっちみちトラックで運ぶなら積んで走った方が早いということになりますし、今ご期待いただくようなさらに安い価格が出せるか、既に限界ではないのかなというちょっと心配をしております。
 ただ、ご提案はご提案でございます。どこかでそういう商品を考えていただいて、お客さんがついていただければ、私どももそっちはそっちで運びたいとは思いますが。

○小幡委員 もうこれ以上は申しませんが、今ある価格をもっと、例えば翌日便の方を上げるということも考えられますよね、例えばの話ですが。今よりもっと安い価格で設定するということではなくて、逆の可能性もあるということで、先ほどお聞きしたのですけれども。ただこれ以上は結構です。

○説明者(豊田) 済みません、ただ、そうするには、競争がございますので、なかなか。ありがとうございます。

○飯野委員長 ほかございませんでしょうか。
 私からちょっとあれなんですけれども、どうもトラック協会は、どうもお伺いすると過当競争なんですね。税金がかかったらもう転嫁できないと語っていらっしゃるところを見ると、普通全部の機関に税金かかったら、生産費がそれだけ上がるわけですから、転嫁できるはずなんですね、少なくとも全部ではないにしても。それを全然できないとおっしゃるところを見ると、かなり過当競争なのかなというふうに……。

○説明者(豊田) 過当競争に結果としてなっておりますのは、さっき申し上げましたように景気が非常に悪くて、かなり減車したりしておるんですけれども、荷物が来ない。そうすると、私どもの原価構成から見ますと、やはり人件費がかなりウエートを占めます。人件費が弾力性があるというふうに表現をされる方もおられるんですが、もうそろそろその弾力も切れる限界だと思うんですけれども、そこで帰り便だったり、あるいは空きがあったり遊ばしておくよりもということで、安い運賃で持っていく人が実際にいるわけですね。恐らくそこのドライバーさんは非常に厳しいんだろうと思うんですが。
 そういう意味では、競争の中で転嫁できないことが、今おっしゃるように、今の断面でとれば、やや過当競争になっているのかなというのは事実だと思います。
 ただ、繁忙期には今のトラックは足りませんので、そこがちょっと、下がった運賃を繁忙期に上げていただけないつらさもまたありまして、そういう意味では、今私ども非常に大きな役割を担いながら、一番弱い立場にあるということが事実だと思っております。

○飯野委員長 どうもありがとうございました。ほかございませんでしょうか。
 きょうは、お忙しいところどうもありがとうございました。

○説明者(豊田) 今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○飯野委員長 それでは、次の団体に移りたいと思います。
 日本生活協同組合連合会の品川専務理事にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○説明者(品川) ご紹介いただきました日本生協連の品川でございます。こういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。失礼して座らせていただきます。
 簡単な温暖化税制に関する生協の考え方ということで、ペーパーを配らせていただきました。
 最初のページには、生活協同組合の自己紹介のような意味合いで、若干ご紹介させていただいておりますが、生活協同組合の全国の連合会、現在全国で 2,000万人を超える消費者の方々に組合員、メンバーというようなことで参加いただいています。
 ただ、生協と申しましても、大学生協あり、それから職場の中の職域生協ありというようなことでございまして、地域で活動していて、地域の消費者にお入りいただいている生協ということでいうと、全国で 1,500万人ほど組合員になっていただいている。そんな関係で活動しておりまして、小売事業の事業高としては、昨年度で3兆 3,000億ほどの事業高、そんなことで仕事をさせていただいております。
 このとりわけ10年ほど、環境保全型の社会を目指してということで、生協の中でもいろいろな活動を行っておりまして、ごく一例紹介させていただいておりますけれども、例えば容器のリサイクル活動というふうなことで言いますと、飲料の紙パックだとか、食品のトレーのリサイクルなんていうことで言いますと、全国でリサイクルされている、回収されている量の約20%ぐらいは生協ルートで回収されているというような関係でございます。
 生協が小売事業で事業高のシェアというようなことでいいますと、全国の小売事業のうち、特に食品でも約5%ぐらいのシェアですから、売っている方は5%ぐらいですけれども、回収するのは20%ぐらいというぐあいで、回収活動をいろいろやっているというふうなことでございます。あるいは、スーパーマーケットのお店でいわゆるレジ袋というふうなことで、買い物袋をお配りしていますけれども、そういうレジ袋も削減しようということで、全国で現在通常どおりレジ袋をお渡ししていれば、当然無料でお渡しするわけですけれども、それを減らしていこうということで、1枚5円ほどに有料化をしてやっている生協が非常にふえてきておりまして、そんな関係もあって、そういう積み立てをやっているお店などでは、通常の場合に比べても7割ぐらい、レジ袋としては削減するというふうな結果が出ておりまして、そんなリサイクルというふうなことでの活動をいろいろやっているところでございます。
 ということと、そうした消費者の方々のご協力を得ながら、そんな活動をしているということをあわせて、生協自身が先ほど申しましたように流通事業者でございますから、環境マネジメントを取り入れる生協というのがこのところどんどん急速にふえておりまして、そのマネジメントシステムを取り入れながら、事業によってCO2 排出をどれだけやっているかというようなことを、毎年換算して数値を出したりもしているというふうなことです。
 ただ、残念ながら、一昨年99年の年、前年と比べて、そういうマネジメントができている生協で換算しても、CO2 の排出量としては、前年との比較で 101.0%ぐらいということでふえておりますし、昨年2000年度も、その前の年と比べて 101.8%というようなことで、CO2 換算をすると、先ほど申しましたようなことをこつこつやっていても、排出量としては増加しているということが実態でございます。
 事業の方は、ご多分に漏れず、こうした消費低迷、景気が悪いという時期でございますので、今申しました昨年、一昨年も事業高ということで言いますと、前年比では98%、あるいは98%を割るかぐらいの事業高ではあるんですが、CO2 の排出はふえる、そんな関係で進行しております。
 CO2 の排出の中身の7割から8割近くぐらいは、やはり電気の使用量がふえるということによる排出増ということでございます。特にそういう流通事業を営んでいますと、とりわけ品質の管理ということを年々厳しくしていくことが必要になりますし、そういう意味で、温度管理をする冷凍ショーケースを入れる量がふえる等々、そういう温度管理の必要性が時代の変化に伴って必要になる、あるいは商品自体も冷凍の食品などの範囲が非常にふえていく、そんないろいろな事情がございまして、今言ったような状況があるということでございます。
 ただ、いろいろご指摘もされておりますように、民生部門、運輸部門というところで、とりわけ増加が激しいというようなことでございますから、その点では、何らかそういう実態ではあるけれども、対策が必要だというふうに基本的には考えているということでございます。
 2ページ目に、税制について思うところというようなことで書いておりますが、そんな意味では、民生部門、運輸部門に対する対策、それから産業部門につきましても努力はされているという結果が確かに出ているのかというふうには思いますが、CO2 排出全体の中でいうと、やはり圧倒的部分が産業部門からの排出で占められているというふうなことでもありますから、全体見渡しても、やはり京都議定書合意、批准に向けてというふうな関係の中で言えば、社会制度面、社会システムを新しくCO2 削減に実効あるものとして、やはり取り入れなければいけないだろうと、基本的に私ども生活協同組合としては考えているというところでございます。
 ただ、冒頭申しましたように、生活協同組合に今参加いただいている消費者の方々というのは極めて広範な方々ということでございまして、そういう方々の中で、いろいろ温暖化問題についての勉強会、学習会、いろいろな論議、意見交換の場というふうなことを設定していても、2ページ目の真ん中へんに書いておりますけれども、やはり現在、消費者の中で、いろいろな意味での国全体としての環境施策について、必ずしも信頼できない状態というのはあるだろうと。環境庁が省に昇格されて、それは大変結構なことだと思うわけですけれども、他の省庁の各種施策の中に、本当の意味で環境に対する施策が、きちんと優先順位を持って貫かれているかという点で言うと、疑問の面も少なからずございますし、それから生活協同組合の中でいいますと、消費税についての抵抗感というのは、今なおないわけではないというようなことで、長期にわたって続いているというふうなこともございますし、そんな意味では、新しい税ということについて、必ずしも率直によしというふうなことにはならないというのも一般的な感覚としては強いんだろうというふうに思っています。
 そんな意味合いでは、何らかの対策が必要だということは事実ですし、環境税の問題、あるいは炭素税というのが導入された場合、どういうことになるのかという具体的な消費者、市民にわかりやすい説明なり、あるいは排出権取り引きというようなことも検討対象かと思いますけれども、そうした仕組みがどういうことなんだということが、この環境税対策が決まる以前、現時点からできるだけ早く一般国民の中で広く理解を得るための広報活動といいましょうか、というふうなことがまず大前提としては急がれる。そのことがもっと積極的に行われる必要があるのではなかろうかというふうなことが、まず前段としては思う。
 生活協同組合の中でも、環境税という言葉は聞いていても、それが現実にどうなるのかということについての理解というのはほとんどないというのが現状だろうと思いますので、そんなことが必要だろうと。単に政府の広報という形だけでなくて、メディアのご協力というのも当然あるでしょうし、それから生活協同組合なり、各種NPO等の活動なども、ある意味でご活用いただきながら、国民的な意見を広く広報するということが前提としては必要だろうと思います。
 それから、実際に、環境税ということで、税制を考えるというときにどんなことが必要だろうかということですが、1つ目は、まず初めに新税ありきということではなかろうということでございまして、そんな意味合いでの既存の税制の検討、あるいは政府の地球温暖化対策推進大綱について見直しの計画も準備しておるものでございますけれども、そうしたことを確実に実施していくということがまず前提としてはありましょうし、それから先ほども申しましたような、税制度というものについての消費者のさまざまな不信感というのが、これもございますから、そんな意味では、制度自体の公平性なり透明性の確保、それから環境税というようなものがつくられるとすれば、そのことによって増税ということではなく、かつその税が環境対策に明確に使われていることが、透明性によって確保されている、そんなことが仕組みとしては必要なのだろうというふうに思うというところです。
 それから3つ目は、先ほども触れたわけですけれども、税財政全体のグリーン化ということについて、省庁の壁というふうなことではなくて、政府を挙げてそれに取り組むというふうなことが必要だろうということです。
 4つ目にいっていますけれども、国民の自主性の尊重と消費者行動を通じて社会経済システムが環境保全型に移行するような工夫が必要だというふうな言い方をしています。例えば、炭素税というのを現実にどういう形でとられるかというようなことが、私自身もよくまだわからないということが多いわけですけれども、いわゆる消費税のような形で、消費者の側に選択の余地なく、同じ額が結局かぶせられてくるというだけの仕組み、現実にそういう仕組みであると、これはいわば逃れようのない負担感だけが消費者のところに残る--残ると言いますか、かかっていくというような関係にならざるを得ないのではないかと。
 そんな意味では、環境税のありようというのが、一般の消費者が選択権を行使して、環境税を少ない負担ということを選択する場合には、その道が残されているような仕組みといいましょうか、そんなような仕組みが、仕組みの検討の中ではとられる必要があるのではないだろうかというようなことを思うわけです。
 例えて言いますと、家電リサイクル法がスタートして、これ自体、いろいろ言われているわけですけれども、結局のところ、家電リサイクルのリサイクルコストというのは、冷蔵庫幾ら、テレビ幾らということで、いろいろな電気メーカーさんのグループができているようではありますけれども、結局同じ値段でリサイクルコストというのは消費者が負担するというような関係になっているわけですけれども、そうしたものについて、具体的に何をどうするということについて、余り申し上げることできないわけですけれども、それらについても、もっと企業間の競争が行われ、安いコスト負担の方を消費者の方が選べるような仕組みといいましょうか、そんな仕組みが何らか組み入れられるというふうなことが、実際の税制度を検討するというふうな中でも必要なのではないだろうかというふうに思います。
 特に家庭用のエネルギー消費、これも全体として年々ふえているわけですけれども、いろいろな調査をしても、家庭用のエネルギーの中でも、電気の使用量というのは非常に大きい部分を占めているわけです。そんな意味では、炭素税で電気料金の値上げとしてかぶるということがありますけれども、消費者の選択の余地というようなことでいいますと、例えばよく言われる話が、家庭用の電気消費の中で、待機電力というものの占める率が非常に多いんだという、これもご指摘が各方面からされるわけですけれども、じゃ現実に若干不便でも、スイッチをひねっても、しばらく待たないとテレビがつかないような、そういうテレビが売られているかというと、それは今時ほとんど売られていないわけでありまして、待機電力の消費が促進されるような電気器具しか、いわば消費者の手に入らないという仕組みがある中で、そうした電気製品自体に、これは環境税ということではなくなるかもしれませんけれども、消費者がそういう意味での選択ができるような家電製品の提供なりというふうなことについて、産業界に努力いただくような仕組みといいましょうか、そうしたものが考えられる必要があるのではなかろうかというふうなことを思うところです。そんな意味合いで、消費者の選択権が確保されるというふうな仕組みというのが、ぜひ考えられる必要があるだろうというふうに思うところです。
 あとは、エネルギー転換部門が持つ比重というのが大変大きいわけでありまして、その際は、再生可能エネルギーへの優遇なり、インセンティブというふうなことが十分に考えられる必要があろうというふうに思います。
 それから、最後ですけれども、これは消費税以来の、消費者の中での物思い方というものの一面として、いわゆる社会的弱者への対策等、考えられる必要があるのではなかろうか。
 余り明快に、環境税に対してどうというふうな言い方はできておりませんけれども、今の消費者の理解の状況なり、生活協同組合の中でのいろいろな論議の状況を踏まえながら、生協として現時点で申し上げられそうなことというふうなことで、ご紹介させていただきました。
 ありがとうございます。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 今のご説明について、ご質問ございましたら。
 佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 大変もっともなことをおっしゃるので、余り質問がないんですけれども。
 この提示物なんですけれども、3ページの2ポツ目のところですけれども、これは生協のお立場なのか、報告者のお立場なのか知りませんけれども、要するに、環境税といいますか、そういう税制は一般財源に組み入れるべきではなくて、特定財源とすべきであるということの主張かどうかということですね。それが一つ。
 もう一つは、最後のページの原子力発電云々というパラグラフがございますね。ここで、原子力は他のエネルギーと比べて、税制面で優位とならないように留意する必要があるというふうにおっしゃっていますが、これは、先ほど経団連のご説明の中にも出てまいって、確か横山さんが質問なさったことなんですが、仮に、環境税ということで炭素税を導入するようになったら、一定の--高いか低いかは別として、原子力に対しても何らかの形で課税すべきであるというご主張なのかどうか、これについて。

○説明者(品川) 使い方、環境税についての特定財源化というようなことについて、必ずしも生協の中で合意されているということではなくて、現時点、私としてはそんなことではないかというふうに思っているというふうな意味合いで申し上げたということでございます。
 原子力発電の問題については、どういう形で課税対象ができるかということはよくわかりませんけれども、CO2 税、炭素税ということだけで、単純に電力についての課税ということになるとすれば、そのことだけで言えば、原子力への課税というのは相対的に軽いということになるのではなかろうかというふうに思うことの関係で、何らかの措置が必要ではないかというふうな意味合いで書いているということであります。

○飯野委員長 ほかございませんでしょうか。
 それでは、私も少し教えていただきたいんですけれども。
 まず、エネルギー、特に電力の使用量が非常に大きいということを言われたんですけれども、ご存じのように、コンビニは24時間やっていますし、生協も今8時まで大体やっていますね。これは多分、消費者のニーズがつまり深夜型になった影響だと思うので、ほかがやっているのにやめるわけにいかないという事情はあるとしても、本来消費者の目線とおっしゃるなら、消費者はすべてベストで、それに何らかの変化を求めてはいけないという主張なのかどうかというのが、まずお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、最後に、暖房など生活維持に必要な燃料等への課税は余り好ましくないとおっしゃっていますし、事実、我が国では灯油には課税されていないわけですけれども、それが課税されていないがゆえに、軽油等に流れて脱税問題というのが起こっていて、そしてそれが、この間の炭素税研究会の主張で、そういう脱税が起こる可能性があるから上流課税をやるべきであるという主張につながっていると思うんですけれども、その件についてどうお考えか、ちょっと教えていただきたいんですけれども。

○説明者(品川) おっしゃるように、生協のお店も、営業時間の延長というのはどんどん進めておりまして、おっしゃるようなことはそのとおりだと思います。
 ただ、現実問題として、生協での買い物ということだけで、消費者の生活が成り立っているわけではございませんで、実際には、生協でお店をやっていなければ、ほかのお店で買い物をするというのが、これもまた現実の生協のメンバーの暮らしの実態でもございまして、そんな関係の中では、やむを得ず、そういうことになっているというふうなことです。
 それについて、消費者の暮らし方について、どう現実的に、そのまま 100%それでよしということではなしに、そうは言っても、暮らし方自体が変わっていく必要があるということですが、そんな意味では、例えば容器のリサイクルに協力する消費者の割合は、恐らく一般の消費者よりも生協のメンバーというのは非常に高い割合で協力はいただいているというふうな関係です。
 ただ、今の買い物行動について、夜遅くの時間に買い物するようなところの消費行動まで変えるというふうなこととかみ合わせた組み立て方を、残念ながら今のところ、まだ私どもできていなくて、世の中の流れに合ったような形しか、現時点では取り入れていないということだというふうに思っていまして、どんなことがあり得るか、いろいろ考えたり、勉強したり、試みたりはしていく必要があろうかというふうに思います。
 それから、灯油の問題で、特に寒冷地問題というようなことで言っていますのは、だから灯油への課税についてということを言っているのではなくて、かなり単純に思いつきのことを言っているという面もあるんですけれども、現実問題として、寒冷地における灯油なり、あるいは暖房の占める割合というのは非常に高いことも、これは確実でございますので、そうした地域的な何らかの援助策といいましょうか。それは必ずしも地域によって一律にということではなくても、前段で言っています社会的弱者への配慮というようなことと合わせて、そうした地域における社会的弱者のことだとかを含めて、こんなことへの配慮も必要なのではなかろうか。
 生協では、従来から、最近はウエートは減ってきていますけれども、東北地方、北海道などで灯油の価格問題というのがかなり重要な問題として取り上げてきた経過もございますものですから、あえてそんなことに一言触れたということでございます。

○横山(裕)委員 今のところで少し関係するかわかりませんけれども、1点だけお願いします。
 例えば、紙パックとか、食品トレーとか、そういう回収率がかなり高いということで、一般的に言えば、加盟している人たちのそういう環境とか、リサイクルへの意識というのは非常に高いのではないかと思います。そういう意識の高さを背景に、例えば生協連として、地球温暖化防止に役立つようなライフスタイルの変換とか、そういうものをねらった行動を起こされるとか、そういうことは考えていないんでしょうか。先ほどもちらっと、そういう点について、何か考えているけれども、なかなかうまいことが見つからないというふうな言い方だったんじゃないかと思いますけれども、今後、京都議定書の発効に向けて動き出すということで、生協連として、何か具体的な行動を起こされるということはないんでしょうか。

○説明者(品川) 現時点、具体的に何をどうと考えていないというか、決めておりません。
 一般的なキャンペーンというようなことでは、いろいろな形で勉強会をやってみたり、キャンペーンツールを作ってみたりということはあるんですけれども、もう少しそういうことだけではなしに、実際の事業運営なりというふうなこととリンクさせながら、何かできないかというふうなことは、ぜひいろいろ考えていきたいとは思うというところではございます。
 ただ、今も例にお出しになった、例えば食品トレーだとか、紙パックだとかというもののリサイクル率としては生協としては非常に高いんですけれども、あるいは先ほど申しましたレジでのレジ袋の削減みたいなことも進めたりするわけですけれども、率直に申しまして、例えば食品のトレーをお店の店頭で回収していて、生協への回収の用途は非常に多いものですから、1日に何回も容器の取りかえをしたりとかというふうな、そういうことはえらい現実は大変だというふうなことで進めている。あるいは、お店のレジ袋の話なども、ある意味で地域の消費者からは、あそこのお店はレジ袋もくれない大変ケチなお店なのよという評判をいただきながら、あえて頑張っているというふうなことがあったりするわけですね。
 そんな点では、例えば今のレジ袋の話などについても、生協自身で努力し続けるということは、一方で当然なのですけれども、ある意味では、もう少し社会的な仕組み、今度の杉並区の例がそれかどうかは別といたしましても、地域全体どこのお店でも、そうしたことに取り組むような社会的なシステムづくりというふうなことをぜひやっていただきながら、生協だけが特殊であるというふうなことでないような仕掛けにしていかないと、なかなか長期的に続けていくのは大変だというのが、率直なところでもございます。

○安原委員 エネルギー分野で、再生可能エネルギーを多いに活用すべきだというご意見伺いましたが、非常に重要なことだと思いますが。
 結局、再生可能エネルギーをできるだけ多く使って発電すれば、今の仕組みの中では、どうしてもコストがアップするとか、あるいはそれに関連して、税の制度を考えるとかいった場合に、税負担を伴うとかということになりますが、生協としては、そのためであれば、電力関係のコストあるいは税負担が上がっても、それは受けとめて対応していくというスタンスということで、理解してよろしゅうございますか。

○説明者(品川) 全体の仕組みがどういう仕組みの中で、再生可能エネルギーとの関係がどうなるかというようなことが当然あろうかと思いますけれども、この問題だけでなしに、冒頭にも申しましたが、生協自身の事業上の負担なり、あるいは消費者の負担なりが、一定それでふえるといたしましても、そのことについての理解が得られ、納得がいく関係であれば、今の地球温暖化問題に全人類的に対応しなければならないということとの関係では、それは十分やむを得ないこと--十分やむを得ないというのは変な言い方ですけれども、ではないかというふうに思っておりますが。
 ただ、消費者全体の中で、その理解を得ていくというためには大変な努力が、もっと今から必要なのではないかと思っているところです。

○飯野委員長 ほか、よろしいでしょうか。
 本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

○説明者(品川) どうもありがとうございました。

○飯野委員長 本日のヒアリングはこれで終わりまして、これをもって、年内の関係団体からのヒアリングを終わりたいと思います。
 まだ、少し時間が余っておりますので、まず前回の制度面の問題整理についてのご議論について、前回まず土屋委員の方から、最後の方に、環境税の国境税調整の問題について少しお話があったと思うんですけれども、もし、前回時間切れでいい足りないことがございましたら、一応つけ加えていただけるとありがたいんですけれども。

○土屋委員 先生方はもう十分おわかりなんだろうと思いますけれども、環境税の国境税調整を行う場合に、物が背負っておる税金の額がはっきりしている場合は、それは問題はないんだろうと思うんですけれども、先日のお話のように、製品に溶け込んでしまって、コストの中に含まれている税金を一定の擬制のもとに調整をするということは、なかなか納税義務者の方にとっても、税を執行する者にとっても、若干難しいお話なのかなという感じをちょっと持ったものですから、お伺いしたということでございます。

○飯野委員長 ありがとうございました。
 実は、その専門家……。
 佐和先生、どうぞ。

○佐和委員 専門家でも何でもないんですけれども、むしろ中里さんに聞きたいんですよね。
 アメリカで、フロンの全廃が決まったときに、要するに、例えば日本から冷蔵庫とかエアコンを輸入するときに、国境でフロン課税をしたと。ですから、国内でももちろんフロン課税して、ですから輸入するときに、フロンの原単位を申告させて、それに対して課税したと、そういうケースが前例としてはあると思います、ですよね。

○飯野委員長 ありがとうございます。
 その専門家の和気先生がちょっときょうご欠席なので、詳しいことはまた次回に……。
 中里委員、どうぞ。

○中里委員 よくはわからないんですけれども、消費税に関する議論の延長線上ですと、炭素税込みの製品を輸出する際に、国境税調整を行って輸出免税にするとか、外国で炭素税のかかっていないものを日本に輸入する際に、国境税調整として輸入課税をするということが、これは全部組み立て方によると思うんですね、直接税とか間接税とか。でも直接税として仕組まれていますと、これはWTOに違反という--WTOと京都議定書云々のことは一応別問題でしょうから、違反になるんじゃないかと、直感的にいたしますが。間接税だったら調整できるんでしょうけれども。
 ただ、間接税として仕組んで調整できるようにしたところで、先ほど土屋委員おっしゃったように、額がわからないのはできませんから、輸出補助金なり、輸入制限措置なりということになりかねないというのは、実は深刻な--それでもいいと思うかどうかなんでしょうね。日本の製品を輸出する際に高くなっても構わない、輸入する際に他国から攻撃されても構わない。それでもというふうに思っても、WTOに違反したら相当きついですね。ネギとか、シイタケとか、畳表どころじゃなくなっちゃうような気がします。

○横山(彰)委員 モントリオール議定書の場合にはこういう措置を入れるということで、国際的な、多角的なアグリメントとしての議定書を実効あるものにするために、今、佐和先生おっしゃったような形で、その国際約束の中で、そのWTOの違反になるかどうか、これは大変微妙なんですけれども、実質的にはもう既にそういうふうなことで動いていると。
 そうすると、京都議定書でそういう貿易措置まで入れて、締約国以外のものに対する何らかのサンクションとしてそういう措置を認めるのかどうか、これはなかなか難しいだろうと思いますが。
 そういう点で考えると、一つは、今、中里先生がおっしゃられたことで言うと、直接税という形の認識はできないから、やはり国境税調整をするような形の仕組みをどういうふうにするのかということだろうと思うんですね。
 そういうときに、一つはマニフェスト的なものやインボイス方式のようなものが、これは制度的な導入はなかなか難しいのかもしれませんけれども、どれだけ化石燃料消費を含んでいる製品なのかということについての何らかの制度的な仕組みまで含めるのかどうか。あるいは、外形である程度そうした措置をするのか。この辺のところが、税務執行上非常に大きな問題になるんじゃないかと思います。

○飯野委員長 諸富さん。

○諸富委員 前回、私も国境税調整の検討をするべきではないかというお話をしたんですけれども、確かに土屋委員のおっしゃるとおり、非常に難しい面があるかと思います。
 それへの対応として、今、横山委員がおっしゃったように、日本の消費税を付加価値税化して、インボイス制度を組み込むと。そうすれば、ある程度環境税の転嫁を正確に追えるのかなという気がいたします。
 それが不可能であるならば、非常にラフではありますが、産業別に大体どういうエネルギー消費構造をもち、その結果としてどういう炭素排出構造をもっているのかということを示す、非常にラフな早見表みたいなものをつくりまして、それを各産業ごとに適用していって、何らかの形で国境で還付していくというようなやり方をとらざるを得ないと思います。
 この方法ですら、公平性上も、効率性上も、行政コスト上もまずいと、非常に問題が多いということになった場合には、欧州でよくやっているような形で、重厚長大産業に対して低率課税をし、その上で各産業が政府と協定を組むか、むしろ排出量取引をそこに入れるか何かで対応さぜるを得ないと思います。

○飯野委員長 ありがとうございます。
 私が読んでいるこのエネルギー税の1997年に出ている本を見ますと、アメリカではエネルギー税の国境税調整が、それからEUでは、CO2 国境税調整の可能性が問題になりつつあると書いてあって、それからどうなったか書いていないものですから、もう少し新しい資料でわかりましたら、また調べてみたいと思いますけれども、事務局の方が何かございますか。

○三好総政局経済課長 今手元にございませんので、少しどれぐらい新しいものがあるか、調べてみたいと思います。

○飯野委員長 あともう一つ、ぜひきょう議論しておきたいのは、前回、中里委員が言われたことですけれども、汚染者負担原則、PPPの原則と、産業への配慮のジレンマという問題なんですが、前回天野委員もおっしゃったんですけれども、責任を追及するという形で税金をかけるのか、それとも、減らすために税金をかけるのかという問題ですね。
 私の個人的な考え方では、責任を追及して税金をかける、つまりこれはある意味では罰金だと思うんですけれども、そうなったら、今度は責任の所在をはっきりさせないと、罰金を取れないということであれば、ちょっと環境税の趣旨から外れるのかなという気がするんですね。
 ただ、減らすという意味で税金をかけることが、本当に許されるのかどうかということも、前回の中里委員の言われた--中里さん自身はそう言われていない、そういう可能性もあるという言い方だったと思うんですけれども。税収を目的としない税金というのは本当に許されるのかという、佐和先生も前にちょっと言われましたね。特定の人にそういう税金をかけるということが許されるのかという、その問題について、ちょっと佐和先生、前回先にお帰りになったので、もう少し詳しくお話いただけると。

○佐和委員 詳しくと言うほど、僕は専門家でも何でもないんですけれども、結局中里さんのように、本当の税の専門家から見れば、税源が細るような税金なんか、それは税としては余り望ましくないというふうにお考えになると思うんです。例えば酒にかけるとか、たばこにかけるというのは、税金をかけて少々高くしても消費が減らないから、税源が非常に安定しているからだと思うんですね。
 ところが、普通経済学者が炭素税のことについて議論するときには、まさに化石燃料の消費を減らすためにかけるんだというわけですね。そして、課税していくことによって、何とか減らそうということなんですが。
 中里さん、イギリスがクライメットチェンジレビーと言っているでしょう。実はタックスと言わない。そういう考え方があるんですかね、課徴金という。だからあえてタックスとは言わない。
 ところが、実際問題、これも本当に中里さんに確かめないといかぬですけれども、いわゆる課徴金と税というのはどこが違うかと言えば、もし仮に--その前に税というのは、税務署が取りますよね。ところが課徴金というのは、これは普通お役人の世界で言えば、担当官庁が徴収するということで、これまた手間暇がかかって行政コストが物すごくかかるということで、イギリスの場合はどうしているんですかね。やはり事実上税務署がやっているんでしょう……。
 だからその辺が、果たして課徴金として税務署にお願いするのか、その辺についてもし何かあったら。

○事務局 事実関係だけ。イギリスのCCLでございますが、あれは全く税務署が徴収をしておりまして、消費税、付加価値税と同一ということで、関税消費税庁というのがあるようなんですけれども、そちらが徴収をしているということのようでございます。

○横山(彰)委員 前回、私ちょっと授業で委員会出れなかったのでございますけれども、このPPPをどういうふうに位置づけるのかといったとき、私は飯野委員長のおっしゃること、非常に正論だろうと思うんですね。前回の議事録ちょっと見させていただいたんですけれども、天野先生が、外部性を内部化することが汚染者負担原則の中に一部あるのではないかというご発言をしています。
 これは、私見ですけれども、汚染者負担原則という名をつける必要はなくて、中立性の命題で、いわゆる超過負担、デットウエートロスの観点で、厚生ロスを最小化にするということは、効率的な資源配分の達成ということで言えば、広い意味での中立性の原則に合致する課税原則として位置づけることも可能だろうと。それは天野先生の言う外部性の内部化と。外部性がある場合には、当然にデットウエートロスがある。
 だから、その環境税の場合、炭素税の場合には、二重の配当論の中に、通常は、ヨーロッパで言われているのは、それを雇用に向けると。いわゆる企業の社会保険料負担を軽減するという意味で、これが増出することが、そのCO2 の排出を削減することが一つの配当、もう一つの配当が、雇用の創出ということは2つ目の配当と言われていますが。
 その租税を目的に言いますと、そうではなくて、デットウエートロスがある課税が普通の所得税や、さまざまな税率の税であると。それに対して、環境税と言われているものは、そもそもデットウエートロスがある状態からない状態に戻すわけですから、そういう意味では、その減税した部分については、本来税が持つデットウエートロスを、環境税を導入することによって削減することができると。そういう意味でいうと、広い意味での中立性の原則になるんだろうと。
 それからこれは、慶応の細田先生も言われていることなんですけれども、この汚染者負担原則というものを、やはり私どもは注意して使わないといけないだろうと。これは何か生産者悪玉論的な、そういうニュアンスがあって、犯人探しをするということになるけれども、細田先生のご本の中での指摘は、私もそう思うのでございますけれども、それは違うと。細田さんが言っていることは、最適制御主体はだれか。そこに課税のインパクトをすればいいんだと。あとは市場に任せれば、生産者に課税しようが、消費者に課税しようが、市場メカニズムの中で、その負担割合というのはドールトンの法則と言われているように、需要の拡大の規制と、それから供給の拡大の規制の割合で、最終的な負担割合というのは決まるんだと。こういう議論だとすると、あえてここで汚染者負担原則というものが本当に課税原則として、この環境税あるいは炭素税を入れるときに必要なのかといったときに、もう少し十分注意が必要になるんじゃないかと。それは天野先生のご議論とも関連してくるんじゃないかと、個人的にはそう思います。

○飯野委員長 ありがとうございます。
 そのほか何かご意見ございますか。
 中里委員。

○中里委員 まず、レビーとか、チャージとか、そういう課徴金の問題ですけれども、これは、要するに実質的租税と、形式的租税を分けてしまえばいいんだと思うんですね。実質的租税は、担税力がある者に対して税収を上げるために課すると。形式的租税は、実質租税の手続その他を借りながら、実際は実質的には租税ではないと。
 したがって、根拠は、財政法3条で国会の議決等を要するとしながら、しかし国税通則法や国税徴収法の関係ではそちらに載っけてしまうという、非常に卑怯なやり方かもしれませんが、それで十分クリアはできるので、これはだからいわゆる租税法とか、財政学でいうとは違う別種の、租税という名前の--租税という名前の課徴金があっちゃいけないという法律は多分ないでしょうから、結構な読み方で、そのぐらいのフレキシビリティはあると思います。
 ただ、余りに租税だということにこだわりますと、実質的世界に引きずり込まれてなかなか難しい。
 汚染者負担の原則は、環境の問題とかを考えるときには、やはり汚したやつが悪いんだということが、どうしても常識的にあるんだと思って、これから完全に離脱するというのはなかなか難しいんだろうと思いますけれども。先ほど横山先生おっしゃったように、結果として汚染者が負担する、必ずしも負担しなくても、実は経済学的にはいいんでしょうけれども。汚染者負担の原則だから、直接税で汚染者をとらまえて、そいつに直接税としてかけなきゃいけないんだという発想から、一たん離脱した方がよろしいかもしれないですね。割と地方税なんかではこれが強くて、県庁内部の環境部局と、課税部局とで対立の原因になるわけですね。環境の方は、これは絶対譲らないというんですけれども、それほど--マーケットメカニズムを利用するというとき、規制なら別ですけれども、マーケットメカニズムを利用するというときに、汚染者負担というのを前面に出す必要があるのかどうかは、私は環境の方の専門家じゃありませんけれども、ロングテキストで習うようなこととは大分違いますし、法律からいっても、規制じゃありませんから、よろしいんじゃないかという気はするんですけれども、いい加減過ぎるんでしょうか。譲れない線だったら、また考えなきゃいけないんですが。

○飯野委員長 ありがとうございます。
 横山さんの議論だと、転嫁がどこに帰着するかというのは、市場のスタイルによるから何とも言えないという話になると、一体その環境税をなぜかけるのかというところにまで影響が出てくると思うんですけれどもね。

○横山(彰)委員 1点また、なにか私ばかりで恐縮なんですけれども、一つは、汚染者をどういうふうに考えるかということですね。例えば、化石燃料を消費している生産者だけが汚染者じゃなくて、その恩恵を受けている消費者も、その汚染活動からベネフィットを得ている主体であるとすれば、その生みがどうであれ、今の豊かな生活を享受しているという意味では、すべての国民が地球を汚染しているということは、双方がある--今までの外部性は、公害のように一方的な外部性で、だれか公害のような形で汚染発生源があって、それが善意の第三者に外部不経済を及ぼしているというような従来型の形の外部性ではなくて、地球環境の問題というのは、まさにその外部性で、自分が加害者であると同時に被害者であるというような事柄を考えますと、こうした汚染者負担原則というのは、国民一人一人が汚染者であり、そしてその汚染から被害を被っている被害者でもあるという認識のもとで、ではどういうような形でシステム設計をしていくのかといったときに、拡大生産者責任等の話も含めてなんですけれども、だれが一番うまく外部性を内部化できる主体なのかということの観点というのは、やはり私は重要になってくるのかなと。
 だから、先生方が考えられている環境経済学で言われている古典的な環境問題というのは、一方的な外部性を制御するような考え方だったんですけれども、今のこの地球環境問題は相互外部性という概念に当てはまるので、汚染者というのは全員が汚染者なんだと、こういうふうにも整理はできるんじゃないか。それがいいかどうかはちょっと別ですけれども。

○飯野委員長 ありがとうございます。
 まだこういう議論はやりたいんですけれども、時間がありますので。次回にもまたこういう議論をやりたいと思うんですけれども、ただ、こういう議論だけをしていたのでは、相変わらずの研究会と言われてもしようがないので、やはり一つの形にまとめられたらと思いますし、できればそうしたいと思っているわけです。
 そういうわけで、皆様に前回のたたき台についてのご意見を今週中にまとめて提出していただくというふうにお願いをしてあるので、済みません、よろしくお願いいたします。
 次回は、そういう皆様のご意見をいろいろ吸収して、そしてできれば事務局の方に、それらを幾つかのパターンに大体まとめていただきまして、それについて議論をしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。事務局の方もよろしいでしょうか。それでは、そういうことでやらせていただきたいと思います。
 ほかに何かご発言ございましたら。よろしいでしょうか。
 次回は、11月22日木曜日の10時から12時、場所は環境省第一会議室です。
 それでは、きょうはこれで閉会したいと思います。どうもご協力ありがとうございました。

午後4時50分閉会


■もどる■