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平成16年度化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会(第2回)議事要旨


1.日時 平成16年5月19日(水) 13:30~15:40
2.場所 環境省第1会議室
3.出席者
<検討委員>
有田 芳子 全国消費者団体連絡会
石光  進 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第四室長
及川紀久雄 新潟薬科大学応用生命科学部教授
日下 幸則 福井大学医学部教授
白石 寛明 (独)国立環境研究所化学物質環境リスク研究センター長
鈴木 茂 (独)国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター循環資源・廃棄物試験評価研究室主任研究員
武  繁春 神奈川県環境科学センター所長  
田辺 信介 愛媛大学沿岸環境科学センター教授

(座長)中杉 修身

横浜国立大学共同研究推進センター客員教授
村田 幸雄 (財)世界自然保護基金ジャパンシニアオフィサー
若林 明子 淑徳大学国際コミュニケーション学部教授
<事務局>
企画課 小林課長
環境安全課 上家課長
環境リスク評価室 三宅室長
(馬場)
化学物質審査室 榑林室長
環境安全課 (荒木、波多野、東、吉田、榎本)
<オブザーバー>
環境省水環境部企画課 (大森)
環境省環境管理局大気環境課 (藤田)
議題
(1)平成16年度化学物質環境汚染実態調査物質選定について
(2)その他
配付資料
資料1 平成16年度化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会委員名簿
資料2 平成16年度化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会(第1回)議事要旨(案)
資料3 平成16年度化学物質環境汚染実態調査実施方針(第1回資料4の改訂)
資料4-1 調査候補物質一覧 (第1回資料5-1の改訂)
資料4-2 初期環境調査候補物質一覧 (第1回資料5-2の改訂)
資料4-3 暴露量調査候補物質一覧 (第1回資料5-3の改訂)
資料4-4 モニタリング調査候補物質一覧 (第1回資料5-4の改訂)
資料4-5 初期環境調査・暴露量調査候補物質シート (第1回資料5-5の追加分)
資料5 調査物質評価結果一覧
参考資料1 調査候補物質シート記載内容の情報源及び用語解説等(第1回参考資料3に同じ)
参考資料2 調査地点別化学物質検出状況
参考資料3 平成14年度から平成16年度までの調査候補物質一覧
参考資料4 「平成15年度版化学物質と環境」(通称「黒本」)の公表について(お知らせ)
4.主な内容

【事務局】資料の確認、会議公開、資料公開の説明、検討委員の出欠確認(河瀬委員、鈴木規之委員が欠席)、検討会開催定員の充足確認。
 
(1)平成16年度化学物質環境汚染実態調査物質選定について
【座長】第一回検討会議事要旨について、修正等あれば後で事務局に連絡すること。
【事務局】第一回検討会を踏まえた資料の修正及び追加について説明。各委員の評価結果について資料5に基づき説明。
【座長】資料5は各委員の得票数の多い(評価が高い)物質から順に並べられていて、一義的にはこのリストの上位物質が調査候補物質として選定されるが、選定から漏れた物質の中にはより重要なものがあるかもしれない。調査できる物質・媒体数には限りがあるので、これらのものがあれば一義的に選定された物質との入れ替えを検討していきたい。検討の手順は次のとおり。各委員には、選定から漏れたこれらの物質・媒体について調査を実施すべきものがあれば繰上げ候補としてあげる。次いで、繰上げ候補を実施するために、選定された上位物質の中から取り止めても良いものを検討する。
まず、初期環境調査(水質・底質)について検討するが、予定数はいくつか。
【事務局】10物質・媒体を予定している。リストでは得票数6までで12物質・媒体となり予定数を超過するので、得票数6から2物質までが選定されるものとなる。
【座長】第一回検討会後、優先して調査すべき物質に○印を付け、特に強調したい物質に◎を付して投票した。これらの印に票数としての優劣はないが、◎が多い方をより優先すべきと考えると、得票数6のうち、9番目の73番エチレングリコールモノメチルエーテルまでが候補となり、37番ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン、59番1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンから1物質・媒体を選ぶこととなり、得票数5以下の物質が落選する。これらの中で実施すべき物質があれば、挙げて欲しい。
24番4-アミノフェノールは指定化学物質であり、NOAELが小さく生産量もあり開放系用途である。その性状から24番4-アミノフェノールの水質を繰上候補として欲しい。
【及川委員】8番ペンタクロロニトロベンゼンのコメントに「ペンタクロロアニリンも測定すべき」とあるが、あわせて1物質として考えるのか。
【白石委員】ペンタクロロニトロベンゼンは農薬としての使用が禁止されいる。残留物として還元されたペンタクロロアニリンが知られており、一斉分析できると思われるので挙げた。
【座長】37番ジフェニルメタン及びトリフェニルメタンは水質と底質が挙げられているが、1つに絞るならどちらか。
【白石委員】47番ケルセンは、水質よりは底質で検出されると思われ、底質のみで良い。
【座長】37番ジフェニルメタン及びトリフェニルメタンについては底質に絞ることで良いか。
【委員一同】異議なし。
【座長】47番ケルセンについて、白石委員から水質は取り止めても良いとの提案がされた。
意義がなければ、7番ケルセンは底質のみとする。
【委員一同】異議なし。
【座長】1番ヒドラジンは水質の分析法開発をしていないか。
【事務局】平成13年度に開発したが、現在の要求感度を満たしていない。平成14年度の本検討会で開発対象となっているが、着手できていない。
【座長】底質は水質と同様と思われ、かなり難しい。水質の結果を見てから底質を進めてはどうか。
【委員一同】異議なし。
【座長】では、候補物質を確認する。46番ジイソプロピルナフタレン(底質)、47番ケルセン(底質)、8番ペンタクロロニトロベンゼン及びペンタクロロアニリン(底質)、6番オクタクロロジプロピルエーテル(水質、底質)、20番ジンクピリチオン(水質)、73番エチレングリコールモノメチルエーテル(水質)、37番ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン(底質)、59番1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン、24番4-アミノフェノール(底質)の10物質・媒体である。
必ずしも選定された全てを実施できる訳ではないが、検討会として以上の10物質・媒体を選定した。
次に初期環境調査(生物)について検討するが、予定数はいくつか。
【事務局】4物質・媒体を予定している。リストでは5番ホルムアルデヒドまでが候補となり、43番1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが落選となる。
【座長】43番1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに強い推薦が無ければこのまま落選となるがどうか。
【有田委員】5番ホルムアルデヒドは養殖場などで問題となっており重要な物質だが、生物濃縮しないので検出されるか不安がある。生物の調査例はあるか。もし検出されなくても、それを確認することに意味がある。
【座長】検出されたとしても、環境から暴露されたものかどうか判然としない。
【有田委員】養殖場で騒がれ、自然界にも存在しているとの説明がなされているが、生物のデータはないのか。
【若林委員】ホルムアルデヒドについては10件程度の論文が検索された。内容を精査し生物データがあれば事務局へ報告する。データがなければ調査することでどうか。
【座長】43番1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンの推薦はないか。5番ホルムアルデヒドは候補にあがっているが、若林先生からのご提案を踏まえ、いただいた情報については座長一任で検討させていただく。
【有田委員】信頼できるデータが得られるならば構わない。
【座長】1番ヒドラジンについてはどうか。底質と同様、水質の分析法開発を待ってからではどうか。
【有田委員】化学物質審査室や環境安全課がヒドラジンを候補として挙げた理由は何か。
【座長】資料にもあるように、生産量が多いことから挙げている。リスク評価室からは初期リスク評価の際にPNECが低く、調査実績の検出感度では不足していることから挙げている。感度を上げる必要があり、水和物をどう分析するかが難しいので、水質の分析法開発から検討してはどうかと考えている。
排出量が多く、PNECも小さいが、初期リスク評価をするための安全係数をもっと下げられないか、要求された感度まで下げる必要があるか検討が必要ではないか。
【化審室】化学物質審査規制法の観点からは、非審査物質、既存化学物質を問わず、毒性について確認する調査があり、注意したい。化学物質審査規制法は4月に改正され、動植物への影響を見ることとなったが、既判定物質についてはこの観点からの審査を行っていない。既存化学物質に限らず生態影響をみる必要がある物質をご指摘いただければ、点検の際の候補に加えていきたい。
【座長】ヒドラジンについてはむしろ環境挙動を調査するなど、基礎から議論すべき物質と考えられる。5番ヒドラジンについては、水質の分析法開発を待つこととし、その他の情報を収集し、来年度検討したい。
【若林委員】ヒドラジンのPNECを下げる検討をしたいと言われたが、データシートを見るとオオミジンコの急性毒性が0.16とあり、かなり毒性は強く、安全係数を下げるのは難しいのではないか。
【座長】では、候補物質を確認する。30番ペンタクロロニトロベンゼン及びペンタクロロアニリン、46番ジイソプロピルナフタレンが候補、5番ホルムアルデヒドは若林委員の情報を待って判断することとしたい。
【白石委員】43番1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンは、平成元年と平成7年の調査で不検出となっているが、製造・使用量が増えているのか。
【化審室】生態影響で知見を充実する必要がある。
【座長】次に初期環境調査(大気)について検討する。予定数はいくつか。
【事務局】4物質・媒体を予定している。28番PBDEsは平成14年度に一斉分析法が開発されていた。また56番クロロエタン、54番クロロメタンは平成13年度の実績があった。
【座長】事務局からの説明では、56番クロロエタン及び54番クロロメタンは直近の実績があり、クロロメタンは初期リスク評価の対象でもあるので、候補から落としても良いのではないか。これら2物質を落とすと、18番2-ビニルピリジンまで全てが候補になる。
【若林委員】ペンタクロロニトロベンゼンは大気に行くことがあるのか。空中散布などで大気へ排出されることを考えているのか。
【座長】平成3年度に検出された実績がある。今は状況が変わっており農薬としての使用が禁止され、ご指摘のように大気から検出される可能性は低いかもしれない。
【白石委員】ペンタクロロニトロベンゼンについては、大気から検出されているクロロベンゼン類からの非意図的生成が考えられる。この場合、ペンタクロロアニリンは測定の必要はない。
【座長】光化学的なニトロ化はピレンからニトロピレンの生成が知られており、可能性はある。
【鈴木茂委員】ペンタクロロニトロベンゼンが粉塵中で分解せずに残っている可能性がある。
【座長】候補物質を確認する。28番PBDEs、8番ペンタクロロニトロベンゼン、18番2-ビニルピリジンの3物質・媒体となっている。
次に分析法開発(水系)について検討する。水質、底質、生物を一括して検討するということだが、予定数はいくつか。
【事務局】7物質・媒体を予定している。
【座長】得票数7の40番イルガロール1051までで8物質になる。初期環境調査の検討と同様、得票数7未満の物質から推薦されるものはあるか。
【若林委員】28番PBDEsには評価に◎があるが繰上候補に繰り上げなくて良いのか。
【座長】では、28番PBDEsまでを対象に検討する。39番ジウロンは水環境部で水質調査の実施が予定され、本調査では底質調査の開発が候補になっている。水質調査を待って来年度検討することでどうか。
【事務局】来年度検討とし、整理することとしたい。
【座長】39番ジウロンは、今年度の対象から除外する。PBDEsについては一部は開発されているが、一斉分析法として開発されていない。1番ヒドラジン(水質)がこれまで候補となりながら要求感度が高く開発に着手できていない。ヒドラジンの開発に着手できないようならば、PBDEsを候補に挙げ、ヒドラジンについては別途方法考えることとしてはどうか。
【委員一同】異議なし
【座長】候補物質を確認する。7番3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート(水質、底質)、10番トリクロロアセトアルデヒド(水質)、75番N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-1,4-フェニレンジアミン(水質)、9番アクリル酸(水質)、40番イルガロール1051(水質)を候補物質とし、ヒドラジン(水質)とPBDEs(水質)のいずれか開発できるものを候補とする。
次に分析法開発(大気)について検討する。予定数はいくつか。
【事務局】10物質・媒体を予定している。得票数4の16番4-ビニル-1-シクロヘキセンまでが候補となる。
【座長】得票数3以下の物質が落選となるが、何か推薦する物質はあるか。
22番2-(1-メチルエトキシ)エタノールは、大気で検出可能性があり繰上候補としたい。
10番トリクロロアセトアルデヒドは大気にはあまりいかないのではないか。15番2,6-ジクロロベンゾニトリルは農薬なので、散布時期でなければ大気からは検出できないのではないか。4-ビニル-1-シクロヘキセンは半減期が2時間と短く残留しているか疑問があるので、落としてはどうか。
【委員一同】異議なし。
【座長】候補物質を確認する。75番N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-1,4-フェニレンジアミン、35番臭素化フェノール(2,4,6-トリブロモフェノール)、74テトラフルオロエチレン番、10番トリクロロアセトアルデヒド、21番1,1,2,2-テトラブロモエタン、9番アクリル酸、15番2,6-ジクロロベンゾニトリル、19番テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、51番二硫化炭素、22番2-(1-メチルエトキシ)エタノールの10物質を候補とする。
次に暴露量調査であるが、即調査できるものとして水質、大気から各1物質が挙げられている。予定数はいくつか。
【事務局】2物質・媒体を予定している。
【座長】では、調査が不要ということがなければ、この2物質・媒体を候補とすることで良いか。
【鈴木茂委員】大気中の常在成分で安定に存在し、光化学など多くのハイドロカーボン調査がありデータが多い。暴露量の把握する意味では、既存のデータを利用できないか。
【座長】初期リスク評価のためには背景のあるデータが必要であり、その観点から候補物質に挙げられている。
【白石委員】濃度予測ができるかもしれないが、初期リスク評価では実測値優先であり、解析のためにも実施が必要である。
【座長】水質は海水のデータ不足とのことであった。水質は海水のデータが得られるように調査地点を選定して実施する。大気は通常通り実施する。
次に暴露量調査の分析法開発について検討する。予定数はいくつか。
【事務局】資料は水質、大気、食事と分けたが、総数として4物質・媒体を予定している。
【座長】得票数の多い順では、68番アクリルアミド(食事)、67番o-クロロアニリン(大気)、66番アクロレイン(大気)、49番りん酸ジメチル=2,2-ジクロロビニル(水質)が候補となる。
49番りん酸ジメチル=2,2-ジクロロビニルの水質は検出できるか。
【若林委員】有機リン系農薬は甲殻類への毒性は非常に強く、ものによっては0.2ppbで影響がみられる。この1物質の問題ではなく、一連の有機リン系農薬の評価方法を検討すべきで、ミジンコを用いた評価方法を薦めるものでもある。
【座長】農薬類には調査時期の問題がある。例え検出下限が充分で調査結果が不検出であっても1年の代表値とは言い切れない。
【若林委員】何らかの形で調査は必要だが、本調査の候補物質としては優先順位は他の物質の方が高いと考える。
【座長】農薬については、昨年度も農薬管理室でモニタリングできないか検討するよう意見している。検討はしているようなので、どのように調査していくかは整理が必要だ。
本検討会が次年度の調査物質を選定するならば、4月頃の最も高濃度の時期に調査をできるが、時単位で変動するので、適切な調査が難しい。りん酸ジメチル=2,2-ジクロロビニルについては落としても良いか。
【委員一同】異議なし。
【座長】候補物質を確認する。68番アクリルアミド(食事)、67番o-クロロアニリン(大気)、66番アクロレイン(大気)、62番2,6-キシレノール(水質)の4物質・媒体を候補とする。
モニタリング調査について検討する。POPs対象物質については毎年度実施することとなっており、それ以外に調査する物質を選定するとのことだが、予定数はいくつか。
【事務局】2物質・媒体を予定している。
【座長】一義的には2番ヘキサブロモビフェニル、5番臭素系難燃剤(テトラブロモビスフェノールA)が候補となる。
【事務局】2番ヘキサブロモビフェニルについては、平成15年度に水質及び底質の初期環境調査を実施しており、平成16年度に大気の初期環境調査を実施予定である。また、5番臭素系難燃剤(テトラブロモビスフェノールA)については、テトラブロモビスフェノールAを対象として平成15年度に底質及び生物のモニタリング調査を実施している。
【座長】では、これらは数年先に実施すれば良いのか、と考える。次の候補としては、16番ヘキサブロモベンゼンだが平成12年度に調査を実施している。3年の間隔が空いており、一定の間隔と考えられる。次の3番有機スズ化合物(ジブチルスズ化合物等)はどうか。
【事務局】有機スズ化合物では、平成14年度にトリブチル及びトリフェニル、平成15年度にトリブチル、トリフェニル、ジブチル、ジフェニル及びモノフェニル化合物を実施している。
【座長】ジオクチルスズ化合物については平成12年度に実施し検出されているが、その後調査していない。以上の4物質について検討したい。
2番ヘキサブロモビフェニルは初期環境調査の結果を踏まえ数年後に検討することでよろしいか。
【委員一同】異議なし。
【座長】5番臭素系難燃剤についてはどうか。テトラブロモビスフェノールA以外の物質で必要なものはあるか。テトラブロモビスフェノールAの調査結果を踏まえて検討することでよいか。
【委員一同】異議なし。
【座長】16番ヘキサブロモベンゼンはどうか。調査間隔も空いているので候補としたい。
3番有機スズ化合物はどうか。安定剤として大量に使われているので、ジオクチルスズ化合物を候補としたい。
【委員一同】異議なし
【座長】候補物質を確認する。16番ヘキサブロモベンゼンと5番有機スズ化合物のうちジオクチルスズ化合物の2物質が候補である。
以上で、初期環境調査、分析法開発、暴露量調査、モニタリング調査候補物質の選定を終了した。事務局から選定された各候補物質を確認して欲しい。
【事務局】各調査の選定物質の確認。
【座長】初期環境調査の大気と生物の枠に空きが見られるが、他の物質を割り当てることはできるか。
【環境安全課長】枠があるから他へというのは難しい問題があり、直ちに追加ということは難しいと考える。
【座長】今確認した物質を候補物質として、これらの調査、分析法開発を進めることとするが、諸事情により実施できない場合もあり、最終的な調整は事務局に任せる。
以上で本日の検討課題は全て終了したが、事務局、委員の方から何か意見はあるか。

(2)その他
【事務局】第一回検討会で宿題となっていた、平成14年度からの調査候補物質の推移を参考資料3にまとめた。
【座長】物質が何年度に選定され、分析法開発や調査が何時実施されたかが一目で分かるよう少し工夫する余地はあるがこれ自体はかなり良くできていると思う。
【事務局】参考資料4平成15年度版「化学物質と環境」を本日公表したので、お知らせする。
【座長】この「化学物質と環境」の内容は、平成14年度に本検討会が発足して初めて選定した物質で、やっと結果が出てきたということである。この結果を受けてさらに次に進めることが必要と思う。
【環境安全課長】物質選定の観点からだけでなく、化学物質環境汚染実態調査についてご意見をいただきたい。全てに対応できるわけではないが、参考にさせていただきたい。
【若林委員】化学物質環境汚染実態調査は古くからの調査で様々な情報があり参考になる。また、海外の化学物質の管理の情報やOECDの動きなどを含めCD-ROMに収録されているというが、「化学物質と環境」の冊子を見てわかるのか。
【事務局】目次に記載している。
【若林委員】国際化の時代であり、簡単でも良いので化学物質の情報がわかるようにして欲しい。
【村田委員】ユーザー側から見ると、人間を一つの媒体と考えた体内暴露、日本人の平均的バックグラウンドの汚染状況が加わるとより良いので、期待している。
【田辺委員】これだけ長い調査は海外発信する上でもインパクトがあり、英語版の作成も効果がある。しかし考察、解釈にもっと掘り下げた議論、解釈を加え、仮説としてでも解釈を広げることができないか検討する余地はあると思う。
【武委員】評価が淡々と書かれてあるが、もっと興味深い部分があればと思う。
【鈴木茂委員】黒本は貴重な財産であると思う。データの信頼性について質問を受けることがあり、測定法あるいは測定の質について力を入れる必要がある。本調査を実施している民間機関、地方公共団体においても人材不足の傾向が感じられ、人材育成の観点でも力を入れていただきたい。
【中杉委員】黒本は環境省でしか持ち得ない情報であり、大きな財産である。これまでは環境実態を測定して終わりであったが、徐々に前後のつながり、前にはPRTR、後には初期リスク評価ができた。環境省各課室には物質選定に挙げられてくる物質の根拠だけでなく、結果をどう活用していくのか、明確にしていただきたい。全体の流れの中で物質選定をどう位置づけるかなど、整理してもらいたい。
【白石委員】元々本調査は化審法の既存物質点検から始まったが、やっと施策に直結する時代に入り、そうした対応を進めているように感じる。是非この方針を推し進めてもらいたい。黒本の調査結果を利用する場合、巻末資料に実績が載ってはいるが、毎年度物質番号が振りなおされている。何か化審法番号のような普遍的な番号をつけられないか検討する価値はあると思う。
【日下委員】ワーキンググループでは、有害性検討リスクについてカテゴリー化に携わっている。
主にIRISやHisを参考としているが、一方で環境省や企業情報も重要な資料であるが簡単には利用できず、灰色本に掲載されているものでも委員会報告や、ワーキング用であり評価を受けておらず一般に公表されないため利用できないものがある。
感作性アレルギー物質について日本の産業衛生学会では40物質程度しかリスト化されていないが、EUでは400物質程度がホームページに掲載されている。EUのものでもその根拠はホームページに掲載されておらず、その都度ワーキングを実施している。結果として物質がリスト化されカテゴリー化されているものを2~3年毎に更新していると思う。黒本も物質毎に、化学式、CAS No.、MSDSシート、環境省や厚生労働省のデータとのリンクなどを網羅し、かつ英語で発信すると、世界的にも有用なものとなると思う。
【及川委員】データ評価について、これまでの調査結果と比較してどうかを考えていく際に、海外の分析データがあっても手法が違ったり、評価手法がない。これらを参考として挙げておくことはできないか。また、地公研の優秀な人材をより活用できるようサポートをしていただきたい。
【石光委員】IPCSに関与している中でCICADやICSCなどの評価文書を作成するにあたり「化学物質と環境」を利用しているが、英語版のナショナルレビューであること、リスク評価されていること及び引用文献が記載されていることが望ましいと思う。アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど外国でも評価文書として公開しているので、環境省でも評価資料としてまとめてもよいのではないか。
【有田委員】消費者の代表として参加させていただいている。限られた時間の中で検討するため、極力無駄な議論はしないようにということはあるものの、今回、各立場の考え方を聞けて良かったと思う。また、「化学物質と環境」の存在は知っていたが、消費者がこれを見る機会はあまりなかったので、どう有効に発信していくかが今後の課題ではないか。
【環境安全課長】先生方からのご指摘を踏まえ、これからどうしていくかを検討することとしたい。来年度のこの場で多少なりとも改善結果を報告できればと思う。また先生方には個別にもご相談させていただくこともあろうかと思うので、今後ともご指導のほどよろしくお願いいたしたい。
【事務局】本日の議事要旨については、案を事務局で作成後、各委員のご確認のうえ、ホームページへ掲載することを予定している。
【座長】以上で本日の検討会は終了する。

以上