目次へ戻る平成15年度(2003年度)版 「化学物質と環境」
 化学物質に関する環境調査


化 学 物 質 に 関 す る 環 境 調 査

1.化学物質の環境リスク対策
2.化学物質環境汚染実態調査と環境リスク評価
3.化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の概要と環境省の役割
4.特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律のPRTR制度
5.化学物質環境汚染実態調査の概要
  (1) 調査の体系化の経緯
  (2) 現在の調査体系
  (3) 調査における検出状況
6.化学物質環境汚染実態調査結果の活用
7.平成14年度の調査結果の概要
図1 平成14年度化学物質環境汚染実態調査概念 (PDF形式)
図2 平成14年度化学物質環境汚染実態調査検討会体系 (PDF形式)
図3 化学物質環境汚染実態調査の流れ (PDF形式)
図4 調査の実施風景 (PDF形式)
 
1.化学物質の環境リスク対策
 

 

 日本では昭和30年代の高度成長期に工場等からの廃ガス・廃水による大気汚染・水質汚濁が顕在化し、有機水銀汚染による水俣湾の水俣病、神通川のカドミウム汚染によるイタイイタイ病を代表とする重大な環境汚染による健康被害が各地で発生した。昭和40年代の化学物質による汚染問題としては食品への残留農薬や食品添加物などが問題視されていたが、昭和43年ごろに発生したカネミ油症事件-(熱媒体として使われていたPCB類が食用油に混入し、これを摂取した人に健康被害が発生)-は化学物質の環境汚染が注目される大きな契機となり、昭和47年にはPCB類の全国調査(1445地点、媒体は水質、底質、土壌、農作物、魚介類)が実施され、広範な汚染が確認された。工場廃水等によるPCBの環境汚染は昭和45年ごろから示唆されていたが、この調査により深刻な環境汚染が明確となり、工場等からの排出水規制(水質汚濁防止法)が行われるようになった。またPCB類のような一般的用途の化学品の製造・輸入の規制(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)も昭和48年から開始された。

 PCBに続き、日本で健康影響が問題となった化学物質にダイオキシン類があった。日本では年間に家庭から約5千万トン、工場・事業所等から約4億6千万トン(うち約55%は再生利用及び埋立て)の廃棄物が排出されており、家庭からの排出の約8割を焼却処分している。昭和58年にごみ焼却施設の飛灰からダイオキシン類が検出され、翌年実施した全国の廃棄物処分場周辺の実態調査でその汚染が確認された。その後、紙パルプ工場の排出水中からの検出もあり、排ガス及び排出水の排出基準設定がなされ、規制されるようになった。

 これらに続く化学物質への関心としては、内分泌攪乱物質(Endocrine disrupter)問題が注目されており、環境省では「環境ホルモン戦略計画(Strategic Programs on Environmental Endocrine Disrupters '98:SPEED98)」に従い、対策を進めている。

 加えて、このような化学物質に対する広範な関心の高まりに呼応し、有害性が判明している化学物質について、人体等への悪影響との因果関係の判明の程度に係わらず、事業者による管理活動を改善・強化し環境の保全を図るため、PRTR制度が平成11年に法制化(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)された。

 こうした有害化学物質の環境汚染問題は、我が国のみならず世界の関心事項であり、平成4年6月にリオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議(UNCED)」において採択された「アジェンダ21」のなかで有害化学物質の環境上の適正管理が国際的な課題とされ、その国際的なフォローアップのため化学物質安全性政府間フォーラム(IFCS)における活動や平成13年5月「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下、「POPs条約」という)」が採択される(日本は平成14年8月に批准し、平成16年5月に発効する。)など活発な取り組みが行われている。

 また、我が国においても、平成5年11月に成立した「環境基本法」に基づいて平成6年12月に策定された「環境基本計画」(平成12年12月改定)の中で、化学物質の環境リスク(環境の保全上の支障を生じさせるおそれ)対策が、環境保全に関する基本的な事項の一つとして明確に位置付けられ、環境リスクをできるだけ定量的に評価するとともに、多様な手法による環境リスクの管理の推進を図ることにより、各般の施策を実施することとしている。特に重点的取組事項の一つとして、人の健康を損なうおそれまたは動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれのある化学物質、生産量が大きく環境中に排出される可能性の高い化学物質などについて、人の健康や生態系に対する影響などの有害性に関するデータや排出量などの暴露に関するデータの整備及びこれらの化学物質の環境中における存在実態の把握(環境モニタリング)及び挙動の解明、人や生態系に対する影響の実態の把握の充実を図ることとしている。

2.化学物質環境汚染実態調査と環境リスク評価
 

 化学物質の環境リスクの適切な管理(削減)に向けて、環境リスクを同定しできるだけ定量的に評価することが重要である。化学物質の環境リスク評価は、(ア)人の健康及び生態系に対する有害性を特定し、用量(濃度)-反応(影響)関係を整理する「有害性評価」と(イ)人及び生態系に対する化学物質の環境経由の暴露量を見積もる「暴露評価」を行い、(ウ)両者の結果を比較することによってリスクの程度を判定するものである。

 環境省では、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高そうな物質をスクリーニングするため、平成9年度より化学物質の環境リスク初期評価に着手しており、平成14年度までに健康影響及び生態影響にわたる環境リスク初期評価を52物質について実施したほか、関連する調査及び評価を進めている。評価の結果は順次報告書「化学物質の環境リスク評価」としてとりまとめ公表している。

 化学物質環境汚染実態調査の成果は、この環境リスク評価の一環として行われる暴露評価において、化学物質の環境中の全国的な存在状況を示す重要な実測データとして活用されており、効率的な環境リスク評価の実施も視野に入れて緊密な連携の下で調査を進めている。また同調査の成果は、環境リスク管理の場面においても活用し得るものである。

 
3.化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の概要と環境省の役割
 

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「化学物質審査規制法」という)は、PCBによる環境汚染問題を契機として、昭和48年10月に制定され、昭和49年4月から施行された。同法により新規化学物質については、自然的作用により化学的変化を生じにくく(難分解性)、生物の体内に蓄積されやすく(高蓄積性)、かつ、継続的に摂取される場合には人の健康をそこなうおそれ(慢性毒性)があるかどうかを、その製造前又輸入前に審査するとともに(新規化学物質の事前審査)、それらの性状をすべて有する化学物質を第一種特定化学物質として指定し、製造(輸入)・使用等の規制が行われるようになった。これまでに、新規化学物質については、7,894件の届出があった(平成13年12月末現在)。

 一方、既存化学物質については、昭和48年の化学物質審査規制法制定時の国会の附帯決議により原則として国がその安全性の確認を行い、必要があれば、第1種特定化学物質等に指定するという仕組みがとられている。

 このため、既存化学物質について、経済産業省は微生物等による分解性、魚介類への濃縮性を、厚生労働省は人への毒性を、環境省は一般環境中での残留状況と生態影響を調査、点検している。そしてこれまでに、」 、「PCN」、「HCB」、「アルドリン」、「ディルドリン」、「エンドリン」、「DDT」、「クロルデン類」、「ビス(トリブチルスズ)=オキシド」、「N,N'-ジトリル-p-フェニレンジアミン、N-トリル-N'-キシリル-p-フェニレンジアミン又はN,N'-ジキシリル-p-フェニレンジアミン」、「2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール」、「トキサフェン」、「マイレックス」の13物質(群)が第1種特定化学物質に指定されている(平成16年3月末現在)。

 また、トリクロロエチレン等の地下水汚染を契機として、昭和61年5月に同法が改正され、昭和62年3月から施行された。この改正により蓄積性は低いものの難分解性で、かつ慢性毒性の疑いのある化学物質を指定化学物質として指定し、製造及び輸入量の監視を行うこととなった。また、当該指定化学物質による環境の汚染により人の健康に係る被害を生ずるおそれがあると見込まれる場合には、製造等の事業者に対し有害性の調査の実施及び報告を指示し、有害性があると判定した場合には、第2種特定化学物質として指定し、製造及び輸入量等の規制が行われるようになった。そしてこれまでに、指定化学物質については、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等739物質(群)が指定されている。また、第2種特定化学物質については、平成元年4月に四塩化炭素、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンの3物質が初めて指定化学物質から第2種特定化学物質に指定されて以来、現在までに、23物質が指定されている(平成16年3月末現在)。環境省では平成13年1月6日より、化学物質審査規制法を厚生労働省及び経済産業省とともに所管することとなった。

 なお、化学物質の動植物への影響に着目した審査・規制制度を導入するとともに、環境中への放出可能性を考慮した、一層効果的かつ効率的な措置等を講じること等を内容とする化学物質審査規制法の一部改正法が平成15年5月28日に公布され、平成16年4月1日に全面施行されることとなっている。

 
4.特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律のPRTR制度
 

 PRTR(Pollutant Release and TransferRegister)とは、人の健康や動植物への有害性のある化学物質について、その環境中への排出量及び廃棄物中に含まれていて事業所の外に移動する量を事業者が自ら把握して国に報告し、国は事業者からの報告や統計資料等を用いた推計に基づき対象化学物質の環境への排出量等を把握、集計し、公表する仕組みをいう。

 多種多様な化学物質による環境汚染に対する国民の関心が高まっていることを背景に、また、平成8年にOECD(経済協力開発機構)がPRTRの導入を加盟国に勧告したことを踏まえ、我が国では平成11年に交付された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(以下「化学物質排出把握管理促進法」という、いわゆるPRTR法)によりPRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)が導入され、平成14年度より届出が開始され、平成15年3月にその集計結果が公表された。

 平成15年度においては、法施行後2回目の届出として平成14年度1年間の対象354物質の排出量等について、全国でおよそ3万5千の事業所から届出が行われた。平成16年3月には、平成14年度の届出排出量等の集計結果及び国が行った届出対象外の排出源(届出対象外の事業者、家庭、自動車等)からの排出量の推計値の集計結果とをあわせて公表した。また、公表日以後は、届出された個別事業所のデータについて、開示請求を受け付けている。

5.化学物質環境汚染実態調査の概要
 
 (1) 調査の体系化の経緯

 化学物質審査規制法の成立に基づき、昭和49年度から環境省は、「化学物質判定基準設定調査」(化学物質の各種テスト手法に関する研究及びこれに関する各種情報の収集)、「既存化学物質検討調査」(環境中における化学物質についての検索及び生態影響に関する研究)、「化学物質環境追跡調査」(環境実態調査)その他関連各種研究調査を開始した。

 「化学物質環境追跡調査」としてスタートした現在の「化学物質環境汚染実態調査」では、当初調査対象物質の選定に当たって、環境残留性が問題となっている、あるいは問題が提起されているものに重点が置かれた。昭和50年度においてはPCB類等に関連し、有機塩素化合物の難分解性が特に注目されるようになり、これらの化合物の調査を行った。

 膨大な数の既存化学物質の調査を系統的に進めるため、昭和51年度には人に対する影響という点に着目して暫定的な有害物質リストを作成し、その中から優先順位(プライオリティ)に配慮した調査を行うこととなり、(1)有害性の強いものとして法律上規制されている物質、(2)内外の研究において分解性が悪いと報告されている物質、(3)PCB類等問題既存物質と化学構造が類似するか、同様の用途に使用されている代替物質としてリストアップされた物質が対象となった。昭和52年度及び53年度調査もこの有害物質リストをもとに継続して行い、あわせて経済産業省が行っている既存化学物質についての分解度試験又は濃縮度試験からみて問題のある物質も調査対象として加えた。このように調査対象物質が多岐にわたり、分析法の開発を要するものがほとんどとなってきたため、昭和52年度から調査の内容を分析法の開発、一般環境調査及び精密環境調査の三体系とした。

 また、調査の実施にあたって、調査区域を有する地方自治体公害試験研究機関(以下「地方環境等研究所」)に分析法開発、サンプリング及び分析の実施について全面的協力を得ることとなり、調査実施主体の組織化が図られた。

 一方、膨大な化学物質の中には環境汚染の観点から着目する必要のないものも多く、既存の資料・情報を集約化して調査対象物質を選択することが大きな課題となってきたため、過去において有害性(LD50等の動物実験による毒性、労働環境における人体への毒性、発がん性、生物濃縮性、難分解性等の内外の情報に基づき有害性に一定の評価を加えたもの)が知られている物質をリストアップした上、これに生産量、使用形態も考慮し、環境汚染の観点から今後調査対象として検討することが必要と考えられる約2,000物質を選択し、昭和53年度に「プライオリティリスト」として作成し(昭和54年版「化学物質と環境」第3部参照)。このリストに基づき昭和54年度から63年度まで「第1次化学物質環境安全性総点検調査」を実施した。さらにこれらの調査結果を踏まえた検討により約1,000物質を選択し、昭和62年度に新たな「プライオリティリスト」として作成し(平成2年版「化学物質と環境」参考参照)、このリストに基づき平成元年度から平成13年度まで「第2次化学物質環境安全性総点検調査」を実施した。

 また、その他関連調査として、昭和53年度から「生物モニタリング」、昭和60年度から「非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査」、昭和63年度から「底質モニタリング」及び「指定化学物質等検討調査」を開始し、これらの調査を平成13年度まで実施した(調査名は平成13年度のもの)。

 
 (2) 現在の調査体系

 近年においては、化学物質排出把握管理促進法の施行、POPs条約の採択、内分泌攪乱化学物質問題への対応など、化学物質の環境汚染に関する対策の進展や状況の変化が急速に進んでおり、こうした化学物質と環境の問題に係る状況の変化と今日的な政策課題に化学物質環境汚染実態調査を対応させるため、平成13年度に、化学物質対策上の位置づけの明確化、調査体制や調査手法の向上、リスクコミュニケーションの推進の観点から調査体系の再構築を図り(平成14年度版「化学物質と環境」第7部参照)、平成14年度から新たな調査体系に基づく化学物質環境汚染実態調査を実施している。

 
  a) 調査の目的
 

 一般環境中の化学物質による汚染実態を調査することにより、化学物質審査規制法と化学物質排出把握管理促進法に基づく対策及びPOPs監視に必要なデータの取得、環境リスク評価実施のための暴露データの取得並びにその他必要な化学物質の汚染実態を把握するとともに、調査に必要な技術開発を行い、化学物質による環境汚染の早期発見及び対策の立案・評価等に活用することをもって、環境保全上の支障の未然防止に資すること。

 
  b) 調査の進め方
 

 本調査結果が環境中の化学物質対策に有効に活用されるよう、「化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会」を設置し、リスク管理担当部署及び専門家からの要望物質について、有害性知見、PRTRデータ及び環境残留性予測、分析技術確立の実現性、社会・行政的必要性の観点から調査物質を選定する方法とし、(1)化学物質審査規制法指定化学物質やPRTR制度の候補物質、非意図的生成物質、環境リスク評価及び社会的要因から必要とされる物質等を対象として、環境残留状況を把握するための初期環境調査、(2)環境リスク評価に必要なヒト及び生物の化学物質の暴露量を把握するための暴露量調査、(3)POPs条約対象物質並びに同条約対象候補物質、化学物質審査規制法第1、2種特定化学物質及び指定化学物質のうち、環境残留性が高く、環境基準等が設定されていない物質で環境実態の経年的把握が必要な物質を対象として実施するモニタリング調査という目的別の調査を実施している。

 

 これらの調査結果は、初期環境調査検討会並びにモニタリング・暴露量調査検討会において検討・評価され、中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会の審議を経てとりまとめられる。

 

 化学物質環境汚染実態調査における調査概念及び調査体系を図1及び図2に示す。また、化学物質環境汚染実態調査の業務の流れを図3に、調査の実施風景を図4に示す。

 
  c) 調査内容
 
  (ア)初期環境調査
 

  環境省が地方環境等研究所の調査対象物質調査可能性を検討して取りまとめた調査計画に基づき、地方環境等研究所は「初期環境調査試料採取要領」に従った検体採取、前処理及び分析法開発調査報告書等の環境省が指定する方法に従った分析を実施している。

  (イ)暴露量調査
 

  環境省が地方環境等研究所の調査対象媒体調査可能性を検討して取りまとめた調査計画に基づき、地方環境等研究所は「暴露量調査試料採取要領」に従った検体採取、前処理を実施し、環境省が指定する民間分析機関等は分析法開発調査報告書等の環境省が指定する方法に従った分析を実施している。

  (ウ)モニタリング調査
 

  環境省が地方環境等研究所の調査対象媒体調査可能性を検討して取りまとめた調査計画に基づき、地方環境等研究所は「モニタリング調査試料採取要領」に従った検体採取、前処理を実施し、環境省が指定する民間分析機関等はモニタリング調査マニュアル等の環境省が指定する方法に従った分析を実施している。

 
 (3) 調査における検出状況

 昭和49年度から平成14年度までに化学物質環境汚染実態調査を実施したものは801物質であり、346物質が一般環境中より検出されている。ただし平成13年度までのモニタリング系調査(生物モニタリング、底質モニタリング、指定化学物質等検討調査、非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査)を除く。平成14年度は初期環境調査及び暴露量調査結果を計上した。

 
表1 化学物質環境汚染実態調査における検出状況(昭和49~平成14年度)
 
  水質 底質 魚類 大気 総数
調査物質数 765 739 251 248 801
検出物質数 157 236 101 162 346
検出割合(%) 20.5 31.9 40.2 65.3  43.2 
6.化学物質環境汚染実態調査結果の活用
 

 化学物質環境汚染実態調査結果は「化学物質と環境」として出版され、その結果は昭和61年5月の化学物質審査規制法の改正、平成8年の大気汚染防止法の改正に伴い作成された有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質のリスト作成、平成12年3月の化学物質排出把握管理促進法の第1、2種指定化学物質の指定等、環境中の化学物質対策の基礎情報として活用されてきた。

 平成14年度の調査結果からは、初期環境調査結果において検出された物質は環境リスク初期評価の対象候補として、暴露量調査結果はリスク(初期)評価のための暴露量推定の基礎資料として、モニタリング調査結果はPOPs条約の監視や条約候補対象物質選定の基礎データとして活用することとしている。
 化学物質環境汚染実態調査の行政上の主な成果を表2に示す。

 
表2 化学物質環境汚染実態調査の行政上の主な成果
調査名 物質名 調査年度 成 果
・総点検調査
 (実態調査)
・指定化学物質等検討調査
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
四塩化炭素
(溶剤)
S49~58
 
S63~H13
S61.5 化学物質審査規制法の改正
(第2種特定化学物質、
指定化学物質の制度の発足)
・総点検調査
 (実態調査)
 (生物モニタリング)
・モニタリング調査
クロルデン
(防蟻剤)

S56、57
S58~H13
H14
S61.9 第1種特定化学物質に指定
・総点検調査
 (実態調査)
 (生物モニタリング)
・指定化学物質等検討調査
・モニタリング調査
トリブチルスズ化合物
 (船底塗料等)

S58、S59
S60~H13
S63~H13
S63.4 指定化学物質に指定
H2.1 TBTOを第1種特定化学物質に指定
H2.9 TBTO以外を第2種特定化学物質に指定
・総点検調査
 (実態調査)
 (生物モニタリング)
・指定化学物質等検討調査
・モニタリング調査
トリフェニルスズ化合物(船底塗料)
S63
H1~H13
H13
H14
S63.7 指定化学物質に指定
H2.9 第2種特定化学物質に指定

・非意図的生成化学物質
 汚染実態追跡調査
ダイオキシン類
 (ごみ焼却過程等で発生)
S60~H9 H11.7 ダイオキシン類対策特別措置法公布

・総点検調査
 (実態調査)
クロロエチレン
エチレンオキシド
アニリン等
S63~H13

H8 大気汚染防止法における有害大気汚染物質の選定、該当する可能性がある物質  (234種)及び優先取組物質(22種)の選定
H12.3 化学物質排出把握管理促進法第1、2種指定化学物質の指定
7.平成14年度の調査結果の概要
 
平成14年度の化学物質環境汚染実態調査結果の概要は次のとおりである。
 
表3 平成14年度初期環境調査 検出状況一覧表

表4 平成14年度暴露量調査 検出状況一覧表

表5 平成14年度モニタリング調査 検出状況一覧表


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