議事録

第15回化学物質と環境円卓会議 講演等に関する意見

 第15回化学物質と環境円卓会議においては、3人からの御講演の後、講演等に対する意見をフロアーから書面で寄せていただきました。頂いた意見のうち、会場での議論をより活発にするために有効と考えられたものについては、会議中一部紹介させていただきましたが、ここでは、参考までに、すべての意見を紹介いたします。なお、当該意見は会場での議論における活用を目的として頂いたものであり、個別の回答は行いません。

米澤さん講演

  • 事業者のPRTR対応だけではなく、住民(市民)もまた環境への負荷を与えるセクターの1つであるという観点からの市民向け取組み状況はどのようなものを行政として行っているか(例、ゴミの分別、小中高生への環境教育プログラム、消費者教育プログラム等)。(事業者)
  • 化学物質のリスクマネジメントについては、リスクコミュニケーションが大変重要だ。愛知県においては、環境カウンセラーの育成などを行っており、大変よいと思うが、コミュニケーションの基礎となる知識については、学校では十分に教育がなされていない。それに対し、愛知県ではどのような課題があり、それに対してどのような取組みをしているのか。(事業者)
  • 今年度から一般向けセミナーを開催するとのことだが、どのようなテーマで何を目的としているのか。(市民)
  • 事業者と地域住民の化学物質に対するリスクコミュニケーションはトヨタ自動車をはじめさまざまな産業や企業が自主的に行っているが、それへの支援について、より積極的に取り組む考えはあるか。(事業者)
  • 条例による適正管理の目指すところは、条例がないと不足するところをカバーすることではないか。他県と比べて異なる点、目的とする点はどこか。(市民)
  • 条例に伴う取扱量の届出については、PRTR法の届出をしている会社については、PRTR届出を流用できないか。(市民)
  • 愛知県の届出排出量の平成14年度と平成15年度の事業所数について、該当物質5t以上から1t以上になったときの事業所数の増加が530事業所であるが、これは愛知県として妥当性のある数値と思っているのか、または届出していない事業所が多いと推定しているのか、どちらか。(事業者)
  • 管理書の届出は、ISO14001認証企業については簡略化できないか?認証登録ナンバーの記載だけでよいのではないか?(市民)
  • 物質ごとの特性を評価して公表してもらいたい。(事業者)
  • 環境基準値は、それが示された以上は、国全体ですべてのものが守らねばならないが、守らせる努力が足りないと思う。食品や薬と同様に環境も守らねばならない。それで国際競争力が下がってもやむを得ないと思う。(その他)

安藤さん講演

  • 様々な判断をする際のリスクのトレードオフをどのように考えているのかをもう少し詳しく、事例を含めて紹介してもらいたい。(事業者)
  • トヨタ管理物質のうち、使用全廃候補物質は、社外に開示されているのか(説明会、WEB、PRTR-WORLD等)。(事業者)
  • 管理物質の3424のうち、禁止物質を除いたものの他の物質はどのように管理しているのか。(市民)
  • トヨタ管理対象3424物質の選定根拠に環境ホルモン物質であることが挙げられているが、この根拠は他のハザード評価、リスク評価に基づく規制や基準に比べて異質である。考え方の概略はどのようなものか。SPEED’98からExTEND2005に移行する中、現在も同様の取組みなのか。(事業者)
  • 想定環境基準値について、WHO、EPAの値などがない場合、独自に設定することはあるか。あればそのときの判断基準は何か。(市民)
  • トルエン、キシレンの代替化に対し、酢酸系溶剤はそれなりに特異臭がするが、社内外での代替に対する抵抗はなかったのか。(事業者)
  • 環境影響評価に対して、地域とのコミュニケーションの際にどのような感想を地域の方はもったか。反響はどうであったか。(事業者)
  • VOC環境負荷物質非含有エビデンス提出に要するコストを部品単価に反映はしてくれないか。(事業者)
  • VOC規制に関し、水性塗料、塗装への変換(工程変更)に対するコスト変動(アップ分)を部品単価に反映はしてくれないか。(事業者)
  • 平成17年7~8月の光化学スモッグ警報発令は、豊田、豊橋圏で非常に多発しているが、これは当地区の特色はすなわちトヨタ系部品メーカー及び工場が多く、生産活動量が大きく寄与していると容易に推測できるが、この点についてどう考えるか。(事業者)
  • 化学物質管理の基準は、グローバルに同じ基準、つまりおそらく最も厳しい基準だと思われる日本の基準を、全世界の工場に適用しているのか(基準は共通なのか)。特に開発途上国の工場についても同様か。(事業者)
  • 大気シミュレーションデータの採取は、全世界の工場で実施しているのか。(事業者)
  • 自動車は排ガスが環境に与える影響が大きいと思われる。設計や製造時には、品質管理等、十分されているので問題ないと思うが、何年か使い、整備が悪いと、排ガスも悪化する。それらを検知して、警告するシステムも必要で、総合的に化学物質の管理を行うべきである。(事業者)
  • 環境に関する取組み、基本方針、行動指針は理解するが、トヨタの生産方式である「ジャストインタイム」のために物流(納入)回数が多くなり、地球環境に悪影響があると思う。改善予定はあるか。(市民)
  • 非常に積極的に環境活動をしていて驚いた。特に周辺住民の方との対話を怖がっている企業が多いと思うので、このような活動が広がっていくことを望む。(行政)
  • 過去数年間のPRTR物質の取組みは示されているが、それ以前のアスベスト問題等の過去の実績も、自工会とリンクさせてもよいが分かるように環境報告書を作成してほしい。一度使われて、廃棄されるときに問題となることがある。(行政)
  • PRTR対象品目であることが社内の購入希望者が知っている必要があるが、どのようにして電子データを管理しているか。(事業者)

西森さん講演

  • 分かりやすく、興味が持てる。(市 環境保全委員)
  • いわゆる「市民」の活動として組織化した場合、「市民団体」という1つの運動の方向性を持つことになるが、こうしたことについて何かコメントは。(事業者)
  • 業界によって、情報開示のレベルに差があり、文房具や家庭用品(洗剤、化粧品)は開示が不十分なので、行政や市民活動により、開示への動きをバックアップしてもらいたい。(事業者)
  • 行政の立場からすると、「分かりやすい情報提供」をもっと推進すべきと考えていますが、最近のアスベスト騒動のように危険をあおられないとなかなか興味を持っていただけないのが現状だと思う。「自然に住民が目にする」という点で、このようなところに情報を載せてほしいとか、何か考えはないか。(行政)
  • どのような情報を必要としているのか。(事業者)
  • 化学製品に含有される化学物質の開示については、メーカーのノウハウに係ることが非常に重要な問題となる。したがってすべてを開示するということは企業秘密とするべき内容までオープンにすることになり、企業としては成り立たなくなることが心配される。企業として開示できる範囲は法律で開示を義務づけられている範囲内で実施せざるをえないというのが現状だと思う。(事業者)
  • 「分かりやすく表示してほしい」との言葉は簡単な言葉だったが内容が深いと感心した。(事業者)
  • プラスチックの溶出物質は、可塑剤類で沸点が高く、VOCの排出より、性ホルモンへの悪影響を考えるべきではないか。(市民)
  • 大豆インキとは何か。(市民)

全員

  • 環境負荷物質非含有への転換に伴い、消費者が受け入れることができるコストアップの範囲(額)を調査したことはあるか。日本の製造業の成り立ち(良い物を欧米より安価に提供する)が変換期にある。安全を最優先するに伴うコスト変動を我々がどこまで許容できるか、それがキーポイントである。(事業者)
  • 環境問題を間違いのないように読み解くためには、普通の市民にとっては解説者が必要だと思う。解説者には、どのような主体が適任と考えるか。(行政)
  • 他の様々な分野でもそうであるように、化学物質管理においても、現在成熟する過程にある。西本さんのお話を聞いていると、特に、社会の在り方、生活の在り方という、根本的な議論を忘れないで、アレルギー等、化学物質の問題を考えていく必要があるように思う。また、トヨタ自動車の取組みは立派であると思う一方、化学物質管理の方法としては、別の方法もあるのではないかとも思う。有害性は少ないことに異論はないが、廃車の問題も含め、できるだけ多くの部品をリサイクルし、有害性が環境に出ないようにするのも、代替物の有害性等も考えると有効ではないか。経済性、資源の有効利用等も考え、リサイクルの方がより有効な化学物質管理の手法ではないか。(事業者)
  • 事後立法で使用できなくなった化学物質(例えば、アスベスト)について、事業者からのリスクコミュニケーションをどのようにしたらよいか。今までの排出・移動した化学物質が、住民に与える不安をなくすにはどのようにしたらよいのか。(事業者)