<日時>
平成19年10月5日(金)10:00~12:00
<場所>
主婦会館プラザエフ 7階 カトレア
<出席者(敬称略)>
○検討会委員
- 内山 巌雄
- 京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻環境衛生学講座教授
- 香山 不二雄
- 自治医科大学・地域医療学センター環境医学部門教授
- 川本 俊弘
- 産業医科大学医学部衛生学講座教授
- 岸 玲子
- 北海道大学大学院医学研究科予防医学講座公衆衛生学分野教授
- 北川 道弘
- 国立成育医療センター周産期診療部長
- 佐藤 洋
- 東北大学大学院医学系研究科環境保健医学分野教授
- 白石 寛明
- 国立環境研究所環境リスク研究センター長
- 仲井 邦彦
- 東北大学大学院医学系研究科環境保健医学分野准教授
- 新田 裕史
- 国立環境研究所環境健康研究領域環境疫学研究室長
- 林 謙治
- 国立保健医療科学院次長
- 森 千里
- 千葉大学大学院医学研究院教授
- 米元 純三
- 国立環境研究所環境リスク研究センター副センター長
*欠席
- 稲垣 真澄
- 国立精神・神経センター精神保健研究所知的障害部診断研究室長
- 水上 尚典
- 北海道大学大学院医学研究科産科生殖医学分野教授
○環境省
- 石塚 正敏
- 環境保健部長
- 森下 哲
- 環境リスク評価室長
- 長谷川 学
- 同 室長補佐
- 井口 亜美
- 同 健康・生態影響評価係員
○事務局
社団法人環境情報科学センター 間正、蓮沼、渋谷、清水
○配布資料
- 資料1
- 小児環境保健疫学調査に関する検討会の設置について・委員名簿
- 資料2
- 小児保健に関する環境省の取り組み状況
- 資料3
- 小児保健に関する内外の疫学調査について
- 資料4
- 環境化学物質、特にPCB/ダイオキシン類などによる次世代影響について
―環境と子どもの健康に関する北海道研究から―(岸 玲子 先生)
- 資料5
- 小児の成長と発達に与える環境由来化学物質の周産期ばく露の影響に関する東北コホート調査(仲井 邦彦 先生)
- 資料6
- 議論のポイント
- 参考資料
- 平成19年度化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム(案)
<議事>
(1)小児環境保健疫学調査に関する検討会の開催趣旨について
資料1に基づき、検討会の開催趣旨を説明し、委員を紹介した。
東北大学大学院教授佐藤洋氏を座長に選出した。
(2)小児保健に関する環境省の取り組み状況について
資料2に基づき、小児保健に関する国際動向ならびに環境省の取り組み状況を説明し、質疑を行った。
(3)小児環境保健に関する国内外の疫学調査について
資料3に基づき、小児保健に関する内外の疫学調査について論文を検索した結果を事務局が説明し、質疑を行った。
北海道大学大学院教授岸玲子氏が北海道におけるコホート調査について発表し、質疑を行った(資料4)。
東北大学大学院准教授仲井邦彦氏が東北コホート調査について発表し、質疑を行った(資料5)。
(4)今後の議論の進め方について
資料6に基づき、環境省から今後の議論のポイントならびに議論の進め方について説明した。
(5)フリーディスカッション
議論のポイント
○調査の方向性について
- 事務局案では、生まれてきた赤ちゃんを登録することになっているが、妊娠を希望する女性を対象にしたスタディとすると、例えば、化学物質にばく露すると妊娠しにくくなるのではないか等の少子化の問題に踏み込む事ができる。
- 精子の数が少ないのも環境因子ではないかという話も出ている。この問題にまで範囲を広げると非常に大変になると思うが検討に値する。
○調査の期間について
- アウトカムがいつ頃とれるかということで議論が変わってくる。先天性の異常はすぐに結論が出るが、精神神経発達障害は社会的要因もあるので、12歳ぐらいまでかかる。
○調査の実施体制について
- 実際にどのくらいのマンパワーと時間が必要か、受診者が追跡調査に協力してくれるのか、そのあたりを考えながら議論しないといけない。
- 調査の方法だが、全国的な調査になればなるほど検査をする方の熟練度、技量が問題となる。
- POPsやダイオキシン、PCBといったものについては、分析方法が確立されているが、12年間同じクオリティで続けていく体制作りや分析手法のしくみが重要。
- 現在、全国的に産科医の先生が不足しているので、先生方への協力のお願いの仕方を熟考するべき。この点は、来年予定されているフィージビリティスタディーで確認すべき。
- 調査期間が(事務局案のように)12年間となると、対象者のドロップアウトが心配。
- リクルートの方法として、ある年をスタート地点として一斉に実施していくやり方もあれば、毎年毎年ある程度の人数をコホートとして入れていくというやり方もある。
- 本調査のコアセンターとブロックセンターをどこにするのかが重要。
○調査のサイズについて
- 低濃度ばく露を扱うのだから、コホート集団の大きさが問題。先行している既存の調査から、どの程度のコホート集団を選べば結果がでるのかある程度推測してはどうか。
- コホートサイズが千なのか、一万なのか、十万なのか、統計学的な精度を保てるような推計がないと、委員の先生方の議論もかみ合わない。スタートラインのところの認識を整理しておく必要がある。
- アウトカムが何かによってコホートのサイズが変わる。アウトカムの問題は、日本ではそれほどばく露レベルの値は違わないので、それを踏まえるべき。
○アウトカム項目について
- 調査項目については、全国調査として共通部分で最低限必要となる項目と、それぞれのブロックで項目を自由に追加できる形にすると良いのではないか。
○ばく露要因について
- 環境要因はアウトカムに応じて決まってくる。
- 精神神経発達に影響を与えるものとして有機リン等を総体にとらえるようなばく露評価手法等に踏み込んでいけたら良いのではないか。
- 遺伝的なバックグラウンドの違い(薬物代謝酵素、核内受容体の遺伝的多型)によって化学物質に対する感受性が異なり、ある種の遺伝的背景を、もったヒトには影響が見られるといった報告がされている。遺伝的要因についても調べる必要がある。
○アウトカムについて
- アウトカムに関して発達障害、精神神経発達障害、免疫といったものがあげられているが、大枠はこれで良い。ただ、その中身として、具体的に何をとりあげて、それをどう評価するのか、ある程度優先順位をつけて計画の概要を考えていく必要がある。
- アウトカムについては、外部から分かる先天性の異常はチェックしやすいが、体の内部の先天性の異常はすぐにはわからない。どういった先天性異常を選んでいかなければならないのか、そのリストを決めていく必要がある。
- 精神神経発達でいえば臨床的なもので見ていくのは測定の安定的な問題があるが、バイオマーカーでとらえることはできないのか考慮しても良い。
- アウトカムを考える場合に、トレンドとして増えているものを優先するのが望ましい。ある程度ばく露源を明確にして、どういう影響が出るのかというアプローチも考慮したら良いのではないか。
○最後に(座長から)
- コホート調査のやり方が具体的になった方が議論しやすいと思うので、事務局は次回までに叩き台を作ってほしい。
(6)事務連絡
12月に実施する「化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム」について案内し、第2回検討会を同シンポジウムに続けて行うことを説明した。
<次回の日程>
平成19年12月11日(火)13:30~15:30(環境省第一会議室)