環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成25年度)

平成25年度第5回光化学オキシダント調査検討会会議録

1.日時 平成26年3月24日(月)15:00~16:40

2.場所 一般財団法人日本気象協会 第一・第二会議室

3.出席者(五十音順 敬称略)

(委員)
秋元 肇   板野 泰之  井上 和也  浦野 紘平
大原 利眞  坂本 和彦  紫竹 益吉  下原 孝章
竹内 庸夫  八田 拓士  星  純也  向井 人史
若松 伸司
(欠席者)
指宿 堯嗣  岩崎 好陽  金谷 有剛  橋本 光正
(事務局)
環境省水・大気環境局大気環境課 後藤課長補佐
一般財団法人 日本気象協会

4.議題

(1)光化学オキシダント調査検討会報告書について
(2)その他

5.配付資料

資料1
光化学オキシダント調査検討会 報告書(案)
~光化学オキシダントの解析と対策へ向けた指標の提言~
参考資料1
平成25年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱
参考資料2
平成25年度光化学オキシダント調査検討会(第4回)議事要旨
参考資料3
平成25年度光化学オキシダント調査検討会(第4回)議事録

6.議事

後藤課長補佐

定刻となりましたので、ただいまから平成25年度光化学オキシダント調査検討会(第5回)を開催いたします。委員の皆様にはお忙しい中をご出席賜りあり がとうございます。

まず、本日の出席状況でございます。本日は指宿委員、岩崎委員、金谷委員、橋本委員がご欠席でございます。 引き続き、資料の確認をさせていただきます。

  • 議事次第
  • 座席表
  • 資料1「光化学オキシダント調査検討会 報告書(案)~光化学オキシダントの解析と対策へ向けた指標の提言~」
  • 参考資料1「平成25年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱」
  • 参考資料2「平成25年度光化学オキシダント調査検討会(第4回)議事要旨」
  • 参考資料3「平成25年度光化学オキシダント調査検討会(第4回)議事録」

また、委員の皆様の机上には、平成23年度検討会の報告書を用意しております。以上でございますが、委員の皆様、資料はおそろいでしょうか。

これ以降の議事進行につきましては秋元座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

議題(1) 光化学オキシダント調査検討会報告書について(資料1)

秋元座長

皆さん、こんにちは。この検討会もいよいよ本年度最後の会になりまして、検討会としての報告書を最後に取りまとめるという段階になりました。ご協力あり がとうございました。よろしくお願いいたします。

検討報告書のまとめ方ですが、緒言を資料1の最初のページに「はじめに」ということで書かせていただきました。この検討会ないしはこれに先立つ検討会は、VOCの規制を実施して、実際にVOCの濃度も下がっているのに、何故オキシダントが減らないのというところから出発しました。その理由を観測データ、モニタリングデータから解析しようという方針でやってきたわけです。

その結果、この2年間、前の検討会の結果を含めまして見えてきたことは、少なくとも3つの要素がかみ合っているということです。

1つは越境汚染ですね。1つはNOタイトレーションと呼ばれる現象で、NOxが減ってきたために逆にNOで壊されるオゾンの量が減って、見かけ上オゾンが増えている現象です。もう1つは、高濃度の部分だけを見てみますとNOxとVOCの両方が下がっていますので、理論的にも当然オキシダント濃度は下がらなければおかしい。局地的な光化学の生成が非常に効いてくるような、高濃度日の濃度の平均値は確かに減ってきているということが見えてまいりました。ただ、その3つの異なる要素の効き方が場所によって異なっている。九州と東京では当然違う。そういうことが定性的に見えてきた。

モニタリングデータの解析からは、その辺までで勘弁していただきたい。実際にどこでどれだけ何が効いているかという、それに対する対策は次のモデルシミュレーションを用いた解析を実施しないと定量的な結果は出てこないでしょうというような、大体そんなところが見えてきた段階かと思います。この報告書は、そういうことでモニタリングデータの解析を多角的解析という言い方で進めてまいったものの取りまとめでございます。

では、特に前回からの変更点などを事務局にご説明いただきたいと思います。

事務局

第4回の検討会を2月28日に開催させていただきましたけれども、資料1を使いまして、それ以降の主な変更点について説明させていただきます。

まず、座長からお話がありました資料1の緒言のところが前回空白になっておりましたけれど、秋元座長に書いていただきました。

前回の検討会の際に、節別のまとめなど重複が多いというところもありまして、まとめのところはなるべく章ごとのまとめという形で整理しております。

内容に入りますと、5ページの図1-3「今後のオキシダント対策の評価フロー」につきまして、緑枠のところのモニタリングデータを活用した解析というところについて、平成23年度から今年度まで実施した内容について把握できるような形に修正しております。

10ページは、本日ご欠席の指宿委員から事前にメールで「NOx対策については自動車への対策を中心に詳述されていますが、VOCについてはPRTRとVOC排出規制にとどまっています。図2-7に示されるように非メタン炭化水素の大気中濃度は解析対象としている約20年間で一貫して減少しており、もう少し書き足すとよいかと思います。例えば自動車単体の排出対策の導入や自動車NOx法に基づく対策などは、非メタン炭化水素の排出量削減に寄与しているはずです。」というご意見をいただきました。それに関係して10ページの2段落目に、「自動車対策の主要な施策としては、単体規制、自動車NOx・PM法に基づく取り組み がある。自動車対策は、前駆体物質ではNOxとVOCの両方の物質に対して排出削減対策が行われ、大気環境中のNOx濃度とNMHC濃度の低減に寄与していると考えられる。」という文を入れております。ここが指宿委員からいただいた部分でございます。

変更した部分ですが、11ページの上から2行目、大気汚染防止法の改正が年度を書いておりませんでしたので、「平成16年5月に」を付け加えました。

続きまして25ページは、もとの報告書から若干書きぶりを変えたところがございます。タイトレーションについて記載したところが変更点となります。

36~37ページは、前回の報告書案は第4回の資料の中で、NO2とNOxの環境濃度中の比について全国の常時監視局の平均値のグラフを入れていたのですけれど、それと排出側の比が重複する部分もありますし、測定局のほうが必ずしも一次排出NO2を表しているものではないというご意見もありましたので、その分を削除して「排ガス中のNO2比率の状況」としてまとめております。

37ページの下から5行目、「モリブデン変換器はNO2のみならずPANやHNO3、HONO、NO3-の一部をNOに還元してしまう 」というところがあります。前回PANを入れていなかったので、これは金谷先生から入れたほうがいいというご指摘がございまして、今回は入ったものになっております。

39ページ、(5)「本解析におけるαの扱い」は、αは一次排出NO2の比率の話ですけれど、どのように扱ったかという説明を項目立てて整理しました。

41ページの「解析結果」と「解析の概要」は、もう少し重複した形で細かく入っていたのを整理させていただきました。1つは、タイトルが前回までは「光化学オキシダントの解析結果」でしたが、それを現在の「解析結果」に変えております。概要的なところも簡略化させていただきました。

46ページ、4.2.2の「光化学オキシダントの平均濃度の長期上昇要因の検討」では、上昇要因の一番初めの「前駆体物質排出量の削減に伴う光化学オキシダント生成の<変化>」について、<増加>がよいのではないか、前駆体物質の組成比が変化した表現がよいのではないかというご意見がありました。座長と相談させていただき、原案のままの文章にさせていただいております。

46ページの表4-2の一番上、「前駆体物質排出量の減少に伴う光化学オキシダント生成の変化」の内容の文章を、これは修正が間に合いませんでしたが、下から3行目の「光化学オキシダントの平均濃度が変化している恐れがある」は「光化学オキシダントの生成速度が変化している恐れがある」と変えてはどうかというご意見が、金谷委員からございました。表の一番上の文章になりますが、どちらがいいかご意見を後でいただけるとありがたいと思っております。

54ページは体裁に関する修正ですが、「タイトレーション効果について」を、平成23年度の報告書の抜粋として四角枠の中に囲うような形で入れるように変えております。

57ページ、図4-12「地域別光化学オキシダント濃度及びポテンシャルオゾン濃度の変化量」に、前回はΔPOとΔOxの差を折れ線グラフで緑線を入れていました。これはないほうがいいだろうという前回のご意見を踏まえて、削除しております。

65ページの中段、「イ.前駆体物質の排出抑制対策と濃度変化の関係」の冒頭の4行については、指宿先生から、10ページと同じように自動車対策が非メタン炭化水素の濃度も下げているといった表現を入れたほうがいいというコメントをいただきましたので、ここにも入れさせていただく対応を取っております。

第4回の検討会資料の中には「δOx」を入れていましたが、内容が重複していて特に必要ないということで、削除しております。

66ページの一番下の2行から次のページの2行にかかる部分について、金谷委員からコメントがございました。読ませていただきますと、「NMHCとNOx比が10~20ppbC/ppb程度がオゾン生成速度を最も高める領域であることは、東京周辺などではある程度過去の文献から明らかかと思います。この比の表示や検討が全く示されないのは、我々の持っている知識を十分活用していないレポートとみなされる可能性があるように懸念します。ちょっと中途半端な分析結果になっているかと思います。限られた時間では探しきれませんでしたが、どこかに『NMHC/NOx比がオゾン濃度に影響を与えている可能性に関する解析は今後モデルシミュレーションで進める』などと整理され、明記されているようでしたらよいかと思いますが、そうでなければNMHC/NOx比の重要性を述べた上でそのように記述すべきかと思います。」 というお話がございました。

前回までは表4-17にNMHCとNOxの比を入れていたのですが、あまり議論していなかったところもあるので今回の資料からは削除して、代わりに66ページの下から2行目から4行の文章を入れる形にしております。ここの部分で比の話が全くなくなってしまったので、67ページの図にもう一度入れることも検討しております。資料としてどちらがいいか、検討会でご意見をいただければと思っております。

続きまして75ページの図4-25については、先ほどの図のお話と同じで、ΔPOとΔOxの差を緑色の折れ線グラフを入れていましたが、それをカットしたという部分が、第4回資料からの変更点になります。それと、75ページの一番上に「平成19~21年度と平成11~13年度の差」と書いていますが、これは誤りでして、「平成20~22年度と平成11~13年度の差」になります。

85ページは、高濃度域の光化学オキシダントの検討をしているセクションになります。前回までの検討会資料の中では、高濃度域についてはポテンシャルオゾンの解析を同じような形で入れていたのですが、高濃度域でポテンシャルオゾンの挙動がオキシダントとそれほど大きく変わるものではないということもありまして、そこの分を割愛しております。ただ、87ページのグラフには、ポテンシャルオゾンのグラフを併記しております関係もあって、そのことを85ページの(4)の3行目あたりから「ポテンシャルオゾンの」云々というのを入れております。

87ページは、先ほどお話ししましたけれど、NMHCとNOxの経年変化のグラフです。 前回は緑色の点線が入っていたのですが、それをすべてカットしております。

116ページは、タイトルを前のほうの文章と合わせて「光化学オキシダント濃度の積算濃度等の状況」というふうに、セクションのタイトルを変えております。

120ページは解析結果のまとめになります。委員に配付させていただいたところから変えた部分は、120ページの4.5.1の(1)のア)の一番上のセクションの下の4行です。「春季と夏季について解析したところ、濃度の上昇は春季に大きくなる傾向がみられた。また、春季には関東、東海、阪神、九州の順に濃度の上昇率が大きいことが明らかとなった」という形に、14日ごろにお送りした資料から変えております。

122ページの4.5.2の(2)「高濃度域の光化学オキシダントが改善した要因」で、イ)の下から4行目の「発生地域におけるNOxとVOCの濃度低下は、一般に局地的オゾン生成を抑制し、特に高濃度域のオゾンの低下をもたらすことが知られており」として、そこに参考文献を入れております。前回までは永島(永島達也)さんらの文献だけを入れていましたが、金谷委員から「もう少し参考文献を付け加えたほうがいいのではないか」というご意見をいただきまして、井上先生の文献を追加しております。

123ページの4.5.4のイ)の文章は、最後の全体のまとめにも入れていますので、ここでも一通り入れております。これについてはまた後ほど、最後のまとめのところで説明させていただきます。

ページが飛びまして160ページです。「光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標の提言」というタイトルですが、前回の検討会資料では章番号6という形で1つ大きな章を設けていました。それは違和感があるというご意見がございましたので、5章のまとめという形で5.5として入れております。

最後、6章は「まとめ」になりますが、このような形で整理しております。前回の検討会と14日に委員の方々にお示しした資料からの変更点についてご説明しますと、161ページの6.1.1のア)の文章の最後の4行、これは先ほど説明しましたが、「春季と夏季について解析したところ」という文章に変えております。

162ページのオ)は、金谷委員から、先ほど冒頭でご紹介させていただきましたけれど、NMHCとNOxの比の話についてまとめのところでも記載したほうがよいかと思いまして、オ)の最後の4行のところに入れております。

その下の「優先解析地域の傾向」のア)の上から6行目で、「NOタイトレーション効果の低下が相対的に大きくなったことが」というのが元の文章であったのですが、相対的が何に対してかわかりにくいというご指摘を指宿委員からいただきましたので、「「越境汚染の増大」に比べ相対的に大きくなったことが」という文章に変えております。

163ページの下から4行目、委員にお送りした文案では「発生源地域におけるNOx/VOCの濃度低下は」と書いていたんですが、厳密には「NOxとVOCの濃度の低下は」が正しいので、そちらに直しております。

先ほど割愛したところで162ページに戻るんですが、オ)はオキシダントと前駆体の関係をここのまとめで入れさせていただく形になりましたので、先ほどの4.5章のまとめにもこの文章をこのまま入れる処置をしております。以上でございます。

秋元座長

ありがとうございました。今日ご欠席の方も含めて委員の方からいろいろコメントをいただいて、それに従って事務局のほうで直してもらいました。今日改めてご意見もあろうかと思いますので、忌憚のない発言をお願いしたいと思います。

今のご説明で直したと言われているんだけれど、直っているものと直っていないものがあるような気がするんですが。例えば37ページにPANを入れたと言われたんだけれど、手元に配られたものの中には入っていないですよね。

事務局

すみません。手違いで差し替えるのを忘れていました。文章はPANが入った形になります。申しわけございません。

秋元座長

ここは直しましたと言われて今の手元の報告書では直っていないけれど、そういうふうに最終的には直っていますということでご理解いただきたいと思います。

では、順番に最初からいきますか。全体的なことでも結構ですので、委員の方から。

下原委員

37ページの二酸化窒素の測定法のところですが、私は乾式のNOx計で環境大気濃度を測る室内実験をよくやっているのですが、この化学発光法で測定する場合、例えば、酸素21%のもと、NOの標準ガスを流した時、NO濃度が急激に変化すると、ないはずのNO2がNOピークのショルダーに出てきます。NOのピークが下がるときに大体5分の1量の NO2が出現する。その理由は、今の乾式のNOx測定器はNOを測定し、NO2は直接測定できないので、NOをサンプリングした時のNO 、NO2をすべてNOに還元させた後、この濃度とNOの差分からNO2を求めています。このNOへの還元は少し遅れて進むため、もし、その後、急激なNO濃度の上昇があれば、NO+ NO2から還元されたNO濃度も上昇する結果となり、その差分を取ると、存在しないはずのNO2が出ることになります。

環境で1時間値といっても今の化学発光法の場合は、1分毎の積算で1時間を出すことが殆どですから、NO濃度が急激に変化すると、ないはずのNO2を測定している可能性があります。そのあたりについては私もまだ実際の1時間値の環境測定でも同じ状況かは分からないのです。メーカー側もこの現象はよく知っていますので、その対処としてNOx計の中に100ccか200ccのバッファを持たせて、それを回避させようとしています。でも、そのぐらいの容量では足らないんですよね。また、現地の測定局で大きなチャンバーを通した時でも、オゾン濃度が高いとNOの一部はNO2に一部変換されて、やはり過大評価してしまうことになる。

ですから、ここに書かれているもの以外に、都市域ではNO2を過大評価している可能性があるかもしれない。まだ今は光化学発光法に関しては、NO2の濃度上昇なのか再現性が高いのかどうなのか、私としては疑問を持っているところです。

秋元座長

ありがとうございます。NO2の測定法に関しては、今ここに書かれているモリブデン変換器の問題もこの前から言われていますし、今のことは比較的新しい問題でこれから文献が出てから検討ということになろうかと思いますけれど、まだまだいろいろ問題があるということだと思います。

浦野委員

年度末なので直す余裕はもうあまりないと思いますが、細かいこと以外は一応今回の議論を以て締めて、問題点があればそれを整理して来年度に引き継ぐというスタンスなのか。それとも、まだそれなりに直せるという理解なのか。意見は幾つかあるんですけれど、まずそれを確認したいのですが。

後藤課長補佐

これまで議論を重ねてきていますので、できれば今日で締めてしまって、今週中には外に出せるようにしたいと思っています。もし何か根本的なところで課題があって対策の検討やこの先のステップで必要なことがあれば、そこは来年度の検討で当然補っていく必要があると認識しております。

浦野委員

実は前から何度も申し上げているんですけれど、細かい内容についてはかなり皆さんのご意見があって、不明なところは不明なままでやむを得ない部分もあるんですが、相当煮詰まってきてよく頑張っておられると思うんです。

例えば、何をするのかという絵が5ページにありまして、この赤いところが全体でやることだけれど、今回は右側の緑の部分を考えて平成25年度はこの部分をやりましたと書いてある。この平成25年度にやった、例えば光化学オキシダント前駆物質の環境濃度とか、越境の影響だとか、タイトレーション効果のことだとか、1時間値と8時間値のことだとかが書いてある。こういうことをやりますと書いてあって、目次を見ると、目次がどこにどう対応しているのかわからないんですよ。

例えば3番は「解析の概要と条件設定」です。何を今回解析したんですかといったら、「光化学オキシダントの現象解明」が3.1.1で、3.1.2が「環境改善効果を適切に示す指標」。この2つを解析しましたという書き方になっています。この2つが先ほど項目とどう対応するのかがよくわからない。中身は書いてあるんですよ。だけど、構成としてよくわからない。

「解析結果」は目次の2ページ目の4ですけれど、解析結果を見ると「経年変化」と書いてある。これは現象解明でも何でもないですよね。経年変化ですと書いてあって、4.3が「8時間値による解析」。8時間値で何を解析したんですか。解析の概要の現象解明なのか、環境改善指標なのか、何のためにやったのか。やっていることはわかるんですよ。ただ、頭の構造が全然整理できていなくて、解析の概要と解析の結果が対応していない。

それから、解析の結果が4なんですが、5は指標の話になっている。3では解析の概要のところに2つあって、現象解明と指標だと書いてある。ところが、4は解析結果であって、5は指標がまた別になっている。何を考えているのかちっともわからない。

4.5でもそうですが、「光化学オキシダントの解析結果」というのは何を意味しているんですか。これは全部、光化学オキシダントの解析ですよね。そういうタイトルを書かれても何を言っているのか全然わからない。何を解析した結果なのか。

要するに頭の構成が、一つ一つはわかるんだけれど、全体構成が全然整理できていないんですよ。これは前にも指摘したんだけれど、何をやりたいのか。今年度は何をやりたくて、そのために何をやって、その結果がこうなったという筋道が通っていなくてはいけない。目次がやたら項目は多いけれど、どういう構成でどういう頭の構造だかわからないんですよ。

これは言い出すと切りがない。今から全部変えたって困ってしまうんだけれど、少なくとも解析したものが何であるかということを整理して、条件設定のところにもそう書くし、結果はこうなっていたんだというふうにも書くし、同じパターンで書いて、それがそれぞれ例えば5ページにどう対応しているというストーリーになっていないと、タイトルを見ても全然わからない。

一つ一つの細かいことはわかるんですよ。だけど、4.5の「光化学オキシダントの解析結果のまとめ」なんて書かれても、何を解析したんですか。続きを見ると、平均濃度とか改善とか書いてあって、8時間値も書いてあって、何かよくわからない。どういう頭の構成になっているのか。

こんな細かい目次じゃなくて、まず粗い目次をよく見てもらって筋道通ったまとめにしてもらわないと。とにかく資料はいっぱい出ているんだけれど、何を言いたいのか、あるいはどういうふうなことがこここで分かるのかというのが見えない。

これは、変な話だけれど、メールとか何かでは指摘が細かくできないんですよ。見て何だかわからないから「全部分かりません」と言うしかない。厳しいけれども言葉とか中身を、例えば「8時間値」というのは5のところにも書いてあるし4のところにも書いてあるけれど、それぞれどういう関係でどうなっているのか、つながっているのか。4.3のところにもあるし、4.5のところにもあるし、5.1.5のところにもあるし、あちこちある。それぞれ頑張って解析しているのはわかるけれど、全体構成がどうなって、どういう論理なのかが全然わからない。

秋元座長

事務局なり環境省なりからお答えはありますか。

後藤課長補佐

厳しいご指摘だと思います。基本的には、解析を行った内容については、現象解明のために必要な解析をやっていますが、特に名称の整理ができていないところがあるのかもしれません。不要な解析を回しているとか、そういうことはないと考えています。ご指摘いただいた例えば4.5の名称が何を示しているのかわからないとか、そういう名称のところは検討させていただきたいと思います。

浦野委員

「解析」というのは、一体何の何による解析なのかというのをきちっと書いていただかないと。

後藤課長補佐

目次の項目や名称はもう一回よく確認させていただきます。

秋元座長

もっと早く言っていただいて早目に直したほうがよかったのかもしれないけれど、要するに言われたいことは、この中に越境大気汚染の解析やNOタイトレーションの解析やVOC・NOxの減少によるオキシダント生成の変化の解析がどのように反映しているのか、解析内容をタイトルにすれば確かにわかりやすい。それが答えなんですよね。皆さん今までやってこられた方は中身についてはご理解いただいていると思うんだけれど、こういう解析をしてこういうことがわかりましたというのが目次を見ただけではよく分からないという、そういうことかなと思います。

今の段階でそうドラスティックに変えるのは無理だと思いますが、キーワードその他をもう少し見えるように最大限の努力をしていただくということで、ご勘弁いただきたいと思います。

他の方、どうぞ。

大原委員

前回の委員会を欠席しまして申しわけありませんでした。また、コメントもしませんで申しわけありません。幾つかコメントをさせていただきたいと思います。

その前に、全体としてはこの報告書は非常に頑張ってよく解析していただいている内容だと思います。多少分かりづらいところはあろうかと思いますが、それは文言の修正でかなり改善できるのではないかと思います。

コメントですが、まず5ページ目です。先ほど浦野委員からもご指摘いただきましたが、私のほうは左の赤いほうです。これから検討するという内容ではあるんですけれど、気になることが2~3点あります。

1つは、一番上の施策目標の設定のところで、地域の選定や指標の選定はあるんですが、目標の設定についてはどうされるんですかという、一番肝心なところがないと思います。目標値の設定とか何かそういった言葉を加筆していただければ済む話だろうとは思いますが、それが1点。

中段あたりのシミュレーション条件設定のところに、「期間」というのがあって「時間変動の考慮」とあるんですが、意味がよくわからない。適切な表現に変えていただけるとよろしいかと思います。

それから、18ページ下から2段落目、「気温との関係については……報告があるが、実際の観測結果では……」云々という、この後半のほうは適切な表現ではないと思います。私と坂田さんの論文を引用していただいているんですが、「実際の観測結果では」云々ということではなくて、ここについては、前のほうの「報告がある」で一回切っていただいて、「一方、年平均気温と年平均の光化学オキシダント濃度の変動傾向は一致していないという報告がある」、そんな形にしていただいたほうが適切だと思います。

その10行上ぐらいのところに、「このように、光化学オキシダントの日内変動は、その地域、その時刻の気象条件と大きく関わりがあり、高濃度発生の大きな要因となっている」。ここも意味がよく分からない。日内変動はという主語から始まって、なぜ日内変動という言葉がここに出てくるのかがよく理解できませんでした。

121ページの1行目に、黒川(黒川純一)さんの論文を引用されて、「越境汚染の寄与は春季に最大となる」ということをサポートする資料として使っていただいています。黒川さんの論文を読んでいただくとわかりますように、ここの部分については黒川さんの論文で解析したわけではなくて、それまでの論文を引用する形でそれをまとめるような形で、春に越境汚染の影響が最大であるということを言っております。もし春に最も越境汚染の影響が大きいということを言うのであるならば、もっと適切な論文、例えば谷本(谷本浩志)さんあるいは山地(山地一代)さんの論文のほうが適当ではないだろうかと思います。

164ページの一番上、6.1.3「光化学オキシダントの解析結果(まとめ)」のところですが、ここは全体的に何を言わんとしているのかがよくわからない。とりわけ4行目、「よってもたらされた特に大陸に近い」。ここは丸が入るのかなと思うんですが、丸を入れたとしても、その後の「3つの要因による効果が組み合わさったものであることが強く示唆された」というのは意味がよく取れない。表現を変えていただければ済む話だと思うんですが、ご検討いただければと思います。

もう1点、一番最後の6.3「本解析結果の留意点」というところです。今後の課題にもつながるようなことを整理していただいているんだと思いますが、2つあります。1つは、VOCの成分の話がどこか途中で少し解析の結果はありましたが、最後に消えているような印象がある。もしどこかに書いてありましたら、見逃しているんだと思います。VOC成分が変わって云々という可能性は、あり得るとは思うんですよ。なので、こういったところに書いておいたほうがいいのではないかと思います。

もう1つは気象の影響ですが、気象の経年変動の影響は小さいだろうと想定はされますが、まだはっきりしていない部分はあろうかと思います。なので、私は課題の中にまだ残しておいたほうがいいのではないかと思います。以上です。

秋元座長

ありがとうございました。今の件は、表現の分かりにくい問題、文章がよく読み取れない問題は後で事務局のほうで再度直してもらうことにしまして、最初の5ページの表ですね。特に目標の設定がこのスキームの中にないというのは、これは環境省側からのご要望の問題ともかかわるのではないかと思います。目標の設定みたいなものを、この枠の一番左の下のほう、シミュレーションによる検討を評価した結果何をしたいのかということなのかと思いますけれども、スキームにつけ加えたほうがよろしいでしょうか。どうでしょうか。解析をするだけならば、これでもいいのかもしれないけれど。

後藤課長補佐

項目として加えさせていただこうと思います。

浦野委員

この議論の最初にお話しして、あるいは去年から言っているんですけれども、基本的には左側の赤いラインをやりたいわけですよね。だけど、いきなりこれはできないから、緑のほうをまずしっかりやりましょうと、そういうストーリーになっているんですよ。ですから、緑のほうをある程度今回頑張ってやったわけだから、それから左の赤のほうにどのように繋げるが、あるいは繋がる部分と繋がりにくい部分を多少で把握しなければ、両方を行き来している緑の矢印が何も生きなくて途切れることになります。

これからシミュレーションやその他の解析を行うとした場合、今回のものからこちら側にどういうふうにつながり得るのか。あるいは今後さらにこういうことが必要なのかというあたりを、それなりには意識していると思うんですけれど、逆に細かく書きすぎている分もあって、果たして目標やこちらの赤いほうにどう行くのかという方針が見えない。

大原委員

私が申し上げたのはそういうことではないんです。もっと単純な話で、左側のボックスの一番上に「施策目標の設定」というのがあるのに、内容がないのはどうしてなんですか。ひょっとしたら、目標の設定がしにくいということをお考えなのかもしれない。もしそうであるならば、「目標の設定」という言葉を適当な言葉に変えたほうがいいと思います。環境省として何らかの目標を設定するということであるならば、ここはその内容を1行でいいと思いますが明記していただいたほうがよろしいかと、そういう趣旨であります。

秋元座長

大原委員のコメントと浦野委員のコメントは違うんですが、大原委員の言われているのは、一番左のほうに「施策目標の観点からシミュレーションの要求精度等を検討」と書いてあるけれど、その施策目標がどの程度のことまで目標にされているのかによって、要求精度も当然変わってくる。施策目標がどの程度のものを想定しているのか、それが何も書かれていないのではないかということだと思うんですが、少しは具体的なことが書けますか。

後藤課長補佐

目標という明確なものにできるかどうかはわかりませんが、いずれにしてもシミュレーションを行っていくときには、その先に対策の検討があるわけで、何らかターゲットがないとできないというのはまさにそのとおりだと思います。そこは検討させていただきたいと思います。

秋元座長

では、日にちがあまりないですけれど、多少手直しできるならばやっていただくということでお願いします。

浦野委員のほうは、私なりの理解としては、シミュレーションをこれからやっていって、施策目標がどのようなシナリオもしくはアプローチにすべきか明らかにしていくわけですけれど、特にオキシダントがどういうふうに増えているか、ないしはどういうふうに減っているか、その辺の見通しをつけるのにシミュレーションだけでやるというのは非常に危ない。観測データを対象にしたある程度の解析があって定性的にも見えてくるものがあるというのを前提にして、個々の点についてシミュレーションでいかに再現できるかということだと思うんですね。それ組み合わせで解析を実施したときに、実際に対策を打つためにはどこをどう押さえたらいいかにつながってくるという意味で、この2年間のモニタリングデータの解析は非常に重要な意味を持っているのではないかと、私なりには理解しています。

浦野委員

いま秋元座長がおっしゃったようなことがどこにも書かかれていない。それが問題なんです。それは書いておいていただかないといけない。

秋元座長

確かに、そもそもの流れみたいなものはあまり書かれていないところはあります。「検討会の目的」というか作業の目的です。スキームの入っているあたりだから1.2ですかね。1.2もタイトルが「平成23年度検討会報告書との関係」というのはあまりよろしくない。もう少し具体的な目標を入れ込むとか、全体の概要というかそういうところに、1.2のタイトルを変えてそういうものを少し入れることにしたらいかがかと思いますけれど。他に何かありますか。

下原委員

2点あります。75ページにグラフがあって、夏の方のグラフでブルーのバーのPOの変化が関東、東海で少し上がっていますよね。私はここがすごく気になっています。POというのは少なくともNOのタイトレーションに影響しないという前提なんですが、161ページの一番下のところでは、特に夏季の関東、東海、阪神のポテンシャルオゾンの上昇はNOによるタイトレーション効果の低下が強く関与している、という結論にしていますよね。そうなのかもしれないけれど、そうすると75ページのブルーのグラフはどう解釈するといいのかと少し引っかかっているんです。

75ページの夏のほうはPOが上がっているわけですよね。POが変化するということはNOのタイトレーション効果に影響しない、というのが前提なのに、161ページのエ)では、「NOによるタイトレーション効果の低下が強く関与している」という結論になっている。もちろん、全体の意見として大筋はこの結論でいいのかもしれないけれど、この部分の食い違いに津いては確認をしておきたいというのが1つです。

秋元座長

161ページの一番下から162ページにかけてですが、引用しているのは74ページの図4-24で、上のOx濃度はすべての地域で20年間全体的に見れば上昇傾向が見られるけれど、下のPOに関しては、九州は上昇傾向がはっきり見られるけれど、ほかのところは20年間通して見るとあまり上昇しているとは言えない。だから、それらの地域による光化学オキシダントの上昇というのはNOタイトレーションによるものであるという、そういう結論になっているわけですね。それはこの範囲ではよろしいのではないかと思うんですけれども。

下原委員

もう1つは162ページのところです。まず、オキシダント濃度が長期的に上昇する要因として、越境汚染の増加ともう1つはNOによるタイトレーション効果の低下というのが2つあって、それ以外で(オ)の4行目に、VOC/NOx比の増加によってオキシダント濃度が上昇するようになると書いてある。VOC/NOx比の増加だったら、NOx濃度がVOCに比べて下がっているからNOタイトレーションと同じ意味になってしまう。私が思うにVOC、NOxのバランス、すなわちVOC律速、NOx律速という意味でのVOC/NOx比の変化。これによるオキシダント濃度の変化。これについてはまだ解決できていない、はっきり分かっていない部分ですよね。実際にはVOC/NOxが増加することで、オキシダント濃度も上昇しているという事実はあるとしても、それでも、本来、VOC/NOx比が変化することでオキシダント濃度が上昇することも、逆に下がることがあるかもしれない。私はそういう意味に取っているんですが、どうですか。

秋元座長

私自身も、ここはどの程度、書くのがいいかというのは判断が難しい内容であると思っています。先ほど金谷委員のコメントにもあるように、VOC/NOx比が効いてくるだろうという議論はこの検討会でもありました。しかし、今回のモニタリングデータからは、その比が変わったことがオキシダントを増やしているかどうかということに直結するデータ解析はできなかった。ということもありまして、あまりここは強く言いたくなかったんですが。

ただ、この比が変わっていることは間違いない。特にこの数年間はNOxの低下のほうがVOC低下よりも大きいですよね。比から言うと、VOC/NOx比が増えている。もしNOx濃度が一定でVOC/NOx比が増えていれば、明らかにオゾンの生成速度が増大しますので、オキシダントは増やす方向にあるわけです。そういうときはこの議論は明確なんですが、NOxそのものが減っている。そうすると、比が増えたからといって生成速度の絶対値が増えたとは言いきれない。どこかで極大が出て、ある程度以上に本当にNOx/VOC比が下がれば、当然オキシダントの生成速度は下がるはずなので。定量的にどの辺のところかというのは、まさにシミュレーションその他をやらないとわからない。

そういうこともあって、この議論にあまり深く入るとわかりにくくなるかなと思っていて少し中途半端になっているところが、今のようなご質問になっているのかなという気もするんですけれど。

下原委員

越境と、NOxのタイトレーションによる効果という2つの要因以外に、こういう含みがあって未解決な部分がありますというぐらいにとどめて書かれた方がいいかなと思います。

秋元座長

そうですね。その辺はまさにこのシミュレーションによる解析が必要になってくるということの1つの、こういう比がどういうふうに効いてきているかということも今後検討する必要がありますねという、その程度の書き方に変えたいと思います。

下原委員

NOタイトレーションの効果が弱まっていることや、越境によりオキシダント濃度が上昇しているという考えから、その対策を視野に入れて、今後はNOx濃度もVOC濃度も下げていきましょうという結論になる。しかし、VOCはその発生量が植物由来の未知の部分もあって送料が分からない。そのため、工場由来のVOCをどの程度下げたらいいか分からない。一方、これからもNOx濃度を下げていきましょうとなると、恐らくNOx濃度はもっと下がる。だからNOタイトレーション効果がさらに悪くなって、オキシダント濃度がもっと上がってくることになる。ただ、ある程度、NOx濃度も下がってくるとおそらくオキシダントの上昇に作用しない頭打ち効果が出てくるはず。そこがシミュレーションで出てくればいいのかなと。

秋元座長

まさにそういうことだと思います。あるところまではNOxが下がるとオゾンは増えるんだけれど、あるところ以上に減らせばオゾンができなくなりますから減ってくるはずです。そこがどの辺なのかということですね。対策で目標とし得るような範囲内に入っているのかどうか、その辺が次のシミュレーションの1つの眼目になろうかと思います。

紫竹委員

私の質問は単純な内容で恐縮です。11ページの表2-2で、今までの規制関係について対策を開始した年度にマークが入っていますよね。下から2つ目の大防法(大気汚染防止法)のVOC規制が平成19年度のところにマークが入っているんですが、これは間違いではないですか。平成18年度ですよね。

もう1点は47ページ。これは単純に記入のミスだと思うんですが、(2)の検討方法の上から2行目、「各地域の光化学オキシダントの平均濃度は、のとおり」。これは、前のページの表4-2だと思うんですが。

事務局

ご指摘のとおりです。見逃していました。

秋元座長

ありがとうございました。そういうケアレスミスも含めて、もしお気づきのところがあったらぜひ。

板野委員

VOC/NOx比の話ですけれど、平成23年度の調査検討会報告書の117ページから118ページにかけては、VOC/NOx比の変化によってオキシダントが増加してくる可能性の1つとしてこういうことがあるんだというようなことを、このときの検討会ではやっていたのだと思います。今日欠席されていますけれど金谷委員の論文も引用されて、実際にそういう可能性があるというようなことを、東京都心を対象とした解析として書かれています。

23年度の報告書の図5.1.1-2の下に①、②、③と書いてあって、②にVOC律速と書いています。この場合は、VOC、NOxの両方が減ってもオゾンの濃度がほとんど減少しない、または逆に増加する状態というような書き方をしています。VOCとNOxの両方が減っても、オゾンとしては増えてしまう可能性があるというようなことをここでは説明していると思うんです。

要は、検討会の立場としては、VOCやNOxが減っても、比率によってはオゾンが増加してしまう可能性があるという立場に立つのかどうかというところです。

秋元座長

この議論というのは30年来、昔からあって、常にこういう議論をしたがる人がいると言うと言い過ぎかもしれないけれど、サイエンスをポリシーに当てはめるときに分かりやすいんですよね。ただし、非常に典型的な例についてはうまく当てはまるかもしれないけれど、これはいろいろな意味で不確定性が非常に大きい図なんですね。

ですから、両方が減ったときに片方が増えるのではないかというのは、普通はあまりない。例えば図5.1.1-2の青い線がありますね。この線に沿って左のほうに下がってくれば、確実にオゾン濃度、等濃度曲線は下がりますよね。比が一定で両方が下がってくれば確実にオゾンは下がるというのが、この意味しているところなんです。

両方が下がれば下がるというのはある種の常識なんですが、NOxだけが下がったときには逆に増えるという領域がある。これがVOC-limitedで、そういう領域の場合にはそういうことがありますよということで議論がこのとき行われたわけです。いずれにしても今は両方下がってきている状況なので、それが増やすということはあまりないと考えていいのではないか。

だけど、そこを今度はシミュレーションでそれがどういうふうに示せるかというと、先ほどのVOCにバイオジェニックなVOCのミッシングのものが加わったりすると、またこの形が変わってきますよね。だから、この形そのものも、発生源の近傍でつくるか風下側でつくるかによって非常に大きく変わってくるので、あまりこれに従ってどちらを下げたらいいという議論をするのは建設的でないというのが、私の今までの経験なんですけれどね。

こういう議論が昔からあったことは頭に置いて、どこかで触れておいて、そういうことにも矛盾しないという言い方で今後進めていくのがいいかと思うんですけれど。あまりこれに立ち戻って、どちらの領域があるという議論を細かくやる必要はないのではないかと思いますが。

板野委員

決してこだわっているわけではないです。ただ、例えば週末効果の研究はまさにVOC律速下において起こる現象だということで、かなりたくさんの論文が発表されてきていると思うんです。そういう科学的知見がもう既に発表されているということは、現にNOx・VOCが両方下がってもオゾンの生成が増えているんだというふうに、多くの方が学会誌に発表してきている事実としてあるわけですね。当然、週末効果というのはある特殊な高濃度の領域を見ているのかもしれないですけれど、そういう状況で起こるということは、もしかしたら平均的に見ても起こっているかもしれない。

もとに戻ってこの検討会は、VOC・NOxの組成なのか比率なのかわからないですけれど、それが変わることによってオキシダントが増加してきているというのも1つの可能性というふうに考えた上でやるのか、そうではなくそれはおいておくのかというのは、その後の報告書の書き方に大きくかかわってくるのではないかと思います。

秋元座長

シミュレーションをやったときに、週末効果を再現するかどうかとか、そういうことはやったほうがいいかと思いますけれど、基本的には両方下げれば下がるはずだと思います。

井上委員

私も板野委員と同じような意見でして、前回の報告書の117ページの図でNOxとVOCの両方下げても、角度によっては上がりますよね。

秋元座長

角度? 両方下げるということはどういくことですか。

井上委員

下であり、かつ左に行くということですよね。でも、ブルーの領域では下と左の割合、方向によっては、上がることもあり得ますね。

秋元座長

左のほうということはVOC-limitedのところという意味ですか。

井上委員

はい。要するに下に近い左。

浦野委員

それは前の報告でかなり議論して、そうなるんですよ。今さら2年前の報告の議論をしてもしょうがない。

秋元座長

シミュレーションを含めて、そういうことがどうなっているかというのはやってみたほうがいいかと思いますが、今年の報告書の中ではあまりそこを細かく議論する必要はないような気がしますけれど。

井上委員

もちろんです。この検討会でやったのは測定データの解析だけですので、測定データだけからだと言えることは少ないというのは同じ意見なんですが、この可能性です。

秋元座長

来年度のシミュレーションのときに、そういうことも含めてどういうふうに下げていくのが一番効率がいいか、その議論の中でやっていくべきことではないでしょうか。

浦野委員

あり得るという前提で。

井上委員

あり得るという前提は変えなくてもいいと。

大原委員

そういうふうに書いてある。

秋元座長

その余地は残してあるつもりです。

井上委員

162ページのまとめですが、NMHC/NOx比とオキシダント濃度の解析のところで引用されているのは神成さんの週末効果の論文ですけれど、神成さんの論文ではポテンシャルオゾンについて解析されているのではなく、オキシダントそのものだったような。

秋元座長

何ページでしたっけ。

井上委員

162ページです。

秋元座長

神成さんの論文は162ページにありますか。

井上委員

17、18となっていますが、その17、18というところを見ると。

下原委員

66ページです。

秋元座長

神成さんの論文を引用しているのは66ページですよね。

井上委員

今日の資料の162ページのオ)の部分です。

秋元座長

そこは神成さんの論文を引用していないですよね。

井上委員

17、18と書いてあるのは。

後藤課長補佐

オ)の下から3行目で引用している文献が神成さんですね。

秋元座長

これはまさにさっき言われたような議論ではないんですか。「今後、NMHC/NOxの比が光化学オキシダントに影響を与えている可能性についてシミュレーション等により解析を進める必要がある」。

井上委員

その最後の部分はおっしゃるとおりだと思っています。その引用が、「都市部でのオゾン生成速度に与える影響」というところがあるんですが、これが載っていたかどうかは自信がないです。

秋元座長

濃度は当然載っていますよね。週末に濃度が高くなる、低くなるという議論だから。生成速度という形で明確に言っておられないかもしれない。では、こだわられるなら生成速度について記述を落としますか。神成さんの論文は確かに濃度だけだったかもしれない。こだわられる理由がいま一つわからないけれども。

その辺の細かいところは、神成さんの論文と整合性のないところがあったらば直しましょう。いずれにしてもVOC/NOxの比はそういうことでご理解ください。

井上委員

あと2点お願いしたいんですけれど、162ページのア)の下から3行目に、「ポテンシャルオゾン濃度の上昇は、夏季に小さく、春季に大きいことから、関東、東海においても春季に越境汚染の影響の増大が示唆された」とあります。75ページの図4-25に夏季と春季の地域別の違いを載せたものがあって、これを見ると、関東、東海においてΔPOは夏季に大きいですよね。事実と違うというか、図4-25と括弧して書いていないから、別の図を参照してくださいということだと思うんですけれど、明らかに近い図としては図4-25があり、それを見ると少し違うのではないかと思いました。

秋元座長

わかりました。これは確認しましょう。季節別に見ているのは図4-25だけでしたか。

事務局

書き方が悪かったのですが、図4-23と図4-24を考えていましたので、分かるようにさせていただきます。

井上委員

ただ、図4-25では、春と夏別に地域別にというので定量的に分かるように書いてあるわけですよね。

秋元座長

ただ、この図が逆におかしいのではないかという気がしないでもないです。73ページの図4-23と74ページの図4-24でポテンシャルオゾンを見ると、明らかに春のほうは20年間増加傾向が見えますよね。だけど夏のほうは、九州を除いて見えないですよね。

井上委員

図4-25は比べる年の原点が違うというか、始める点が違います。なぜそこを見たかということとも関わってくるのですが、そこを見るのは越境汚染の効果を見るためにというくだりがあったような気がします。

秋元座長

分かりました。ここは確かに誤解を招く恐れがあるので直しましょう。いずれにしても、20年間を見たときに73ページ(図4-23)と74ページ(図4-24)に示された差のほうが重要で、75ページ(図4-25)のある年度を切り出したことの意味をもう一回確認したほうがいいかもしれませんね。どこを切り出すかによって、75ページの図は見え方が違ってしまうおそれがある。分かりました。いずれにしても少し不整合があります。

井上委員

それから、163ページの6.1.2「高濃度域の光化学オキシダントの改善状況に係る検討結果」の【前駆体物質濃度低下の影響】のア)ですが、「高濃度域の光化学オキシダント濃度を解析したところ、関東、阪神では」とあります。その3行を読んでいくと、阪神の部分はこれには当てはまらないと感じました。具体的な年度が出ているんですが、「平成12年度ごろから明確な濃度低下」というのは阪神ではあてはまらないのではないでしょうか。

秋元座長

それほどではないということですね。事実として図4-4を見たときに、阪神については平成12年度からずっと下がっているようなことはない、そういうことですね。

井上委員

そうです。つい最近になってという感じです。

秋元座長

明確なのは関東だけですね。分かりました。ここは阪神を除くなりしてもらいます。

井上委員

最後にもう1点だけよろしいでしょうか。163ページのイ)です。これは前にも指摘させていただいたんですが、「NMHCはVOC排出抑制対策が始まった平成18年度頃から濃度がより顕著に低下する傾向がみられた」というのは、どの図から言えるのか。

秋元座長

ここで参照しているのは図2-7ですか。

井上委員

NMHCについては図2-7です。

秋元座長

図2-7だとすると、九州はそうだけれど全体的に見るとあまりそのような傾向はみられません。

井上委員

九州も平成19年度に下がっているんですね。細かいですが。平成19年度に急激に下がるというのであれば、NOxの図2-6のほうがより下がっているんです。この辺はもう少し分かりやすい図にしてもらえればいいと思うんですが。

秋元座長

ただ、分かりやすい図にといっても、これは測定の結果を図として示したものです。

井上委員

例えば17ページの図2-8を見ても、平成18年は仮に正しいとすると濃度が上がっていますので、平成18年にこだわるところではないのかなという気がします。

秋元座長

平成18年度ごろなんですが、それにしてもそんなに明確に下がっていないと言ったほうがいいんですか。VOC対策の効果がこういう形で見たときに見えるか見えないかというのは、非常に大きなことだと思うんですけれど。

井上委員

もともと2000年を基準としてVOC濃度を減らすという目標を立てていましたから、2006年とか規制の始まる前から減り始めていたのではないかと考えておりましたけれど。

秋元座長

一般的に、VOC規制が原因でVOCの大気濃度が下がったという言われ方がしていたと思います。

事務局

参考にしている図が、例えば88ページは前駆物質と高濃度域の平均値を入れている図で、青の点線だと関東は平成18年度ごろから下がっているのが見られます。

秋元座長

この図とさっきの図とはどう違うんですか。

事務局

前の図は3年移動平均を取らずにそのまま単年度で並べた図なので、年々変動が多少残っています。関東で平均を取って平成2~4年度からの差という形で表すと、88ページのような変化が見られます。関東は割と顕著な低下が見られるんですけれど、東海、阪神は見にくいというところは正直ございます。一方、89ページの都府県別で見れば、東京は明らかに下がっているというのが見えて、これは本当に下がっているのかわからないですけれど栃木も下がっている。大阪でも平成18年度前後ぐらいから下がっていると思います。

秋元座長

微妙ですね。

竹内委員

関連して、87ページと88ページに域内最高と域内平均ということでオゾンとポテンシャルオゾンについて書かれています。NOxやNMHCは両方とも同じ年平均値だと思うんですが、関東については87ページと88ページでは違うんですよ。

事務局

いま私も思っていました。確認します。

竹内委員

恐らく、88ページ(図4-32)の関東と書いてあるのは、その右の図4-33の東京都のデータが丸々移っているのではないかと思うんですけれど、違いますか。

秋元座長

本当だ。

竹内委員

87ページ(図4-31)の関東と書かれているのが恐らく正しい。これが先ほどの前のほうに書かれているNMHCとほとんど同じように見えますので、そのような気がします。

秋元座長

そうだとすると、関東にしても多少はあるけれど明確に平成18年度、平成19年度から減ったというのではないということですかね。20年間減り続けているその一環だということですね。

そこはデータの間違いがあるとまずい。今ご指摘のように、88ページと89ページは東京と関東のデータが入れ替わった可能性があるので、そこは事務局のほうで確認して正しくしてください。もし87ページの図が正しいのであれば、これに沿って議論すると、平成18年度なり平成19年度を強調しないほうがいいということになりますか。環境省のご認識はいかがですか。

後藤課長補佐

データをきちんと見て、そこから書けることを書きたいと思います。

秋元座長

他にありますか。

向井委員

あまり本質的ではないかもしれませんが、気になっているところがあって。これは20年間の解析と書いてあって、「長期的トレンド」という言葉が出てくるんです。20年もしていると一方的にトレンドがあるわけではなくて、最初の10年はあまり変化せずに後ろの10年が強く変化しているように大体は見えるんですね。つまり、時間的にトレンドは直線ではない。ですが、これはみんな何となく直線みたいな頭になっている気がして、それっぽい記述になっているきらいがあります。

もちろん何年から下がり始めましたみたいなことはあるんですが、季節別のΔOxやΔPOを10年間で比較していますよね。平成20年度ぐらいと平成10年度ぐらいを取り上げて、「これは取り方によって違いますよね」と秋元座長もおっしゃいました。だからといってどうというわけではないですけれど、時期によって3つの要因の強度が違うと思うので、その辺を少し書き込んでもいいかなと思います。まとめの部分でざっくり書いてあるんですけれど、時間的な変化も記述するといいかなと思いました。

秋元座長

ありがとうございます。そこは大事なところですね。2つの相反することがありまして、オキシダントのトレンド解析というのは単純に解析すると10年ぐらいでは統計的に有意ではないですよね。そういうこともあって、20年間で大まかなトレンドを捉えたということもあるんですが、一方、この20年間というのは越境の影響が随分変わってきているはずです。

そういうのを含めて、見かけ上そうなっているということであれば、中身は随分違っているのではないかというのは確かにそのとおりです。今後の対策のときには非常に重要になってくると思いますので、その辺はまさにシミュレーションで解き明かしていくということになろうかと思います。同じように増えていても、増えた原因が前半の10年と後半の10年では違うとか、そういうことはがあり得ますよね。

ありがとうございます。まとめのところに、注釈をどこかに入れるようにしましょう。他にいかがでしょうか。

下原委員

全体的にNMHC濃度と云々というのがあちこちにあるんですが、最初に一言でいいので、アルデヒド類は含まないというのがあったほうが良いと思います。分からない人はすべてのVOCとの関係というふうに理解してしまう。非メタン炭化水素濃度とオキシダントとの関係について説明したセクションの最初の部分に、一言、説明があればというのが私の意見です。

事務局

目次の後に「略語と化学式」というのがあって、その次のページに【用語の使用について】という形で入れています。これは平成23年度の報告の冒頭にもございましたので、そのことについては入れているつもりです。

下原委員

もう1つ。今回の報告書には関係ないのですが、来年度以降シミュレーションを行う時の対策という意味で、長期的な対策の他に、もう1つ、短期的な対策が必要です。例えば、行政機関でしたらオキシダント濃度が高いときに工場排出のNOx濃度を下げるようにとかVOC濃度の排出を規制しなさいといった対策が行われます。しかし、本当にそれでいいのか検討する必要があります。NOx濃度を下げたら逆にオキシダント濃度は上がるのではないか。NOx排出量は非常に低いけれどVOCが高いところを抑えたらオキシダント濃度の低下に即効くのか、半日後に効くのか、意味がないのか、というあたりまでこの委員会で明確に示せたらいいのにと思います。

秋元座長

本当はそれをやらなければいけないんですよね。40年前に決めたものですから、今は、絶対に理屈に合っていない可能性が高い。その辺をこういう報告の中に入れていいかどうかは問題だけれど、おっしゃることは分かります。オキシダント問題を多少なりともご存じの方は、その日の朝になってNOxやVOCの排出を急に止めたからといってオキシダントの高濃度が回避できるわけではないというのは常識だと思いますので、ご意見として伺っておきましょう。

他によろしいでしょうか。では、今日が最後ですが、かなり大幅な改訂を望まれるご意見もありましたので、できる限り対応するということにさせていただきたいと思います。あとまだこの2~3日中に何かお気づきになったところがあったら、特にケアレスミスや何かはお気づきになったらぜひ事務局宛にお願いします。

この後のスケジュールをお聞かせいただきたいと思います。最終的にいつプレス発表をするのかといった予定をお願いします。

後藤課長補佐

本日いただきましたご意見につきましては修正したいと思っております。それは今日明日にでも終わらせたいと思います。できれば秋元座長とご相談して確定させていただければと思っております。成果物は、今週中に出したいと思っておりますけれども、そこは修正の作業もありますので、一応目標としては今週中と思っております。

秋元座長

年度末にはきちんとやり遂げたいと思います。年度末といっても31日が来週の月曜日なので、今週中ということだと思います。今日明日の1日ぐらい余裕があるかもしれませんけれど、その辺で直すところを決めて、今週中に最終版にするということで、その辺の修正は座長と事務局にお任せいただければと思います。よろしくお願いいたします。

これはプレス発表みたいなのはされるんですか。

後藤課長補佐

はい。取りまとまったときに報道発表しようと思っています。平成23年度のときと同じような対応をしたいと思っています。

大原委員

1点よろしいですか。参考資料1の開催要項を見ていたんですが、平成25年度をやることとして、シミュレーションモデルのフレームの検討等と書いてあるんですが、これに関してはこの検討会としてどういうアウトプットをどういう形で出される予定でしょうか。

後藤課長補佐

平成25年度のまとめとしては特段出しません。前回の検討会までで一応このフレームの検討をさせていただきましたので、それを基に、来年度に向けて検討していきたいと思っております。特段、この年度末で何かを行うということは予定してございません。

大原委員

検討会の調査報告書としては全く触れないということですか。

後藤課長補佐

はい。今年度は触れません。今回お示しした資料1が報告書ということで考えております。

大原委員

それは、暗に来年度の検討会の基礎資料として引き継がれるという、そういう認識でいいんですね。

後藤課長補佐

はい。それは確実に引き継いでいきたいと思います。

大原委員

とりまとめの資料はどれが最終版ですか。この検討会でどこまで決めたのかという点についてよく分からないのですが。私が前回休んだからなのかもしれませんが。

秋元座長

これは気象協会のいわゆる業務報告書になります。昨年度の検討会で提示した報告書は今年度の検討会では無いのですか。

事務局

業務報告として、今年の検討会で検討いただいた調査フレームの検討やVOCのモニタリングの整理というものは、環境省に提出する予定です。

秋元座長

その業務報告の中にまとめられるはずなんですが、それは委員の目にあまり触れないことになるわけですね。

大原委員

前回の検討会の資料2というのがそれに該当します。これがどこまでこの検討会でオーソライズされたのかということに関しては、やはり事前に資料に目を通させていただきたいと思います。

秋元座長

私の理解ではオーソライズはしていないと思っています。こういう方針でやりますというか、それに対して皆さんがコメントをつけたということでとどまっているという理解です。来年度、何を具体的にやるかというのは、来年度の検討会で新たにきちんとしたものを、それこそ先ほどの目標に沿った形のものをつくるというふうに私は理解しています。

後藤課長補佐

おっしゃるとおりです。

秋元座長

今年度は、第4回検討会で提示された資料を以て、この検討会としてはよいといったことではない。

大原委員

特段何も決まっていないということですね。

秋元座長

そういう意味では決まっていない。大体こういう認識でこういうふうにやる、それに対して認識のずれや、是非これは入れなければいけないとか、そういう意見を皆さんから出していただいたという、そういう段階でよろしいですね。

後藤課長補佐

はい。

秋元座長

それでは、多少積み残しはありますけれど、今年度の報告書をお認めいただいたということで、ありがとうございます。

あと、その他議題で事務局のほうで何かございますか。

後藤課長補佐

特にありません。大丈夫です。

閉会

秋元座長

私のほうからは、今年度、延べ5回の検討会を重ねて随分いろいろ議論いただいて、今度の報告書が合格点をもらえるかどうかわかりませんけれど、あるところまでは明確になった。

冒頭に申し上げなかったんですが、オキシダント対策による改善効果を示す指標というのは非常に重要です。今までの環境省の白書などでは、被害届出人数や注意報の発令日数という形でしかまとめてこなかった。そういうことが随分長いこと続いてしまったため、なかなかオキシダントの定量的な解析ができなかったんです。今回、8時間値を使って98パーセンタイル値や3年平均でやっていくということで、オキシダントを対象とした大気環境がよくなったかどうかが何年か後には見られるような指標として提案したことは、今後の解析に非常に重要ではないかと思っております。

皆さん、いろいろお忙しいところをありがとうございました。また来年も引き続きあるのであれば、ここまで来たので、当然この後のシミュレーションで見えるようにしないといけないと思います。何らかの形では引き継ぐことになると思いますので、よろしくお願いいたします。皆さん、どうもありがとうございました。これで事務局にお返ししたいと思います。

後藤課長補佐

最後に、今年度の検討会が一通り終わったということで、今日は難波課長からご挨拶しようと思ったのですが、私が代わりに代読させていただきます。

委員の皆様には長時間にわたり、また、本年度だけでも5回検討会をご参画いただきまして誠にありがとうございました。

このたびは皆様に、主にモニタリングデータを用いた解析と光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標に関する報告書を、まだまだ課題が残っておりますけれど、一応取りまとめていただくことができたと考えております。

特にモニタリングデータの解析では、タイトレーションの話や越境汚染の寄与の話が示唆されるところなどを取りまとめていただきました。今後行うシミュレーションを用いた解析によって、より定量的な議論を行い、さらなる現象解明を進めるとともに、対策の検討や注意報発令時の措置のあり方の検討につなげていきたいと考えております。

また、指標につきましても、WHOの評価指標や米国の環境基準として用いられております光化学オキシダント濃度の8時間値について、日最高値の年間上位1%を除外した値を年間代表値として3年移動平均することで取りまとめていただきました。この指標につきましても、今後の光化学オキシダント対策に活用していきたいと考えております。

今般取りまとめて頂いたこの報告書につきましては、中央環境審議会の大気・騒音振動部会に設置されております微小粒子状物質等専門委員会で報告させていただきまして、現象解明や環境改善効果を適切に示す指標に関する検討に活用してまいりたいと考えております。

最後になりますけれど、平成26年度は、今年度の検討結果を踏まえまして、シミュレーションモデルによる現況濃度の再現等に取り組んでいくこととしておりますので、平成26年度以降につきましても引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(代読)以上でございます。

秋元座長

皆さん、どうもありがとうございました。

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