環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成25年度)

平成25年度第1回光化学オキシダント調査検討会会議録

1.日時 平成25年9月30日(月)15:00~17:30

2.場所 一般財団法人日本気象協会 第一・第二会議室

3.出席者(五十音順敬称略)

(委員)
秋元 肇   板野 泰之  井上 和也  指宿 堯嗣
岩崎 好陽  浦野 紘平  大原 利眞  金谷 有剛
坂本 和彦  紫竹 益吉  下原 孝章  竹内 庸夫
橋本 光正  八田 拓士  星  純也  向井 人史
若松 伸司
(事務局)
環境省水・大気環境局大気環境課 後藤課長補佐、山口技官
一般財団法人 日本気象協会

4.議題

(1)平成25年度光化学オキシダント調査検討会について
      (2)データの多角的解析について
      (3)シミュレーションモデルを用いた検討の進め方について
      (4)VOCモニタリングデータの整理・検証について
      (5)その他

5.配付資料

資料1
平成25年度光化学オキシダント調査検討会の検討内容
資料2-1
データの多角的解析結果(実施状況と課題)
資料2-2
環境改善効果を適切に示す指標について
資料2-3
データの多角的解析結果(新たな解析結果)
資料2-4
データの多角的解析結果報告書(骨子案)
資料3
シミュレーションモデルを用いた検討の進め方について
資料4
VOCモニタリングデータの整理・検証の進め方について
参考資料1
平成25年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱

6.議事

後藤課長補佐定刻となりましたので、平成25年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)を開催いたします。委員の皆様にはお忙しい中ご出席を賜り誠にありがとうございます。私は本日司会を務めさせていただきます、環境省大気環境課の後藤と申します。よろしくお願いいたします。
検討会に先立ちまして、環境省水・大気環境局大気環境課課長の難波からご挨拶を申し上げるところなのですが、本日は自治体を集めて大気環境の会議を別の会場で開催しておりまして、こちらに出席することができません。したがって挨拶は省略させていただきます。申しわけありません。
それでは、本日は第1回目の検討会ですが、委員につきましては基本的に昨年度から継続でございますので、変更のあった委員の方のみご紹介させていただきます。
JX日鉱日石エネルギー株式会社社会環境安全部の八田様が土屋様から変更になっております。よろしくお願いいたします。
公益財団法人東京都環境公社東京都環境科学研究所の星様が石井様から変更になっております。よろしくお願いいたします。
以上です。本日はすべての委員の皆様に出席いただいております。
事務局の人事の異動ですけれども、大気環境課長の大森が難波に代わっております。本年度の解析業務を受託しておりますのは、昨年度に続きまして一般財団法人日本気象協会でございます。
それでは引き続き、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご確認ください。
議事次第
座席表
資料1「平成25年度光化学オキシダント調査検討会の検討内容」
資料2-1「データの多角的解析結果(実施状況と課題)」
資料2-2「環境改善効果を適切に示す指標について」
資料2-3「データの多角的解析結果(新たな解析結果)」
資料2-4「データの多角的解析結果報告書(骨子案)」
資料3「シミュレーションモデルを用いた検討の進め方について」
資料4「VOCモニタリングデータの整理・検証の進め方について」
参考資料1「平成25年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱」
委員の皆様の机の上には、平成23年度検討会の報告書、平成24年度環境省の請負業務の報告書を用意しております。以上ですが、皆様、資料はおそろいでしょうか。
次に、本検討会の座長を選出したいと思います。座長につきましては、参考資料1の検討会開催要綱にありますとおり、事務局が指名することとなっております。つきましては、座長には昨年度に引き続き秋元委員にお願いしたいと思います。秋元委員、よろしくお願いいたします。
それから、今日はプレスの関係の方がおられますけれども、冒頭のカメラ撮りは、ここまでとさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
これ以降の議事の進行につきましては秋元座長にお願いいたします。

秋元座長ご指名いただきましたアジア大気汚染研究センターの秋元です。昨年度に引き続きの検討会ですので引き続き進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は5時半までということになっておりますので、議事のご協力をいただければと思います。
まず、本年度何をやるかについて議事(1)で事務局から伺った後で少しコメントをしていきたいと思います。よろしくお願いします。

議題(1)平成25年度光化学オキシダント調査検討会について(資料1)

後藤課長補佐資料1「平成25年度光化学オキシダント調査検討会の検討内容」をご覧ください。検討の目的は昨年度と全く変わっておりませんが、オキシダントの環境中濃度は芳しくなく、改善が必要な水準にある。一方で、光化学オキシダントの発生機構や発生源寄与の解明等は不十分であり、環境改善に向けて必要な調査研究を進める必要がある。「今後の調査研究のあり方」に記載する検討を進める必要があるということで、「今後、必要な光化学オキシダント対策等を検討する」、「環境改善効果を適切に示す指標について検討すること」を目的とした検討を行っているところです。
平成25年度検討会につきましては、「今後必要な光化学オキシダント対策等の検討」や「環境改善効果を適切に示す指標の検討」に資するデータの多角的解析を行い、その結果を取りまとめたいと思っております。さらに、その先のシミュレーションを活用した調査フレームの検討等、現象解明や対策検討に必要な検討を進めたいと思っております。
具体的な検討内容は資料2から4にありますけれども、データの多角的解析としましては、対策検討や指標の検討を目的としたデータ解析を行いまして、光化学オキシダントの現象解明を進めるとともに、環境改善効果を適切に示す指標について検討を行いたいと思っております。
2番目のシミュレーションモデルを用いた検討につきましては、現象解明や対策検討等に必要なシミュレーションを活用した調査フレームの検討等を行いたいと思っています。
3番目のVOCモニタリングデータの整理・検証につきましては、国内で観測されたVOCモニタリングデータについて、オゾン生成能を考慮した解析等を行っていきたいと思っております。
今年度のスケジュールですけれども、今年度の検討会につきましては4~5回を考えております。データの解析、シミュレーションモデル、VOCモニタリングと大きく3つのテーマがあります。
データの解析につきましては、今回1回目で解析結果の提示と報告書の骨子案(目次)を提出させていただきたいと思っております。第2回では解析結果をさらにお示ししまして、報告書の素案についてもお示ししたいと思っています。第3回で報告書の案を提示しまして、第4回、第5回で必要な修正を加えていきたい。そして、この検討会でのデータ解析の報告書をまとめたいと考えているところです。
シミュレーションモデルの検討につきましては、進め方の方針を今日ご説明させていただきます。それに対していただいたご意見をもとに、第2回では進め方を再提示、それから文献調査結果の報告をさせていただきます。第3回目ではフレーム案の提示。第4回以降でフレームの修正、エピソード解析に取り組みたいと思っております。
VOCモニタリングデータの整理・検証については、第1回の本日はどうやって進めるかという進め方の検討をさせていただきます。その結果も踏まえまして第2回では、既存調査の整理、データのまとめ方の検討をしたいと思っております。第3回目以降で、モニタリングデータの整理・検証を行っていきたいと考えているところです。
資料の裏面につきましては、上半分が、平成23年度の光化学オキシダント調査検討会で取りまとめられた今後の調査検討のあり方をまとめた全体像です。下半分は、昨年度の光化学オキシダント調査検討会でまとまった、対策の検討に向けた評価手法の流れでございます。参考に付けております。
進め方の中身は議題(2)以降で詳しく個別にご説明したいと思っておりますけれども、全体としてはこういったところです。
説明は以上です。

秋元座長ありがとうございました。本年度何をやるかということについて全体の流れをご説明いただきました。この検討会としましては、お話があったように、今年度は検討会としての報告書を出すというのが最大のタスクになります。
昨年度は、机の上にありますように日本気象協会からの業務報告書という形で昨年度の作業をまとめていただいています。今年度は、検討会としてのある種の結論、今の時点で何が言えるかということを取りまとめることが一番の仕事になろうかと思います。
その中身は、ご説明がありましたように「多角的解析」という言葉が使われていますけれども、VOCを削減したのにOxはなぜ減らないのかということが、そもそもこの検討会の出発点でした。それについては、トレンドの解析の仕方をもう少し丁寧にやると見えてきたことがある、地域別の特徴も見えてきたことがある。
 特にOxの指標として、今までは注意報が出た日数などが使われましたが、ああいうものでは統計的ロバストネス(堅牢性)や安定性がない。それに代わる何かよい指標を具体的に提案するということも、今年度の作業の中に入っております。この辺は今日の後半の議事でも取り扱われるかと思います。
シミュレーションにつきましては、今後、我が国のOxを望ましいレベル、ないしは行政としてのターゲットになるべきレベルに持っていくためには、NOx・VOCをどうしたらいいのか。越境大気汚染による増加影響も含めた上で、我が国のOxによる環境影響の被害をなるべく少なくするためにはどうしたらいいか、というような具体的な答えは今年度出さないと理解しております。
シミュレーションを実際にやるためには、それに入れる入力について検討しなければならないことがたくさんございます。その辺をちゃんとやってからでないと、ただ計算してこうなりましたでは前回の轍を踏むおそれがある。どういう方針で来年度進めるか、それにはどういう準備をしておいたらいいか。今年度は必要なことをできるところまでやっておくということで、答えまではいかないというふうにご理解ください。
VOCにつきましては、最初の前々年度からVOCは非常に問題だと。モニタリングデータもきちんとしたものがない。それがはっきりしないと、Oxを減らすのにVOCが効くのかNOxが効くのかという議論の結論に非常に大きな影響を与えてしまう。まずはVOCの実態、エミッションの量をきちんと検討しようということで、植物起源のVOCを含めてもう少し測定値がないといけませんねというので、昨年度、今年度で幾つかの測定を実際にしていただいているという段階だと思います。
その結果を、これまでの文献値も含めて、来年度どういうふうにシミュレーションの中へ入れていくかを見通しながらまとめていくというあたりが、今年度の3つ目のVOCモニタリングデータの解析というところかと思います。
内容的には全体の流れはそのようになろうかと思います。委員の方から進め方についてご質問・コメントがございましたら、どうぞ。

紫竹委員後のほうで詳細は出てくるかもしれないですけれども、昨年度3月の第4回調査検討会のときに今後の課題ということで、NOxとの関係について浦野先生からも指摘がございました。先日、中環審の大気・騒音振動部会でも委員の先生から、NOxとの関係を課題という形で早急に検討しなければいけないというご指摘があったと認識しております。今回の検討内容の中で、今年結論が出るかどうかは別として、NOxと光化学オキシダントの関係については詰めていくという理解でよろしいでしょうか。

後藤課長補佐昨年度の検討会の中でも、ポテンシャルオゾン(PO)を用いてタイトレーションの話を検討させていただいております。そういうものを通じて、NOxについても検討していくことになると認識しております。

紫竹委員言葉足らずですみません。前回の議事要旨で、「光化学オキシダントの緊急対策である事業者に対するNOx排出抑制の要請について、その有効性について検討が必要」となっています。また、中環審の委員の方からは、産業界が操業を自粛していることに対しての対応を早急に検討すべきという自治体の方からの意見も多く出ているとのことだったと理解しておりますが。

後藤課長補佐注意報の発令について、もっと確実性を持ってやるべきだというご意見だと認識しております。それを検討するためにもシミュレーションモデルの高度化を図って、今から検討する調査フレームを使って行うシミュレーションでわかってくることだと思います。注意報の発令をしてどこをどうしたらどうなるのかということは、シミュレーションの結果でわかってくることですから、この検討を進めていくことが、審議会の委員さんの発言や昨年度4回目のオキシダント調査検討会のご指摘等に応えることになると考えております。

紫竹委員 わかりました。ありがとうございました。

秋元座長 ほかによろしいでしょうか。

指宿委員 最初に座長が、昨年度は検討会の報告書ではなくて気象協会の業務報告であり、今年度つくるのが検討会報告書だと言われましたが、配られた資料を見ると検討会の報告書になっていますが。

秋元座長 平成23年度報告書は、1年前に皆さんで議論いただいた23年度の光化学オキシダント調査検討会報告書です。平成24年度報告書(一般財団法人日本気象協会)は業務報告書になります。

秋元座長 平成23年度に書かれた今後どうするべきかという方向性を幾つか、この検討会で出したわけです。それを踏まえて、昨年度なり今年度積み残しの部分をやりますというご説明が後であると思います。この報告書はそのご参考になります。

指宿委員 今年度はそういう意味で報告書ということですか。この検討会の結論になるという扱いですね。

秋元座長 そうです。一昨年度と同じような位置づけになると思います。

指宿委員 そういう意味で非常に重要だということは認識できました。

後藤課長補佐 平成24年度業務報告書は、昨年の検討状況がわかればと思いまして机に置かせていただいただけです。誤解を招くような形で申しわけありませんでした。

秋元座長 ほかによろしいでしょうか。それでは、次の議事(2)に進めさせていただきます。事務局、よろしくお願いします。

議題(2)-1 データの多角的解析について(実施状況と課題)(資料2-1)

事務局 資料2-1を使いまして説明させていただきます。
2ページからになります。先ほど話題になりました平成23年度の検討会報告書の164ページに、「今後の調査研究のあり方」が取りまとめられております。それに対して昨年度は何をどこまでやり、今年度は何をやるのか。また、それ以外で今後課題として残っているものは何かというのを整理しております。
6.2「今後の調査研究のあり方」など、項目の数字が入っているところは検討会報告書の項目のタイトルに該当する部分になります。
6.2.1「優先解析地域の設定」では、昨年度優先解析地域を関東、東海、阪神、九州と設定して解析を進めてまいりました。その中で関東は汚染が最も深刻であり、九州は越境汚染の寄与が一番大きそうだということが確認されたかと思います。
6.2.2「モニタリングについて」は多角的解析の部分で、[1]は1990年から2011年までデータの解析、[2]はPOを用いたタイトレーション効果に関する検証を実施。高濃度事例についての解析がまだ残っていますので、今年度させていただこうと思っております。[3]のオゾンなどの1時間値の統計解析等につきまして、昨年度は8時間値平均値の3年移動平均によって指標になりそうだというところまでたどり着きましたので、指標として使っていこうというところを今回決めていただければと思います。その決まった評価指標と1時間値の関係についても、整理したいと思っております。
(2)「VOCをはじめとしたモニタリングの拡充」では、昨年度、環境省さんのVOCモニタリング調査について、地点、成分、実施時期などの見直しがなされています。今年度は、それに従ってモニタリング調査が実施されております。これの概要につきましては議事(4)でご説明させていただきますので、そちらでご議論いただければと思います。
(3)「オキシダント濃度測定の値付け方法の変更や校正状況による影響」では、校正方法が変更になったために、若干の影響があったという事実は認められました。ただ、全体的に傾向を大きく変えるようなものではなかったというところまでは共有していただけたかと思います。
今後のトレンド解析で値付けによって変わったデータをどういうふうに扱っていくかというのは、今のところ結論は得ていないという状況でして、今後の課題とさせていただいております。
3ページ以降はシミュレーションについての話になります。6.2.3「シミュレーションについて」の(1)は濃度の再現性の話になりますので、今後の課題として、今年度の検討会の中で調査フレームを決めていただいて、検討を進めていくことになるかと思います。
(2)につきましても、同じような形で今後検討する部分と、検討する前にVOC環境濃度の文献調査、一般大気中のVOC標準組成の設定を今年度整理させていただこうと思っております。
6.2.4「インベントリについて」は、(1)「植物起源VOCの精度など前駆物質排出インベントリの精緻化」という項目につきまして、昨年度秋冬に植物VOCの環境調査を実施しました。それに対して今年度夏季にも実施しておりますので、それについてデータが取りまとめられましたらご報告させていただこうと思っています。 それらのデータについて代表性があるのかないのか、その辺の課題についても整理させていただこうと思っております。
(2)(3)につきましては今後の課題ということで、青字にさせていただいております。
4ページに参りまして6.2.5「対策効果の評価について」は、今後の課題ということですべて青色。過去の対策効果の評価手法や、今後の光化学オキシダント対策の評価手法について、今後の課題として取り上げさせていただいております。
これを踏まえまして今年度検討会でご検討いただこうと思っておりますのが、5ページになります。5ページは多角的解析の部分を整理していこうというところですが、(1)として、環境改善効果を適切に示す指標の算定方法を決めていきたいというのがあります。
昨年度の検討会で、日最高値の8時間値平均値を用いるのがいいだろうということ、その中で年間の上位数%を除外したほうが安定しそうだということ、3年間の移動平均をとるということまでは、決まってきたかと思います。今回は、上位数%のところは何%除外するのがいいのか、そこを決めていただきたいと思っております。
それを踏まえてデータの多角的解析ということで、昨年度の積み残しの部分である追加解析、8時間値による解析、高濃度事例の解析、関東地域を細分化した解析、その他必要に応じて解析をさせていただこうと思っております。
以上を取りまとめる形で検討会報告書の作成。これは案ですが、「光化学オキシダントの多角的解析と対策へ向けた指標の提言」というようなタイトル(案)で、最後まとめさせていただければと考えております。
6ページは、シミュレーションフレームですとか、多角的解析から少し外れるところになりますがシミュレーションモデルを活用した対策検討を今年から進めていくことになりますので、今年については調査フレームを検討会で最終的に決定していきたいということです。
VOCモニタリングデータ整理・検証については、文献調査をして、昨年度と今年で実際に測定した成分調査結果を取りまとめさせていただこうと思っております。 検討会は、今回第1回をさせていただいて、11月ごろに第2回、1月、2月、3月ごろに3回、4回、5回をやりたいと考えております。
7ページは、昨年の資料とほぼ同じものをコピーしておりますが、昨年度は2011年度データについてそらまめ君の速報値を使って解析していましたが、確定値が出ておりますので確定値に差し替えて再解析しようと考えておりますので記載しております。
以上です。

秋元座長 ありがとうございました。データの多角的解析についてのご説明にご質問・コメントがございましたら、どうぞ。
今年度決めていきたい部分と報告書に盛り込むべき部分、来年度のために準備を整えておく部分、その両方が入っているかと思います。

星委員 昨年まで出ていなかったので確認させていただきたい部分があります。光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標は、VOCなりNOxなりが減ったらば、どのくらいOxが減るかを安定的に見ていこうということで設定されていると思います。この指標をもとに、健康への影響なりリスクなりがどのくらいあるかというふうには使わないという前提で考えられていると理解してよろしいでしょうか。

後藤課長補佐 そのとおりです。

秋元座長 リスクのアセスメントはこの検討会の範囲外なので顕わには取り扱いません。今ここで指標を特に重視しているのは、先ほども申し上げましたけれども、本当によくなったのか悪くなったのかということは、今までのような120を超えるか超えないか、日数・時間数とか、全体の平均濃度だけでは、年々変動があまりにも大きいことがあって見えてこない。それをもう少し安定的に評価できる指標をつくるべきであるというのがこの検討会の従来からの結論で、そういう意味で指標というのを扱っています。
これを即何かに使うということではなくて、あくまでも今の段階ではNOx・VOCが減ってきたときに、Oxが本当に減っているのかどうなのかを評価するための指標と考えていただければと思います。

浦野委員 平成24年3月の報告に対する対応状況というので、赤いところを今年度やるということでいいですね。

秋元座長 そうです。

浦野委員 当然ながら、青いところの課題を意識してやらなければいけないわけですね。

秋元座長 そうです。

浦野委員 まず内容のほかに確認したいのは、4枚目の下から2行目の「対策の対象となる関係断代や関係機関」、これは誤字だと思いますが何の間違いですか。

事務局 対策の対象となる関係団体の誤りです。

浦野委員 関係団体と関係機関は違うということですね、よくわからないですけれど。それは誤字なので確認だけです。
将来的に対策を議論するときに、関係団体も含めて理解して合意しなければいけないわけですが、そのときにどうしても将来予測はシミュレーションに頼らざるを得ない。6ページの「シミュレーションモデルを活用した対策検討」を一応今年度やることになっていて、これはフレームの検討がかなり大事だと思います。
フレームの検討をして、エピソード解析に基づく再現性の検証をするとなっていますが、シミュレーションはあくまでもシミュレートなので、実測データとぴったり合うなんていうことはあり得ない。
どのぐらいの判断をするかというときに、将来変化するであろう、特に悪くなるであろう部分と、今後何らかの対策をとって例えばVOCをもっと減らすとか、改善することは考えられます。そこの部分の方向性がある程度合うかどうかというのが非常に重要だと思います。
エピソード解析とは一体何をするのか、再現性とは何を意味するのかというのがよくわからない。フレームの検討はものすごく大事になると思いますが、詳しいことは次年度以降やるとしても、大枠をここで決めてフレームを決めて、エピソード解析で再現性が大体よさそうだという判断をするということですよね。違いますか。
再現性の検証ということは、問題点があれば指摘するかもしれないけれど、調査のフレームを確定するということは非常に大事な事項になる。この辺はどの程度、どう考えているのか理解が深まらないので、この部分について追加のご説明をいただきたい。

事務局 フレーム検討のところは調査計画ということで、精度の評価方法や評価するための物質であるとか期間であるとか何で評価するのかを含めて検討していただいて、方向性を決めていただこうかと思っています。
エピソード解析に基づく再現性の検証のところで、再現性の検証すべてやろうとは思っていません。今年はフレームの中で選定していただいたモデルで試しに動かしてみて、濃度がきちんと上下するとか、そういうところを確認するぐらいを考えています。ここの検証だけで何か先へ進もうとは考えておりません。

浦野委員 もちろんそうですけれど、フレームの確定と、これは再現性ですか、感度解析というような感じですか。再現性というのは、何と何が再現することを言っているんですか。現場の測定値と合うか合わないかという議論ですか。

事務局 今年やるところはそこぐらいまでが限度かと思っています。

秋元座長 浦野さんのご質問の意味と答えとがかみ合っていないと思います。シミュレーションモデルはあくまでも数値モデルなので、必ず実測値による検証が必要です。検証なきモデルは数学の遊びにすぎない。
検証をどういうレベルでどういうステップでやっていくか、これは非常に重要です。ここに書かれているのは誤解を招くと思います。エピソード解析に基づく再現性というよりは、オゾン対策について、シミュレーションで今後の方向性を出していくときには、まず過去ないしは現状のオゾンレベルが、日本に入ってくる前の離島局みたいな、EANET局みたいなところでのオゾンの季節変動を再現できなければいけない。それがファーストステップ。
それが、今度は日本に入ってきたときに、特に対象となっている関東地方などで日々の日変化、季節変化、特に春から夏に高濃度オキシダントが出るようなところを常監局のデータと再現できなければいけない。
その再現性をどういうふうに評価するかというのは、アメリカのEPAでよく使われている幾つか指標があって、そういうものでこの指標の不確定性がある程度の範囲内におさまっていれば、これでやっていっていいでしょうと。
そういうある種の大気化学のモデルをやっている人たちの常識があるので、あくまでもそれに則った方法でやっていったほうがいいのではないかと思います。

浦野委員 細かいことは、今後、検討すると思いますが、こういう検証をしてこうすれば政策につながるとか、あるいは改善につながるという、裏側から見たときにモデルの研究的なレベルの話と実際的な政策と両方のやりとりをして、ここが必要だという解釈ができるように、言葉の意味も含めてもう少し見えるようにしてください。
再現性というのは、実際を示すわけですけれどもぴったりは合わないのですからその辺の精度とか、座長がおっしゃったエピソードとして幾つかあるわけです。ここの部分が漠然と書いてあって基本的にしっかりできないと先に行かれないので、今後、検討するでしょうけれども、その辺を整理していただければと思います。

秋元座長 ここの言葉を「観測データによるモデルの検証」という言葉に換えて、それを具体的にどうやっていくかというのをこの検討会の中で詰めていけば、浦野さんにもご理解いただけるようになるのではないか。

事務局 わかりました。

秋元座長 ほかにいかがでしょうか。

若松委員 昨年度の検討に基づいて、よりロバストな統計法で対策効果を評価できる形で進めていくのは大変いいと思います。パーセンタイルの話、評価する平均化時間、評価する期間の問題はこれでいいと思います。
ぜひ検討をお願いしたいのは、これまでは高濃度大気汚染の解析が中心でしたが、あるレベル以上のトータルな積分量がどうなっているか。全体のオゾンのマスの変化が、この後重要なパラメータになってくると思うので、新しくそういった検討が付け加えられるといいというふうに思います。
特に評価の尺度といいますか、どういったエリアを対象とするのか。比較的狭いスケールを見るのか広いスケールを見るのかで、答えが違ってくることもあります。高いところの値だけではなくて、対象とする面積による違い、対象とする濃度レベル以上の値のデータ解析によって、どう対策の違いが出てくるか。シミュレーションモデルがうまく走って立体的なデータが出れば、それを活用できるわけですから、そういったものもスコープの中に入れておいたらいいのかなという気がします。

秋元座長 まさにそのとおりだと思います。いつも高濃度汚染だけが強調される傾向がありますが、昨年度の作業で見てきたように、今はVOCが下がって、NOxが下がっている状況で、高濃度のほうは下がってきている傾向が見えている。ところが60~80の中濃度がどんどん増えている。これはまさに越境の影響があると見えるわけです。
今回は取り扱いませんが、人間の健康に対するリスク評価になったらば、60から80あたりが非常に効いてきます。決して瞬間的な高濃度だけが早期死亡率に効くのではなくて、積分値的な中濃度のところが効いてくるということがあります。
それは後で話が出てくるかもしれませんが、どういう濃度帯がどういう傾向があるか、どういうふうにすればそれが見えてくるかということも昨年度やっていますので、その辺は今年度の報告書にまとめられればいいと思います。

大原委員 2点あります。1点目は簡単な質問です。3ページの上から10行目に赤字で「我が国の一般大気中のVOC標準組成の設定」とありますが、これは何を意味されているのかよくわからない。平成23年度の報告書を見てもそれに該当する記述がないので、これに対するご説明をいただきたい。
もう一つは今少し議論となったところに関連しますが、平成26年度以降の予定はどうなっているのでしょう。見通しのないところで議論してもしょうがない。平成25年度に対策検討のための調査フレームを確定し、平成26年度以降に実際にシミュレーションモデルを動かして、フレームに則った検討を行うということだと思います。
やるべきことがたくさんあって、再現性の検証にしても、前からこの検討会で何度か話題にしてきたかと思いますが、対策の効果を検証できるという意味での再現性のチェックが必要です。例えば平日・休日の週内変動を再現できるか。あるいは、これまでさまざまな形で環境省、自治体がやられてきた大気汚染対策の効果をきちんと再現できるのか。それを計算するには、10年スケールの長期計算をしなければいけないだろうし、結構ハードな仕事になると思います。ひょっとしたら1年で終わらないような、予算もかかるようなことになろうかと思うので、平成26年度以降の見通しといいますか予定を教えていただきたい。
もう一つはシナリオの検討が非常に重要です。それに関してはこれまでこの場では何も議論していないです。将来のベースラインシナリオをどう設定して、対策シナリオをどういう考え方で設定するのか、非常に重い課題ではないかと思う。
今の時点でわかる範囲で結構ですが、26年度以降の予定をお聞かせいただければと思います。

後藤課長補佐 平成26年度以降の見通しですけれども、平成26年度の予算の概算要求が終わったところです。次年度以降の対策検討は、複数モデルで対策の有無でどういうふうに検証できるかとか、例えば週末効果が再現できるとか、検証としてハードな内容だとは思っていますが、そういう内容ができる規模の予算を確保するよう努力している最中です。
シミュレーションの再現性の検証やシナリオの検討も含めて、複数モデルで対策の有無での検証ができる内容に来年度は行き着けるよう、その前段のフレームの検討まで今年はやりたいと思っているところです。

秋元座長 これは後のほうの議論になるかもしれませんけれども、ある程度間違いない結論を出すためには何をやらなければいけないかというのを委員の皆さんに出していただいて、それに見合うような予算を確保していただく。それが1年なのか2年なのかは、予算が取れてみないとわからないところはあると思いますが。

大原委員 予算の不透明性はあるにしても、内容的に半年とか1年ぐらいの調査で結論が出るような仕事ではないと思います。

後藤課長補佐 確かに大きなテーマだと思います。そこは今の話も含めて持ち帰って、来年度以降の話は考えておきたい宿題とさせていただきます。

秋元座長 よろしくお願いします。研究そのものではないので、そこはどこかで割り切らなければいけない部分はあるかと思います。1年で出さなければいけないのか、2年かけてよければまた随分違う話になるかと思いますので、来年度以降のことは今後お考えいただけるかと思います。
最初のほうのご質問の一般大気中のVOCについては、気象協会のほうからお答えいただけますか。

事務局 一般大気中のVOC標準組成というのは、研究や論文等でいろいろな知見があります。環境省のVOCモニタリングでは成分が少ない中で調査をしてきましたが、光化学反応を考慮した多成分の分析を行い、関東域での一般大気中の組成がどうなっているか取りまとめたほうがいいだろうという話で整理させていただきました。

秋元座長 シミュレーションに入れるVOCの組成をどうするかというのは非常に大きな問題です。今まで幾つか文献を調査したところ、特に星さんのところで関東地方を随分とやられていますよね。普通やって100種類ぐらい、少し絞って60種類ぐらいでしょうか。そのぐらい分析しないとまずいと思います。
それをどういうカテゴリーに分けるかということですけれど、OH反応性を掛けてやってみる、MIRというのでしょうかOx生成能を掛けてやってみる。そういうもので文献値と今年度測定した値とを合わせて代表的なVOC組成を決めて、それを来年度シミュレーションに使っていく。そのための準備を今年度はやりましょうということだと私は理解していますけれども、よろしいでしょうか。

大原委員 目的は何ですか。

秋元座長 目的はシミュレーションに入れるときに利用します。

大原委員 実際にはエミッションを入れるので、初期値として入れても、1日ぐらいたてばその影響は消えるので、あまり関係ないと思いますけれど。

秋元座長 エミッションの値と大気濃度の値とは1対1ではないという意味ですね。

大原委員 シミュレーションの上でもエミッションのデータを入れれば初期値のデータは1日ぐらいで消えますので、あまり意味はないと思います。

秋元座長 逆に言うと、シミュレーションで出てきたハイドロカーボン組成が実測値とどの程度合っているかということでもあるかと思います。それが合ってくれればいいけれども、大きく違えばエミッションそのものが違っているという話になる。
どういうVOCがオゾン生成に効いているのか、まずその辺を見ておくのは必要かと思います。必ずしもシミュレーションのためだけではなくて、どういうVOCが減ってきているか、減ってきているものが光化学にどの程度効いているのか、そういうことを解析に使えるのではないかと思います。それと、昨年度から問題になっているミッシングVOCとの関係を整理するということではないかと思います。ほかにいかがでしょうか。

指宿委員 今の座長の整理はよくわからないです。VOC標準組成という言い方をしている限り、発生源でどういうVOCが出て、それが大気中ではこういう濃度になるはずだという標準組成なのか。そうではなくて、そういうものが出て反応して大気中でどういう濃度にどんなものがなるという、そのどちらなのかがわからない。何を観測モデルと観測データの一致と見るのかという話なのでしょうか。

秋元座長 大気中のVOC組成をどういう時間帯でどういうふうにとるかにもよると思いますが、星さんのレポートを幾つか読んでみて参考になったのですが、発生源に近いところというか都心部でのデータは、反応してなくなっている部分もあるけれど、例えばエチレン、プロピレンのような反応性の大きいものでもある程度の濃度は自動車排気ガスであるわけです。
そういうものの中身が実際にどうなっていて、どういう成分が今の日本の光化学の生成に効いているのかという見通しをはっきりさせる。そういうものとVOC対策で削減してきたものとの対応、そういうものをある程度見通しを持っておくというのが一つの目的だと理解しています。

指宿委員 ここを検討するときに議論していけばいいと思いますが、少なくともVOC標準組成という言い切り方、これが誤解を生むのではないかと思います。

秋元座長 標準組成という言い方ですね。我が国の一般大気中の代表的な組成というか。日本のVOCの組成と例えばアメリカの組成や中国の組成は、相当違っているところがあります。そういう意味で、我が国のVOC組成の標準というのか代表というのか、そういうものを改めて理解しておくことが大事ではないかと思います。

事務局 今回、夏季ですけれど関東9地点でVOCのモニタリング調査を1週間ぐらいでしょうか、1日2回昼夜別の成分濃度を測るというのを環境省で測定・分析されています。それがシミュレーションに生かせる代表性があるのかどうか、それをまず確認したい。
その代表性を確認する中では、これまで測られた文献値とどれぐらい差があるのか、日本の標準的なという言い方がいいかどうかは問題ありますけれども、その幅の中におさまるのかどうか、それが整理できるのかどうかというところを意味して入れさせていただいております。タイトルが壮大になりすぎていたかもしれませんので、書きぶりは変えさせていただきますけれど、そんなような意図がございます。

指宿委員 あまり議論に時間を使うのはよくないと思いますが、今おっしゃった中でも昼と夜とかそれだけでも違うので、「標準」というものでくくるのはよくないという観点の質問です。

秋元座長 言葉はあるかと思いますけれども、「設定」というのは言いすぎだという感じがします。

金谷委員 エミッションプロファイルベースなのか、大気環境濃度としての話なのか、その辺のところを明示してください。

若松委員 「一般大気中」と書いてあります。

秋元座長 一般大気中です。何回も申し上げているように、一般大気中で東京都やほかに幾つか文献的に測られているもの、今年この調査の中で測られているもの、そういうものの我が国の特性を明らかにするという意味だと思います。
「標準」という言葉は確かにおかしいかもしれないし、「設定」というのもおかしいかもしれないけれども、ともかくVOCの実態をきちんとつかむことがこの検討会の出発点でもありますし、これは絶対に重要だと思います。そういう意味でVOCについては詳しく見ていきましょうと、その程度で理解していただければと思います。

大原委員 内容について異論があるわけではなくて、「標準」という言葉遣いを適切な言葉に換えたほうがよろしいのではないかとおっしゃっているのだと思います。

秋元座長 この言葉は事務局のほうでご検討ください。

浦野委員 全体にこれはかなり複雑で、いろいろな影響因子があって、いろいろなものをしっかりしなければいけないので、用語はできるだけ厳密に中身が極力しっかり表せる形に注意してやらないと、漠然とイメージだけでやっていても何をやっているかわからなくなるので、ぜひよろしく。

秋元座長 ありがとうございます。時間もだいぶ押していますので、次へ移らせていただきます。資料2-2のご説明をお願いします。

議題(2)-2 環境改善効果を適切に示す指標について(資料2-2)

事務局 資料2-2を用いましてご説明させていただきます。
2ページは先ほどの資料と同じですが、光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標についてどうやって求めていくのかというところを確定していきたいというのが、今回のお話です。これから最後取りまとめに至るまで、この指標に対して統計解析をすることになるので、ぜひ今回決めていきたいと思っております。
昨年度、先ほどお話ししたとおり、8時間値の平均値で上位数%を除外した値で3年移動平均をとることで、頑健性のあるものがどうもできそうだというところまでは検討会の中でお話しいただきました。
では、そこの数%が1%なのか2%なのか3%なのかというのは決めきれていなかった部分がございました。
3ページは、「上位数%を除外した値」という一番上の赤枠が決まっていませんので、今回そこを議論していただこうと思っております。
25年度の検討としてはオレンジ枠のところ、99パーセンタイル値、98パーセンタイル値、97パーセンタイル値のどれがいいだろうかということ。一つの方法として、昨年度もやりましたけれども、外れ値を評価する方法で検討してみました。
4ページは解析方法の話です。一つは、光化学オキシダントの汚染の程度を把握して評価する指標、頑健性の高い光化学オキシダントの代表値をつくりたい。基本的には、高濃度発生状況を反映しつつ、短期的な気象変化の影響を軽減するようなものにしたい。
例としてはWHOやEPAが定めている指標が参考になってくるだろう。特にEPAは年間第4位値の3年平均なので、365日のうち14日であれば99%ぐらいにおさまってくるというのが、参考になる資料になるかと思っています。
もう一方で外れ値をこれから議論するのですが、一般的な外れ値は異常値が含まれます。今回用いたデータは、自治体さんで異常値を取り除いて整理されたものになりますので、機械の故障等による異常値を除外した、特異的に本当に高いものを外れ値として検討していきます。
5ページは、昨年度の検討会資料から抜粋したものですが、1%除外した場合、2%除外した場合、どれぐらいのイベントが除外されてしまうのかを示したものです。 左側は関東の例、右側は九州の例ですが、1%除外であれば、これは暖候期だけに入りますけれども、3日の点ぐらいが除外されて割と高いものも残ります。2%になるともう少し増えてきて、3%になると高濃度イベントはかなり除外されてしまいます。90%値は10%除外なので高いところがほとんど除外されてしまいます。99%値か98%値がおさまりはいいというのが見えてきます。
そこを決める一つの評価方法として、外れ値を検討しているということです。
6ページは、外れ値の評価方法をまとめました。25%値と75%値を計算しまして、それの差の1.5倍をQ3(75%値)に足し合わせる。それを超える値であれば外れ値であれば、超えなければ外れ値ではないというふうに評価されます。一般的な外れ値の評価方法の一つとして、こういうやり方がございます。
ここについては赤い線、外れ値になるかどうかの閾値を計算しまして、それぞれ外れ値かどうかを検討してまいりました。
7ページに具体的に評価したものを記載しております。外れ値を評価する指標としましては、8時間値の日最高値の年間99パーセンタイル値であるとか、最高値であるとか、98パーセンタイル値を出しまして、それを3年平均したものです。外れ値かどうかを判定するためのデータは、過去3年間の4~9月の8時間値の日最高値からQ1、Q3を計算して評価しようというものです。
下の図は、ある測定局1局だけのデータを持ってきまして、こういう手順でやりましたよというのを整理しております。下の例では、2009年、2010年、2011年の4~9月のデータでQ1、Q3を計算して、外れ値の閾値の赤い線を計算しております。
グラフでいきますと、緑の帯の下側が25パーセンタイル値、上側が75パーセンタイル値になりますので、この幅の1.5倍したものを75パーセンタイル値に足すと、上側の青い幅になってきます。その上側の青い幅の一番上限のところが、評価するための値になります。
それに対してそれぞれの統計値がそれ以下なのか、以上なのかで、外れ値に相当するかどうかを評価しています。3年間の移動平均になりますので、それぞれ例としてグラフの右側の一番上の×点は過去3年間の8時間値の日最高値の年最高値。この場合は上側になりますので外れ値として評価されます。99パーセンタイル値については赤色より下がりますので、この場合は外れ値ではないというふうに評価されます。
これを全測定局、各年度すべてについて行いまして、どれぐらい外れ値になる局が存在するのかを評価しています。
8ページは一つの例です。先ほどの評価した値は、8時間平均値の日最高値の年間統計値について評価しております。
評価の対象はその前3年分のデータを使っています。
これは横軸1番から601番を書いていますけれど、一つ一つが一つの測定局を表しています。縦軸は濃度になりまして、紫色の面になっているところが外れ値とならない範囲なので、上端側が評価する濃度になります。見にくくなりますので外れ値とならない範囲を小さい順に並べてこのグラフは評価しておりますので、どこかのところが関東、どこかのところが東海といろいろなものが入り乱れている形になります。
赤い×が最大値、青い○が99パーセンタイル値、緑色の△が98パーセンタイル値、オレンジの◇が97パーセンタイル値になります。ざっと見ていくと、99パーセンタイル値が時々外れ値になるという傾向が見てとれます。
9ページは、これを全部の期間について行ってどれぐらい外れ値の局が存在するかを評価したものです。先ほどの紫色のところを超えた局が何局ぐらい比率として存在するかを計算したものでして、関東、東海、阪神、九州すべての局について行っております。
グラフの赤い実線が年最大値について評価したもので、先ほどのグラフで見られたように6割ぐらいの局が常に外れ値に該当します。青色の実線は99パーセンタイル値について評価したもので、最近で一番高いところで20%程度。約20年間で平均すると11%ぐらいが外れ値に該当する局になります。緑色の98パーセンタイル値については0.3%ぐらいになります。オレンジ色の97パーセンタイル値は0%になります。
ただ、昨年の委員会でもご指摘いただきましたが、この外れ値の評価は大体98.X%のところに該当するので当然といえば当然の結果ですけれども、実際に評価してみると、これぐらいの幅におさまることになります。99パーセンタイル値を代表値と選んだ場合は10%ぐらい存在しますが、それなら何とか許容される範囲かなと考えております。
9ページはすべての測定局に対して行っていますが、10ページは地域別に傾向があるかを確認するために分けております。傾向としましては、外れ値となる可能性があるのは関東が多く、次が関西。東海、九州はあまりないという形になります。平均すると11%ぐらいになります。関東が20%弱ぐらい、ほかは5%なり0.X%と、評価としてこれぐらいの局が比率で存在することになります。
11ページは、外れ値になる局が10%存在するのがいいのか悪いのか、それすら指標はないですが、10%ぐらいであれば許容できるというところがあれば、ここの値にしていきたいと考えています。99%値にした場合どういう傾向が出てくるかを評価したのが、11ページ以降になります。
12ページからは具体的なグラフですが、昨年度の検討会でお示しいたしましたグラフになります。8時間値の日最高値の年間99は%値に3年移動平均を掛けて域内の最高値をグラフにしますと、12ページのような形になります。
平成17~19年度から関東、東海、阪神は改善傾向が見られるようになります。18年度がVOC規制の始まった年なので、効果かどうかはわかりませんけれども、何らかの関係はあるだろうというのが示唆されるという状況です。
99%値については、域内の平均値を求めたものを13ページに載せております。関東についてはやや低下する傾向が見られるのに対して、ほかの地域については横ばい、やや上昇するという傾向が見られるのが特徴になります。
14ページは、仮に99%値にした場合、その濃度レベル以上になる測定局がどれぐらい存在するのか経年的に調べたものになります。99%値が100ppb以上になる局数の比率は薄い緑色になりますが、それについては平成14~16年から徐々に比率が減っていく傾向が見てとれます。75ppb以上になると逆に増えていく傾向が見てとれます。こういう特徴を見ることができます。
これは局すべてを平均化したりカウントしたりしていますが、分布としてどう変わるかというのを調べたのが15ページです。これも昨年度の資料そのままになります。関東、東海、関西、九州についてそれぞれ3年間の移動平均の分布がどうなっていくか、左の古いものから一番右の平成21~23年度の新しいものまで分布をとったものになります。今の平均的な傾向とよく似た性格を持っているというのが見てとれます。
16ページにまとめさせていただきしたが、最終的には都市部の近年のオキシダント改善効果はある程度示唆できるものになるでしょう。ただ、平均的な指標は長距離輸送や、タイトレーションも含まれるかもしれませんが、濃度上昇が示唆されるものは表現されるということで、今回1%除外した値で今後評価していきたいということでまとめております。
17ページ以降は、日最高値の年最高値や98パーセンタイル値など、ほかの指標を使った場合どういうふうに変化するかを参考資料として入れさせていただきました。
以上です。

秋元座長 ありがとうございました。特に指標の検討ということで前年度、8時間値をとったものがいいだろう、3年平均をとったものがいいだろうというところまでは来ました。99%値がいいか、98%値がいいか、その辺が積み残しになっていました。これは、今回できれば皆さんのご判断で決めていただきたいと思います。最終報告では、その線に沿った整理を載せるのがわかりやすいかと思います。ご意見はいかがでしょうか。

下原委員 Ox濃度が特異的に高い時は、NOx・VOC以外に、風が非常に弱いとか、紫外線量が非常に強いとか、気象的にも特異的な部分が関与していることが多いと思います。Oxの生成に対しての反応は非常に複雑なので、その部分は除外しないと原因が見えにくくなってくる。98%値にしたら、それも全部省いてしまいます。Ox濃度が高いところも大事なので、ここでは99%値がいいのかなと思います。
ただし、外れ値も大事なので、外れ値1%か2%も含めた高濃度日について,別途,気象を含めて別の解析が必要かと思います。

秋元座長 ありがとうございます。ほかの方はよろしいでしょうか。

板野委員 もともとの指標をつくるコンセプトとして、年々変動があまりないような安定的な統計値を使おうという話だったと思います。その割には、12ページの図は3年の移動平均をとっているにもかかわらず凸凹が激しいです。私自身は高濃度を見る上で年々変動があるのは当たり前だと思うので、それでもよければ99%でいいのですが、もともとのコンセプトと外れていないかを確認させていただきたい。

秋元座長 12ページの図はわかりやすい、3年平均値の年々変動ですけれども、それを含めてこの程度の変動は指標にしてもなおある。これは現実に気象変動が全く消えるわけではありませんので、この程度は残るだろうと思います。だけども、ある程度の平成19~20年以降の傾向や関東と九州の違い、そういうものはこれでも見えるのではないか。この程度ではどうでしょうかというのはそういうことなのですが、いかがでしょうか。
もしよろしければ、今までのご意見も含めて、あまり上のほうを切るのは問題なので、99%くらいには下のほうがいいのではないかという、直感的なものではあります。
アメリカのまねをするわけではないけれども、アメリカの場合は環境基準の評価には年間4位値をとります。アメリカの場合は環境基準を守れるかどうかというのが厳密でして、8時間値で3年間平均の第4位値が75ppbを超えてならない。アメリカの場合はこれを守れないとEPAが訴えられるということになる。日本の環境基準が99.X%守れないと言い続けて済んでいる話とは違うので、それなりに統計的な意味を含めた意味で値を設定している。
たまたま我々が直感的ではありますけれども、99%だとちょうど対応するぐらいのところでいいのではないかという印象ですが、もしこれでお認めいただければ、今後、この検討会の中での解析は99パーセンタイル値で行っていきたいと思います。

金谷委員 今後、この99パーセンタイル値という数字がどのように使われるかに関係あると思うのですが、例えばモデルと今後比較をしていく上で、モデルのほうも99パーセンタイル値をとって比較するようなことがあるのかどうか。モデルと観測値との不確かさの原因はそれぞれ違いますから、それを見越して数値を選んでおくべきかどうかということに関しては、何か指針がありますでしょうか。

秋元座長 モデルがどれぐらい再現するかにもよると思うのですが、逆にそういうことを考えるときにどういうふうにしたらいいという、何かご意見はありますか。

金谷委員 直ちには、気象の原因で例えば観測のほうは99パーセンタイル値、外れ値が出てくることに関して、モデルのほうは気象場まで再現できていないとすれば、1%外れる値は全く違う原因によって起きてくるかもしれない。そこは単純に比較がしにくくなっては困るので先取りして考えるべきかどうかということで、私自身に今は意見があるわけではないです。

秋元座長 モデルは1日変動のピークや何かをどの程度再現できるかにもよるので、今そこを判断するのは難しいかと思います。今回は、観測値の評価はこういうことでやると決めたいと思います。モデルは、シミュレーション結果が実際に出てきたときにその対応がどの程度のものかによって、取り扱いを検討させていただくしか今のところはないのかなという気がします。確かに、全く同じ指標で評価というのは難しいかもしれませんね。

大原委員 確認しますが、10ページの外れ値の検討のところでは、対象期間が4~9月で、12ページ以降は年間ですか。はっきりさせていただきたいのですが。

事務局 99パーセンタイル値を出すときはすべて年間を対象にしています。それの3年移動平均をとるということをしています。ただ、外れ値を評価するためのデータは4~9月の高い時期のデータだけで比較しています。

大原委員 そうすると、年間値で評価した場合と意味が違ってきませんか。

事務局 変わります。昨年度検討会でお話しさせていただきましたが、冬場の高い濃度が出にくい時期を含めてパーセンタイル値をしますと、生成条件が違うもので評価してしまうことになります。外れ値を評価するのは、暖候期で高くなる時期だけで比較したほうがいいというお話をさせていただいて、こういうような処理にしました。

秋元座長 今のご質問に対して明確にするには、12ページは年間平均のトレンドが出ていますけれども、これを4~9月のOx高濃度季節について同じようなものを並べてみる。そのトレンドが似ているのか、暖候期だけでやると違ったトレンドが見えてくるのかをお見せすればいいのではないでしょうか。

事務局 わかりました。

大原委員 そういうコンセプトでまとめられているのですね。だとしたら、最終的に使うのもその対象期間を合わせたほうがよくないですか。

事務局 基本的には、年間値の中の99%値を考えています。

秋元座長 4~9月にするとどういうふうにまずくなりますか。

事務局 まずくはならないと思いますけれども、そこを使っていく行政的なところを考えると、年間値のほうが扱いやすいと思っています。日数的に言うと第4位値が年間であれば、暖候期の半年分であれば99%値という評価をすれば180日の半分なので第2位値ぐらいに相当するかと思います。

大原委員 濃度の確率密度分布を考えた場合には4~9月と年間では違ってきますから、99%値が持つ意味も違いますよね。もしそうであるならば、4~9月で解析してきたわけですから、それで整理したほうがすっきりする。もし行政的に使う場合に支障があるというのでしたら、その理由を明確にしていただいた上で検討するという筋になるかと思います。

秋元座長 そうだと思います。環境基準のような話になったら年間のほうがいいと思うが、ここでの検討会はあくまでもOxが高濃度になる時期に注目して、そこがどうなのかということを議論している。その場合には、4~9月で一貫にしたほうが議論がわかりやすいのではないですか。両方並べていただいてもいいけれど、ここでは解析を4~9月に限ったほうが、冬に上がる。下がるという話は解析の対象外としたほうがわかりやすいと思います。

事務局 わかりました。両方をそろえさせていただいて、最後は使う側のところで判断させていただきますけれど、今回の解析については暖候期についても用意させていただきます。

秋元座長 両方見せてください。ありがとうございます。時間が押して申しわけありません。この検討会では8時間値3年間平均の99%値ということで今後整理していく。そのときには、年間の99%値と4~9月の99%値の両方を見せていただくということで、今日のところはまとめたいと思います。
引き続いて資料2-3をお願いします。

議題(2)-3 データの多角的解析結果(新たな解析結果)(資料2-3)

事務局資料2-3についてまとめさせていただきました。
2ページは一番初めの資料と同じものですが、今回やったところをお示ししております。24年度の追加解析と8時間値による解析の一部ができておりますので、ご紹介させていただきます。
3ページは24年度の追加解析で、4ページをご覧いただきますと、24年度に行った解析と足りなかった部分を整理いたしました。基礎データの整理と既存知見の検証の上段部分で、日統計、期間統計、地域統計をとって経年変化を見てきましたが、そのときにOxを中心に統計解析をさせていただきました。それが白丸でお示ししている部分になります。
POの一部分は実施してきましたが、年間の最高値や季節別など一部実施していないものもかなりありましたので、それをそろえる意味でも今回対象にさせていただいて解析を整理している状況です。統計をとってグラフをつくるところまではしていますが、傾向であるとかの整理が間に合っていませんので、今回はOxとPOを同じように統計をとって並べてみるとどうなるかというものだけお示ししている段階です。もう少し検討をさせていただいて、次回以降ご紹介させていただこうかと思います。
今の表の下段にございます、光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標につきましては十分に実施しておりませんので、今回はOxとPOについて実施していこうと考えております。
期間については「年99%」と書いておりますので、今回は年間99%について整理させていただいています。
5ページからは先ほどの追加解析になります。左側にOxの経年変化、右側にPOの経年変化を並べております。
一番初めは、昼間の最高値の年平均値をとって域内平均値をとったときにどう変わったかということです。平均値については濃度上昇があるというお話を昨年度させていただきましたが、同じことをPOでやった場合には右側のようなグラフになります関東については若干低下傾向が見られますし、九州についてはやや増加するという傾向が平均値のところで見られます。
同じようなことをほかの期間や地域の統計のとり方で整理させていただきますが、今回は内容を吟味していませんので、こういう統計を進めているというご紹介までにとどめさせていただきます。
飛びまして11ページから、解析を進めた部分がありますのでご紹介してまいります。具体的には、8時間値の統計値がどういう傾向を示すのかをもう少し詳しく見ていこうと解析を進めたものです。
12ページには、8時間値につきまして測定局別月別最高値を求めまして、それを域内で一番高いものを求めるということをしまして、それを3年平均しております。12ページの図は関東の例になりますが、実線は8時間値の統計値になります。上側の点線は1時間値について同じようなことをしたものになります。1時間値につきましては7~8月が高くなるという傾向が点線のところで見てとれますが、8時間値の平均をとりますと4月から7~8月までは横ばいしながら、それ以降は濃度が低くなる。このあたりは差が見られているというのが特徴になるかと思います。
同じことを地域別に行ったのが13ページになります。関東、東海、阪神、九州という並びでお示ししております。関東は8時間値が暖候期はほぼ横ばいになりますが、東海は暖候期に差があるという傾向が見られます。阪神については関東と東海の間ぐらいの変化をします。九州については別の動き方をしていまして、特徴的なのは9~10月に濃度が高くなり一回上がるという傾向が見てとれます。
8時間値の統計値と1時間値の統計値は、月代表値の差が関東で大きくて、九州ではあまりなさそうだというのが見てとれましたので、14ページに月の値の差について整理しております。関東は7~8月をピークに、約20ppbの差が出てくるのに対して、九州では8月ぐらいに10ppb程度という濃度差が見てとれます。地域ごとに若干差があるのがここでわかりました。
参考として、15ページにPOで同じ解析をした結果をお示ししております。先ほど関東は暖候期が横ばいでしたけれども、POにした場合は横ばいからやや上昇する傾向があります。ただ、濃度差が7~8月に大きいというのは同じように発生しておりました。
16ページは、関東、東海、阪神、九州、地域別に整理した結果で、これも同じような傾向が見てとれます。ここまでは最高値の話になります。
17ページは平均値について見たものになります。測定局の日最高8時間値について測定局別に月平均値をとりまして、それをさらに地域平均をとり、さらに3年移動平均を月別にとったということで、平均的な濃度がどう変化するのかを見たものになります。
17ページには関東の例を大きく載せていますが、平均値について関東は4~5月に濃度が高くなりまして、それ以降徐々に低くなって12月が最小値になるという傾向があります。濃度差も8月に差が出るところは、先ほどと同じような傾向が見てとれます。
同じことを地域別に行ったのが18ページになります。4~5月に高くなる傾向はどこの地域でも同じように見えるというのが特徴になります。
月別の1時間値と8時間値の濃度差を求めたものが19ページになります。ここになると、平均値について九州は1時間値と8時間値に差は見られないですが、ほかの地域は7~8月に差が大きい傾向はそのまま残るのが見てとれます。
解析が十分ではないですがPOについても同じようなことをしていまして、これも同じような傾向が出ているかと思います。ここまでが月平均値をとったときの各地域の特徴になります。
22ページからは、8時間値と既存指標の関係を整理いたしました。
23ページは、8時間値と1時間値の関係ということで散布図を描いてみようと考えました。これは例ですが、埼玉県の測定局について横軸に8時間値の日最高値、縦軸に昼間の1時間値の最高値をプロットしております。1点がある日の値になります。データ数は年間の測定時間×地点数分が年度ごとにプロットされています。左側の平成2年から23年まで小さく並んでいるものが、1年ごとのものになります。
ざっと見ていきますと、濃度の高い低いはありますが、散布図の形はよく似たようなところがあります。赤い色で見にくいかもしれませんが、一次回帰直線を引いてみたのですが、傾きや切片はあまり年変動がないというのが特徴になりました。
切片と傾きをグラフにしたものが、右側の赤い線と青い線の折れ線グラフになります。傾きについては横ばいか少し下がる傾向はありますが、それほど大きな差は見られません。
傾きに差が見られなかったので最近5年間分をまとめまして先の解析をしたのが、23ページの右下にある大きめの散布図になります。これは、測定時間数×地点数×5年のデータがプロットされていることになります。
見ていきますと。グラフの上限値がどうもありそうでしたので、そのあたりを詳しくさせていだたきました。24ページに解析した内容を示しております。散布図を見ていきますと、緑色の線あたりに一つ線が引けそうだというのが見てとれましたので、緑色の線をうまくつくれないか解析しております。緑色の線を引くために、8時間値を5ppbごとに区切りまして、その5ppbの範囲に入る測定値のデータ数で散布図を描くということをしました。
[1]の5ppbの範囲のデータを抽出することで、青い四角のところから右側のデータ数の頻度図を描きますと、このような形の曲線になりました。その中で上限側の最高値であってもいいですし、99%値でもいいですが、とりあえず99.9%値を選んでみました。解析は99.9%値と99%値をそれぞれ選んで、後で解析しております。
これを帯ごとに求めまして、それを先ほどの散布図にプロットし直します。プロットし直すと多少ばらつくと思いますが、ほぼ直線に乗りそうなので、回帰直線を再度引き直すということで線を引っ張っております。
実際に行ったのは25ページの例になります。これは埼玉県の例ですが、平成19~23年度の5カ年分のデータをすべて使って行った結果です。赤いプロットが各帯の99.9%値でして、8時間値が高い濃度のところで多少ばらつきますが、概ね直線に乗りそうだというのが見てとれました。
この直線を回帰線で引っ張ってみて、例として、日最高の1時間値が120ppbに相当するものは8時間値でどれぐらいになるか算定しています。この場合ですと70.5ppbあたりに想定しますので、1時間値が120ppbを超えないためには8時間値で70.5ppb相当より下回る必要があるというのが見てとれます。
同じことをほかの都府県で行ったのが26ページになります。どこも似たような散布図に見えるのですが、福岡県だけが若干傾きが変わってくるというのが特徴的かと思います。同じように緑色の線を引き、回帰線を引っ張ってみて、120ppbに相当するものが各県で8時間値が何ppbになるかを整理いたしました。
99.9というのは根拠があまりないので、99%についても同じようにしたものが27ページになります。若干低濃度のところが埋もれるような傾向はありますけれども、このような直線になるということで、同じような処理をして120ppbに相当するものを求め直しています。
その結果を28ページの表にまとめることができました。優先解析地域の中でさらに都県を選んで示していますが、99.9%値で回帰線を引いたものについては8時間値が大体70ppb程度になるのが見てとれます。ただ、福岡県だけは回帰線の傾きが変わりますので若干濃度が高いという傾向になります。
99%値で同じ線を引いて評価すると、直線自体は若干右側にずれますので、その評価値はずれて75~80ppb前後になります。冒頭にあったEPAの環境基準75あたりの濃度になってくるというのが示唆されるかと思います。
29ページは参考にやってみたところです。8時間値の年間99パーセンタイル値が、1時間値の年最高値に対してどういう散布図になるのかというものです。横軸が8時間値の99パーセンタイル値、縦軸は1時間値の年最高値になります。この場合は、1点が一つの年度の一つの局を表しております。割とひとまとまりに固まる傾向でして、それぞれ地域ごとにまとめても似たような分布になり、全部重ねてしまうと関東の散布図に大体含まれてくる傾向が見てとれます。
途中段階ですけれどもここまで解析いたしましたので、ご紹介させていただきました。

秋元座長 ありがとうございました。従来の1時間値との対応は非常に興味深い結果だと思います。委員の皆さんからご質問・ご意見がありましたら、どうぞ。

金谷委員 5ページに、阪神が緑色で示されているものがあります。左がOxで右がPOで上下あり、平均と98%値があります。POのほうが阪神の値が下がっているように見えるのは、何か説明がつくのでしょうか。確認していただけたらと思います。6ページも同じです。

事務局 十分に解析していませんが、一つは測定局数の問題も若干入っているかもしれないので、そこは再度検討します。POはNOxとオゾンが両方ないと評価できないので、左側の図も同じ局でやったときに違いがあるのかないのかは比べてみないとわからないかもしれませんので検討します。

秋元座長 POがOxの値より低くなるのは変ですよね。

事務局 Oxについては全局でやっているのですが、POについてはNOxも同時測定している局になるので、対象としている局が変わってしまうというところがあります。

秋元座長 それはよくないですね。Oxのほうは阪神だと50ppbぐらいになっている。それがPOでは45ppbぐらいしか出てこないというのは、あまり意味がないですよね。

事務局 まとめ方を考えます。

秋元座長 あくまでも同じ局でやらないといけないと思います。

事務局 同じ局で行ったものも並べて比較していただく形にします。

秋元座長 そういう不備のあるところはありますけれど、関東ではOxだと増えてきているのがPOにするとフラットになるというのは、それなりに意味のあることではないかと思います。

板野委員 5ページの図で日統計のところが「昼間の最高値」と書かれています。最高値で光化学オキシダントが50ppbということはあり得ないと思うので、何か間違えていますよね。

事務局 これは平均値の誤りです。申しわけございません。

板野委員 それとは別の話で、その後のところで全体を通してですけれども、既存の統計値との関係を解析するところで、日最高値との関係を調べていますよね。昨年度も発言させていただきましたが、自治体で使う一般的な光化学オキシダントの指標としては、昼間(5~20時)平均値が最も一般的に使います。その濃度がどんどん増加しているからこそ、Oxが悪くなっているのではないかという話になっていると理解しています。
昼間の平均値との関係を示すというようなことが、この解析の中でなされるのかどうかを確認させてください。

事務局 例えば散布図でしょうか。

板野委員 はい。

事務局 そこの部分は見ていなかったので検討させていただきます。

下原委員 POは、NOxが硝酸になって粒子になって例えば硝酸ナトリウムとして沈着し、反応系から外れるというのはあまり考えていない。ですから、どの地域でも同じ係数を掛けていますよね。このように,POは割と荒い評価なので,越境などがなければフラットになるのが前提だとしても,実際には、ある程度下がってしまっても概ねフラットである程度の評価で使ってもいいのかなと思っているのですが。

秋元座長 POの意味は、NOタイトレーションの効果をキャンセルするということだと思います。ですから、光化学オキシダントとして増えている理由が、オゾン生成として増えているのか、タイトレーションが消えた分だけ増えているのかの判断をしていることになります。例えば関東の右側の図のようにフラットになるとすると、オゾンが増えているのはタイトレーションの効果が消えてきたのが原因ではないかと思います。それでもなおかつ、九州の場合には増えていますよね。これはオゾンとして本当に増えている。

下原委員 九州のPOが増えていくのは越境だという見方はできるのでしょうが,POが少し下がっていた場合でもほとんどフラットと見ていいのかなと思っています。というのは、POはVOCからの生成や,越境がない場合,必ず一定値ということはなく,実際には,NOxが硝酸になって系から外れる分というのがあるわけで,その程度は地域によって違うわけです。それで、粗々で見てもいいかと思います。POがフラットより下がるとどうこうというところまでの精度はないように考えています。

秋元座長 本当にNOx・VOC対策が進んでオゾンが減ってきた場合には当然、POは下がります。その辺の効果をモデルがどのぐらい再現できるかということもあると思います。今この図で見る限り、確かに関東地方はPOが下がりぎみになっていますよね。

浦野委員 今のお話のように、見るものが二つ並んでいて差を見たいわけですよね。これは差の数値を出していただくといいと思う。光化学オキシダントとポテンシャルオゾンの差がどういうふうに地域で違うか、時期によって変わってきているか。多少誤差があるので精度は出ないけれど、傾向としていろいろな判断に使える。例えば平均値も数値が出ているわけだから、単純に計算できる。ばらつくとは思いますが、傾向としていろいろな判断ができるかなという気がします。
それから、全体として98%、99%、99.9%といろいろ出てきますが、ある意味では任意になってしまう。その辺も考え方を整理して、当面トライでいろいろやるのはいいけれども、あまりいろいろ出てくると、それこそ何を指標にしていいのかわからなくなってしまう。その辺は少し整理していただきたい。
それから、「概ね似たりよったり」という表現をされるけれども、違うといえば違う。28ページ、99.9%で見たときと99%で見たときに大体の傾向は70ppb前後と80ppb前後と一般的には言えるが、両者の差を見ると、東京と愛知は差が大きくなっている。外れ値的なものが多いというか、分布が広いというか、そういう感じになっている。福岡は差が小さいので分布がシャープになっている。
「概ね全部似たりよったりです」ではなくて、99.9%というとほとんど全部入っている。せっかくおもしろい結果が出ているので、その辺の解釈を今後でいいですけれども丁寧にやっていただきたいと思います。

秋元座長 ここは非常におもしろいところでもあり、重要なところでもあると思います。今後、事務局にも検討していただきますし、検討会の委員の方においても、報告書をまとめるときに、どちらかだけにしたほうがいいのか、それぞれの意味を与えて両方与えるのがいいのか、意味をはっきりさせる必要がある。「概ね同じ」というのでは両方出す意味がないと思います。

若松委員 大変興味深く拝見しました。28ページの図ですけれど、地域差が結構あるなという感じがします。関東地方を見ると、東京、埼玉、群馬の流れの中で1時間値と8時間値の差がきれいに順番になっていますよね。神奈川県と埼玉県は比較的近い値を示していますが、特異的なのは愛知県でほかとかなり違っていて、関東と地域差があり、99%値と99.9%値の差が大きいです。福岡も違います。これは、NOxの値を合わせてプロットしてみたらおもしろいかなという気がします。

事務局 NOxですか。

若松委員 NOxです。東京が一番低くて、埼玉、群馬というふうに大きくなっている理由の一つとして、ほかの汚染物の関係もあるのではないか。8時間移動平均したときと最高値との差をもたらすものとして、NOxの影響がありますので、それぞれの地域の図に対応するNOxの値を示していただければ、もう少し解釈が深まる気がします。もしデータがあれば見てみたいと思います。
これはかなりおもしろくて、福岡が特異で99%値と99.9%値はほとんど差がなくて非常にユニフォームな分布ですが、ほかは結構違っている。特にNOxの発生源がたくさんあるところから北へ行くに従って、数値が65ppb、70ppb、78ppbと大きくなっていますので、一次発生源との関係があるという感じがします。これは非常におもしろいと思いますので、もう少し詳しく見てみたいと思います。よろしくお願いいたします。

秋元座長 おっしゃるとおりで、なぜこうなるのかという解釈は必ず理由があるんですよね。簡単に言ってしまうと、日変化が非常に大きいところは値が小さくなる。東京都は8時間値でとると75ppbだけれども、1時間値でとると120ppbのときがある。福岡はフォトケミカルアクティビティが低いのだと思います。だから日変化が非常に少なくて、8時間値と1時間値の差が小さい。直感的に言うとそういうことです。
それがおもしろいことに、18ページの季節変化が、九州だけ非常に特異的で秋にピークが出てくる。これは、越境の影響が春と秋に大きいのが顕わに出ているのかなという気がします。関東の場合は春の越境と夏のローカルプロダクションが両方重なっているので夏がミニマムにはならないですが、九州は夏がミニマムになっています。九州の中でのプロダクションがあまり大きくなくて、越境の影響で春と秋に高く出るとか、恐らくそういう理由を反映していると思います。
私もこれを見るのは初めてなので、委員の方にもその辺の理由も含めて考えていただいて、報告書のときになぜこうなるか、それがこういうような形で表れているということがはっきり言えるとわかりやすいのではないかと思います。この検討会の中で今後議論できたらと思います。今日は初めてなので議論はこの辺にしておきたいと思いますけれども。

板野委員 25ページで、8時間値の日最高値が昼間の1時間値の最高値よりも大きいところがありますよね。25ページの図で下のほうをはいつくばっている点で、8時間値が大きくなっていて、1時間値のほうが小さく出てきているのは、どういうデータになるのでしょうか。

事務局 私もこれは疑問に思っていろいろやっていたのですが、一方は昼間の8時間なので20時間分のデータのプロットで、もう一方は1日分の24時間の分なので、夜間に最高値とか時間帯の違いで出るような感じを整理している中では見ていますが、はっきりした理由はつかんでいないです。
季節別に傾向があるのかなと思って暖候期だけでの解析など、いろいろ解析を進めています。ここの部分の解釈は、データをさかのぼって、どの日がここに該当するのか再検討します。

秋元座長 おっしゃるように単純に疑問がありますね。

大原委員 8時間値はどうやって処理されたのですか。

事務局 夜も入って前8時間の平均値を24個並べています。夜の1時であれば、前の日のデータも含まれて8時間になります。日界がずれるというか、8時間値で日界をつくるかどうかは悩ましいところですけれど、そういったデータにはなっています。8時間値を1日24個はつくるのですが、8時間分なので前の日の分の5時から12時と1時までを含めて、1時の8時間値にしています。
そこの日界の部分と、あとは1時間値が20時でそこから以降は翌5時まで使っていないとか、そのあたりの差が出ているのかなと感覚的にはつかんでいるのですが、はっきりしたことはまだ整理できていません。

大原委員 最後に言われたことの意味がわからない。連続的にデータを処理されているのだったら切れることはないですよね。

事務局 1時間値のほうは昼間(5~20時)の最高値を使っているので、評価する時間は異なります。

秋元座長 Oxも8時間値は日最高値だから、一般には昼間の8時間値になりますよね。夜中に日最高値になるわけがないから。それと1時間値の最高値は、1時間値の最高値のほうが一般には高くなると思いますけれど。

事務局 データを含めて検討します。

秋元座長 何で8時間値のほうが高くなるのか、今日は時間がないので次回までにもう一回見ておいてください。その辺を確かめた上で、次回以降この検討会の委員の方にもこれがどういう意味を持っているのか一緒にお考えいただけるとおもしろいと思います。
ちなみにPOですけれども、実は私、昨日おととい台湾にいましたが、台湾でも全く同じことをやっているんです。台湾も過去10年ぐらいオゾン濃度が上がっています。それがPOになるときれいにフラットになる。
大陸からの越境汚染の影響を台湾も受けているけれど、九州と台湾の場合とでは同じ中国からでも発生源自体が違うでしょうし、少し違うのではないかということもあって、非常におもしろいです。定性的にはほとんど同じに出てきていますね。
資料2-3は継続審議にしまして、2-4に移らせていただきます。

議題(2)-4 データの多角的解析結果報告書(骨子案)(資料2-4)

事務局 資料2-4はまだ十分吟味したわけではないですが、たたき台として、こんな形でまとめていきたいという案を出させていただきました。
タイトルは1ページの真ん中にあるような形。諸言、目次、略語と化学式が入って、2ページから目次的なものを入れております。全体のまとめから、検討会の目的、条件設定、多角的解析結果、光化学オキシダントの効果を適切に示す指標の検討、最後に文献と委員会の話。こういう項目でまとめさせていただければと思いますが、この項目についてご意見をいただければと思います。

秋元座長 今日のはたたき台のたたき台みたいなもので、今後進めていく上でも新たに付け加えたり、リファーしたほうがいいというご意見が出るかと思います。この場ですぐにおわかりのことがあれば言っていただいて、あとはお持ち帰りいただいて、今後修正のご意見をゆっくりいただければいいと思います。
私から一つ、「多角的解析」とか「多角的」と言う必要はないような気がしますが、皆さんどうですか。この案だと、タイトルそのものにも「光化学オキシダントの多角的解析と対策へ向けた指標の提言」と入っているんですね。

後藤課長補佐 もともと平成23年度検討会報告書にあった項目をそのまま置かせていただいているだけですので、そこは適切な表現にさせていただきます。

秋元座長 平成23年度検討会報告書に「多角的」と入れてありましたか。

後藤課長補佐 はい。今後の課題の一つがデータの多角的解析になっていたので、そのジャンルという意味で一応置いているだけです。そこはまたよくご相談して、単に名前だけの話ですので検討したいと思います。

秋元座長 平成23年度検討会報告書で意図的に使った記憶はないけれども、前にも使っていたんですね。今日でなくてもいいですけれども、適切かどうか検討ください。皆さんがよければ結構です。ほかに今の時点でございませんでしょうか。

板野委員 「2.6 解析結果についての留意点」で、校正法の変更によって、今回、大気環境学会で山口県の長田さんが発表された内容でもありますが、実際の測定データを見ても校正法の変更前と後で濃度のギャップが出てきているみたいです。今回のデータで、校正法が変わった後のデータを含めるかどうかということも、この場で考えておいたほうがいいのではないかと思います。

秋元座長 非常に悩ましい問題で、環境省のご判断も必要だと思いますが、差の大きい局、少ない局と局によって違います。

板野委員 今後の課題の中にも書かれていた部分ですけれども、局ごとというか、県とか市レベルで違います。平面的にも違うし、いつ切り替えたかも違います。こういう解析をするときにギャップができると非常にややこしいし、モデルとの合う・合わないを考えるにしても、今のスケールで合ったとしても前回は合っていないみたいな、変なことが起こります。
精度管理関係の業務の中でやらせていただいているのですが、平成22年度ぐらいから切り替わっているので、ここの解析の後ろが2年ぐらいは入っています。県ごとの補正係数を何とか決めようと、いつから係数を掛ければいいかというのを今年度に調査しようと思っています。山口さんにもご相談していますが、いま調査しないと、今後はさらに把握できなくなるので全国的に最終的な調査をかけて、何らかの補正係数を出そうと思っております。もしそれを使っていただけるならば、割といい補正係数になると思います。

秋元座長 それが今年度に間に合うかどうかですが、間に合わない場合は、直近のところは切るほうがすっきりするかもしれませんね。

事務局 切るとなると、22年度以降のデータを使わないということでしょうか。

秋元座長 そうでしょうね。

向井委員 校正法変更し始めて3年たっていますので、早いところだと21年の終わりから切り替わっています。この間、一回試しにやっていただいた結果を見ても、それほど大きな変化は見えていません。もちろんギャップはありますが、戻すことは可能だと思います。むしろ、できるだけこの解析の期間を踏襲したほうがいいのではないでしょうか。

秋元座長 いつ、その辺の結果を見せていただけるでしょうか。

向井委員 解析している県が特定されていますので、そこを先にやるという手はあると思うので努力してみます。

秋元座長 ここは関東、東海、阪神、九州に絞っているので、その辺のところを先に見せていただけると判断しやすいと思います。向井さんに今後フォローしていただいて、わかり次第、インプットしていただいて、切るほうはそう難しくないだろうから、最終的な報告書にどうするかをやっていければと思います。

竹内委員 3ページの骨子案の目次ですけれど、「4.光化学オキシダントの効果を……」というところは「光化学オキシダント対策の効果」のことだと思います。昨年度の業務報告でも、検討しているときは「環境改善効果を表す指標」という名前で検討していまして、報告書になると「対策の効果を表す」という形になっています。
読んだときに「環境改善効果を表す指標」だと、最初に環境改善ありきで、後付けで無理やり「指標」を付けているような印象があります。この骨子案の目次のようなタイトルのほうが望ましいのではという気はします。ですから、この資料の中にあるような「環境改善」というより、こちらのほうがいいという気がします。

後藤課長補佐 一応、環境基本計画の中で「環境改善効果を適切に示す指標を検討する」となっております。文言としましては、行政的に、今までVOC対策やNOx対策をやってきてその効果がなかなか見えないというところもございまして、その名称を使っていただけたらと思っています。誤解がないように何か表現するとしても、名前はその指標だということがわかるようにしたいと思っています。

竹内委員 効果の有無も含めての指標ですから、なしということもあるから構わないとは思いますが。

秋元座長 タイトルに入れるかどうかと、報告書の中で説明するかとでは印象は違うと思いますけれど、そこも後の検討事項にしましょう。報告書のたたき台が出てきたところで、また当然ご議論いただくことになると思いますが、今日のところはざっくりと、このような感じのものをつくるということを意識していただければと思います。 次は議事(3)になります。お願いします。

議題(3) シミュレーションモデルを用いた検討の進め方について(資料3)

事務局 資料3を説明させていただきます。今回は、今年実施する計画をご説明させていただいて、何か追加して調べたほうがいいとか、ご意見をいただければありがたいと思っています。
今年度に実施する内容ですが、一つは文献調査ということで、先行事例について文献を調査して整理します。それを踏まえて、調査フレームの検討を今年度中に決めていただきます。検討いただいたフレームに基づいて、エピソード解析を予定しております。
2ページに、表1-1にフレームの検討項目の案をお示ししております。項目としては、目的、条件設定(対象年度、解析月、地域、インベントリ、モデル、サブモデルの選定、計算条件、入力条件)。精度評価では、何をもって精度がある・なしという話をするのかというところはフレーム検討の中で決めていきたいと思っています。
対策検討では、これまでの対策効果をどういうふうに検証するのか、もしくは今後どういう対策が必要で、どういう効果を見込んでいくのかというところです。この他、検討会の開催と調査スケジュールという話をさせていただければと思っております。
3ページの文献調査は、次回の検討会までに、できるだけいろいろな資料を集めたいと思っています。一つは、国、自治体が実施した先行的な調査を集めて、どのような検討をされたかを整理させていただきます。もう一つは、研究機関、学術機関が論文等で発表されている内容を整理させていただこうと思っております。
4ページは、調査フレームの検討ということで具体的にそれぞれの項目について検討していきます。文献調査の結果を踏まえて、次回こんなふうにしていきたいですという案をお示しできればと思っています。
5ページから6ページは、事務局で考えている検討課題を表に整理しております。
7ページから8ページは、このような形で考えていきたいという具体的な例になります。
9ページは、これらのフレームを確定した中で、エピソード解析に基づき選定したモデルでどれぐらい再現できそうかを試算することを考えています。高濃度事例について関東、九州の1事例ずつ計算して、今のところこれぐらいですというところをお示しする予定です。この解析だけで、年間統計や99パーセンタイル値の解析はできませんし、今回の解析だけでは再現性の評価は不十分だと思いますので、来年度フレームに沿った形で再現性の検証を詰めていきたいと思っております。
以上です。

秋元座長 今の時点での全体的なご意見をいただきたいのですが、私から先に言っておきたいのは文献調査です。行政が今までやってきたものをレビューしてもあまり意味はないと思います。やるならクリティカルレビューが必要で、前のものはなぜだめだったかみたいなことを指摘することになるので、それはあまりいい姿ではない。
むしろ、アメリカでシミュレーションを使ったOx対策戦略がたくさん歴史的にやられているので、その中の幾つか代表的な論文をレビューする。シミュレーションをどんなふうに使っているか、NOx律速やVOC律速はどういうふうな議論がなされているか調査したほうが、来年度作業する上で参考になるかと思います。
幾つかレビューしていただくのはいいけれども、これは自治体や国でシミュレーションをやったものの文献調査という意味ですよね。

事務局 はい。

秋元座長 シミュレーションを使ってやってきたもので、国内でレビューしなければいけないものはあまりない。昨年も一昨年も申し上げたのだけれども、サイエンティフィックポリシーで本当のサイエンスをベースとしたポリシー解析を始めたのは、恐らくここが初めてぐらいだと思います。
サイエンスの衣をまとったのはなくはないけれども、現時点で最善の知見をもとにして議論したというのはあまりないと思います。今までの行政の調査は、行政の目標が先にあって、それが常識とあまりかけ離れていないことを示すためにシミュレーションを見せた。そういう使い方をしている。それでは絶対に、将来これを減らしたらこうなるという本当の答えは出てこないというのが私の考えだし、恐らく同意いただけるのではないかと思います。
過去の行政調査のレビューをしてもしょうがない。むしろ文献的なジャーナルペーパーで、何を議論して、どういう不確定性を議論しているかというあたりをレビューしていただけると、来年以降の作業に参考になると思います。文献調査の進め方は次回以降お考えください。
ほかの方、どうぞ。

下原委員 シミュレーションで最初にVOCを3割カットして、それが予測と合わないということがありました。その原因は植物起源のVOCが予測よりも多いからなのか、あるいはNOx律速、VOC律速があるのか、あるいは越境の分がかさ上げしているのか。
私が一番期待して知りたいのは、関東2カ所でもいいですけれど、NOx律速、VOC律速、越境を含めて推定してもらい、植物由来のVOCがこの程度,反応量として存在していれば,VOC30%削減の効果は効かないという、一つの可能性でも示していただければということです。

秋元座長 当然そういう作業は来年以降やることになると思いますが、VOCを30%下げたらばどうなるというのがうまく当たらなかったのは、その次元よりもワンランク下の次元です。それをレビューすると前の方の批判になるので言いませんけれども、植物起源VOCや未知VOCが無視されたから再現しないというのは、そういうレベルの話ではないと思います。きちんとモデルでの検証がなされていない。

事務局 今おっしゃられたのは未知VOCの影響という形でフレームの中に組み込んでいただいて、来年度検討していきたいと思っております。よろしくお願いします。

秋元座長 そういうことをきちんとやっていければと思います。

大原委員 2点あります。座長がおっしゃられたことは基本的には同意しますが、国内でも幾つかジャーナルあるいはジャーナルに近い形の成果発表をした、国内を対象にしたシミュレーションモデルの結果があろうかと思います。それもレビューをしていただいたほうがいいかというのが1点。
もう一つは、言葉のあやかもしれないですが少し気になったので確認します。1ページの中段に、「光化学オキシダント対策の効果検証や今後の対策検討に最適なシミュレーションモデルのフレームについて検討」と書いてありますが、シミュレーションモデルのフレームでいいでしょうか。

事務局 すみません。モデルではなくて調査のほうのフレームになります。修正させていただきます。

浦野委員 調査というのはモニタリングですか。

事務局 いや、今回の「シミュレーションモデルを活用した光化学オキシダント対策の効果検証や今後の対策検討」を調査するフレームです。

浦野委員 調査という言葉もいろいろある。日本語を正確に使ってください。

事務局 今年度実施したいことは、シミュレーションモデルを活用した対策効果を検討するための調査フレームを整理したいということです。

大原委員 お聞きしたかったのは、将来予測、あるいは将来の対策シナリオをつくって検討するとか、そういうことまでやるのだろうと思っていましたが、実施するのであればモデルというよりはシミュレーションに関するフレームになろうかと思いまして、確認させていただいたということです。

事務局 ご指摘のとおりです。「今後の実現可能な対策の検討」という項目も考えていますので、その辺も踏まえて将来何年度という設定をする必要があるのか、それとも現状に対してどれだけ減らさなければいけないという話にするべきかも含めてご検討いただければと思っております。

若松委員 「複数のモデルを用いたエピソード解析」という表現がありますが、もう少し具体的に教えてください。例えば気象モデルも複数のモデルを使いますか。表にはWRF/ChemとWRF-CMAQと二つが書いてあって、それが複数ですか。ほかにも何かありますか。どういうことを考えているのか聞きたいのですけれど。

事務局 まだ十分に検討はしていないですけれども、気象モデルについてはWRF一本で、化学輸送モデルをCAMxやCMAQなど複数モデル選んでいこうかと思っています。

若松委員 複数の反応モデルにしたほうがよいように思います。モデルは気象モデルも全部含みますので、気象モデルはWRFでやると決めて、それは共通に使って、ほかのモデルを比較に使ったほうが混乱はないです。その辺はきちんと書いていただければと思います。

事務局 丁寧に書くようにします。

秋元座長 最初に私が言い過ぎだったかもしれないけれども、アメリカだけを対象にするわけではなくて、国内の学術論文に出ているようなものはレビューする。そうではない行政報告は、参考にしてもしょうがないだろうということです。

浦野委員 予算の関係もあるので無理なことは要求できないですけれど、「エピソード解析に基づくモデル再現性の検証」というのがありますが。

秋元座長 また出てきますか。その言葉はやめようと言ったときに……。

浦野委員 やめようといっても資料は前に作成していますので。最後のページに、これだけのことを検証しますみたいなことが書いてある。1週間程度の1事例をやって、モデルが動くか、あるいは入れるべきデータがそろっているかどうかぐらいの確認はできるが、再現性の検証ができるまで今回はいかないと思います。もう少し正直に、やるべきことを書いたほうがいい。やれないことまでみんな書いてしまうと、1事例の1週間程度でモデル計算して検証なんかできるのかと思います。

秋元座長 こういうことをやっているから今までモデルが当たらないんですよ。そうではなくて、まず年間の遠隔地でのシグナルバリュエーションを出す。1年間の計算をするぐらいの覚悟でやって、暖候期(4~9月)に限ってもいいけれど、半年ぐらいの計算を行う。まず遠隔地の観測値の再現性を確認して、次に都市部を関東地方なり九州なりで6カ月分計算する。そのぐらいのつもりでやっていただかないと、今までを乗り越えることにならないと思います。

後藤課長補佐 おっしゃるとおりだと思います。遠隔地の測定値で合わせていくという、長期間モデルを回すというのは今年度はできませんけれども、来年度そこにつながるようにしていきたいと思います。

秋元座長 その辺の考え方を今回の検討会でしておけばいいと思います。

浦野委員 来年度やるために、今年度どこまで何をしたらいいのかということを整理する。今年度やることと来年度何をやるかということ、やれることあるいはやるべきことを整理しておかないと、25年度調査の計画で1事例を1週間やりますと言われたって、そんなことで大丈夫かなと思ってしまう。

秋元座長 こんなのはやってもしょうがないです。

後藤課長補佐 そこは取捨選択でもう一回、次回の検討会でお示ししたいと思います。申しわけありません。

井上委員 今年度の主要課題は、シミュレーションのフレームを検討することだと思います。その検討にあたって例えば再現性の評価、精度評価するときに、VOC規制で行ったシミュレーションの結果が報告書の8ページに載っていますが、そのときにアメリカのEPA指標で検討はされているみたいです。今度またEPA指標だけを見て、いいからということでそのままいっても予測を見間違うことがあると思います。
ここはどういう排出削減をしたらいいかを決めようとしている場ですから、それがわかるような検証方法をフレームとして検討するのも重要だと思います。例えばここで挙げられています、平日、休日の排出構造に伴う週末効果の地域分布が再現されるかというのは一つの重要な例ですけれども、ほかにもNOx律速、VOC律速に関連したOHラジカル、あるいは全硝酸、ホルムアルデヒドも検証したほうがいい。その辺を含めてご検討いただければと思います。

秋元座長 フレームを検討すること自身がこの検討会の一つの役割ですので、1回分ぐらい時間をとってもらってもいいと思いますけれど、どういうステップでいくべきか検討会としてまとめられればと思います。

井上委員 ついでですけれども、EPAの指標は、こういう指標は使わないほうがいいというのが最近の報告書に出ていますので、EPAの報告書からレビューされるのが一番いいと個人的には思います。

秋元座長 EPAの報告書に使わないほうがいいと書いてありますか。

井上委員 はい。使わないほうがいいと書いてあります。

秋元座長 その辺は読んでいませんけれども。

事務局 指標を評価する値は採用されなくなりましたが、バイアスなどの指標の計算は行い、他の先行事例と比べて比較・評価することは必要となっているかと思います。そのあたりは考慮しながらやろうかと思っております。

秋元座長 EPAは使わないほうがいいというのは、何を使わないほうがいいということですか。

井上委員 閾値は使わないほうがいいということです。ここに目標値でNB(Normalized BIAS)が0.15、NGE(Normalized Gross Error)が0.35というのがありますけれど、それは区切らないほうがいいということです。

秋元座長 最近の数値はあまり知りませんけれど、確認をお願いします。ほかによろしいでしょうか。ありがとうございます。
今日は、こんなことを考えているということを示してもたったということで、次回以降に詳細を詰めたいと思います。
同じようなことかもしれませんけれども、次にVOCモニタリングデータについて資料4をお願いします。

議題(4) VOCモニタリングデータの整理・検証の進め方について(資料4)

事務局 資料4のご説明をさせていただきます。光化学オキシダントの前駆物質の一つであるVOCについては、VOC総体としての排出量とOxとの関係であるとか、NMHCのモニタリングデータとOxデータの解析という格好で解析をこれまでやってきました。ご議論のとおり、VOCについてはいろいろな物質が大気中に存在していてそれぞれ反応性も違いますので、個別成分に着目してOxとの関係を解析する必要があるだろうと思います。
 今年度は、個別のVOCの成分を既存の文献や過去の既往調査を整理して、単純に濃度だけではなくて個別の反応性も考慮した形で、光化学オキシダント生成に重要なVOCが何であるか、組成、季節変化、地域別特徴等を把握したいと考えております。これは、1ページの概要にあります平成25年度の予定の①に相当する部分です。資料2-1の説明でも少しご議論いただきましたが、国内の標準的組成の設定と言われている部分に相当します。内容につきましてはこの後ご説明させていただきます。
もう一つは、植物から排出される植物VOCについても、OxやPM2.5の二次生成にかなり寄与しているということですので、これについてはもう少し情報を収集するとともに、去年それから今年も環境省の事業で実測調査をしていますので、その結果について検証したいと考えております。
解析に用いるデータは、個別のVOCを調査している文献、東京都、埼玉県を含めて自治体の過去の既往調査事例を収集するとともに、環境省で従来やられていたモニタリング調査の結果を含めて解析を行いたいと考えております。
2ページは具体的な解析方法です。既存の文献、既往調査の中で個別のVOCの濃度を整理することは当然やりますけれども、併せて反応性も考慮した形で重要な物質を整理したいと考えております。
光化学オキシダントの生成に効く物質の解析方法の手法として、一つはよく使われるものでOHラジカルとの反応速度定数を濃度に掛け算したもの、あるいは光化学オキシダントの生成能をMIRと呼ばれている指標を使って解析する方法を考えております。 OHラジカルとの速度定数を使う場合は、二次生成物質であるOxに限定したものではありませんけれども、光化学反応性を示す指標としては広く使われているということで、実際に反応速度定数について多くの物質にで得られています。
MIRのほうは、オゾンの生成に絞ったものですので、光化学オキシダントに与える影響という意味では適切な指標かと考えております。
2.2に、OHラジカルとの反応速度定数を指標とした場合の解析の例をお示ししています。具体的には、各個別成分の濃度にkOH(OHラジカルとの反応速度定数)を掛けたもの、ここではRI(Reactivity Index)と仮に定義していまして、この値を比較することによって、反応性を考慮した場合に大気中でどんな成分が光化学反応性という意味で寄与しているのかを整理したいと考えております。
もう少し具体的な解析例として3ページの図2-1になります。上の段は、実際の個別成分の単純な大気濃度をppbで表したもの、左側が絶対値、右側が割合で表しています。これを季節別に整理した上で、個別の濃度にkOHを掛けることによって、反応性を考慮した形で評価するとどんなVOCが効いているかを解析したいと考えております。
この例でご説明しますと、大気中濃度の組成でいうと、エタン、プロパンといった低級アルカンの割合が濃度としては高いですが、反応性を考慮するとこれらの物質については反応性が低いので、寄与としてはあまり表れてこない。これは下半分の図になります。一方で、夏場のイソプレン、青いグラフで示しているものについては、反応性を考慮すると濃度の割に効いてくるという解析結果が得られています。 こういったものから、国内の季節別にどういった成分が濃度としては多く、反応性を考えた場合にはどういったものが効いているか。あとは、植物の例えばイソプレンの寄与がどの程度までありそうかを整理したいと考えております。
図2-1ではkOHを反応性の指標として考慮していますけれども、MIRの定義は式2に記載していますけれども、VOCが増加した場合のオゾン生成能の増加という指標が文献値等で得られていますので、これをkOHの代わりに用いることで同じような解析ができるかと考えております。
4ページは、もう一つ大きなテーマとして、植物VOC(BVOC)の調査結果の検証を考えております。昨年度この業務の中でも、植物VOCについて幾つか実測調査を行って結果を整理しました。イソプレンやピネンについては国内の測定事例が割とあるのですが、それ以外の物資については測定法自体が確立されていないこともあって報告例が少なかったので、去年測定した結果が妥当なものかどうかが見えないという部分がありました。
今年度については、引き続き既往の調査事例を探して妥当性を比較検証するということ。あとは、参考資料にお示ししていますけれども、環境省さんの別の事業で、去年測定したBVOCを含むVOCのモニタリング調査をやられています。この結果も併せながら、去年のBVOC調査結果の代表性等を確認したいと考えています。
3.2では、そうはいっても国内の調査事例がイソプレンやピネン以外は少ないので、もう一つの観点から妥当性を検証しようと考えています。
具体的には、植物から出るエミッション側の排出係数の比と大気中の寿命を考慮して、去年の結果がオーダー的に妥当なものかどうかの検証をしようと思っております。
植物VOCは何種類かありますけれども、例えば物質Aに対して物質Bは排出強度が10倍で寿命が同じだとすれば、大気中濃度は10倍ぐらいBのほうが高い。逆に、排出強度は一緒でも大気中の寿命が10分の1であれば、10分の1ぐらいの濃度になるでしょうという当たりをつけて、それを測定結果と比較することを考えています。
排出強度については、できるだけ国内の樹種を対象とした排出係数を収集する。大気中の寿命は、メインはOHラジカルかとは思いますが、併せてオゾンやNO3ラジカルとの反応を考慮した場合に、大気中濃度のオーダーが前年度の結果あるいは今年度の結果と合わせて妥当なものかどうかを検証したいと考えております。 以上です。

秋元座長 ありがとうございます。VOCは非常に大変ですけれども、コメントをお願いします。

若松委員 誤解しているかもしれませんが、植物に関しては量の議論がありましたが、ほかのものについては存在量の議論が聞けなかった。基本的にMIRは、すべてある一定量をふらしたときにNOxもふらせるんですけれども、どれだけオゾンが増えるかということで反応性の評価にはなりますが、反応性は低くてもたくさんあればオゾンはできます。その議論が聞けなかったんですが、それはどう考えますか。
植物起源はその話がありましたけれども、こういったことをやると反応性が高いものはオゾンをつくるという話になりますが、反応性が高くても少ししかなければトータルとして寄与しません。全体の面的なオゾンと1対1ではないです。そこはきちんとやらないと、変なことになるという気がします。

事務局 ここで考えているのは、MIRそのものを比較しましょうということではありません。MIRを指標として、それに大気濃度を掛け算したものを指標として、量も考えた場合にどの成分が効くか検証しようかと思っています。

若松委員 そういう使い方ができますか?

事務局 全部は調べていないですがそういった事例もあったので、そういうやり方もあるかと考えています。

秋元座長 この資料の書き方がおかしいのはないでしょうか。式2というのはMIRの定義だけが書いてあるから変なので、式1に対応するとRI=C×MIRではないでしょうか。

事務局 そのとおりです。実際に、解析するときは濃度に掛け算した格好で評価したいと考えています。

秋元座長 そのときに、こっち(MIR)は重量あたりなのでppbあたりと違うので、その辺は合せないといけない。

事務局 そこは考慮します。

秋元座長 そういうことで、それはいいと思うのですが、MIRにするとアロマティクスがオレフィンに比べて効いてきます。それはなぜかというと、二次生成物がさらにオゾン生成に効いてくるからですが、普通のモデルではそこまで入っていない。それで、未知VOCが出てくる。
これはこれで一つの見通しをつける上で非常にいいと思いますが、モデルに入れる排出量との対応はそう簡単にはいかないという気がします。現状である大気中の炭化水素・VOCの何が本当に効いてそうか、そのトレンドがどうかという議論は、シミュレーションと離れて測定データとして重要だと思いますので、まとめていただければと思います。

浦野委員 私たちもVOCを測定し、インベントリをいろいろ解析していますが、シミュレーションモデルとつなげるというのは非常に難しい。実測やインベントリを充実して、それでモデルに役立つしっかり合うようなデータを出すということは、もともとあきらめたほうがいいと思っています。
言い方はおかしいですけれど、逆にシミュレーションモデルのほうで不明な分のVOCなり、あるいはトータルでもいいですけれど、RIなりなんなりでどのぐらいの量があれば再現性が合うのか検討したほうがいい。今までわかっているVOCの状態からすれば、時期や場所によりますけれども不明分がこのぐらいあると把握する。そういうことを逆に出して、その不明分がいろいろな情報から説明できるのかを検討するといいのではないでしょうか。
測定値やインベントリから積み上げて、シミュレーションに入れる数値を推計してシミュレーションを合わせようというのは、無理なような気がします。発想を転換してシミュレーションのほうから、なぜ合わないかというと不明な分が結構ある、あるいは地域によって結構変わると。そういうものをある程度推計して出して、それがどういうデータで説明できるかと逆にいったほうが説明できる。説明できなければ、そこをもう少し詳細に調べようとか、そういう形にいかないとゴールに行かないんじゃないかという気がします。

秋元座長 ありがとうございます。

井上委員 MIRを用いた解析は元来、排出量にMIRを掛けて比較するものです。それを濃度で掛けてやると、MIRが高いものは反応で減っていますから、その辺のことが混ざり合って変なことになるかと思うのですが、その辺はどうなんでしょう。

秋元座長 それは恐らくkOHも同じだと思います。実際に大気濃度が反応性のあるものは減っているということはあるので、その点は全部共通です。そこをどう処理するかは別として、ある程度の見通しをつける上で、OHでやるのとMIRでやるのとでは相対比がどう変わってくるかがわかるように、検討をつけるというぐらいに考えていただければいいかと思います。
例えば、図2-1は様々な炭化水素の種類が書いてあって細かくて見えないけれども、今までのは含酸素化合物ですよね。アルコールとかエーテルとか、その手のものがトータルVOCに対しては相当重要だというのが、星さんのデータにもありましたし、ほかの方のデータにもあると思います。そういうのはkOHがあまり大きくないので、大気中のトータルVOCの量としては非常に重要だけれども、反応性からいうと相対的にそれほど大きくなってこない。逆にオレフィンは非常に重要になってくる。アロマティクスも重要になってくる。MIRにすると、オレフィンよりもアロマティクスが大きくなる。その辺の傾向を把握して共有するという、そんなことかと思いますけれども。ほかにはよろしいでしょうか。

指宿委員 冒頭に重なってくると思いますが、資料4はどういうVOCについて発生源のインベントリを調べるべきかという、そういうデータを求めるための考察ではないかと思います。kOHやMIRの値自身を見ていってもしょうがない。例えば、アルコールでkOHHの大きいものが大気中にどれぐらい出ているのか。そういうデータをそろえることで、何がオゾン生成によく効いているVOCなのかがわかるのではないでしょうか。そこがはっきりしないから、精度が上がらないのだと思います。このままだと、kOHだ、MIRだと追いかけるだけで何も出てこない。

秋元座長 解析して、何も出てこないということはない。ベースになるのは大気中の実測です。ただ、未知のものをこの検討会で探せというのは変な話なので、今までに文献を含めて分析されているものの中で、どういうものが光化学反応に効いているかを抽出したい。VOCが減っているといっても、反応性として本当に減っているのか、そうでないものが減っているのか。その辺の見通しをつけると、今後の方向が見えてくるのではないかと思います。

指宿委員 大気中濃度を測ったというふうに簡単にデータとして出てきますけれど、このデータがどういう時間帯で、どういうふうに測ったものだというのが提示されないと、3ページのデータは意味がわからないです。

秋元座長 それはそうです。実測値の取り扱いは、昼間のデータ、夜のデータがいろいろあって、反応がなくなっているものばかり扱ってもしょうがないので、その辺は注意しなければいけないですね。

指宿委員 それをちゃんと頭の中に入れて、データの収集と解析をしてもらわないと、何が出てきたかわからないことになります。

事務局 ご指摘のとおりだと思いますので、データを整理する段階でわかりやすい形でしたいと思います。

秋元座長 これはそれぞれ、今後、実際にデータが出てきたときにまたご議論いただくことになるかと思いますけれども、今日は最初のところで、こういうことを取り扱うということでご理解いただければと思います。
15分ほど時間をオーバーしましたけれども、最後に議事(5)その他、事務局からはよろしいでしょうか。

議事(5)その他

後藤課長補佐 特にございません。

 

秋元座長 それでは、今日の議事はこの辺で終了させていただいて、事務局におわたししたいと思います。

閉会

後藤課長補佐 秋元座長、ありがとうございました。最後に幾つか事務連絡をさせていただきます。次回の検討会につきましては、日程調整のご連絡をさせていただいておりますけれども、一応11月の下旬で考えていますが、調整がうまくできていませんので、少し範囲を広げて聞かせていただきたいと思います。
また、本検討会におきましても、委員の皆様からのご助言やご意見等がございましたら、事務局まで電子メール等でお寄せいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
委員の皆様、本日は長時間にわたりご討議を賜りありがとうございました。以上をもちまして、平成25年度光化学オキシダント調査検討委員会(第1回)を終了いたします。ありがとうございました。

以上

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