環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成23年度)

第6回光化学オキシダント調査検討会 会議録

1.日時 平成24年3月8日(木)14:00~17:00

2.場所 LEN貸会議室「新御茶ノ水」1階 1-A会議室

3.出席者(五十音順 敬称略)

(委員)
秋元 肇   安藤 研司  石井康一郎  板野 泰之
井上 和也  指宿 堯嗣  岩崎 好陽  大原 利眞
金谷 有剛  坂本 和彦  下原 孝章  竹内 庸夫
土屋 徳之  向井 人史  若松 伸司
(欠席)
浦野 紘平  橋本 光正
(環境省)
鷺坂局長 山本大気環境課長 山本大気環境課長補佐 
栗林大気環境課長補佐 吉崎大気環境課長補佐 芳川係長
(事務局)
ムラタ計測器サービス(株)

4.議題

(1)光化学オキシダント調査検討会 報告書(案)について
(2)その他

5.配付資料

資料1
光化学オキシダント調査検討会 報告書(案)
参考資料
「光化学オキシダント調査検討会」報告書について(案)

6.議事

芳川係長定刻となりましたので、ただ今から第6回光化学オキシダント調査検討会を開催させていただきます。本日は各委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。私は本日司会を務めさせていただきます、環境省大気環境課の芳川と申します。よろしくお願いいたします。本日は、橋本委員、浦野委員からご欠席のご連絡をいただいております。また板野委員におかれましては少し遅れるとのことでございます。なお、委員等のご紹介、設置要綱等のご説明につきましては前回に引き続き省略させていただきたいと思います。
本日の資料でございますが、お手元の議事次第に配布資料一覧を掲載させていただいております。今回も資料の確認につきましては省略させていただきますので、もし資料の不足等がございましたら会議中でも結構でございますのでお申し付けいただければと思います。なおプレス関係の皆様におかれましては、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、これ以降の議事進行につきましては秋元座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

秋元座長皆様、年度末のお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。この検討会もいよいよ最終回になりまして、本日、お手元にあるこの報告書の案、これを最終的にご審議いただいて、この委員会として承認ということにさせていただくことを期待しております。議事次第がお手元にありますが、今日はこの報告書の案の審議、これがすべてでございます。これから2時から5時までの予定ですが、集中的にご審議をお願いしたいと思います。
それでは早速ですが、この報告書の案を2つに分けて、事務局からご説明いただくということにしております。最初が第1章から第3章までの修正箇所と、第4章については新たに付け加わっておりますので中身をご説明いただくということになっております。それでは第1章から第4章までの部分の説明を事務局からお願いいたします。

山本課長補佐(第1章から第4章の説明)

秋元座長ありがとうございました。それではまず、第1章から第3章までの部分、ここは前回までに指摘されたことの修正ということですので、特段ご意見がなければ第4章の方に議論を進めたいと思いますが、第1章から第3章まで、何かコメントがございますでしょうか。よろしければ、新たに付け加わった第4章の部分の、特に地域別の解析の部分について、ご意見をいただきたいと思います。それぞれ、関東、中部、関西、九州とありますので、それぞれの地域の方、特にご発言がありましたらコメントをいただきたいと思います。

大原委員2点確認です。ひとつは52ページの【データから見えること】の2番目の点で、「春季は夏季に比べ気象要因以外の影響を多く受け」の根拠を教えてください。もうひとつは、55ページの【データから見えること】の、1番目の解釈ですが、「環境基準値以上の出現率は、春季は平成19年度以降増加、夏季は横ばい」ということですが、56、57ページをみると、特に春季について19年度以降増加しているという記述でよいのかどうか。この図から言えるのは、19年度以降は、18年度以前に比べて出現率が増えているということであって、増加という意味が「トレンドでみた場合に増加傾向にある」ということならば、ここでは増加という記述にしないほうがよくて、トレンドではなくて、18年度以前に比べて19年度以降が増えているということを言いたいのであるならば、そのことを明確に記述したほうがよいのではないかという2点です。

秋元座長ありがとうございます。事務局からお願いします。

事務局まず1点目の52ページの「春季が夏季に比べ気象要因以外の影響を多く受け」という部分ですが、これは単純に相関係数を見比べて春季が夏季に比べて気象要因との相関が低いというところから、気象要因以外の影響を多く受けて年々変動が生じているのではないかという記述にさせていただきました。2点目の55ページの環境基準値以上の出現率が19年度以降増加という記述はご指摘のとおりですので、トレンドとしての増加傾向というよりもただ単純に2007年以降3、4年間増加しているということですので、その部分については表現を修正させていただきたいと思います。

大原委員1点目についてですが、気象要因以外という表現は、正しくないと思います。というのは、いまの説明ですと54ページで気象の指標として取り上げているのは全天日射量と気温だけであって、当然それ以外の気象の要素というのはいろいろあるわけですね。相関的な気象場もあるし風の流れもあるし、場合によっては、関係するかどうかは別にして交通量などいろいろあると思いますので、どう表現を変えたらよいのかというのはすぐに思いつきませんが、少なくとも54ページの図から52ページの2番目を表現するのは正しくないと思います。

事務局修正させていただきます。

秋元座長大原委員のおっしゃるとおりだと思います。あえて言うならば、ここでいえるのは全天日射量と平均気温との相関が余り高くないというということです。気象要素は拡大しないほうがいいと思います。他もその2つをもって気象要素という言葉を使っているところもあるならば、そこも全部具体的に直したほうがいいです。55ページにも「気象要素により年々変動が大きい」とありますが、ここで見ているのはあくまでもこの2つの指標だけです。他にどうぞ。

指宿委員いまの部分と関連しているのですが、増加傾向にある云々というのが非常に言いにくいのは、東京都でも他の地域でも2010年以降は上がっているためですね。これについて考察があればもう少しはっきりと傾向の議論ができると思いますが、それについて何か見解があるのでしょうか。2011年度のデータはまだ出ていないのでしょうか。

山本課長補佐まだ出ていないです。

秋元座長いまのご指摘は57ページですか。

指宿委員たとえば61ページのグラフでみても、東京や埼玉などは2010年が跳ね上がっています。

秋元座長大原委員が言われたのは56ページの2007年から上がっているというところです。

指宿委員それでみると、2010年は出現率は下がっているわけです。

秋元座長その2つの問題は別にしたほうがよいと思います。先ほどの大原委員のご意見は2007年以降上がっているというのはトレンドとして増加しているのではなく、2007年以前に比べて濃度が上がったということですし、指宿委員が言われたのは2010年と2011年で1回下がったのがまた上がったりしているその変動は何ですかということですね。

指宿委員そういう意味です。

秋元座長前者は先ほどの回答でよろしいと思いますが、後者の2010年や2011年の変化については何かありますか。

山本課長補佐まず、2011年度については、まだ年度が終わっておりませんのでデータがございません。2010年度までの評価がオフィシャルにできるわけですが、ご存知のように2010年の夏は非常に暑かったということで、素案では2009年までの傾向でお示ししておりまして、それが本日の報告書案では2010年度が追加されて、少し上がっているというところが頻繁に見られます。まず、これをどう捉えるかにつきましては、経年変化については、ある程度長い期間でみていく必要があるということと、報告書の中で折々データのまとめ的な部分、評価を入れておりますが、あまり断定的な評価をしないように事務局としては気をつけております。そのため、一番最後にご紹介しましたように、高濃度のパーセンタイル値の経年変動とNOxとNMHCの濃度の推移を大雑把に比較して、VOC排出抑制の効果が発現している可能性が示唆される、など非常に遠慮した表現にして、断定的な評価をしないことを念頭において表現を注意しております。また、一定の気象条件につきましては、たとえば関東地域でいいますと、日数が一定の気象条件といいましても増えておりまして、たとえば58ページの中央より下の、「各年の一定の気象条件の日数は以下に示すとおりである」ということで、積算日射量が18から25MJ/m2、最高気温が25から34℃未満、平均風速は1.5から2.5m/s未満という条件で抽出すると、2010年は11日で、この11年間では2番目に多い。一番多いのは2008年度の14日で、比較的高濃度が出やすい日が多かったというのが分かるのですが、気象条件を完全に揃えるというのは無理がありまして、そういう意味からいっても、断定的な表現はできないというのが全体的に考えているところでございます。

秋元座長ありがとうございます。後のほうの、今後やるべきことの中にも出てくると思いますが、こういうものは評価の指標の問題で、統計的に安定した指標をとらないと年々変動が大きくなって、それを1年ごとの上がり下がりを議論することは生産的ではない気がします。現在は1年毎のまとめをしないという事務局の方針でよろしいと思います。他のご意見ございましたらどうぞ。

竹内委員今の議論に関連して、気象条件のところで、今回気温の上限が入りましたが、58ページの中ほどの、34℃に決めたところの表現で、34℃以上の日が出現した年としない年が存在するから34℃にしたという書き方は、意味が良く分からないといいますか、こういう書き方にするのであれば、単に34℃にしたとか、データ数を配慮して34℃にしたというような書き方のほうがよろしいと思います。

秋元座長ありがとうございます。事務局はどうですか。

事務局ご指摘のとおり、なぜ34℃かと言われたときに、34℃以上の年がなかったためというのが理由だったのですが、分かりにくくなってしまうということでしたら、条件を配慮して、という形に修正させていただきます。理由としては、34℃以上の年があった年となかった年があるので、ばらつきを減らすために条件を設定したということでございます。

秋元座長ここは表現を変えたほうがよろしいと思います。ないから、というのは理由として適切ではなくて、ある条件にあっているところを抽出したという記述の方がよいと思います。ご検討ください。

山本課長補佐一定期間を通した比較をよりしやすくするためというようなことでしょうか。

秋元座長たとえば、日積算日射量なども25MJ/m2になっているのはなぜかという議論です。たしか、ある日射量とOxの高濃度との相関のみたいなもので、ある範囲のところはある程度の相関があるけれども、それをはずれた域についてはあまり相関がなくなるといったところでの判断があって、日射量の範囲や平均風速の範囲が選ばれたのではなかったかと思います。そういう意味で、気温も日本の夏の典型的なある部分を取り出したということだったかという記憶がありますが、別に25 MJ/m2もそれ以上がないからというわけではないと思います。おそらく気温についてもそういうことで上限を決めたということのほうがよろしいと思います。

山本課長補佐各項目とも、全体的に、東京都のオキシダント検討会の考え方を採用させていただいておりますので、そのときの決められた根拠なども改めて確認しながら、ここでの書きぶりを検討させていただきます。

秋元座長よろしくお願いします。

若松委員今の議論の関連で、「一定の気象条件」という言葉が、気象条件の影響を全て除外した結果だと受け取られがちなので、少し注意したほうがよいと思います。たとえば気温はオゾンの生成に寄与しますが、25℃から34℃の間で、ある年は低いほうに多く、ある年は高いほうに多かった、となると、それだけで気象条件の影響が年によって違うことになるわけです。ですから、この作業をしたことによって、気象条件の影響を完全に除外しているのだという印象を与えるのはまずいので、一定の範囲の気象条件を設定したときの一定の幅の中での比較というような表現のほうが、より正確ではないかと思います。なんとなく、2010年に高くなっているのは、気象条件以外で上がっているのだというイメージを持つかもしれませんが、高温の日が多かったのでそうなっている可能性もあるので、一定の気象条件で抽出しても気象の影響が含まれているのだということを、どこかで分かるような表現にしたほうが誤解がないかと思います。

山本課長補佐まさにそのとおりだと思います。小見出しに一定の気象条件日と書いてしまうと、気象条件を揃えたのかと誤解を招く危険性がありますので、見出しの書き方を変えまして、いまの言葉も参考にして修正したいと思います。

井上委員いまの若松委員のお話というのは、たとえば59ページで、気象要素を一定条件に揃えたら、平均としては一定だけれどもそれだけでは不十分ということでしょうか。

坂本委員サンプル数が多ければ、もっと統計的に一定の範囲を刻んでいくことが出来るので分かるわけですが、結果的には一定の気象条件ということではなく、特定の気象条件の範囲にあるものなわけです。年によって相当程度何らかの違いがあるのに、このタイトルだとあたかも気象条件はまったく一定で、他の要因の影響が原因だと受け取られてしまう。気象条件の影響も相当入っているわけです。だからこの抽出したものをさらに温度の高いほうと低いほうい分けて解析したら、また明らかに違いがでるということもあると思います。いろいろなところがそうなのですが、ランク別の区切り方とか、統計的な要素は、範囲を仮に区切ったとしても幅が広ければ広いほど、いろいろな問題がそこに同時に入っているということを承知して、データを読まないといけないと思います。

大原委員若松委員、坂本委員がおっしゃられたことに賛成なのですが、そうはいってもこの解析を行った目的はできるだけ気象の条件を除外した上で解析したいことですから、当然その除外できる程度は限界があるのですが、やはり気象の状況をできるだけ少なくした上で解析したいということは明記する。その上で、そうはいっても気温の条件といっても10度くらいの幅があって、その幅の中での年々変動は当然ありうるわけで、その変動性を考慮した上で解釈するという書きぶりにする必要があると思います。その上で、付け足したほうがいいかもしれないと思ったのが、59ページの気象の平均値の経年変化のグラフにバー、シグマをつけたらどうですか。

秋元座長よろしいでしょうか。そういうふうにしていただきましょう。一定の気象条件というのは、確かに解析の一歩前進なのですね。今までそういうものを全然考慮しないでばらばらになっていたものをある範囲に区切ったことによって、ある程度の安定性を得た。ただもちろんそれは十分ではないということはそのとおりだと思います。その辺の意味付けはきちんと分かるようにしていただけるといいと思います。

指宿委員80ページの図で、2002年度を除くという言い方をされていますが、どういう根拠ですか。

事務局 2002年度だけが特異的に散布図の中にありましたので、除外してみたら相関が変わるということを示してみました。

指宿委員そういうことに意味があるのかどうかというのが気になります。そういうことである結論に導いてしまうというのは、統計的にこれがおかしいことが証明されているのであればよいですが、恣意的に除外したということにならないかという心配があります。

秋元座長これの元になっているのが79ページの図だと思いますが、2002年度は確かに夏季が特異年です。これがなぜここまで下がっているのか、ある程度原因が推測できれば非常に分かりやすいことになると思いますが。

指宿委員そういうことを注釈を入れておくというのがいいと思います。他のところももう1箇所あったと思います。

秋元座長たしかに外れているから除くというのは、恣意的なやり方で、統計的によくないと思いますので、何かしらコメントを入れた上で、異常年だから外したというようなことを書くなど、事務局は工夫をお願いします。

山本課長補佐検討させていただきます。

大原委員92ページと95ページの【データから見えること】ですが、95ページの一番下の記述ですが、「注意報発令レベル以上の出現は春季に見られるが、大陸からの大規模な越境汚染の発生の有無により年変動が生じる」というところに関して、越境汚染の影響であるという根拠がこの資料にほとんどないと思いますが、どうでしょう。それと関連して、92ページの【データから見えること】の下から3行目、「春季の年々変動には全天日射量の影響を強く受けている可能性」というところで、確かに図では相関性が高い傾向がしっかりと出ているので間違いではないと思いますが、ひとつ気になるのは、先ほどの記述との関係で、95ページは越境汚染の影響によって発令レベル以上の年々変動といっていて、片や92ページでは全天日射量の影響を受けた年々変動が大きいといっている。この両者が整合的かどうかという点です。同時に、全天日射量との相関が高いからといって、全天日射量の影響が大きいとは言えないかも知れないという点が気になりました。

事務局 越境につきましては、ご指摘のとおり、こちらには越境汚染がいつ起こったかという研究の成果について引用するということをやっておりませんでしたので、そういう研究論文などを引用するという形で付け加えさせていただきたいと思います。全天日射量の影響を受けて年々変動が生じている可能性という部分につきましては、単純に年々変動でオゾン濃度がばたばたするところは日射量の影響を強く受けているのではないかという形で、相関の数字から書かせていただきましたので、書き方を改めさせていただきます。

板野委員91ページの図の解釈ですが、たとえば奈良県は、大阪市及び堺市臨海部で測られたNMHCと奈良県のOxの相関が示されているということでよろしいでしょうか。

事務局 奈良県につきましては、大阪市及び堺市臨海部の前駆物質との相関という形になっております。

板野委員ここで気になるのが、90ページの【データから見えること】のところで、大阪府、京都府、奈良県での光化学オキシダントと前駆物質の相関の違いが書いてありますが、大阪府内でのOxと前駆物質との関係をみるのと、大阪都心部での前駆物質と、たとえば奈良県でのOxとの関係は意味合いが違うと思うので、図とデータから見えることの関連が曖昧になってしまう。やり方としてこれで大丈夫なのか気になります。

事務局 こちらにつきましては、88ページに図としてNOxの7月から8月の平均濃度の地理的分布をお示ししておりまして、大阪の臨海部のNOxが高濃度になっているということで、こちらから海風に乗って内陸部に移送する中で高濃度になっていくという、関東地方と同じような考え方をここでも適用し、データ整理をしております。

板野委員そういう場合、90ページに、「このことから、大阪府では」という一文がありますが、この文章の中で、「他のエリアへの影響や未同定のVOCまたは前駆物質以外の要因等により光化学オキシダント濃度の低減効果が小さくなっている可能性が考えられるが」と、ここに繋がっていくのが違和感があります。要は、京都、大阪、奈良と図を3つ作っておいて、大阪府での傾向が違うから、未同定のVOCなどの影響が考えられるということに繋がっていくことに違和感があります。

事務局 こちらにつきましては、大阪、京都、奈良とそれぞれ大阪市の前駆物質との相関を見た上で、京都は中程度、奈良はやや弱い相関になっておりますが、それに比べて大阪府の相関は、大阪市自体から出ているものとの相関が非常に低いということで、ここでは、大阪府のその他のエリアからの発生源からの影響、もしくは未同定のVOCなどの前駆物質以外の要因によって大阪府での相関が弱くなっている可能性が考えられるが要因は不明という書き方にさせていただきました。

秋元座長板野委員の違和感も分からないではないです。もし言うのであれば、なぜ京都、奈良のほうが良いのかということですが、事務局のご説明でいえば、いわゆる他地域への移流という中で、もし発生源の多くが大阪湾地域にあって、それが流されていってだんだんとOx濃度が上がっていく、下流域のほうが相関が良くなるのだということを言いたいのであれば、そういう説明で、大阪府がなぜ悪いかという話よりも、外のほうが良くなる理由をコメントされるのはよいと思います。本当にそうなのかというのは今はわかりませんが、他地域への移流のほうが今回のような相関が出るということあってもおかしくはないと思います。この辺は、言い方を少し変えられますか。

事務局 修正を検討させていただきます。

山本課長補佐板野委員にご相談させていただきますので、ご指導をよろしくお願いします。

若松委員もともとその場所の朝のNMHCとオゾンとの関係の取り扱い方はおかしいですよね。それに対しては、今後それを検討していく材料としてこれが役に立つとよいと思います。板野委員がおっしゃる大阪と他の地域との関係をここであまり言ってしまうと、大阪市における対策の根拠がなくなるというか、難しい問題が起きてくるので、これまで行われてきたその地域の朝のものとオゾンの関係を見直すべきだという方向性はどこかで示しておいたほうがよいと思います。

秋元座長前にも申し上げましたが、NMHCがなぜ6時から9時なのかということで、30年、40年前の想定の元にこういうとり方をしましたが、現在の知識からいうと決してその時間のNMHCがその日のオゾンにそれほど相関がいいはずがないということも分かっているので、どこかにそういう一般論の議論に繋がる記述があるとよいと思います。ただそれが大阪、京都のところに書くのがよいのかどうかは別問題だとは思います。

向井委員同じ図のところで、たとえば大阪と京都全域を比較して、その期間は10年間ですが、その間にNOxもVOCも下がるという変化があり、NOxがX軸にとらえていますが、オゾンの関係もある程度シフトする可能性はあります。5年区切りくらいで前半5年、後半5年というように色を変えていただくなどするとよろしいかと思います。

秋元座長これは91ページの図ですか。

向井委員いろいろなところに出てきますが、この図自体が10年間のまとめなので、前半5年とVOC対策後の5年など、5年毎くらいに分けてプロットすると相関係数が変化しているのかどうかというところが分かると思います。

秋元座長たとえば91ページの図で、前半と後半で色を分けたときに、差や傾向が見えるかということですね。事務局は今からやられますか。

向井委員時間があればで結構です。

山本課長補佐技術的には可能ですが、今年度中にできるかどうかは何ともお約束できません。ただ少なくとも今後の検討課題としては受け止めていきたいと考えます。この報告書全体の中での、地域別に5種類の解析をやって全体のまとめとして高濃度パーセンタイルに着目してという全体の流れはこの報告書としては維持したいと考えております。

大原委員この章で一番大事なところについて議論しておく必要があるのではないかという視点から発言させていただきます。103ページ、104ページのところは、要はVOCの排出規制の効果があったのかどうかという記述だと思います。個人的にはVOCの排出によってOxが下がっている傾向が見られているようだということに賛同しますが、気になったのが、NOxの効果について、見方が少し不十分という感じがしています。というのは、2006年度以降はNOxが下がっています。VOCも下がっていますが、どちらが効いているのかというのはこれだけでは分からない。その視点で、その下の相関図をみると、NMHCのほうがNOxよりもOxに対する相関係数が高いということからNMHCのほうが効いているのだろうというふうには言えるかもしれないが、減らないけれどもNOxの効果が否定できるほどの根拠でもない、と思うので、103ページの文章をもう少しNOxの影響もありうるということにしたほうがいいのではないかと思います。ただ、104ページの上の図4.1.3-36では、2005年度以前で見た場合に、NOxのほうは年々変動が大きいのですが、5、6年で少し下がっているようにも見受けられる。一方NMHCのほうは少し増加しているように見受けられるということで、一方、オゾンは103ページの図を見るとあがっているということから、NOxとNMHCの比率を抜きにしてみた場合には、NOxによるところの低減効果が見られないということがいえるかもしれない。そこまで考えた場合には、VOCの削減効果は、2006年度以降あった可能性が高いということがいえるかと思いました。

秋元座長これだけでこの2つを分離するのは難しいですね。そういう目での解析なりがあればよいのですが。事務局はどうですか。

山本課長補佐NOxがどれくらい効果があったのかということについては、説明の文章が一切ございませんで、【データから見えること】の中も「VOC排出抑制制度等の」の「等」の中にあるのだろうという推測でしか読めませんので、このあたりは文章は若干増えますが、正確さを損なわない範囲で、もう少し丁寧な説明を追加する方向で検討させていただきます。

秋元座長NOxにはある程度は目配りはしているのだということを少し入れておいたほうがよいと思います。

井上委員先ほどの大原委員と同じ図で、自分の見方ですと、2000年を基準にしては何パーセントVOCを下げたら光化学スモッグがどれだけ減るということがVOC排出抑制制度の目的だったと思うので、2000年と比較すると2010年は増えているほうが多い、もちろん気象要素の要因などがありますから、単純にみるのは難しいというのはおっしゃるとおりだと思いますが、一応この解析というのは気象要素を抜きにした場合にどうかということを見たい図だと思うので、この図でいって、2000年から2010年にかけてはほとんどのところで上がっているということは、言及したほうがよいのではないかという気がしましたが、いかがでしょうか。それに関連して、2000年から2005年までが上がってしまっているから2005年以降下がっても2000年と同じか少し上昇しているということですが、21ページにある2000年から2005年の排出量の図を見ますと、確実に減っているわけです。オゾン生成ポテンシャルで見ても減っていますが、なぜかこの5年間は上がっていると、その点がどうしても納得ができなくて、その理由が知りたくて仕方がない感じなのですが、何か言及できることがあれば教えていただければと思います。

秋元座長私からのコメントとしては、2000年がもし基準年であれば、それからのものを見るべきですが、効果が現れるためには、ある程度以上削減が効いたときに初めて見えてくる。いまもし越境が増えていて、そのしのぎあいがあったとすると、あるところまでは多少減っても、越境が増えた分にかぶって見えてこない。しかしそれが30パーセントや50パーセント減ってくれば、さすがに削減効果が見えてくる。定性的にはそういう解釈もありうると思います。そういう意味で2005年以降ここまでVOCが30パーセント、40パーセント減った時点で初めて見えてきたのかという解釈もありうるかと思います。そうなっても定性的にはおかしくはないと思いますが、事務局はどう解釈されますか。

下原委員104ページの図は6時から9時でのNMHCの変動ですから、21ページの図とはおそらくそのまま比較できないと思います。

秋元座長井上委員の質問は、むしろ103ページのOxとの相関を言っておられるのですよね。NOx、VOCの対比というよりは、103ページのOxの濃度が2005年までは下がらず、ほとんど上がり気味で、2005年以降にようやく下がってきていて、片や一方はずっと下がり続けているのはどういうことなのか、ということだと思います。事務局のほうは、あえて入れるのであれば、2005年以降かなり減ってきたので、対策が効いてきたのではないかといった表現になるのではないかと思います。

山本課長補佐この検討会の背景としまして、VOC排出抑制制度の効果をゆくゆくは検証して対外的に打ち出していかないといけないというのがありますので、その必要性からいいますと、2006年前後からどうだという評価はある一定程度この報告書の中に入れておきたいと思います。一方、井上委員がおっしゃいました対策の基準年である2000年との比較ということも当然根拠があるものなので、それを追加して記述することはやぶさかではございません。

秋元座長最後の文章をどうするかは預からせていただくことになるかもしれません。第4章まではこの辺でよろしいでしょうか。続いて第5章、6章の部分をご説明お願いします。

山本課長補佐(第5章、第6章の説明)

秋元座長はい、ありがとうございました。第5章、第6章につきましては、第5章の方は大部分が前回までにご議論いただいたもので多少手直しがありましたが、117ページにコラムがひとつ加わったところ以外はあまり大きな変化はないと思いますので、そこだけを集中的に議論しまして、第6章は最後の大事なところですので、こちらに議論を集中したいと思います。
まず第5章のところで、117ページにコラムが加わっています。これは金谷委員からのご要望ということでしたので、金谷委員から一言お願いいたします。

金谷委員ただいま山本課長補佐からご紹介がありましたとおりですけれど、これは東京の目黒区という非常に限定的な場所における解析ということで、それ以外のたとえば埼玉県とかでの解析はまったく別の結果になってもおかしくはないということは注意をしていただきたいということでございます。通常、この委員会では3次元モデルシミュレーションに関する議論が多くなされてきたわけです。その場合には、たとえばVOCについてエミッションインベントリを入力して計算される大気中濃度が実態と対応しているのかどうかというのを、検証しながら進めていかなければいけない。一方で、この解析ではボックスモデルを使っておりまして、VOCあるいはNOxといった前駆体の物質濃度に関しては実測値に固定しながら解析ができるというメリットがございまして、より実態に近い解析をするというメリットがあります。やっていることはNOxとVOC、ここではNMHCの濃度を縦軸にしていますが、それをボックスモデルの中で実際の値から変動させながら、オキシダントの正味の生成速度を計算し、どこに山が来るのかというのをカラーの等高線で示しておりまして、おなじみのようにVOC律速、NOx律速およびその中間的な混合律速というような形が表現されているということでございます。その一番高い、尾根の部分というのがVOC/NOx ratioでいいますと20ぐらいの赤の点線で示されている位置にあります。図の中の点が、実際に測定された地点でのNOx、NMHCの1時間ごとの結果で、それが基本的に20よりも小さい方側、すなわちVOC律速側にあるというのがこの東京目黒区の結果です。ただしスモッグが現れた3日間、特にオキシダント濃度が高濃度になった3日間に関しては、黒で縁取られた点がそれに対応するのですが、より混合律速に近いところに存在しているということが特徴でございます。さらにより詳しい解析になりますが、点の中の色は、モデルでオキシダントの生成速度を計算したものとは別に、HO2ラジカルというオゾンの生成速度に直接関わる物質濃度の測定結果に基づいて計算をした結果です。そのVOC, NOx依存性もモデルとまた近い結果を得ているということであります。全体として、どちらの場合でもVOCを下げれば、すなわち縦軸を下げていけばオキシダントの生成速度は実際の状況よりも下がるであろうということを、このグラフは一つの事例として示しているものです。以上です。

秋元座長ありがとうございます。初めての方は少し分かりにくいと思うのですが、全体の流れから言いますと116ページのいわゆる等濃度曲線といわれる図、これは昔からある図で、これの利用方法についてはいろいろ議論があって、この検討会の中でもいろいろな委員からご議論がありましたし、どういう風に使っていくかという議論が延々と続いているわけなのですが、それに関連していて、今の研究ではそれがもう一歩進んでこういうことができますよ、という一つの事例と考えていただければ良いかと思います。116ページの図との一つの違いは、116ページの図はだいたいオゾンの最高濃度、つまりオゾンの濃度が等濃度となる曲線を構成しているのですが、117ページの方は正味のオゾンの生成速度、F-Dというものが図の上にありますが、formationマイナスdestructionつまり生成と消滅の差を取っているという意味で、いわゆる正味のオゾン生成となっています。つまり、オゾン濃度だと必ずしもその場でできたオゾンではなくて、移流で入ってきたオゾンやバックグラウンドのオゾンなどが全部積み重なってくるので、さらに議論が難しくなってくる。それを、その場でオゾンができるのにどちらの前駆物質が効いているのか、という見方をしたのが117ページの等濃度曲線と見ていただければ良いと思います。116ページの図はモデルで計算すればこうなるという図なのですが、これが本当なのかということが検証することが普通できないのですね。そういう意味で危うさがあります。モデリングの反応スキームが十分でなかったり移流の影響がうまく入れられていなかったりということでうまくいかないことが多いのですが、117ページの図だとそれをもう一歩踏み込んで、実証することがある程度できる、先ほど金谷委員がおっしゃったHO2ラジカルという反応中間体ですね、オゾンを生成する直接の中間体、連鎖反応の連鎖キャリア、そういったものを測定することによってこのモデルで計算されたこういうものが実体とあっているかということを検証することができる、それが一番大きな意味だと私は理解しております。そしてそのように実際にやった例で、比較的良く合いましたという一つの事例として理解していただければよいかと思います。そういう意味でこの図は一つの研究到達レベルを示すものとして意味があると思うので、入れたらよいかと思います。上の説明が少し分かりにくいと思いますので、これは事務局と相談してもう少し分かりやすいように簡略化していただいたほうが良いかと思います。はいどうぞ。

若松委員すみません。今の117ページの情報は役に立つと思うので、ぜひ掲載していただければと思うのですが、これまでは縦軸がNOx横軸がVOCとなっておりますので、もし可能であればこれを裏返しにして縦横を逆にした図を載せていただければ読者にとっては親切かなと思いますので、ご検討いただければと思います。

秋元座長それはよくあることですね。可能でしょうか。

金谷委員ご指摘のとおりだと思います。

秋元座長それではその図は金谷委員に差し替えていただくということでお願いします。

井上委員私も一点だけよろしいでしょうか。大変興味深い図をお示しいただきありがとうございます。これは地表面でのオゾン生成速度でございます。しかし実際のオゾンというのは境界層全般に渡って生成されるものであって、上空のところのVOC律速、NOx律速というのがこの地表面の値よりどちらにずれるかということはある程度ご存知であるかと思うのですが、そのあたりはどうでしょう。地表面で見ているのと境界層全体で見た場合、上空に行くほど多分NOxの方が小さくなると思うのですが、そうすると上空の場合、もっとNOx律速になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

金谷委員そのとおりの効果がございます。東京目黒区1点に限ったことと同様で、高度に関しても地上1点、地上付近での結果であるという条件を示すべきだと思います。

秋元座長ありがとうございました。それではここは修正したうえでこういうコラムを入れさせていただくということで、ご理解いただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。それでは第6章ですね。これは前回、ロジックが分からないとかいろいろ言われて、事務局が努力されて分かりやすくされました。

若松委員中身の議論ではないのですが、152ページの図で、普通はずっと資料があって最後に説明があるというのがなんとなく分かりやすいと思うのですが、入れる場所を工夫して、6.1の152ページは簡単に全体のことを言っておいて、6.1の最後のところでまとめたほうが良いのではないでしょうか。読者は一番最後に目が行くので、もし可能であれば一番最後にしたほうが良いのではないかなと私は思いますが、いかがでしょうか。

秋元座長最後というのはどこを意味するのですか。

若松委員6.4あたりでしょうか。

秋元座長第6章の最後という意味ですか。

若松委員はい。今の構成上、最初に中身が述べられた後に詳細を記述という形になっていますが、そうではなくて、最後に6.1.2から6.2.4までやった結果が最後に6.1.1のように整理できますよという方がなんとなく流れとしては良いのではないでしょうか。どちらでも好みの問題かもしれませんがいかがでしょうか。

秋元座長この辺はちょっとどちらが良いかというのは難しいですね。他の委員の方、いかがですか。どちらがよろしいでしょうか。

大原委員私は前の方が良いと思います。

秋元座長その辺はちょっと趣味の問題にもなってきて、あまりロジカルにどちらかでなければというものでもないような気がするのですが。はい、事務局どうぞ。

山本課長補佐第4章と第5章にはそれぞれ最後にまとめのものを1枚入れております。そして現状では第6章には最後のまとめの部分がございません。この第6章につきましてはこの調査研究のあり方ということで、地域の設定からはじめまして、161ページから171ページまで11ページ分ございますので、作業としましてはこれを1枚でまとめ、今後どういうことが必要なのかというページを付け足すのは可能でございます。その場合、今は152ページはあくまで第6章の構成を目次のような案内にとどまるものでまとめはございませんが、172ページの次あたりにまとめとして移動することになります。作業的には可能でございますので、ご指示をいただけたらと思います。

秋元座長他の委員の方で何か意見はありますか。どうぞ。

指宿委員今のと関連して、171ページの図はいらないのではないかと思うのですがいかがでしょうか。本来は、152ページの図があって、この調査研究でどうモデルシステムをきちんとするかというのを受けて、その対策の評価で使っていくというそういう流れですね。ところがこの171ページの図は評価手法というタイトルになっています。評価手法はその前に決めなければいけないのですよね。評価手法をどうやって対策に使うかということがここにはさらっと書いてあれば良いので、それの代わりに今の152ページの図があると分かりやすいな、と思います。

秋元座長はい、分かりました。確かに171ページはシミュレーションを総括しているような感覚に見えます。

指宿委員むしろ170ページにシミュレーションの話は完結させた方が分かりやすいのではないでしょうか。

秋元座長そうですね。それでは、若松委員からのご提案の152ページの図を6.3のあたりにしますか。

大原委員全体の概念を説明するという意味にとどめるということで152ページのポンチ図はあってもいいのではないでしょうか。これがあると6.1の内容がなんとなく最初に分かって、理解しやすいと思いますので、あっていいのではないかと思います。152ページの図の右側の文章は要らないかもしれません。

秋元座長この矢印の中のものですね。そうですね。152ページの三角の図はそのまま残して、右側の矢印と矢印の中に入った文章は省いて見やすくすっきりさせましょう。全体にこういう内容ですよということを示しているということで、172ページのところは後で確認することにして、とりあえず残しておきましょう。できれば順番にご意見ありましたら。
155ページの(2)のタイトルの「現在のシミュレーションモデルについて」の"現在の"というのが違和感があるのですが、これは今、環境省の検討会で作ってきたというか、見繕えてきたというかそういう意味ですね。これをなんて呼んだらいいか。この座長は若松委員でしょうか。

若松委員(2)のタイトルはなくていいのではないでしょうか。具体的にずらっと綴って(1)につなげてこの(2)の内容があればよいので、(2)のタイトルを一行削除したらよいのではないでしょうか。

秋元座長この検討会で検討されてきたシミュレーションモデルは以下のとおりである、というものならばいいのだけど。

山本課長補佐(2)の小見出しは削除したいと思います。

秋元座長はい。そうしてください。細かいところですが、計算領域の後に計算の分解能みたいなものもそれぞれ東アジア、関東広域、関東域で何kmメッシュでやっているか、ということを入れた方が親切かと思います。

山本課長補佐はい。分解能を追加いたします。

秋元座長またCMAQも細かいことを言えばバージョンがありますよね。

山本課長補佐第2回検討会で大原委員にご説明いただいた中に入っていますので追加いたします。

秋元座長排出インベントリでJATOPのものを使っているのは日本についてですか。JATOPには日本以外のもあるのですか。日本についてのみですか。そうすると日本についてはJATOPのものを使って、それ以外、アジアはREASですか。その辺の排出インベントリについて書くのであれば、日本についてはJATOP、アジアはREAS、それ以外は…という風に書かれたほうが良いと思います。
それからVOCは環境省VOCインベントリとするということで、この環境省VOCインベントリというのは浦野委員が座長をされている委員会でまとめられているという意味ですか。

山本課長補佐環境省のVOCの委員会でございます。それとの整合は取るようにしております。

秋元座長ちょっと名称が、環境省VOCインベントリではちょっと分かりにくいので正しく書いてください。

山本課長補佐はい。丁寧に書きまして、東アジアのインベントリについても追加いたします。

秋元座長お願いいたします。156ページ、157ページについて何かございますか。

若松委員すみません。今のところで文章を直した方が良いところがあって、まず見出しなのですが、155ページについてはシミュレーションモデルに関する経緯というのは(1)で出しているのでここをちょっと直して、(2)を取って、その下から7行目で"現在のモデルでは"という表現があるのですけれど、そこもばさっと取ってしまい、モデルはどういったモデルを使ったということを書くだけで良いかと思います。

山本課長補佐現在のモデルという言葉は削除いたします。

若松委員よろしくお願いします。

秋元座長157ページはモデルの検証というか精度評価をやった結果で、非常に興味深いのですが、これで見ますと左側の図の中にオゾンの評価基準の目安というものがあって、NBだと0.15以下、NGEだと0.35以下、これ以下であることが望ましいということだと思うのですが、これと右側のグラフを比べると、NBは春は良いですよね、夏までは良いが、そこから後はずっと上がってしまって過大評価になっているということでしょうか。それからNGEとかNPA、この辺は0.35とか0.20というクライテリアをほとんど満たしているのだけれど、冬だけは満たしていない。これは冬はいろいろな、それこそタイトレーションの影響やその他の影響でずれてしまっているということなのですかね。多分そうですよね。冬はオキシダントについてはあまり考えなくて良いから影響はないかと思いますが、NBの方は夏の時期が0.2ぎりぎりぐらいまでいっているから、そんなに悪くないと見て良いと思うのですね。そういう評価手法の結果について、一言、一行か二行入れておいた方が分かりやすいかなと思います。

井上委員NBが正の値だと過大評価というのはそれでよろしいですか。精度評価の指標を見ると、observationからcalculationを引いていますので、どちらが正解なのか。

秋元座長observationからcalculation、つまりNBがプラスだと過小評価ということですか。冬が過小評価ということですか。どうですかね。何か逆になっているような気もしますが。

大原委員間違っていると思います。

秋元座長この式をちょっと確認してください。

山本課長補佐検討会で、observationとcalculationの式が逆になっているという話があったことを思い出しました。後日、開催結果の公表資料は修正したのですが、この資料に反映していない可能性があります。確認させていただきます。

秋元座長158ページの表の中で気になったのは、H14モデルの方が何を使ったのか何も書かれていないのですね。局地気象モデルといっても何か名前がついているのか、どこかの研究機関のモデルなのか。それがどこか前に書いてありますか。表の中に現在のモデルがWRFとかCMAQとか入っているように、何々モデルというような名前が入れられるのであれば入れていただいた方が分かりやすいと思います。

山本課長補佐はい。第2章にはある程度書いてあるのですが、再掲するようにいたします。

秋元座長はい。一言で書けないのであれば、第2章を見れば分かるのであればそれでも良いし、一言で書けるのであれば書いていただければ良いと思います。それから同じ表の一番下の実測のデータを用いた検証のところで、「フィールド調査との再現性を定性的に評価」と書かれていますが、これは右の方もそうなのですが、これは"定量的に"ではないのですか。先ほどのNBとかのバリデーションの比較したものがありますよね。これはそれなりに定量的に比較したものだと思うのですが。

山本課長補佐まず、右側の方ですが、これにつきましては第2回の検討会で示した資料から持ってきておりまして、年間の実測データを用いた通年評価とは別に、夏季集中観測というものもやっておりまして、これについては資料を見た限りでは定性的な評価にとどまっております。それとは別個に通年で365日の実測値と計算をやった定量的な評価もやっています。

秋元座長やっていますよね。だからそちらの方を優先して書かないとおかしいのではないでしょうか。夏季集中観測については書かなくても良くて、先ほどの157ページで出てきた通年比較について定量的に比較したと書かれる方が良いと思います。

山本課長補佐わかりました。そのような優先度で書き直します。

秋元座長左はやっぱり定性的ですか。

山本課長補佐左の方のフィールド調査(最大6日間)との再現性については定性的な評価しかやっておりません。

秋元座長そうですか。分かりました。

大原委員でも8ページを見ると定量的なインデックスを使って評価をしていますよね。私の勘違いでしょうか。8ページの表.2.2.3-2です。

山本課長補佐8ページは10年前の解析でございますが、これがフィールド調査でございまして、ここではグラフそのものをスペースの関係で載せておりませんけれど、過大であるとか定量的な評価はなされておりません。

大原委員そうではなくて、この表自体は数値を出してバイアスとグロスエラーについて定量的な議論をしているわけですよね。

山本課長補佐失礼いたしました。すみません、私、7ページを見ておりました。8ページにつきましてはそうです。フィールド調査のうち特定の日で期間をとおしてNB、NGEを出したのではなくて、6日間のうち、たとえば8月3日とか1日1日を取り出してやっています。

秋元座長分かりました。だったらフィールド調査の特定日について定量的に評価したということになるでしょうか。

山本課長補佐そうしましたら誤解されないように書き直します。

大原委員これだと評価していないような書き方に見えますね。

秋元座長定性的というのはあまり評価にならないと思います。その辺のところについて、他の方、よろしいですか。
それから159ページのまとめという四角の中の1行目について、「光化学オキシダントについて、現況の大気濃度のレベル」とありますが、これは都市域という捉え方でよろしいでしょうか。「都市域の現況の大気濃度レベルや変化傾向を概ね再現することが可能となった」ということですね。

山本課長補佐この時は第2回目の資料でお示ししましたとおり、関東域のシミュレーションでございますので、都市域という表現でだいたい妥当であろうかと思います。より正確に関東地域ということでよろしいかと思います。

秋元座長そうですか。では一言入れておいてください。他の方、何かお気づきの点はありますでしょうか。

石井委員3つお願いしたいのですが。160ページについてですが、コールドスタートによる排出量の増加ということが書いてありますけれど、例えばランニングロスとかホットソークロスとか蒸発に関わる部分についても排出量が結構多いのですね。ですので自動車関連について、コールドスタートに限らないで、もう少し具体的に書いていただけないかと思うのですが。

秋元座長例えばどういう書き方ですか。

石井委員ランニングロスとかホットソークロスとか、VOCが出てくる部分がありますので、それも触れていただけないかなと思います。

大原委員多分この記述は、蒸発について無視しているということではなくて、蒸発についてはJATOPの調査を中心にして、結構科学的な知見が得られてきていますので、それに比べるとコールドスタートについては分からないことが多いという意味で、コールドスタートの排出量増加について把握しておく必要があるという記述だと思います。だからメリハリの問題ですから、それに関しては見解が分かれるかもしれませんが、環境省としてはそういう理解で書かれたのではないかと思います。

石井委員燃焼系はされていますが、蒸発も出ているものとしては出るわけですよね、燃焼以外のものはきちんと計算されていないと思うのですが。

大原委員蒸発については計算していますよ。

石井委員ランニングロスなどですけど。

大原委員それは計算しているのではないですか。

石井委員していますか。それは全然問題がないということですか。

大原委員問題がないということはなく、相対的なことです。

石井委員コールドスタートについては書いてあるが、その他についても調査検討する必要のあるものについては書いていただけないかなと思うのですが。

秋元座長その辺は私、不確定性の程度がどのくらいなのか分からないので。

石井委員あと168ページのところなのですが、第5章のまとめのところと関係してきますけれど、ここに気象条件の代表性について注意が必要という記述があると思うのですが、p.168の真ん中あたりと第5章のまとめの5行目ですね。「注意が必要」ということについて、もう少し具体的に書いていただけないでしょうか。
もう一つ、そこの第5章のまとめのところと、169ページにも同じような記述がございまして、未同定VOCのOH反応性についてのところですけれど、「VOCの個々の物質のオキシダント生成能を調査していくのは限界がある」と書いてありますけれど、これは今までの議論を考えますとそういうことではなくて、ラジカルとの反応性についてなど他の方法で推計したりすることができるわけで個々のVOCの成分とその濃度を把握することが限界があるのですよね。ですからその辺を直していただけないかなと思います。

秋元座長この章では「主要な物質ごとにオゾン生成能を調査していくのは限界がある」ですのでこの表現でそんなに間違っていないと思いますが。

石井委員そちらはまだいいです。第5章の方がよくない。同じような趣旨で書いたと思うのですが。

秋元座長「数百種類存在するとされるVOCの個々の物質のオキシダント生成能を把握するのは限界があり」、だから全部測れるというわけではないということですよね。

石井委員測るということが難しいのであって、何があるかということが分からなくて、濃度も標準物質がないからわからない方がモニタリングとしては問題ですが、生成能についてはその次の話になるかと思うのです。

秋元座長分かりました。ものが分かれば反応速度は分かるけど、ものが分からないということを分かりやすくしてくれということですね。

石井委員そうです。

秋元座長そうしましたら事務局、修正をお願いします。

山本課長補佐はい、測るのが難しいということで、どの物質であるとか濃度が分かれば生成能は出るということで修正させていただきます。

秋元座長そうですね。いずれにしてもいくらGC-MSを使って積み上げてもトータルVOCとは合わない部分が出てくるわけで、そういうものを相対的に評価できる手法としてOHの反応速度というものは非常に重要だと、そういうことだと思いますので、言わんとしていることは同じだと思いますので、文章を直していただきましょう。
先程の2つ目の「気象条件の代表性などに注意が必要であり」ということですが、これも文章の問題だと思いますが、「注意が必要」というものをもう少し具体的にということですか。

石井委員そうですね。

秋元座長これも事務局は修正お願いします。こういう細かいところはいくつか検討するところが残ると思いますので、検討対象とさせていただきましょう。

安藤委員細かいところですが、よろしいでしょうか。

秋元座長はい、どうぞ。

安藤委員161ページの優先解析地域の設定というところで、文言についてですが、6.2.1で「具体的なエリア設定の考え方は以下の通り」と書かれています。それ以下は考え方について書いてあると思うのですが、例えば②で「エリア設定の考え方」というタイトルがまた出てきます。ここは設定圏とか設定エリアとしてしまう方が良い。そして、①の設定理由へ、例えば関東地域では「オキシダント常時測定局が多数存在するエリアであり解析が可能である」を移動すればよいし、リファレンスのために埼玉県や栃木県もやりますよというのも①へ移動すれば良い。同じく愛知とか大阪とか福岡もそうできる。ただし、大阪については②の「エリア設定の考え方」は薄弱なので、大阪の設定理由はもう少し説明を加えた方が良い。

山本課長補佐確かに小見出しで使っていますエリア設定の考え方といいながら中身の文章を読むと、このエリアにしますよというのがあって、少し合わないと思いますので、タイトルの方を変えた方が良いのかなと思います。ありがとうございます。

秋元座長はい、ありがとうございます。ほかに。

大原委員よろしいですか、第6章全体に関わる話だと思うのですが、152ページの図は非常にわかりやすくて、この中で対策効果の評価という項目があります。おそらく環境省の調査としてこれはやっているのですから、対策効果というものをいかに定量的にきちんと評価するのかということが大事な要素で、そういう視点から課題を整理するのが大事なのではないかなと思います。ここでは6.1の図でモニタリング、シミュレーション、インベントリと3つ立っていますが、もう1つ、対策評価手法の課題みたいなことを書いた方が良いのではないかなと思います。具体的には実測ベースで対策効果を評価する手法に関する課題、先程金谷委員から説明があったような話、あるいはここには取り上げていますが神成さんのウィークエンドエフェクトに関係させて、前駆物質が平日と週末で変わるというの、ある意味排出量削減の社会実験をしているようなことになるわけですよね。これに着目したようなオキシダントの変化に関する解析をすることによって、排出量の削減による感度を評価することができる、なども手法の一つであるけれど、課題はあるだろうと思います。一方モデル側にしてみれば、この報告書ではモデルにこれから依存して対策効果あるいは評価を行っていくというのが基本的なスタンスと思いますけれど、その場合にも単にモデルの再現性の課題ということだけではなくて、対策評価に着目した場合の課題というものがあるだろうと思います。要は対策効果を評価する手法としての課題、その対策効果をどうやって評価すればいいのかということがまだきちんと手法として確立されていないという大きな課題があるのだろうと思っています。ただ、糸口というのはいくつかあって、一つは過去のトレンドを再現する、とかあるいは先程、観測データの解析結果で示されたような、特定の気象条件に着目した時のオキシダントのトレンド、それがモデルで再現できるかどうか、というような話ですよね。あるいはウィークエンドエフェクトがきちんとモデルで再現できるかどうかというような視点からの課題というのは多分あるだろうと思うのですね。ですから、私の提案としては、分量が少ないかもしれませんが一番大事なところだと思いますので、6.1.5として対策効果の評価手法における課題を記述した方が良いのではないかというのが1点です。それに関連して、6.2の方も対策効果に関わるところが6.3にあって、ちょっと浮いているような感じがありますので6.2の一番最後のところに6.3を入れて、6.3は第6章全体のまとめに関わるようなこと、課題に対応したような具体的な方針を6.2の最後のところで示すというような構成にしてはどうかなと思います。同時に6.3の中身も先程申し上げたような対策効果の手法として、どうやっていけば良いのかということを盛り込んでいくといいと思います。例えば171ページの図などに過去のトレンドの再現なんていう言葉が出てきていて、その一部は書き込まれていると思うのですが、もう一度見直されたらいいと思いますが、いかがでしょうか。

秋元座長全体的な構成の部分なのですが、まず6.1.5に対策効果の評価手法ですか。

大原委員対策効果評価手法に関する主要課題の整理とかでしょうか。

秋元座長事務局の方、まず、そちらの問題はいかがでしょうか。

山本課長補佐今の大原委員のご提案ですが、対策効果の評価に関して課題整理の部分を設けるのと調査研究のあり方の一番最後のあたりに今後どうするかという手法をまとめるというご提案でございまして、これにつきましては調査研究のあり方、こういうことを入れることによってこの第6章が直感的に、より考え方が整理されまして、第5章で示した双曲線図のお話、気象日の設定について注意が必要であるとかその表現がいまいちというお話も含めてたぶんすっきりするのではないかと思いますので、事務局として検討作業をしたいと思いますがいかがでしょうか。

秋元座長6.2と6.3は一緒にしたほうがいいというご意見ですが。

大原委員6.3は先ほどのコメントにもございましたが、特に171ページの6.3はいらないのではないかというご意見があったと思いますが、ちょっと印象として浮いているような感じがしますので、6.2.5として今の6.3を持ってくるとバランスがよくなるのではないかと感じます。

秋元座長6.3は6.2.5にして、このまままとめるということですね。

若松委員今のことなのですが、確かに対策効果の評価の仕方を整理するほうが私も良いと思いまして、特に今回出てきたような中では、たとえばパーセンタイルは非常に安定な統計量ですからパーセンタイルの評価とかがすごく有効なわけですよね。ですから評価の技術の問題、たとえばモデルを使うとか反応性に特化した項目などいろいろありますけれど、どういった統計的な指標を使って評価するかということを新たにこれから探し出すかということではなくて、おそらくずっとやってきていることをもう一度ここで再掲して、こういった指標が今後、役に立つということをまとめたらよいのではないかなと思います。特にパーセンタイルの話だとかエリアをどう見るかとかその理解の広がりについてどう考えなければいけないかとか気象の要因をどう考慮するかとか、これまでここで述べてきたことをきちんと整理して、対策効果の評価をするときの考え方として、章立てをどうするか分かりませんけれど、6.3に入れたほうが良いかなと思います。今の形だとモデルのところだけ浮いてしまっていて他のいろんな効果の評価をやっているのがいっぱいあるので、そういったものも6.3に相当する部分に入れておいていただければ、今後、具体的な評価をする指標としてはいいのではないかと思います。大原委員の意見に私も賛成ですので、新たに何かこれから作業をするとなると大変なので、ここに書いてあることをもう一回整理する、そういったスタンスで十分かなと思います。

山本課長補佐事務局としましても評価手法をどうしていくかということで第4章の方で地域別に5種類の解析をやってということで、対策と効果につながるような知見をひねり出すということをやってきまして、第4章でモニタリングデータ、また第5章で新たに知見等を整理するところでございますので、それの成果を第6章に生かすという観点でのご意見と思いますので、それを受け止めまして第4章、第5章の今まで出てきている材料を取り入れて対策効果の評価に関する課題と第6章の一番最後のほうで対策効果の評価をどうするかという部分を追加するということで考えさせていただきます。

秋元座長その辺はちょっと今日は最後の細かいところまではできませんので、事務局と座長に預からせていただくということでよろしいでしょうか。それでは最後に172ページの終わり、これは私が言いたいことがありまして、その前に第5章で言い残したことがあれば、下原委員お願いいたします。

下原委員例えば138ページあたりでポテンシャルオゾンに関してですが、全日なのか日最高値なのかその辺を書いていただければよいかなと思います。137、138ページもですが、ポテンシャルオゾンと出てきていて、それが昼間の時間の平均なのか、詳細が良くわからない。報告書全体なのですけれど、日最高1時間値でトレンドを取ってみたりとか、6時からでトレンドをとってみたりとかばらばらなものだから、そういうわけでポテンシャルオゾンとでているところはどういう時間のものなのかはっきりしてほしいなと思います。

山本課長補佐137、138ページにつきましては計算の時間は限っておりませんので、全日でございます。

下原委員本来ポテンシャルオゾンでやる前のオゾン濃度の日変化、経年変化を比べてもらえればポテンシャルオゾンでこのように出るのかなというのが見えてくると思うので、比較で出してもらえればいいと思います。

山本課長補佐濃度のレンジはかなり違うようですけれど、見やすいような形で考えてみます。ありがとうございます。

岩崎委員一つ質問よろしいでしょうか。第6章で159ページの下から4行目のところに「排出インベントリでは空間分布の配分方法や時間的配分方法、そこに信頼性の欠ける部分がある」とあります。これは多分、インベントリでは地域的には都道府県レベルでまとめられ、かなり詳細に出してきているのだけど、シミュレーションとしてはこれでも信頼性の欠ける部分があるということのようです。もう少し時間的に細かく必要なのか、それとも地域をもうちょっと狭くすることが必要なのかわかりませんが、その辺の課題が一つ残された書き方をしています。しかし、169ページのインベントリの課題のところにはそういったものが一切出ていないのですね。これは、シミュレーションの先生方からは、時間的にも地域的にももう少し狭くできないだろうかという意見があってシミュレーションの課題として出されたのだろうけど、その辺の整合性についてどうお考えですか。

山本課長補佐これは事務局としては、シミュレーションをやる側からのインベントリについての現状の課題として出されているものでありますので、この今後の調査研究に関する課題として当然、整合をとって、入れるべきかなと思います。

岩崎委員一言でいいので、どこかに入れるよう検討してください。

指宿委員大原委員の議論のところと同じだと思うのですが、課題を整理して、今後どうするという構成になっていないといけないですよね。そういう面から見ると、さきほど岩崎委員が述べられたインベントリに関する記述は分かりにくいですね。例えば160ページには主要課題の整理とありますが、ここでの文章が、169ページにそのまま出ているのですね。課題とその対応とが分かれていないので非常に分かりにくくなってしまっていると思います。インベントリの空間分解能とか、時間分解能が不足しているというのが課題であって、それに対してどう対応していくのか、それはモニタリングとか排出源をしっかり調査するとかそういうものが入ってくるはずなので、そういうように書かれたらいいかなと思います。内容は既にそういうものが入っているのですけれど、それをただ区別して書くだけで非常にわかりやすくなるのではないかなと思います。先程の6.3のところも同じで、これには課題とどうやっていくというのが2つ一緒に入っているのですね。だからここを整理されれば本当に分かりやすくなるだろうと思いますので、そういう感じにやっていただくとより良いのではないかと思います。

秋元座長事務局はいかがですか。

山本課長補佐おっしゃるとおりです。できるだけメリハリをつけて分かり易い内容に改善いたします。

秋元座長はい、ありがとうございました。それではだいたいのところはこれぐらいにさせていただいて、あと、細かい字句は先程申し上げましたとおり、座長と事務局に預からせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
最後に、「おわりに」なのですが、実はこれ私、今、鷺坂局長が出席されていることもありましてちょっと申し上げたいと思います。後で局長にはご挨拶いただきたいと思うのですが、この「おわりに」に何を書き込むかというのは結構重要で、この6.4でいいのか、章というのは変だけど、何か特別な、最後に今後の本当の施策の実現に向けた大きな話を書き込んでも良いのかなと思うのです。申し上げたいのは、(2)で書かれている関連の深い行政課題との連携という、ここでは連携という書き方になっていますが、背景から言うともっと大きな話を含んでいまして、日本では今まで、英語で言うとsingle pollutant single effectですが、オゾンはオゾン、PM2.5はPM2.5、NO2はNO2の健康影響、SO2はSO2みたいな単体の施策でやってきてそれなりの成果をあげてきている。ただ、今、世界的な流れはmulti pollutant multi effectといって、一つ一つのものを対象とするのではなくて、オゾンもPM2.5もSO2も全部一緒に考えて全体的な対策を取りましょうという、これはEUは前からそういう方向になっているのですが、今、中国もそういう、第12次計画ですか、こういうものでかなりそちらの方向に動いているようなのですね。アプローチの仕方というのはいろいろな意味で行政にいろいろな影響があるものなので、日本もPM2.5とオゾンというのはいろいろな意味で前駆物質も共通な部分が多いし、モデルとかそういう考え方もほとんど同じですよね。越境の問題もそうだし。そういうのをmulti pollutantで一緒に考えていくという、ここでは連携という言葉になっていますが連携よりもっと強い意味の、なんと言いましょうか一体として考えていく、それのさらにもう一歩進むと今、議論がなされているco-benefit co-control、特にCo-control、温室効果ガス、CO2も一緒に考えていこうという流れが世界的にかなり主流になりつつありますね。EUがそうだしアメリカのEPAがそうだし中国と韓国も行政レベルでそちらの方向に動いているようなのですね。これは本当にこの1年以内ぐらいの急速な流れなので、日本としてもその辺を本当にどう考えていくか、戦略を早く立てた方が良いと思います。特に温暖化の温室効果ガスと一緒に扱っていくとなると予算的にも非常にフレキシビリティが出てくるのです。大気汚染だけだと今までなかなか難しいですが、CO2対策と一緒なんだということになればいろいろな動きようもたくさん出てくるし、その時にもいろいろな動きが出てくると思います。例えば排出インベントリが大事だといったって、温室効果ガスのほうはIPCCに報告義務があるからインベントリオフィスとか人や予算も付いているのだけど、大気汚染のほうは細々と研究費予算ぐらいでREASを作ったりしてやっている、それではちょっともたないのですよね。だからかなりもっと大きいいわゆる統合的大気管理というのでしょうか、integrated atmospheric managementというような考え方で今後やっていくことを検討していただきたいと思うので、そういうことがこの中に最後の連携というところでもうちょっと踏み込んで、そういう方向性みたいなものをここに書いておくと良いのかなと思います。

土屋委員しかし、その点はこの場では全然出ていませんよね。

秋元座長確かにそうですね。

土屋委員それについて、なんら意見を聞かれていませんから、それを改めて言われても私としては賛同しかねる。

秋元座長それはおっしゃるとおりです。今まで、この問題は、去年始まった時にはそれほどホットなことではなかったこともあって、確かにこの検討会に入っていなかったのです。なので加えていただかなくてもいいけど、今後そういうことが大事になってくるのでコメントしています。

土屋委員そういう意味でいったら、参考資料でスケジュール表のようなものが出ているではないですか。この検討会というのはあくまでも調査だとか研究の方針を提案する、これを報告書に盛り込む話だけど、実際にこの調査研究を進める実行計画だとか進捗管理だとかというのはこの報告書を踏まえて環境省さんがやっていただけるわけですよね。
ついでに1点だけ、座長がこの6.4で話をされていたのですが、(1)の文章が環境省と地方公共団体が中心となって、最後に体制を整えることが重要である、と書かれているのですが、今までだって調査研究をやってきたわけで、何らかの体制だったはずですよね。この文章だといかにもこの調査研究を今から始めるように見えるので、体制を作らなければならないという風に読み取れるのは適正ではないのではないですか。

大原委員これは「連携して」というのがポイントではないですか。

土屋委員しかし、その部分は何も話し合っていないですよね。私どもはこの検討会はあくまでもこの報告書を環境省さんに返す。だから環境省さんが主導でやる話ですよね。どうやってやるのかという話も話し合ってはいないですよね、

大原委員確かにその通りかと思います。今、話せばいいのではないでしょうか。私はここは大事な点だと思いますので、皆様の合意の取れる範囲内でということになると思いますが、記述すべきことだと思います。それで、おまけにといいますか、秋元座長の方からmulti pollutantとかmulti effectとかco-benefitとかいう話が出ましたので、もう一言といいますが、multi scaleという概念で記述できないかなと思います。というのはこの検討会はそもそも中間報告書を出した時には越境汚染が深刻化して、それに伴ってスタートしたという経緯があります。実態がどうなっているか、対策効果が出ているのかという話を、この検討会で議論していますので、これからの対策ということを考える場合に、両面でつまり国内対策、それから国際的な越境汚染に対する対策という視点からの記述が少なくとも最終的なまとめのところには何か必要ではないだろうかと思っている次第であります。6.4には少なくとも国際的という言葉も出てきていないし、越境汚染という言葉も出してよいのか分かりませんがこれも出てきてないし、そのあたりの重要なキーワードについてはこのところでできれば入れていただいたほうがいいのではないかなと思います。

秋元座長はい。ありがとうございます。

安藤委員この6.4のところで2つ意見があります。1つは(2)の連携の部分です。ところで、私はmulti pollutantの考え方に賛同はしますが、ここの検討会では議論をしていないので、今後のことだとは思います。意見の1つは(2)の連携の部分です。この(2)ではPM2.5の話だけになってしまって、前のsingle pollutantの考えをそのまま踏襲すると主張しているように見える。少なくとも「平成21年・・」からのPM2.5の段は極端な意見ではあるがカットするのが良い。2点目の意見は、(1)の役割分担のところで、VOCの話しか出てきていない。我々今回の検討会ではNOxとか気象条件とかそういう話もしたのに、これではVOCのことだけをやることになっている。オキシダントとの関係はVOCだけだと述べている。VOCとの単語を削除し、「オキシダントに関する調査研究」、「この間排出抑制」に修正されたい。

秋元座長はい、ありがとうございます。ここは一番最後の別章なので、その辺、あまり絞らないで、かける範囲で、全く今まで議論に出てこなかったことを書き込むのは良くないけれど、議論した範囲内でもう少し大きく書き込むことは十分可能だと思うので、今の(1)についてのご意見、PM2.5に絞らないでもうちょっと他のmulti pollutant的なものと一緒に考えていくようなことを入れていくとか。multi scaleや越境の話は何回も出てきているので、入ってもちっともおかしくないと思いますので、何かそういう言葉が少し見えるような文章にすると、少し格調が高くなるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

坂本委員今の点は環境基本計画の改訂でも全体として温暖化対策と整合性を取ってやっていくということが前提になっているわけだから、むしろ今の(2)のところについてはその辺は書いたほうが良いと思います。それで今、ゲインズモデルも含めてそういった形でやっていくのが世界の趨勢であり、そうした方が経済的にも良いわけですので、その辺はしっかりと書き込むべきだと私は思います。

秋元座長事務局の方、今のご意見、両方のご意見いろいろありますけれど、どの程度に書けるか見通しだけでもよろしくお願いします。

山本課長座長預かりということでご理解いただければと思います。

秋元座長重要な問題なので、皆様いろいろといいたいことはあるかと思いますし本当は議論するのがいいのですが、時間もちょうど5時になりましたので。また今のご意見、ここで全く出てきていないようなものを書き込むのはおかしいというのもそれはそのとおりだと思います。出てきている範囲でそれを生かしていく形で前に進める書きぶりにするということで、これは座長と事務局に預からせていただくということでよろしいでしょうか。はい、どうもありがとうございました。それでは本報告書は一応ご承認いただいたということで、今日の主な議題は終わりにしたいと思います。では事務局の方にその他ということで、お願いいたします。

山本課長補佐(参考資料の説明)

秋元座長はい、それではもうひとつの資料はプレス用でしょうか。

山本課長補佐もう既に公表しているものでございますので、特にありません。

秋元座長それでは今日は長時間に渡りまして、ご議論いただけまして、おかげさまで最終報告書が何とかまとめることができることになったかと思います。それでは検討会としては終了になりますが、よろしいでしょうか。それでは事務局の方にお返しします。

芳川係長本日はありがとうございました。閉会にあたりまして、環境省水・大気環境局長の鷺坂よりご挨拶申し上げます。

鷺坂局長環境省水・大気環境局長の鷺坂でございます。本日は最終の第6回検討会ということで、報告書を取りまとめていただいて本当にありがとうございます。皆様方には本当にお忙しい中、昨年の8月からということで、非常に短期間の間に、このように非常に深く分析をしていただきまして、今後の方向性、そういったものへも言及していただき、本当にありがとうございます。かつて思い出しますと、VOC対策をやった時には総合的SPM対策ということで始まったわけではございますけれど、そういった中でも総合的SPM対策をすれば光化学オキシダントにもかなり効くだろう、このような思いでやっていた記憶がございます。VOCは皆様方、あるいは自動車関連の皆様方のご努力もいただきまして、非常に上手い具合に削減が進んできました。そのような中で、SPMはかつては黄砂が来るといつも環境基準達成率は悪かったのですが、最近は黄砂が来てもそんなに環境基準達成率が悪くならないというように日本の環境が非常に良くなりました。VOCだけではないかとは思いますけれど、そういった流れの中で光化学オキシダントだけはどうもなかなかうまくできないのかな、そのような思いがありました。そういったことで、どういったところに原因があるのだろうか、そういったところ、基礎から、申し訳ありませんが先生方に丸投げのような形でご議論いただいたのではないかなと考えております。昨年8月の第1回の検討会では検討の進め方も踏まえて、基礎的なかなりのご議論をいただいたのではないかとこのように思っておりますが、最終的に次の対策をどのように我々としても取ったらいいかという叱咤をいただけるようなご議論をいただきまして、本当にありがとうございます。私どもはこういった検討会の調査報告書に基づきまして、なかなか予算獲得という厳しい面もあるのですけれど、そうはいってもやらなければいけないことはやらなければいけないということで頑張ってやっていきたいと思いますので、また今後さらに先生方のご指導ご鞭撻をいただけますようお願いをいたしまして、私からの挨拶とさせていただきたいと思います。この検討会の報告書につきましては、最近開いておりませんけど、坂本委員の大気環境部会でもご披露させていただきまして、さらに環境省を叱咤激励いただければとこのように考えておりますので是非よろしくお願いいたします。

芳川係長それではこれで第6回光化学オキシダント調査検討会を閉会させていただきます。委員の皆様方、関係者の皆様方、お忙しいところご出席いただきましてどうもありがとうございました。

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