環境省>大気環境・自動車対策>大気汚染状況・常時監視関係>光化学オキシダント関連情報>光化学オキシダント調査検討会(平成23年度)
第4回 光化学オキシダント調査検討会 議事要旨
1.日時 平成23年11月25日(金)13:30~16:00
2.場所 三田共用会議所 C,D,E会議室
3.出席者(五十音順 敬称略)
- (委員)
- 秋元 肇 安藤 研司 石井康一郎 板野 泰之
井上 和也 指宿 堯嗣 岩崎 好陽 大原 利眞
金谷 有剛 坂本 和彦 竹内 庸夫 土屋 徳之
- (欠席)
- 浦野 紘平 下原 孝章 橋本 光正 向井 人史
若松 伸司
- (環境省)
- 山本大気環境課長 山本大気環境課長補佐 栗林大気環境課長補佐
吉崎大気環境課長補佐 芳川係長
4.議題
- (1)「今後の対策を見据えた調査検討のあり方」のとりまとめ構成について
- (2)科学的知見の活用について
- (3)モニタリングデータ等の整理について
- (4)その他
5.配付資料
- 資料1
- 「今後の対策を見据えた調査検討のあり方」 とりまとめ構成(議論のたたき台)
- 資料2
- 科学的知見の活用について
- 資料3
- モニタリングデータ等の整理(例)
- 参考資料1
- 光化学オキシダント及び前駆物質(窒素酸化物など)濃度等の現状(第1回検討会 資料2-2)
- 参考資料2
- 光化学オキシダント調査検討会委員名簿
6.議事内容
議題(1)「今後の対策を見据えた調査検討のあり方」のとりまとめ構成について 及び
(2)科学的知見の活用について 事務局より説明があり、議論が行われた。主な意見・質問及び回答は以下のとおり。
- (質問)調査研究計画はこの検討会でつくるのか。
- (回答)調査研究計画の工程までは含めたいと思っており、たたき台は次回示したい。
- (意見)優先地域案が高濃度地域に偏っているように思える。濃度が最近上昇していたり、森林部がある地域も入れてはどうか。
- (回答)示した3つの地域の案で測定局の7割以上の数をカバーできるので、効率的と考えたものであるが、Ox生成現象という観点からも、自然由来VOCの影響を踏まえた解析エリアの設定を考え、追加する方向で考えたい。
- (意見)全国に広げるのではなく、一部地域に研究を集中させ一気にやってはどうか。
- (意見)地域により現象が異なり解析する内容が異なるため、複数の地域を案として挙げている。例えば関東の場合、東京や埼玉のように比較的反応が早く進行するところと、周辺の栃木や群馬のうようにNOxの供給が少なく高濃度が維持するところなどがあり、かなりの部分が解析できる可能性がある。一方、九州地域では関東とは現象がまったく違う。案として提示された3地域程度は必要といえる。
- (意見)地域別経年変化の推移を見ると、東海地方が非常に悪くなってきている。そういうところは対象にしたほうがよいのではないか。
- (意見)高濃度地域という観点では関東、近畿は理解できるが、改善傾向という点では同じだと思うので、今後の対策を見据える上では、改善してきた原因と悪化してきた原因の両方の観点で考えることができるよう、悪化の例として東海地方を追加してはどうか。
- (回答)東海地方について追加する方向で考える。
- (意見)東海は愛知・岐阜・静岡より、地勢学的には愛知・岐阜・三重の方が合う。
- (回答)地域の設定は、ご意見を踏まえ整理していく。
- (質問)地域別にデータ整理とあるが、地域内の分布も見るということでよいか。
- (回答)地域内の分布も当然見る。
- (意見)ポテンシャルオゾンのトレンドの解析をやった方がいいのではないか。また、観測データからは地域がNOx律速かVOC律速かということは出てこないので、モニタリングデータの解析、データ整理として書かれるのはあまり適切ではない。
- (意見)常時監視局での現在のモニタリング項目からは律速状態を知ることはできないが、全硝酸とオゾンの割合である程度判断ができる。
- (意見)休日と平日の濃度差を利用して、推定する程度のことはできるのではないか。
- (意見)統計・解析する時に律速状態を考慮するのは良いが、不確定性の高い解析結果を行政施策につなげるのは非常に危険である。NOのタイトレーション効果を考慮したポテンシャルオゾンや週末効果についての解釈をするということを入れたほうが良い。
- (意見)モニタリングデータも、物質の種類や連続測定かどうかなどにより解析に限界があるため、この点を含めた書き方にしておいたほうが良い。
- (意見)NOxなどを低減してオゾンが増加する場合に、NOx対策は逆効果という流れになるのも良くないので、タイトレーションの影響と地域内の濃度分布などからうまく説明ができるような解析ができればよいと思う。
- (意見)インベントリの精緻化といったときに、どこを目指すのか、定義をしたほうが良い。
- (意見)モデルへの活用であれば、空間分解能は1km(3次メッシュ)、時間分解能は日内の時間変動パターンが把握できること(季節変動も含む)が必要。組成の分解についてはモデルに依存するため、例えばSAPRC-99を想定したようなVOCのグルーピングが必要と考える。
- (回答)インベントリは、自然由来も含めて精緻に調べるには限界があるが、オキシダントの生成の観点から重要な物質を調べていくという点に留意して、インベントリの精緻化に取り組み、調査検討の実施工程を考えたい。
- (意見)VOC環境濃度の現況再現に関する検討に、モデルの検証に使えるモニタリングデータの整備という項目が必要。
- (意見)現況再現や感度解析だけでなく、将来予測という項目があっても良いのではないか。
- (回答)将来予測を行うことは可能ではあるが、これまでの対策の効果がどういうものだったのかということをより正確に評価することが行政としてはよりニーズが高い。
- (意見)この検討会の今年度の作業として、シミュレーションの精度を上げることがあるが、具体的に、過去トレンドの再現、VOCの削減量やNOxの削減量がどの程度再現でき反映できるのかという解析と、不確定性の評価が非常に重要である。
- (回答)過去トレンドの再現や不確定性の評価についても成果に取り込む。
- (質問)いわゆる週末効果、平日と休日の違いの再現の検証は行う予定はあるか。
- (回答)週末効果については解析手法のひとつとして有効と考えており取り込んでいきたい。
- (意見)モデル自体もOxの予測値と観測値を合わせるというよりも、ポテンシャルオゾンの再現を考えてはどうか。精度を上げる際に対象項目を何にするかも含めて考えていくことが重要ではないか。
- (意見)賛成である。1時間値をモデルでパーフェクトにシミュレートすることはできない。1時間値の中でも最高値や平均値など、設定しうる、あるいは設定すべき目標値があると思うので、目標値を明確にしたうえで、その目標値を再現するためにモデルをどう改善すればよいかという検討をすべきではないか。ポテンシャルオゾンで評価するのも一つの指標として重要だと思う。
- (意見)オゾンのトレンドとNOx、VOCの削減の効果を評価する場合の評価指標が1時間値の最高濃度だけにとらわれるとうまくいかない。統計的に安定した指標という観点も大事であり、まずは何を使って評価したらいいのかという検討は作業の中に入れてほしい。
- (回答)一時間値のターゲットについては今後検討する。また、統計処理についても、今後の対策を見据えた調査検討で有効で実現可能かという判断基準で見極めていく。
- (意見)シミュレーションの中に高濃度1時間値の評価に関する検討があるのは違和感がある。別立てで観測データの解析があればよいと思う。
- (回答)モニタリングデータの多角的検証に入れることとする。
- (質問)精度とはモデルとしての改善によっても上がるものなのか。
- (回答)入力データとモデル本体両方に依存する。モデリングシステムという言葉のほうが適切である。
- (意見)モデルを変えれば精度が上がるのではなく、インベントリも含めて精緻化しないとオゾンについての再現性が上がらないと明確に記載してほしい。また、VOCの環境濃度の現況再現の項目にOx生成寄与の観点から重要なVOC成分と書くと、排出されたVOC成分のみを指すように感じるので、例えば反応後のホルムアルデヒドなどが現実の大気中濃度としてモデルで矛盾なく再現できるかという書き方にしておかないといけない。
- (意見)特にホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは光化学生成に効いてくるので、解析に重要であるが、モニタリングデータがあまりないことが問題である。今後行うべき調査検討の中にホルムアルデヒドの観測、モニタリングというものが入ってくることになるだろう。
- (質問)これまでの対策効果の評価手法とは、具体的にVOC、NOxが下がってきたことの効果の評価と考えてよいか。
- (意見)VOC削減がどのようにOx濃度に寄与したのかについては検証したほうが良い。
- (回答)VOCが下がってきたことにより、Ox濃度がどのように変化したのかという点について検証できるよう、評価手法として取りまとめることになる。
- (質問)NOx削減結果に関する感度解析についても実施するか。
- (回答)当然行う。
議題(3) モニタリングデータ等の整理について事務局より説明があり、議論が行われた。主な意見・質問及び回答は以下のとおり。
- (質問)使用されたデータは再校正(補正)された値か。
- (回答)校正する前の値である。
- (意見)Oxの昼間の測定時間とか昼間のデータだけではうまくいかない可能性がある。大陸の影響をみる場合などでは、夜間のデータも必要である。
- (回答)今回は主にスタイルについてご意見を伺うためにお示ししたもので、今後作業を行う。
- (意見)9ページは気象条件により抽出した経年変動であるが、平成14年だけ特異な傾向を示しており、その要因を解明することでこれまで見落とされた要因が見え、濃度上昇の解明に前進の可能性がある。また、濃度ランク別でも高濃度が増えて中濃度が減っているパターンと高濃度と中濃度が両方減っているパターンがある。60ppm以下が減っているということだと思うが、その理由などもある程度判るとよりよい議論ができるだろう。
- (回答)60ppm以下のグラフは次回の検討会に示したい。
- (意見)光化学オキシダントだけでなく、NOxについても整理してほしい。高濃度地域はNOxに依存するであろうし、離れればNO2に依存したりするので、NOxとポテンシャルオゾンとOxを一緒に見ていくと何かわかってくるのではないか。
- (回答)前駆物質についても、地域だけでなく測定局での状況なども含め多角的に見ていく予定である。
- (質問)平成14年は災害的なものはあったか。
- (意見)特にない。気圧配置の違いであろう。
- (意見)NOxとNMHCの解析をOxと合わせて是非やってほしい。NOxとNMHCの比率が20年前くらい前に大分変化し、それに伴いオゾンの日ピーク値の発生場所がだんだん内陸へ移動し、発生時刻も遅くなるという解析結果が得られており、最近のNMHCとNOxの比率の変化を踏まえ、掘り下げた解析をしてほしい。
- (意見)資料1で、一貫して最近濃度が減っているという表現になっているが、濃度の平均を見るとやはり上がっているので、一貫して下がっているという表現はよくない。
- (意見)あまり先入観を持たせる整理の仕方は良くないと思う。また、資料3の4ページについて、大陸からの越境輸送の影響は、頻度の問題と絶対濃度の問題と2つがある。夏は春に比べると頻度は少ないが、ないわけではない。絶対量はむしろ夏の方が高い場合がある。一概にくくらず状況を見ながら解析していく必要がある。
- (意見)同じような解析を八方尾根のデータで行うとバックグラウンドの状態の変化がチェックでき、越境汚染との切り分けで少しは参考になるかもしれない。
- (意見)気温と注意報発令回数の関係を見てみると面白いのではないか。
- (意見)以前東京都で行った解析で、日射量と気温と平均風速で多変量解析を行うと日射量が一番効いて、2番目が風速で、3番目が気温となった。気温は確かに効くが、25℃以上になるとあまり違いがない。完全に独立した現象ではないので解釈は難しいが、参考にしてほしい。
- (質問)この資料は関東地域を選択するためのバックデータのようであるが、同様に当会や関西でも行うのか。
- (回答)今年度できる作業として、時間と労力の許す限り行い、検討会の中でお示しする。他地域についても当然含める。
- (意見)データ解析結果を見る場合には、サンプル数によって代表性が異なってくることも考えなければならない。
- (意見)資料1について、インベントリの実績値の更新について、シミュレーションの活用と対策効果の評価や検討への活用の両面があるため、その両面を忘れないよう明記するのが良い。
- (回答)書き方は検討するが、後々理解できるよう記載する。
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