環境省大気環境・自動車対策微小粒子状物質健康影響評価検討会

第11回微小粒子物質健康影響評価検討会 会議録


1.日時

平成20年4月3日(木) 14:30~17:00

2.場所

全国都市会館 2F 大ホール

3.出席者

(委員)
安達 修一    内山 巌雄    上島 弘嗣
香川  順    川本 俊弘    工藤 翔二
小林 隆弘    坂本 和彦    佐藤  洋
島  正之    祖父江友孝    高野 裕久
富永 祐民    新田 裕史    溝畑  朗
森田 昌敏    若松 伸司
(環境省)
 竹本水・大気環境局長
 岡部総務課長
 岩田課長
 松田総務課課長補佐

4.議題

(1)微小粒子状物質健康影響評価報告書(案)について
(2)その他

5.配付資料  

資料   微小粒子状物質健康影響評価報告書(案)
参考資料  微小粒子状物質健影響康評価報告書の構成

6.議事

【松田補佐】 それでは定刻になりましたので、ただいまより第11回微小粒子状物質健康影響評価検討会を開催いたします。
 それでは、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 配付資料ですが、微小粒子状物質健康影響評価報告書(案)、それと微小粒子状物質健康影響評価報告書の構成として参考資料をつけております。
 なお、この報告書案ですが、何部かに分かれておりまして、最初に表紙をめくりまして、目次、次に、1章として、目的及び背景、これで一部。次に、粒子状物質の特性、これが一部。それから3章の曝露評価については5分冊に分かれております。また、生体内沈着及び体内動態は1冊です。次に、毒性学の健康影響に関する知見の整理については10冊になっております。また、6章の疫学のものは一つでございます。あと、7章、8章、これは一つずつと、あとは略語一覧ということで構成されております。
 もし、資料の不足がございましたら、お申しつけください。
 それでは、これ以降の会議の進行は、内山座長にお願いいたします。

【内山座長】 それでは、第11回の評価検討会を始めさせていただきたいと思います。
 今日はできれば、ここで取りまとめということに予定しておりますので、忌憚のないご意見をいただければと思います。
 議題1の微小粒子状物質健康影響評価書(案)ということで、今日は議論していきたいと思いますが、まず、前回の検討会におきまして取りまとめに向けて報告書の構成(案)についてご承認いただきました。この構成案に沿って報告書(案)を、本日、用意したところでございます。
 今日の審議の進め方ですが、まず、最初に、前回の会合におきまして審議いただきました、知見の統合による健康影響評価の中の有害性の同定や、疫学研究の健康影響に関する知見の整理について、前回との修正点について確認いただいて、その後、これまで議論してきました粒子状物質の特性、曝露評価、生体内沈着及び体内動態、毒性学研究の知見等についてご確認いただきたいと思います。それから、最後に目的及び背景、まとめと課題について審議いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、事務局から知見の統合による健康影響評価や疫学研究の健康影響に関する知見の整理について、前回、ご議論いただいたところからの修正点について、まず、ご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【松田補佐】 それでは、まず、6章の疫学研究の健康影響に関する知見の整理の修正点からご説明します。
 資料はちょっと部数が多いですが、この中をめくっていただいて、6章の疫学研究の健康影響に関する知見の整理を取り出していただければと思います。それで、この中で、前回の検討会での審議を踏まえまして、内山座長、新田疫学ワーキング部長との打ち合わせを踏まえ、取りまとめいただいております。
 まず、ページ数でいきますと、58ページでございます。
 呼吸器系の機能及び症状に関するページでございまして、ページ数間違えてしまいました。6-56ページですね。すみません、申しわけありませんでした。
 島委員からのご指摘で、「PM2.5が高濃度の地域においては、NO2をはじめとする様々な大気汚染物質も高濃度であることがほとんどであると。共存汚染物質の影響を考慮した解析を行った研究もあるが、数は少なく、大気汚染物質間の相関が大きいことから、結果の解釈は困難である」とする文章について、疫学のまとめの文章に反映されていないのではないかというご意見を前回の検討会でいただいております。
 そこで、まとめの方の文章にいきまして、ページ数は6の最後の方にいきまして、6-77ページの二つ目のパラグラフでございまして、「粒子状物質と健康影響指標性には」というパラグラフの中に、ここの5行目、そこで「共存汚染物質の影響との相互関係に関しては」をつけまして、以下「粒子状物質が高濃度の地域においてNO2をはじめとする様々なガス状大気汚染物質も高濃度に存在する場合が多く、これらのガス状大気汚染物質との間にも各種健康影響指標との関連性を報告する疫学知見も多い」と。「したがって、共存汚染物質の影響との相互関係については大きな不確実性が存在する」というような形で、文章をつなげるように修正をしております。
 あと、新田疫学ワーキンググループ長の方から、短期曝露影響の死亡に関する知見の図をつけていただいていまして、それが戻りまして6-13ページ以降につけております。ここで、図6.1ですが、短期曝露影響の死亡に関する欧米の知見、この知見は、ここのページ数でいきますと、6-33ページまでが死亡のものになります。
 また、6-34ページからは、これは短期曝露影響の入院及び受診ということで、これも様々な知見がございましたが、この図についても追加をしていただきました。
 これがまず主に疫学研究分野の修正点でございます。
 次に、7番目ですが、知見の統合による健康影響評価についてです。
 前回、審議事項として提示していた箇所を中心に、さらに内山座長や、あとは新田委員、その他の委員の方との打ち合わせを踏まえまして取りまとめをいただいております。
 前回の委員からの指摘についての修正ということであれば、この中の有害性同定に関する評価として7-23ページ、ここでPM2.5ないしPM10への短期曝露と呼吸器症状及び肺機能変化に関する点ですが、島委員からの指摘で、前回の文章では、「これらの呼吸器症状及び肺機能変化に関する疫学研究で示されている結果は、死亡までを指標とした知見に比べて、やや一貫性に乏しいものも関連性を示唆する多くの知見があり」という形の記述ではあったのですが、その「一貫性に乏しい」という部分について、疫学研究の評価に即した表現にすべきではないかというご意見がございまして、その点については、呼吸器症状や機能変化の記述では、パネル研究が多く、さまざまな研究デザインがあること、あとは、喘息患者や健常者など研究対象者が違うことによって結果の傾向も異なることもあることのようなことから、以下のようにかえております。PM2.5ないしPM10への短期曝露と呼吸器症状及び肺機能変化に関する疫学研究で示されている結果は、研究デザインや研究対象者などによって関連性のばらつきは存在するものの、関連性を示唆する多くの知見があり、呼吸器系疾患による入院・受診に関する知見と整合性も認められ、我が国の研究においてもPM2.5ないしSPMとの関連性が示唆されていると、こういう形の表現にしております。
 また、その次にいきまして、7-24ページでございます。
 有害性の同定に関する評価の中で、共存汚染物質に関する不確実性に関しては、香川委員の方から、共存汚染物質の影響についてもよく考えていかなければいけないということを強調されたことを受けまして、不確実性に関する記述について、いろいろ共存汚染物質の影響等がはっきり見えるような形で、明確にするような形に修正をしております。
 これが前回の検討会での議論を踏まえた修正点でございます。
 あと、そのほか、前段部分でございますが、座長や坂本委員とも相談をして、適切な粒径のカットポイントに関する記述について、7-14ページですが、ここで「微小粒子と粗大粒子の間のカットポイントは欧米と同様に2.5μmとするのが妥当である」ということは、この検討会の議論の中でも、そのような形になったのですが、特に「また」以下の部分ですが、粗大粒子を含めた粒子状物質のカットポイントの上端の部分についての記述について、まず、現状としては、「我が国では、粒径10μm以下の粒子を100%カットする浮遊粒子状物質の環境基準に設定する」と。今回の検討において、「粗大粒子については、10μmを超える粒子は上気道領域で捕捉されるが、10μm以下の粒子は下気道領域や肺胞領域での沈着率が高く、粗大粒子を含めた粒子状物質のカットポイントの上端を10μmとする従来の知見とは変わりがないことを確認した」と。このような形で、従前のSPMの基準の設定の考え方、それと、そのときの知見と従前の知見は変わりがないということを確認したという形で修正をいただきました。
 以上、これは疫学研究の部分と知見の統合による健康影響評価の見直しでございます。
 あと、用語の統一等、表現の見直しは、内山座長、その他のワーキング長ともお話しをして見直しをしているところですが、主なものとしては以上でございます。

【内山座長】 今のご説明は、前回、特にご議論いただいたところの修正点を中心にご説明いただきました。何かございますでしょうか。
 富永先生、どうぞ。

【富永委員】 前回、3月24日の検討会でしつこく色々言いましたので、ここでは全く私が期待していた以上に、4回も繰り返して指摘していただいておりまして、全く満足でございます。これでいいと思います。

【内山委員】 ありがとうございます。
 そのほかにご意見いかがでしょうか。
 島先生。

【島委員】 前回、私が指摘しました呼吸器症状の一貫性の点については、適切に変更していただいたので、このとおりで異存ございません。
 1点、前回の指摘とは異なる点で恐縮でございますけれども、7-23ページの下から二つ目の段落について確認させていただきたいのですが、「PM2.5ないしPM10への短期曝露と循環器系の症状及び機能変化との関連について多くの知見がある」という記載がありますけれども、循環器系の症状との関連についての知見というのは、ちょっとこれまで疫学の評価文書を見ていた限りでは、私自身はそれだけ相当するものは見た記憶はないのですが、不勉強ですので、教えていただければと思います。

【内山座長】 これは新田先生、よろしいでしょうか。

【新田委員】 ただいまの島委員のご質疑ですが、ここの文章、他のところにございますように、呼吸器系の症状の機能変化というようなことで、そういう目次立てと対応するような表現で循環器系の症状及び機能変化ということで、ずっと使ってきた経緯で、そこに文章が同じような表現、呼吸器系と対称な形で表現されております。
 実際には、循環器系の症状というのは呼吸器系の症状のように持続性の咳、痰、喘鳴症状との関係というような意味合いで、循環器系の症状との関連を見た知見はほとんどございませんので、ここで実態に即して「症状」を削除して「循環器系の機能変化」というだけに限定した表現の方がより的確かなというように考えております。

【内山座長】 はい、わかりました。島先生、それでよろしいですか。

【島委員】 はい、私も疫学の部分で一度見直してみたのですが、確かに見出しとしては呼吸器系との並びで「症状及び機能変化」という書き方がされているのですけれども、本文中には具体的な文献が紹介されていますので、短期曝露と症状との関連というのは、恐らくここで初めて出てきた書き方だと思います。ですから、今、新田先生が言われたように、「症状」は削除された方が正確になると思います。

【内山座長】 ありがとうございます。そうしましたら、ここは「PM2.5ないしPM10への短期曝露と循環器系の機能変化との関連について多くの知見がある」ということで、「症状及び」を削除と最終的にはしたいと思います。よろしいでしょうか。
 その他にいかがでしょうか。
 それでは、ここは6、7のところで、前回、特にご議論があったところの修正を、それから、今日、新たにご指摘いただいたところの修正を行って、この検討会としてこれでということですが。
 上島先生。

【上島委員】 今の島先生の修正点ですが、ちょっと6-10を見ていたのですが、6-10の第2段目のところに、「粒子状物質(PM10あるいはPM2.5)云々」から始まりまして、「数時間後から云々」があって、「心拍数の低下、血圧の上昇等」は、これは心拍数とか血圧とかというのは症状ですので、別に症状と考えてもいいかなという気もします。不整脈もそうですしね。T波の変化、これは機能性の変化でもありますが、不整脈は症状でもあるのではないかなという気はしますが。

【内山座長】 これらを症状ととるかどうかなのですが、いかがでしょうか。例えば不整脈の症状といったら、動悸がするとか、そういうことですよね。そういうところまで、いわゆるシンプトムとしてアンケートをとっていたか、それとも、心電図上の客観的なものでとっていたかと。

【新田委員】 ただいまのご指摘の点、私もちょっと、少し以前から気になって、諸外国の評価文書等の表現も確認をいたしました。それで、循環器系のシンプトム、症状というようなものでは、やはり動悸とか、胸部痛とか、めまいとか、そういうことを直接調べているような研究も若干ございまして、それに関しては循環器系の症状との検討ということで、ここで挙げられているものは、やはりファンクションというようなくくりで表現されておりましたので、そういう意味では、機能変化のくくりで書いておいた方が、諸外国の評価文書との対応関係からいえば、適切なのかなというように考えて、先ほど、ちょっと「症状」という表現を削除した方が適切かなと申し上げました。

【上島委員】 わかりました。

【内山座長】 よろしいでしょうか。
 それでは、先ほどのとおり、「症状及び」というのは削除ということで、循環器系に関しては機能変化に対しての知見が行われていると。
 川本先生、どうぞ。

【川本委員】 大変細かいところですけれども、6-11のところで、3行目は「咳、痰、呼吸困難、喘鳴、気管支拡張薬の使用等」となっていますが、真ん中のところに、「咳、粘液、呼吸困難」と書いてあるのは、粘液というのは、これは痰のことだと思いますので、「痰」とされた方がいいと思います。

【内山座長】 これは、咳、痰でよろしいですか。

【新田委員】 ちょっと見落としていました。一部、直訳的な表現を修正したつもりだったのですけれども、何か残ってしまっておりました。

【内山座長】 「痰」でよろしいですね。ありがとうございました。6-11の真ん中のパラグラフあたりの「ほとんどの研究では、咳、粘液、呼吸困難」と書いてあるところ、この「粘液」を上の3行目と同じように「咳、痰、呼吸困難」という表現にさせてください。
 ありがとうございました。それではよろしいでしょうか。
 次に、各ワーキング長の方で修正の作業をいただいておりました粒子状物質の特性、曝露評価、生体内沈着及び体内動態、毒性学研究の知見の整理に関して修正点、最終的な修正ということで事務局の方から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【松田補佐】 それでは、粒子状物質の特性、曝露評価、あと、生体内沈着、体内動態、あと、毒性学の健康影響の知見の整理に関しまして、それぞれ関係する委員の先生方に修正をいただきましたので、その点についてご説明したいと思います。
 まず、粒子状物質の特性、曝露評価のところでございます。これに関しては、坂本曝露ワーキング長と内山座長と相談をしながら修正作業を行っております。特に言及すべき点としては第6回検討会でも議論いただきましたが、日米の測定データの特徴に関する記述についても検討会の審議を踏まえ修正をいただいております。
 そのページ数についてですが、3番の曝露評価に関する知見として、これも3-18から19ページ、3番は4分冊になっております。それの最初の1冊目の3-18から19です。ここで米国と日本のデータの特徴ということで、大気中濃度について米国と日本の質量濃度や成分濃度に関するデータを整理して、それぞれの国のデータの特徴を記述すると。なお、以下の理由から、両国のデータを一概に比較することは困難であると。
 その三つの理由を、米国のデータは日本のように、測定地域について都市部、非都市部、自排局のような区分を行っておらず、金属成分に関するデータも一地域のものでしかない。米国のデータはフィルタ法により測定されたものであるが、日本のデータは自動測定法であるTEOMで測定されたものであり、加熱による水分の影響を除去するため、半揮発性物質が消失する等の影響を受けている。また、米国のデータは中央値、日本のデータは平均値と代表値の指標が異なること。
 こういったことから、一概に比較することは困難であるという旨、記載をしております。この点については、質量濃度や成分、金属成分に関しての3.1.3.1.以降にも同様の趣旨の記述が書かれております。
 また、あわせて同様に、3の曝露評価に関するまとめの文章ですが、3-4の方にいきまして、これは4分冊の最後でございます。これも3-79ページです。ここでも米国と日本の特徴ということが事項として書いてありまして、同様の記述にするよう修正をいただいております。
 また、曝露評価の大気中濃度について、PM2.5をTEOMで測定をしたデータがあるのですが、これについて図を示した部分があるのですが、図は文章のところにあるのですが、これについて、測定温度を50度とするような形で明記するようにしていただいております。これが粒子状物質の特性及び曝露評価に関する主な修正点でございます。
 その次にいきまして、生体内沈着及び体内動態でございます。これは4番目ということですが、生体内沈着及び体内動態に関しましては、小林委員、工藤委員と内山座長で相談をいただきまして修正作業を行っております。
 第6回検討会において議論になった超微小粒子状物質の脳への移行、小児、微小粒子状物質リスクの記述なども含めて修正を進めていただいております。
 まず、4-14ページです。ここで4-14ページにおいて、4.1.9.2.年齢の影響というところがありまして、そこから以下、小児に関する沈着の色々な知見を示しております。
 そのあと、最後の記述、まとめの記述ですけれども、主にBennettとZemanの知見を用いまして、「小児は成人と比較すると粒子の沈着量に差は見られないが、肺が小さく、呼吸数や分時呼吸量が大きいため、単位表面積あたりの沈着粒子量が大きくなる傾向があり、吸入粒子に対するリスクが大きい可能性がある」という形で修正をいただいております。
 また、超微小粒子の濃度の移行につきましては、21から22ページにかけてです。もともと超微小粒子の循環血液系への移行という記述がございまして、ここの中で脳への移行に関する知見があるのではないかと香川委員の意見もございまして、小林委員の方に知見の確認をしていただきまして、補足的に知見の確認をした上での記述を加えております。
 その知見は、4-21の一番下の、安定同位炭素で標識をした36nmのナノ炭素粒子の吸入曝露実験で大脳、小脳で、安定同位炭素の増加が観察される諸々の知見を列挙していただいていまして、ただ、その一方で、その知見については、より充実を図る必要があるというような形で記述をいただいていまして、その上で、「以上のことから、吸入粒子が迅速に心血管系作用、またはその他の全身作用を発現する機構をとして、超微小粒子の直接的な移行、粒子の可溶化移行、吸着成分の可溶化移行の可能性があるが、手法の精査も含め今後の充分な検討が必要である」という形でまとめていただいております。
 また、このほか、工藤委員の方に修正の作業を行っていただきまして、気管、気管支領域、下気道領域にするなど、用語、表現、医学的な用語についても適正化、こういったものについて行っていただいております。
 これが沈着、動態部分の修正点でございます。
 その次にいきまして、毒性学研究の健康影響に関する知見の整理です。
 これについては高野毒性ワーキング長と内山座長で相談いただきながら、修正作業を行っていただいております。
 ここの部分で変えなければいけないというところは、影響メカニズム、先ほど、有害性の同定の修正点にもございましたが、影響メカニズムに関する審議の中で修正をいただいた点を本文に反映するような修正を進めていただいております。
 特に5-161ページ、分冊でいうと最後の方になりますが、5.8のまとめです。これの最後の共存汚染物質の相互作用につきましてですが、ここの部分の表現につきまして、相互作用に関連して「相加的・相乗的若しくは相殺的なものが存在しうる」と、こういう形で用語を修正していただいております。
 また、粒子状物質とガス状物質の物理的・化学的な相互作用が生じる機構というものは、以下によるものが考えられるということで、「ガス状物質と粒子状物質の化学的相互作用による2次生成物質の形成、ガス状物質の粒子状物質への吸収・吸着、その後の末梢気道領域への運搬」、こういう形で影響メカニズムに合わせる形で修正をいただいております。
 ここが主に毒性学研究において修正をした点でございます。
 あと、全体にわたって「2次生成粒子」というのを「2次粒子」に修正し、あとは「空気力学的系」を「空気動力学系」にするなど、用語の統一、あとは「など」や「および」の平仮名、漢字の混在した部分を漢字で統一するなど、これまでの影響メカニズムの有害性の同定に関する文章の審議を踏まえまして、こちらの本文においても文言について同様の修正を行っております。
 以上でございます。

【内山座長】 ありがとうございます。
 それぞれご説明いただきましたので、まず、最初が3の18ページから19ページ、あるいは3-79ページに、日本と米国との差についての記述を追加していただいた部分、何かご意見、ございますでしょうか。
 特に、坂本先生、よろしいですか、これで。補足ございますか、よろしいですか。

【坂本委員】 内容ではございませんが、例えば、3-18とか3-19の表のそれぞれの数値と説明とがずれていますので、印刷の前には最終的にはそろえていただきたいということです。例えば、3-18で、PM10/SPM(μg/m3)、その下に数値があるわけですが、位置がずれています。体裁だけのものです。

【内山座長】 わかりました。それは、では最終的に製本するときに体裁を少し表で、3.1.5、3.1.6、3.1.7もそうですね。下の数字と、それから、上の項目等が少しずれているところがありますので、これは最終的に整えていただくということに。
 新田先生、どうぞ。

【新田委員】 今の同じページですが、3.1.3の米国と日本のデータの特徴のところの[3]で、「米国のデータは中央値」という表現がありますが、ここはそのあとの表の3.1.5の表で書かれている日本と比較する上での米国のデータが中央値であったという意味かなと思うのですけれども、ここだけを見ますと、米国での曝露評価を示している代表値が一般的に中央値というような、何となくそういう誤解が少し生じるかなという気がいたしました。ここでのというこの表で比較する上での米国のデータは中央値しかなかったということかなと思ったのですけれども、そういうことでよろしいのでしょうか。

【坂本委員】 そうです。

【内山座長】 それでよろしいですか。これは特にこのままで。

【新田委員】 ちょっと、ここだけ読んで疑問が出たものですから。

【松田補佐】 このデータは米国のクライテリアドキュメントの資料をもとに米国の事例としてまとめておりますので、この「米国のデータは」のところに「米国クライテリアドキュメント(U.S.EPA)の資料に関するデータは」というようにすると、どのデータかというのが明確になるのかとは思いますが。これは全般にわたっての話にはなるのですが。3.1.3.で米国と日本のデータの特徴のところで、「以上の情報をもとに」と書いていますので、そこは3.1.1.を見ていただければ、米国のデータが何かというところをソースはわかるのかなということで、全体を通して見ていただければ、一体どの情報かというのはわかるのではないか、と思うのですが。

【新田委員】 今の説明ですと、3.1で米国の事例で中には平均値がたくさん書かれていると思うのですけれども、中央値だけではなくて。

【内山座長】 そうしましたら、今の追加の3-18ページのところの表のところに出典を書いてよろしいですね。こういう都市部、非都市部、あるいは自排局という形、それから、米国での形ということを比べたときに、このデータは中央値を示しているということと、それから、3.1.3の[3]というのは、これはクライテリアドキュメントを読むときにはこういう注意が必要だということでよろしいですか。

【坂本委員】 ここで比較をして出したものが表3.1.5、こういった形で書いてあるものが中央値ということ。

【内山座長】 その3.1.3の米国と日本のデータの特徴というところで、米国のデータは中央値、日本のデータは平均値と代表値の指標が異なるというところは、クライテリアドキュメントを見るときには、そういう注意が必要だという意味でよろしいですか。

【坂本委員】 それぞれがどういう形で揚げてあるかということで注意して見る必要があるということです。ここの3.1.3.1は、少なくともその中央値がここでは掲げてあるということです。

【内山座長】 それでは、そこを誤解のないように修正させていただきます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 それでは、次が生体内沈着と体内動態に関しての修正のところで、15ページあたりからですね。それから、21ページから。
 工藤先生、どうぞ。

【工藤委員】 間違いないはずですけれども、ちょっと文言のところの統一をお願いしたいのですが、4-15のところです。4-15のまとめの部分で、「分時呼吸量」という言葉がありますけれども、これはこの案文を通して「分時換気量」になっていますので、「分時換気量」にしていただきたい。こっちの方が医学的に正解。
 それから、もう一つは、4-14の上から5行目あたりに「単位体重当たりの分時換気量が多いため」と、これは「大きいため」ですね。それで、これ小児の話です。したがって、ここも4-15のところも「単位体重当たりの分時換気量が大きいため」とお願いします。
 それから、4-14のところのBennettのところですけれども、ここに「沈着」という言葉が出てくるのですが、これは「沈着率」なのか「沈着量」なのかわからないところがあります。それで、Bennettの、真ん中のところです、98年のところです。「2μmの粒子沈着を」、ここはそれでいいのですが、その次の行で、「沈着は吸気と呼気の粒子量」、これは沈着量だと思いますので、「沈着量は吸気と呼気の粒子量を測定し評価した」と。それから、その次の行で、「沈着の差がなく」ではなくて「沈着量の差がなく」、その次の行も同様です。「小児群と成人群、青少年群と成人群で沈着量の差がなかった」。それから、次の行で「単位面積当たりの粒子用量」という言葉がありますけれども、これはやはり「沈着量」とした方がいいと思います。
 以上です。文言の統一の問題で。

【内山座長】 ありがとうございます。

【工藤委員】 それで、4-15の最後のところは、そこだけは「沈着粒子量」になっていますけれども、これはこれでもいいのかなと思いますけれども、正確には沈着量というのは沈着粒子量ですから、まとめだけは「沈着粒子量」というように入れておいていいかもしれませんが、これは事務局にお任せしますけれども。

【内山座長】 ここはもう一回見直しさせていただいて、そのほかにも同じようなところがないかを含めて用語を統一させていただきます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 小林委員、どうぞ。

【小林委員】 言葉の問題だと思うのですけれども、4-6ページ、4.5.3の図のところですが、横軸、これは「分枝」、分の枝と書いてありますが、「分岐次数」、それから、その図の説明のところの「枝」という字、「分岐次数による気道の積算断面積」という表現に修正していただければと思います。

【内山座長】 それでは、図の4.5.3のところの「分枝」、「枝」となっているのを「分岐次数」と、それから、図の方も「分岐次数」というようにさせていただきます。
 そのほかにお気づきの点はございますか。
 島先生、どうぞ。

【島委員】 4-21ページの超微小粒子の循環血液系への移行についてのところですが、最初にNemmarで、99mTcで標識した炭素粒子からなるエアロゾルガス(テクネガス)を吸入させたということが書かれています。その次の段落で、Millsということで、またテクネガスを吸入したとあって、その下に上記の文献に対する否定的な見解があるということが書かれているんですが、ちょっとそこのところ、最初は文献の紹介だけで、それに対する否定的な見解というのはかなり飛んでしまっていますから、全体を通して読めば、よくわかるんですけれども、ちょっと、研究に対する評価としてどうなのかというところが、全体の流れの中で読みにくいので、工夫していただく方がいいのではないかと思いました。だから、否定的な見解があるのであれば、最初の段落にその旨を書くか、あるいはアスタリスクでもつけて注釈を入れるかという方が誤解を招かないのではないかなというように思います。
 それから、その次の「Brownら」というところの段落ですが、5行目の「パーテクネガス」とあって、その次に「パーテネクガス」というのが二つあるんですけれども、これは別のガスになるんでしょうか。ちょっと確認していただければと思いますので、よろしくお願いします。

【内山座長】 テクネガスを生成するときに微量の酸素によりパーテクネガスが生成される。テクネガスがパーテクネガスになるという、その説明でよろしいですか。それでパーテクネガスは速やかに過テクネチウム酸になる。

【島委員】 パーテクネガスとパーテネクガスというのは。

【内山座長】 そういうことですか。はい、わかりました。どちらが正しいかですか。これは後で、小林先生、今、おわかりになりますか。パーテクネガスでいいのですか。

【小林委員】 パーテクネガスです。

【内山座長】 では、2回目に出てきたのを「パーテクネガス」、「パーテネクガス」は「パーテクネガス」。それから、上の方の「Nemmarら」のものを、ここら辺のところは島先生から、これを入れる場所、あるいは表現に関してご意見が出ましたが、小林先生、何かお考えありますか。

【小林委員】 Nemmarらの最初の本文で、循環血液系に移行するという報告であったんですが、その後の実験的な手法によって否定的な見解が出ているという趣旨ですので、島委員の言うように、わかりやすい表現、趣旨としてはそういうことですので、わかりやすい表現にできればと思います。

【内山座長】 よろしいでしょうか。まず、2002年のNemmarらが報告したことに対してMillsが否定的なことを言い、さらにBurchもやはり否定的であると、そういう流れでよろしいでしょうか。
 それで、島先生は、そこに報告だけでなく、それを評価するものがそこに入っていると、ちょっとおかしいということでしょうか。

【島委員】 この節全体を読めば理解できるんですけれども、第1段落だけでは否定的な見解があるということはわからなかったものですから、そのあと、その次の段落で「Millsら」というのが出てきていますけれども、Nemmarらに対する否定的な見解があるということがもう少しわかりやすく記載していただいた方がいいのではないかなと思ったんですが。

【内山座長】 そうすると、順番からいくと、Burchの論文は2002年ですよね。ですから、そこで、「Burchは」ということを上のNemmarの後に持ってきて、それでさらに「Millsら(2006)は」、そういう順番でもいいんですか。小林先生、それでよろしいですか。

【小林委員】 先ほどから申し上げていますように、Nemmarらはテクネガスを吸入させて、循環器系へ行くというのが最初の文章ですね。そうであったのですが、そのあとの二つというのは、それは酸化されて、それが可溶性ということで血中に移行したということで、粒子として行ったのではないという見解ですので、最後の下から4行目の「このことからNemmarらの報告は過テクネチウム酸のクリアランスと一致するが、不溶性超微粒子のクリアランスとは一致しない」というのが、この研究の流れにはなっていると思います。

【内山座長】 事実はこれで違わないと思いますので、並べ方、あるいは、つなぎ方を少し工夫させていただくということでよろしいでしょうか。
 島先生、それでよろしいですか。

【島委員】 はい。

【内山座長】 すべての報告の意見を生かすということと、最終的には最初に報告されたNemmarらの報告は粒子ではなくて可溶性分としていったのであろうという結論であるということになると思いますが、もう少し、そこをつなげられるよう、流れがわかるように後で修正させていただきます。

【溝畑委員】 表現のことだけですけれども、99mTcというのは、テクノチウム99のメタステイ分の原子核をあらわしているので、一番下の13Cと書いてあるように、こういう形に表現を改める方が正しいと思いますので、99mは次の形に直していただきたい。
 それと、「ラベル」という言葉と「13C標識」という言葉があるので、どっちか、標識とする方が、多分正確だと思いますので、どっちかに統一してもらった方がいいと思います。

【内山座長】 わかりました。では、99mというのは、最後の行にあります13Cと同じように上つきにするということと、「ラベル」というものを、なるべく日本語を使うということで「標識」にするということで、よろしいですか。
 ありがとうございました。このところは、つながりを少し工夫させていただくように修正させていただきます。
 そのほかによろしいでしょうか。

【松田補佐】 今のところで、ここのところでは「エアロゾル」という言葉を使うとうことになっているのですが、4-21の今の文章を読んだところあたり、「エアロゾル」と「エアゾル」というのがありますので、ここは「エアロゾル」に統一するという話でやっていたかと思います。

【内山座長】 「エアゾル」は「エアロゾル」というように統一するということですね。これは、では、また後で全体を見直します。
 ありがとうございました。
 そのほかによろしいでしょうか。
 それでは、次が毒性学の修正で、特に大きなところは5-161ページ、共存汚染物質についてのメカニズムのところを、そのあとの有害性の同定、あるいはまとめのところでご議論いただいたように、ここでは物理的、化学的な相互作用に関してはこういうことが考えられるということに限定して書いたということですが、そのほかに5章でお気づきの点はありますでしょうか。
 それでは、ないようでしたら、各章につきましては、これで2から7が終わりましたので、4のところについて少し並び等を変える、あるいは、細かい語句の修正をいただいたということにしたいと思います。
 よろしいでしょうか。
(はい)

【内山座長】 それでは、最後に、報告書の取りまとめに当たりまして、目的及び背景というところと、それから、8のまとめ及び今後の課題ということが抜けておりました。それで、これまでの会議録等を踏まえまして、私の方で取りまとめましたので、また、今後の課題につきましては、前回検討会の最後に横山委員の方から閾値の存在が特定できないことによって既存の定量的リスク評価の困難さということ等をご指摘いただいたことも含めまして案をつくってまいりましたので、文章については事務局の方から読み上げていただきたいと思います。特にまとめの8の方では、最後の8-3のページの真ん中あたり、「その一方、これらの不確実性の存在にかかわらず」というところあたりがこの報告書の取りまとめの一番大きなところになろうかと思います。そして、その前に、横山先生からいただいた不確実性等に関しての今後の課題を書かせていただいて、それにもかかわらず、その一方、一定の総体として影響があるということが支持されるということを書いて、最後になお書きで閾値の点について、それから、測定問題についてのことを書かせていただいたということでありますので、まず、読み上げていただきます。そのあとにご議論いただければと思います。
 よろしくお願いします。

【松田補佐】 それでは、1番と8番、目的及び背景、まとめ及び今後の課題について読み上げさせていただきます。
 まず、1番です。目的及び背景ですが、我が国では、粒子状物質に関する取り組みとして、大気中に比較的長く浮遊し、呼吸器系に吸入される粒径10μm以下の粒子を浮遊粒子状物質と定義して昭和48年に環境基準を定め、総合的な大気環境保全施策を進めてきた。近年、これらの浮遊粒子状物質の中でも粒径2.5μm以下の微小粒子状物質が呼吸器系の奥深くまで入りやすいこと、粒子表面に様々な有害な成分が吸収・吸着されていること等から健康への影響が懸念され、欧米においては、浮遊粒子状物質に加えて、微小粒子状物質の環境目標値を設定する動きがある。米国では微小粒子状物質の環境基準が1997年に設定された後、2006年9月に基準の改定が行われ、WHOは微小粒子状物質の環境目標値に関するガイドラインを2006年10月に設定した。
 これらの動きを受けて、1999年に環境省は、大気環境学、東京都、環境再生保全機構との共催で、「大気中微小粒子と健康に関する国際シンポジウム」を東京において開催し、微小粒子状物質に関する諸外国との情報の共有と、国内での啓発に努め、2002年には「ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会 平成13年度報告」を公表してきた。さらに環境省は、一般大気環境における微小粒子状物質の曝露と健康影響との関連性を明らかにすることを目的とし、平成11年度より「微小粒子状物質曝露影響調査研究」を開始し、平成18年度にかけて計8年間にわたって、曝露、疫学、毒性学の三つの分野について各種調査研究を継続的に実施し、我が国における微小粒子状物質の曝露と健康影響との関連性に関する知見の集積を図ってきたところであり、その成果を平成19年7月にとりまとめ公表した。さらに、これら国内における調査研究結果のみならず、国内外における既存の調査研究の文献を収集・整理を行う粒子状物質の健康影響に関する文献調査を実施したところである。また、微小粒子状物質の長期曝露による死亡の影響を示す知見を充実させる観点から、現在も追跡作業を実施している「大気汚染に係る粒子状物質による長期曝露影響調査」のデータを活用して微小粒子状物質を含めた粒子状物質の長期曝露影響の推計を行った。
 これらの科学的知見や情報等を踏まえ、大気環境保全対策の検討に必要な基礎資料を得ることを目的に、学識経験者からなる微小粒子状物質健康影響評価検討会が、環境省水・大気環境局の下に開催され、微小粒子状物質に係る健康影響に関する評価について、以下のとおり精力的に調査・審議を進めてきた。
 それの第1回から第11回までの会議の開催状況について書き写されておりまして、その次にいきまして、本報告書は、疫学、毒性学や曝露に関する様々な国内外の知見をもとに、微小粒子状物質の曝露と呼吸器系や循環器系等に対する健康影響に関する評価を行い、特に微小粒子状物質の有害性の同定について専門的な検討を進め、その成果をとりまとめたものである。
 1.2、検討体制。
 検討会は、曝露、毒性学及び疫学に関する学識経験者を委員として構成した。表の1.2.1に委員名簿をつけております。また、3分野のワーキンググループについても設置して検討を進めてきたということで、表の1.2.2にワーキンググループの名簿をつけております。
 その次のページにいきまして、1.3ですが、評価文書の構成として、第1章では、目的や背景、検討体制、構成を紹介して、第2章では粒子状物質の特性、第3章では曝露評価、第4章では沈着、動態について、第5章では毒性学の知見の整理を踏まえたメカニズムに関する仮説の確からしさの評価、6章では疫学研究の知見を踏まえたHillが示した観点からの評価を行っていただいて、その上で、第2章から第6章までの知見を統合して、粒子状物質の大気・体内中の挙動、適切なカットポイントや影響メカニズム検証、有害性の同定に関する総合的な健康影響評価を行っていると。
 第8章では、報告書のまとめと今後の検討を行うべき課題を示している。
そこで、8番の方にいきまして、まとめ及び今後の課題ということですが、本検討会は、浮遊粒子状物質の中でも粒径の小さい微小粒子状物質について、国内外の知見を踏まえ、微小粒子状物質の呼吸器系等や循環器系等への健康影響に関する評価について専門的な検討を進めることを目的として、平成19年5月29日に第1回会議を開催した後、報告をとりまとめるまで合計11回に及ぶ調査審議を行ってきた。
 微小粒子状物質の健康影響評価の作業を行うに当たって、「微小粒子状物質曝露影響調査報告」や「粒子状物質の健康影響に関する文献調査」の国内外の知見を検討した後、平成19年10月30日第4回会議において、3分野のワーキンググループを設置した。
 曝露ワーキンググループにおいては、大気中粒子状物質の特性及び曝露評価の事項を検討しております。大気中粒子状物質の特性では物理・化学的な性質や測定方法等の既存知見をまとめるとともに、曝露評価では、大気中濃度、排出量推計、モデルを用いた生成機構や組成推計、ヒトへの曝露様態の既存知見をまとめております。
 毒性ワーキンググループにおいては、生体内沈着及び体内動態並びに毒性学研究の健康影響の事項を検討した。生体内沈着及び体内動態では、毒性学や疫学に関する健康影響を評価する上で役立つヒト及び動物に関する既存知見をまとめたと。毒性学研究に基づく健康影響については、ヒト志願者や動物を用いた実験の知見をもとに呼吸器系、循環器系、免疫系等の分類毎に、それぞれ障害に関する影響等の仮説の確からしさの評価を行った。
 疫学ワーキンググループにおいては、疫学研究に基づく健康影響の事項を検討した。様々なタイプの疫学研究によって得られた、大気中粒子状物質への曝露に伴って生じたと想定される健康影響に関する知見をもとに、呼吸器系、循環器系疾患等による死亡、入院及び受診並びに呼吸器系、循環器系に関する病状及び機能変化等の健康影響指数毎に、Hillが示した観点(整合性及び生物学妥当性を除く)から評価を行った。
 三つのワーキンググループにおいて原案を作成した知見を統合して、粒子状物質の大気・体内中の挙動に関する整理、適切なカットポイントの検証、影響メカニズムの検証、有害性の同定に関する健康影響評価の作業を実施してきた。
 粒子状物質の大気・体内中の挙動に関する整理に関して、(1)番粒子状物質の特性において、[1]粒子状物質の物理・化学的性質、[2]測定方法の既存知見をまとめ、(2)として曝露評価において、[1]大気環境データの現状、[2]発生源影響、[3]モデルによる濃度推計、[4]ヒトへの曝露様態の既存知見をまとめ、(3)体内沈着・動態の整理において、[1]生体内沈着、[2]体内動態の既存知見をまとめた。
 また、我が国では、粒子状物質の指標に関し、粒径に着目し、粒径10μm以上の粒子を100%カットする浮遊粒子状物質の環境基準を設定している。今般、粒子状物質の粒径がヒトへの健康影響に関して重要な要素となることから、(1)粒子の物理的・化学的要素、(2)番として曝露データ、(3)番、粒子の体内挙動、(4)番、科学的知見の蓄積等の検討から、粗大粒子を含めた粒子状物質のカットポイントの上端を10μmとする従前の知見と変わりがないことを確認した。その上で微小粒子と粗大粒子の間のカットポイントを2.5μmが妥当と評価した。
 次に、粒子状物質の影響メカニズムにおいて、毒性学研究の健康影響に関する評価を踏まえ、呼吸器系、心血管系、免疫系、発がん等の分類別に微小粒子状物質やその成分による影響について想定されるメカニズムをまとめた。
 有害性の同定において、粒子状物質の曝露による健康影響に関する総合的な評価を行うため、疫学的知見から示された結果が毒性学知見から想定される影響メカニズムによって支持できる、あるいは矛盾しないものであるかについて、生物学的妥当性や整合性に関する検討を行った。最後に、疫学研究の健康影響に関する評価とこれらの生物学的妥当性や整合性についての検討結果を統合して評価を行った。
 今回の健康影響評価の作業を通じて、我が国の浮遊粒子状物質の環境基準の根拠として示されていた呼吸器症状や肺機能の変化、死亡リスクの増加等については、PM2.5にもその関連が見られるとともに、短期曝露の影響として呼吸器系・循環器系疾患による入院・受診数の増加、循環器系に関する、これは病状及び機能の変化となっていますが、機能変化ということで、それと、死亡のリスクの増加、長期曝露の影響として肺がんに関する死亡リスクの増加についてもPM2.5との関連が見られた。
 従前、SPMの健康影響に関しては、その物理的性状に着目し、粒子状物質のヒトの体内への侵入は主として呼吸器系に対して直接的であり、呼吸器系への影響を主たるものと考えてきた。
 今般、微小粒子状物質に着目して定性的な評価の検討を進めてきたが、呼吸器系の健康影響指数との関連について微小粒子領域に存在する粒子のみの影響を示すものであると明確に結論づけることは困難であったが、粒子状物質において従前から認められている健康影響が、微小粒子状物質においても見られた。また、新たに循環器系や肺がんの健康影響指数との関連について、微小粒子状物質によるこれらの影響が見られた。
 これら個別の評価に関するいくつかの我が国の疫学研究では、事例は少ないとはいえ粒子状物質と健康影響指数の間の関連が認められなかった報告もある。我が国と欧米の間にある循環器系疾患の疾病構造の相違については有害性同定に関する評価において述べたところであるが、ライフスタイル等に係わるリスクファクターにも違いがあるため、欧米における疫学研究の結果を我が国における粒子状物質の健康影響評価に直接使用するには留意が必要である。
 また、大気中粒子状物質に関して示された種々の健康影響については、微小粒子のみならず微小粒子を含むSPMやPM2.5においても同様の影響が見られ、粗大粒子の影響も否定できず、微小粒子領域に存在する粒子のみの影響であると明確に結論づけることは困難である。
 さらに、粒子状物質とともに他の共存汚染物質と健康影響との関連性を示す疫学知見も多く見られること、気道や肺の炎症作用等、粒子状物質と他の共存汚染物質による毒性学的な作用に類似性が認められること、大気中の粒子状物質と共存汚染物質の濃度変化に相関性が見られること等から、それぞれの物質の影響を分離することが困難な場合が多いことに環留意する必要がある。
 今般の評価は各分野における、以上に述べた多くの不確実性の下になされてきたところであり、これらの不確実性を可及的に少なくするため、以下に代表される課題に係る知見の集積に一層努める必要がある。
 一般環境下において微小粒子状物質曝露により呼吸器系、循環器系疾患により死亡に至るまでの過程の解明の検討。
 微小粒子状物質と関連する健康影響に対する共存汚染物質の寄与または共存汚染物質による相互作用に関する検討。
 我が国と欧米の循環器系疾患の相違に着目した微小粒子状物質の循環器系への影響の相違に関する検討。
 粒径の大きさや特定の成分に着目した健康影響に関する検討。
 微小粒子状物質の健康影響に対する高感受性群に関する検討。
 その一方、これらの不確実性の存在にかかわらず、総合的な評価をすると、微小粒子状物質が、総体として人々の健康に一定の影響を与えていることは、疫学知見並びに毒性知見から支持される。これらの疫学研究において示される影響について、大気中粒子状物質の曝露に関して観察される相対リスクは他の曝露要因と比較しても大きくはないことが挙げられるものの、大気汚染による曝露は、人の嗜好生活パターンによらずすべての者に及ぼしうるものであって避けることが困難であるという特性を持つことからすると、公衆衛生の観点から微小粒子による健康影響を軽視することはできない。このため、今回の検討で判明した微小粒子に関する様々な影響について、さらに定量的な評価に関する考察を進める必要がある。
 なお、閾値の問題に付言すると微小粒子状物質は様々な成分で構成されているとともに、地域によって大気中の粒子成分が変動することから、粒子状物質自体の発がん性に関する閾値の有無を明らかにすることは困難とされ、非発がん影響に関する閾値の存在についても、集団における閾値設定の種々の問題から、疫学知見に基づいて粒子状物質への曝露による閾値の存在を明らかにすることは難しいと本検討会は当面結論するに至っている。
 この結論は、閾値の存在を仮定したヒトへの健康評価の有無について検討を進める定量的な評価手法を採用することは厳密にはできないことを意味する。したがって、環境目標値の設定を行うためには、本検討会における種々のエンドポイントに関する有害性の同定に関する評価や信頼性のある国内外の知見を踏まえ、リスク評価に係る手法について充分検討を行うべきである。
 また、これらの定量的な評価に関連して、曝露分野に関して、以下の点に課題があることが示されたので、これらの課題についても充分検討を行うべきである。
[1] 日本は米国と異なり湿度が高い環境にあり、正確な濃度測定を行うためには、秤量測定法や自動測定法に関する測定精度の改良に関する取り組みを行う必要がある。
[2] 微小粒子の生成機構は、一次生成のみならず光化学反応による二次生成や東アジアからの越境輸送も考慮する必要があり、また、排出源も多岐にわたる。定量的評価には、微小粒子の生成機構や大気中の組成解明及び多岐にわたる排出源の把握に関する情報の整理を行った上で、現時点における曝露評価を実施する必要がある。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。
 それでは、まず、第1章の目的及び背景は、これはこの検討会が設置された背景から目的を書いたところですが、何かこれに関してご意見ございますでしょうか。
 それで当初からの目的が定性的な有害性の同定ということが目標ということでしたので、2ページ目の二つ目のパラグラフ、「本報告書は」というところに「特に微小粒子状物質の有害性の同定について専門的な検討を進め、その成果をとりまとめた」ということを書かせていただきました。これは後でまた戻っていただくこともできますので、1はこれでよろしいでしょうか。
(なし)

【内山座長】 それでは、8のまとめ及び今後の課題というところで何かご意見ございますでしょうか。
 ここで私の方からちょっと書き忘れたところが、二つ目のパラグラフ、初めのところには書いてあったのですが、二つ目のパラグラフに、作業を行うに当たって「微小粒子状物質曝露影響評価調査報告」、それから「粒子状物質の健康評価に関する文献調査」の国内外の知見を検討して、ワーキングを設置したとありますが、そのあと、3府県コホート、それも検討いたしましたので、そこの次に、それを書き加えたいと思います。

【松田補佐】 その後、取りまとめられた3府県コホート研究の知見も加えて検討を進めたということでいかがでしょうか。

【内山座長】 では、ワーキンググループを設置したと。その後、取りまとめられた3府県コホート研究を加えて。

【松田補佐】 「今後、加えて検討をする」ということでいかがでしょうか。

【内山座長】 それをこの後につけ加えさせていただきたいと思います。これは私が書き忘れました。
 よろしいでしょうか。
 はい、とうぞ。

【佐藤委員】 最初の方では、今の3府県コホートは、多分、「大気汚染にかかわる粒子状物質による長期曝露影響調査」というように書いてあると思うのですけれども。

【内山座長】 正式名はそうです。同じような報告書が三つに並ぶので3府県コホートの方がいいかと思ったのですが、これはまとめですので、正式名を書かせていただいて、その後に(3府県コホート)としたいと思います。

【松田補佐】 そうですね。6番の疫学研究の部分で、「以下3府県コホート研究とする」というようにしたものですから、こういう略称でいっておりましたが、最後ということもありますので、正式名称で記述ということで、括弧して。

【内山座長】 正式名称でそのあとに括弧して略称を書いてください。

【松田補佐】 3府県コホート研究と。

【内山座長】 では、そうお願いします。
 そのほかにいかかでしょうか。

【佐藤委員】 まとめ8-3の下の方の部分で、閾値に関する議論をしていますよね。「なお、閾値の問題に付言すると」というところから始まるパラグラフの2行目の終わりから3行目の「発がん性に関する閾値の有無を明らかにすることは困難とされ」というのは、これはよくわかるんですが、そのあとの5行目ぐらいの「閾値の存在を明らかにすることは難しい」というのが、ここのところが閾値があるのかないのかという話なのか、あるいは、閾値がこの程度なのかという量的な話をしているのか、よくわからないような表現だろうと思うのです。発がん性に関する閾値があるのかないのかというのは、よくわかるんですけれども、この部分は非発がん影響に関する閾値について言っているんだとすると、これは非発がんでも閾値のないものがあるというようなことまで言おうとしているわけではないですよね。

【内山座長】 ここのところ色々議論もしたのですが、新田先生の方からコメントを少しいただけますか。

【新田委員】 非発がん影響に関する閾値の点ですが、欧米で議論されているのは、例えば短期影響で観察されているような日死亡に関して閾値がない可能性があるというような議論ですので、その場合の日死亡は、全死因ということで、特に非発がんというような発がんに対してどうかというような明確な視点で議論はされておりませんが、がん以外のものも含んだ、少なくともデータに関して議論をされているかというように思います。

【内山座長】 ですから、先生おっしゃるように、閾値があったとしても、それがどこなのか等を示すほかに、閾値がないとする考え方も、ヨーロッパやWHOはしているので、この閾値の存在ということにしたのですが。

【佐藤委員】 それはやっぱりエンドポイントの選び方にもよるだろうと思うし、それから、かなり今まで考えられていたよりも、うんと低いところに本当にあったりとすると、なかなかわからない部分のこともあると思うんですけれどもね。まあ、いいんですけれども。

【内山座長】 この間、WHOの人とも少し議論したのですが、結局、低いところにいってもいっても、幅は広がっていくけれどもまだ影響が認められるということで、どこに閾値があるのかないのかというのはわからないから、結局、有意差が出てこなくなるところを閾値と考えるのか、あるいはそこを影響が出ない最少点と考えるのか、そこら辺のところは、彼らもはっきりとthresholdという表現は使わないんですね。ですから、そこら辺のところが閾値の存在を明らかにするという、ちょっとあいまいな表現になっているんですが、これも学問的に言うとおかしいということであれば、少し明確な形で書きますがいかがでしょうか。

【佐藤委員】 いや、だから、何と言ったらいいんだろう、観察しているときに、やっぱり閾値があるのかないのかわからないということは、当然あるのだろうと思うのですけれども、もう一方で、メカニズム的に考えてみて、やっぱりあるのだろうかないんだかという、また別な議論もあるだろうと思うんですけれども、それは観察した上で、「よくわかんないよ」ということがわかれば、私はそれでも、こういう書き方でもいいのかなと思うんですけれども、ちょっとそこのところが私には理解できなかったものだから質問したんですけれども。

【内山座長】 工藤先生。

【工藤委員】 大変出発点になるような素朴なる疑問になるのですが、この微小粒子状物質の定義のところで、PM2.5は空気動態学的径が2.5μm以下の粒子であるという、そうなっておるわけですけれども、1のところと、それから、最後の8のまとめのところですね、SPMの定義のところで、粒径10μm以上の粒子を100%カットするという浮遊粒子状物質、これをSPMとしていますね。片一方で「以下」とやって、片一方は「以上をカットする」と。言ってみれば、裏側を言っているわけですけれども、これは何か行政的にもこれから決められた要望としてなっているのですか。この100%カットというのは、大変方法論として、測定方法としてそのとおりですけれども、表現をするときには、10μm未満じゃいけないというのは、何かあるのですか。片一方は未満になってしまうんですね。だから、要するに、カットポイントのところがどっち側に入れているのかという、PM2.5と、それからSPMの定義ですね。カットポイントの10μmというのはどっちに入っているのかと、ここは非常に出発点のところですけれども。

【内山座長】 坂本先生、何か。

【坂本委員】 これはおっしゃられるところで、まさに環境基準の定義と、それから、測定法上のモニタリングをするときに決めているものとの問題で、測定をするときに「粒径10μm以上の粒子を100%カットするもので」という測定になっているんですね。そうすると、それで誤解を招かないようにという形でここに括弧して、あえて目的及び背景のところには入れたということですが。おっしゃられるように、以上、以下という形で言った場合……。

【工藤委員】 10μm未満とやった方が大変わかりやすいんですけれども。

【坂本委員】 ただ、そういう形で定義はたしか書いていなくて、10μmで100%カットという形で書いてあるので、そうしていると。その文章のとおりしているわけですね、これは。

【内山座長】 浮遊粒子状物質の定義は、未満になっていますか、以下でいいのですか。

【岩田課長】 環境基準で決められております浮遊粒子状物質をSPMと呼んでおりますのは、定義上「大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が10μm以下のものをいう」というように定義されております。したがって、粒径10μmを超えるものを除外して、10μm以下のものをSPM、環境基準の対象というようにしております。

【坂本委員】 モニタリングの装置のときに10μmで100%カットという形が使われているので、こういう形になってると。

【内山座長】 実際は10μmを超えるものをカットしているというように考えていいんですか。

【坂本委員】 ここには以上と書いていますので。

【内山座長】 わかりました。以上だったら、それ以外は未満だろうと。両方、以下、以上と重なっているのではないかというのが工藤先生のご指摘だと思うのですが、実際は10μmを超えるものを、未満ということに対しての反対側はないわけですよね。以上、以下か。以上に対しては未満というのがあるのですが、以下に対するものは、超えるものというしかないのですが、でも、定義は以上になっている。

【坂本委員】 環境基準の定義と測定法上の定義に、ごく何かあったと思いますよね。

【内山座長】 でも法律に書いてあるので。

【工藤委員】 条例とか、そういうところは10μm以下になっているんだとしたら、そちらに合わせた方がよろしいんじゃないでしょうか。

【内山座長】 環境基準上の規定は10μm以下のものをSPMというと。

【工藤委員】 2.5μm以下というのを。

【内山座長】 2.5μm以下。

【工藤委員】 整合性があるんですね。

【内山座長】 「測定法上の規定は10μm以上の粒子を100%カットする」という言い方に書いていくということでご理解、よろしいでしょうか。

【工藤委員】 いや、これは非常に重要なことは、「環境基準を設定している」という文言があるわけですよ。ですから、これはむしろそういう基準に関することですから、そこに表現されている言葉でしないと、やっぱりおかしくなるんじゃないですか。

【岡部課長】 どうもご指摘、ありがとうごさいます。ここの文脈で、粒径10μm以下の粒子を浮遊粒子状物質100%カットと定義して、昭和48年に環境基準を定めという文章がございますし、今、定義で大気課長からもお話ししましたが、粒径10μm以下のものをいうと、環境基準上、こういう定義をしているので、そこは混乱しないように、基調としてやった方がいいかと思います。
 あと、100%カットの議論というのは、それとは関連する話として、ちょうど曝露の分野でもいろいろ議論をしていただいているところもあるので、ちょっとそこは表現上の工夫ということで解決ができるかなと。これは本文の3行は、「と定義して昭和48年に環境基準を定め」というようにありますので、今の工藤先生のご指摘を踏まえれば、その定義どおりに書くという方が余計な混乱を与えなくていいのかなというように私としては思います。
 あと少し取り扱いについては、座長とまた相談させていただくということで、ご一任いただければと思っております。

【内山座長】 森田先生、どうぞ。

【森田委員】 最後のまとめのところが一番重要なのかなという感じがするんですが、全体としては8-2から8-3にかけてのここの文章の流れが行ったり来たりしていて、少しわかりにくい印象があるので、何とか整理できませんでしょうかという話です。
 ポイントは一つですが、要するに、いろんな課題をもうちょっと勉強しておく必要がありますよというのが2カ所ほど出てくるんですね。8-3の上の方にありますし、それから、8-3の下の方にも出てくるのですが、これが真ん中に、8-3の上の方に出てきているために、全体のロジックが少しわかりにくくなっているかなという感じがします。
 重要なのは、8-2の中段の「今般、粒子状物質に着目して定性的な評価の検討を進めてきたが」というここの文章のコンテクストがまず一つあって、そこの集約は多分8-3の中段の「不確実性の存在にかかわらず、総合的な評価としては、総体として微小粒子状物質は人の健康に一定の影響を与えているということが言えるのではないだろう」と、これがまず一つの柱になっている文章だろうと思うんですが、これがまず一つですので、それがもう一度きちんと、行ったり来たり、少ししている印象があるので、これはちょっと私の主観かもしれませんが、それを少しまとめていただいた方がいいかなという感じがします。
 それに、しかし、何と言うか、そういった微小粒子状物質だけを完全に独立させて解析をするには疫学だけではどうしても無理だろうという感じが一方でするという要素もあるでしょうし、あるいは、完全な答えを疫学で描くのは難しいかもしれません。しかし、疫学というのは、ある意味では非常に重要な結論を出しているということでありますので、そのことをもうちょっと積極的に書いておいた方がいいかなという感じがします。
 それから、先ほど、閾値の問題のところがちょっとありました。これは余り大きく書いてもしようがないかもしれません。ただ、もし書くとすると、佐藤先生のような疑問を抱かない程度にはしておいた方がいいかもしれない。多分、ここに本当は書かなくていいような気もするんですが、まとめとしてはですね。もし書くとすると、あいまいになっているのは、閾値の議論の中の5行目ぐらいのところです。「閾値の存在」というこの言葉が多分少しあいまいなので、もう少し丁寧に書くとすると、「閾値の存在の有無を明らかにすること、または閾値を定量的に難しいと本検討会は当面結論するに至っている」と、そういう内容かなという感じがします。
 とりあえず、この点です。

【内山座長】 そうしたら、今のご指摘いただいた中で、閾値の関係に関しては、閾値の存在の有無、閾値の存在を定量的に明らかにすること、そこに修文させていただきたいと思うんですが、それでよろしいでしょうか。
 それから、行ったり来たりしているというのは、確かに私も書いていて、そう思いますので、ただ、定量的な評価に関しては、また以下のことが必要であるということで、また、そこで少し戻ってしまっているので、結論の8-3の第2パラグラフのところは、これは最終的な報告書のまとめになっていると思いますので、少し順番を入れかえるかですね。
 なお、閾値の問題に関しては、「定量的な評価に関する考察を進める必要がある」の後になお書きがあってもよいかなと思うので、また、曝露の部分に関して、を前に持ってきてよろしいでしょうかね。
 「代表する課題に係る知見の集積に一層努める必要がある」ということで、一つぽつがあって、それで、「その一方」というまた結論にいたしていますが、その「また」以下の曝露分野に関しても、「集積に一層努める必要がある」というところに後に持ってこさせていただいて、それで最終的に最後のパラグラフで、「その一方、これらの不確実性の存在にかかわらず、総合的な評価をすると、微小粒子状物質が、総体として」という結論に最後に持っていきたいということではいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【富永委員】 別のことですけれども。

【内山座長】 別のことでも。別のことをご指摘いただければ。

【富永委員】 それでは、8-3の上から4行目からぽつが5つございますね。将来の課題、宿題みたいなものですけれども、この3つ目のぽつのところ、我が国と欧米の循環器疾患の疾病構造の相違に着目した微小粒子状物質の循環器系への影響の相違に関する検討、これは宿題になっておりますが、これはちょっと上島先生のご意見をお聞きしたいと思いますが、ここは「疾病構造の相違」とだけ書いてあるのですけれども、前ページ8-2の下から12、3行目に書いてあるように、疾病構造だけではなくて、背景がリスクファクターの相違がありますので、ここの循環器疾患の、その次に、リスクファクターと疾病構造の相違に着目したリスクファクターを入れておいた方が、いいのじゃないかと思います。書くのは簡単ですけれども、そういう比較し得るデータがあるかどうかも調べておく必要があります。上島先生、日米比較など、リスクファクターについて同じ定義、方法論で調べたものがあると思いますし、疾病構造の方は、国全体のものでもできると思うんですけれども、いかがでしょうか。

【内山座長】 上島先生、いかがでしょうか。

【上島委員】 リスクファクターの分布が違うことは、たばこ、喫煙率を例にとっても明らかですし、例えば、コレステロールの値、それから、最近では血圧レベル、一緒になっていますけれども、前は違っていたとかというのは、明らかな事実はもちろんあります。特に食事は全然違いますしね。

【富永委員】 そうですね。ですから、食事まで入れると、ちょっと難しい……。

【上島委員】 コレステロールまではいいんじゃないでしょうか。

【富永委員】 中間的なはっきりした、個人的な循環器疾患のリスクファクターですね。これをやっぱり、それを比較しないといけないんじゃないかと思いますね。リスクファクターについては、3府県コホートでは、ちょっとお手上げの状態なのですよ。ですから、別の先生方がおやりになっているようなフィールドの結果から比較しないとできません。それさえあれば、今回、3府県コホートでは欧米の結果と全然違うようなコントロール地区の方が脳血管疾患の死亡リスクが非常に高くてというような、あるいは、大阪の都市部などで、心疾患の死亡率が高いという結果が出ておりまして、それらのリスクは他の因子を考慮すれば十分理解でき、何ら不思議でもないと思っています。宮城の対照地区などは高血圧の影響が強く出ているのではないかと思います。リスクファクターのデータが得られるとそれでなるほどと理解されると思うので、上島先生、いかがでしょうか。

【上島委員】 それはおっしゃるとおりです。

【内山座長】 そうしますと、ここは「我が国と欧米の循環器系疾患のリスクファクター・疾病構造の相違に着目し」ということでよろしゅうございますでしょうか。

【祖父江委員】 関連して。日米といいますか、日本と諸外国での違いということが書かれているのが8-2の下から三つ目のパラグラフぐらいで、これら個別の評価に関する云々かんぬんとあって、欧米における疫学研究の結果を直接使用することに留意が必要であると。ここに書いてあるロジック、大体合ってはいるのですけれども、日米で、あるいは日本と諸外国で違いというのは、別に疾病とPM曝露との間のメカニズムが異なるというようなことではなくて、影響の大きさが異なるだろうと。そういうことが生じてきる理由としては、一つは疾病構造が違うと。大きな疾病の単位で見ると、その中での疾病の分布が違うために、例えば、脳卒中と心筋梗塞の分布の割合が違うので、大きな疾病単位で見ると、影響の大きさが違ってくるということが一つありますね。
 もう一つは、PMとほかのリスクファクターの存在下で、交合作用があると。肥満者ではPMの健康影響がやせている人に比べて大きいとかというようなことがあって、そのことが、普通、日米の違いになっているのかもしれないと。
 この二つがあると思うのですが、そのことがこの場合は表現されているのかと思いますけれども、より正確に言うためには、ライフスタイル等にかかわるリスクファクターに違いがあって、そのリスクファクターの分布の違いでPMの効果にも違いが出てくるということで、欧米における疫学研究の結果の健康影響の大きさといいますか、そういうものを我が国における健康影響の評価に直接使用することは留意が必要であると。交合作用というようなことを言うか言わないか、ちょっと問題ですけれども、そこの効果の違いがあるということを、ここに明示しておいた方が、もやっとリスクファクターの分布が違うというようなことでいうよりは、わかりやすいんじゃないかと思いますけれども。

【内山座長】 もう一回確認します。もしかえるとすれば、「ライフスタイル等にかかわるリスクファクターにも違いがあるため」、その後、何を入れればいいんでしたでしょうか。

【祖父江委員】 「ライフスタイル等にかかわるリスクファクターの分布に違いがあり、その分布の違いでPMの健康影響の大きさに違いが生じる可能性があるため、欧米における何とか何とかを我が国における健康影響のものに直接使用することに留意が必要である」と。

【内山座長】 わかりました。ちょっと繰り返します。「ライフスタイル等にかかわるリスクファクターの分布にも違いがあり、微小粒子状物質の健康影響の大きさにも違いが生じる可能性があることから、欧米における疫学研究の結果を我が国における粒子状物質の健康影響の評価に直接使用するには留意が必要である」と、このような内容でよろしいでしょうか。

【祖父江委員】 そんな感じです。

【内山座長】 上島先生もそれでよろしいですか。
 はい、ありがとうございます。

【香川委員】 2点ほどあるのですが、今、問題になっている循環器系疾患のことですが、欧米との違いと言いましても、2点あるのですね。
 一つは、粒子状物質の循環器疾患の発症への関わり方が違っているので、でき上がった循環器疾患への粒子状物質の影響は欧米も日本も同じ結果が出ていると思います。新田先生の疫学調査の結果、心筋梗塞のリスク比は欧米並みのリスク比が出ているわけです。だから、我が国の心筋梗塞患者への粒子状物質の関与に仕方に関しては、欧米も日本も同じ結果が出ているわけです。
 循環器疾患の発症に粒子状物質がかかわっているかかわり方が欧米とちょっと違うので、その根底は先ほどから問題になっているライフスタイルも含めたコレステロールとか、それから、糖尿病患者の数の違いとか、そういった要因が欧米と日本と違うから、だから、一言でいえば、慢性影響による循環器疾患の発症には違いがあるけれども、循環器疾患への短期間の影響に関しては、欧米も日本も同じ結果が得られているわけです。
 だから、そこをちょっと区別して書く必要があると思うのです。それが1点と、それから、先ほどから問題になっております閾値のところ、これは私、この文章は違ったことを一緒に入れているから、混乱が生じているのだと思います。粒子状物質に関して閾値が得られないという最大の理由は、それは冒頭に書いてあります。微小粒子状物質は様々な成分で構成されるとともに、地域によって大気環境中の粒子成分が変わっているから、だからいろいろな地域を一緒にして閾値を評価しようとすると、そういった成分の違いとか、いろんな違いから閾値の評価がしにくいというのが、これは私、最大の理由だと思います。その中に、また、この発がんの影響とか、非発がんの影響というのを一緒に入れるから、いろいろな意見が出てくるのだと思うのです。
 だから、私は、ここは、「閾値の問題に付言すると微小粒子状物質は様々な成分で構成されるとともに、地域によって大気環境中の粒子成分が変動することから、疫学的知見に基づいて粒子状物質への影響による閾値の存在を――集団における閾値といってもいいですが、疫学といっているわけですから、集団は入れる必要はないと思うので、閾値の存在を明らかにすることは難しいこと、また、粒子状物質自体の発がん性に関する閾値の有無とか、粒子状物質自体の発がん性が非発がん影響に関する閾値の存在の検討も含めて閾値の検討が難しい」という二つに分けないと、さっき、佐藤先生が言ったような意見も出てこなくなるのではないかと、私は思いますが。

【内山座長】 そうすると、逆に言うと、「また」以下は省略してしまっても別に問題ないですよね。今、ご意見いただいた最初のご意見で、非常にわかりやすくなったかなと思いますが、「なお、閾値の問題に付言すると、微小粒子状物質は様々な成分で構成されるとともに、地域によって大気環境中の粒子成分が変動することから、疫学知見に基づいて粒子状物質への曝露による閾値の存在の有無を明らかにすることは難しいと本検討会は当面結論するに至っている」と。それでよろしいですよね。

【香川委員】 あと、この発がんの問題とか、そういうのは入れると、ややこしくなるので。

【内山座長】 また、それは別のときの評価のときにも改めてというこことで、「当面結論するに至っている」ということですので、それでよろしいでしょうか。粒子状物質全体として、疫学的知見に基づいた集団、それは集団的であるのでしょうが、「集団の粒子状物質の曝露による閾値の存在の有無を明らかにすることは難しいと本検討会は当面結論するに至った」と、それでよろしいでしょうか。

【森田委員】 多分、ここの議論は、それまでが定性的にどうだろうかという議論をした後に、次に閾値を決めるなり何とかの数値化のプロセスの中で、定量的な議論が必要になってくる。そのときの定量的なリスクアセスメントはどうやったらできるだろうかという、やや根本的な問題とかかわっているんですね。
 それで、私の理解では、疫学で観察されてきた過剰リスクといったものをベースにして、リスク評価を定量的にある程度やるという作業はどうしても避けられないと思うんですが、そこに本質的な問題があるという議論ではないだろうと思うんです。そのことはちゃんとこの文面の中に残しておいていただきたいなという、そういう感じがします。

【内山座長】 それは、その後の「この結論は」という部分に書いたつもりですが、それでよろしいでしょうか。この結論は、「閾値の有無を仮定した従来の大気汚染物質のような定量的評価手法を採用することは厳密にはできない。しかし、環境目標値等の設定を行うためには、本検討会における種々のエンドポイントに関する有害性の同定に関する評価や信頼性のある国内外の知見を踏まえ、リスク評価に係る手法について充分に検討を行うと」。そこがこういう物質に関して、どういう手法を用いたらいいかというのが。

【森田委員】 多分、そこら辺のところが先送りされた感じがするので、もうちょっと先送りしないで書けないものかなと。

【内山座長】 先送りというか、「充分に検討を行う」ということに、閾値を、こういう物質に従来の手法どおりではないものに関して、どのように。それは、一応、WHOでは値を出しているわけですから、そういうことを十分考慮して検討をしていきたいということのニュアンスをここに残しているので、よろしいでしょうか。

【森田委員】 はい。

【内山座長】 そうしますと、あと、もう一つは、香川先生がおっしゃった日米の相違のところの、急性のことに関しては日本も同じであるはずである。そして、慢性というか、循環器疾患の発症に関しての違い、リスクファクターが関係しているというご意見だったんですが、そこら辺はどうでしょうか。
 それだけではなかった気がするのですけれども、日米の相違、あるいはライフスタイル、リスクファクターの相違というのは、疫学的知見のリスクの大きさを求めたときに、そういう違いが出てきたことに対することも含んでいたと思うんですが、新田先生、いかがでしょうか。

【新田委員】 ここの日本の循環器系疾患と欧米とは違いに関しては、ここら辺は、私が短期、長期両方含んで、それに関しては十分結論を出すに至らないのは、特に我が国のデータが不十分という前提で書かれているのかなと理解をしました。
 香川先生ご指摘のように、短期影響で、短期の死亡で、循環器全体で見ると、ちょっとはっきりしないけれども、心筋梗塞だけを取り出せば、欧米と同じような結果になったということは、確かに事実ですが、欧米で心筋梗塞だけというような知見が必ずしみ十分にあるわけではないということもありますので、このまとめの部分で、その細かいところまで言及して表現するよりは、今の時点では、こういうくくりで、少し一般的な表現で、私はよろしいのかなと思っております。

【内山座長】 工藤先生、どうぞ。

【工藤委員】 ここの私自身の理解は、我が国と欧米の間にある循環器系疾患への影響の差については、評価において述べたところだが、ライフスタイル等にかかわる疾病構造にも違いがあると、そういうことじゃないですか。
 疾病構造は、これはまさに生活習慣とかライフスタイル、地域によって、あるいは、人種によっていろいろ違うわけなので、これはそれでいいんですが、どうでしょう、疾病構造の相違について、有害性同定に関する評価というのは、疾病構造ではないのではないですか。

【内山座長】 この疾病構造は、例えば循環器系疾患の死亡といった、あるいは心血管系疾患といったときに、

【工藤委員】 脳血管障害か心血管障害かといった、そこの問題をいろいろ言われていたと思うんですね。ですから、これは循環器系疾患への影響の、

【内山座長】 大きさについてだと。

【工藤委員】 ということで。それから、ライフスタイルの方は、まさに疾病構造という、リスクファクターという、そこのところと疾病構造という文言の位置関係がおかしい。

【内山座長】 これは上の「事例は少ないとはいえ粒子状物質と健康影響指標の間の関連が認められなかった報告もある」という、それの説明として、これは循環器系疾患については欧米と相対リスクの大きさが違ったと。その差については、こういうこともあるのではないかという文章ですので、まとめれば、最後の先ほどご指摘いただいた「我が国と欧米の循環器系疾患のリスクファクター・疾病構造の相違に着目した」ということになるのですが、先生、おっしゃるように、ここが余りはっきりしないということですので、「事例が少ないとはいえ、粒子状物質と健康影響指標の間の関係が認められなかった報告もある。我が国と欧米との間に循環器系疾患の影響の大きさの相違については、有害性同定に関する評価において述べたところであるのが、疾病構造の相違、ライフスタイル等に係るリスクファクターにも違いがある」と、そういう続きにすればよろしいでしょうか。そうしたら、全く疾病構造というは、私も大きく違うと思いますので、これが原因となっているかと別としてということですが。

【工藤委員】 ライフスタイル等にかかわる疾病構造の差ですね。リスクファクターの差ということがいいのかどうかわかりませんが。
 それから、ライフスタイルという片仮名がいいんですか、いまや生活習慣に定着しているんですけれども。

【内山座長】 速記がありますので、ちょっとマイクを使っていただけますか。

【工藤委員】 日本の場合は脳血管障害がずっと多いわけだし、それから、心血管障害は、日本は大変少ないわけですね、欧米に対して。そういう影響が絡んでいるということをいわんとしているわけだと思うんですが、微小粒子状物質の差がですね。ただ、そういう病気そのものの発生に関しては、微小粒子状物質がかかわってくる問題ではないですよね。それによる死亡とか、そういうことによる差ではないんですか。いわんとしているのは、脳血管障害というものの発症、これはそうですけれども、ただそのベースにある、どちらの血管がやられていくかということに関しては、これは微小粒子状物質の問題ではなくて、むしろ、急性影響として起こってくるイベントが違うという、そういうことであって、そのベースは違うんですよね。リスクファクターでもよろしいかと思いますけれども。要するに、引き金という話ですね。トリガーが違う。トリガーは同じだけれども、そこへ至る過程は、これはライフスタイルによって違っているわけですから。

【内山座長】 新田先生、何かご意見ありますか。

【新田委員】 今の議論を伺っていて、まず、疾病構造という言葉からイメージする内容に関して少しやはり理解に、この検討会の委員の中でも少し違いがあるのかなということを思いました。
 それから、もう一つは、我が国の事例で、事例が少ないとはいえ関連が認められなかった報告もあるということで、具体的に循環器系疾患のことを挙げているんですけれども、これは具体的には3府県コホートの結果と、あと、日死亡に関しては、少なくとも循環器系疾患という全体をまとめたものでは、欧米と違う傾向があらわれていたという二つが一番大きな点かと思います。
 ただ、工藤先生がお話しされたような個々の発症から死亡と、それにそれぞれのリスクファクターがどう関与していくかというような細かいところまでを含めて、現時点で我が国の知見と欧米の知見が違うというようなことを具体的に述べるだけのデータがないと、少なくとも我が国の方にないと思います。ですから、疾病構造というところの言葉に余り理解に差がないような形で少し補って、確かにリスクファクターというような表現の方が、疾病構造よりも先にあった方が理解はしやすいのかなと思います。
 それから、大きさが違うというような発現、座長の方からもありましたが、違いに関しては大きさだけのことではないというように思っております。

【内山座長】 それでは、ここはまとめのところですので、細かいところは、また有害性同定のところ、それから、それぞれの部分でも詳しく論じておいていただいておりますので、ここはただ、欧米の結果と疫学研究の結果は、我が国の粒子状物質の健康影響に直接使用する場合には留意が必要であるということを言いたい節ですので、そこら辺のところは、また、新田先生ともご相談の上、少し修文させていただきたいと思いますが。

【富永委員】 後で修正されると思うんですが、私が提案しようとしたのは、「リスクファクター・疾病構造」ではなくて、今も工藤先生がご指摘になりましたように、「ライフスタイルなどに係る」こういうのが一番原点ですね。それからリスクファクター、高血圧とか、高コレステロール血症、そういう疫学研究でルーチンに測定する項目がありますね。ですから、「ライフスタイルなどに係るリスクファクターと疾病構造の相違に着目した」、そうすれば良いと思います。

【内山座長】 高野先生、どうぞ。

【高野委員】 今までの議論にも出てきましたけれども、厳密に言いますと、実験的にも、リスクファクターがあってそれに対して感受性がどうかという議論には、まだまだとてもなっていない状況でして、やっぱりまずは病態のレベル、要するに疾病構造のレベルの話でしかないので、基本的には、今の富永先生と一緒の意見ですが、疾病構造を前に出して、疾病構造と、それに先行すると考えられるリスクファクターの分布というような形の方が、僕はよりよろしいんじゃないかなというふうに思います。

【内山座長】 ありがとうございます。

【高野委員】 「先行」というのは、先に行くという用語です。

【内山座長】 そのほかにいかがでしょうか。
 島先生、どうぞ。

【島委員】 別の点ですけも、8-2ページの上から4行目に、「心血管系」という書き方がされています。8-1ページには中ほどにも「循環器系(心血管系)」と書かれていますが、これは8-2ページも「循環器系」ということでよろしいんでしょうか。

【内山座長】 これはタイトル等にも「循環器系(心血管系)」と書きましたので、「循環器系(心血管系)」と。

【島委員】 「(心血管系)」とだけした場合は、脳血管疾患を含んでいるということが、ちょっと不明確になりますので、そのあたりは表現を工夫していただく方がいいのではないかと思うのですが、疫学の知見の整理の部分では、そのことが脳血管疾患も含めてということが明確に書かれているのですけれども、このまとめの部分では、単に「心血管系むとした場合に、脳血管を含むということまで読み取れないと。

【内山座長】 「循環器系(心血管系)」でも、やっぱりまずいですかね。循環器系には。

【島委員】 いや、心血管系というと、Cardiovascularであれば、これは脳血管も含むんだということも、私は疫学のワーキングの中で教えていただいたので、理解はしたのですけれども、単純に心血管というだけで脳血管を含むというこというように皆さんがそういうように理解されるのであれば、構いませんが。

【内山座長】 そうしたら、8-1ページのところにも同じような表現をしていますので、これはまとめですので、まとめだけを読まれる方も多いと思いますので、少しそこは、表現を丁寧に書かせていただきます。

【島委員】 それから、もう1点ですけれども、8-2ページの上から四つ目のパラグラフですか、「今回の健康影響評価の作業を通じて」というところの一番下ですが、「長期曝露の影響として肺がんに関する死亡リスクの増加」ということですが、そういうように書かれていますけれども、これは長期曝露の影響としては、我が国では肺がんに関するリスクの増加が観察されましたけれども、海外の知見も含めますと、肺がんだけではなくて、総死亡や呼吸器、循環器系疾患の死亡のリスクの増加も観察されていますので、ここのまとめの表現として肺がんだけに限定する必要はないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

【内山座長】 上の方に、呼吸器系や何々の死亡リスクの増加、循環器系に関する何々の死亡リスクの増加ということが書いて、これが全死亡というような形で。全死亡ではなくて、呼吸器系の死亡リスク、循環器系の死亡リスク、それから、肺がんに関する死亡リスクというのを最後に取り出して書いているということですが、それに加えてということなのですが、このパラグラフは、我が国の浮遊粒子状物質の環境基準の根拠として示されていたものに加えてということですが。

【島委員】 我が国の環境基準の根拠として、循環器系疾患に関する死亡リスクの増加というようなことは含まれていないと思うのですけれども。

【松田補佐】 呼吸器疾患の死亡リスクの増加というのは、もともと環境基準の根拠として示されているものということを前段に書いているんですが、その後、少しここがわかりにくいところなのかもしれませんが、短期曝露の影響として呼吸器系・循環器系疾患のよる入院・受診数の増加と、これが一つ切れていると。そこで循環器系に関する機能の変化、死亡リスクの増加ということで、これは短期も長期も含めた形で考えていたということで、ここを「短期曝露及び長期曝露の影響として」ということをここに入れれば、最後、長期曝露の影響と肺がんに関する死亡リスクの増加についても、PM2.5の関連が見られたと、対になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【島委員】 そういう趣旨であれば、私も同意いたしますけれども、ただ、この表現ですと、循環器系に関する死亡リスクの増加というのは、短期曝露の影響としか読み取れないですよね。

【内山委員】 わかりました。では、そこのところの「短期曝露の影響として呼吸器系・循環器系疾患による入院・受診数の増加」、それから、この「循環器系に関する機能の変化、死亡リスクの増加」は、これはたしか長期・短期を含んでいるんですよね。

【松田補佐】 短期曝露及び長期曝露。

【内山座長】 短期曝露及び長期曝露というように加えさせていただきます。それでよろしいでしょうか。
 香川先生。

【香川委員】 ここの循環器疾患の、こういうようにしたらどうでしょうかね。「わが国と欧米の間における微小粒子の循環器系疾患への影響の相違に関しては、循環器系疾患の疾病構造の相違等を含め、今後のさらなる研究が必要であり、欧米における疫学研究の結果を我が国における粒子状物質の循環器系疾患への発症、増悪等の評価に直接使用するには留意が必要である」。

【内山座長】 ここはまとめだから、そういうことでよろしいですか。

【香川委員】 ライフスタイルとか、そういうことは、

【内山座長】 もう前の方で十分議論しているから、まとめですので、それで、後の方に今後の検討課題ということで、また書かせていただいているので、ここは詳しくは余り書かずに、今、香川先生がおっしゃったようなことで修文をするということで、何かご意見ありますでしょうか。
 もう一回、すみません、言っていただけますか。

【香川委員】 ちょっと忘れましたが。「我が国と欧米の間における微小粒子の循環器系疾患への影響の相違に関しては、循環器系疾患の疾病構造の相違等を含めて今後のさらなる研究が必要であり、欧米における疫学研究の結果を我が国における粒子状物質の循環器系疾患の発症、増悪等の評価に直接使用するのは留意が必要である」。

【内山座長】 すべてを網羅しているというような形で、余り混乱が起きないような表現ということですが、よろしいでしょうか。

【富永委員】 厳密に言えば、今、香川委員の言われたようなことでいいと思うんですけれども、特に循環器系疾患の疾病構造の欧米と日本の差というのは、微小粒子状物質の中になくて、ライフスタイルですね。その結果、リスクファクター、その差が非常に大きいのですね。ですから、それをきちんと言った上で、微小粒子状物質の健康影響評価を分析するには、そういうことも考慮した方がいいと、ちょっと分断した方がわかりやすいですね。文章は余り長くなり過ぎると、一体何を言っているのかわからなくなりますので。

【内山座長】 今の香川先生の修正文は「リスクファクター」の部分が抜けて、「疾病構造の相違等」ということにしているんですが、それはまた別に、富永先生、リスクファクターについても、ここの部分で別の文章として言及した方がよろしいということでしょうか。

【香川委員】 いや、リスクファクターではなくてライフスタイル。

【内山座長】 ライフスタイル等の変化。そうすると、そこはどこのところに入れたらよろしいですかね。

【工藤委員】 よろしいですか。香川先生のおっしゃった「疾病構造の相違等」の前に、「ライフスタイル等に係る疾病構造の相違等」、それでよろしいんじゃないですか。

【内山座長】 生活習慣等に係る疾病構造の相違、それで富永先生、よろしいですか。別の次元とおっしゃいましたよね、今。

【富永委員】 実際はそうですけれども、疫学研究をやろうとすると、ライフスタイルって、なかなか実際にきちんと定量的に測ることは難しいんですよ。それで、上島先生らが長年やってこられたように、地域住民などを対象に健診しまして、血圧とかコレステロールとか肥満度とか、そういうのを測って、食生活も一緒に調べるというのが限界というところが現状でありまして、ライフスタイルそのものは、国際比較は、喫煙率などは簡単ですけれども、食生活などは絶望的ですね。ですから、やはりリスクファクターの基盤、背景は、ライフスタイルの差ですけれども、その差がリスクファクターの頻度の差になって、疾病構造の差になると思うんです。

【内山座長】 上島先生、どういうように文章を。

【上島委員】 これは説明するというのは、なかなか難しいところで、まず、例えば、日本に脳卒中が多くて心筋梗塞が少ないというのは、日本人の持っている生活習慣、リスクファクターが欧米と違うところからきていると。具体例として心筋梗塞が欧米と違って東アジアは先進工業国の日本でも極めて低いと、これが特徴ですが、それで脳卒中が多かったと。この特徴は、まず、第一に心筋梗塞が低いのは、脂肪の摂取量が少なくて、血清コレステロール値がずっと低かったというところからきています。脳卒中が多かったのは、血圧がかつて高かったというところからきているということで、そこがまず病気の多い少ないに生活習慣がまず大きく関与していたというのが、現在の私たちの理解しているところです。
 それと、例えば、血圧やコレステロールや微小浮遊物質が発症、死亡等にどのような影響するかという、例えば、相対危険度とかというのは、微小物質については、まだ十分わかりませんが、血圧とかコレステロールとかのリスクは、高くなれば同じように悪くなるというのはわかったわけですね。ただし、その分布が違うので、疾病構造が違うというところがあって、そのリスクの相対危険度の問題と、分布による病気の多い少ないという問題の二つを合わせて理解してもらうと思うと、なかなか難しいというのが、今の論議だと思います。そこをうまくわかるように書く必要があるということだと思います。
 だから、例えば、心筋梗塞は少ないわけですが、少ない中で疫学的な検討をしようと思うと、なかなか難しいところがあるし、逆に脳卒中を見て検討するということにもなるので、その辺の難しさを、今、どういうように最後のまとめの表現にわかりやすくするかだという問題だと思います。

【内山座長】 何か上島先生、文章としていい表現はございませんでしょうか。余り長くならないもので、どういう修正をしたらいいか、何かご提案ございませんか。

【上島委員】 だから、病気の起こり方というか、脳卒中が多くて、心筋梗塞が少ないというのは、日本人の生活習慣によって、まず規定されているということを述べて、今回の微小粒子状物質の発症、あるいは死亡に及ぼす影響についてどうだ、というのを述べればいので、そのときに、日本では十分な検討が、新田先生の疫学班ではできる資料が十分ないということで、今後、検討していく必要があるということになるのではないかなと思いますが。

【富永委員】 上島先生、ライフスタイルの日米の差も大きいのだということを口でおっしゃったけれども、やっぱり、できたら表で簡単に日米の差、ライフスタイルのどこが変わっているか出して、それで、あと、中間的なリスクファクター、血圧とかコレステロール値、ありますね。そして、最終的には疾病構造の差、そういうようにライフスタイルとリスクファクターと、二つはよく関連していますけれども、疾病構造と、三つ比較できるような表があれば、はっきりですね。「そういうのがありますか」と言ったのが、私の一最初の先生に対する質問だったんです。

【上島委員】 データがありますかということですか。データはありますが、文献引用をして述べるというのをつけ加えたらいいということですか。それはあるデータで可能だと思いますが。

【富永委員】 といいますのは、特に、我が国の3府県コホートでは、循環器系疾患のリスクファクター、それからライフスタイルの一部しか調べておりませんので、それだけで、例えば、3府県のコントロール地域の脳卒中、死亡率が高いということがわからないんですね。ですから、そこを補うデータがありますか、というのが言っているのが私の質問です。

【上島委員】 答えは、あります。例えば、脳卒中、心筋梗塞の発症については、同じ基準で日本の研究班とMONICAの研究班と合わせて、脳卒中の発症率を比較した成績が公表されていますし、文献引用も可能です。それから、コレステロールレベルについても、CDCの基準に合わせてデータがありますので、それも可能です。血圧については、ポピュレーションのサンプルのサンプリングは全部日本の代表集団ということではないですが、同じ方法ではかって、どうだというのもありますし、もちろん、日本の国民健康栄養調査で、かつて血圧が高かったというデータはありますので、そういったことを合わせて記述することは可能ですし、既に記述された小節を引用することは可能です。

【香川委員】 ここはまとめですから、今のことは各論の方に書かれているわけですから、だから、さっき工藤先生がおっしゃった、先ほどの私の、「生活習慣等の違いによる循環器系疾患の疾病構造等の相違」ということでよろしいんじゃないでしょうか。細かいことは各論の方に。

【内山座長】 このまとめの文章のところは、先ほどのところ、香川先生がおっしゃった中での「疾病構造」の前に「生活習慣等の違いによる」、あるいは、そこにリスクファクターを入れるかどうかは、ちょっと、「生活習慣等の違いによる」でよろしいですか。

【上島委員】 富永先生が言われたのは、各論のところにその辺をもうちょっと記述せいということですか。

【富永委員】 それがありますと、3府県コホートで理解しにくいのが、新たなデータを得るのが難しいことが、そういう先生のお持ちのデータで補強することによって説明できるから、ありがたいと言ったんです。

【上島委員】 そうしたら、各論のところにそれを入れるような資料を提出した方がと。

【富永委員】 特に日米のライフスタイルの差、主なライフスタイルの差、リスクファクターの差、心臓死、脳卒中死のリスクでもいですけれども、それが日米あると、非常に3府県コホートの理解が容易になります。

【内山座長】 これは、この報告書での各論にそれを入れますと、また検討に時間がかかります。今回ぐらいでまとめようとしていますので、先生の報告書で議論していただいてよろしいでしょうか。この間、中間報告でいただきました3府県コホート研究の報告書の中に、そこの違いをもう少ししっかり議論していただければ、今後も、またそれを引用できるということになると思いますので、今回は、この報告書のまとめは、その違いが今後もあるから、研究が必要であるという香川先生のまとめの文章を採用させていただきたいと思います。

【富永委員】 はい。

【上島委員】 そうしたら、富永先生の3府県コホートの資料の中に入れるのを富永先生に報告すればいいですか。

【富永委員】 事務局に。

【上島委員】 事務局に。文書とパラグラフをつくってということですね。

【内山座長】 それで、先生の3府県コホート研究の方の結論の方を補強していただくと。

【富永委員】 考察のところで、ぜひ、使いたいんです。

【上島委員】 そうですか、わかりました。

【内山座長】 ありがとうございます。
 それでは、この部分は最終的には、では、読み上げていただけますか。

【松田補佐】 我が国と欧米の間に微小粒子状物質の循環器疾患への影響については、生活習慣等の違いによって疾患構造の相違等も含めて、今後の調査検討が必要である。それで、その次にいきまして、欧米における疫学研究の結果は我が国における粒子状物質の健康影響の評価に直接使用するには留意が必要である。

【香川委員】  粒子状物質の健康影響のところを「粒子状物質の循環器系疾患の発症、増悪等の評価に」ということで。

【内山座長】 これはまた、先生のところに、最後に終わってから、ちょっと確認に行きますので。そういうことで、このところはまとめさせていただきたいと思います。
 ほかによろしいでしょうか。
 そうしますと、あと、最後は森田先生が最初におっしゃった8-3の結論の部分として書いてあるところが真ん中にきて、またそのあとになお書き以降、少しあるので、わかりにくいということでしたので、今のような細かいところを修正した後で、私の考えとしては、8-3以下の「また、これらの定量的な評価に関連して」というのは消してしまって、「また、曝露分野に関して、以下の点に課題があることが示された」という「以下の」を3ページの上の丸ぽつ五つの後にそのパラグラフを持ってきて、それで、「その一方」というのを「しかしながら」というような形で最終的な結論の方を最後に持ってくる。直書きのところは、少し、先ほどの閾値の問題で短くなりましたので、これは定量的、あるいは定量的な評価を行うに当たってのなお書きということで、閾値のことを少し論ずるという形で順番にしたいと思いますが、それでいかがでしょうか。

【森田委員】 とりあえず、この種の文章は、いろいろな人が一言ずついうと、少し迷走するところがありますので、内山先生が一番いいロジックでまとめられたらいいだろうと思うのですが、ということが、まず一つですね。
 それから、先ほどの色々な議論を私も含めてさせていただきましたけれども、メインの結論はきちんと書いて、それに対してさらに研究が必要だというのは、付加的に書くという、その位置づけをきちんととってくだされば、それでいいだろうという感じがします。
 メインのところが、何かちょっと行ったり来たりしているので、少し弱くなっているので、そこの部分をもうちょっと補強していただければと、そんな感じです。

【内山座長】 はい、わかりました。
 それでは、今のように、森田先生がおっしゃったようなことを最終的に私の方で事務局と相談させていただいて、最終的にまとめのところ、8を完成したいと思いますが、そのようなところで。何かそのほかにお聞きしておくことはございますでしょうか。
溝畑先生、どうぞ。

【溝畑委員】 この検討についてではないんですけれども、先ほどの13Cの標識というところがちょっと引っかかっていまして、これはひょっとしたら、カーボン14の間違いじゃないかなと思うのですけれども、普通、カーボン13は、天然の同位体なので、濃縮してやるというのは、それは実験するのはおもしろいかもしれないけれども、普通はそんなことはやらないと思うので、ちょっと疑問に思ったのですけれども。

【内山座長】 小林先生、そこはちょっと確認。

【溝畑委員】 今、確認だけ、してもらったら。

【小林委員】 13Cではあるのですけれども、標識したかどうかというそこら辺のところは、ちょっと確認しておきます。

【溝畑委員】 カーボン13と12は、天然の同位体で、微量、通常入っているわけですね。ですから、

【小林委員】 多分、同位体マスか何かを使って、それで確定をしていると思います。

【溝畑委員】 やるのでしたら、要するに、カーボン13を濃縮した粒子を使わないといけないので、そういうことをやる、実験をやったら、それはおもしろいんですけれども、ちょっとここが気になったものですから。それを確認していただいて。

【内山座長】 そうすると、標識にしたということはちょっとおかしくなってくる。天然の同位体であるので。

【溝畑委員】 普通はそういう言い方はしないので。

【内山座長】 わかりました。では、そこら辺、ちょっと確認、最終的にどういうふうに書いてあるかを。
 ありがとうございました。
 それでは、幾つかの修正文、あるいは順番の置きかえ、それから、少し、森田先生からは結論がもう少しはっきりわかるように、強弱といいますか、余り行ったり来たりしないようにというご指摘をいただきましたので、最終的には私の方と事務局でまとめさせていただいて、また、まとまり次第、先生方にメールでお伺いして、最終的なこの検討会の報告といたしたいと思いますが、そういうご了解いただけますでしょうか。
(はい)

【内山座長】 ありがとうございました。
 それでは、特にございませんでしたならば、修正した後、微小粒子状物質健康影響報告書ということで、本検討会として了承させていただいたということにしたいと思います。
 本検討会の報告につきましては、とりまとめた後、皆さんにお配りして、ご了解いただいた後、環境省にて公表の手続をとっていただくことにしたいと思います。
 それでは、ありがとうございました。
 それでは、その他ですが、事務局により何かございますでしょうか。
 竹本局長がお見えですので、竹本局長の方から一言、ご挨拶をお願いいたします。

【竹本局長】 本日は、この検討会の最終回ということになりますので、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 内山先生はじめ各先生方におかれましては、大変ご多用のところ、この検討会、実は昨年の5月以来11回、会を重ねまして、集中的にご審議をいただきました。まことにありがとうございました。
 また、それに加えまして、個別に先生方にご相談を申し上げ、さらには最終段階におきましては、休日をも返上をしていただきまして、いろいろとご検討をお願いした次第でございます。
 この検討会の審議のプロセスの中では、昨年の7月の微小粒子状物質曝露影響調査、また、年末から先般まで、大変時間の限られた中で、3府県のコホート調査の取りまとめをいただき、この検討会に報告をいただいたという点もあわせまして、重ねて皆様方に御礼を申し上げたいと思います。
 こうした先生方のご尽力をいただきまして、本日、これらの審議結果、報告書としてとりまとめをいただいたところでございます。
 環境省におきましては、これをしっかりと受けとめてまいりたいと考えておるところでございます。
 また、近々中央環境審議会にもこの検討会の報告書についてご報告をしたいと考えておるところでございます。
 今回の報告書の中にも様々な今後の検討課題を、明示をしていただいておるところでございます。環境省において、しっかりとさらに検討をしていきたいと思っておるところでございますが、検討会の先生方におかれましては、引き続きご指導をいただきますよう、重ねてお願いを申し上げまして、私の方からの御礼のごあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

【内山座長】 それでは、きょうが最後ということでございますので、私の方からも一言お礼を申し上げます。
 竹本局長からもございましたように、本当に昨年以来1年間、いろいろ各ワーキンググループ長、それから、各ワーキングの先生方、それから、本検討会の委員の先生方、本当にどうもありがとうございました。
 先日の大気環境学会の関東部会のときにも申し上げたのですが、私どもがかかわってきたのが1999年に初めてアメリカのEPA、それから、ドイツの研究所の先生、それからWHOの先生をお呼びして、微小粒子状物質の国際シンポジウムを開いてから、あれが1999年でしたので、約10年が経過しています。そのときにも少し日本の微小粒子状物質とアメリカ、欧米とでは性状が違うかもしれないということをEPAの方とも議論して、日本での疫学調査、あるいは曝露調査もぜひやってみたいということで、先ほどもお話しいただきました大きな三つの報告書が出て、今日に至ってきたというように思います。
 その間、本当に、坂本先生、あるいは、横山先生を初めとされた、それから、新田先生、それから、高野先生の曝露影響調査、それから、富永先生を初めとする3府県コホート調査、様々な我が国のデータがあって初めて今回の報告書が充実したものになったのではないかというように感じております。
 本当に今回のことだけでなくて、この長い間、我が国のデータを集めていただいた先生方にも御礼を申し上げたいと思います。
 これで、一応、この検討会としては終了いたしますが、また、先ほど、お話もありましたように、環境審議会等でご報告して、また、次のことに進めればというように思っております。
 本当に今日はどうもありがとうございました。とりあえず、本検討会は、これで終わらせていただきたいというように思います。
どうもありがとうございました。