環境省大気環境・自動車対策微小粒子状物質健康影響評価検討会

第8回微小粒子物質健康影響評価検討会 会議録


1.日時

平成20年2月21日(木)13:59〜18:35
          (休憩 16:18〜16:26)

2.場所

法曹会館 2F 高砂の間

3.出席者

(委員)
 安達 修一   上島 弘継    内山 巌雄
 香川  順    川本 俊弘    工藤 翔二
 小林 隆弘   坂本 和彦    佐藤  洋
 島  正之    祖父江友孝    高野 裕久
 富永 祐民   新田 裕史    溝畑  朗
 森田 昌敏   横山 榮二
(環境省)
  
 竹本水・大気環境局長
 岡部総務課長
 松田総務課課長補佐
 岩田大気環境課長

4.議  題

(1)微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する審議
(2)その他

5.配付資料   

資料1   微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する知見の整理について
  資料1−1 粒子状物質の特性に関する知見の整理
  資料1−2 曝露評価に関する知見の整理
  資料1−3 生体内沈着・体内動態に関する知見の整理
  資料1−4 毒性学研究の健康影響に関する知見の整理
  資料1−5 疫学研究の健康影響に関する知見の整理

資料2   知見の統合による健康影響評価
  資料2−1 粒子状物質の大気・体内中の挙動に関する整理
  資料2−2 適切な粒径のカットポイントの検証
  資料2−3 影響メカニズムの検証
  資料2−4 有害性同定に関する評価

 

参考資料1 委員名簿
参考資料2 ワーキンググループの設置について
参考資料3 健康影響評価検討の進め方
参考資料4 健康影響評価にあたっての検討項目
参考資料5 健康影響評価の検討・整理の考え方について

6.議  事

【松田補佐】 定刻となりましたので、ただいまより第8回微小粒子状物質健康影響評価検討会を開催いたします。
 それでは、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 配付資料一覧を読み上げます。配付資料ですが、資料の1と2がございます。資料1につきましては、微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する知見の整理ということで、資料1-1から1-5までございます。この中には2分冊や3分冊になっているものもございますので、これについてのご確認をしていただければと思います。また資料2、これは知見の統合による健康影響評価ということで、資料2-1から2-4までございます。これについて、資料をご確認いただければと思います。また、参考資料については1から5、委員名簿から健康影響評価の検討・整理の考え方までがついております。これについての確認をしていただければと思います。資料の不足がございましたら、お申しつけいただければと思います。
 それでは、これ以降の会議の進行は、開催要項により座長が会議の議事運営に当たることとされておりますので、内山座長にお願いいたします。

【内山座長】 それでは、ご到着がまだの先生方もいらっしゃいますけれども、時間になりましたので、今日はまた4時間という長い予定ですが、よろしくお願いいたします。
 今回は、議事1として微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する審議でございますけれども、先ほどお話しいただきましたように、資料1とそれから資料2というふうに、大きく分かれております。資料1の方は、前々回と前回の会議におきまして、五つの分野に関しましていろいろと資料をまとめていただいて、議論をいただいたところですが、その議論を受けて、またワーキンググループの各委員の方で修正をいただいたところでございます。きょうは、その検討会において、まずこの五つの分野の前回からの変更点についてご説明いただいて、それについてまたご議論いただいて、それから資料2の方に移りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、粒子状物質の特性、曝露評価について、あわせて曝露ワーキンググループ長の坂本先生の方から、よろしくお願いします。
 では、10分程度で主な変更点等を。

【坂本委員】 それでは、変更点について報告申し上げたいと思います。
 まず、委員の皆様、見え消し版の方をごらんいただきたいと思いますが、1ページにつきまして、全体としてどういう修正を加えたかと申しますと、用語の統一、それから引用文献を入れるといったようなこと、それから一部、全体の流れで少し書きかえたところがございます。
 まず、1ページ目をごらんいただきますと、アンダーラインを引いた部分は、これは大気エアロゾルとか大気粒子とか、そういうものがあったものを「大気粒子」という形で用語を統一したということと、引用文献の追加でございます。
 それから、次の2ページをめくっていただきますと、ここも粒径分布を二山型と言ったり、いろんな言い方があるというのを、ではこれを「二峰型」という形に統一しましょうということでやったということと、もう1つ、ここでは最後の4行目ぐらいのところに書いてございます、前回たしかこれは小林委員かどなたからだったか質問があった、微小粒子のところの呼び方に関連して、研究領域によって異なっているけれども、こんなふうに呼ぶんだよという形で書いてございます。
 それから、5ページへ行って、これも用語の統一のところの、粗大粒子モードと下にございますが、上の方のところは少し表現を明確にしようということで、カットポイントを2.5μmにするのが適切ではないかというところについて、「より小さな粒径をカットポイントとして選定する場合に比べ」というのは、これは、想定しているのは、1μmぐらいのところを想定した場合には、それよりもやや小さいところが吸湿して水分を吸うと大きくなってくるというようなことがございますので、ここに「より小さな粒径をカットポイントとして選定する場合に比べ、蓄積モードの粒子をより完全に捕集することが可能であること、さらに一部の小さな粗大粒子モードの粒子も捕集する」という形で、これは小さな方の粒子を成長した場合にもちゃんととれますよということで、説明を書き加えたということでございます。
 それから、大分めくっていただきまして、18ページをごらんいただきたいと思います。18ページにつきましては越境移流のところでございますが、ここに、下の方の六、七行目ぐらいのところに、「大気中微小粒子状物質濃度に及ぼす黄砂の寄与はSPMに及ぼす影響に比べて相対的に小さいが、黄砂構成粒子の粒径は黄砂発生地域からの距離により異なり、輸送距離が長い場合には微小粒子の比率が大きいケースもある」という形で、途中で大きい粒子から落ちていくということで、こういうことを少し明確に書いたということ。それから、境界層内を輸送される場合には、汚染物質と混合して、黄砂粒子といっても土壌以外のものがその周りにくっついてきますよということと、それから同時に、そういうものが輸送される気象的な条件のときには、そのほかの汚染物質も一緒に来ることにも注意が必要だという形で書き加えてございます。
 それから、続きまして40ページをごらんいただきたいと思いますけれども、40ページはまとめのところで、これは先ほど申し上げたカットポイントを2.5μmにしたときにどうだという、先ほどの非常に小さい方の粒子が水分を吸って成長して少し1μmを超えるような場合でも、2.5μmにしておくととれるという形で書き加えたということ。それから、ここのところでは、どちらかというと、これまで書いてあった、やや誤解を招く表現であった最後の2行のところについては、全体をこういう形に整理して、削除したということでございます。
 それから、やはりそのすぐ下に、粒子の固体、エアロゾルとあったところは、これは今の場合ですと、「固体やその成分の物性」という形で、先ほどのエアロゾルという言葉を使わないような形にして説明をするのと、それからもう一つは、固体粒子であっても、非常に燃焼等によって高温で気化した後、できればこれは球形になりますので、そういったことも明確に、液体ではなくても球形の粒子ができ方によってはあるんだということを加えたということでございます。
 それから、その次のところは43ページでございます。これも先ほど説明をいたしました長距離輸送の場合に黄砂粒子に汚染物質がひっついてくるというのが、43ページのところに書き加えてございます。
 それから45ページ、ここのところもまとめのところで前の方で説明したところと同じでございますけれども、米国の環境基準が採用されたときの理由として、カットポイント2.5μm、なぜ2.5μmにしたかというところにつきまして、先ほど申し上げた、成長した場合のものもちゃんととれるんだという形のことが書いてございます。それと、あと疫学的な知見が多いという形で書き加えてございます。これが1.1のところの修正箇所でございます。
 それから、1-2の方につきましては、これは15ページをごらんいただきたいと思います。これは、前回までのまとめのところでは、炭素分析の測定方法は途中で変化をしたことを明確に書いてございませんでしたので、それを含めて書き直したということでございます。これは、そこに「元素状炭素(EC)の濃度変化は、図1.2.9に示すとおり、都市部、非都市部、自排局とも減少傾向を示しており」云々と、こう書いてございますけれども、継続してずっと測定をしていたわけですが、「平成13年度から平成14年度にかけて濃度が大きく低下しているが、これは炭素の分析方法が熱分離法からIMPROVE法に変更されたためである」という形で、ここでは分析方法の変更に伴って従来よりもECが減ってOCがふえたと、そういうところに基づく部分もありますので、それを明確に書きました。あと、この理由としては、ここに書いてありますように、炭化があってそういうことなので、そういう炭化の問題のないIMPROVE法に変えてその次ははかっているんだということが書いてございます。
 それから、その次の16ページでございますが、これは図1.2.9の説明、それから図1.2.10の説明のところで、ECが減っていてOCは最近では余り減っていないというところでございますけども、ここも少し急激に、一部最初の方で13年から14年にかけて減っているところがございますが、これは分析方法の問題だという形で説明を加えてございます。  そして17ページに、今度はそういう分析方法とは関係なく、全般に見て「EC及びOCとも、自排局、一般局(都市部)、一般局(非都市部)の順に濃度が低い傾向は、どの年度においても同じ」だという形で、自動車排ガス測定局の濃度がECもOCもいずれも高いよという形で、自動車からの寄与がそういったところに見えているということでございます。
 それから19ページ、ここは米国と日本のデータの特徴という形にいたしました。これはなぜかと申しますと、測定局の属性、それから平均の仕方等々、必ずしも、明確にそれが同じようなベースで比較できるかどうかというところの懸念がございましたので、こういうタイトルに変えて、文章の書き方も変えさせていただきました。19ページの下の5行のところでございますけれども、「以上の情報をもとに、大気中濃度について、米国と日本の質量濃度や成分濃度に関するデータを整理して、それぞれの国のデータの特徴を記述する」という形で、平均の仕方とか測定の仕方、そういったものがどう違うかという形で変えてございます。
 まず、[1][2]という形で、20ページに、どういった形で測定地域を、日本の場合の分類とそれから米国の分類が違うということ、それから、測定方法が米国の場合はフィルタ法を基本にやっていて、日本の平均値を出す場合には自動測定であるTEOMを使っている場合がありますので、その平均を比較する場合、必ずしもそれをそのままストレートには絶対値を比較はできないという形でございます。今のところが質量濃度についてということで、これも平均を出したり、それから中央値を出したり、そういったやり方が違うということで、ストレートな比較は難しい部分があるということが書いてございます。それから、あと20ページの下の方も、測定地域の区分や測定法、そういった問題で必ずしもストレートに比較できないということ。それからあと、金属成分の濃度を挙げて、同様な形で、ストレートな比較はやりにくいけれども特徴としてはこんなことが言えそうですよという形で、21ページの最後のところの表をごらんいただきますと、アルミを、これは地核構成元素のアルミ、これで割ってやりますと、かなりの元素についてそれほど大きな差はないということがわかる、と。これは相対値にした場合ですね。そういった形で整理してございます。
 これが前回からの主な変更点でございます。

【内山座長】 ありがとうございました。  ただいま坂本先生の方から、粒子状物質の特性、曝露評価についてご説明をいただきました。何かご意見やご質問がございましたら。

【松田補佐】 すみません、内山先生。1点、事務局から訂正をしたいと思いますが、曝露評価についての、20ページの表1.2.3、1.2.4、1.2.5、1.2.6、こちらについては、米国と日本の比較と書いておりますが、先ほど坂本委員からもお話があったとおり、これについては比較ということではなくて、米国の特徴を述べるということですので、ここは比較ではなくて特徴ということでお願いしたいと思います。

【内山座長】 はい。よろしいでしょうか。
 そのほかに何かございますでしょうか。前回まででいろいろご意見をいただいたところ、あるいは誤解を受けるようなところを補足して追加していただいたと、修正や追加をしていただいたということですが、よろしいでしょうか。

(なし)

【内山座長】 それでは、きょうは後半の方に議論を集中したいと思いますので、特になければ次に行きたいと思います。
 次は、工藤先生がお見えになっていないので、工藤先生は少しおくれられるんですか。

【松田補佐】 そうです。

【内山座長】 では、順番を逆にした方がよろしいですか。
 次は沈着・動態ですけれども、工藤先生の追加発言もあるかと思いますので、毒性学の方について、まずお話を願いたいというふうに思います。これは高野先生ですか。

【高野委員】 それでは、資料1-4に関しまして、前回からの変更点について説明させていただきたいと思います。
 お手元の資料1-4が3分冊になっておるかと思いますけれども、この1番目の導入、呼吸器に関しては、特に変更点はございません。第2分冊の循環器(心血管系)への影響に関しましても、特に変更点はございません。
 最後の3分冊目、免疫系その他の影響という部分からでございますけれども、まず131ページでございます。
 131ページ、ここでは、変異原性・遺伝子傷害性及び発がん影響という章の第2のパラグラフ、5.2のところでございますけれども、ここは論文の紹介となっております。前回、ご紹介したときには、まだ論文の紹介と論文の紹介に基づく仮説の検証というのがきちんと分けられておりませんでしたので、この5.2の章を5の論文の紹介ということで引用しました論文の内容を順次紹介させていただいております。
 それから、5.2.1の上から3行目、(表5-1)とありますけれども、これを章の後ろの方で表5-1の一覧表として追加させていただいております。
 このあと論文の紹介が続きましてーーー、140ページであります。140ページの5.3.2の上のパラグラフでありますけれども、ここの部分に、都市大気粒子を吸入曝露しまして小核の頻度を見たという論文、それからESTRの変異を観察したという論文を特に引用させていただいているという形になっております。
 そして、まとめの文章を変えておりまして、これは141ページになります。141ページの一番下の方に、5.3.4でまとめという部分があります。これはかなり変更が加わっておりますので、読ませていただきます。  「都市および工業地域の大気微小粒子が変異原性、遺伝子傷害性を有することは微生物、培養細胞あるいは実験動物を用いた検討から支持されている。しかし、大気微小粒子を実験動物へ長期間曝露し肺腫瘍発生等を検討した例はほとんどなく、大気微小粒子に関する発がん性の実験的根拠は不足している。
 都市大気微小粒子への寄与が大きいとされているDEPのヒト発がん性は遺伝子傷害性及び各種職業集団を対象として疫学調査により強く示唆されている。ただ、実験動物におけるDE吸入実験の成績は、ラットで肺腫瘍発生影響を認めているが、高濃度曝露でラットに特異的な過剰負荷による結果であり、ヒトへの外挿には不適切であると指摘されている。一方、メカニズムの面から見ると、DEPは沈着後に肺組織内で炎症あるいは貪食されたマクロファージを介して活性酸素を産生し8-OHdGなど変異の原因となるDNA損傷を引き起こすことや、微量でも強力な変異原性を有するニトロ化PAH等がDNAと付加体を形成することによって発がんに関与する可能性があることが示されている。
 都市大気微小粒子の発がん性に関しては、都市大気微小粒子自体の発がん性の実験的根拠は不足しているものの、曝露情報から都市大気微小粒子を構成する成分としてDEPや燃料燃焼由来粒子を含むことから、発がんに関与することが示唆される。しかしながら、都市大気微小粒子の質量濃度や成分組成は地域や時間によって変動し一様ではないことから、粒子が一様に発がん影響を有すると判定することは困難である。」というようなまとめとさせていただいております。
 この次のところに、表5-1ということで、変異原性の結果が一覧表として載せられております。
 これが変異原性・遺伝子傷害性及び発がん影響にかかわる変更であります。
 それから、171ページでありますけれども、ここは粒径と健康影響の関係というところであります。ここでは、まとめの文章としては変わっておりませんけれども、171ページ、7.2、論文の紹介ということで、関連の論文が前回からも紹介されておりましたが、ここにより多くの論文を引用しております。
 そして、176ページに論文による仮説の検証というところがございまして、最後のパラグラフがまとめでありますけれども、ここは変わっておりません。ただ、この7.3の論文による仮説の検証というところで、引用文献の明示を行っております。
 それから、あと、今回述べました変更に伴いまして、まとめの部分を変更する必要がございます。これは181ページ、8.4、変異原性・遺伝傷害性及び発がん影響という部分でありますけれども、先ほど述べさせていただいたまとめの文章を181ページの下の方に挿入させていただいております。前回に比較しまして、このまとめの部分も変更しているということでございます。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。
 今、高野委員からご説明のあった毒性学研究の健康影響につきましては、前回で検討途上ということでございました発がん影響に関して、ワーキング委員として作業に当たった安達先生から、何か追加的コメントございますでしょうか。

【安達委員】 知見の方が少ないものですから、変異原性の方を拡充させて一覧表を追加して、そのことを中心にDEの結果をベースにした評価ということで、各委員の意見をいただきながらまとめさせていただきました。
 全体としてはこういう形で、微小粒子の最初は定性的という評価をしておりましたけども、その部分については、DEを中心とする知見と、それから都市大気を全体とする知見ということで、区別して、きちんとまとめの文章といたしました。
 以上です。

【内山座長】 前回まではDEとそれから都市大気粒子全般ということで、余りはっきり分けられていなかったのを、今回のところはそこを区別して記述したというところで、そこは、主に変わったところは5ですか。130ページぐらいのところでしょうか。130ページ以降、5.2、論文の紹介、131ページ、都市大気微小粒子の点について書いてある。それから、134ページでは都市大気微小粒子について記述されている、と。そこら辺のところでしょうね。
 何かご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【内山座長】 それでは、現在のところ、主に変わった点は、先ほど高野先生がまとめで読んでくださったところが主な変更点ということですね。
 では、なければ次に行きたいと思います。
 それでは、引き続き疫学ワーキングの方から、疫学研究の健康影響について、疫学ワーキング長の新田先生の方から、よろしくお願いいたします。

【新田委員】 それでは、資料1-5に基づきまして、疫学関係の知見の整理のところで、前回からの変更点を中心にご説明をさせていただきます。
 まず、資料1-5の4ページ、前回ちょっと議論になりました循環器系疾患、用語に関しまして、2.1の死亡のところで、一番初めにその用語が出てくるところのあとに、「なお、」以下ですが、「特に明示がない限り、cardiovascular diseaseの訳語として循環器系疾患を用いる」と。「これは、心臓と血管に関する疾患、すなわち冠状動脈疾患等の心疾患と脳出血、くも膜下出血、脳梗塞等の脳血管疾患の両者を含むものである。また、呼吸器系疾患についても断りがない限り、肺がん等の呼吸器系がんを除いた非がん疾患を示すものとする」ということで、ここで明確に、この報告書の中で使う用語として定義をさせていただきました。
 次の変更点は、6ページです。短期の死亡に関して、6ページの上のところに、前回、横山委員の方からご指摘いただきました、短期影響の死亡が認められている濃度範囲について書かれていないということでご指摘を受けましたので、ここに追加をさせていただいております。特に複数都市という重要視している研究の中で、それぞれの研究で日平均濃度の変動範囲がどれぐらいだったかと。それを大まかにあわせた形での表現をしております。PM2.5で10から90μg/m3、 PM10で15から120μg/m3の範囲で報告されているものが多かったということでございます。
 引き続きまして、死亡のうちの今度は長期の曝露影響の死亡に関して、表3.1に関しまして、さらに詳しい内容を追加いたしました。ちょっと、その結果として表が大変見にくくなってしまっております。もう少し見やすい形で整理できるかどうか検討させていただきますが、一応項目として、まず粒子状物質以外にそれぞれの研究で検討対象になった汚染物質、どんなものがあるのか、NO2とかSO2とかオゾンとか、そういう同時に検討しているような汚染物質の項目を入れております。それから、解析に当たって、大気汚染物質以外のリスクファクターとして調整変数として用いているもの、欄外に書いてありますが、例えば年齢とか性とか喫煙、教育歴、肥満指数としてのBMI、飲酒、職業等々、それぞれの研究で用いられている調整変数に関しまして、その項目を加えさせていただきました。それから、表の最後の曝露評価をどのようにしているかというところで、非常に概括的な表現ですけれども、それぞれの研究に関する説明をつけ加えさせていただいております。
 なお、欄外脚注のところで、PM以外の検討対象汚染物質、星三つというところ、下のところ、共存汚染物質となっておりますが、ここ、PM以外の検討対象汚染物質と欄外の方をちょっとご訂正いただければというふうに思います。それからもう一つ、表3.1に関しましては、実質的な変更ではございませんが、前回の資料では過剰リスクのパーセントとして表現してあったものを、相対リスクとして単位濃度当たり25ないし50に対応する相対リスクとしての表現に変えさせていただいております。
 続きまして、変更点ですが、前回、道路沿道での調査に関してご指摘をいただいておりました。21ページになります。項目としては特定の粒子成分と健康影響の関係ということで、個別の成分に関する検討、それから、ある特定の発生源を想定したような健康影響の評価というのがございます。その中で、後者の特定の発生源を想定したようなものの研究の中で、自動車の沿道での研究というのが我が国の研究も含めて各国で多数報告されているというところで、そこの記述ですが少し内容を追加・訂正させていただいております。
 21ページのちょうど真ん中あたりのパラグラフになりますけれども、基本的には、沿道で健康影響の調査を行っているものでは、粒子状物質の測定それからガス状物質の測定を検討しているもの、両者がございますが、その両者を分離して評価することは困難であるというような評価をここで加えております。実質的には、PM2.5等の測定を行った調査の知見に関しましては、それぞれの健康影響指標ごとに取り上げて、それぞれの項目の中で評価をさせていただいております。
 それからあと、まとめのところに関係する部分でございますが、34ページの8.1の関連性の強さの最後の部分になります。関連性の強さに関して、相対リスクの大きさが2を超えるようなものは一部の例外を除いて報告されていないということで、その後、他のリスクファクターに比べて小さいというような表現が入っておりました。もともとの趣旨は、大気汚染の程度を他のリスクファクターと比べて小さいということではなくて、絶対的なリスクの大きさとして大きくないということを述べたかったということで、それは8.1の方の初めのパラグラフに、関連性の強さを疫学知見の整理を行う場合の観点として取り上げられている理由として、33ページの8.1の最初のパラグラフの最後の方に書いております。相対リスクが大きければ、関連性が偶然とか交絡によって説明される可能性は小さくなるというような、そういう趣旨で、そこにまた繰り返し書いております。その観点からいくと、2を超えるようなものがないということに関しては十分な大きさとは言えないというような書き方に訂正をさせていただいております。
 それから、訂正の箇所として最後になりますけれども、まとめの部分になります。39ページ、結論の導き方に関して、慎重にやるべきというようなご指摘もいただきました。今回、8章で関連性の強さ、関連性の一貫性、頑健性等々、検討を加えた結果でここにまとめとしておりますけれども、不確実性が存在するということ、各項目の中では議論しておりますが、まとめのところの記載がやや不十分だったということで、ここに不確実性が存在する、と。ただし、その不確実性のために、関連性の大きさ、リスクの大きさ等と、それから誤差の大きさ、信頼区間の幅ですね、言いかえますと。そのようなものに関しましては変動する可能性があるけれども、それらが大きな偏りを与えて、関連性の方向を誤ったり、関連性が見かけであるものである、そういう可能性は低いと判断されると、そういう書き方を追加しております。それから、共存汚染物質に関しましては、前回、資料でお示ししたとおりでございます。一番とは書いておりませんが、非常に大きな不確実性が存在し得るということで、「全体として PM10およびPM2.5は単独あるいはガス状大気汚染物質の共存効果によって、死亡やその他の健康影響指標と関連していると考えられる」というところ、後半の部分は前回資料にも含んでおりましたが、それ以外の種々の不確実性もあって、その影響がどのようなものになる可能性があるかというところを書き加えております。
 大きな変更点は、以上でございます。
 それから、細かい字句の訂正、そのほかにございますが、作業がまだ一部途中になっているというところだけをちょっとご報告させていただきたいと思います。
 まず、短期の影響の死亡に関しまして、4ページの途中の方で、「世界各地の地域における解析結果も報告されている」ということで、(図2.1作成中)というふうに書かせていただいております。それから、死亡以外の入院・受診のところに関しましても、7ページの上から2段落目ですが、(図2.2作成中)ということで、100を超えるような各文献の結果を一覧できるような図を現在作成しております。最終的な段階までには、資料として、この知見の整理の中に加えてお示しさせていただきたいというふうに考えております。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。

 ただいまご説明ありましたように、図2.1と2.2はまだ作成中だけれども、結論には見やすくまとめてくださるということで、そのほかの修正点をご説明いただきました。何かご質問、ご意見ございますでしょうか。
 どうぞ。

【富永委員】 質問ではないのですけれども、コメントです。
 ただいま新田先生にご説明いただきましたように、今回の資料1-5の改訂点、幾つかございますが、最も大きな改訂点は、14、15ページの2ページにわたる表3.1だろうと思います。前回までは縦長の1ページでしたけれども、紙面の制約で重要な情報が欠落しておりましたが、今回は主なものをほとんど盛り込んでいただきましたし、リスクの相対危険度、RRで統一していただきました。この幾つかの研究をずっと眺めるだけで、大体どの程度の影響があるかということがわかると思います。
 これで重要なのは、我が国のデータがこの表には入っていないことなんですけども、これは二、三回前の検討会から報告しておりますように、現在、粒子状物質に係る大気汚染長期健康調査、大変長い題名ですけども、これが総合解析を祖父江先生らのグループで必死になってやっていただいておりますので、次回の検討会には主なところがこの表に追加されるか、あるいは別表になるかもしれませんけれども、そういう形で出てくるのではないかと思います。
 今回の拡大の表で、大変いい点は、15ページの脚注のところに入っておりますけども、調整変数をきちんと示していただいたことです。また最後にご説明がありました共存汚染物質、これもいろいろありますが、こういう汚染物質があるということですね。何か特定の因子と特定の疾患の関係を見ても、いろいろな共存汚染物質もあるし、調整変数のところに示したような他の関連の危険因子の影響もあるということで、特定の疾患は、調整変数で示されているような因子の影響も受けるし、また、共存汚染物質のグループの他の汚染物質の影響も受けるということで、これは非常に複雑な関係にあります。ですから、これは幾らコンピュータを使っても、魔法のように特定の汚染物質と特定の健康影響をきれいに解明することは不可能です。真実にある程度迫ることができましても、大体こういうふうな共存汚染物質がほかの因子とどういうふうに働いて、ほかの因子と関連してどう働くかは、多変量解析である程度推計や補正が可能になります。
 それで、今回は最後の37ページのところ、見え消しの方では39ページですね、見え消しでないのは37ページの中ほどのところ、ここにきちんと問題点などの詳しいことを書いていただいておりますので、これで大体理論的にはよろしいのではないかと思います。
 以上、コメントだけです。

【内山座長】 ありがとうございました。
 新田先生、何か。よろしいですか。
 そのほかにありますでしょうか。
 そうすると次回以降に、富永先生、祖父江先生がやってくださっているデータが加わると。

【富永委員】 ええ。祖父江先生のグループがもう一生懸命、鋭意、忙しい時期に非常に努力していただいておりまして、もう続々とアウトプットが出ておりますので、それを整理しまして、こういう表のような形でエッセンスの部分が提示できるのではないかと思っております。祖父江先生のグループに大いに頑張っていただきたいと思います。

【内山座長】 わかりました。ありがとうございます。
 では、それに関しては次回以降にご議論いただくということで、きょうのところはここまでのところでご議論いただこうと思うんですが、よろしいでしょうか、そのほかに。
 そうしましたら、まだ、工藤先生は3時ごろということを伺っておりますが、進めてしまってよろしいですね。
 それでは、先ほど飛ばしました沈着・動態のところを小林先生の方からご説明いただいて、工藤先生がもしご到着されましたら、またコメントがあれば追加していただきたいと思いますので、1-3につきまして、小林先生、よろしくお願いいたします。

【小林委員】 それでは、資料1-3を見ていただきます。生体内沈着と体内動態に関する知見の整理のところで、まず語句の変更とかがございますが、主な点に関しての修正した部分についてご説明したいと思います。
 まず1ページ目ですが、呼吸器系の構造、これは後ほど工藤先生の方からもコメントが出てくると思われますけれども、口頭の説明として、「上気道」領域、「下気道」領域、「肺胞」領域、こういった言葉遣いの方がわかりやすいのではないかということで、1ページの下のところの説明を変更しております。それに伴いまして、2ページ目に語句の変更をしております。
 それから、5ページ目は、沈着には流速との関係が重要なわけですが、これまでの説明に少しつけ加えることによりまして、よりわかりやすいような内容に変更しております。
 続きまして6ページ目、ここの部分に、interceptionという沈着の一つの形があるわけですが、遮りと遮断という二つの言葉が使われておりましたが、これは遮りという言葉に統一いたしました。7ページ目の中段も、そのように変更しております。
 8ページ目の中段でありますが、拡散の説明のところにつけ加えまして、少しわかりやすいような内容に変更いたしました。
 それから、9ページ目も、全体としてはわかりやすくということで、語句を少しずつ加えて変更しております。
 それから、10ページ、11ページ、12ページ、ここに図が二つ入っておりますが、前回の委員会で、使用されているデータが実験結果なのかモデルから推測したものか、この辺を明記した方がいいのではないかということでありました。本文中に、この二つの図に関して、実験に基づくもの、これが図1.8.1、これはハッチの図を用意していただきましたが、これをつけ加えると同時に図1.8.2、これはモデルを用いた推算でございますので、それを本文中に明記いたしました。先ほど申し上げましたように、実験に基づく図も加えております。それと同時に、先ほどの呼吸器系の構造で、「上気道」、「下気道」、「肺胞」領域というような領域に分けましたので、それに基づいた修正を行っております。
 続きまして14ページ、これは鼻腔への沈着についてでありますが、説明を少し加えまして、わかりやすく表現しております。
 それから、15ページ、これは年齢の影響に関して、年齢には無関係であるということの論文が紹介されておりますが、やはりこれも比較を、リスクがある可能性もあるということも加えた方がわかりやすいということで、文献の全体のまとめ、プラス、こういうこともあり得るというようなことをつけ加えております。
 以上が修正点です。
 それと、前回の委員会で、9ページの上の鼻呼吸・口呼吸のところでありますが、割合が約13%、これは新田委員の方からのご質問だったと思いますが、どういう文献に基づいているのかということでありましたので、その部分に関して、Niinimaa(1981年)の引用文献を記述しております。それに伴いまして文献の方も加えております。
 それと、前回、粒子のトランスロケーションのところで、香川委員の方からのご意見だったと思いますが、これを加筆、軸索を介して脳へ移行するという報告も加えたらどうかということでありました。これはカーボン13リッチな炭素棒の放電でナノ粒子をつくって、それを吸入曝露すると、脳を同位体マスで見ると、カーボン13の量が上昇するというような報告から、脳への移行があるということの報告でありますが、非常に知見が少ないということもあるんですが、その一方いろいろなレビューでは結構引用されているようなところもあるのが現状でありますので、今回の本委員会のご意見をもう一度聞いた上で、載っけるなら載っけると。ご意見をお聞きしたいと思っております。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。
 工藤先生、着いたばかりであれですが、何かご意見、追加コメントはございますでしょうか。

【工藤委員】 私の方からは、文言と特に医学的な用語の統一と整合を図ったということが主でございまして、内容そのものは、少し、よりわかりやすく書き加えはさせていただいたということで、本質的な変更等についてはやっておりません。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。
 一つミスプリだと思いますが、先ほどの図8.2.1という、10ページのところの図1.8.1でよろしいんですね、本文中、図1.8.21と書いてありますが。1.8.1ですね。実験系に基づくもの、(図1.8.21)と書いてありますが、これは1.8.1、それから、モデルを用いて推測されたものが図1.8.2。
 大体は用語の統一それからわかりやすくということでお示しいただいたんですが、一つご提案があったのが、香川先生からご提案のありましたナノ粒子に関して、神経系あるいは神経の軸索を介して移動することがあるのではないだろうかというものがよくレビューではこのごろ出ているけれどここでは触れないのかというご質問に対して、この委員会として、まだ十分ではないかもしれないけれども触れた方がいいかどうかというものを少しご意見を伺いたいということですが、いかがでしょうか。それも含めまして、ご意見があるようでしたら。
 では、もう一つ、それとは関係ないですが、15ページの先ほど書き加えていただいた小児と成人の比較のところで、見え消しの方ですと上から5行目のところですが、15ページの5行目のところで、「小児は成人と比較すると沈着する粒子の量の差はみられない」というのは、これは何に対しての量でしょう。体重当たりあるいは肺の面積当たりということでしょうか。沈着率ということですか、これは。前の12ページのところに「沈着に差はなく」と書いてあるんですけれども、実験データのところで。真ん中のあたりで「BennettとZeman(1998)は2μmの粒子沈着を小児(7〜14歳)、青少年(14〜18歳)と成人(19〜35歳)で比較した」、沈着は「その結果、小児群のなかで年齢による沈着の差はなく、小児群と青少年群、小児群と成人群、青少年群と成人群で沈着の有意差はなかった」というのは、これは沈着量ですか、それとも沈着率。これは、要するに単位面積当たりの沈着率が青少年より高くなると……。

【工藤委員】 いいえ、これ、BennettとZemanという、ここのところの文章を縮めたものですね。

【内山座長】 そうですね。

【工藤委員】 ですから、ちょっとこの縮め方だとちょっとわかりにくいかもしれないですね。

【内山座長】 ちょっと、この沈着――でも、量ですね。その後に単位面積当たりにすると、沈着率は青少年や成人よりも高くなると書いてありますので、そうするとこれは沈着量ですかね。

【工藤委員】 そうですね。単位面積当たりのことを言っているんですよね。ちょっと、

【内山座長】 ですから、これはオーバードーズにならない限り沈着量は同じだということですね。後ろのまとめのところになると、沈着量なのか率なのか、ちょっとわかりにくいので。

【工藤委員】 ここはちょっと書きかえる必要があると思いますね。すみません。

【内山座長】 それでは、先ほどの、どうでしょうか、非常に細かい、いわゆるナノ粒子、ここでは前回50nm以下をナノ粒子、超微小粒子というふうに曝露評価の方で提示させていただいていますが、そのぐらいのものになると神経軸索を介して脳に直接移行するのではないかということを触れるかどうか。
 香川先生、何かご意見ございますか。香川先生、特にありませんか。検討していただければということですが。
 島先生。

【島委員】 先ほど内山座長が指摘された小児と成人に関するところですけど、15ページの最後の部分、「吸入粒子に対してリスクが大きい」というところが、ちょっと意味がよくわからないんですけども。

【工藤委員】 要するに肺胞の単位面積当たりの粒子容量が成人より大きくなるからと、そういう意味で。

【島委員】 わかりました。14ページの方では、「粒子吸入のリスクになることが示唆された」というふうに書かれていますので、それと同じ意味ですね。

【工藤委員】 ええ、そういう意味だと思います。大分、今ご指摘にあったように、ちょっとこれ、文言上、うまく直っていない部分で、

【島委員】 わかりました。小児の方が粒子を吸入しやすくなるというふうに理解すればよろしいわけですね。

【工藤委員】 沈着率、要するに単位面積当たりのということで。

【島委員】 わかりました。ありがとうございます。

【内山座長】 確かに吸入粒子というと、レスピラブルパーティクルだと10μm以下のことを言っていて、14ページの本文の方は、実験しているのは、大体一番大きいのは2.8μm、それからBennettは2μmですので、いわゆる2.5μmから10μmの間が同じようなことが起こるかどうかは実験的にはちょっとわからないということで、吸入粒子で言うと、10μm以下のものを吸入粒子というふうに総称していますよね。ちょっとそこら辺のところをもう少し詳しく、誤解のないように書いていただけますでしょうか。

【横山委員】 16ページの刺激物質による沈着への影響ですが、「気管支収縮は、Schlesinger(1995年)が考察したように、下気道への粒子状物質の沈着を増加させると予測される」とあるんですが、これは実際のデータもあるんですか。それとも、Schlesingerが予測したことだけでしょうか。これは、そのあのことの方にちょっとひっかかりますので、確認させていただきたいと思いました。気管支収縮が起きて、なぜ下気道への沈着が起きるのか、ちょっとすっきりとは理解ができがたい。恐らく、換気不均等分布を起こすということでしょうけれども、それがなぜ下気道への沈着を増加させるのか。今ざっと拝見していてちょっとひっかかったものですから、もしもご説明いただけるならば。
 それと、このSchlesingerはどの文献かなと思って見たら、引用文献に載ってないんですけれども。

【松田補佐】 それは、ちょっと事務局の手違いですのでそれは直します。

【横山委員】 はい、わかりました。

【小林委員】 多分、私の記憶ですが、Schlesingerがいろいろな動物種で沈着それからクリアランス、そこら辺の種差を述べた文献ではないかなと思われますが、その中での実験的にやられているかどうかというのは、ちょっと私の記憶も定かではないので、もう一度よく見てみます。

【横山委員】 このSchlesingerの文献を教えていただければ、私も読みますから。

【工藤委員】 いや、これは恐らくこの結論との間にちょっと説明を加えないといけないんだろうと思うんですね。先生がおっしゃるように、私もこれだけだと、何で気管支収縮が沈着率を上げるのかという説明は、これでは意味不明ですから、このところの論理をきちんとSchlesingerのところから引っ張って書く必要があると思います。

【内山座長】 そのほか、いかがでしょうか。

【小林委員】 精査するということにいたしますが、基本的に収縮が起きると沈着が増加するという説明に関しては、前の方で少し行っておりますが、工藤先生の言われるように、少しここの部分にも加えて、説明がわかりやすくなるようにしたいと思います。

【内山座長】 そうしましたら、ちょっと検討課題も出ましたので、先ほどのナノ粒子のものについてはもう少し検討していただいて、沈着・動態のグループで少し議論をしていただいてドラフトを出していただけますか。この辺まだわからないところはあるけどこうなのか、あるいはまだ……。

【小林委員】 幾つか考え方があると思うんですが、一つはこういう事実がある、と。要は物として見ているわけではなくて、カーボン13の比率の増大というところで見ているという実験事実を書いて、それでもう少し知見をふやす必要があるであろうというような、そういうまとめ方でもよろしいのであれば、そういう紹介の仕方はあるということになると思います。検討してみます。

【内山座長】 はい。よろしいでしょうか。
 佐藤先生。

【佐藤委員】 今の件に関してちょっと質問というか、私、ちょっと間違ったことを言っているのかもしれないんですけど、例えば神経軸索を通って吸収されると言ったらいいんでしょうかね、臓器あるいは途中に入ってくるようなことを考えるのだとすると、例えば吸入曝露の場合に、やっぱり粘膜に沈着したものが消化管から入ってくるというのも当然あり得るだろうと思いますけど、今議論しているようなものでは考える必要ないというなら、それでもいいんですけれども、何というのかな、吸入だけで考えておけばいいのか、他の経路も考えておく必要があるのかというのは、やっぱりきちっと議論して、もしあるとすれば、曝露の経路の可能性としてちゃんと記述しておく必要があるんだろうと。あるいは、もっとほかにもあるのかもしれないんですけれども、そういうことを考えておく必要があるんだろうと思うんですけど。

【小林委員】 どこまで入れるのかの問題だろうと思うんですが、一つは吸入された粒子が沈着して、それから嚥下されて、佐藤先生言われるように消化管に行った場合に、粒径に応じて、ナノ粒子になると粒径が小さくなるほど吸収がされやすいという報告はありますが、そこまでのところを記述するかどうかという、この委員会でご判断いただければ、そういう粒径に応じた吸収のされ方というのがありますし、それから、大気中のもので皮膚からの吸収というのも考えられないわけではなくて、それに関しても幾つかの報告が出ておりますが、そこまで行くかどうかというところ、ご判断いただければと思います。

【内山座長】 よろしいでしょうか。では、そこのところはちょっと検討していただいて、またドラフトというか提示していただきたいというふうに思います。では、よろしいでしょうか。
 香川先生。

【香川委員】 2点お聞きしたいのですが、まず2ページの1.2.2の「下気道」、「下気道は気管レベルから16次に及ぶ2分岐を繰り返し、終末気管支」というのは、16次というのは16回という意味ですね。ちょっと細かいことになるのですが、これ、下葉はこれでいいのかと思うのですが、上葉はたしか7、8回で肺胞に到達しますよね。上葉と下葉では全く違っていると思うので、これ、ちょっと確認していただいて。平均的な表現ではこれでもいいのかなとは思うのですが。

【工藤委員】 いや、これはもう16次……、要するに0次が気管になるんですが、16次のところが終末細気管支というのは、これはWeibelの世界的な図表が、これはもう生理学では大体それを使っているわけなので、世界的に共通した次数で表現をされているものですね。23次のところは最後の肺胞ということで、これを正確に勘定した人はWeibelに始まってWeibelに終わるというぐらいなものですから、これを動かすと大変なことになっちゃう。

【香川委員】 いや、動かすんじゃなくて。これ、6ページの図ですよね。これは肺全体についてこうであって、上葉に関しては当てはまらないということは、たしか書かれていたと思うのですが。現実に、上部の肺というのはたしか分岐数は極めて少なくて、肺胞に到達することはもうわかっていることだと思いますが。ですから、教科書の一般的な記述としてはいいのかなと思うのですが。

【工藤委員】 そうですね。

【香川委員】 それはちょっと……。

【工藤委員】 ここへ行くと、今度は上葉と下葉の換気分布の問題に触れてこざるを得なくなってくるんですね。そこまで踏み込んでくると、今度は収拾がつかなくなっちゃうんじゃないかなと。

【香川委員】 いや、一般的な解説の中で、そういったことを解説しているのも最近はあるので。

 それから、22ページの上から4行目、「超微小粒子が直接循環血液中に移行することが原因となるのかに関して、その移行経路は解明されておらず、」となっていますが、本当に解明されていないのでしょうか。「動物実験も含めて今後の検討が必要である」となっていますが、肺胞血管関門は、微小粒子が通ることは、例えば水銀蒸気とか、要するに金属ヒュームなんかは通過することは分かっているのではないでしょうか。

【小林委員】 私の理解ですが、この移行経路というのは、いわゆる金属粒子の場合、まだ十分でないのではないかと。それから、炭素粒子の場合も、もちろん移行している図はテフロン粒子も含めてあるんですけれども、この解明という意味合いというところで、まだ十分な知見にはなっていないのではないかなと、そういう理解をしているんですが。例えば炭素粒子の場合も、もちろん写真としてはあるのはあるんですが、それがどういう経路を介して行っているのかという、そこのところがはっきりしていないのではないかなと。

【香川委員】 でも、職業性曝露なんかで、カドミウムヒュームとか水銀の……。

【小林委員】 それの場合は、多分、物として見ているというよりは、ICPマスとか、そういう分析的に見ていて、ナノ粒子ぐらいの大きさになると、錯体みたいのをつくって、それを測定しているという意味で、必ずしも物として粒子そのものを見ているということではないと我々は理解しているんですが。というのは、炭素粒子の同位体のこれも、物として見ているというよりは、測定ですね、それで増加したということが証拠ということになっているとすると、本当にそれが粒子として移行しているのかどうかというのは、まだもう少し議論というか、確かめた方がいいのではないかという、そういう意味なんですが。

【香川委員】 肺胞血管バリアですね、日本語に訳せば関門、脳の血管関門と同じように訳していいのかどうか。とにかく肺胞血管関門は、小さい粒子は通過するということは、もう承認されていると言ってはなんですけども、どうなのでしょうか、小林先生。

【小林委員】 そうですね、まあ……。

【香川委員】 それで、それはちょっと。

 それで、動物実験も含めていて、いろんな総説なんかを読みますと、動物実験に関しては肺胞血管関門を通って循環血液中に移行することがほぼ認められているけども、ヒトに関しては、今、非常にコントラバーシャルで、議論の多いところであるというのが最近の状況だと思うのですが。

【小林委員】 我々もそういう報告が結構あるのでそう考えてはいるんですけれども、実際には、例えばこれまで行われている粒子のテクネチウムとか、そういったものをつけた実験においても、実験の手法によっては可溶性の部分というものがあって、そういう可溶性のものがディテクションのところでディテクトされて、それが、粒子が行ったという証拠にしているというような報告、同じ粒子にラベルしたものでも、コントラバーシャルな実験結果が出ているということで、まだもう少しそこら辺を加味してもはっきりさせる、物として行っているかどうかというものをはっきりさせる必要があるのではないかというのが、今までの文献を見たところそういうことであるので、こういう表現になったということです。

【内山座長】 小林先生のおっしゃることはよくわかります。多分、粒子のまま、その結果と経過となる真ん中を見ていないで、最初と最後を見ているんですよね。それで、そこに移行したから、入っていることは確かだけど、それが粒子のまま入っているのか、それから可溶成分になって溶けたものが入っているのか、それから、本当に肺血管関門を通って血流に乗っていったのか、神経を通っていったのか、あるいはリンパ管を通っていったか、そこら辺のところは、まだはっきりしていない。それも粒子のまま行っているのかどうかというのは、だれも確かめていないということですね。

【小林委員】 そうですね。

【内山座長】 それが動物実験を通して非常に厳しく言うと、移行経路がまだはっきり解明されたわけではない。確かに脳の中にあった、あるいはどこかの組織にあったということは、これはいろんな実験が、

【小林委員】 そうですね。白金の例でも、銀の例でも、炭素粒子の例でも、行っているというような報告になっていると思います。

【内山座長】 例えば、金属が粒子のまま何か悪さをするのか、それとも可溶成分になっていても、必須元素であっても非常に多ければ有害な作用も起こすわけですから。

【小林委員】 そうですね。この文章ですと、そこら辺がちょっと。

【内山座長】 粒子として作用して何か影響を与えているのか、あるいは、元素があること自体が、粒子であろうと、錯体であろうと、何か影響しているのかはまだわからないというふうに、私は今のところ解釈しているんですけど。

【小林委員】 そういうことだと思います。

【内山座長】 ですから、総論的なものはもうわかったと、粒子のまま行ってしまっているというように書いてあるんですけども、だれもそこは見ていないんですよね。

【小林委員】 一部出てきてはいるんですが、そこいらの精査をしないといけない。論文数が少ないということもありましてですね。

【香川委員】 その辺のことを「その移行経路は解明されておらず、」と、それだけで片づけられると、いろいろ、

【内山座長】 先ほどのところの文章をどういうように書くかにもよって、ここが少し、もうちょっとやわらかくするか、ある程度は解明というかはっきりしたということで。

【小林委員】 わかりました。その点、少し修正したいと思います。

【内山座長】 わかりました。
 そのほかによろしいでしょうか。

(なし)

【内山座長】 それでは、次に行きたいと思います。
 今現在、これまでで5つの分野に関する知見、大体、前回からの修正点、それから今後まだもう少し整理しなければいけないということが明らかになってきたと思いますので、これはこのぐらいにいたしまして、次に今度はとりまとめに向けて、参考資料に示してあります健康影響評価の検討整理の考え方に示す事項についてどういうようにしていくかということを、少し議論していただきたいというふうに考えます。
 これらの検討事項のうち、前回、カットポイントの検証に関する議論につきましては、資料をもとに、微小粒子と粗大粒子の間のカットポイントは2.5μmが適当ではないかということで大体議論をいただきました。きょうはその議論を踏まえて、私とそれから各ワーキンググループ長と相談をいたしまして、カットポイントの検証に関する資料、それから健康影響評価を行うに当たっての必要となる粒子状物質の大気・体内中の挙動、粒子状物質の特性、曝露評価、あるいは生体内沈着・動態をまとめて、それをもとに整理させていただきました。今までの議論でも、まだ多少修正する点、それから日本のデータがこれから加わってくる点ということがありますけれども、これまでのところをひとつ、少し議論をしていただければというように思います。影響メカニズムに関する整理に関しましても、毒性学的知見の整理に関する資料をもとに、ワーキング長と相談いたしまして作成しましたので、これらの資料、2-1から2-3ぐらいにまとめてありますので、事務局の方から説明いただいて、それで少し議論をさせていただきたいと思いますので。
 事務局の方、よろしくお願いいたします。

【松田補佐】 それでは、資料2-1から資料3までご説明いたします。
 それでは、冒頭に資料2がございまして、ここで、これまで5つの分野についての知見に関する資料についてご議論いただいたところですが、今回、知見の統合による健康影響評価ということで、それぞれの分野についてのまとめに関する資料を作っております。
 それでは、資料2-1と2-2についてまず説明をすると、まず、この資料につきましては、粒子状物質の大気・体内中の挙動に関する整理やカットポイント、これらについて資料2-1と2-2で整理をしたものです、と。これらの資料は、主に各分野のまとめの文章から抜粋をしておるものだと。その概要について説明をいたします。
 まず、資料2-1に関しては、粒子状物質の性質を中心に、粒子の物理的・化学的要素、曝露データ、吸入粒子の生体への影響度について、それぞれ整理をしております。
 最初に、粒子状物質の特性について、物理・化学的性質及び測定方法の主要なポイントについて整理をしております。
 繰り返しになりますけども、簡潔にポイントだけ説明をしていきますと、粒子の種類については、物の燃焼等に伴って排出される一次発生粒子、それと、硫黄酸化物、窒素酸化物等のガス状物質が変化して粒子化した二次生成粒子がある旨を最初に紹介しております。また、質量濃度につきまして、約6μm付近と0.3μm付近にピークを持つ二峰性分布を示すことなど、粒径分布の特徴について紹介をしております。
 それでは、次のページに行きまして、粒子状物質の発生源、これについては人為起源と自然起源がある、と。人為起源については、工場等の固定発生源と自動車等の移動発生源があること。自然発生源としては、土壌粒子、海塩粒子等があろうと。また、越境移流する代表的な粒子状物質として、黄砂が挙げられることなどを紹介しております。
 また、その次のページに行きまして、ここは粒子の環境中の動態についても説明を加えておりますが、例えば粒子状物質の大気中の滞留時間について、特に蓄積モード粒子については拡散や重量沈降の影響を受けにくいので、粗大粒子は超微小粒子と比較して滞留時間が最も長く、数週間の寿命を持っていると。こういったような大気中の粒子の動態に関する時間的・空間的な変化、これについての特徴をこの3ページ目のところで書いてあるというところでございます。
 次のページ、4ページ目に行きまして、測定法でございます。これについても、最初に粒子状物質の特性の中でご説明していたものですので、ポイントだけ説明をしますが、諸外国で標準測定法として定められている方法は、米国EPAのFRMの規定に代表されるフィルタ法による質量濃度測定方法のみであること、また、PM2.5の測定法は、秤量測定法のほか、自動計測法としてTEOM、β線吸収法、光散乱法、こういったものがあって、また、測定機の開発が活発に行われていることを紹介しております。ただ、課題として、まだ構造の改良の途上にあるということで、低濃度域の測定精度の問題、またフィルタの吸湿性の問題、これに関しては高温多湿の我が国で特に正の誤差が生じやすいということ。また、気温や成分にもよりますけども、半揮発性物質の揮散によって負の誤差、こういったものが生じる。このため、正確な濃度の測定をするために、さらにデータの蓄積、測定機器の改良が必要であるといったことをここで紹介をしております。
 それで、次のページに行きまして、曝露評価の整理でございます。曝露評価の整理として、大気環境の現状、発生源の種類、モデルによる濃度推計法、ヒトへの曝露様態、これの主要なポイントについて整理をしております。
 最初に、大気環境の現状として、PM2.5の主要成分である炭素成分、特にECですけども、これは0.5μm以下の微小粒子側の粒径に偏在をする。また、OCは0.6μm付近にピークを持つ濃度分布形を持っている。都市部の一般局及び自排局、こういったところでは、4μm付近の粒径でもECとOCの濃度がやや高くなる傾向が述べられております。
 次、発生源影響ですけども、これについては、大気中微小粒子の評価を行うためには、各種発生源から排出される粒子状物質、これは一次粒子の排出量把握、それと大気中粒子の約半分を占める二次生成粒子の原因となる前駆物質に関する排出量を把握する必要があるということをここに書いております。また、我が国の排出インベントリについて、その推計には、これまで調査対象外の発生源データの整備、また最近、排ガス性能が大きく変化している新しい車両の排気組成に関する情報収集、植物起源のエミッションインベントリの整備、こういったような課題を踏まえた推計精度の高い排出インベントリの早急な整備が望まれることをここで紹介しております。
 また、モデルによる推計については、発生源寄与濃度の推計に当たり使用されるシミュレーションモデルと、それと成分濃度から発生源の寄与割合を示すレセプターモデル、これについて紹介をしております。ただ、これらのシミュレーションモデル等について、解析型モデルと数値型モデルがあるということなんですけども、それぞれ長短がある、と。この点についても、ここの中で触れております。
 それでは、その次のページに行きまして、人への曝露様態ということですが、ここでは、大気中の粒子状物質濃度と個人への粒子状物質の曝露の関係を明らかにするためには、モニタリングサイト、一般的な測定局で測定した環境大気濃度と家屋近傍の居住空間に近い大気環境濃度の関係、それと居住空間に近い大気濃度と家屋内の濃度の関係、それと家屋内の濃度と個人曝露との関係を観察する必要があるということをここで書いております。また、この中で、微小粒子状物質の曝露影響調査報告に関する成果と、こういったものについてもここで示されております。また、PM2.5につきましては、粗大粒子に比べて屋内に侵入しやすく屋外濃度との差が小さいということで、 PM10以上に個人曝露濃度との相関が強く、PM2.5の環境濃度は個人曝露濃度の代替指標として適しているという部分についても、ここの中で書かれております。
 その次の8ページ目に行きまして、体内沈着と動態の整理でございます。これについても、先ほど小林先生と工藤先生の方からもご説明いただいたとおりですので、ポイントだけ、沈着の機構としてどのような機構があるのか、慣性衝突や沈降、遮り、粒子荷電、拡散、こういったものがあること。また、上気道領域とか下気道領域、肺胞領域、そういった粒子沈着を詳細に分析しているモデルによって推計しているものを紹介して、微小粒子について、粒子の大きさによって呼吸器系の部位によって沈着の挙動が異なると、この点についても紹介しています。また、沈着率の観点から、粒子サイズ域を明確に区別するカットポイントを見つけるのは容易ではないこと、また、吸湿性が気道内の粒子沈着パターンに影響を及ぼすことにも留意が必要だということをここで記述しております。
 その次に行きまして、体内動態に関して同様な記述がなされているところです。
 ここまでが資料2-1でございまして、次に資料2−2です。
 この資料2-2については前回の検討会でも説明ということですが、前回では、適切な粒径のカットポイントの検証のためにたたき台の資料として提示した訳ですが、その議論を踏まえて、今回、まとめも含めた形で提示をしております。前回の資料では、物理的・化学的要素の検証、曝露データの整理、吸入粒子の体内挙動の整理、あとは実態面からの検討の整理、こういったものについての内容を踏まえて、微小粒子と粗大粒子の間のカットポイント、粗大粒子のカットポイントについてご議論をいただいたところです。
 ひとまずは、先ほどの説明とも重複しますので、4ページのまとめだけ、ご説明をいたします。
 粒子状物質については、質量濃度の粒径分布から微小粒子と粗大粒子に分けられる。微小粒子と粗大粒子のカットポイントについては、以上の視点から総合的に検証すると、毒性に関与しうる微小粒子は人為発生源からの排出ガスに多く含まれ、制御がより容易であること。微小粒子のうち蓄積モード粒子は大気中に長期間滞留し、一定地域内ではより均一に存在し、屋内にも侵入しやすく、微小粒子の大気環境測定結果はヒトへの曝露量と見ることができること。粒径の大きさによる体内の沈着は複雑で明確なカットポイントを示すことは困難であるが、微小粒子は肺胞領域にまで侵入しやすいこと。多くの健康影響に関する研究論文や測定データは微小粒子をPM2.5と扱う科学的知見が蓄積されていること。また、高湿度等の条件でもPM2.5は微小粒子の大半を捕集することができることから、粒子状物質に関する微小粒子と粗大粒子の間のカットポイントは欧米と同様に2.5μmとすることが妥当である。また、粗大粒子については10μmを超える粒子は上気道領域で捕捉されるが、10μm以下の粒子は下気道領域や肺胞領域の沈着率が、という部分ですが、ここは間違えておりまして、ここは10μm以下の粒子は下気道領域や肺胞領域の方に沈着がされるという意味ですので、沈着率が低いというのは誤りでございます。この粗大粒子の上端が10μmとする従来の知見とは変わりがないことから、粗大粒子の上端のカットポイントを10μmとすることが妥当である。なお、カット特性については、PM2.5については米国で基準が用いられていますが、ここは50%カットです。粗大粒子に関するカット特性については、10μmについて50%カットの PM10と、100%カットのSPMの2通りがあります。この点についても、最後に触れております。これが、まず資料2-2でございます。
 その次に行きまして、資料2-3でございます。これは影響メカニズムの検証ということで、これにつきましては、高野ワーキング長が中心になってまとめていただいています毒性学の影響に関する知見を踏まえて、その知見の評価の中で、それぞれ器官ごとに障害の仮説の確からしさの評価を行っていただいているところですが、これらの内容を踏まえて、健康影響のメカニズムを理解するため、粒子状物質の沈着やクリアランスに関する知見も踏まえた上で整理を行っています。これについて影響メカニズムを考察して、それぞれの呼吸器への影響、循環器への影響、それぞれごとに記述をしているというものです。また、成分の違い、粒径の違い、感受性に関する影響、高感受性群に対する影響、共存汚染物質の影響、そういった影響要因ごとの考察もあわせて記述をしています。
 ただ、ここで一つ、この影響メカニズムの検証に当たって注意点ということを、ここに、なお書きで書いております。この影響メカニズムを検証するために用いる知見、これはヒトの志願者や実験動物の知見を主に用いるものですが、特に動物実験の知見が多く占められていると。このため、この影響メカニズムを検証するために、ヒトに当てはめて見る場合は、ヒトと動物の種差、こういったものについて留意する必要がある。また、実験的な研究については、多くは疫学的に観察されている健康影響の生物学的妥当性を検証することを意図しているので、用いられている曝露濃度、用量、ここは通常の大気環境よりも高い場合が多い、と。このため、一般大気環境中のメカニズムとして解釈するときには注意が必要だということをここに記述しております。
 それでは、1番目に呼吸器への影響でございます。呼吸器につきましては、粒子状物質の曝露によって、体内に吸入された粒子が呼吸器に沈着する際に、呼吸器に様々な影響を生じさせると想定している、と。それで、また呼吸形態や換気量、呼吸回数、粒子の大きさによって、粒子の沈着する部位が異なり、また沈着率やクリアランスも異なりますが、微小粒子については、下気道領域や肺胞領域に到達し、その領域で沈着する粒子も存在する。そういったことから、ヒト志願者や実験動物による毒性学の知見によって、曝露した粒子によって呼吸器への影響を示唆するメカニズムについては以下の3つが考えられます。気道や肺に炎症反応を誘導し、より高濃度な曝露の場合には肺障害が生じうること。また2つ目に、アジュバントとして働いて、喘息やアレルギー性鼻炎を悪化させうること。特にDEやDEPについては、気道反応性の亢進等、増悪させる可能性があること。また、呼吸器感染の感受性を増加すること。
 次に2番目、心血管系への影響ということで、これも粒子状物質の曝露によって循環器、これは主には心血管系のことですけども、これがどのような機序で影響を与えるのか。これは先ほど、次のページ、冒頭に移行経路は特定されておらず、先ほど小林委員と香川委員とのやりとりがありますので、ここはまたそのやりとりを踏まえた記述になろうかと思いますが、循環器系への影響については、肺組織を透過して血管や循環器に直接影響する可能性、または知覚神経終末を刺激して自律神経に変調をきたす可能性、呼吸器内の炎症反応を介した影響、凝固系の促進の可能性などさまざまなプロセスによって生じることが想定される。そこで、毒性学の知見によって示唆されるメカニズム、ここについては3つにまとめられます。呼吸系の刺激や自律神経機能への影響等を介し、不整脈など心機能に変化が生じやすくなりうること。また、2つ目に、生理活性物質や過酸化物の増加等を起こし、血管系の構造変化を促進しうること。3番目に、血小板や血液凝固系の活性化、血栓形成の誘導等を介し、血管狭窄性病変を起こしやすくし、心臓に直接的、間接的悪影響を及ぼしうること。
 次に3つ目、免疫系への影響です。これについても、2つのメカニズムですね。肺胞マクロファージの持つ殺菌能を低下させ、インターフェロン産生を抑制し、感染に対する感受性を高めうること。また、DEやDEP等がアレルギー感作の増悪に影響を生じさせうること。
 次に、4番目として発がん影響です。これについては、実験動物やin vitro試験による毒性学の知見によって、DEPやDEP以外の燃料燃焼由来の粒子成分の変異原性や遺伝子傷害性の存在が示唆されるが、これらの成分以外の知見は不足している。DEPや燃焼燃料由来成分、これについては遺伝子傷害性というもの、DNA損傷を引き起こすことや、ニトロ化PAH等の微量でも強力な変異原成分が付加体を形成することでがん発生に寄与しうると。ただ、毒性学知見による都市大気微小粒子の発がん性の検証に関して、都市大気微小粒子自体の発がん性の実験的根拠は不足しているものの、曝露情報から都市大気非常粒子を構成する成分としてDEPや燃料燃焼由来粒子を含むことから、発がんに関与することが示唆される。しかしながら、都市大気微小粒子の質量濃度や成分組成は地域や時間によって変動し一様ではないことから、粒子が一様に発がん影響を有すると判定することは困難であると。
 次に、粒子成分と健康影響の関係です。これについては、微小粒子状物質の成分であるさまざまなものについての知見があるということですけども、必ずしも結果は一様ではないと。CAPS中の成分と毒性に関する研究は非常に限定的であり、特定の成分によって影響が引き起こされる明確な証拠はなかったということで書いております。
 6番目、粒径と健康影響の関係ですが、これについては、小さい粒子ほど毒性が強いことを示す知見は多いが、大きい粒子にも毒性を認める知見は存在することから、一概に粒径の大きさのみによって毒性が決定されるとは言い切れない。
 7番目、粒子状物質の高感受性です。粒子状物質の健康影響に対する感受性の影響は、年齢、遺伝性素因、既存疾患など、さまざまな要因に左右される可能性がある。高齢あるいは若齢の動物が粒子状物質に対して感受性が高いという報告は、現在のところ少数である、と。また、先ほど粒子状物質の沈着に関して小児の扱いが、若干表現が変わるということですが、年齢による差は明確ではないと書いています。また、一方、既存疾患によって粒子状物質やその成分の曝露に対する病態生理学的応答が変わり得ることは広く認められている。ということがここに書かれております。また、次に遺伝的感受性に関しても関連、これについても記述がされております。
 次に共存汚染物質による影響。これについては2つ考えられるのではないかと。ガスと粒子の化学的相互作用による副産物の形成、また物質の粒子への接着、その後の感受性部位への運搬。なお、この機構の(2)に関連して、先ほど横山委員からも事実関係の確認を今後行うということになっておりますけども、オゾンや二酸化硫黄の共存汚染物質が存在する場合の記述についても、ここで記述しております。しかし、粒子状物質とガス状共存汚染物質に関するこれまでの研究からは、粒子状物質とガス状汚染物質が、その組み合わせにより相加的または相互的な作用を及ぼすことを示す証拠は、比較的限られたものしか得られていないと。こういう形で内容をまとめております。
 以上、資料2-1から2-3までご説明をしました。

【内山座長】 ありがとうございます。この2-1から2-3は、これまで議論いただいてきた各分野の知見を、まとめを中心として整理したということですが、きょうの議論で少し修正されるところもあると思いますが、何かご意見、お気づきの点、ございますでしょうか。このまとめの中でここが抜けているのではないかというようなところも含めてご指摘いただければと思いますが。
 どうぞ、島先生。

【島委員】 資料2-3の1ページ、呼吸器への影響のところについて確認させていただきたいのですが、3)で「呼吸器感染の感受性を増加する」という、ほかの項目はすべて「生じうる」とか「可能性がある」とかという書き方ですが、この3)だけ断定的に書いているのは何か意図があるのかということと、それから、その上に「メカニズムについては、以下のとおりである」とされていますが、この3)はメカニズムではなくて結論だけしか記載されていないので、ちょっと、全体の中でこの項目だけ特殊な位置にあるような気がします。そのあたりを教えていただければと思います。

【内山座長】 これはどうしましょう。呼吸器感染の感受性を増加するというのをどこから持ってきたかというと、毒性学の方ですね。

【高野委員】 そうですね、「可能性がある」とつけていただいてよろしいかとーーー。特に意図したものではございません。
 それと、このメカニズムというのは、細かいメカニズムと申しますよりは、疫学的な報告を説明し得るような事象という程度のニュアンスですので、呼吸器感染の感受性を増加する可能性がある、そういった状況を介して疫学的な知見を説明し得るのではないか、という程度の意味で用いたメカニズムとご理解いただいたらよろしいかと思います。

【内山座長】 ありがとうございます。
 島先生、よろしいですか、それで。

【島委員】 今のご説明は理解したのですが、同じ資料の2ページの(3)免疫系への影響の1)には、肺胞マクロファージの持つ殺菌能を低下させて、インターフェロン産生を抑制して、感染に対する感受性を高めうるという記載がされており、恐らくこれも呼吸系の感染についてということですよね。そことの整理が必要なのではないかという気がするので、検討をいただければと思います。

【内山座長】 わかりました。本文の方では、免疫系とそれから呼吸器系への影響と別々にまとめてあるので、こういう項立てになっているのだと思うのですが。

【高野委員】 最初の方のレビューからのまとめの流れから恐らく引っ張られてきたところが大きゅうございますので、ここの段階まで来ますと、島先生ご指摘のとおり、(3)の1)の部分はもうカットしてしまって、呼吸器系のみを残すということでよろしいかと思います。

【内山座長】 その方がいいかもしれませんね。ここはまとめ方を少し工夫させていただきます。
 そのほかに、ご指摘の点ございますでしょうか。
 新田先生。

【新田委員】 ちょっと違う話題ですが、資料2-2のカットポイントのところを確認したいのですけども、5ページの最後の段落の直前に、「粗大粒子の上端のカットポイントを10μmとすることが妥当である」という記述がございます。ここのカットポイントは50%カットとか100%カットとか、それは置いておいて、とりあえずカットポイントは10μmと、こういう趣旨の理解でよろしいでしょうか。

【内山座長】 事務局、いいですか。あるいは坂本先生。

【坂本委員】 ここはそこまでの議論はしていなかったのですが、より呼吸器系への影響ということを考えれば、日本の方の見解は100%カットということになるんだと思います。

【内山座長】 よろしいでしょうか。
 そのほかにいかがでしょうか。

【坂本委員】 ちょっと今の発言に少し補足しておきますと、影響の部分と、それからもう一つは、測定方法をつくる場合にいわばどういったところがつくりやすいかというようなことも兼ね合わせると、10μmで50%カットというのが、測定機をつくる場合にはやりやすいという部分もあります。

【内山座長】 わかりました。
 では、横山先生、どうぞ。

【横山委員】 はい。全体として特に異議があるわけではございません。ただ、二、三、字句的なことがちょっとひっかかる点がございます。

 2ページの発がん影響の一番下の部分、「しかしながら、都市大気微小粒子の」云々、これは当たり前のことを言っているのであって、要するに発がん影響のメカニズムとは関係のないことだと思いますので、これは要らないのではないかと思います。

 それから、3ページ目、粒径と健康影響の関係、小さい粒子ほど毒性が強くて、大きい粒子にも毒性を認める。この「毒性」というような漠然とした言葉で、これは毒性の種類が違うのかあるいは程度が違うのかというところがわかりません。この「毒性」について、長々と書く必要はないと思いますが、もう少し限定した記述があった方がよろしいのではないか。

 それから、(8)の(1)、化学的相互作用による副産物ですが、バイプロダクトであることは間違いないのですけれども、副産物というと何かちょっと変な感じがするので、新しい物質ぐらいの方でよろしいのではないかと思います。  それから、(2)、物質の粒子への接着というものが、よくわかりません。普通のガスが粒子の表面に吸着するという現象は、昔から言われております。その後の感受性部位への運搬について、そんなに感受性のいいところに人間の意思とは無関係に粒子状物質が運搬されることは考えられません。これは、従来からの複合物質の影響の見解からすれば、より末梢気道へ運搬されるということは前から言われており、「ガスの粒子への吸着、その後のより末梢気道あるいは下気道への運搬」というのが正しいのではなかろうかと思うんです。

 その辺、字句のことだけでございますけれども。

【内山座長】 ありがとうございます。  工藤先生。

【工藤委員】 資料2-3のところですけど、まず1ページ目の真ん中からちょっと下のところに、「換気量、呼吸回数」とかありますが、これは「呼吸回数」と書く限りは、「1回換気量」とした方がいいと思います。あるいは、それをまとめて「分時換気量」という表現ならばいいですが。もしやるならば分時換気量、そして括弧して1回換気量、呼吸回数というふうにまとめることだろうと思います。

 それから、3ページのところに、これも真ん中からちょっと下のところに「COPD患者では気道閉塞により沈着が増加する」とありますが、これは先ほどの資料の資料1-3の10ページの上の方のところに相当するもので、上の4行目までに書いてあるところに相当すると思うんですが、要するに気道の閉塞があれば中枢気道の沈着が増加し末梢気道の沈着は減少するというようなことがあります。したがって気道閉塞があるとCOPDでは下気道の領域も沈着が増加するということなので、これは下気道の沈着という、これを入れないと肺胞領域ではない、そういうことです。

 それから、これに関連して、先ほど横山先生のご質問があった部分とも関係しますが、この一番下から5行目のところですね、「これらの刺激物質による気管支収縮は、下気道への粒子状物質の沈着を増加させる」というのは、今の部分と対応しているということになろうかと思います。これは資料1-3の16ページの横山先生がご指摘になった部分、要するに気道の閉塞を起こすということを通じて気管支の収縮が刺激性物質によって起こると気道への沈着が増加すると、そのようなメカニズム、そういう論理になっておるということです。

 以上ですが。

【内山座長】 ありがとうございます。  よろしいでしょうか、そのほかに。

 佐藤先生ですか、ちょっとお待ちください。

【横山委員】3ページの(7)の粒子状物質の高感受性の一番下のところに遺伝的感受性が書いてあるのですけれども、今、PM2.5が化学物質か否かということは別にして、化学物質に対する感受性に対する遺伝学的研究というのは相当に進んでいるわけで、やはり粒子状物質に対する高感受性についても何らかの遺伝的要因が働いていると考えざるを得ないと思います。これですね、グルタチオンSトランスフェラーゼ多型とDEPのアジュバント効果が挙げられているということは別に問題ないですが、要するにデータがあまりないのですが、感受性を考えるときに、遺伝的な関与というものを考えなければいけないということを、多少なりとも、その様な文言を入れたらいかがかと思いますが。

【内山座長】 ありがとうございます。

 では、佐藤先生、どうぞ。

【佐藤先生】 資料2-3の2ページ目の上の方の3)なんですけれども、血小板であるとか血液凝固系への影響という部分というのは、これ、ケミカルな影響なのか、粒子としての影響なのか、どっちをイメージしているのかなというのが1つ質問ですけれども。

 それと同時に、ちょっと先ほど横山先生も言いかけていたのかもしれませんが、微小粒子の影響の中で、完璧に分けるのは難しいのでしょうけど、粒子としての影響、それから中身としてのコンポーネントとしての影響みたいのをもう少し書き分けられないのかと。これは全体を通しての話ですけれども。無理なことを言っているのかなと自分でも思っているのですけれども、そういう印象を持っています。

【内山座長】 はい。
 高野先生、何か。

【高野委員】 そうですね。まだ部分的に分けて行った研究自体がそう数多くありませんので、知見から、どの成分がどの部分の影響が大きいと書くのは、なかなか難しいかなというところがございます。
 それで、3)に関しましても、実際に粒子そのものの影響であるのか、また、肺に入った粒子によって、まず肺で炎症が起こって、その後の炎症の波及という考え方なのか、それから自律神経かという、そういったところがなかなか難しい問題、粒子全体で考えましても、難しい問題がございますので、それをまた成分について考えるというのは、現時点では難しいかと思います。

【横山委員】 皆さん方も既にお読みになっていらっしゃると思うんですけど、今、高野先生がおっしゃったように確かに(5)のところはこういうことでよろしいかと思うんですけれども、ただ、最近の雑誌”Environmental Health Perspective”に、アメリカのEPAのグループが、微小粒子中に含まれている亜鉛が心血管系への影響の原因ではないかというレポートを出してきております。EPAの研究者は、昔は鉄と言っていたのですけど、このごろ何か亜鉛じゃないかというふうに言っているのが多いらしいのですが、やっとそれが第一報を、多分第一報だろうと思うんですけど出てきておりますので、ここら辺のところも今後の研究の進展を待ちたいとは思います。ただ、現状は、今、高野先生がおっしゃったように、これで間違いないだろうと思っています。

【内山座長】 ありがとうございます。
 そのほかに。  新田先生。

【新田委員】 先ほどの横山先生の遺伝的感受性に関するご発言に関して、ちょっと異議があるというほどのことではないですけども、疫学知見で言えば、遺伝的に何か素因がある人に明確に粒子状物質の影響が強く出るというような知見はまだないと思いますので、現時点で環境よりも遺伝だと、まあ、永遠の課題といえば永遠の課題ですが、そういう表現は、現時点では難しいのかなと思っております。

【内山座長】 高野先生。

【高野委員】 先ほどの横山委員のご発言で、逆に私もご意見をお伺いしたいと思っていたのですけど、実はこの資料2-3の3ページの(8)の共存汚染物質による影響で(1)(2)の説明がありますが、確かになかなかわかりにくい部分がありまして、実はこれ、アメリカの方のもともとの評価文章にあったものを引っ張ってきておりまして、我々のまとめというのは最後の3行で、今のところ、ガス状共存汚染物質と相加的・相互的作用を及ぼすという証拠というのは比較的限られたものしかないというところでございまして、逆にこの上の5、6行の部分を全くカットしてしまうという考え方もあり得るのかなと、ちょっと前から感じていたのですけども、この点に関してはいかがでしょうか。我々のレビューした範囲では、ガス状共存汚染物質との相加・相互的な作用を及ぼすという証拠というのは非常に限られたものしかないと。ただ、考え得るメカニズムとしては、ここで記したものがあるというのがアメリカの文章に載っていまして、それにそのまま引っ張られてきてここまで残ってきているという形ですけれども、我々の結論が余りはっきり証拠がないということがあることを前提にすれば、この部分はカットした方が、余り混乱を招かないかなという気も逆にするのでありますけれども、横山先生のご意見はいかがでしょうか。

【横山委員】 僕に。(1)と(2)を一緒にするということですか。

【高野委員】 

【横山委員】 (1)と(2)、さっき申しましたように、僕、文言はちょっと直した方がいいかと思うんですが。ただ、この場合は、実験的にはSO2、要するに可溶性のガスを使っていますけれども、可溶性のガスが粒子に溶け込んで、いわゆるSO2が硫酸になって刺激性を増すというメカニズム、これはもう実験的根拠が大分あるわけです。ただ、(2)の方、これはなかなか魅力的なメカニズムと僕は考えるんですけど、ただ、今、高野先生もおっしゃいましたように、データはそんなにはない。ただ、(1)と(2)が二つ、特にガス状と粒子状物質の複合ですか、あるいは作用を論じるときには大体この二つは必ず載りますので、考え方の整理のための基礎としては残しておいてもよろしいと僕は思いますけれども。

【内山座長】 小林先生、どうぞ。

【小林委員】 私も、メカニズムとして一応こういうことは考えられるということで、高野先生の言われるように、まだ知見としては十分ではなくて、今、横山先生の方から言われたように亜鉛とか、そのほか、最近は有機成分、それが心臓の方に行っているというような知見も少しずつ出てきておりますので、一応、可能性という何か文言を少し変える形で入れてみてもいいのかなと思っております。

【内山座長】 そのほかにいかがでしょうか。
 香川先生。

【香川委員】 同じことを繰り返すことになると思いますが、「ガスと粒子の化学的相互作用による副産物の形成」じゃなくて、「二次生成物の形成」とした方がよいのではないかと思いまして。横山先生がおっしゃったように、オゾンと亜硫酸ガスを混合しますと、微小粒子がすごい勢いで形成されるんですね。その微小粒子が形成、要するにオゾンによってSO2がSO3になり、水分があると硫酸に、それからアンモニアがあれば硫安が形成されるということで、これは現実に報告がなされております。それから、物質の粒子への吸着で、下気道へ運搬するというのも、これもデータはハーバードのAmdurなんかの古いデータがもとになっているわけですが、下気道に侵入し得る粒子に、本来、亜硫酸ガスは吸湿性がありますから、下気道まではなかなか行きにくいと言われているので、そこに下気道に到着し得る粒子があると、上気道でほとんど吸着されるガスが下気道に持ち込まれて影響が強くなるという、それが主体だと思います。ですから、単に持ち込むというと、それだけでは、ちょっとわかりにくいと思いますので、ちょっと補足させていただきました。

【内山座長】 わかりました。では、ここの(8)のところは、多少表現は変わりますけれども、骨格としてはこのまま残して、もう少しわかりやすい、あるいは合理的なものにするということにします。
 そのほかにいかがでしょうか。
 佐藤先生。

【佐藤委員】 細かい文言のことですけど、さっき出ていた(8)の下の方は、「相加的または相互的」じゃなくて、これ、一般的には「相乗的」という意味だと思うんです。  それから、あと(5)のいろいろ物質を並べてあるところに、金属、一番下の行ですね、2ページの中でシリコンが入っているんだけど、シリコンは抜いておいた方がいいと思うんですけど。

【内山座長】 わかりました。  そのほかに。

【工藤委員】 また、よろしいですか。また同じ場所で申し訳ないんですけど、これ、(2)のところは、物質の粒子への吸着、その後の感受性部位の運搬と。このメカニズム、これに関連して沈着及び動態に関する知見から云々の部分は、 (2)のメカニズムでなければいけないのかどうかというのを、今、香川先生がおっしゃいましたけども、オゾンなどは、もう下気道のかなり奥まで到達、これは水に溶けないから到達しますので、これは別に吸着しなくても、併存して存在すればそれぞれに影響を及ぼすと思いますので、これは何も(2)に関連しなくてもいいんじゃないかなというふうに思いますが。

【内山座長】 ここも少し文言を工夫させていただきます。
 そのほかにございますでしょうか。
 富永先生、お願いします。

【富永委員】 先ほどの3ページの共存汚染物質のところにまた戻りますけれども、今、佐藤委員から相加的または相互的な作用、相互的じゃなくて相乗的じゃないかというご指摘がありましたけれども、原典に戻って調べていただきたいんですが、相加的・相乗的、それと別に相互作用と言うんですけれども、一つの因子の存在下に影響が出てくるという、そういう条件的なものがありまして、ひょっとしたら、インターアクションの訳かもしれませんので、その点は注意してほしいと思います。
 それから、(8)のところで、ガス状物質と粒子状物質、上では相互作用と書いてありますが、それらが並列的に作用したり、直列的に作用することもありますので、いずれにしても、ここのところはガスと粒子の相互作用ということで、ガス状物質から二次生成物ができるということもありますし、ここはこれで残しておいた方がいいと思います。

【内山座長】 ありがとうございました。
 では、島先生。

【島委員】 3ページの(7)の高感受性についてですが、先ほどCOPDについて工藤先生からコメントをいただきましたけども、(7)の部分は健康影響に対する感受性のことと沈着・動態の違いということが相互に入り組んで記載されているので、ちょっと理解しにくいのではないかと思うんですが。第2段落も、最初は感受性のことを書いていて、その次は小児と成人との呼吸パターンの違いが書かれていますので、それは明確に分けて記載していただいた方が理解しやすくなるのではないかと思います。

【内山座長】 わかりました。そこも、では少し工夫させていただきます。
 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【内山座長】 そうしましたら、この点については、次回以降、また修正してご議論いただくチャンスがあるかと思いますので、きょうのところは、いただいたご意見をもとに、少しまたリバイスしたものを次回以降提出したいと思います。
 それでは、ちょうど4時20分ですので、5分間休憩をさせていただいてまた開始したいと思いますので、4時25分ぐらいまで休憩してください。

(休憩)
(再開)

【内山座長】 それでは、時間になりましたので、よろしいでしょうか。

 それでは、次に健康影響評価の検討整理の考え方のうちの有害性同定に関する整理に関してご議論いただきたいというふうに思います。

 この資料につきましては、疫学的知見によって観察された結果に関して、毒性学的知見で観察された知見をもとに、整合性ですとかそれから生物学的妥当性ということ、前から時々お話に出て、統合的に考えてどうかということの文章になるところでございまして、いろいろ議論があることと思います。それから、さまざまな影響要因ごとの考察もしていかなければいけないというところです。

 これにつきましては、これまで示されてきた疫学や毒性学的等知見の整理について記述して、まだ審議事項というところで、ここら辺もどういうふうに進めていくか、まとめていくかをご議論いただきたいというところで、審議事項というふうにまとめて書いてございますので、これについてご議論いただければというふうに思います。

 この資料は、各ワーキンググループ長と相談いたしましてドラフトをつくって、その審議事項、こういうところを議論していただきたいというところで作成いたしましたので、事務局の方から資料の説明をしていただいて、その後、時間の許す限り議論をしていただきたいというふうに思いますので、事務局の方、よろしくお願いいたします。

【松田補佐】 それでは、資料2-4に基づきまして説明をいたします。
 まず、先ほど内山座長からもお話があったとおり、この粒子状物質からの影響について、総合的な評価にあたって、疫学知見から示される結果が、毒性学の知見から想定されるメカニズムとの生物学的妥当性や整合性、これについての評価を行う必要があるということです。
 具体的には、呼吸器疾患、循環器疾患、発がん等の分類毎に、疫学で観察された、死亡、入院・受診、症状及び機能変化など、異なる指標毎の短期、長期曝露による影響が、その影響に関連する毒性学の知見から得られる想定メカニズムによって、ある地域の大気粒子を採取して疫学と毒性学の実験を行っている特定の知見も踏まえ、支持できる、あるいは矛盾しないものであるかの検討を行うものです。
 多様な成分で構成されている粒子状物質への曝露による健康影響の基礎となる生物学的メカニズムは複雑で、単一の毒性学的変化の結果とは限りません。また、炎症のような非常に一般的な反応でも感受性の異なる人に対しては異なる反応を引き起こすこともあり得ます、と。したがって、幾つかの毒性学的仮説を提示して、粒子状物質への曝露による健康影響に関する疫学知見を説明しうるものであるか検討をいただくということでございます。
 そのうえで、疫学研究の健康影響に関する知見の整理に基づく評価とこれらの評価を統合して、有害性同定に関する評価をしていただく。
 また、疫学研究や毒性学研究の知見、あと粒子状物質に関する曝露情報、既存の疾病構造に関する知見などを用いて、粒径の大きさ、共存汚染物質の影響、閾値の有無の判定、感受性が高いと予測される集団、日本と欧米等諸外国の違いに関する影響要因ごとの考察も行っていただきます。
 なお、ここで示す影響メカニズムの検証の知見については、先ほどもお話をしたとおり、種差の問題、一般環境よりも高い濃度の曝露濃度を使っている実験であることもありますので、一般環境中の影響メカニズムとして解釈するには注意が必要であることをここで書かせていただいています。
 それでは、一つ目に生物学的妥当性や整合性に関する評価ですけども、一つ目に呼吸器疾患です。
 これについて、疫学知見の評価について、現時点では、それぞれの健康影響指標毎にその関連性の強さや一貫性等に差異はあるけども、大気中粒子状物質への短期および長期の曝露と呼吸器系疾患による死亡、呼吸器疾患による入院および受診、肺機能の低下、呼吸器症状の増加など広範囲な影響を示唆している。また、COPDや喘息患者が粒子状物質への曝露に対して感受性が高いことを示す知見も存在する。
 次に、粒子状物質による影響メカニズムに関しまして、先ほど紹介をしたメカニズムのとおり。ただ、表現は変わるということでございます。3)の表現は変わるということでございます。
 また、三つ目につきましては、同じ環境中の粒子状物質を対象とした呼吸器に関する疫学的調査と毒性学的調査、これを行った研究事例として、米国ユタバレーで実施した一連の調査があります。ユタバレーの調査においては、疫学調査、ヒトボランティア曝露実験および動物実験、これについて PM10と肺炎症などの呼吸器への影響が示されております。疫学調査では、粒子状物質の主な発生源である製鋼所が操業を停止していた期間中、小児の呼吸器系疾患による入院が減少したことを報告している。一方、閉鎖期間の前後、閉鎖期間中に捕集した粒子の抽出物を使用した気管内投与曝露実験では、ヒトボランティア実験、動物実験、いずれにおいても、製鋼所の閉鎖期間の前後に得られた抽出物は閉鎖期間中に捕集された抽出物に比べてより大きな肺炎症反応を示す結果となっていたこと。
 この三つは資料が膨大になるので、ここで事例というか、疫学については一まとめということで短いセンテンスで説明をして、また、メカニズムはシンプルな形で説明をして、また、ある事例について紹介したということですが、基本的には疫学のこれらの知見の整理、毒性学の知見の整理、これらの中を踏まえて、以下の三つの審議事項があるのではないかと。
 疫学調査で得られた呼吸器疾患による入院および受診、肺機能の低下、呼吸器症状の増加などに関する結果に関しては、毒性学知見に基づく想定メカニズムによって説明が可能であるか。
 また、疫学調査で得られた呼吸器疾患による死亡リスクの増加に関する結果について、生体反応から死亡に至る生体影響のプロセスにおいて説明が可能であるか。

 また、先ほども議論がありましたし、また、前回でも横山委員からも議論があったかと思いますが、疫学調査や毒性学調査において得られた結果については、浮遊粒子状物質などを含めた大気汚染による呼吸器疾患に関する知見と比較して微小粒子特有ものといえるか。また、共存汚染物質による呼吸器疾患に関する影響と区別ができるものか。

 次に、2番目として心血管系疾患でございます。

 大気中粒子状物質への短期・長期曝露、これと心血管系疾患に関するさまざまな健康影響指標、それらにつきましては、ここに示されるとおりの関連性が示されています。さらには、心拍数の増加、心拍変動の低下などなど、こういった指標に関する機能変化、心血管系の機能変化との関連性に関する研究がなされています。これらは影響メカニズムとして、自律神経系の制御に関する作用、血液凝固系の制御に関する作用と、二つの仮説を想定したものだということでございます。あとは、先ほど毒性学の知見の中から示唆されるメカニズムを列挙して、ここに示しています。

 それを踏まえて、ここのセンテンスだけで議論をしていただきたいということではなくて、これまでの疫学や毒性学の知見等々により審議をしていただきたいと思いますが、この疫学調査で得られた心血管系(循環器系)疾患に関する死亡リスクの増加に関する結果について、毒性学知見に基づく心機能の変化、自立神経機能の変化や血栓の形成などのメカニズムによって説明が可能であるか。

 また、循環器疾患に関する入院および受診の増加に関する結果や心拍数の増加、血圧値の上昇、血中フィブリノゲン濃度の上昇などなど、機能変化に関する結果については、この毒性学知見に基づくメカニズムによって説明が可能であるか。

 次に、肺がんでございます。

 微小粒子状物質の長期曝露による肺がん死亡リスクの変動に関する疫学知見に関しては、いくつかのコホート研究で概ね正の関連を示す一貫性のある結果となっています。

 実験動物やin vitro試験の毒性学の知見では、DEPやDEP以外の燃料燃焼由来粒子成分の変異原性や遺伝子傷害性の存在が示唆されています。ただし、これらの成分以外の知見は不足しているところです。  DEPや燃料燃焼由来成分が、ここに書いてありますメカニズムを通じましてDNA損傷を引き起こすことや、ニトロ化PAHなどの強力な変異原成分が付加体を形成することによってがん発生に寄与しうる。

 そこで、毒性学知見による発がん性の検証に関して、都市大気微小粒子自体の実験的根拠は不足しているものの、都市大気微小粒子を構成する成分としてDEPや燃料燃焼由来粒子を含むことから、発がんに関与することが示唆される。ただ、先ほど横山委員の方から当たり前のことであるというお話がありましたが、粒子はいろいろな地域や時間によって変動して、一様ではないということがここに書かれています。

 それで、審議事項としては、疫学調査で得られた肺がん死亡リスクの増加に関する結果について、毒性学実験の結果によって説明が可能かと。

 それで、その次に、2番目に有害性の同定について。ここは、この1番目の評価と、それと疫学知見による評価、これを踏まえて記述をしていくということで、これは今後検討していただくということになろうかと思います。

 3番目に影響ごとの考察ですが、(1)の粒径です。粒径についても、疫学、毒性学、それぞれ微小成分と粗大成分の違いという観点から評価をしていただいているところですが、そこで疫学についてはPM2.5や PM10について示される健康影響に比べて、PM10-2.5にあらわされる粗大粒子の健康影響についてはかなり限定されたものではあるが、短期曝露と死亡およびその他の健康指標との関係を示唆しているものもある。ただ、その結果は個々の調査や対象地域によって異なり、一貫性に乏しいものとなっています。

 毒性学の知見から、小さい粒子の毒性が強いことを示す知見は多いが、ここの毒性も程度がいろいろあるというご指摘がございましたが、大きい粒子にも毒性を認める知見は存在するため、一概に粒径の大きさのみによって毒性が決定されるとは言い切れないこと。

 こういった知見から、微小粒子の影響と比較して、粗大粒子の影響を明らかにすることはできるのか、または否定ができるのかという点についてご審議いただきたいと思います。

 また、成分につきまして、疫学に関連をしましては、特定の成分では硫酸塩に関して関連性を示す結果が報告されていますが、それ以外のものについてはデータの蓄積が不十分であること。ただし、発生源としては二次生成粒子、自動車由来粒子とその指標の関連性を示唆する報告があること。

 毒性学の知見については、一部修正をする部分もありますが、先ほどご説明をしたとおりでございます。

 こういった部分から、特定の成分が健康影響と関連することは明確にできず、様々な成分を含みうる微小粒子状物質を包括的な指標としてとらえることが適当か、この点について審議いただければと思います。

 また、共存汚染物質の影響について、疫学に関連しまして、粒子状物質についてはガス状汚染物質と共通の発生源を持っていることから、大気中の挙動に類似性がみられる場合が多く、そのため、粒子状物質とガス状汚染物質、それぞれの健康影響を疫学研究において区別して評価することには大きな困難があること。

 また、先ほど毒性学についても指摘がありましたので、ここは様々な修正をすることが必要になりますが、こちらに書かれている内容でございます。

 そういったことから、審議事項として、疫学知見の結果と毒性学の知見から、共存汚染物質の存在によって粒子状物質の健康影響への作用はどのようなものか。

 また、ガス状共存汚染物質の持つ健康影響と粒子状物質の健康影響についてどのように解釈すればよいのか。

 次に、閾値の有無の判定です。

 閾値は、本来曝露条件と影響を厳格に設定しうる実験的研究においてのみ有無を判定しうるとされています。

 疫学の研究に関しては、中には閾値が存在しない可能性について言及しているものもあります。ただ、集団の閾値における概念的な問題や、統計学的に閾値を推定する上での困難さ、さらには曝露評価などいろいろな制約があって、疫学知見ではこの曝露による閾値の存在を裏づけることも否定することはできないということで、今のところ評価されています。

 毒性の方につきましては、DEPにつきましては、平成13年の環境省のディーゼル排気微粒子リスク評価検討会において閾値のない発がん性物質だということで、都市大気微小粒子への寄与の大きいDEPに関しては、閾値のない発がん性物質を考えるべきだとされております。

 その一方、都市大気微小粒子の部分、これについてはDEPや燃焼燃料由来粒子、これらは遺伝子傷害性があるというようなことで示されておりますが、全体として見ると、まだ知見として不十分な部分もあります。また、微小粒子については、先ほども言いましたが、質量濃度や成分組成、これは地域や時間によって変動しうる。このことから、粒子が一様に発がん影響を有すると判定することは困難ではないかと。この点については、先ほども横山委員から当たり前ではないかという話があったところです。

 それで、審議事項としては、粒子状物質を構成する成分について、発がん性物質と考えるDEP等の成分と発がん性を有しない成分で構成され、粒子が一様に発がん影響を有すると判定することが困難な場合に閾値の有無を明らかにすることは可能かと。

 粒子状物質について、何らかの健康指標に関して個人に閾値が存在すると仮定した場合、高感受性等個人差も考慮して集団を対象とした閾値を特定することは可能か。

 それで、次に行きまして、感受性が高いと予測される集団です。  ロンドンスモッグにおいて慢性心肺疾患患者や高齢者に死亡率が高いことが観察されて以来、高感受性集団の存在が注目されてきたところです。

 疫学研究においても、心臓や呼吸器疾患の既往疾患のある集団でリスクが増加することが報告されています。また、糖尿病患者なども幾つか研究報告がされており、疫学研究でもいろいろな感受性に関する研究がされています。また、先ほど毒性学の方でも、メカニズムの部分でもご説明をしたとおり、影響メカニズムについても感受性に関する知見等がいろいろ出されているところです。

 こういったところから、審議事項としては、COPDや喘息等の呼吸器疾患患者や心血管疾患に関する潜在疾患を有する者に関して、潜在疾患が大気汚染物質による健康への影響を増悪させるといえるか。  また、年齢、性別、遺伝的因子に関して、大気汚染物質による健康への影響を増悪させるといえるか。

 次は、(6)循環器疾患に関する日本と欧米等諸外国の違いです。

 これについては、第2回検討会で報告した微小粒子状物質曝露影響調査報告の中で、呼吸器疾患の健康影響指標で得られた結果については、従来の諸外国での知見とほぼ整合する結果であったと。ただ、循環器死亡との関連性、これは米国の知見とやや異なる結果だったと。このため、循環器疾患に関する日本と欧米等諸外国の違いに着目して検討する必要があるということで、ここに(6)として提示をしております。

 疫学研究に関して、循環器疾患と死亡との関連性に関して、PM2.5と死亡との関連は正で、循環器系死亡との関連の約半数が統計的に有意であった。米国の研究の死亡リスクはPM2.5の濃度当たり約3〜7%であったと。

 一方、曝露影響調査の疫学調査について、循環器疾患については全死亡や呼吸器疾患と比べて日死亡リスク比は小さかった。

 その後、さらに第3回検討会で追加解析調査結果を提示して、急性心筋梗塞の死亡リスクについては3日から5日遅れで有意ないし有意に近い増加を示す、この様な結果になっている。

 その上で、また第3回検討会で、これは上島委員の方から提供していただいた資料と厚生労働省の発表資料の結果を出しましたが、日本と欧米諸国で疾患構造についてどうも違うのではないかと。心疾患と脳血管疾患の比率が日本と欧米で違うという部分、また、西欧諸国と比較して、冠動脈性心臓病の死亡率が低く、脳卒中の死亡率が高いということが示されていて、この危険因子について、高血圧や高コレステロール血症、喫煙、糖尿病などが危険因子であることが示されている。特にアジア諸国の危険因子の特徴として、西欧諸国と比較して血清総コレステロールレベルが低いことが挙げられている。

 また、疫学研究の短期影響研究で循環器疾患に関する機能変化の多くは、特に冠動脈疾患、動脈硬化性脳梗塞、いずれも太い動脈の硬化症ということですけども、このリスクファクターで、欧米では、アジアに比べて循環器系疾患の中で冠動脈疾患や動脈硬化性脳梗塞の占める割合が多い。一方、アジアでは脳血管疾患の割合が多い。これら疾病構造の相違、これが健康影響の相違に関係する可能性があるが、これまで国際的な比較研究は実施されておらず、その解明は今後の課題であるということを疫学研究の評価のところで書かれております。

 審議事項として、日本と欧米の循環器疾患の疾病構造の違いによって、微小粒子状物質による循環器疾患の発症への影響に違いが生じるか。

 循環器疾患の発症に関する危険因子、これが大気汚染物質による健康への影響を増悪させるといえるか。それとも交絡要因とみることが適正か。

 あとは、食生活の違い以外に人種や遺伝的な違いがありうるか。
 この点についてご審議いただければと思います。
 以上でございます。

【内山座長】 ありがとうございました。
 これは、最初の生物学的妥当性や整合性に関する疾病分類毎の評価から順に審議事項に沿って、行ってみたいと思います。随分審議事項として、項目として挙げている項目が多いので、どこまで行けるかわかりませんが、できるだけ皆さんのご意見をいただいていきたいというふうに思います。

 それでは、最初の、まず1番の生物学的妥当性や整合性に関する疾患分類毎の評価、呼吸疾患の審議事項として三つ挙げてあります。これに沿って、順番はどうでも構いませんので、ご意見等ございましたら。

 最初の審議事項が、毒性学的知見に基づく想定メカニズムによって疫学調査で明らかになった事項が説明できるかというようなところが議論になっていますので、高野先生あたりから少し口火を切っていただくとよろしいかと思いますが。

【高野委員】 一つ一つの事項になると、完璧にそのエビデンスが十分かという問題も出てくる部分はあるかと思いますが、大まかに見て説明はし得るのではないかと。特に受診、肺機能の低下、呼吸器症状の増加という、病態の増悪に関する部分にはかなり実験的なデータもございます。特に気管支喘息、それから感染のモデルに関しましては、かなりのデータがございます。強いて申しますと、SO2を用いた慢性気管支炎のモデルは数多くあるんですけれども、COPD、肺気腫のモデルというのが余りいいモデルがなくて、もちろん喫煙のモデルですとか、エラスターゼとかを使うモデルあるわけですけれども、それを使って実際粒子状物質の影響をきちんと見たという報告が乏しいというのが、ちょっと弱点かなというふうには思います。

 それと、横山先生がいつもおっしゃっておられます死亡を説明し得るかというと、これはまた非常に難しい問題がありまして、ベースにある呼吸器疾患の病態の増悪を来すということが、そういったベクトルの延長線上で、死につながりうるのではないかという考え方じゃないと、ちょっと説明しがたい部分があるのかなという印象がございます。

 あと、実際の患者さんは、これも以前申したかもしれませんけれど、ある程度高齢者の方とかですと、肺の疾患だけではなく、ベースにかなり動脈硬化を持っておられるようなケースがございますので、呼吸器系の影響が最終的に呼吸器そのものに影響しているのか、循環器にやはり最終的に影響して死に至っているのかというような問題も出てくるのではないかというふうに考えております。

 簡単ですけれども、このくらいです。

【内山座長】 新田先生の方は、何かございますか。

【新田委員】 私も、最初の審議事項の上の丸に関しましては、炎症等である程度説明できると考えております。

 それから、死亡に関しましては、今、高野委員おっしゃったとおりで、直接的なプロセスの説明というようなことは難しいのかなと思っておりますが、少なくとも、疫学の知見で観察されております死亡リスクの増加を否定するような材料は、毒性学の方ではないだろうなというふうに思っております。

【内山座長】 小林先生、工藤先生はいかがですか、特に。

【小林委員】 影響評価に関してはほぼ同じような考え方を持っておりますが、これは有害性の同定に関する評価ということが中心なのでこれでいいかなと思いますが、何分かなり濃度の高いものを使った動物実験の結果とか、そういったものが有害性の同定、これがたどるプロセスではあるんですが、そこのところに関しての何か整合性はとれているんですが、そこに対する記述みたいなものも、どこかに書いてあるのかもしれませんが明確にあった方がいいのかなと思います。

【内山座長】 どうぞ、横山先生。

【横山委員】 今、小林先生がご発言になった内容を含めて、ちょっと私の考えを述べさせていただきますが、ここに書かれておりますこの三つのメカニズム、これはそれぞれ高野先生の方で実験的な研究のうち、呼吸器に対する影響の結果をまとめてみたところ、このようなメカニズムが想定されるということで出てきたというふうに理解します。それで、これをいろいろと見ていて気がついたことは、多くのここに本日ご出席の方NO2のことはご経験だと思うんですけれども、これ、NO2の動物実験曝露成績とほとんど同じなんです。要するに気道に炎症を起こす、それからアジュバント様の作用を持つ、感染の感受性を増す、これらは全部NO2の動物実験で認められているということに気がつきました。そうしますと、やっぱりこのようなことがPM2.5及び関連の粒子状物質で認められているということから考えると、PM2.5の気道に対する作用はイリタントじゃないかというように考えてはいけないんでしょうか。それで、イリタントであるとするならば、恐らくこれは種差はあまりない。肝毒性や腎毒性になりますと、いろいろと代謝系が絡んでまいりますから、種差という問題は複雑ですけれども、気道表面に対する刺激性ということでしたらば、大体、今までの実験からいっても、種差というのはそんなにはない。動物で気道上皮に炎症性反応を認めるようなものは、人間でも認められている。それと濃度も、大体、イリタントの動物実験、これは小林先生たちの国立環境研究所のNO2の曝露実験を私は言っているんですけども、あのような実験を見ましても、比較的高濃度の気道病変というものは比較的低濃度の気道病変とほとんど同じ。ただ、程度が違うだけ。ですから、とかくここで書かれている動物実験から出てきた結果から、PM2.5の呼吸器に対するこのような影響というものは、恐らく種差は少ない。それから、低濃度にも外挿できるだろう。そのように考えますと、この審議事項のうち、毒性学知見に基づく想定メカニズムによって恐らく説明が可能であると僕も思います。

 ただ、注意しなきゃいけないのは、日本では、これは島先生たちのデータだと思いますけども、受診等の結果、日本のデータは数少ないですけども、正にはなっておらないということは、これはどこかにやっぱり触れておくべきだろうと思います。

 それから、今までのご発言と僕も同じですけれども、ただ、病気がひどくなると死亡に来るというのは、ちょっと安易過ぎるんじゃないか。臨床の先生もいらっしゃいますけれども、死亡って、そんなものか。やっぱり何か違うものがあるんじゃないか。ですから、病変の根底にこのようなものがあるということは、さっきから繰り返し申していますように、人間でも恐らくそうだろうと思います。ただ、先ほど新田先生の方からチャートが示されておりますけれども、PM2.5の日変動と死亡率の日変動の関連は大体100μg/m3下の状況で起きているわけです。こんなことが本当の、何か、もう一つ見落としている、あるいは、世界中で見落としているかもしれない何かが働いているのではないかというのがぬぐい切れない。それは何だったかと問われれば、何の答えもないですけれども、ちょっとそんなことを感じましたので、述べさせていただきます。

【内山座長】 工藤先生。

【工藤委員】 この毒性との関係では、ここで言われている審議事項の1の部分というのは、基本的には急性影響の部分ですよね。ですから、慢性的な影響については、やはり種差等は、これは動物実験でも例えばDEPを曝露して黒ネズミと白ネズミは物すごく違いますので、だから、やはりいろんな違いは出てくると思いますが、急性のものは、今、横山先生がおっしゃったように、これ、イリタントじゃないかというふうに考えれば大変話はよくわかるなということだろうと思います。

 それで、問題は死亡のリスク増加ということですけども、例えば呼吸器疾患での死亡といっても、例えばいわゆるぜんそく死というのもある。今、ちょうど3,000名を割って年間2,900人ぐらいになっておりますけども、例えばぜんそくの患者さんが300万人ぐらいとしますと、そうすると1,000人に1人ですね、3,000人としますと。だから、そういうようなところにも、本当に、じゃあ、これは一体ぜんそく死でなったのかというと、これはわからないですよね。これは要するに呼吸器系疾患で亡くなったというのは、例えばぜんそくでもCOPDでもそうですが、本当のところ、死因が個々の死亡診断書にたどり着いて、そしてそれを本当に解明しないことにはやっぱりわからないだろうと思うのですよ。だから、これは大変説明がやはり難しい部分で、やはり一つずつのケースを洗わないと、本当の死因のところまでたどり着けないから、はっきりしていることは、リスク増加ということがあることだけは疫学的に出ているので、ですから、それの解明に関しては、やっぱりここを待つしかないのではないかと思いますけど。

 それから、共存する物質との関係についても、これもやはり微小粒子特有のものと言えるかというと、多分特有のものとは言えなくて、これは疫学的な手法でアプローチして、要するに独立した因子として関与しているかどうかということを明確にする以外はなくて、個々の臨床の場では全くわからないですね。これは非特異的な形で起こってきますので、刺激が何であれ起こってくるわけですから、現象論としては同じで出てきますので、これは、やはり個々の臨床のケースとしてはもう区別することは難しいだろうというふうに思います。

 そんなことです。

【横山委員】 追加発言させていただいてよろしいですか。
 今、工藤先生がおっしゃったように、私も疫学的に出てきている微小粒子による過剰死亡リスクの増加を否定するものではありません。動物実験の成績で説明できるかできないかということをきょう論じているだけであって、疫学的所見を私は尊重する立場ですから。

【内山座長】 では、島先生、どうぞ。

【島委員】 ちょっと、審議事項ではなく一つ確認させていただきたいんですけども、1ページの(1)呼吸器疾患の1行目に、「健康影響指標毎にその関連性の強さや一貫性等に差異はある」という記載がありますけども、この「一貫性に差異はある」というのは、どの部分を指しておられるんでしょうか。

【新田委員】 疫学の全体のまとめの中で、呼吸器系に関する影響のところ、短期・長期の死亡、それから入院・受診、肺機能、呼吸器症状と、大きくそういう四つの項目を見た場合に、一貫性として差異があるという表現は、例えば呼吸器症状の長期の影響に関しては、影響ありという報告、はっきりしないという報告等がある、と。一方で、短期の死亡のような場合には、ほぼ一貫して正の関係を示すような報告があるという意味で、一貫性がかなり明確だと。そういう点で、そこに差異があるというような表現を入れさせていただいているということでございます。

【島委員】 意図されていることはわかりましたけども、資料1-5の疫学に対する知見の評価のまとめの部分を見ますと、大体、一貫性はあるというような評価をしておりますし、私も疫学ワーキングの方でそういうコンセンサスが得られていたのではないかと思いますので、ちょっと、こちらの文章でいきなり「一貫性等に差異はある」という記載をされると、かなり受ける印象が異なっていると思います。

【新田委員】 その点、島先生ご指摘の点、恐らく疫学の資料1-5のそれぞれ個別の健康影響指標に関する記述での与える印象、それから、それをまとめた資料1-5の最後の部分のまとめの文章、それと今のご指摘の点、三つの段階で少しまとめとして与えるニュアンスに少し差異があるかもしれません。少し、そこ、表現の整合性をきちっととりたいというふうに思います。

【島委員】 わかりました。
 短期影響、長期影響、また健康影響としてもさまざまな指標を見ておりますので、それぞれについてやはり一貫性があるかどうかということを疫学的な評価としておりますから、異なる指標について一貫性が違うかどうかということとはまたちょっと別の次元の評価になると思いますので、そのあたり誤解のないように記載をしていただくようにお願いしたいと思います。
 それから、審議事項の方についてですけども、先ほどから多くの先生方から意見が出ていることについて、私もほぼ同感でございますが、やはり死亡について、特に急性の死亡リスクの増加について、そのメカニズムの説明というのは、ちょっと今の動物実験の知見からは十分説明できないのではないかということは、私も横山先生のおっしゃることと同感であります。
 それから、共存汚染物質の影響についてですけども、これは工藤先生、疫学でとおっしゃいましたけど、やはり疫学でも、これは評価することは難しい。共存汚染物質と粒子状物質の相関というのはかなり高い場合が多いですから、疫学的にこのあたりを評価するというのは難しいと思いますので、やはりこのあたりは動物実験なりの成績で説明していただくことができないものかどうかと思うんですけども、いかがでしょうか。

【内山座長】 動物実験の方はどうでしょうか。
 これは、先ほど横山先生がおっしゃったように、両方イリタントであるということは動物実験でも、これは言えるわけですよね。動物実験で粒子状物質を曝露あるいはDEPを曝露すれば、これは呼吸器系に対してイリタントであると。

【高野委員】 イリタントであるかといわれれば、イリタントであると。

【内山座長】 これはガス状と同じような……。

【高野委員】 個人的には、粒子状物質はイリタントであり、イリタントプラスアルファの部分もあるのではないかという意見もありますけれども、イリタントであることには間違いないと思います。

【内山座長】 現状の大気汚染がどちらの影響を受けているのかというと、現在と過去では違うかもしれないし、あるいは両方の……。

【高野委員】 もしも毒性実験である程度明らかにしようといたしますと、何らかの炎症あるいはアレルギーの実験モデルをつくって、粒子状物質、それからNO2ならNO2で、ともに別個に濃度を振ってどの程度の反応が起こるかということを比較するという手はもちろんありますけれども、そういったことを意図した論文というのは、恐らくないのではないかというふうには思います。小林委員とか、ご存じでしたら。余りそういった論文はないと思いますけども。

【内山座長】 香川先生、ありますか。

【香川委員】 疫学に関しては、新田先生にお伺いしたいのですが、たしかガス状物質の濃度に高低があって、粒子状物質が、大体同じ地域あるいはその逆での比較で粒子状物質が非常に効いているという疫学調査結果が幾つかアメリカでなされていたと思うのですが。ですから、全く共存汚染物質の影響が疫学で評価できないというのじゃなくて、そういうデータはちゃんと私はあると思います。
 それと、もう一つ、微小粒子が、非常に影響が強いというのは、これも疫学でPM2.5と PM10の比率で、高い比率のところではより強い関連が得られるという証拠がいろいろ出ておりますので、微小粒子状物質がかなり強い影響を及ぼしているというエビデンスは、私は疫学調査結果からかなり言えるんじゃないかと思います。
 それから、粒子状物質は、確かにイリタントですが、私の理解するところでは、ちょっとこれは小林先生にもお伺いしたいのですが、粒子状物質の健康影響の機構概念が今変わっているんじゃないですか。単なるイリタントじゃなくて、要するに酸化ストレスを粒子状物質は非常に強く、特に微小粒子になればなるほど酸化ストレスを起こすということですから、昔のような単なる粒子状物質を吸わせたときにイリタントであるというのとは違うと思うんですね。だから、私、NO2と非常によく似た粒子の影響が、先ほど横山先生がおっしゃったNO2に共通しているというそのもとは、粒子が最近はもうほとんど酸化ストレスで説明しようというぐらいなってきておりますので、そうなってくると、NO2と極めて似た影響が出ても別に驚くことはないと思います。
 それから、2ページのユタバレーの調査ですが、これはここに書かれてあることをちょっと補足させていただきますと、これ、実際に動物実験とかヒトへの曝露実験は10年前のフィルタを使っているわけですね。疫学調査で、閉鎖前と閉鎖後の濃度差で十分説明できなかったんですね。いわゆる疫学で使っている質量濃度の差では、ユタ渓谷の疫学調査の結果が十分説明できなかったのが、その成分をヒトあるいは動物に対して気管内投与をすると、非常に毒性が強い。しかも金属の重要性が指摘されています、そこが私、このユタ渓谷に関する報告の非常に重要なところではないかと思います。
 それから、PMの毒性で人が死ぬ、疫学調査で人が死ぬという結果がどうも問題になっているようですけども、これはアメリカの疫学調査でも、低所得者層を分析すると、影響が強く出るんですね。低所得者層は、これ、ちょっと最近こういう言葉を使うと差別用語だと問題になりますが、そこはちょっとお許し願いたいんですけども、低所得者層というのは、いわゆる栄養とか曝露の増加とか、それから、一番アメリカで問題になるのは、医療がまともに受けられないというようなことが背景で、低社会経済状態層の人を集団の中から選んで、そしてPMの影響を見ると、より強く出ている。そういうことから、死亡を起こす疫学のデータというのは、昔に比べれば格段にいろんな情報がふえていて、私はかなり受け入れる方向にあるのですが。
 以上です。循環器系は次ですよね。

【内山座長】 はい。
 工藤先生。

【工藤委員】 先ほどイリタントということで、今、香川先生、酸化ストレスの問題を出されたんですけども、種差等々、恐らく差がないだろうという、感受性に関してという、そこのところについては、一つ、誤解が出るといけないとは思うんですが、例えば気管支ぜんそくの患者さんとかCOPDの患者さんというのは、通常、気道の過敏性というのは、我々はいろんな化学物質を使ってその閾値で調べるわけですね。アセチルコリンであるとかヒスタミンであるとか、あるいはメタコリンを希釈したものを吸入していただいて、それで肺機能がどう変化するかということで見るわけです。どの物質を使っても大体これはみんな共通しているわけですが、大体、ぜんそくの患者さんということになりますと、10μgオーダーぐらいで出てきて、ところが健康人だと数千オーダーでも平気ということですけど、大体100倍ぐらいの差は当然あるわけですね。COPDの患者さんだと、大ざっぱに言って、大体10倍ぐらいある、と。ただ、メカニズム的に恐らく違うのは、共通している部分もあると思うんですけども、基本的には気道の炎症の病態が存在するかどうかという問題と、ぜんそくの方は、かなりもともと気道過敏性が強い素因の方ですので、そういったような素因の違いというものが、既存のそういう病気あるいは病態を持っておられる方がこのPM2.5にさらされたときに出てくるものの違いというのは、当然、やはり考えておかなきゃならないので、この辺はやはりきっちり抑えておいた方がいいのではないかなというふうにも思います。

【香川委員】 ヒトの集団の場合のCOPDは、ほとんど喫煙が非常に関与しているわけですね。喫煙が関与しているということは、COPD患者というのは当然循環器系への影響を背後に持っているわけです。COPDだけ純粋に持っている人というのは少ないと思うんです。やっぱりたばこが原因であれば、当然、COPD、プラス、動脈硬化とか、あるいは、現実に、これは、新田先生はご存じだと思いますけども、アメリカの疫学調査で、COPDの患者は、COPDを持っている人と持っていない人とを比較すると、COPDを持っている患者さんの心血管系の死亡率というのは五、六倍ですか、高く出るわけですね。ですから、現実の集団で起こしている原因は何かということを考えると、呼吸器だけ限定して考えると問題が多いのではないかと思います。COPDを起こすのは喫煙が大半で、喫煙は肺以外にいろんなものを起こしておりますから、そういったものを抱えた人がPMの影響をより強く受けるという背後はある。だから、呼吸器疾患だけ限定して考えると過小評価される可能性があると思います。

【工藤委員】 よろしいですか。これまでの疫学の分析のときに、喫煙者と非喫煙者をきちっと分けたデータだけというのは、かなり限定されちゃうわけですか。要するに交絡因子というか、何といいますか、呼吸器系に最も大きく影響するのは、やっぱり喫煙習慣ですよ。それは酸化ストレスも全くすごいものですから。だから、そういうもので、それを分けて、非喫煙者でどうかとかという疫学の部分だけ取り出すと、非常にすっきりはするんですけど。

【新田委員】 いろんなやり方、当然、解析の段階では両者を分けて検討をし、リスクの大きさが極端に違わなければ一緒にあわせて、調整因子としては含めて解析するというようなことが普通だというふうに思います。長期の影響で言えば、カリフォルニアのセブンスデー・アドベンチストは基本的には非喫煙の集団ですので、そういうところで、特殊というか、そういう集団で影響を見ているというのもありますし、結果としては、健康影響指標によっていろいろ結果は異なりますが、あるところは喫煙者の方が強く影響が出るものもありますし、そうでないというのもあって、一般的に大気汚染の影響とどちらが強くというのは、なかなか表現しにくいのではないかなというふうに私自身ちょっと思っております。  今まで、疫学の評価で喫煙と分けたときにどういう一般的に大気汚染の影響が見られるかという面では、評価は十分しておりませんので、ちょっと、はっきりしたことをここで申し上げるところまでまとめはできておりません。

【高野委員】 先ほどの香川先生のコメントに追加ですけれども、私もそういった考えでありまして、例えば今動脈硬化のお話がありましたけれども、それ以外にも、喫煙をされる方の血小板というのは恐らく活性化されている、それからまた、多血症等、血液の粘調度が高い傾向にあるだろうと。それから、一般論といたしましても、COPDの場合、右心負荷がかかっているわけですから、心房細動等の不整脈の準備状態にある、と。ただ、そういった方が亡くなったときに、本当にそれを不整脈、例えば心臓が原因で死亡したと診断書に書くのか、それともCOPDが原因で死亡したと書くのかと、そういった問題も出てくるのではないかというふうに考えています。

【香川委員】 そこが問題だから、私、前々回から申し上げているのは、疫学の調査で死亡票の死因ではあいまいだから、心血管系とそれから呼吸器疾患とあわせて、それで心肺系という枠組みで集計し直すとリラティブリスクが高くなる。要するに、先ほど工藤先生もちょっとおっしゃっていましたけども、死亡票ですと、原疾患をどっちにとるかということで、ある人は、例えば肺気腫で死亡した場合、肺気腫と書く人もいるし、循環器系の死亡で書くドクターもいるので、何かそこをあわせて統計し直すと、より強い影響が見られたというのが疫学で再解析のときにたしかなされていたと思います。

【内山座長】 今、ちょうど申し上げようとしているんですが、次の心血管系のところともメカニズム等を絡めますといろいろ分けて考えられないところも多いと思いますし、それから、先ほどの香川先生がおっしゃいました死亡の方になりますと、死因の関係も疫学上では問題になってきますので、次の心血管系の方の審議事項と少しあわせて、また追加でご審議願えればというふうに思います。
 呼吸器系は、今の方は呼吸器系だけに限って見ればメカニズムがご議論いただいたようなところがあるのですが、今度、循環器系として考えれば、そのほかに自律神経機能への影響ですとか、それから生理活性物質、あるいは血小板、血液凝固系の問題というのが絡まってきているのではないかというメカニズムが考えられてきているわけですが、そのあたりについて、心肺両方あわせても結構ですので、少しご議論をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

【香川委員】 循環器系に関しましては、これはドッケリーとポープさんがおととしでしたっけ、総説を書かれていて、その中に紹介をされているのですが、循環器系疾患でケースレポートが出されているんですね。そのケースレポートは2001年にギオという人が報告しているのですが、糖尿病の既往歴の42歳の非喫煙者の症例報告が出されておりまして、石油ストーブの清掃をしたんですね。そうすると、その後間もなく、息切れ、たん、を伴って、せき、喘鳴から呼吸不全に陥って、そして回復した後、狭心症様の症状が出てきたということで、このケースレポートを疫学の集団結果で得られていることの説明の一つの証拠になるのではないかということで、循環器系に関してはこの例を挙げて、それから呼吸器系に関してはユタ渓谷のものを挙げて説明しておりました。
 それから、ヒトへの曝露実験では、この間も私申し上げたように、最近の報告では、ディーゼルの排気ガスを吸わせてSTが顕著に下がる、もう一つはエンドテリウムディペンデントとインディペンデントのアセチルコリン、それからブラジキニン、それからソディウムニトロプルシッド、それからベラパミル、いずれもこれは血管拡張薬なんですけども、それを注射しますと、ディーゼルの排気曝露で血流量が下がる。つまり血管収縮を起こす。かつ、血小板の内因性の線維素溶解にも影響を及ぼすということが実験的にもきれいに示されておりまして、これは一つだけの研究じゃなくて、たしか三つか四つほど事例が報告されておりますので、ここの審議事項のところは、最近の知見を入れればかなり変わるんじゃないかと思いますけれども。

【内山座長】 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか。
 祖父江先生、どうぞ。

【祖父江委員】 循環器に限った話じゃないんですけども、あるメカニズムで、あるリスク要因の関与が説明可能かというようなことを考える際に、その要因が持っているリラティブリスクの大きさが10なのか100なのか、1.5なのか2以下なのかということで、かなり様相は違ってくると思うんです。2以下ということは、結果として心血管系の死亡が生じた人の中で、半分以下の人にしかリスク要因が関与をしていないと。半分以上の人は、リスク要因は関与せずにイベントが起こったということなので、いろんなメカニズムがある中で、リラティブリスクが低い場合の関与の仕方というのは相当緩やかであると。それに対して、リラティブリスクが非常に大きい場合は、10とか100とかいう場合は、ほとんどの場合においてメカニズムが関与することになる。ですから、10とか100とかいうのは、ウイルス性肝炎が肝がんの発がんに関与しているというような場合は、リラティブリスクとしてはもう50とか100とかというふうになりますけども、その前はメカニズムとして一つのものが非常に明らかに関与するというふうになりますけども、今観察しているリラティブリスクの大きさというのは1.2とか、そういうようなものなので、緩やかなメカニズムとして説明可能なものが一つ、二つあれば、それで今のリラティブリスクというのは説明可能であるというような感じで受けとめた方が、総体としてはいいのではないかというふうに思いました。
 それからもう一つ、ほかの要因の関与の仕方ということで区別しておかなくちゃいけないのが、疫学の用語で言うと交絡と効果修飾というのが、これは違うものです。交絡というのは、その要因が存在するがために、見かけ上関連があるように見えたりないように見えたりするという現象ですけども、効果修飾というのは感受性とよく似ていますけれども、たばこを吸う人でのPMの効果がたばこを吸わない人でのPMの効果とは違います、と。この二つはちょっと違う現象なので、いろいろメカニズムを考える際にも、この二つは区別して考えた方がいいというふうに思いました。
 以上です。

【内山座長】 高野先生。

【高野委員】 3ページの3)の血小板、血液凝固系の活性化云々のところなんですけれども、実は自分といたしましては、ここも呼吸器と循環器の接点になってくるところであろうと考えておりまして、例えば呼吸器の炎症が起こりますと血小板が最初は増加してまいります。もちろん、CRP等炎症反応が出てきますので、フィブリノゲンも上がってくる。凝固系の活性化に傾きやすい状況にあるということで、こういったところからも、呼吸器と循環器系の影響の接点が出てくるのではないかというふうに考えておりますので、追加的にご説明させていただきました。

【小林委員】 はっきりしたところはわからないということなのですが、このメカニズムの中に、PM2.5の成分といいますか、いわゆる可溶部分と不溶部分があって、その可溶部分というのは血中に入りやすく、かつ血管系とか心臓とか、そういったところに影響を与え得るものだろうと思うんですが、そういったものに対して、肺というのは常にそういった異物が来るようなところであるので若干強い面もある、と。一方、中の方のやつは、結構、そういった異物とか、いろんな酸化的なものに対して弱い可能性を持っていて、そうなりますと、このメカニズムの中にいわゆる直接的に行くという表現はどこかにあるのかもしれませんけれども、この段落の二つ目のところに「以下のとおりである」という中に、やはりそういった直接的なところ、上の方に若干書いてあるかもしれませんが、そういった記述を入れておいた方がいいかなという印象です。

【内山座長】 香川先生。

【香川委員】 私、祖父江委員のご指摘は、疫学の教科書に書かれているとおりだと思うのですが、補足説明をちょっとしておきたいと思います。
 確かにPMの影響はそんなに強くはないですね。1.2とか1.3とか1.5で、ほかの要因がかなりありますけども、しかし、この間の疫学の報告でも、例えば閉経後の婦人を対象にしたとか、それから低所得層とか、そういう集団を特定していくと、PMの影響が強く出るということは、PMが疫学的にも因果的にかなり関与しているという一つの裏づけにもなっているわけで、確かに影響は弱いですけれども、しかし、弱いからといって祖父江委員の発言をそのまま受け取ると、弱いからというのはちょっと誤解を与えるんじゃないかと思うので、現実にいろいろ集団を特定していくと因果的なことを裏づけるものがふえてきているわけですから、ちょっと補足をしていただきたい。

【祖父江委員】 ですから、言いたいのはリラティブリスクの差が小さいということは、必要条件でもなければ十分条件でもないんですよ。要は、ほかの要因でも起こり得るイベントに対して、ある要因がどれだけ関与しているかの大きさなわけですから、それがあんまり大きくないということは、メカニズムとして考える場合も、ほかのことでも起こり得る中で、その要因が幾つかのコンポーネントのリスクを上げていますというぐらいのことであって、全部を説明できるようなものではありませんということを言いたいわけです。そのことが別にPM2.5が重要でないとか、あるいは因果関係を持っていないとかいうようなことでは全く関係のない、量的なことを考えた方が、メカニズムを考えるときにどの程度これで説明ができるかということも、そのウエートをどの程度置けばいいかという材料になりますという言い方をしているわけです。

【香川委員】 今のようにちょっと詳しく説明していただくと。いや、我々は簡単に説明されてもわかると思うんですけども、一般の方は、先生の説明でぽんと終わっちゃうと。

【祖父江委員】 あと、もう一つ考えなくちゃいけないのが、リスク比の話と、あとはリスクがどれだけ多く存在しているかのクリバレンスの話ですよね。PMの場合は、やっぱり存在頻度という意味でいくと、かなり、ある地域においてはもう普遍的にあるというようなものなので、関連の大きさといいますか、それが小さいからといって社会的な影響が少ないということも、またこれは直結しない。むしろ普遍的にあるリスクの場合はもっと大きくなるというところなので、そこはちょっと、そういう意味合いで、何もこれ、重要性が低いとかそういうことを言っているわけではありません。

【内山座長】 よくわかりました。余りがちがちメカニズムをやっても、それで説明できるものではないよということですね。

【祖父江委員】 それで全部説明してしまうということではなくして、むしろ説明できないから因果関係がないんだとかというようなことにならない方がいいというふうに思いますけど。

【内山座長】 わかりました。
 佐藤先生。

【佐藤委員】 今のお話を聞いていて思うのは、例えば疾患と原因というのは必ずしも1対1の対応ではないわけですし、我々が一つの疾患ないしは疾患群としてとらえているものだって、本当にホモジニアスなものかどうかというのはわからないわけですよね。そのレベルがかなりいろんな疾患ごとに違っている、もちろん頻度も違っているから今みたいな話が起こるんだろうというふうに思うんですけど。だから、その辺、確かに香川先生がおっしゃるように上手に説明しないとまずいなという気はしますけど、そういうレベルで考えるべきだろうと思います。

【内山座長】 ありがとうございます。記述するときには、そこら辺も十分気をつけてまとめていきたいというふうに思いますが。
 そのほかに、メカニズムというか整合性という意味でのご議論はいかがでしょうか。
 横山先生、どうぞ。

【横山委員】 視点を変えてちょっと発言いたしますが、要するに循環器影響のメカニズムでいくと三つ書かれておりますが、これは実はもうハーバードのグループを初めとしてノースカロライナそれからカリフォルニア等、もちろん全部これはアメリカのデータですけれども、いわゆる普通の大気環境下で若干エピソード的にPM2.5が上がったときに、ハートレートバリアビリティーの変化が起きるということは観察しているわけです。それから、同時にまたそういうときに血中フィブリノゲン濃度の増加が起きるということも、これはヒトで観察しているわけで。ですから、種差であるとか、あるいは高濃度から低濃度と行くと、考慮することなく、このPM2.5が少なくとも自律神経の失調に、それから血中フィブリノゲンの濃度に同化するということは、もう、ヒトで、しかも一般環境下において観察しているわけですから、僕は、ここで掲げられているメカニズムのうち2番目は、これはなかなか難しいので、自分自身としては、少々これは取り入れがたいのですが、要するに審議事項の1、毒性学知見云々じゃなくて、もうヒトのデータがあるのですから、僕は循環器影響の基本はやっぱり自律神経失調、恐らく頻脈性の不整脈と何らかのフィブリノゲンの濃度の上昇に象徴される、凝固性の同化による血管閉塞、恐らく心筋梗塞的なものでもって説明できるだろうというふうに思っていますけれども。また、それがずっといくと死亡になるのかと言われると、ここもまた、なかなか、僕個人は説明がつかない。先ほど祖父江先生がおっしゃったことは非常にクリアカットでわかったんですけれども、少なくとも僕は疫学的な知見はそのまま認めて、それを今ある動物実験のデータ、あるいはヒトボランティアのデータで説明できるものがあるかないかという立場から論じているということなので、その点はここに書いていただきたいと思いますけど。
 以上ですけれども。

【内山座長】 その点に関しては、高野先生、新田先生もよろしいですよね。

【新田委員】 私も、呼吸器疾患であっても循環器のいろんな病態の変化が関係するというご議論がありましたけども、循環器に関しては、呼吸器以上にメカニズムに関してかなり説明可能な項目、先ほど横山先生のお話にあるように、循環器に関してはヒトで直接パネルスタディーというような小集団の研究で変化を、循環器に関係するようないろんな機能等の変化を見ているという知見があるということもあわせれば、呼吸器よりは整合性、生物学的妥当性という面では、十分な評価ができるのかなと思っています。

【内山座長】 はい。
 それでは、次は。

【横山委員】 簡単に。
 大気汚染をいろいろとやっている人間は、往々にして肺のことだけに目が行っちゃうんじゃないかなと。自分自身の自戒を込めて。ただ、いわゆる肺外影響というものがあるということをやっぱり忘れちゃいけない、のじゃないか。これは肺に影響をきたすけども、同時に肺以外にもいろいろな影響をきたすものとして、これはもう、座長の内山先生も発表されていらっしゃるオゾンの曝露によってきれいに気道抵抗が増加すると同時に除脈から低血圧、さらに、あの時一緒にやった有藤氏のデータによれば脳波にまで変化が来るという影響に見られるように、肺外影響というものは結構あるじゃないかと。そういう意味で、循環器疾患というものは、当初はそんなこと起こるはずないんじゃないかというような感じがあったんですけれども、やっぱりよくよく勉強をしてみると、結構起こり得るんだということを痛感します。

【内山座長】 わかりました。
 それでは、時間もありますので、次に肺がんについて、少しご議論いただければと思います。肺がんは、4ページ目のところに審議事項として書かれていますので、これを中心に、その他こんなところもということで。また、これは後で閾値のところにも出てきますけれども、一緒でも結構ですが、肺がんについて少しご議論ください。
 ここは、DEPは、よく小林先生が実験、それから工藤先生のところも実験をやられておりますが、疫学調査で出てきた肺がんはこのようなことで説明、これだけではないと思うんですが、説明がつくということでよろしいんでしょうか。

【小林委員】 我々は余りがんの方はやっておらないので、工藤先生がよろしいのではないかと思いますが。

【工藤委員】 PM2.5は別として、DEPについては日本でも結核研究所のディーゼル曝露実験が随分前からデータを出されておられますけども、これは余り断定的に言いたくないというかまだ言えないというかあれですけど、世界的に腺がんが増えているのですよね。ご承知のように、喫煙との関係というのは扁平上皮がんと小細胞がんということになっているわけですけども、圧倒的に今非常に増えてきたのが腺がんですね。非喫煙者、女性の腺がんが非常に多いわけです。結核研究所のあのデータを見ると、全部腺がんですよね。何かメカニズムはよくわかりません。だから、あんまりうがった見方をするとよくないんでしょうけど、やっぱり何か潜んでいるんじゃないかなというようには思います。全体としては、肺がん死亡リスク増加に関する問題に関しては、これはDEPの持っている性質からいって、これは十分あり得ることであると思いますが。

【内山座長】 はい。後で資料としても出てきたと思いますが、DEPに関しては13年に環境省がまとめた報告書で、あのときはIRCの分類で言えばグループ1に限りなく近い2だということで、発がん性はあるだろうという一応報告書が出ていますし、そのときに強い変異原性のある物質も含まれているということがありました。そのほかに、PM2.5ですとか、都市の大気中の微小粒子では文献レビューでも色々書かれていましたけれども、それ自体でははっきりした発がん性を示す実験はないということだったでしょうか。

【工藤委員】 今の私の発言について、祖父江先生どうでしょう。

【祖父江委員】 発がんということに関して、粒子状物質そのものが、変異原性があるか発がん性があるか、ということももちろん大切ですけども、発がん性以外にも慢性炎症を起こすとか、そういったことでの発がんリスクを増やすというメカニズムは、肺がんのみならず、他の臓器でもありますので、そういうメカニズムがもちろん想定されるんじゃないかと思います。それでいいですか。

【内山座長】 では、DEPと区別をすることもないかもしれませんが、その他の色々な酸化作用とか、そういうものも関係してくるんだろうということですね。
 そうしましたら、また後で、閾値のところでも出てくると思いますので、肺がんの方はこのぐらいにして、有害性の同定については、今ご議論いただいたことをもとに、ここで記述をするということになっていますので、今日は、このところは審議事項に入っておりません。
 あと、3番の影響要因毎の考察ということで、(1)が粒径、いわゆる微小成分と粗大成分の違い、影響要因の一つとして粒径の違いということが議論されています。審議事項としては、微小粒子の影響と比較して粗大粒子の影響は明らかにすることができるか、または粗大粒子の影響を否定できるかということで、ここは疫学の結論ではPM2.5それから PM10も否定できないということでしたよね。

【新田委員】 そのとおりです。

【内山座長】 そうですね。全くPM2.5だけを規制すればいいんじゃなくて、やっぱり PM10もSPMも同時に考えていかなければいけないということですが、これはそれでよろしいですね。

【小林委員】 よろしいですか。少し審議事項と離れるかもしれませんが、ここの粒径というところで若干誤解が生ずるかな、という表現になっているような気がします。最初の方は、疫学のところのPM2.5、 PM10、これは粒径ということですが、成分の違いもここには入っているのではないかと思うのですが。それから、下の方は、「毒性学の知見から」というのは、いろいろな言葉が省かれてしまっているのでこうなったのだろうと思いますが、「小さい粒子の毒性が強いことを示す知見」というのは、これは不溶性のもので、どちらかというと同一の成分を持ったものでこういう知見があるということで、上と下が同一のものを指しているような印象を受けてしまうような表現になっているのかなと。ですから、もし粒径を成分も含めて論じて、例えばPM2.5と PM10、これを比較するというのであれば、この成分の方の知見といいますか、まとめみたいなところを入れたような形じゃないと、それが分けて書きたいということであれば、この「小さい粒子の毒性が強いことを示す知見」の前提として、同一の物質で組成を持ったもので不溶性のもの、そういった何か前提を書き加えて表現するというような。

【内山座長】 ここは、先ほどの議論で横山先生からもご議論あったように、毒性と一言で言ってもいろんなものですので、これはまた影響を限定してこういうものだということを言わなければいけないでしょうし、それから、今おっしゃった粒径が違えば当然成分も違ってくるということで、粒径の大きさによるものなのか、成分の違いによるものなのかということもかかわってくるので、これは二つに分けて書いてありますが、これはまたまとめ方で、要因ごとといっても、粒径と成分ということでまとめてしまった方がわかりやすいかもしれませんが、ここは少し工夫させてください。
 成分の方に同時に入りますと、審議事項では、「疫学調査と毒性学の知見から、特定の成分が健康影響と関連することは明確にできず、様々な成分を含みうる微小粒子状物質を包括的な指標としてとらえることが適当か」ということが書いてありますが、これはやはり、今小林先生がおっしゃったように、粒径と成分の問題という、同時にかかわってくる問題もあるということですので、ここら辺を少し一緒に議論していただきたいと思いますが、何かございますでしょうか。
 川本先生から、よろしいでしょうか。

【川本委員】 疫学では硫酸塩との関係が報告されておりますけれども、動物実験ではかなり高濃度の硫酸塩、硝酸塩を曝露した場合も影響が出ないという報告があります。また、2003年にSchlesinger、Casseeは、硫酸塩、硝酸塩粒子に関したレビューを行い、環境レベルの濃度では生物学的な影響はほとんどないと結論付けています。一部の疫学調査でそういう関連が認められることは事実であるとしましても、一般論としましては、特定の成分、特に硫酸塩と健康影響の関連というのは明確ではなく、やはり「様々な成分を含みうる微小粒子状物質を包括的な指標としてとらえるのが適当」と考えます。

【内山座長】 これは、新田先生、硫酸塩、硝酸塩の健康影響というのは、成分としてのところに疫学調査としてここに書かれていますが、疫学調査としては、これは明らかであるということでよろしいでしょうか。

【新田委員】 明らかというよりは、そういう報告は確かに先ほど香川先生からお話しになったAmdurの実験から始まって、疫学でもどうかというようなハーバード大学のグループの一連の研究が、一番大きな硫酸塩、それから酸性粒子の健康影響に関して研究報告だと思うんですが、必ずしもほかの地域での研究と一貫性があるというところまではいかないんじゃないかなという判断を疫学の方ではしております。ただ、一番、従来から成分として最も疑われていた物質であることは確かです。

【内山座長】 すみません、横山先生。

【横山委員】 小林先生にちょっと質問があるんですけど、要するに粗大粒子と微小粒子に分けた場合、粒径の違いと同時に成分も違うだろうと。それはそのとおりだと思うんですけども、じゃあ、実際のところ、疫学的にあるいは実験的に、PM2.5とPM2.5-10と質的な違いを出したレポートというのは、ちょっと不勉強で知らないんですけど、あるのでしょうか。程度の違いというのはあると思うんですけど、質的に、粗大粒子と微小粒子の影響が質的に違うというものは、報告はあるのでしょうか。

【小林委員】 横山先生の言われる大きい粒子と小さい粒子のそれは、現実大気の中においてのという意味合いでしょうか。それとも、いわゆる大きい粒子の中にこういったものが含まれていて、それは例えば天然由来の岩石とかいろいろ、粉塵とか、そういったものと、小さいものに含まれる人為起源の粒子、その成分によって影響が異なる、そういう二つあると思うんですが、各成分に関して影響が違うという報告は多分あると思うんですが、実際の大気環境中での PM10だけを曝露したものとPM2.5だけを曝露したもので比較しているというのは、私はあんまりよく知らないですね。PM2.5だけをやっているものとか、そういったものならありますが。あと、先ほど申し上げたような、成分ごとで含まれている成分が違って影響が違うという報告はあると思いますが。

【横山委員】 実際に、影響を観察した報告はあるんですか。あれば勉強したいんです。僕が言いたいのは、ここでもって粒径と成分と云々していますけれども、実際問題として、PM2.5-10とPM2.5、すなわち粗大粒子と微小粒子の違いというものがそんなにあるのか、という疑問を持っているのです。
 実際問題、いわゆる沈着率のカーブを見ましても、そんなに二つがクリアカットに分けられるものじゃないので、僕はそんなに分けられるのかなという、あくまでも感じから質問しているだけのことですから。いや、そういう、実際にレポートはないというのであれば、僕はそれで結構です。

【小林委員】 いや、ほかの毒性やっている人にお聞きしたいんですけど、そういった、多分、PM102.5、PM2.5、これを分けて曝露すること自体も結構難しいですし、それをやっているというのは、なかなか……。

【横山委員】 いや、そんなことは言っていません。疫学的に、もちろん難しいとは思います。恐らく不可能でしょう。ただ、そういうことを具体的なデータのもとに論じたレポートがあるかどうかということなんですけど。

【小林委員】 私が思ったのは、成分としては違いがあるという報告はあると思います。例えば小さい方にある硫酸アンモニウムとか、いろいろなものを単独で曝露して、それで影響が非常に少ないとか、そういった意味で言えば……。

【横山委員】 そうじゃないんです。

【小林委員】 そうではないんですね。

【横山委員】 違った影響を及ぼしているかということです。

【内山座長】 香川先生、どうぞ。

【香川委員】 新田先生がご指摘になりましたように、疫学調査では、PM2.5に比べてPM10-2.5が有意な地域でたしか違いが報告されていたと思います。それから、人体曝露実験でも、例のキャップスタディーでPM10-2.5の粒子を集めて曝露すると、心拍変動への影響は少し強く出るんじゃないかとか、そういうのもありますし、それから、これは当然ながら田園地帯のPM10-2.5はほとんど影響がない。都市になると、道路粉塵の舞い上げに自動車排気の有害物質がくっついたものが出てくるから、そういう粒子にアジュバント効果が強く出るとか。これは毒性の動物実験でも示されていると思いますけども、数は少ないですけども、あると思いますけども。

【内山座長】 よろしいでしょうか。
 坂本先生。

【坂本委員】 さっきの成分別の話に戻るんですけども、アシディティーについて、結局、サンプリングをするときに実はほとんど中和されちゃっているわけですね。いわば疫学的にやった方は粒子が個々にあるものを我々は曝露されていて、そして、その時の様々な成分がどうだったかという形を見たのは、ほとんど硫酸アンモニウムになっている。かつ、これは湿度が高いか低いかで中和される速度も全然違うし、そういう意味では、先ほどの硫酸アンモニウムを曝露した場合には影響がなかった。一方、環境中でそういうものがあった場合には、影響があったとしても別に不思議はないと思います。だから、それについては硫酸アンモニウムと、それからアシディックパーティクルとして曝露した両方の実験がないといけないのかなというふうに思います。

【内山座長】 時間が6時を少し過ぎてしまったんですが、次回のドラフトをつくるためにはもう少し議論をしていきたいと思いますので、お時間がある先生は、ぜひしばらく続けたいと思うんですが、よろしいでしょうか。お時間あるという、決められた先生は、ご遠慮なくおっしゃっていただければと思います。
 では、もう少し続けさせていただきますが、よろしいでしょうか。
 そうしましたら、次は共存汚染物質の影響ということで、これも審議事項としましては二つあります。これは先ほどからも粒子とガス状の違いということ、あるいは相似性ということ、あるいは総合的にということは、ある程度議論の中には出てきておりますが、特にここでまたご議論いただくことはございますでしょうか。

【香川委員】 共存汚染物質の影響のところで、最初のところに書かれている「粒子状物質とガス状汚染物質、それぞれの健康影響を疫学研究において区別して評価することには大きな困難がある」。確かに難しいとは思うのですが、アメリカでは、これをいろんな統計モデルを使って、そして粒子状がかなり影響しているということを出して、しかもPM2.5はかなり影響を及ぼしているということ、統計解析でかなり行われて、それでEPAは環境基準を設定していたと思うんですけども、大きな困難があることは、それは間違いないと思うんですけども、最近のいろんな統計モデルでかなりクリアされてきている。どうなんでしょうか。

【新田委員】 今、香川先生がおっしゃられたこと、私も承知をしております。それに関しては、いろんな意見があり得ると思います。私、個人的には、統計モデルでいろいろトライをされて、その結果、微小粒子の方がほかのガス状汚染物質に比べてどちらかといえばより強い影響を持っている可能性があるというような報告、方向の結論を出すものが多いというふうに思いますけれども、そういうふうに認識していますが、統計モデルでやはり共存汚染物質の影響の問題を解明できるというふうに私自身はちょっと考えていないところです。もう少し、やはり毒性学とか、ほかの知見と総合的な評価でどの程度判断できるかということであって、先ほどもちょっと同様な議論がありましたけども、疫学のデータでいろいろなモデルで仮定すると、こういう結論になり得ると。いろんなトライアルという意味では重要な点があると思いますけど、その大きな困難があるということを克服できるようなアイデアというようなものは今のところないんじゃないかなと、私自身は考えています。

【香川委員】 さっき、私の言い方が悪かったのかもしれませんが、疫学データも地域をいろいろ選んでやっていますよね。粒子状物質が多くてガス状成分が少ない地域、それからナチュラルエクスペリメントで粒子状物質が、昔のフェリスなんかがやっていたころの粒子状物質が下がって、ガス状物質はあんまり下がらない、粒子状物質が下がることによって影響が軽減されたとか。何かそういうデータを参考にしながら、統計解析の中にそういったデータを盛り込んで、そして評価していると思うんですよ。私、統計モデルだけで評価できるとは言っていなくて、その背景にはいろんなガス状物質が相対的に少なくて粒子状物質が多い地域とか、そういったのをいろいろ参考にしてモデルをつくっているんじゃないかと理解しているんですけど。

【新田委員】 その点は、多分、大気汚染の健康影響評価をしようと思って、疫学者は研究計画を立てるときには、当然、そういうことを意識して対象地域を選ぼうとすると思います。ただ、そういう結果で差があるというような結論を出している疫学の報告もあるというふうに思いますけど、私自身は、その結果を一般化できるほどのところまで至っていないと。粒子の変動の方が大きい場合に、影響に何か差があって、そうでない場合にはなかったというような結果が、必ずしもいつも一貫して疫学研究で示されているというふうには、残念ながら、ちょっと評価できておりません。

【内山座長】 これまでの疫学調査の何回かの議論で、粒子状物質を指標とすれば、関連の強さあるいは方向性に一貫性はあるけれども、共存汚染物質との動向ということはまだはっきりしたものではないという、そうですね、はっきりしたものではないというか、相互影響、あるいは相加あるいは相乗なのかもしれませんが、そういうところまでを推測するものではないというような結論でずっと来ていたと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

【新田委員】 はい。私自身も、だから微小粒子の影響がガス状物質に比べて小さいとか、弱い関連性しか認められていなかったというようなことで申し上げているわけではございませんので。

【内山座長】 それでは、その次に、先ほどのがんのところと関連していると思うんですが、閾値の有無の判定ということで、審議事項、6ページの一番下のところに書いてございます。これは先ほどからの議論もありますし、それから先ほどのまとめのところで少しまた修正というところもありますが、二つ議論を審議事項ということで書いてありますが、これについて何かご意見ございますでしょうか。  これは安達先生がまとめていただいたところですが、何かご意見ありますか。

【安達委員】 DEPのときにはこういう結論になったわけですけど、閾値のない発がん物質と考えるべきであると。これはDEPという非常に特徴的な発生源のある、特定されたものを扱ったわけですけども、今回の微小粒子の場合には、蛇足になっているかもしれませんけれども、都市大気微小粒子のいろんな地域や何かで違うということは書かなきゃいけないのは、これはやはりDEPと都市大気微小粒子の性質の違いで、あの当時の平成13年度のときには、ニトロPAHとか、あるいは8-OHdGについても知見はありましたけども、そういったことから妥当性がある、と。もちろん疫学的に知見があったわけですが、そういったことから閾値のない発がん物質と考えるべきであると。それは国際的に認識のあるところだったと思います。
 今回の都市大気微小粒子については、DEPがある程度の寄与をしているということはもう当然ですけども、今までのその後の動物実験の知見によると、例えば結研の岩井先生のところの短期間の曝露によって肺障害が生じる、扁平上皮がんはちょっとなかなかラットではできにくいとは思いますけども、そういう発がんのメカニズムの点でも、8-OHdGの寄与が、岩井先生のところ以外でも、いろんな遺伝子改変動物でありますとかあるいは国立環境研でありますとか、いろんなところから出てまいりまして、それで肺がんの要因は呼吸器疾患あるいは循環器系疾患と違って、慢性影響ですので、その影響を単一のものとして考えにくいと。加算的であるか、相乗か相加かわかりませんけども、そういうような作用もあり得るし、また炎症、長期間の影響として8-OHdGの関与などが多くなっていることを考えると、またDEPとは違う評価があってもいいのかなというふうに私は考えておりますが、その辺の総合的な判定というのは、逆に今度は閾値をどうやって求めるかということが動物実験の方からできるかというと、それはなかなかまた難しいところもありまして、知見が少ないというところもありますけども、考え方としては、ニトロPAHも含まれている。だから、そういう遺伝子傷害性があるからという論理の発展でいけば、閾値のないということも矛盾はないのかもしれませんけども、大気微小粒子といういろんな不確定な要素があって、地域の違いとか、慢性影響の関与の仕方を考えると、「閾値のない」という断定をするには根拠が不足しているのかというように考えております。

【内山座長】 香川先生、どうぞ。

【香川委員】 当然なことだと思いますけども、この閾値の有無の判定って、だって影響はいろいろあるわけですね。死亡だけじゃないですよね。死亡以外に入院とか肺機能の変化とか。これ、どうでしょうか。これ、調べられていることすべてに閾値がない……。

【安達委員】 私は今のがんのことを申し上げたので。

【香川委員】 そうすると、ここの閾値の有無の判定というのは、もうちょっとそういうところを含めて議論しないと。

【内山座長】 これは多分、この閾値の有無の判定というのは、がんのことを言っているんですよね、そうですよね。他のいわゆる非発がん性以外のものに関しては、特に閾値の有無をここで判定しろ、とかということを言っているのではなくて、多分、これの要因ごとの判定としてできていることの意識しているところは、DEPが発がん物質である疑いがあるといったときには、閾値があるなしということを判断して、それじゃ、なしとするのだったらばユニットリスクのようなものを求めていこうという評価をしたわけですが、今回のPM2.5あるいは浮遊粒子状物質の場合は、この肺がんをターゲットにすればまた別でしょうけれども。

【香川委員】 一番、閾値があるかないということで問題になっているのは、疫学の死亡で……。

【内山座長】 死亡でも、閾値があるなしというのは、今、多分これは、この有害大気汚染物質のことや何かを考えてリスク評価をする際には必ずそれをやっているので、ここで出てきていると思うんですが。
 工藤先生。

【工藤委員】 要するにDNAの傷害性があるかどうかという、そういうことだろうと思うんですけど、DEPということでやれば、DEPだって、その中に猛烈にたくさんの物質が入っているわけで、単一じゃないんですけども、ましてやこの微小粒子状物質となると、これは現在、さっきおっしゃったようにDEPがかなりの部分を占めていたといっても、時とともに変わっていくわけですよね、組成が。ですから、そういう意味では、こういう、やっぱり単一物質を考えるようなアプローチというのは、やっぱり無理があるんじゃないかというように思いますね。
 それと、もう一つは、やっぱりSPMとかあるいは PM10、その中にやっぱりPM2.5というのはがっちり入っているわけなので、こちらの方でやっている考え方というものと、こっちのPM2.5だけが特別にまた別の尺度を持ってくるというのが果たしていいかという、そういう問題もあるんじゃないかなというようには思いますけど。

【内山座長】 横山先生、どうぞ。

【横山委員】 ですから、ここで出されている問題は、要するに遺伝毒性的な発がん性物質であるディーゼル微粒子を含んでいるPM2.5全体として閾値はあるのかないのか、という設問です。これはPM2.5を使った発がん実験というのはもちろんありません。DEPはあります。でも、これはPM2.5として、それを長期曝露したデータはない。だから、結局、これは遺伝毒性的と言っているわけですから、どんなに低い濃度だって発がん性はあるということになります、理論的にはですね。ですから、閾値がないかもしれない。でも、それをただ含んでいる全体の閾値というのは、これは新しい問題です。今までこういう問題を論じたことは余りないんです。有害大気汚染物質の場合には、特に化学物質のことを論議しているわけですから。ですから、これはあるともないともわからないというのが、今のところのあれじゃないかと思うんです。極めて非科学的な発言かもしれないけど。

【内山座長】 森田先生、どうぞ。

【森田委員】 閾値の有無というのは、実はサイエンスを超越しているんです、これは。それで、どんな実験的研究においても、閾値を証明したケースというのはゼロです。ただし、発がん物質みたいなものを取り扱うに当たって、我々はこういうふうに考えましょうというのがこの閾値の考え方ですので、したがって、今の問題というのは、PM2.5のように、ディーゼル排ガス粒子を含めて発がん性のものを含んでいるということを全体として考えたときに、それはそのグループとして閾値がないと考えて安全を担保するという、そういう政策が正しいかどうかと問題になってくるということだろうと思うんです。今、いまだに閾値があるかないかという、ちょっとこの種の亡霊のような議論もしているんですが、実はそんなに意味があるわけじゃなくて、だれも閾値を証明しないし、例えば放射線の閾値にしたって、あれも当然閾値があってもおかしくないんだけれど、閾値がないものとして扱うというのは、ある種の生活の知恵というか、社会の知恵としてやっているということを少し考えておく必要があると思うんです。

【香川委員】 ちょっとくどいようですけど、(4)の丸の2番目、「粒子状物質濃度と日死亡との短期影響」って、これ、やっぱりがんの死亡のことを言っているんですか。

【松田補佐】 すみません、事務局から補足をしますと、この記述については、内山座長とワーキング長と相談をしながら作った記述ですけども、この二つ目の記述は、単純に聞くと、疫学ワーキングの方の評価に関する記述をそのまま引っ張ってきたような形になっておりますので、少し、ちょっと誤解を与えてしまっているという点については、そこは申しわけなく思います。

【香川委員】 これ、肺がんの粒子状物質濃度と肺がんによる日死亡との短期影響を検討したという、そう解釈するんですか。

【新田委員】 そういうことではないです。ここは香川先生ご指摘のとおり、今、PM2.5で閾値の有無に関して最も議論されているのは、そこの丸の二つ目の短期の死亡、別に肺がんに限定しない死亡において閾値が存在しない可能性があるんじゃないかという議論があるというのは、PM2.5における国際的な議論です。少なくとも、PM2.5の発がん性に関しての閾値の有無に関しても、国際的な議論はほとんどないというふうに私は思っております。ただ、もし発がん性の可能性があるということであれば、森田先生ご指摘のとおり、従来からそういう閾値の議論が必要だったということで、ここで含まれているのかなと思います。ですから、その、ちょっと国際的な議論になっている部分と発がん性の部分、分けて議論する必要があるのかなと感じました。

【香川委員】 ですから、これ、閾値の有無の判定をやるんだったら、影響、がんと非がんと分けて議論しないと、一緒に議論しちゃうといけないんじゃないですか。

【内山座長】 ここはWHOの評価書を見てもEPAの評価書を見ても、非常にあいまいにしか議論していないんですね、私も一回見直してみたんですけれども。結局、非発がん性に関しても、ここで閾値があるようにも見えないし、しかし、とはいってここで影響がなくなっているようにも見えるというところあたりを、WHO、EPAは、一応、ガイドラインなり基準にしているということで、そこら辺の従来の発がんの閾値があるなしとはちょっと違った感覚で議論していますので、少しここはまとめて、じゃあ、次回までにもう少しまとめてみます。またそこでご議論していただければというように思います。
 ここは森田先生おっしゃったように、閾値があるなしは、もうEPAの人も、これは不毛の議論であると、こんなことをやっていてもしょうがない、それはスタンスの問題だというように前から言っていて、議論に乗ってくれないですよね。アメリカは、もう発がん物質はすべて完全発がん物質として、閾値がないとしてユニットリスクを計算しているんだと。ところが、WHOや日本は、遺伝子傷害性があるイニシエーターかどうかで、一応、あるなしでまた分けてしまっているということですし、今回の、実際的に言えば、DEPのユニットリスクを計算するわけではなくて、もし、このPM2.5の何かを計算するとしたら、これはもう閾値があるなしということよりは、これの定量評価はもうできないわけですから、ここで閾値があるなしを議論しても、どうせやらないんだから同じことかなと。余りそこで議論をやって、でも結局、最終的にはPM2.5なり浮遊粒子状物質の定量評価はデータとしてないわけですので、結局できないということになるので、余りこれで時間をとるのはむだかなという、それこそ不毛の議論になってしまうかなという気もしますので、ここは少しまたまとめ方を考えさせてください。
 あと、もう一つ、感受性が高いと予測される集団と、それから、その次の循環器疾患に関する日本と欧米等諸国の違い、この二つが残っていますが、簡単に、もう6時半になりましたので、もし何かご意見あれば伺いたいと思います。
 まず、感受性が高いと予測される集団は、いわゆる基礎疾患を持っているもの、それから年齢、性別等、いわゆる一般的に高感受性と言われているものということですが、この辺は、特にCOPD、ぜんそく等の呼吸疾患あるいは心血管疾患の潜在疾患を持つ者に対しては、これは粒子に限らず有害物質に関しては感受性が高いということですが、これも同じように粒子状物質に関しても言えるかということだろうと思いますが、これは特にご議論ありますでしょうか。
 では、次、一緒にでも結構ですので、循環器系疾患に関する日本と欧米等諸国の違い、ここは結構前回から議論になっているところです。特に追加分析をやれば、心筋梗塞についても3日、4日遅れで影響が出てきたということがありましたけれども、少なくとも諸外国、欧米との疾病構造との違いによって微小粒子状物質のリスク比に差があるということが言われております。この辺のところをどう考えたらいいか、何かご意見ございますでしょうか。
 祖父江先生から何かありますか。新田先生、どうぞ。

【新田委員】 個別のことではないですけども、一般論として、先ほど祖父江先生がお話しされた交絡因子と影響修飾の問題ですね。その点、十分念頭に置いて、この日米の比較と高感受性の問題、記述すべきかと思います。

【内山座長】 ここは影響修飾と交絡因子、それほど今まで意識して記述はされてなかったですよね。

【新田委員】 ですから少し混乱しているというか、一緒のことを表現して、若干誤解を招きやすいような表現になっているところがあったかなと、ちょっと反省しております。

【内山座長】 はい。
 祖父江先生、何かコメントはございますか。

【祖父江委員】 いえ、特に。

【内山座長】 そしたら、そこら辺のところを少しまた新田先生に修正をしていただいた上で、またご議論をしていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、きょうは、私の不手際で30分も過ぎてしまいましたが、何とか最後まで一応審議事項をクリアしまして、まだ大分宿題は残っていますけれども、次のステップに進めると思いますので、今日のところはこのぐらいにしたいと思います。
 事務局の方、何かございますでしょうか。

【松田補佐】 本日は、長時間にわたってのご審議、どうもありがとうございました。
 本日の議事要旨及び議事録については、また各委員の方にご確認いただいた上で公開させていただきます。
 次回検討会は来月11日を予定しております。先生方、お忙しいところ大変恐縮ですが、出席の方をよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。

【内山座長】 どうも、長い間ありがとうございました。