環境省大気環境・自動車対策微小粒子状物質健康影響評価検討会

第7回微小粒子物質健康影響評価検討会 会議録


1.日時

平成20年1月28日(月)14:00〜16:58

2.場所

経済産業省別館1014号会議室

3.出席者

(委員)
 上島 弘嗣    内山 巌雄    香川  順
 川本 俊弘    工藤 翔二    小林 隆弘
 坂本 和彦    佐藤  洋     島  正之
 祖父江友孝    高野 裕久    新田 裕史
 溝畑  朗     森田 昌敏    横山 榮二
 若松 伸司
(環境省)
  
 竹本水・大気環境局長
 岡部総務課長
 松田総務課課長補佐

4.議  題

(1)微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する審議
(2)その他

5.配付資料   

資料1     疫学研究の健康影響に関する知見の整理
資料2     適切な粒径のカットポイントの検証
参考資料1  委員名簿
参考資料2  ワーキンググループの設置について
参考資料3  健康影響評価検討の進め方
参考資料4  健康影響評価にあたっての検討項目
参考資料5  健康影響評価の検討・整理の考え方について

6.議  事

【松田補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第7回微小粒子状物質健康影響評価検討会を開催いたします。
 それでは、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 配付資料一覧を読み上げます。資料の1、疫学研究の健康影響に関する知見の整理。資料2、適切な粒径のカットポイントの検証。それと、参考資料1から5までの資料をつけております。もし、資料の不足がございましたらお申しつけください。
 それでは、これ以降の会議の進行は、開催要綱により座長が会議の議事運営に当たることとされておりますので、内山座長にお願いいたします。

【内山座長】 それでは、前回からまた間もないときで、お忙しいときだとは思いましたが、今日も4時間の予定で会議を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今日は主に疫学の議論をさせていただきたいと思っております。議題1は微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する審議についてのうち、前回までで疫学を除く4つの分野に関する資料をご提示されましてご議論いただいたところですけれども、今日は先ほど申しましたように、前回会議では議論いたしませんでした疫学分野の知見に関する資料を提示いただきまして議論したいと思います。新田委員の方から第5回の検討会資料との変更点、それから、第5回検討会の会議では議論しなかった影響要因、それから、現時点のまとめの内容ということに関してご説明いただいてご議論いただければと思います。  なお、委員会議事の資料といたしまして、前回資料との変更点がわかる資料もつけてございます。ご議論いただくときにはその資料もご参考にしていただければと思います。前回資料との変更点がわかる資料は、今回はつけていないそうですので、傍聴の方も全部同じ資料ということでございます。失礼しました。  疫学ワーキングの方から、では早速ご報告をお願いしたいと思います。
 では、新田先生、これは長いですので、大体1時間ぐらいかかっても構いませんので、よろしくお願いいたします。

【新田委員】 疫学ワーキンググループでの議論を踏まえて疫学研究の健康影響に関する知見の整理をした結果を、資料1でございますが、ご説明させていただきます。
 内山座長の方からお話がございましたように、1章から6章までは前回お示ししたのを一部修正したものでございます。7章、8章については、目次はお示しさせていただいておりましたが、具体的な中身に関しましては、今日初めてお示しさせていただくということになります。
 まず、順を追ってご説明をさせていただきます。第5回、前々回お示しさせていただきました1章から6章までの内容に関しましては、大きい変更点は基本的にはございません。字句等の修正、それから、一部説明を分かり易く追加したというところが基本的なところでございます。
 字句等の修正、例えば1ページに、前回の資料では「曝露−影響関係」というような言葉が繰り返し出てきておりました。「曝露−影響関係」というのは別の意味を、特定の意味を持つ場合があるということで、ここでは一般的な表現として「曝露と影響との関連性」という言葉に基本的に置き換えております。ですから、前回「曝露−影響関係」といったものは量的な関係を必ずしも意味しない場合もありましたので、単なる「関連性」という言葉に置きかえさせていただいて、本来、趣旨はそういうつもりで書いておりましたが、誤解のないようにそのような表現で基本的には修正しております。
 それから、4ページの第1章の最後の方の記載になりますが、第1章の最後から2番目の段落、「なお、以下の各項において、粒子状物質に限らず大気汚染物質の影響の大きさを示す場合に」ということで、単位濃度当たりのリスク比の表現もしくは過剰リスクの表現というような表現の説明をさせていただいておりますが、その段落の最後のところに、「ここでは米国環境保護庁の報告書に倣い」ということで、どのような単位を用いたかということをここで明確に書いております。基本的にはPM10は50μg/m3ですが、それ以外は25μg/m3ということで、前回1章から6章までの記載、10μg単位の記載と少し混在しておりました。実はまだ少し直し切れていない部分が若干まだ入っておりますが、基本的にはその単位で統一して、表中それから文中の表現を統一いたしました。そこが第1章、まず大きな変更点でございます。
 それから、全体を通して、例えば4ページ、2章の短期曝露影響のところの死亡のところの冒頭に、循環器系疾患による死亡、呼吸器系疾患の死亡というような表現が出ております。このうち循環器系疾患による死亡という表現、英語で申し上げますとcardiovascular diseaseということで、一部でcardiovascular diseaseの訳語として心血管疾患という訳語を一部使っておったところがございます。循環器系疾患と心血管疾患とが混在しておりました。基本的にはcardiovascular diseaseの心血管疾患は心疾患と脳血管疾患、両方含むような死因コード、疾病分類で欧米諸国、その他論文等で使われております。心血管疾患と表現すると心臓、心疾患のみという誤解を与える可能性があるということで、実態に合わせて循環器系疾患ということで表現を統一いたしております。
 それから、前々回、今日ご欠席の富永委員の方で、表に関して、表の3.1でございますが、きょうは修正して表の3.1の全死因死亡、循環器・呼吸器系死亡、肺がん死亡と今回表現させておりますが、前回、循環器・呼吸器系疾患死亡のところを心・肺疾患死亡というようになっておりました。これに関しましても、具体的な内容をわかりやすく反映するために、循環器・呼吸器系死亡ということで、循環器系疾患による死亡と呼吸器系疾患による死亡、合わせたものという表現、誤解のないように修正をしております。
 それから、修正点、6ページですけれども、第2段落のところに短期の影響、短期曝露の死亡に関して複数都市研究を中心に検討したかという、その理由づけに関しまして「publication biasが存在する可能性のある単一都市研究よりも疫学的観点から研究の質が高いと考えられる複数都市研究」というように具体的に表現を改めております。
 その他、以下、個別の影響、短期・長期に関しましては、文言を少し修正したところがございますが、大きな変更点はございません。
 なお、長期曝露影響の11ページ以降の死亡等に関しましては、先ほど申し上げましたように、前々回の資料ではリスクの表現、大きさの表現につきまして10μg/m3増加当たりという記述であったのを基本的には25μg/m3に直したものになっております。ですから、数字が少しリスクの大きさが大き目に表現されておりますが、本質的な違いはございません。
 それから、表の3.1、先ほどちょっと修正点を既に申し上げましたが、前回はPM2.5のみのリスクを表現しておりましたが、各調査のもとになる論文でPM2.5以外の粒子状物質の指標に関するリスクが示されている場合がありますので、それも含めて内容を追加させていただいております。
 以上が前々回、第5回、本検討会で既にお示しさせていただいております1章から6章までの主な変更点でございます。
 続きまして、7章以下に関しましては、今日初めて原案をお示しさせていただきますので、詳しくご説明をさせていただきます。24ページからになります。
 まず、7章では疫学研究の評価に関連する影響要因ということで、全部で8つの項目を具体的に立てて検討いたしております。
 初めに、測定誤差及び曝露誤差という内容をお示ししております。なお、このお示ししている順番は、必ずしも影響要因として重要度を反映した順番にはなっておりません。あらかじめご了解いただければというように思います。
 まず、疫学研究において曝露と影響との関連性を検討する場合に、両者を表現する変数、曝露を表現する変数、影響を表現する変数の測定誤差がどのような作用をもたらすかということは非常に重要な問題になるわけです。疫学研究におきましては、この測定誤差、measurement errorと呼んでおりますが、単なる測定分析の誤差ではなくて、調査手法、いろいろな評価方法を含めた全体の誤差に関する議論をmeasurement errorに、測定誤差に関する問題と捕えております。
 その中で、特に大気汚染の健康影響に関する疫学研究では、大気汚染物質への曝露にかかわる測定誤差、これを曝露誤差とここでは呼んでおりますが、これが非常に大きい可能性があるということで、その作用がどう今回のこの健康影響の評価にかかわるかということを議論しております。以下、少し数式が出てまいりますが、基本的には3つの大きな誤差の項目に分類できるということで、それぞれの3つに関してどのような影響を与えるかという議論をここでしております。
 まず、1番目の誤差のうちの要素になりますが、これは24ページの真ん中辺、数式を書いてあるその直後の表現ですが、まず第1の要素は、個人曝露と個人曝露の平均、集団の代表値との誤差ということになります。ご承知のように、大気汚染の研究におきましては、それぞれの対象者の個々の個人曝露量が得られるということは非常にまれでございますので、通常はその平均値、代表値を用いていると。その代表値を用いた場合にどのような誤差要因、結果にかかわるかということに関する誤差でございます。
 それから2番目は、屋外の大気汚染レベルと個人曝露の平均、この差がどうなっているか、これに関する誤差でございます。
 それから3番目は、真の環境大気濃度と、実際には常時監視局で、ある地域を代表するような固定点での測定が通常でございますが、その差に関する誤差ということで、大きく3つに分けております。
 例えば測定機器の誤差もこの3番目の誤差に、ここでは大きく含めて考えております。
 まず1番目の誤差、これは疫学ではBerkson誤差と呼ばれております。基本的にはそこに書いておりますように、リスク推定において大きなバイアスをもたらさないことが理論的に示されております。ここで重要なのは、バイアスにはならない、ただし、推定値の誤差の幅等には影響を当然与え得るということでございます。
 それから、2番目の屋外の濃度と個人の濃度の差、これは当然バイアスをもたらす可能性がございます。ただ、前回第6回の本検討会で曝露評価に関する知見の整理が提示されましたが、その中でも示されているように、測定局における観測値と個人曝露量の平均値との間には相当高い相関が認められるということで、ここのバイアスをもたらす可能性はもちろんあるのですけれども、少なくとも微小粒子に関してはそれほど大きいものではないだろうということが実際の測定結果からも示されていると考えております。
 それから3番目の誤差、これは大気汚染レベルの空間変動、地域の中での違いというようなものですけれども、これも前回資料にありましたように、微小粒子はその特性から比較的、空間的な均一性が高いというように考えられるということをここでお示ししております。ただ、それぞれの要素、誤差がどれぐらいの大きさかということは一般的にはちょっと見積もることは困難であります。もちろん調査ごとに、地域ごとにこの誤差の要素の大きさは違っている可能性があるということで、例えば結果の一貫性が少し乏しいような場合に、このようなそれぞれの誤差の要素の違いが作用しているというような可能性はもちろんあると考えております。
 25ページ以降は、そのほかの測定誤差に関して記載をしております。幾つか既にいろいろな諸外国の報告書でも論じられているような内容をここでもお示しさせていただいておりますが、例えば米国においては、測定頻度が6日に1日というような測定頻度で行われている場合の誤差の大きさ、それから、一部の研究ではPM2.5が実測値ではなくて、その他の相関の高い測定項目から推定されているというようなことがあるということを書いて、そのような推定誤差が曝露誤差に対してさらに加わるというようなことを書いておりますが、この場合にも誤差の幅が広くなるということで、基本的にはバイアスにはなっていないと考えております。
 それから、もう一つ、測定誤差の中でただいま曝露誤差を中心に申し上げましたが、健康影響の評価に関する誤差というものも十分あり得ます。ここで取り上げているのは、死亡診断に関する死因コードのつけ方に関する誤差等をここで書かせていただいておりますが、例えば最も重要だと考えられております米国の6都市調査、ACS調査に関しましては、再解析が行われて、1つのある資料から第三者が検討した結果というのが報告されておりますが、死因コード分類に関しましても検証された結果、大きな誤差にはなっていないという報告がされております。
 以上が測定誤差及び曝露誤差に関して記述しております。
 続きまして、統計モデル仕様の相違ということで、幾つかの問題を書いております。
 まず、長期曝露影響に関してのコホート研究のことを書いておりますが、基本的には長期影響の調査の解析に関する統計モデル、例えばCoxの比例ハザードモデルというようなもの、標準的なものがあって、既に解析手法を確立しているというように考えられます。米国の6都市調査については、同じデータをほかのポアソン回帰モデルという別のモデルで解析した結果も出ておりますが、推定値はほとんど変わらなかったというような報告がございます。
 それから、後のところで再度出てまいりますが、種々の調整変数の組み合わせに関していろいろな統計モデル、検証された結果がございますが、これに関しましてもどのような調整変数を用いるかということに関して、2つの調査の結果は非常に頑健であったという報告がされております。
 したがいまして、長期曝露影響に関しましては、解析に用いた統計モデルによって結果が大きく変わるということはないというように考えております。
 一方、短期影響に関しましては、最も標準的な方法として一般化加法モデル、GAMと呼んでおりますが、このような手法が最近ほとんどの研究報告で用いられております。この手法に関しましては、一時、推計のためのコンピュータソフトウェアの使用上の誤差の問題が米国で大きく取り上げられておりました。現在ではその問題点は修正されておりますし、私どもの環境省の微小粒子状物質曝露影響調査で行いました計算においても、そのような問題がないソフトウェアで計算をしております。
 それから、統計モデル仕様の問題として一般化加法モデルを用いた場合の最も大きな問題としては、気象因子の調整をどのように行うか、どのような関数を調整として用いるかというところで大きく推定値が変わり得るというようなことが示されております。このような点に関しましては、短期影響の時系列的な解析におけるリスク推定の大きさに関して、不確実性をもたらす可能性があると考えております。
 3番目の問題は、共存汚染物質及びその他の因子における交絡と影響修飾という、疫学研究においては一般的に言っても非常に大きな問題でございますが、大気汚染の問題では交絡因子、影響修飾因子としての共存汚染物質ということが非常に大きな問題となります。
 交絡因子となり得る場合、例えば微小粒子状物質と何らかの健康影響指標との関連が見られた場合に、実際には微小粒子の影響は見かけであって、他の共存汚染物質の影響であるというような可能性、それから、その他の大気汚染物質以外の因子による影響の可能性ということを十分に検討した結果が、それぞれの疫学知見、基本的には各研究報告に示されているというのが通常のものだというふうに考えておりますが、いずれにしても大きな影響をもたらし得るということで、そこで検討を加えた結果をお示ししております。
 共存汚染物質の場合には、単なる統計的な意味で微小粒子との関係があるというだけではなくて、前回、曝露評価の方でもお示しされましたように、実態として大気中の動態、微小粒子の発生のメカニズムとして共存汚染物質、特にガス状汚染物質と関係があるということがございますので、疫学研究の結果の解釈においても非常に重要であろうというように思います。
 27ページの下に、5つの解釈の可能性を示しております。共存汚染物質の存在下での微小粒子の影響ということを我々見ているわけですけれども、微小粒子状物質、その他の粒子状物質の曝露と影響の関連性が認められたと、ここで認められたというのは統計的にということでございますが、以下のような幾つかの状況が想定できます。
 1つは、実際真の影響があって、これは因果関係を示しているという場合。それから、微小粒子単独の影響ではなくて、関連するような大気汚染総体の影響を反映しているということで、粒子状物質はその指標となっているような場合。これも別に粒子状物質の影響を否定するわけではないわけですが、単独ではなくて、全体関連するような、言いかえますと、発生源が共通であるような、メカニズムがある共通であるような大気汚染物質全体の影響を反映している可能性があるという、それが[2]の考え方でございます。それから[3]は、これは見かけだというような場合。[4]は、汚染物質のレベルで修飾をされていて、真の影響の大きさとは異なる。影響はあるけれども、推定された大きさに何か偏りを生じさせているような場合、これが[4]でございます。[5]番はその逆で、実際にはもっと粒子状物質の影響は大きいのだけれども、その解析の結果、小さ目に出ているというような場合もあり得るということです。
 ここで注意する点は、何か関連性が見られた場合に、その5つの中のどれかということではなくて、恐らくこのような状況が実際には混在したものを我々は見ているだろうというように思っております。
 通常、このような状況下で、解析手法としては、多くの疫学研究ではsingle-pollutant modelと呼ばれるような粒子状物質のみを解析モデルに含んだ場合と、他の共存汚染物質もあわせて含むような、multi-pollutant modelと呼んでおりますが、両者を比較してリスクの大きさが大きく異なることがなければ、粒子状物質の影響を推定するというような考え方が実際的な手法としてとらえておりますが、そこにも書いておりますように、例示しました[2]や[5]の状況が非常に真実に近いような場合には、そのsingle-pollutant modelとmulti-pollutant modelの比較では明らかにすることはできないというようなことをそこで書いております。
 それから、その他の共存汚染物質以外の交絡因子として、例えば時系列研究では花粉等の生物由来の粒子等の影響をそこで書いております。基本的には大気汚染物質の日単位の変化と、その生物粒子の日単位の変化は相関しない可能性が高いということで、バイアスにはなっていないというように考えておりますが、季節変動のようなものを考えた場合には留意する必要があるだろうと思っております。
 それから、交絡因子の中で長期影響のことを最後に書いておりますが、先ほどもご紹介させていただきましたが、米国の6都市調査、それからACS調査に関しましては、詳細な感度解析、第三者による再解析の中で行われて、さまざまな交絡となり得る因子を含めた場合、含めなかった場合、さまざまな組み合わせということが検討されました。その中では教育水準等との関係というようなものが取り上げられております。それから、それを反映した可能性もありますが、社会経済的な要因というようなものが交絡になっている可能性ということが示されております。
 後のところで出てまいりますが、そのような状況であっても微小粒子の影響に関して大きな信頼区間、誤差の幅は変化する場合があるけれども、リスク推定値自身は大きく変化しなかったということがこの再解析の結論として述べられております。
 次に4番目に関しましてお話をさせていただきます。曝露と影響の時間的な構造に関して、ここで整理をさせていただいております。
 まず、短期影響の場合には、時間的な遅れ(ラグ)という表現がしばしば出てまいります。当日の濃度と例えば死亡との関係、当日の濃度と入院・受診との関係というような場合、それから前日の濃度との関係、さらに3日前の濃度との関係、4日前の濃度との関係というような記述が多くの研究報告で出てまいります。その点に関して、少し説明を加えております。
 このラグの構造に関しましては、いろいろ理論的な検討が行われておりますが、まだどのようなラグの構造が最も実態を反映しているかということに関しましては結論が出ていないというように考えております。それから、その後には、時間的遅れとして24時間単位よりももっと短い、数時間の単位の曝露と影響の関係もあり得るというようなことをここで述べております。
 それから最後には、長期影響に関して曝露と時間の時間的関係ということを書いておりますが、基本的には長期影響に関しましては曝露とその影響との時間的なずれ、遅れに関しましての検討はほとんどなされておりません。例えば数少ない報告の1つですが、米国の6都市調査では最新の結果で調査追跡期間の前半・後半で微小粒子濃度が低下したということに伴って死亡率がどう変化したかというようなことが報告されておりますが、循環器系疾患の死亡、呼吸器系疾患の死亡は微小粒子状物質の低下に伴って低下していたが、肺がん死亡率は低下が見られなかったというようなことで、当然疾患ごとにもこの曝露と影響の関係が違うということが推測されますが、検討としては非常に少ないということで、各取り上げております健康影響指標それぞれについて曝露と影響の時間的な関係をお示しして、それに基づいてさまざまな議論をするということは困難ではないかというように思っております。
 続きまして、29ページの下の方に、影響度の地域差に関する不均一性ということを項目1つ取り上げております。これは主に短期影響に関する調査に関してのものでございます。先ほど、短期影響に関しましては複数都市調査、質が高いということでそれを中心に検討するということを申し上げましたけれども、その複数都市にあっても結果の不均一性、特にリスク推定値の大きさの不均一性ということがしばしば見られております。環境省の微小粒子状物質曝露影響調査結果の我が国の20都市の、20地域の研究報告、既に本検討会でお示しさせていただいておりますが、その中でも20地域の死亡リスクの大きさのバラツキということも既にご報告させていただいておりますが、結論を申し上げますと、現時点での地域差を説明するようなことはいずれの研究でも成功していないと考えております。
 それから、その後、高感受性群に対する影響ということで感受性の問題、ある集団、特にある疾患を持っているような集団でリスクが増加するというような報告に関して紹介をしております。
 その後、平均余命に対する影響のところをご説明させていただきます。
 まず、短期影響に関しての問題。これは特に微小粒子状物質の日平均濃度と日死亡との関係が発表されるようになった初期の段階では非常に多くの議論がなされた点でございます。30ページの方にも書いておりますが、harvestingもしくはdisplacementと言われるような仮説が提示されました。これは大気汚染物質濃度が高レベルにあるときに死亡率が上昇するということが確かだとしても、それは死期が迫っている集団の死亡日を幾分早めるだけで、高濃度日以降に死亡率は低下して、結果的には長期的な死亡率に影響を及ぼさないというような考え方、そういう現象が起きているのではないかということをharvestingとかdisplacementと呼んでおりました。もし、この仮説が正しいといたしますと、短期的には関係があっても長期的にはプラスマイナスで結局一緒だというような考え方になります。そのために、公衆衛生上の意味は小さいというような主張がなされました。その後、実際にこういう現象が起きているかどうかということに関していろいろ理論的な検討等行われました。現状の認識はharvestingやdisplacementで、この短期的な粒子状物質濃度との死亡その他の現象は説明できないというふうな考え方が一般的かと思います。
 それから、31ページに移りまして、短期影響で示されているリスク、例えば全体のまとめにも書いてありますように、単位濃度当たり、25μg/m3当たりの短期死亡のリスクの上昇は数%のオーダーということでございます。
 一方で、長期曝露による影響のリスクの大きさ、過剰リスクの大きさは数%以上のものが示されております。そこに大きさに違いがあるということですが、その違いは十分あり得るんだということをここで書いております。
 それから、実際にそのような死亡リスクの上昇が全体の平均余命にどのような影響を与えるかという試算をここでご紹介をしております。米国の例で言いますと、大体1歳程度の寿命短縮というような推計がなされておりますけれども、我が国における調査結果でどのような推計になるか、もしくはいろいろな仮定を置いた推算ですので、そのような推計における不確実性も含めて今後の検討課題だろうというように考えております。
 7.8は閾値に関する問題でございます。これは非常に重要な点でございますが、疫学研究における閾値の取り扱いに関してここで整理をさせていただいております。
 疫学研究における閾値の概念というのは十分に整理されていないと考えております。まず大きな問題は、個人個人でもし閾値が存在したとしても、その閾値の個人差、いろいろな、先ほど申し上げたような感受性の違い等々で、集団で見た場合には閾値が見えないような場合も十分ある、それから、実際のデータから推計するのは非常にまた困難であるというふうなことで、結論を申し上げますと、閾値に関しては否定も肯定もできない、存在に関してですね、微小粒子状物質に関して、というようなことをここで述べております。
 ここまでが疫学知見を評価する上で、関連する要因に関して主要なものを整理いたしました。
 8以下では、具体的な評価ということで、基本的に粒子状物質への曝露と影響との間に因果関係があるのかどうかということに関して疫学知見に基づいてどのような評価を行えるのかという点について述べております。
 まず、基本的にはHillの示した幾つかの観点に基づいてそれぞれ検討を加えております。
 まず第1には、関連性の強さという項目が初めに述べられております。関連性の強さというのは基本的には2つの要素からなっております。1つは関連性の大きさ、通常はリスク比の大きさ等で表現されるようなものと、それから、統計学的に有意性、その関連が統計学的に有意かどうか。簡単に申しますと、関連性が例えば正の方向を向いているかどうか、その方向の問題、それを統計学的にどう裏づけられているかという問題と言いかえてもいいかもしれません。その2つの要素からなっております。一応それを前提に以下の表現をしております。ですから、以下のまとめで関連が正であるというような表現をした場合には、大きさはまず置いておいて、方向がどうかということ、それから、単位濃度当たりのパーセントを示している場合には関連性の具体的な大きさ、その両者をここの関連性の強さという項目で表現しております。ここの関連性の強さの内容では、2章から6章まででお示ししました短期影響、長期影響、それぞれの健康影響指標に関してまとめを述べております。
 32ページの最後の方になりますが、まず、短期影響のうち死亡との関連性については以下のように要約することができると。報告されているPM10と全死亡との関連の多くが正であり、統計的に有意なものが多かった。PM10と循環器系死亡及び呼吸器系死亡との間に報告された関連性についても正のものが多く、統計的に有意なものが多かった。影響推定値はPM10濃度50μg/m3当たり過剰リスク約1〜8%、複数都市の影響推定値は同じく1.0〜3.5%であった。ここがPM10に関する記述でございます。
 次にPM2.5に関する記述。PM2.5に関する知見は、ここは繰り返しになりますが、短期の死亡に関する記述です。PM10より少ないが、ほぼ同様のパターンが見られた。全死亡との関連は多くが正であるが、影響推定値はPM10よりも一般に誤差が若干大きく、統計的に有意である頻度が少なかった。PM2.5と循環器系及び呼吸器系死亡との関連は正であり、循環器系死亡との関連の約半数が統計的に有意であるが、呼吸器系死亡との関連は統計的に有意なものは少なかった。影響推定値は、ここは25μg/m3当たりということですが、2〜6%、複数都市研究では1〜3.5%。
 それから続きまして、PM10−2.5に関する知見はわずかであり、ほぼすべての影響推定値が正であり、関連性の大きさはPM2.5及びPM10で報告されたものに類似するが、統計的に有意なものは少なかった。
 引き続きまして、我が国におけるSPMについての報告をさせていただいております。SPMについては25μg/m3当たり0.5〜2%、呼吸器系死亡で1〜3%。
 続きまして、入院・受診。入院・受診に関しましては、前々回も申し上げましたように、いろいろな条件から関連性の大きさに関して結論を出すのは難しいということで、ここでは関連性の方向、統計的に有意性のみここで述べております。
 全体のまとめですけれども、短期影響に関してですが、その後に33ページ、真ん中あたりからですが、短期影響に関する疫学的証拠は、PM10及びPM2.5と死亡との間に関連性を認めている。一応こういう結論をここで述べております。リスク比は大きいものではないが、循環器系疾患及び呼吸器系疾患による死亡、入院及び受診を初めとする循環器系疾患と呼吸器系の健康指標に関して、全体としてPM10及びPM2.5との正の関連性が見られ、多くの場合には統計的に有意であった。PM10−2.5と入院との影響推定値はPM10及びPM2.5のものと類似の大きさであったが、推定値の誤差はより大きかった。その後、死亡に関する結論、PM10−2.5に関して述べております。
 それからSPMについてですが、SPMについても影響推定値の大きさはPM2.5と類似していた。超微小粒子及び他の微小粒子の成分及び発生源との関連性を示唆する疫学的証拠が幾つかあるが、それらの知見は不十分であり、明確な結論を下すことはできない。ここは関連性の大きさ、強さということに関しての結論というふうにご理解ください。
 続きまして、長期曝露と死亡との関連性ですが、PM2.5に関しましてはACS調査、米国の6都市調査に関する紹介をここで述べております。それから、死亡以外の健康影響に関しましては、カリフォルニアの小児コホート調査の結果等もここで示しております。
 まず、長期曝露と死亡との関係に関しましては、33ページ以下の…失礼、その前に、大きさに関しましてはACS、それから米国の6都市調査でPM2.5、25μg/m3当たり、先ほど申し上げましたが、16〜45%の増加であり、短期曝露の場合より大きい影響を示していたということです。それから、死亡以外の健康影響に関しましては、カリフォルニアの調査等ございますが、統計的に有意でない場合も多く、関連性の強さに関する評価は困難であったという結論を述べております。
 全体を通しての結論になりますが、関連性の強さに関しましては、大気中粒子状物質への曝露に関して観察される相対リスクは短期影響、長期影響いずれにおいても都市域での粒子状物質の変動範囲において一部の例外を除いて2を超えるようなものは報告されておらず、他のリスクファクターに比較して小さいものと考えられたということが関連性の強さに関する結論でございます。
 続きまして、関連性の頑健さということで、先ほど申し上げたさまざまな不確実性の影響をどの程度受けるかということに関してここで評価をしております。
 基本的には先ほどの評価のところで、7章に関するご説明の中で申し上げたものの要約になりますが、まず長期影響に関しましては、少なくとも最も重要だと思われる2つのコホート調査に関して再解析が行われております。その結果から考えまして、頑健性は非常に大きいというふうに考えております。
 それから、短期影響に関しましては、種々の測定上の問題等ありますけれども、これに関しましても、全体と見れば共存汚染物質の影響を除いて大きな影響を与えているものはないだろうというようなふうに考えております。ただ、関連性の大きさに関しましては非常に不確実性が大きいということで、結論としては、35ページの上の方の段落の最後になりますが、関連性の方向に関する頑健性は十分であろうと、ただし、汚染物質間のリスクの大きさに関しましては曝露誤差の大きさ等を留意する必要があるというような結論をここで述べております。
 評価のポイントの3番目になりますが、一貫性に関して。これも因果推論においては非常に重要な項目の1つですが、まず、多くの疫学知見の結果を見た場合ということですが、第2段落目から書いておりますけれども、これまで示された種々の疫学知見によれば、短期曝露による死亡リスクの上昇に関する他都市調査では、リスク推定値に地域間でやや大きさに差が見られるものがあるが、ほとんどの他都市研究や単一都市研究で関連の方向に関する一貫性が認められる。大きさはばらついているけれども、方向は一貫性があるだろうというふうに考えられるということでございます。
 これらの結果は、欧米のみならず我が国を初めとして世界のさまざまな地域において見られている。死亡以外の健康影響指標に関する調査結果の一貫性に比べればやや劣ると考えられるが、ある程度一貫性を示しているものと認められるという結論をここで書いております。
 長期曝露に関してですが、循環器系や呼吸器系の死亡及び疾病への影響についても、複数の調査について認められ、統計的に有意でない場合でも影響をあらわす方向性を示していることから、一貫性があると判断できるという結論を書いております。最後のところは7章で申し上げた不確実性に関しての留意点をまとめて書いております。
 続きまして時間的関係。先ほども曝露と時間の時間的構造ということを申し上げました。因果関係の判断に当たっては、時間的関係というのが唯一必要条件というふうになっておりますけれども、大気汚染の場合には曝露が通常連続しているということで、具体的な、基本的な評価ということは時間関係に関しては難しいだろうというふうに考えておりますが、最後に書きましたように、自然の実験というような内容を考えますと、ある程度曝露の後に影響が生じているということは類推できるだろうというふうには思っております。
 5番目の量−反応関係に関してですが、これは生物学的勾配と呼ばれることもあります。濃度が、曝露量が上昇するにつれてリスクも上昇しているかどうかということが粒子状物質に関して示されているかということですけれども、基本的にはその曝露量に関する誤差要因、不確実性が大きいということがございますが、ある程度曝露量の増加と健康指標の増加との関連があるということが示されているというふうに考えられます。ただ、関連しますが、閾値に関しましては先ほど申し上げたとおり、否定も肯定もできないということをここでまた明確に書いております。
 それから、Hillの観点の中で重要視されているものの項目の1つでございますが、6番目に自然の実験というようなものの事例を、米国のユタでの事例を述べておりますが、厳密な意味での介入研究ということではございませんので、しかも、無作為割付をしたような介入研究ではないということがありますので、同列に扱うということは難しい点もありますが、このような自然の実験と呼ばれるような事例が幾つか見られるというふうにここで示しております。
 以上、冒頭に、8章の初めに書いておりますように、Hillの観点のうち整合性、それから生物学的妥当性に関しましては、前回ご報告がありました毒性学知見と統合した上で評価をするということで、それ以外の観点に関しまして、疫学的証拠について総合的な評価をした結果を8.7まとめで述べております。
 まず初めに、米国での疫学的証拠に関する評価とWHOでの評価の紹介をここで書いております。
 38ページが本検討会での議論、ワーキングでの議論に基づきまして、まとめの全体的なところを案としてお示しした内容でございます。読み上げさせていただきます。
 米国及びWHOにおける評価の後に公表された疫学知見並びに我が国における疫学知見も含めて評価した結果は以下のとおりである。
 PM2.5への短期曝露と死亡及びその他の健康影響指標、並びにPM2.5への長期曝露と循環器系・呼吸器系疾患死亡及び呼吸器系健康影響指標に関する知見を総合的に評価したところ、長期曝露と呼吸器系症状に関して関連性の強さに関する評価は困難であったが、PM2.5への曝露と健康影響指標との関連性には相応の疫学的証拠があることが認められた。PM10への短期曝露と死亡及びその他の健康影響指標との関連については、PM2.5より多くの疫学的証拠が存在する。PM10への長期曝露については、健康影響指標との関連性の強さに関する評価は困難であった。我が国のSPMについては短期曝露による死亡や長期曝露と呼吸器系健康影響指標との関連を示唆する知見が存在する。PM10−2.5に関して得られる調査は幾つかあるが、種々の誤差のためにPM10−2.5に関する関連性の強さはPM10やPM2.5に比べて強くない。
 粒子状汚染物質と共存汚染物質の影響の相互関係については不確実性が存在するが、全体としてPM10及びPM2.5は単独あるいはガス状大気汚染物質の共存効果によって死亡やその他の健康影響指標と関連していると考えられる。
 信頼性の高い調査に着目すると、PM2.5への短期曝露及び長期曝露と循環器系・呼吸器系死亡及びその他の健康影響との関連に関する疫学的証拠には一貫性が見られる。
 曝露と健康影響の時間的構造は直接的には評価は困難であるが、大気中粒子状物質の経時的変化がその後の健康影響指標の変化をもたらしているという知見がある。
 以上、今日まで蓄積されてきた多くの疫学的証拠に基づく整合性・生物学的妥当性に関する観点を除く因果関係に関する評価から、PM2.5及びPM10と循環器系及び呼吸器系疾患による死亡及びその他の健康影響との因果関係が存在することが示唆された。我が国のSPMについては関連性の大きさがPM2.5ないしPM10と類似していることを示唆する幾つかの知見がある。
 PM<sub>10-2.5</sub>に関してはその健康影響を示唆するものの、疫学知見は少なく、現時点で明確な結論を導くことは困難であり、一層の知見の積み重ねが課題となる。その一方、微小粒子のみならず粗大粒子をも含んだPM10やSPMについて健康影響に関する報告が多くなされており、これらの影響が微小粒子のみによる影響のものとは言い切れない。というような最後、まとめを案としてここで提示させていただきました。
 以上、資料1の説明をさせていただきました。

【内山座長】 どうもありがとうございました。1から6までは前回、前々回までのお示しいただいたところで、主に変更点をご説明いただいて、7と8に関しては今回初めてご提示していただいたものです。
 ただいまご説明のありました疫学研究の健康影響につきまして、ご意見、ご質問等があれば伺いたいと思いますが、特に疫学ワーキンググループの島先生、祖父江先生などから補足のコメントございますでしょうか。よろしいですか。
 また、本日欠席されております富永先生からはまたコメントが提出されているということですので、その点はまた後で、皆さんのご質問が出ました後にでも少しご紹介させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、ご議論をお願いいたします。

【上島委員】 結論をお聞きしまして、非常にわかりやすい、妥当な記述がされていると思いますが、1つ、ここの中で取り上げられておりますWomen’s Health Initiativeの原著論文をもう一度ちょっと見直してみました。それで、これのPM2.5の平均曝露量がこの調査のところが大体13μg/m3当たりでしたか、それで、SDがこの間ちょっと話題にしていましたが、1SDが大体ここで書かれているのが3.5か4ぐらいですね。そうすると、10μg/m3単位上がるというのは大体2SDを超えるんですよね。3から2.5SDぐらいの大きさになります。これはもし生体の指標と比べてみますと、例えば血圧ですとわかりやすいんで、収縮血圧130としますと、大体1SDが13ぐらいなんですね。13か15ぐらいですね、大きくても。2SDだと30ぐらい上がることになります。例えば140の血圧の人が170ぐらいになったときのリスクが、ちょうどこれの平均14ぐらいの曝露量のところでは2SDないしは3SDの上昇という。25ということになりますと、もちろん生体の指標と比べられないんですけれども、25というのはかなりやっぱり、このWomen’s Health Initiativeの平均曝露量からするとかなり高いところにあるというのが1つあるんですね。
 問題は、1つ感じたのは、この平均14ぐらいの曝露量のところで2SD上がって、どれぐらいのリスクが増すかというのを、ここに記述されておるとおり、かなりやっぱり大きい。NIPPON DATAという、私たちの、日本全国の循環器疾患のリスクを主に調査した疫学調査の死亡リスクに当てはめてみますと、今言いました血圧2SDぐらいの上昇に相当するぐらいのリスクに循環器疾患の死亡はなってしまう。
 今、新田先生が言われましたように、リスクの強さを1つのもちろん疫学調査だけで想定することは、推定することはできないとは思うんですが、少なくともWHIのデータはかなり強いものを示しているなと。ほかの指標と比べてみますと、例えば、たばこを吸うか吸わないかぐらいの循環器疾患への影響、大体2倍なんですね、相対リスクが、心筋梗塞、脳も。それぐらいありますので、もし本当だとすると、かなり強いなという印象を受けました。それが1つ。
 だから、25という曝露量になりますと、この14ぐらいの平均曝露量からしますと4SDか3SD超えてしまうんですよね。非常に大きな上昇になりますが、これは汚染なので、そういうことは起こり得るかもしれないということですよね。
 もう一つ、翻って、この論文をもとに返って見てみますと、今いろいろなバイアスとか分析の問題について言及されましたが、この論文のやっぱり少し戻ってみますと、曝露量の少ない地域、つまり5段階に曝露量を分けていますが、曝露量の少ない地域にアジア人が多くて、それから、曝露量の高いところには黒人が多いんですね。上位2つの段階のところに黒人が15%います。低いところは2%から3%しかいない。かなり曝露量のところによってブラックの人たちのいる分布が違う。白人は全部一緒でした。もちろんこの調査には民族とか人種は調整されているんですけれども、果たして本当にきちっと調整できるかどうかという点は残っているなと思いました。
 結論としまして、これが一番大きな前向きの調査ということですけれども、これを見ましても、また、やっぱりこういう調査が幾つか出てきて集積されないと、関連の大きさというか、関連性があるというのはわかるのですけれども、強さに関してはなかなか難しいなということを私も感じまして、先生のここに書かれた結論等を私は非常に妥当ではないかなと、非常に関連の強さ、どれぐらいかというのはやっぱりまだ難しいだろうなと思いました。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。何か、新田先生、コメントございますか。よろしいですか。

【新田委員】 濃度に関することだけちょっと。25という表現が説明する場合の単位として妥当かどうかということに関しては、冒頭に申し上げましたように、米国の報告書に倣っているということでございますが、WHIのスタディで申し上げますと、先生、SDということで表現いただきましたけれども、WHIのスタディの最低の濃度のところが約3、それから最高が28ですので、全体の最高と最低の範囲が約25だったというようなことで、当初からそういう意味でアメリカでも25というような値を、環境濃度の全体的な幅から一番区切りのいいものとして25を選んだというように私理解をしております。
 ですから、日本の場合にPM2.5の濃度で25の幅がどんな意味を持っているのかということに関してはちょっと、少しその濃度の幅に関して頭に入れて、このリスクの大きさを見ていただければというように思います。

【内山座長】 そのほかにいかがでしょうか。

【若松委員】 中身の話ではないんですけれども、27ページの多重共線性の説明の文章がちょっといいのかなという気がして、いわゆる粒子状物質とその他の共存物質との相関が高い場合にはもちろんバイアスが出るのですけれども、共存物質の中のそれぞれのものの相関が高い場合というのも結構聞くんですね。ですから、よしんばそれが、その個々のやつが粒子状物質の相関がないにしても、中で相関が高いと多重共線性が出るので、表現としては、もしできればそのこともつけ加えた方がいいのかなという、私の知識がないのかもしれませんが、実際やってみるとそういうような結果が出ることが多いので。例えば「粒子状物質と共存汚染物質の相関や共存物質相互間の相関が高いものがある場合には偏りが出る」というふうな表現の方が妥当かなという気がするんですけれども。専門の先生、特に溝畑先生あたり、その辺はお詳しいので、ちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【新田委員】 純粋にちょっと統計学的な表現のつもりでここは書いております。確かにこの表現ですと粒子状物質とそれぞれの共存汚染物質の相関が高いというだけの場合に限定しているような受け取られ方をしますので、ちょっと表現を少し、全体の相関が高いという趣旨で書いたつもりでおりますので、誤解のないようにちょっと表現を修正したいと思います。

【内山座長】 そのほかにいかがでしょうか。

【高野委員】 上島先生のお話でも少しありましたが、34ページの上から2行目のところで、他のリスクファクターと比較して小さいものと考えられるということで、WHIスタディの2というものが、先ほどですと、たばこを吸うか吸わないかの違いに相当するということがありましたけれども、ほかのリスク、例えばヘモグロビンA1cがどのくらい上がるとどのくらいのリスクが上がるとか、そういった具体的な値が出ていたというのは、前にどこかありましたでしょうか。それか、ここで突然出てくるようなーーー。もしも何か代表として出せるものがあれば、比較のために出していただいた方が少しわかりやすいかなと。

【新田委員】 確かにここは、きょうお示しした資料の中で具体的な比較をせずに、ここだけで、少し一般論に近い形で述べてしまっております。少しこの記述をサポートするようなものをつけ加えるか、ちょっと表現の仕方について工夫をさせていただきたいと思います。

【上島委員】 もう一度25μgに戻りますが、先生言われましたクインタイルに分けたときのあれが確かに、分けてその平均の差を見るとそうですが、同じ論文で、テーブル2にパーセンタイルが示してあるんですね、個人的に。10パーセンタイルが9.1です。それから、90パーセンタイルが18.3です。これを引きますと大体10ぐらいですので、見方を変えれば10パーセンタイルから90パーセンタイルに移動して10μgなので、25というと、やっぱりかなり大きいんじゃないですかね、この集団では、動きがね。と思います。

【内山座長】 ちょっと戻りますが、先ほど高野先生のおっしゃった34ページの2行目の「他のリスクファクターと比較して小さいものと考えられた」というのは、私もちょっと気になっていたのですが、具体的に挙げられるのもいいと思うのですが、概していわゆるボランタリーなリスクファクターとインボランタリーなリスクファクターで、特に大気汚染物質の場合はインボランタリーなものとしての代表的なものということで、むしろ小さいのは当然だと思いますね。だけれども、インボランタリーなものだということが、もしほかのリスクファクターと比較されるのでしたらば、逆に小さいのだけれどもインボランタリーなものだということを書いておいていただかないと、これは小さいからいいのだというような誤解を逆に招いてしまいますので、そこら辺のところは十分気をつけて書いていただきたいと思います。

【新田委員】 また繰り返しになりますが、ここは通常疫学でこのようなリスクファクターを議論するときには大体2を超えるような相対リスクに関しての議論が多いので、それよりは小さいというような、ちょっと一般的な趣旨でここを書いております。確かに内山座長ご指摘のように、少しこの表現に関して、リスクの大きさに関するボランタリーな場合、そうじゃない場合、ちょっとその価値観のようなことに留意して書かないといけなかったというように思います。特に2を超えるようなものは報告されていなかったという事実関係だけ述べるということでもここはよろしいのかなと思います。具体的な根拠ということですと、先ほどの関連性の大きさに関しての評価は難しいということと少し矛盾するような記述になりますので、少しこの表現を加えるかどうかに関しましても、ちょっと検討させていただければと思います。

【内山座長】 祖父江先生、何かご意見。

【祖父江委員】 ちょっとうまくつながるかわかりませんが、2を超える、超えないところで考えるべきは、因果関係を考える際に、その交絡等がきちっと制御されているか、いないかということで、因果関係の推論ができる、できないの、こういう観察的な研究で因果関係がきちんと言及できるかどうかの関連性の大きさというのが、やはり2を超えるとかなり、関連性の大きさという意味で、ですが、信頼性が高くて、1.5以下のようなところでは、やはり交絡の影響をきちんと制御していないと因果関係そのもの自体が揺らぐというようなことなので、こういう関連性の大きさのことを言っていると。
 ですから、他のリスクファクターと比較してというよりも、2とか1.5とかいうようなものが、絶対値にその意味があって、今まで因果関係というものが、こういう疫学研究に基づいて言われてきたものの例としては、たばこですとか職業的な曝露だとか、ウイルス、がんというような関係のものは比較的大きな関連の大きさで言われてきた。この場合、それよりもかなり小さいものであるということを言いたかったのですけれども、まあ、そのような趣旨です。
 ですから、あまり具体的なものを出すというよりは、むしろ2とか1.5とかいうことで議論した方がいいのかもしれません。

【内山座長】 ほかはよろしいでしょうか。
 もう一つ、では、私の方から。一番、最初のご説明のところで循環器系疾患というふうに書いたのは、逆に言うとcardiovascular、心血管系と今まで書いてあったのが脳血管も含めることがあるので、誤解を受けないように循環器系の表現になさったということは、これはこれでいいと思うんですが、これはどこか提示のようなものは書いてありますか。この報告書の中で循環器系はそれを含むと。こういうものだということを。

【新田委員】 具体的に書いておりません。

【内山座長】 それはそれでいいと思いますけれどもね、いわゆる今はちょっとcardiovascularとcerebrovascularというのは、多少要因もリスクファクターも違うし、分けていたように思いますが、先ほどのご説明ではcardiovascularと言っても脳血管疾患も含んでいるというふうなことが現在の疫学的調査ではしばしば行われているので、誤解のないように循環器疾患というふうに表記するとおっしゃいましたが、それは。

【新田委員】 ほとんどの論文で表現されている、例えばICD-9、ICD-10の死亡codeですね、具体的な中身を見ますと、脳血管疾患、もうほとんどの場合含んでcardiovascular diseaseというくくりで記載されているということで、循環器系疾患という言葉の方が、誤解がないのかなと思ってこういう修正をしたという次第です。

【内山座長】 ただ、EPA等の報告書で言っているのは、やはりこれは心肺疾患、心血管系という意味で言っているのではないんですか。脳疾患に影響があるとは余り、この粒子状物質に関しては言及しているものはないですよね。我々も心疾患というふうに感じていたんですけれども。

【新田委員】 そういう趣旨はあるかもしれません。ただ、少なくとも疫学知見として示されているのは、ほとんどの場合、個別に細かい疾患ごとに検討している論文以外はまだほとんど心疾患の血管疾患を含むカテゴリーで検討した報告です。ただ、この検討会での初期でご紹介があったかと思いますけれども、米国においてもかなりの部分が心血管疾患と、心疾患ということで同列に評価していると、cardiovascular diseaseの中身がほとんど心疾患というようなことで議論しているということはあるかもしれません。ちょっとそこを注意して表現を、区別をしている場合、していない場合、厳密にはちょっと見ておりませんでしたので、少し議論の仕方を精査し直したいというふうに思います。

【内山座長】 よろしくお願いします。この報告書の循環器系はそういうふうに提示されるというのは構わないと思いますが、ちょっと気になりましたところは、EPAの報告書あるいはWHOの報告書を要約しているときに、そこも循環器系疾患というふうに訳してしまっていいかどうか、cardiovascularを。そこをご検討願えればと思います。

【松田補佐】 毒性学の方の、先日、高野委員の方から紹介していただいた中で、循環器への影響という部分について評価、紹介していただいたのですが、そこでは循環器(心血管系)への影響ということで紹介をされております。ここの部分と整合させた表現の方がよろしいのかもしれませんが、そこはまた後ほど。

【工藤委員】 どこかに脚注かどこかに書かれるわけですね。書いた方がよろしいんじゃないかと思いますので、定義の問題ですから。循環器系疾患というのは、よりも、循環器疾患という形でcirculatory diseaseという中にはcardiovascularとcerebrovascular、両方とも入っていますよね。あんまり循環器系という言葉は、ここは少ないみたいですけど、それはどちらでもよろしいと思うんですよ。定義さえちゃんと明記されていれば、誤解がなければいいと思うんですが。
 それから、ただ、外国の文献の方の定義等を翻訳するときに不整合があると困るというふうには思いますけれども、それは大丈夫ということですね。

【内山座長】 その辺も少し検討いただければ、もう一回ちょっと確認していただければというふうに思いますし、それから、循環器系疾患と言ったときの定義なり脚注をどこかで書いておいていただければというふうに思います。
 それから、富永先生からのコメントがあるようですので、事務局からご紹介いただけますか。

【松田補佐】 本日欠席をしております富永委員の方からコメントを預かっております。それを代読したいと思います。
 1番目、ヒトを対象にした大気汚染の健康影響については、短期影響・長期影響に共通して大気汚染以外の因子の影響を考慮する必要があります。短期影響、特に死亡については気象条件、湿度、温度、風速など、医療機関の分布などの影響を考慮する必要がありますし、肺がんや循環器疾患、呼吸器疾患などの長期影響については喫煙、職業、医療機関の分布、食生活、関連疾患の既往歴などについて考慮する必要があります。これらの因子が考慮されていない場合には、その旨を考察の部分で記載し、少し控え目に解釈する必要があるのではないか。
 2つ目に、大気汚染の健康影響については、短期影響急性影響に関しては、大気汚染の濃度が長期影響に比べて高く、寿命の喪失期間も恐らく短いので、先ほど言った1の他の因子の影響の補正の必要性を除いて、コメントは省略します。
 3つ目、大気汚染の長期影響、長期健康影響に関する表3.1について、内容を充実して、本文の文章を簡略化して、その上で表に結果を並べることで各種のコホート研究の概要、問題点、結果、それについての把握を容易にしたらどうか。これが3つ目でございます。
 また、4つ目ですけれども、まとめの記述が長過ぎて、割り切り過ぎている感じがあるというところでございます。
 以上でございます。

【内山座長】 幾つかコメントをいただいておりますが、特に新田先生、何かございますか。よろしいですか。

【新田委員】 まず、最初のコメントについてですが、少なくとも長期影響に関しまして一番重要だと考えられている2つの疫学調査、米国の6都市調査、それからACS調査に関しましては、先ほどの、もう繰り返し述べましたが、このような関連因子に関する種々の再解析が行われて、基本的には十分因子を考慮された結果に基づいた評価になっているというふうに私自身は考えております。
 それから、表の3.1を充実させるという点に関しましては、前々回も富永先生にご指摘いただいておりました。ちょっとこちらの作業上のこともあって一部の手直しにとどまっておりましたので、表の中の項目を充実させたいというふうに思っております。
 それから、最後のまとめが割り切り過ぎているということに関しましては、記述がもし不十分な点がございましたら、他の先生方からもご指摘をいただいて、具体的に説明を補充していきたいというふうに考えます。

【内山座長】 どうぞ、祖父江先生。

【祖父江委員】 まとめの作業の中で、この表3.1を充実させというところを実は担当していて、作業の中では余りきちんとまとめ切れずに中途半端な形で、ちょっと最後のまとめの表ができなかったんですが、それを見ますと長期影響を見たコホート研究ですけれども、なぜこのACSと、それから6cityスタディの結論を、結果を割と重視するかというと、ほかの研究のところは、もともと大気汚染と健康影響を見ようとしてデザインされたものではなくて、ほかのコホート研究に他の目的で開始されたコホート研究を大気汚染の要因をくっつけて後で解析したようなもの、WHIにしても、もともとは本論のリプレイスメント・セラピーの健康影響を見るために開始したものに後で大気汚染の影響をくっつけたというものですから、それなりに短所があると。曝露と健康影響の時間的な関係に関しても、その点、後で大気汚染のパラメーターをはかったものをくっつけたようなものもありますし、相当制約があると。その中でも比較的対象としているポピュレーションの代表性ですとか、そういったものを考えて6cityスタディとACSの調査は割と信頼が置けるというようなところがわかるように、3.1をきちんと、もうちょっと各コホートの特徴というのを記述した上でコメントをするといった方がいいのかもしれません。その辺、ちょっと不十分なことで申しわけありませんでした。

【内山座長】 そこら辺のところは、じゃあ、もう少し検討も必要だということでよろしいでしょうか。

【佐藤委員】 話を戻してしまうようで申しわけないのですけれども、先ほどのリスクファクターが大きいとか小さいとかという話ですけれども、高野先生のおっしゃったことと関連して確認しておきたいのですけれども、WHIの調査というんですか、これは低い方はかなり低いですよね、汚染濃度は。そういうことを考えた上でどう考えるかというのはやっぱり大事なような気がするんですけれども、平均値としてだけ考えるのではなくて、やっぱりどっちみちリラティブリスクを出すときのスタンダードになるのがどの程度の曝露量なのかというのはやっぱりきくんじゃないかなと思うんですけれども。それでこの表を見直してみると、何かかなり低い方は低いんじゃないかなという感じがするんですけれども。高野先生がおっしゃったのはそういうことですか。そういうことを考えてという。

【高野委員】 確かに内山先生のような考え方もあると思いますし、ちょっと新田先生にお任せしたいというようには思います。

【内山座長】 新田先生、何かよろしいですか。

【新田委員】 この長期影響の個別の論文を見ますと、例えば6都市調査ですと6つの地域の濃度があって、一番高いところと低いところでリスク比がどのぐらいかということの検討と、それから、それぞれの6つの地域の代表値を並べて、その傾きを見て10μg/m3単位とか、25μg/m3のその傾きの大きさというような表現をして、両者の表現がございます。この、きょうお示しした中では、その傾きの大きさとして全体を統一して表現をしておりますので、確かにどのぐらいの濃度範囲がこのそれぞれの地域にあったかということで、一番低い地域と高い地域でどのぐらいの差があったかということに関しては、非常に大きく地域の設定で変わり得るというように思いますが、傾きに関してはある程度それぞれ地域を通した評価が可能かなというように思っております。ですから、WHIもかなりの規模でかなりの地域の数で評価しておりますので、低いところの地域があるから高目のリスクというようには私自身は、解釈はしておりません。

【佐藤委員】 よくわからないのですが、リニアであればそうなるんですけれども。

【横山委員】 長期曝露のことに関して、その濃度範囲ということが今討論されているわけですけれども、それとは別というわけではないんですけれども、この、今日のご報告を拝見、僕は疫学のワーキンググループの会合に専門外の人間として何度も出席させていただいておりまして、疫学のワーキンググループの皆さん方が非常に熱心に本日を迎えていらっしゃることに対しては非常に敬意を持っている旨をまず申し上げておきたいと思います。
 その上で、短期の死亡の記述の中で気が付いたのですが、要するに死亡との関連の問題は低い濃度でも起こっているということが非常に大事な点だと思います、それが長期の方は先ほどから言われているとおり、どういう大気濃度の下で行われた調査であるかというのが示されているのですけれども、短期の死亡の方については、大体150μg/m3以下で起きていると思うんですけれども、そこのところはかなり重要なので、その記載をひとつ入れていただきたいという点が1点です。
 それと、これはワーキンググループのときでも少しお話にあったし、前のこの検討会でも出されたんですけれども、閾値のことです。呼吸器による症状、せきやたん、そういうものはもともと閾値があるとして取り扱うのが普通なんじゃないかと思うんですが、なぜ閾値というものがその場合に論じられなかったのかなと、今になってみると首を傾げるんです。循環器疾患の死亡でも普通閾値があると考えてもいいのではないかと思うんです。しかし、今までのタイムシリーズからコホート調査において、閾値ということではなくてリスク比という形でもって結果が出てきている。その理由はどこら辺にあるんでしょうか、新田先生。

【上島委員】 直接的な答えではないですが、大気汚染を喫煙と一緒と考えます。喫煙と循環器疾患に閾値ないんです。イベントも死亡も。だから、閾値なくても不思議ではないと私は思います。

【横山委員】 いや、私はやっぱり今までのいろいろな経験からして、一般的な呼吸器症状には閾値があるとして取り扱わないと、今までのいろいろな規制から学問体系が、がちゃがちゃになってしまうと思うんですけれどもね。

【上島委員】 少なくとも脳卒中とか心筋梗塞のイベントに関しては本数が上がれば上がるほど上がりますので、それは直線か曲線かは別にして閾値はないです。コレステロールももちろんないですけれども。

【横山委員】 私は今、循環器のことについては、ちょっと私言い過ぎましたので、それは撤回いたします。
 しかし、呼吸器症状に関しては、僕は、閾値はあると思います。なぜそこら辺のところが、従来でしたら例えばこれぐらいの濃度を超すと救急患者がふえるというような形でもって大気汚染疫学というものはやってきているわけでしょう。それがなぜ、そういうことをあんまりしないでリスクを論ずるようなことになっているのかなと。きょうお話を聞いていて、たしかこの閾値のことについては最初のころの検討会でもちょっと問題になったと思うんです。環境省の有害大気汚染物質に関する専門委員会では、要するに遺伝子障害性があるものについては閾値なしとして取り扱い、それ以外は閾値ありとして今まで取り扱ってきているわけでしょう。だから、今はこのままで行っていいと思うんですけれども、この先、例えば何らかの規制値を導くと思ったら、この値では出てこないわけです。どこかでもって線を引かなきゃならないですね。そうなった場合に、閾値というか、あるいは閾値的なものというものの論争というのは結構大変なことになるのじゃないかと思います。
 なぜそこら辺のところが今まで論じられてこなかったのかなということをちょっと今思いましたので、別にこの本論とは関係ないかもしれませんけれども、述べさせていただきました。

【内山座長】 何かご意見ありますか。

【新田委員】 横山先生、最初のご指摘の点の短期影響に関して、それぞれの地域の平均濃度、確かに何も、今回お示しした資料でも書いておりませんので、大体このぐらいのそれぞれ短期影響で影響が示されているような地域の濃度がこの程度だというふうな記載に関しましては追加したいというふうに思います。

【内山座長】 今までは発がん影響に関しては閾値があり・なしということを議論してきて、それ以外のものに関しては、一応閾値はあるということで環境基準等をやってきたということでよろしいでしょうか。最近はリラティブリスクを使うということは、相対リスクは、あれは、閾値はあったら計算はできないですよね。じゃあ、ないと仮定しているわけですよね、あれは。

【新田委員】 仮定というのは、計算上一応そういう仮定を、この報告書の方にも書いておりますが、先ほど申し上げたように、調査をしている地域の濃度の範囲の中で一応は傾きを見て、その大きさを評価する目安としてリスク比を出していると。ですから、それの範囲を超えて、低いところまで見て閾値があるとかないとかということに関して、今ある疫学データでは判断がつかないという意味で、閾値のありなしを言えないと申し上げたわけです。ですから、何かメカニズムに基づいてあるという判断ができれば、それに基づいて疫学知見を見直して、何か目安になるような値を出すことも、別にこの段階で閾値があるかないか判断できないというのは、そこまで否定して申し上げたわけではございません。

【内山座長】 よろしいでしょうか。

【香川委員】 話題を変えてよろしいですか。3点ほど発言したいんですけれども。
 まず閾値の問題ですが、これは私専門外なのでよくわからないんですけれども、内山先生がおっしゃったリラティブリスクにも関連しているんだと思いますが、今の粒子状物質に関して使われているモデルでは閾値が評価できるようなモデルは使っていないんですよね。

【新田委員】 ほとんどの場合、閾値が評価できるモデルはどの個別の研究でも使っておりません。

【香川委員】 使っていませんよね。それで、一部の研究者が、閾値があるんじゃないかというので曲線モデルを使用したりしていると、私、そういうところを書いていただくとわかりやすいんじゃないかと思いますが。
 それから、2番目はWHI、ウイーの研究ですけれども、これは私もう少し書き足していただきたいと思うんですけれども、今までは一般集団を使ってcardiovascularの影響を見ていたのが、その集団を特定しているわけですね、しかもリスクの高い、cardiovascular diseaseにかかるリスクが高い集団を選んで、そしてコホートを行ったところ従来のCVD、心血管系疾患のリラティブリスクよりも高いリラティブリスクが得られたというところに非常にオリジナリティがあって、そこが今、疫学的因果関係の面から高く評価されているので、そこをもう少し書いていただくと、さっき議論されていたようなことが起きにくくなるんじゃないかと思います。
 それから3番目は、これはどこかに書かれているのかもしれませんが、最近の疫学調査でタイトルとしてよく頻繁に目にするのが、traffic-related air pollutionというタイトルの疫学調査が非常に多いですね。そして、しかもその中で、我が国で行われている、いわゆる沿道調査、traffic-related air pollutionという大枠の中で行われているので終わっているのと、最近は、さらにその中でいわゆる沿道調査的な解析をしたものが結構増えていると思うので、ここで、私、そういう記載がどこかにあるのかなと思って見たんですけれども、余りないので、この量影響関係を評価する上で最近行われているTRAPというんですか、traffic-related air pollutionの略でそのTRAPの調査、これは最近の欧米のいろいろな総説的なものを見ても、このTRAPだけよく取り上げていますし、それから、現在アメリカのHEIでこのTRAPだけ限定したレビュー作業を去年から行っていて、私の聞くところでは近いうちに一部公表されるらしいんですけれども、それなんかは沿道のことにもかなり特定して評価されてきているんじゃないかと思いますけれども。日本は歴史的に見ると沿道調査というのが世界に先駆けて行われていて、それを欧米が最近、特にヨーロッパが日本的な沿道調査をかなり行ってきて、その結果が出てきているので、それはどこかに記載されているんでしょうか。

【新田委員】 最後の点、自動車の影響に関連してですが、まず22ページの上の方になりますが、5章の特定の粒子成分と健康影響の関係の最後のところで少し述べさせていただいております。香川委員ご指摘のとおり、自動車由来の汚染に関しての、我が国も含めてたくさんの論文が出ておりますが、疫学ワーキングでの評価といたしましては、この粒子状物質の影響、特に微小粒子状物質の影響の評価においてtraffic-related air pollutionということで報告されているものを直接取り上げて粒子成分の中で評価するというのは共存汚染物質の関係から考えて少し難しいのではないかなというような、ここでは書きぶりになっております。
 それから、もう一つ先ほどの最初のご質問の、閾値の問題ですけれども、それに関しましては、31ページの閾値のところで、閾値を含むようなモデルと含まないようなモデルの比較に関して、現状では統計的な意味でもどちらがよりデータに適合しているかというような観点では少し評価するのは難しいだろうというようなことで、一応そういう検討があるというのを意識はしておりますが、全体の書きぶりとしては直線、ロングスケールで、あるモデルの中で粒子状物質の濃度に対する影響を線型のものを与えたり、閾値があると与えたり、別の関数を与えたりというようなことを比較していくのは少し疫学のデータの限界から難しいのかなというふうに感じております。
 それから、前後しますが、Women’s Health Initiativeの研究の位置づけ、高感受性群というような位置づけに関しましてはもう少し記述をきちっと書き込んで、先ほど上島先生からもいろいろコメントをいただきましたので、含めて少し内容を充実させたいというふうに思います。

【香川委員】 あと、毒性学の場合でもそうですけれども、疫学も心血管系への影響というのが従来は呼吸器の方に注目が集まっていて、呼吸器系のリラティブリスクが評価されていますが、実際に出てきたのを見ると、循環器系への影響が、呼吸器系のリラティブリスクと、同等あるいはそれ以上の値を示すということが多いという、何かその辺は強調されてどこかに書いているんでしょうか。

【新田委員】 そういう書きぶりは現状の、きょうお示しした案の中には書き込んでおりません。全体の説明とも関係しますけれども、そういう記載で例えばWHOの各種の報告書等、それからEPAの報告書にそういう記載があるのは承知しておりますが、現状、ワーキングの議論では、やはり先ほどのお話と関連しますが、関連性の大きさに関しまして、今のいろいろな不確実性を考えると、しかも、我が国でのデータを含めて考えますと、呼吸器よりも循環器の方が影響の大きさが強く出ているという結論を下すのはちょっと難しいのかなと私自身思っております。

【香川委員】 私は強いと言っては言い過ぎかもしれませんが、従来は大気汚染が循環器系への影響はあるとは考えていたけれども、それほどではないと思っていて、我が国でもほとんどそっちの研究がされていなかったわけですね。でも、実際数字で上がってくるものはそうじゃないので、強いとか何とかというのはちょっと表現が問題としても、そういうニュアンスのことは、私は非常に大事なんじゃないかと思うんですけれども。

【新田委員】 先ほどのお示ししたまとめの最後の部分では、どちらかというと同列、循環器系も呼吸器系もというような書きぶりになっておりますので、それにより循環器系が重要だということがつけ加えられるかどうか、今の時点ではちょっと判断しかねるところもあるんですけれども、そのあたりは毒性学での知見とか含めた総合的な評価のときに、少し疫学だけではなくて、ほかのヒトのボランティアな曝露実験、動物実験含めた総合評価のところでの宿題なのかなというようにも考えております。

【香川委員】 あともう一つ、疫学の調査の対象地域の考え方というのが随分変わってきていますよね。昔は高濃度汚染地区と低濃度汚染地区という分け方で行っていたけれども、今はそういう地域が少なくなってきて、その中で沿道汚染が日本に限らず欧米も非常に注目されてきて、それに関連してきて汚染源もほとんど自動車排気ガスが主体だということで、traffic-related air pollutionという形で研究が進められてきて、その中で比較的汚染の高いところということで沿道汚染に注目をして解析を進めてきている。結果もやはり呼吸器系への影響もあるけれども、cardiovascular diseaseもかなり高い結果が出てきているという、そういう流れが変わってきているので、私、今日の報告を見ますと、そういうニュアンスがちょっと、もう少し私はその辺のところを書いていただけたらと思うんですけれども。

【新田委員】 traffic-related air pollutionの中で、例えばそれぞれの沿道でのPM2.5の濃度が測定されているようなものに関しては、当然全体の文献レビューでの評価の対象になっておりますし、それぞれの例えばEPAの、米国での評価、WHOの評価でも取り上げられていると思います。
 それから、先ほど自動車排ガスのところで、ちょっと検討が難しいというようなニュアンスのことを申し上げましたけれども、特定の成分で、つまりPM2.5の特定の成分というものの影響という意味で自動車排気ガスの何らかの成分というような議論はちょっと難しいだろうというふうに、そういう趣旨で申し上げました。PM2.5それからPM10というような粒子状物質の汚染で表現されないような自動車排気ガスの影響、もちろんいろいろな共存汚染物質の議論は先ほども申し上げましたように、中で、traffic-relatedというようなものの位置づけに関しましては、ご指摘のとおり、特に取り上げ、注目したという記載にはなっておりません。ですから、当然自動車沿道が、PM2.5が高ければ、その濃度なりの評価全体をまとめた評価になっているという、そのような考え方でまとめておりますので、いろいろな発生源、自動車に限らずいろいろな特定の発生源との関連というのは、米国のこういう評価文書でもかなり分量を割いての記載をされております。それに比べれば少し記載が不十分かなという気は私自身もしておりますので、少し内容を充実させる方向で検討をしたいというふうに思います。

【内山座長】 よろしいでしょうか。今の道路沿道のものについては、特にヨーロッパでは騒音、振動の影響というのも同時に評価されていて、その影響も大きいというのもあると思いますので、なかなか難しいとは思いますが、もう少しそこのところを工夫していただいて。

【横山委員】 今のtraffic-related air pollutionとおっしゃるけれども、中心になっている大気汚染物質というと、やっぱりNOXであり粒子状物質だろうと思うんですけれども、あるいはまた炭化水素等々あるかと思うんですけれども、何か特別なものが今アメリカなんかのそういう調査では考えられているんですか。いわゆる大気汚染物質として。

【香川委員】 特別なものというわけではなくて、いわゆる汚染源として自動車排気ガスが非常に多くのパーセンテージを占めているわけですね、一般の大都市の中で。そして、その中で従来はディーゼルの粒子とかそういったものに注目されておったわけですけれども、最近、ちょっとこの粒子とは外れるんですけれども、NO2がcardiovascular系にかなり影響を与えるというようなことが言われ出しておりまして、そういうことでtraffic-related air pollutionという大枠の中で粒子状及びガス状物質の影響を調べていこうという、そういう動きだと思いますけれども。

【上島委員】 今の理論の線でいくと、私もこれ、報告をずっと聞いていまして、基本的に関係の大きさについてはまだまだやっぱりデータは、例えば、たばこと比べると極めて少ないですよね。しかし、もし、ここに見られた関係の強さがWHI、1つ例を、もしこれがこれぐらいもし仮に本当にあるとすると、たばこは個人的に吸って自分で汚染している部分があるんですが、これは非常に、今、沿道の話が出ましたけれども、そこらで汚染されていて、それが本当に、その大きな影響が、たばこを吸っているぐらいの影響がもし仮に強さとしてあるとしたら大変大きな問題になるので、そこに関しては、むしろ今まで話であるように、沿道の汚染の調査とか何かをもっと疫学的に詰めていくという、むしろ作業が非常に重要なのではないかなというふうに思います。
 したがって、その欠落しているデータを補うというコメントがあってもいいかなというふうに思います。

【横山委員】 我が国としては沿道調査というものは結構いろいろやってきているわけですし、取り上げている大気汚染物質はNOXであり粒子状物質である。今も、環境保健部では「そらプロジェクト」という、まさにこれは沿道の調査をやっているわけです。もちろん、いろいろな見方、問題の切り方というのはあると思うんですけれども、そういうものは日本にもたくさんあるというのも事実でございます。

【香川委員】 確かに沿道調査は日本にたくさんあるんですけれども、今、環境省で行われている「そらプロジェクト」は心血管系へのことは全然触れていないですよね。これだけ世界的に注目されていながら依然としてぜんそくしか触れていなくて、心血管系への影響は全く触れていないし、それから…。

【横山委員】 あれは、一応出発点は子どもですから、あまりそこまではいかないんじゃないでしょうか。

【香川委員】 それから、我が国の沿道調査でも、先ほど内山先生がちょっとおっしゃった、騒音に関係しては血圧への影響とか、広い意味での心血管系への影響が幾つか調査されているだけで、欧米で現在行われているような焦点の当て方じゃないと思うんですけれども。ですから、そういう意味では我が国の沿道調査はちょっと遅れていると言ってはなんですけれども、もう少し心血管系に注目する必要があるんじゃないかと思います。

【横山委員】 私もね、従来の沿道調査が余りいい結果を生んでいない。それでもって現在「そらプロジェクト」に来ているんだろうと思うんですけれどもね。

【内山座長】 そこら辺のところは、また総合…。

【島委員】 香川先生がおっしゃいます沿道調査というのは、確かにヨーロッパ中心に非常にたくさん行われているのは私も存じ上げておりますけれども、今回のこの健康影響評価はあくまで微小粒子状物質の健康影響評価をやるというふうに私は理解しておりましたので、沿道調査の中でも、先ほど新田先生もおっしゃいましたけれども、PM2.5なりPM10の濃度がきちっと記載されているものについてはレビューしていますし、この文章の中に反映されていると思います。けれども、ガス状物質その他、さまざまなポルータントを含んだ自動車排ガス総体としての影響については今回はレビューはしていないのが実情ですね。ですから、それも含めてやりなさいということであれば、それはまた別途作業が必要になるかと思いますので。

【内山座長】 これは、一番、最初のときのレビューのときから、今回はPM2.5あるいはPM10の濃度が記載されているものを中心に文献レビューをしていくというお約束でしたので、これはまた道路沿道の、全体としてのまた疫学調査とは違った観点でレビューあるいは評価をしていくということだと思います。ですから、道路沿道が決して軽視されているということではなくて、今回のこの評価というのが微小粒子状物質曝露の健康影響評価ということですので、それに主眼は置いておりますけれども、今言われた指摘は確かに大事なことでございますので、総合評価のところでまた今後の課題なり、その点は少し言及していただくことも可能かと思いますので。

【香川委員】 自動車排気ガスが何か特別なことのように言われていますが。というのは、PM2.5もtraffic-related air pollutionにしたって、解析はやはり微小粒子に重点を置いて解析されているんですから、今現在の発生源ということを考えたら、いわゆる自動車排気ガスは複合体で、だから粒子状物質のことを余り評価していないというような言い方は私ちょっと納得できないので、traffic-related air pollutionだって解析自体はやはりPM2.5等を含めた微小粒子に重点を置いて解析されているんじゃないですか。

【内山座長】 今のお話は、そういうものに関してはレビューしてあるということでよろしいんですね。

【島委員】 そういうものについては少なくとも2006年の分まではレビューしていると思いますけれども。もし漏れがあればご指摘いただければ追加で行いたいと思いますが。

【内山座長】 今の香川先生のご指摘は、多少そこの書きぶりが少しまだ弱いのではないかということで、先ほど新田先生がお答えいただきましたように、そこは少し工夫をしていただくということと、今ちょうどレビューの期限が出ましたけれども、文献は、今回は2006年までを中心に文献レビューをしていただいて、その後に出てきているものに関しては、委員等で特にこの文献は重要だというようなことのご指摘があれば、それをここに、またレビューをして検討に加えていくという形で進めてきていると思います。今回も主に、一番、最後の文献を見ていただけば2007年のものが1つ2つ入っていて、主に2006年までのもので取りまとめているということでございますので、また、次の段階で、あるいはこの環境基準等のものは1年ごとに新しい文献をレビューして、また、環境基準等の設定に反映していくということにはなっておりますので、今回の影響評価では2006年までが中心で、それプラス重要なものに関しては2007年も拾っているということでご理解いただければということでよろしいでしょうか。
 それから、何回か香川先生からもご指摘いただきましたように、どんどん新しい文献が出てきてはいると思いますが、どこかで区切りませんと評価手法まとまりませんので、とりあえず2006年までを中心に、さらにそれ以後で重要なものはここにピックアップしていくということでよろしいかと思います。
 その他にございますでしょうか。
 それでは、大体ご意見が出てきたと思いますので、また、これに関しては少し今日ご議論いただいたところで修正等が、また、ワーキンググループ等でご検討いただければというふうに思います。
 それで、大体2時間たちましたので、ここで一旦、休憩をしたいと思います。10分ほど休憩をいただきたいと思いますので、4時20分から再開ということにいたします。

(午後4時10分 休憩)
(午後4時20分 再開)

【内山座長】 それでは、4時20分になりましたので、お休みいただきましたので、続けて審議を進めたいと思います。
 これまで5つの分野に関しましての知見をいただきまして、今後議論の必要なところが残っているところでございますけれども、今後の取りまとめに向けて、参考資料ですが、健康影響評価の検討・整理の考え方のうち、適切な粒径のカットポイントの検証に関してご議論いただきたいというふうに思います。
 カットポイントの検証に当たりましては、5つの分野に関する知見を統合して判断する必要があるということから、私と、それから各ワーキンググループ長と少しご相談させていただきまして、別添の資料2のカットポイントに関する論点整理の資料をまとめてみましたので、事務局の方からこの資料を少し説明いただいて、その後、少しご議論いただきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。

【松田補佐】 それでは、事務局の方から資料2の適切な粒径のカットポイントの検証について説明させていただきます。
 粒子状物質は、形状や粒径も多様で、また発生起源によって異なる成分を含み得ることから、化学的、物理的性質が異なる。粒子状物質の持つこれらの多様な性質が、呼吸を通じて吸入する粒子の気道内の沈着場所及び除去の経路を決定することになる。
 これまで、世界各国において行われた粒子状物質の環境基準の設定や、多くの研究者による粒子状物質の健康影響に関する研究において、さまざまな性質を有する粒子状物質を定義するに当たり、空気力学的直径によりカットポイントを設定して基準や研究の対象となる粒径範囲を特定してきた。これは、粒子状物質の大気中の挙動や気道内に吸入した後の体内の挙動から、粒子の粒径がヒトヘの健康影響に関して重要な要素となるためである。
 今般、粒子状物質の健康影響評価の作業を行うに当たって、粒子状物質の特性、曝露評価、生体内沈着及び体内動態、毒性学研究や疫学研究に関する知見の整理を行ってきたが、これらの知見を踏まえ、粒子の物理的・化学的要素、曝露データ、吸入粒子の生体内挙動、科学的知見の蓄積等、実態面からの検討材料を提供し、この微小粒子や粗大粒子に関する粒径の適切なカットポイントを検証すると。
 それについての(1)番、物理的・化学的要素からの検討。これについては粒子状物質の特定に関する知見の整理から引き出しています。
 1つ目に、環境大気中に存在する粒子は広い粒径範囲に分布するが、重量濃度分布では、粒子径が1μm付近に谷を持つ二山型を示し、この山のうち粒径の大きい方が粗大粒子、小さい方が微小粒子に相当する。
 粒子は、その粒径から核形成モード、蓄積モード、粗大粒子モードに分類されるが、核形成モードの粒子は、凝集により速やかに蓄積モードの粒子に移行するが、0.1〜1.0μmの大きさとなった蓄積モード粒子は粗大粒子にはほとんど成長しない。
 その一方、相対湿度の高い状態下では、吸湿性の蓄積モード粒子は微小粒子と粗大粒子が重複するサイズ(1μm〜3μm)、場合によってはそれより大きい粒子に成長する。
 粗大粒子は地殻物質及び有機堆積物などの機械的な破砕や磨耗等により微細化して発生するが、微小粒子は燃焼に伴う元素状炭素や有機化合物等並びにガス状物質からの光化学反応による硫酸塩、硝酸塩、有機化合物等の粒子として存在しており、主な発生源は人為由来である。
 超微小粒子や粗大粒子の大気中での半減期は数分から数時間であるのに対し、蓄積モード粒子は数日から数週間にわたり大気中に存在することから、空間的により均一に存在し、環境や人の健康には蓄積モード粒子が大きく関与することになる。
 (2)番目、曝露データからの検討。
 1)大気環境濃度。国内の粒子状物質の大気環境濃度について、1999年以降、SPM濃度は明瞭に低減傾向にあり、PM2.5濃度は、微小粒子状物質曝露影響調査の測定結果から自動車排ガス測定局で減少割合が大きい傾向が見られる。この背景には、自動車の排ガス規制等の施策によって、人為発生源起因の粒子が削減されたことによるもの。
 粒子状物質の成分に関して、自動車排出ガス測定局では元素状炭素の占める割合が最も多い。一般環境大気測定局のうち都市部と非都市部を比較すると、都市部では硝酸イオンの占める割合が多く、非都市部では硫酸イオンの占める割合が多い。
 粒子状物質の粒径分布に関して、自動車排出ガス測定局では微小粒子側の粒径の濃度が一般局に比べやや高い。一般環境大気測定局では微小粒子、粗大粒子ともに都市部の方で濃度が高く、特に微小粒子でその差は明瞭である。
 近年の粒子状物質の成分や粒径分布のデータから見て、微小粒子は粗大粒子と比較して人為発生源の寄与率が高く、大気環境保全の施策実施による効果があらわれやすい。
 春季には黄砂が観測されるため、ほかの季節に比べSPM及びPM2.5濃度が高くなることがある。ただし、黄砂のピーク粒径は4μm程度であるため、SPMに比べ、PM2.5に対する彰響はかなり小さい。
 2)個人曝露。大気中の粒子状物質濃度と個人への粒子状物質の曝露の相関を明らかにするためには、1)環境大気濃度と家屋近傍の居住空間に近い大気濃度との関係、2)居住空間に近い大気濃度と家屋内の濃度との関係、あと、ちょっとここで記述していないんですが、3)として、家屋内濃度と個人曝露濃度の関係を観察する必要がある。
 一定の地域内において、PM2.5の一般環境測定局の測定結果と地域内の家屋の屋外濃度は大きな差がない結果が示されている。また、屋内濃度と個人曝露量との間に強い相関があり、屋内濃度の方が屋外濃度よりやや低いか同じレベルである。
 粒子状物質の個人曝露は、屋外の一般環境から曝露されるほか、外気から屋内に侵入した粒子状物質、屋内で発生する粒子状物質等の非大気環境からの曝露も含まれる。
 屋内への粒子状物質の侵入は空気交換率に依存するものの、屋外環境の粒子は、0.1μmから0.5μmの粒径の粒子の侵入率はほかの粒径の大きさの粒子よりも高く、PM2.5に該当する微小粒子は、粗大粒子に比べ屋内に侵入しやすく、屋外濃度との差は小さい。
 微小粒子のうち蓄積モード粒子については、粗大粒子や超微小粒子と比較して地域全体に均一に分布し、屋外から屋内への侵入率も高く屋外濃度との差が小さいことから、PM10以上に個人曝露濃度との相関が強いPM2.5の環境濃度は、粒子状物質の著しい屋内発生源がない場合には個人曝露濃度の代替指標となり得る。
 (3)番目、吸入粒子の生体内挙動からの検討。粒子状物質の気道内の沈着パターンは複雑である。すなわち胸郭外領域、気管気管支領域及び肺胞領域における超微粒子、蓄積モード及び粗大粒子の沈着は、それぞれ活動量や呼吸量の増加及び口・鼻呼吸によって複雑な変化を示す。
 沈着率の傾向として、胸郭外領域では0.01〜1μm、これは鼻呼吸です。及び、これは0.01〜3μm(口呼吸)までの粒子は沈着率が低い。気管支領域では0.05〜2μm(口呼吸)、また、0.05〜10μm(鼻呼吸)までの粒子の沈着率が低い。肺胞領域では0.1〜1μm、超微粒子の下端、粗大粒子の上端モードでの沈着率が低い。
 微小粒子全般に関しては、粒径の大きさや呼吸器の部位によって沈着の挙動が異なることから、沈着率の観点から粒子サイズ域を明確に区別するカットポイントを見つけるのは容易ではない。
 0.1〜1μmの蓄積モード粒子は肺内に沈着しにくいものもあり、一部の粒子は肺の中で保持されているときに次第に沈着されるものもあり、呼吸器内の湿度の影響を受けて膨潤化して沈着するものもある。吸湿性が気道内粒子沈着パターンに影響を及ぼすものもある。
 一方、粗大粒子に関してその粒径分布に応じた粒子の沈着率を見ると、10μmを超過する粒子に関しては多くが胸郭外領域で捕捉され、気管気管支領域や肺胞領域の沈着率が低いことから、粗大粒子の上端が10μmとする従前の知見に変更はない。
 (4)実態面からの検討。粒子状物質のヒトヘの健康影響を調査するため、毒性学や疫学に関する膨大な研究が行われている。これらの文献レビュー結果から、粒子状物質を粒径で分画して微小粒子の影響を見る研究は、カットポイントを2.5μmとする研究が大半であった。
 この理由としては、米国では、微小粒子状物質による健康影響に関する研究が先導的に実施されていて、1970年代に当時の新式の2分級サンプラーでは2.5μmのカットポイントが選択され、微小粒子として測定されてきたことが発端になっている。
 米国において1997年にPM2.5の大気環境基準が設定されて以降、PM2.5の測定法が設定され、測定データがさらに蓄積されることによってPM2.5を微小粒子のカットポイントとする考えがさらに一般化され、米国以外の国の研究機関や研究者が行う研究にも影響を与えたと推察される。
 粒子状物質を粒径で分画して粗大粒子の影響を見る研究は、近年、米国を中心にPM2.5-10の研究が行われているが、知見の蓄積に関しては、粒子全体の影響を見るものとして、欧米ではPM10、国内ではSPMを対象にカットポイントを10μmとする研究が大半であった。
 あと参考に、日米における粒子状物質のカットポイントについてということで、我が国では、SPMの環境基準を1973年に設定したが、浮遊粒子状物質、SPMですけれども、の指標に関して粒径に着目して、粒径10μm以下の粒子を対象としている。
 この理由は、以下に示す当時の医学的な知見に基づくものである。
 (1)10μm以下の粒子は、沈降速度が小さく、大気中に比較的長期間滞留する。
 (2)10μmを超える粒子状物質は鼻腔及び咽喉頭でほとんど捕捉されるが、10μmから5μmの粒子は90%が気道及び肺胞に沈着し、呼吸器に影響を与える。
 (3)2〜4μmの間の粒子状物質の肺胞沈着率は最大である等の当時の医学的な知見に基づいているものである。
 なお、粒径が10μm以上の粒子が100%カットされる粒径の粒子を評価の対象としており、米国のPM10は10μmの粒子が50%カットされる粒径の粒子を評価の対象としていて異なる。SPMをもしPM10と同じ基準であらわした場合はPM6.5〜PM7程度である。
 米国では、1997年に、PM2.5についての基準をPM10に加えて行っておりますが、それについては2.5μm以下の健康影響に関する知見の存在や微小粒子や粗大粒子の発生源の相違、体内の挙動の相違によるものである。
 その後、2006年に科学的のさらなる蓄積を踏まえ、PM2.5の環境基準が一部見直しされましたが、その際にクライテリアドキュメントによりますと、微小粒子のカットポイントを1μmとする案も検討されたが、以下に示す各地域の粒子の分布の点検結果から、微小粒子をより完全に捕集する必要があることからカットポイントを2.5μmとすることを妥当とした。
 そこで事例として、(1)ロサンゼルスについては、相対湿度が高い条件下で、微小粒子が成長して粒径の上端が2.5μmを超えるものが発生すること。(2)フェニックスにおいて、粗大粒子の粒径の下端が1μm未満になるものが見られた。
 以上が、この資料2でございます。

【内山座長】 ありがとうございました。ただいまの事務局の方から説明のありました適切な粒径のカットポイントの検証ということに関して、先ほど申しましたように、それぞれの分野の関係するところでありますので、坂本先生、高野先生、小林先生、新田先生から何か追加的なコメントがございましたら。

【坂本委員】 今ご説明いただいた資料は、これまでに何度か議論をして決めたものでございますので、特に申し上げることはないのですが、一応明確にここに書いてないものとしては、今ここで2.5μmをカットポイントとするといったときに、50%カットであるということをきちんと言っておかないといけないのかなという気がいたします。
 それで、これについてはここでもいろいろ書いてありますように、発生の形態、それから、自然起源、人為起源、そういったものを考えると、ヨーロッパの方で1μmという形があったり、それから、ある時期米国でもそういうことが検討されたという時期も承知をした上で、以前の測定方法を調べ、検討する委員会等々でもいろいろ議論をした結果、さまざまな、今ここでお示ししたようなデータを考えれば2.5μmが適切であろうという形で、今までいろいろな調査も積み上げてきたということもございますし、今ここで書いたような形でほぼよろしいかと思います。

【小林委員】 私の方も生体内挙動からの検討がこれで、これまで議論してきた内容ですので、よろしいかと思います。

【内山座長】 高野先生、何か追加ございますか。

【高野委員】 私の方からも、特に、2.5以外に何かほかの変曲点のようなものを指摘できるかというと、そういうこともございませんので、これでよろしいかと思います。
 強いて申しますと、CAPsが2.0で切っているというところはあるんですけれども、じゃあ、2.0と2.5の違いは何か、ほかに指し示すデータがあるかと申しますと、それもございませんし、また、CAPsの場合はナノが除外されているということもございますので、強いて2.0を特に重視する点もないかということで、特に異存はございません。

【新田委員】 米国の方では2.5を前提にここに書いてありますように、普通の影響研究がほとんどだということでございます。ただ、重要な疫学調査の中で米国の6都市調査の中では、過去の経緯で、つまり環境基準は米国で2.5とする以前から微小粒子を測定したということで、一部粒径のカットポイントを違うような測定器を使っていたものを全部合わせてということで、2.1だったり、上の方のPM10ではなくてPM15だったりとかというのを含めた評価になっておりますが、質量濃度として議論で問題になるような点はないのかなというふうに思っております。

【内山座長】 今、それぞれの分野のワーキング長からもコメントがございました。
  私も1995年でしたか、PM2.5の国際シンポジウムを東京でEPAの方を呼んで開催したときに、いろいろお話あるいは討論をした記憶があるんですが、その当時はEPAの方も、日本は、SPMは100%カットだということで、PM10と違うということは十分EPAの方も認識されていて、日本の場合はPM1.0にしてもいいんだよと、まだその当時PM2.5の基準もなかったので、そういう議論をしていたんですが、そのときに、3ページの下に書いてあるように、たまたまアメリカは2分級サンプラーが2.5のカットでだんだんデータが集まってきているので、そこを考慮してやっていると。ただし、日本の場合はSPMがPM6〜PM7ということなので、PM2.5とそれほど差がないのでPM1.0にしても全然問題がないというような話をしていた記憶があります。
  ただ、その後にいろいろなデータがそろってくると、むしろ最後のページに書いてありますように、PM2.5とした方が微小粒子を漏れなくとらえるということになってきていますので、すると疫学調査等がほとんどPM2.5で行われてきているということを考え合わすと、ここに書いてあるような流れなのかなという、私も気がしております。

  各委員のご議論をいただき、あるいはコメントをいただければというふうに思います。

【坂本委員】 先ほど落としていたこととしては、日本の場合は黄砂の影響がありますので、西日本等ではそういう部分が当然ある割合入ってくるということはもう承知の上でこれは考えているんだという理解をしていただければありがたいと思います。

【内山座長】 これは、ピークは4μmよりもうちょっと小さいのではないですか。黄砂のピークは。

【坂本委員】 黄砂の末端が土壌絡みのところも、末端の方は2.5μですと一部そこへ入ってまいります。ただし、それは量的な問題があって、非常に人為起源のものが減ってきた場合には、そのウエートは当然上がることにはなりますけれども。

【工藤委員】 余り本質的なことじゃなくて、文言ですが、この(3)のところ、吸入粒子の生体内挙動からの検討というところで、胸郭外領域というのと気管気管支領域という用語が使われているんですけれども、これは気管も胸郭外領域、気管切開をするところは胸郭外でやりますので、これは気道は口頭から上を上気道、鼻腔までを上気道、それから、気管から下は下気道というふうに定義されていますよね。これは「上気道、下気道及び肺胞領域」というようなことに統一された方が誤解を招かないでいいと思います。  それから、もう一つ、これも細かいことですけれども、最初の3行目のところに「活動量や呼吸量の増加」というのは、これは「活動量」というのは何を言わんとしていることですか。結局、活動量、肉体的な活動量というのは、最終的には呼吸量に影響してくるわけですから、すなわち「呼吸量」でいいわけですね。「活動量」は要らないんじゃないかと思います。活動するとほこり立てるとかそういう話じゃないですよね。

【松田補佐】 確かに重複している部分ではありますので。

【工藤委員】 正確には、これは「呼吸量」と書いていますが、本当の医学用語としては「換気量」です。

【内山座長】 ありがとうございました。そのほかございますでしょうか。

【島委員】 それほど本質的なことではないんですけれども、2ページの曝露データの大気環境濃度のところでちょっと確認させていただきたいんですが、1つ目の丸で、99年以降低減している、自動車排ガス測定局で減少割合が大きいというように書かれておりまして、3つ目には、自動車排ガス測定局は一般局に比べてやや高いということですけれども、これは低減してきても、なお自排局の方がやや高いということですか。

【松田補佐】 そうです。これは曝露に関する知見の整理の中でお示ししたものから出していますので、これは事実としてそうなっているということです。

【島委員】 わかりやすくするためには、ちょっとその辺の関係を明示していただいた方がよいのではないかと思ったものですから。

【坂本委員】 あと、ここのところは1つ言葉が抜けているかなという感じですね。今、2行目の「一般大気測定局では」というのが、どこと比較をしているのかというのが見えなくなっていて、ここでは都市部の方で濃度が高いということで、だから「非都市部」とか何かという言葉を入れないと、一般環境大気測定局の中でデータをまとめたときに、都市部と非都市部という形でたしか分けていましたので、それを言っているわけですか。それとも、自動車排ガス測定局…、でいいですよね。

【松田補佐】 いえ、ここは文章を切り取る過程の中でわかりにくくなってしまうところがあるので、本日この資料をお示しした後に、カットポイントの検証という部分についての文章を作成する際には、島先生からもご指摘があった点についても含めて反映をしていきたいと思います。この点は内山座長と相談をしていきたいと思います。

【新田委員】 島先生ご指摘になった点、ちょっともう一度確認させていただきたいんですが、(2)の1)の3番目の丸の「自動車排出ガス測定局では微小粒子側の粒径の濃度が一般局に比べてやや高い」というところですが、その前に私、粒径分布に関してとあったので、粒径の濃度の割合がというつもりで読んだのですが、そうではなくて絶対値ということでしょうか。自動車排出ガスでは微小粒子の方が粗大粒子よりも比率として多いという趣旨なのかなとちょっと思って読んでいたんですが。

【松田補佐】 1)で大気環境濃度と書いてまして、その下に並べているというところもあって、それで、粒子状物質の成分に関しては、粒子状物質の成分に関する大気環境濃度で比較するとどうかと。粒径分布の大気環境濃度で比較するとどうかということで書いています。確かにわかりにくくなっていますので、ここは本日の資料ではポイントを簡潔にしましょうということで、逆に誤解を与えてしまっていますので、その点は十分にわかりやすいような形で修正をしていきたいと思います。

【内山座長】 そのほかいかがでしょうか。

【若松委員】 坂本先生から黄砂の話が、説明があったんですけれども、若干補足というか解説というか、少し言葉をつけ加えたいんですけれども、粒径ピークが4μかという話にも関係するんですが、黄砂っていろいろな黄砂があって、例えばタクラマカン砂漠から飛んでくるやつとゴビ砂漠から飛んでくるやつというのは、かなり飛行距離が違うんですね。飛んでくる間に重たいものはどんどんどんどん落ちてきて、日本に来る間に粒径分布が決まるんですけれども、黄砂のイベントの種類と距離によってかなり粒径は幅があるというのが1つです。全部平均すると4μ程度かなというのが相場観ということで、もちろん日本の西の地域と東京とか北海道に行く黄砂とはやっぱり距離が違うので、そこで差が出るというのはあるんですね。ですから、平均的なという意味です。
  規模はかなり小さいという表現をしているんですけれども、「SPMに比べて」という言葉が前に入っていまして、絶対値としてはかなり黄砂が来るときはPM2.5も結構量としては存在しています。ですから、ないということではなくて、その影響はSPMに比べてかなり小さいというような意味としてご理解いただいた方が正確かなという気がします。
  それから最近、黄砂が来るときに大気汚染も一緒に来ることがありまして、純粋な黄砂だけの話は、これで記載は間違いないんですけれども、大気汚染と黄砂が、特に黄砂が低い高度を通過して、中国とか韓国とか大陸地域の汚染物を一緒に持ってくることがあるんですね。そういった場合には、あたかも黄砂が来たときにPM2.5が高くなることがあるんですね。それは黄砂の影響というよりも、むしろ黄砂と一緒に来た物質がそういったことをもたらしているということですので、その辺、黄砂が来る時には、PM2.5はそれほど高くならないよという意味ではなくて、黄砂が来たときに汚染が一緒に来たときにはかなりそれは、黄砂だけの場合よりも影響があるということはあるので、その辺ちょっとこれは、報告書のものは一部を抜き出して書いていますので、ちょっとその辺のことを解説つきで外に出した方が、誤解がないのかなという気がします。  以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。

【松田補佐】 最初に言われました黄砂の中にもPM2.5が含まれるという部分については、もう少しそのニュアンスを入れるような形でちょっと修正をしたいと思います。
  また、黄砂以外の大陸からの汚染という部分については、これについてはむしろカットポイントの検証という部分よりは粒子状物質の特性のところの環境動態、または曝露情報、どちらかの部分に該当するところがあるかもしれませんので、この点に加筆するような形でお願いしたいと思います。

【内山座長】 そのほか、いかがでしょうか。

【溝畑委員】 粒径分布だけを見ると、マス濃度だけで見ると何とかそれでいいのかなと思うんですけれども、実際は影響ということになったら、やっぱり化学成分が問題になると思うんですよね。先ほど来の議論でもあったんですけれども、いわゆる肺胞の奥まで入るということからすれば、うんと小さいだけ、例えば0.5μ以下の濃度だけを見てやればはるかにわかりやすいなと、私は門外漢ですけれどもそういうように思いますし、実際沈着量を見たら全然違うので、その辺はもっとはっきりするんじゃないかと思いますし。
  いわゆる粒子のでき方からすれば燃焼起源で、大きな粒子ができるといっても、実はあれ、海塩粒子なんかがありますと、それはガスと反応して粗大粒子側にやっぱり、粗大粒子と言っても小さい方ですけれども、表面積の関係で小さい方と反応する割合が多くて、硝酸なんかはそこにたくさん吸着してできるという、硝酸と海塩粒子と反応した粒子ができるとかがありますし、例えば車のブレーキから出る金属なんかは粗大粒子側なんですけれども、微小粒子に近い方に非常に偏った形で発生するので、そういうことを考えていくと、いわゆる濃度だけで評価しているときはあんまり問題にならないんですけれども、次のステップとして、香川先生なんかがおっしゃっている、要するに金属成分が問題だとか、ほかの成分が問題だというのは、多分アメリカのHEIですか、あそこなんかは非常に精力的にその辺の調査をされていますし、そういう意味からいったら疫学調査のデータもあるので、PM2.5というのはしようがないかなという気もしますし、黄砂みたいな不可抗力の成分も、これからもし基準をつくってということになったときには、逆に言ったらどうにもならないという非常にジレンマがあるんですけれども、非常にまたそういうところに人為的な発生源もあるので、まあまあその辺のデータをとるという意味からいったら、粗大粒子と微小粒子という、完全に切ってしまうのはちょっと、ヒトの影響からすればちょっと問題があるのかなというふうに思います。
  ですから、全体の流れからいったらPM2.5でということと、将来的に言ったらもっと小さい粒子も両方見るようなことをすれば将来的な参考になるんじゃないかなというようなことを考えていますけれども。

【内山座長】 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
  事務局からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
  それでは、きょうの議論を踏まえて、またきょうお示しした論点資料をベースに適切な粒径のカットポイントに関する評価文書を、また、ワーキンググループ長と相談しながらまとめていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、次回の検討会において前回及び今回の検討会における5つの分野に関する知見の整理に関する課題についてご議論をいただこうというふうに思います。それから、健康影響評価の検討整理の考え方のうちの有害性同定に関する整理に関してご議論いただくということにしたいと思いまして、きょうは予定より大分早いですが、よろしいですか。十分な議論はいただいたと思いますので、予定よりは大分早いですが、きょうの会議はこのぐらいにしたいと思います。
  それでは、事務局の方お願いします。

【松田補佐】 本日は長時間にわたってのご審議どうもありがとうございました。本日の議事要旨、議事録については各委員にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
  また、次回の検討会は来月の21日を予定しております。先生方、大変お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。
  それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。

【内山座長】 どうもありがとうございました。