環境省大気環境・自動車対策微小粒子状物質健康影響評価検討会

第5回微小粒子物質健康影響評価検討会 会議録


1.日  時

  平成19年12月25日(火)14:00〜17:53
              (休憩 16:31〜16:38)

2.場  所

  虎ノ門パストラル5F ミモザ 

3.出席者

(委員)
安達 修一    上島 弘嗣    内山 巌雄
香川  順     川本 俊弘    工藤 翔二
小林 隆弘    坂本 和彦    佐藤  洋
島  正之     祖父江友孝    高野 裕久
富永 祐民    新田 裕史    溝畑  朗
森田 昌敏    横山 榮二    若松 伸司
 
(環境省)
竹本水・大気環境局長
岡部総務課長
松田総務課課長補佐

4.議  題

  (1)微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する知見の整理について
  (2)既存の長期曝露調査の活用について
  (3)その他  

5.配付資料

  資料1   微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する知見の整理について
   資料1−1 粒子状物質の特性に関する知見の整理
   資料1−2 曝露評価に関する知見の整理
   資料1−3 生体内沈着・体内動態に関する知見の整理
   資料1−4 毒性研究の健康影響に関する知見の整理
   資料1−5 疫学研究の健康影響に関する知見の整理
  資料2   健康影響評価の検討・整理の考え方について
  資料3   既存の長期曝露調査の活用について

  参考資料1 委員名簿
  参考資料2 ワーキンググループの設置について
  参考資料3 健康影響評価検討の進め方
  参考資料4 健康影響評価にあたっての検討項目

6.議  事

【松田補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回微小粒子状物質健康影響評価検討会を開催いたします。  それでは、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。配付資料の一覧を読み上げます。  まず、資料1として、微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する知見の整理について、資料1-1から1-5までの資料がございます。なお、この中に資料1-4、毒性学研究の健康影響に関する知見の整理につきましては、3分冊に分けております。まず、最初に導入と書いておる部分と、3番目、循環器への影響、あと、5番目、変異原性等、この3分冊に分けております。その次に、資料2、健康影響評価の検討・整理の考え方について、あとは資料3、既存の長期曝露調査の活用について、それと参考資料を4つつけております。もし、資料の不足がございましたら、お申しつけいただければと思います。  それでは、これ以降の会議の進行は、開催要綱により座長が会議の議事運営に当たることとされておりますので、内山座長にお願いいたします。

【内山座長】 皆様、きょうは年末のお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 きょうは2時から6時までということで、また長丁場になってございますので、できれば中に少し休憩をとらせていただきたいと思います。年末でお忙しい先生も、後の会議も控えておられる先生もいらっしゃいますので、できるだけ6時に終わりたいと思いますので、効率のよい議論をお願いしたいと思います。
 きょうは、議事として主に二つございます。1番目が微小粒子状物質の健康影響評価の検討事項に関する知見の整理についてということと、2番目に既存の長期曝露調査の活用についてということでございます。
 まず、議事の1でございますが、これは前回の会議におきまして設置のご承認をいただきました、曝露、毒性、疫学の各ワーキンググループにおきまして、それぞれの各分野における評価文書の原案作成に、何回も会合を開いていただきまして、検討を進めていただいているところです。きょうは各ワーキンググループ長から検討事項に関する現時点の進捗状況をご説明いただいてそれをご議論いただきたいというのが、きょうの議題の趣旨でございます。
 本日配付のお手元にある資料に掲載されているとおり、それぞれの検討事項についてのまだ途中段階ということで、検討会における討論のたたき台という性格のものでございます。きょうの議論を含めて、さらにまたワーキンググループで議論をお願いすることになろうかと思いますので、きょうの資料はその途中段階ということでご了解いただければと思います。
 それでは、まずは粒子状物質の特性に関する検討ということで、進捗状況につきまして、曝露ワーキンググループ長の坂本先生からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【坂本委員】 それでは、曝露ワーキングの方から報告申し上げます。
 まず、資料1-1をごらんいただきたいと思いますが、この資料1-1では何が整理されているかと申し上げますと、特に粒子状物質の場合にはほかの汚染物質と違って非常に多くのものが混ざっている。例えば、硫酸塩、硝酸塩それから有機物。このようなことがあるために、測定方法や、それから性質についても、さまざまな問題、工夫しなければいけない点がございます。このため、ここでは粒子状物質の物理的な特性、化学組成、生成機構、大気中挙動、それから、発生、消滅に関するところ、環境動態、これらをまとめ、そして、そのあと、さらに大気中濃度の測定方法をまとめてございます。
 まず、2ページをごらんいただきたいと思います。2ページに図1.1.1というのがございますけれども、粒子状物質にはご承知のように三つのモードがございます。一番大きいところが、今ここでは大体5μm前後のところが中心にございます粗大粒子モード、それから、真ん中のところの0.2μm ないし0.3μmぐらいのところにございます蓄積モード、そして、さらに、小さい0.02μmぐらいのところに中心がございます核形成モードがございます。それぞれのところは生成の仕方、例えば、一番大きいところですと、物理的なメカニズム、例えば、水が細かく、液滴になるようなこと、それから、石と石がぶつかって細かく崩れるような事とか、そういった形の比較的自然起源、もしくは物理的な、例えば、道路を車が走ってタイヤ磨耗とか、そういったものがここにございます。その一方、真ん中にあるところは、大気中へガスとして出てものが反応して、揮発性の乏しいものになって粒子になっていくようなもの。それからもう一つは、蒸気から非常に小さい一次粒子ができて、それが凝集して、要するに細かい粒々がそれぞれ合体して、この真ん中のモードに移るというようなことがございます。
 この粒径というのは消滅の仕方にも関係してございまして、これは大きい粒子ですと重力沈降、それから、一番小さいところですと、濃度が高いときにはそれぞれの粒子がお互いに拡散、衝突して、大きい方の粒子に凝集して成長するという形で、真ん中の粒子になります。そういう意味で、真ん中の粒子の場合には、この消滅機構というのは、降水、雨が降る、雲粒になって、雨になって落ちてくる、そういった降水機構を伴わないものは余りございませんので、結局ここのところが滞留時間が一番長い粒子となります。そして、ここのところは、いわゆるPM2.5というような言い方をした場合にその主な質量を占める部分でございます。
 それから、その次のページをごらんいただきたいと思いますけれども、図1.1.2に、これは、今申し上げた粒径がモードとして三つあると申し上げましたけども、これはそれぞれ数濃度で見た場合には一番小さいところ、それから、表面積で見た場合には真ん中のところ、それから、質量とか体積で見た場合には蓄積モードとそれから粗大粒子のところが大きくなるということでございます。
 それから、この図のすぐ下のところに、ちょっとここにつきましては、少し読ませていただきますけれども、粒径のカット特性についてですが、日本のSPMの環境基準は10μmで100%カットということになってございます。それに対して米国のPM10、PM2.5、これはそれぞれ50%カットが10μmと2.5μmカットになっているということでございまして、日本のSPMは、もし50%カットでいった場合には、多分、6.5μmとか7μmぐらいで50%カットしているものに相当するということでございます。
 それから、次に、6ページをごらんいただきたいと思います。6ページの表2.1.1に、粒子のそれぞれ粒径別に発生、除去、それから、どういったものがあるかというものが整理をしてございまして、先ほど申し上げました大きいところですと、一次発生の粒子や自然起源の粒子、一方、小さい方の粒径、微小粒子になってきますと、二次生成の粒子や燃焼系の一次発生の粒子がある。そして、それが先ほど申し上げたような生成の仕方それから消滅の仕方、それぞれ特徴がそこに整理をしてございますけれども、特に微小粒子の蓄積モードのところは、大気中の寿命が長いというところで、非常に広範囲の影響を受けるということになります。
 それから、次の図3.1.1をごらんいただきたいと思いますが、9ページでございます。9ページをごらんいただきますと、ここに今、用語の説明、先ほど申し上げました小さい粒子がたくさん集まって大きくなっていくという場合、それから、小さい粒子の上にガス状の物質がくっついて粒子になっていく場合、それから、ガスから粒子になっていく場合、そういった場合でそれぞれ呼び方が違うわけでございますけれども、粒子と粒子がいわば合体していくような形になりますと、これは不均一粒子生成という形で、実線で示されているもの、それから、ガスから粒子になるという場合には均一粒子生成という形で分けてございまして、こういった複雑な過程がガスから粒子への変換過程として起こっているということでございます。
 そして、10ページ以降には、大気中の挙動という形で、発生、移流、拡散、除去過程、こういったものが気象の方では、風向、風速それから大気安定度、こういったものの影響を受けるといったことが整理をしてございます。
 それから、11ページには、この気象の影響の中でも、特に夏、それから冬とか、そういったときに高濃度が出やすいようなことに関連しまして、温位分布の逆転、いわゆる沈降性逆転層、接地逆転層のでき方、それから、汚染物質が運ばれていく経過について、その次のページあたりに、局地風、海陸風、それから、もしくは道路沿道で車が交通した場合の沿道風、こういったものによって大気の濃度が影響を受けるということ。それからさらには、先ほど申し上げました、通常ですと、海陸風ですと20キロ程度でございますけれども、そういったものが他のものと合体した形で、大規模風で大きく内陸まで運ばれるケースがあり得るということが説明をしてございます。
 そして、14ページの図4.2.1をごらんいただきたいと思いますけれども、これは冒頭でご説明申し上げました図の少し描き方を変えたような図でございまして、先ほど申し上げた大きい方のところは自然起源、もしくは一次発生の粒子、それから、真ん中の蓄積領域のところが二次生成もしくは燃焼系、そして、一番小さいところも、その燃焼系や二次生成というものがございますが、多くの場合、燃焼系で発生したとき、非常に小さい粒子は拡散係数が大きいために、高濃度では互いに衝突し合って、凝集して大きい粒子になるということで、真ん中の部分にいわゆるたまってくるということで蓄積領域ということが書いてあり、これはそこにレインアウトとウォッシュアウトと書いてあるような形で除去されていくということでございます。
 そういう意味で、微小粒子の場合には、降水作用を伴わないと非常に寿命が長い、広域の影響を与える。それから、環境中へ放出してからの寿命が長いために有害性の高いものであると、当然影響が長く続くということになります。
 そして、次の15ページへいきまして、発生源が書いてございますけれども、この発生源については、人為起源のもの、それから、自然起源のもの、それから、さらには我々の普通に考えている領域外からの移流、いわば越境移流といったものが、こんなものがあるという形で、17ページまでそういった説明がしてございます。
 そして、環境動態という形で、いわば大気中の粒子状物質、こういったものがどういう形での影響を受けるかということですが、大気中の粒子状物質は、先ほど申し上げました寿命の長いものですと、時間的にも空間的にも非常に広い範囲に及びます。そして、その影響する時間の範囲というのは、そこに書いてございますように、粒径によっては、非常に数分から何十年、何百年という形、100年ぐらいにも及ぶ、それから空間的には数メートルから地球全体というようなことが、そこに影響の及ぶ範囲として示されてございます。
 そして、その次の18ページに、図6.1として大気微小粒子の例を挙げて、燃焼源から発生をしたものがどういった形で粒子が成長していくか、そして、その粒子の周りにどんなものがくっついているかといった例が一つ示してございます。
 それから、その次の下のところに、大気中の粒子状物質がどういった形で濃度変化をするかというのが、この18ページの真ん中辺に書いてございます大気微小粒子濃度の日内変化という形で説明をしているところでございますが、我々の人間活動が夜から朝にかけて盛んになる。要するに車がたくさん走るようなラッシュアワーの時間帯、そういったときに、例えば燃焼起源の自動車排気ガス関連であれば、濃度がふえていく。そして、その一方、夏等では、光化学スモッグ、日射の強度が盛んになると、二次生成のものが大きくなったりする。そしてまた、夕方、今度は混合層高度の変化、それから日射がなくなること等々で、また一次発生の影響がややふえてきて濃度が上がるとか、そういった一般的な変化が一日のうちにある。それから、その次の週の変化としては、ウイークデイと、それから週末の変化で、例えば、週末の変化ですと、人間活動が比較的落ちるためにも、いわば一次発生のものの割合が下がってくる。例えば、具体的には、道路沿道ではディーゼル自動車に関連するエレメンタルカーボンの濃度がかなり下がるとか、そういったような形で出てまいります。
 その次の19ページにいきまして、季節変化が書いてございますが、特に日本の場合には、春先には黄砂の影響を受けるというようなことで、例えば、季節のうちの春がやや濃度の高くなるようなときがあって、そういったときには微小粒子というよりは、粗大粒子の方の濃度が高くなります。それから、春から夏にかけては二次生成の光化学反応による粒子生成による寄与分、例えば、硫酸塩とか、それから有機物とかが増えてまいります。そしてまた、冬になりますと、今度は接地逆転層などの発達によって、11月から12月、いわゆる初冬期にかけて高濃度が出るときには、比較的一次排出のものの寄与が増え、かつ、二次生成のものでも硝酸アンモニウムなどは、夏の場合ですとガスの方に偏っていたものが、温度との関係で粒子に偏ってくるという形で増えてまいります。
 それから、その次の大気微小粒子濃度の経年変化というところでございますが、例えば、これは気象条件が大きく影響して、例えば1年だけ濃度が低かったようなときもございますが、全体的な傾向を見ていった場合には、例えば、ここの最後の行に書いてございますけども、首都圏を中心としたディーゼル車規制、それから、自動車NOx・PM法、これらの効果で濃度が下がっているようなものが経年的な変化としては見受けられるところでございます。
 それから、その最後に、19から20ページのところでございますけれども、調査をする場合に、統計的にデータを考えた場合には、いわゆる気象の変化のサイクル、こういったものがある程度平均的に含まれることが望ましいわけで、そういったことを考えた場合には、2週間程度の調査をしないと、平均的なものとはなかなか言えないのではないかというようなことで、2週間程度の測定が望ましいという形で書いてございます。
 それから、次に、今度は大気中の濃度測定方法というところに入りますが、21ページからでございます。21ページから24ページにかけて、米国のPM2.5の測定方法を説明させていただき、その後にPM2.5の分粒装置の粒子透過率特性が22ページに書いてございます。そして、この22ページをごらんいただきますと、PM2.5といったのは、この2.5μmのところで50%の粒子が通り抜けて小さい方へ集まりますよと、そういったものを使っているということが書いてございます。そして、米国のFRMが基準測定法になってございますけれども、これは基本的にはフィルタ捕集であるために、フィルタの材質、それから、質量をはかりやすくするための工夫、例えばサポートリングという形で周りを補強するとか、それから、静電気の影響を除くとか、そういった等々の仕方で測定がなされているということが説明してございます。
 それから、その次に注意をしていただきたいのは、PM2.5の質量測定をする方法というところでございますけども、米国の場合ですと、質量測定条件の温度が20度から23度、それから、湿度が30から40%の間で24時間秤恒量をして測定をしてございます。
 日本の場合は、これまでSPMの測定方法がどうであったかと申しますと、温度は21.5度、それから湿度は50%を基準にしているというところで、米国と日本の測定において、この湿度のところが相当に違うということを考慮する必要がございます。
 それはどういうことかと申しますと、特に硫酸塩とか硝酸塩とか、そういう無機塩類、それから、一部有機物もそうでございますけれども、吸湿性、潮解性を示す二次生成粒子が、いわば近年、一次発生の粒子の割合が減って、二次生成の粒子の割合がふえてきているということは、こういう潮解性や吸湿性を示すものがふえているという形で、この湿度変化について、この湿度が重量に及ぼす影響について注意する必要があるということでございます。
 そして、25ページからさまざまなサンプラを紹介してございまして、PM2.5のサンプラはどういったものが使われているかということですが、質量をはかる場合には、ローボリュームサンプラ、先ほど申し上げましたFRMが基準に使われてございます。それから、成分分析をするためには、例えば、FRMに準ずるものとしてスーパーサスと呼ばれているものが使われてございまして、これはチャンネル数が多くて、デニューダをつけるとか、要するに、化合物の種類によって、さまざまな測定方法がとられるものが使われてございます。
 それから、PM2.5を測るだけではなくて、ローボリュームサンプラのものでも、いわばディコトマスサンプラというような形で、コースパークティル(粗大粒子)も同時に測る装置も工夫されているということが紹介をしております。
 そして、25ページでPM2.5測定方法に関する動向として整理をしてございますが、特に先ほど申し上げました米国の基準はFRMで、フィルタ法による質量濃度が基準であるということ。日本の場合には、ここも少し注意をして見ておく必要がありますのは、従来から日本のSPM濃度の場合には、環境基準が1時間値、それから1時間値の1日の平均値という形になっているということで、これまで1時間値が測定可能なβ線吸収法、光散乱法、圧電天びん法、そういったものが環境基準を評価する方法として定められてございましたけれども、米国では1時間値の基準はございません。しかし、この1時間値の測定できる装置ということで考えた場合には、これは時間変動の測定が、発生源がどういうふうに変わったか、気象がどう変わったか、それから、風向等によって、例えば領域外からのものとか、そういったものを考える場合に、非常にこれは重要な、意味のある測定装置であろうというふうに考えてございます。
 それから、測定方法が今25ページから書いてございますけれども、β線、それから、その後にTEOMという形で振動素子を使った、要するに、粒子が振動素子の上に乗っかった場合に振動数が変化するという形で測定をするものが圧電天びん法のTEOMと呼ばれるものですが、27ページにこれは説明をしてございますけれども、当初、これは50度に、いわば質量を安定に測定できるようにという形で、素子を50度に温めていたわけですけれども、最近では30度にするもの、それから、吸湿性の影響を避けるために除湿器を備えたものなどが市販をされてございます。それはその次のページ等々にTEOMの例、それから、幾つか拡散式除湿管が使われていることなどを説明してございます。
 それから次に、29ページから、成分の測定方法について書いてございますけれども、それぞれの成分の分析方法、前処理、精度管理、これをどのようにしていくかということが書いてございます。
 その場合に、どういった成分を分析するかによっては、ろ紙についても検討しなければいけないわけでございまして、これは30ページの表7.4.1に、いわば、フィルタを、どういったフィルタがどういう特徴を持っていて、どういう成分の測定に適するかということが書いてございます。
 それから、ここでは、そのほか精度管理についてもどういったことを考えるべきか、ということが書いてございますけれども、30ページからのところには、いわば、フィルタの説明が表7.4.1それから31ページの表7.4.2、これにフィルタとデニューダを組み合わせる、特に、環境中の物質を測定する場合、デニューダというものはどういうものかと申しますと、例えば、硝酸ガスが少し塩基性のフィルタで集めた場合には、吸着をして硝酸塩として測定されてしまうとか、そういったことがございますので、そういうものを除くためにデニューダをつける。それから、さらには、非常に揮発性の高いものですと減圧になると揮発する可能性があるとか、そういったことで、別のものを工夫するとか、そういったところについて、いわゆるアーチファクトの点が30ページから31ページぐらいにかけて書いてございます。
 そして、そのあと、個々の成分の分析手法としてどんなものがあるかということで、イオン成分はイオンクロマトグラフを使う方法、それから、無機元素については、ICPの原子吸光、それからICP/MS、それから中性子放射化分析、それから、PIXEと呼ばれております荷電粒子線励起X分析、蛍光X線、こういったものが無機元素、金属元素等の分析に使われているということが書いてございます。
 これは無機元素の場合、特に土壌関連以外の元素ですと比較的濃度は低くなってございますけれども、発生源を推定するといようなことで対策を考える場合に、非常に重要な情報を含んでいるということ、それから、有害な物質もあり得るということで、無機元素の分析をここに整理をしてございます。
 それから、有機成分の分析としては、いわば変異原性、発がん性、そういったところに関係する多環芳香族炭化水素、それから、そのほかの有機物の二次生成で関連して発生するようなもの、そういったものを高速液体クロマトグラフィーやGC/MSで測定をするということが書いてございます。
 そして、そのあとに、今度は炭素成分、日本の場合ですと、粒子状物質中で単一の元素として、酸素を除きますけれども、最も大きな割合を占めるのがカーボンになろうかと思いますが、そのカーボンで、特に燃焼系で出るすすのような、ほとんど炭素だけでできているエレメンタルカーボン(EC)を分析する。それから、有機物の有機炭素、オーガニックカーボン(OC)を分析しますが、それ以外に炭酸塩炭素がごくわずかございますけれども、そういったものを分けて分析をする方法として、どんなものが適切か。以前は熱分離でカーボンを分けるときに、その間に炭化をしてしまうという方法が割と多く使われていたわけですが、ここでは炭化を補正し得る熱分離熱分解補正法というのを紹介してございまして、その分析条件が37ページに示してございます。
 今申し上げましたように、この資料1-1におきましては、まず大気粒子状物質全体の物理的な物性、特性、こういったものを説明し、そして、大気中の粒子状物質の質量濃度をはかる、それから、組成をはかる、そういった点がここにまとめてあるということでございます。
 以上でございます。

【内山座長】 ありがとうございました。
 ただいま、坂本委員の方からご説明ありました粒子状物質の特性、それから、測定法についてご意見、ご質問、あるいは補足がございますでしょうか。
 一つ確認させてください。今、アメリカとそれから日本の100%カット、50%カットによって違う、注意が必要だというお話がありましたが、後で出てくる曝露評価で、日本のPM2.5を測ったものは、これはやはり今まで従来どおり100%カットで測っているということでいいのですか。

【坂本委員】 いえ、そうではございません。PM2.5と言った場合には、2.5μmで50%カットしたものでやってございますので、PM2.5の濃度については米国等のものと比較できる数値というふうにお考えください。

【内山座長】 比較できるということですね。わかりました。
 そのほかにございますでしょうか。

(なし)

【内山座長】 そうしましたら、続いて曝露評価についても坂本委員の方からご説明いただきますので、もし、また、さかのぼってご質問があればそのときにお受けしたいと思いますので、資料1-2の曝露評価に関する知見の整理ということで、続いてお願いいたします。

【坂本委員】 はい。それでは、資料1-2をごらんいただきたいと思います。
 ここでは、まず大気中濃度という形で、米国の測定例それから我が国における測定例、そういったものを整理してございます。
 まず、1ページには、米国におけるPM10の年平均値の変化が書いてございます。冒頭にも書いてございますけれども、1.1.1のPM10、PM2.5の年平均値の推移というのが小さいタイトルとして書いてございますが、1999年から2001年の3年間における全米のPM10の平均がどのぐらいであったというような形で書いてございます。
 この調査と、それから、日本の場合ですと、環境省の調査で微小粒子状物質曝露影響調査報告書というのがことしの7月にまとめられてございます。その場合、日本の調査は2001年から2006年、ただし、これは米国の調査は全米と考えていいのに対して、日本の場合にはある限られた地点での測定結果であるということにはご注意をいただきたいと思いますが、まず、先ほど申し上げました図1.1.1にPM10の濃度推移がまとめてございます。そして、少しめくっていただきまして図1.1.3、これをごらんいただきたいと思いますが、これが1999年から2001年までのPM2.5の年間平均濃度分布が整理をされてございます。この3年間の全米の平均値がPM2.5で13μg/m3でございますが、この黒く塗りつぶしている部分が特に、これはカリフォルニアあたりがここに相当いたしますけれども、17μg/m3を超えている濃度レベルになっているということがおわかりいただけると思います。一方、PM2.5やPM10につきましては、徐々に減少傾向をたどっているということでございます。
 そして、3ページから土壌起源の粒子にどんなものがあるかと書いてございまして、そして、その後に、PM2.5の時間変動、日内変動が書いてございます。これは日本の場合と変わりません。先ほど私が申し上げた、朝にやや濃度が高くなって、そして夕方、また濃度が高くなるという傾向にあるということでございます。
 それから、金属成分の濃度につきましては、5ページの表1.1.1に金属成分濃度の測定例が書いてございます。
 そして、次の表1.1.2、これは6ページでございますけれども、PM2.5の主要成分濃度が主な都市でのものが書いてございますけれども、ここで少し注目をしていただきたいのは、この欄のElemental Carbonというところをごらんいただきますと、平均の濃度として、例えば0.2幾つから1.2μg/m3ぐらいになっている。そのぐらいの濃度になっているということがおわかりいただけると思います。
 そして、今度8ページを、少しとんでいただきたいと思いますけれども、日本の測定例がお示ししてございますけれども、図1.2.1、これはSPMをβ線で測定をしたものの、これは季節ごとに測定をしたものを平均したものでございます。失礼、β線の場合、これはごめんなさい、年間の値です。それから、その下の図1.2.2のPM2.5、これもTEOMで年間の値ですが、成分分析をするときにはそれぞれ季節ごとのものでございますのでご注意いただきたいと思いますが、これは年間のものでございます。これでごらんいただきますと、都市部、一般局、自排局、非都市部と、こう分けてございますけれども、非都市部、一般局は、SPMもそれからPMもそれほど大きく変化をしていない。それから、都市部と自排局というところでごらんいただきますと、PMもPM2.5もいずれも少しずつ減少しているというのがおわかりいただけるかと思います。
 そして、これを先ほどの米国のデータと比較するとどうなるかということを、表としてまだ整理してございませんが少し申し上げたいと思いますけれども、PM10がアメリカの場合ですと、全体の平均が23μg/m3ぐらいでございます。日本の場合は、今の自排局というところで見ますと、SPMですからPM7ぐらいに相当するとお考えいただきたいと思いますが、それがこの表からごらんいただきますと、40から50μg/m3くらいになっている。それから、都市部が30から40μg/m3になっている。それから、非都市部が、これは約17から20μg/m3、丸めた値で言ってございますので、およその数字としてご理解いただきたいと思います。それから、PM2.5の方を見ますと、アメリカの場合ですと、全体の平均が13μg/m3、それに対して今の図1.2.2をごらんいただきますと、自排局がおよそ22から30μg/m3ぐらい、それから、都市部が20から23μg/m3ぐらい、それから、非都市部が14から15μg/m3ぐらいという形で、米国の1999年から2001年に比べて日本の2001年から2006年の方が相当程度に高いよということがおわかりいただけると思います。
 それから、先ほど米国のデータのエレメンタルカーボンの濃度がかなり低いよということを申し上げましたが、オーガニックカーボンとエレメンタルカーボンの比を見ますと、米国の場合には4.6ぐらいの数値になりますけれども、日本の場合には0.5から1ぐらいという形。最近、エレメンタルカーボンの値が減ってきてございますので、0.5から1ぐらい、そういった数値になっていて、日本の場合にはエレメンタルカーボンの濃度がかなり高いということがご理解をいただけると思います。
 それから、9ページへいきまして、年間の変化がSPM、PM2.5、書いてございますが、それほど、傾向としては大きく変わるものではございません。
 それから、10ページに、今度はSPMとPMの一日の間での変化が書いてございます。
 それから、PM2.5とSPM、これの比を10ページの下の方に整理してございますけれども、その次の11ページに、これは各年度別にどういう傾向にあるかというのがお示ししてございますが、0.5から0.8ぐらいになっているということがここに示されてございます。
 それから、その次の12ページに、この微小粒子の曝露影響調査報告書の中から、組成がそれではどうなっているかというのが書いてございますけれども、全体にそう大きく組成変動はございませんが、今、この、いわば12ページの図1.2.8、これをごらんいただきますと、非都市部では硫酸塩の濃度が高くなっている。これは微小粒子に硫酸塩があり、これは寿命が長いためにバックグラウンドへいくと、どんどん割合が高くなる、こういったことを示唆しているものでございます。
 それから、都市部でごらんをいただきますと、サルフェートと、それから、特徴的なのは硝酸塩の濃度がやや高いということが見てとれると思います。
 それから、自動車排ガス測定局になりますと、硫酸塩の割合が減って、エレメンタルカーボンの濃度が上がり、それからナイトレートもやや高いかなと、そんなところが見てとれるわけでございます。
 次に粒径分布が書いてございますが、これは冒頭で粒径分布を説明してございますので、ここははしょっていただき、次の15ページをごらんいただきたいと思います。
 15ページは発生源について整理をしてございまして、大気中の微小粒子の評価を行う場合、さまざまな発生源から出る一次粒子、それからその前駆体、プリカーサーがどのように出てきて、二次生成になる原因物質がどんな発生源から出ているかというのを整理した表が表2.1.1でございます。これはどのぐらいの量が出ているかということではなくて、そういったものを注意して発生量を考えないといけないという形の表が、この15ページの表でございます。
 そして、16ページから20ページにかけては、推計方法を大規模固定発生源、中小事業所、移動発生源、自然起源、こういうふうに分けて整理をしてございます。
 それから、20ページから24ページにかけては、日本の粒子状物質における排出インベントリがどういった形で整理をされているかというのが書いてございますが、比較的排出インベントリのデータは充実させていく必要があるところであるということの指摘がございます。
 それから、25ページから26ページ、海外における粒子状物質の発生源インベントリの現状がどうなっているかということが整理をしてございまして、26ページ、27ページをめくっていただきたいですが、ここに排出量推計についての課題という形で整理をしてございまして、いろいろな、今後の行政施策等々の予測、それから、対策効果、そういったものを考える場合には、非常に排出インベントリが重要になるわけでございますが、自動車につきましては、環境省自体のデータが比較的多くございますけれども、ほかのものについてはやや少なくて、鋭意そういったものを補っていく必要があるだろうということ。それから、自動車につきましては、現在、さまざまな対策が急激に進んでございますので、例えば、ディーゼル自動車の後処理装置がつけられた後とか、それから、酸化触媒がつけられた後とか、そういったときにエミッションインベントリがどう変わるかといったような形でのデータをとるのが重要であるということの指摘がございます。
 それから、この27ページの最後の方でございますけれども、少し、従来、エレメンタルカーボン、都市部においてはディーゼルの寄与が比較的高かったわけですが、先ほど申し上げましたNOx・PM法、それから、首都圏におけるディーゼル車対策、そういったものによって一次排出の粒子が減ってきて、相対的に二次生成の割合がふえていて、そういったことに注意をする。それから、二次生成の場合には、今後は、場合によっては自然起源と思われるようなバイオマス――まあ、自然起源とは限らないかもしれませんが、植物起源のものについても注意を払ったデータの整備が必要であるという指摘をしてございます。
 続きまして30ページから51ページのところの説明に入らせていただきますが、30ページから50ページは発生源寄与濃度の推定という形で、まずレセプターモデルという形で整理をしてございます。これはSPMについての現状把握、汚染制御、将来予測、こういったものをやる場合には、いわばどういった発生源からどれだけ寄与しているか、もしくはエミッションインベントリを使って、それからどれだけのPMが生成するのかとかいった形のモデルで計算をする必要がございますが、そのモデルのうち大きく分けて、拡散モデルもしくは発生源モデルという形で、エミッションインベントリを使ってシミュレーションをする形のモデルと、もう一方は、環境中の汚染物質組成を測定して、それからどういう発生源がどの程度寄与しているかという形を調べるレセプターモデルというものがございます。
 そして、この30ページから51ページは、レセプターモデルをまとめてございますけれども、最初にレセプターモデルの原理を説明し、そして30から31ページに入って、マスクロージャーモデルというのは、分析した成分の積み上げによって粒子状物質の質量がどの程度説明できるか、それから、地域代表性を確保しているか、そういったものを調べ、分析の確からしさを調べる手段として使われる道具でございますので、マスクロージャーモデルをまず記載し、そしてCMBモデル、大気中へ放出した後、組成が成分として変わらない、濃度が薄くなっていくだけであるというようなものをインディケーターとして使うような形で、発生源寄与率を計算するCMBモデル。この場合には、発生源プロファイルという形で、それぞれタイプ別の発生源で、どういう粒子が粒径分布、それから粒子組成、どういうものが出ているかというデータが必要でございます。
 そして、その次に、多変量モデルという形で34ページに書いてございますけれども、こちらの方では、環境データ、非常に大量の環境データから主要発生源が幾つあるだろう。そして、その発生源はどういうプロファイルを持っているだろう。それぞれの発生源はどのぐらいの寄与率をそれぞれ持っているか。そういったものを調べるもので、発生源プロファイルを最初に必要としないという形で、比較的使いやすい、ただし、データとしては非常に大量のデータが必要でございますが、そういった多変量モデルによるもののやり方が説明をしてございます。
 そして、その次の同位体利用方法というのが書いてございますけれども、40ページでございますけれども、これは主としてどんなことが記載されているかと申しますと、炭素の12に対して13と14というものがございます。そして炭素の14は同位体のうち、放射性炭素でございますので、これはバイオジェニックな、いわゆる生物起源のものであれば14Cがかなりございますけれども、一方、化石燃料のように非常に長い期間たってできたものは、もう14Cはほとんど存在しないということで、比較的新しいバイオジェニックなカーボンがどれだけあるかというような推定のときに14Cと12C、こういったものを使う。それから、石炭だとか石油だとか重油だとか、そういった燃料の起源を推定するときに、13Cと12Cを使ってやる方法等々を説明してございます。
 そして、最後にまとめとして米国の例を引きまして、米国のIMPROVEネットワークで非常に多くのデータが測定されたということが、先ほど申し上げたマスクロージャーモデル、それから、多変量モデルの一つでございますけれども、ポジティブ・マトリックス・ファクタリゼーションというような、PMFという解析、こういったものに使われるようなデータが得られてきているということでございます。
 マスクロージャーモデルをうまく使うと、いろいろな成分の分析の精度がどうだというのがある程度わかって、そして、それをうまく使って、CMBや、それから多変量モデルの一つであるPMF解析、そういった形で米国では非常に寄与率を推定するのに大いに役立っているということが整理をしてございます。
 それから、PM2.5の規制が行われた前後から、米国の場合ですと、先ほど申し上げましたCMBを利用するためにはこういうソフトがあるよという形でEPAが提供している。それから、PMFについても、そういった形で使えるようなモデルが提供されたことによって、非常に多くの情報が解析されていったということで、そういう意味では、いわゆる測定手法をつくるだけではなくて、そういったものが全体で使いやすいような形にしていくことも非常に重要だということを指摘してございます。
 それから、その次がシミュレーションモデルでございますけれども、51ページから64ページになります。そして、ここのシミュレーションモデルのところでは、先ほど申し上げました発生源インベントリを使ってどのようにやっていくかということですけれども、そのモデルの幾つかのモデルの例、どういったモデルがあるか、そういう説明、それから、我が国で使われているモデルの実例、それから欧米の実例、それから具体的にシミュレーションモデルでやった結果等々を説明してございます。
 例えば、59ページをごらんいただきますと、これは環境省の調査結果の解析をしたものでございますが、煤塵、PM、この中にはエレメンタルカーボンも入ってくると思いますけれども、こういったもの、それから、硫酸塩、硝酸塩、それからハイドロカーボン由来のもの、こういったものが比較的大きな寄与を占めている。それから、これはSPMの場合ですと、土壌、海塩粒子も大きな寄与を占めているというような形で、計算した結果が示されてございます。
 こういった説明をした後、まとめとしまして61ページから整理をしてございますけれども、エアロゾルの発生源別寄与濃度、こういったものを推定する場合に、先ほどご説明したレセプターモデル、それからシミュレーションモデル、こういったものがあるわけですけれども、そのシミュレーションモデルの場合ですと、二次粒子の前駆体ガス濃度がどうなっているかによって、大気中でどう運ばれていって変質し沈着をしていくか、そういったことをシミュレーションし、レセプターにおいてどのぐらいの濃度になるかという形で計算をするわけですが、結局、最初に入れる排出インベントリデータがどの程度確保されているかによって、その予測の精度は大きく変わってくるということでございます。また、計算をする場合にも、最初から非常に多くの計算量を必要とするシミュレーションモデルを使うよりは、場合によってはレセプターモデルを使って、そして、その後必要に応じてシミュレーションモデルを使うという形にした方が経済的な効果はあるだろうということです。
 その一方で、このシミュレーションモデル、最初に申し上げましたように、将来予測、それから、いろんな地域における濃度予測、そういったものをやるためには、やはりシミュレーションモデルを使わなければいけないということで、このシミュレーションモデルを使えば、エアロゾルの変質、粒径分布、二次生成のエアロゾルがどうできてくるか。それから、最近では、オゾンのように海外からのものもございますけれども、領域外からの流入がどうなっているか。そういったことが推定できるということでございます。
 それから、数値モデルを入れる場合には、とりもなおさず、排出インベントリが非常に重要であるということでございます。
 それから、少しここでもコメントしておいた方がいいのは、先ほどもカーボンの同位体を使う分析のところで、バイオジェニックなものが推定できるというお話をさせていただきましたけれども、我が国でも最近そういった計算例が出てございまして、冬季には生物起源のものがかなり効くときもありますよということで、その辺にも今後注意を払う必要があるということでございます。
 続きまして65ページから78ページでございます。65ページから78ページにつきましては、人の曝露様態という形で整理をさせていただきましたけれども、まず、人の曝露がどのようにして起こるか。環境大気曝露、それから環境大気以外の曝露、個人曝露、そういった関係について整理をして、そして最後に個人曝露量をどのように推定するかという形でまとめてございます。
 67ページをお開きいただきたいと思います。67ページの図3.2.2に、これは屋外の平均濃度と、これは常監局の測定局がございます。それから、特別の調査のために測定をしたものは、こういった関係で屋外の平均濃度と、それから地域内の測定局、そういったものは、こういった関係になって、要は、ある地域の代表を測定局のものがしているよということをこれは示唆するデータというふうにお考えいただけると思います。
 それから、次に69ページをごらんいただきたいと思いますが、69ページ、これは図3.3.1でございますが、国内7地域の夏季・秋季における測定日ごとの屋外・屋内・個人曝露平均濃度、こういったものの関係を書いてございます。これは例えば、一番左側の図をごらんいただきますと、屋外のPM2.5濃度が横軸でございまして、縦軸が屋内のPM2.5濃度という形で書いてございます。それから、その次の真ん中は、個人曝露のPM2.5濃度が屋内と相関がありますよ、それから屋外とも相関がありますよというような形の図が説明をしてございます。
 それから、次に71ページ、72ページをごらんいただきたいと思いますが、先ほどのものは、今回、微小粒子状物質曝露影響調査の結果でございますけれども、71ページの図3.4.2は、別の外国の例でございますけれども、アンビエント・コンセントレーションという形で環境濃度、それから、縦軸の方に例えば、パーソナル・エクスポージャーという形、それから、トータル・パーソナル・エクスポージャーというような形で個人曝露の回帰分析の結果が示されてございます。
 それから、その次の72ページの図3.4.3、これをごらんいただきますと、粒径別に屋内へどれだけ入っていくかというのが示されてございますけれども、侵入率の高いところが微小粒子であるということがおわかりいただけると思います。
 そして最後に、個人曝露の推定方法としては、個人サンプラあるいは個人曝露モニターによる測定モデルによる推定と、それから、場所と時間から推定する方法、それから、他の汚染物質濃度から推定する方法という形で、この曝露評価の部分について整理をしてございます。
 ちょっと時間を超過して、申しわけございませんでした。以上でございます。

【内山座長】 ありがとうございました。
 ただいまの坂本委員からご説明のあった曝露評価につきまして、ご意見、ご質問等ございますでしょうか。

【坂本委員】 それから、少し補足させていただきますと、まだ国内の金属と米国の金属の濃度について、どのような特徴があるかというところは十分比較はできてございませんので、今回の中には入ってございません。先ほどカーボンにつきましては、そういったデータが比較的ある。データの量がどのぐらいあるかによって、実はそういう比較も有効かどうかというところも出てまいるところがあろうかと思います。

【島委員】 すみません。一つ教えていただきたいですが、11ページの図1.2.7で、PM2.5とSPMの比を示していただいたグラフがございますけれども、年によってある程度の変動はございますが、ぱっと見たところ、都市部よりも非都市部の方がその比が大きいような印象を受けるのですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

【坂本委員】 ちょっとお待ちください。11ページですか。ちょっと、これ、カラーでないのでわかりにくいですが、今のこの、例えば、北海道、これがだんだんと。

【内山座長】 坂本先生、マイクを使っていただけますか。

【坂本委員】 北海道の数値がだんだん、PM2.5に対してSPMの比が大きくなっているということですが、これについては、SPMの中のPM2.5の割合が上がっていく傾向にあるのではないかと。要するに、バックグラウンドになればなるほど、実は微小粒子の方が、寿命が長いという形で、そばにそういう大きい粒子を発生するようなものがない場合には、そういうことはあり得ると。それが先ほどごらんをいただいた組成の中で硫酸塩の濃度がかなり上がっていますよというようなところと符丁しているというふうに思います。

【島委員】 すみません、もう一つ。全く素人ですので、ピント外れかもしれませんけど、今のご説明を伺ったのと、それから、13ページに図1.2.9ということで、粒径分布を示していただいた図がございますけども、ちょっとこれは都市部と非都市部の線の違いがよくわからないのですけど、多分、低い方が非都市部だと思ったのですが。そうすると、これでいうと、粒径の小さいものと大きいものの比は、非都市部の方が粒径の大きいものが多いというふうに見えます。この図と先ほどの図1.2.7で示されたPM2.5とSPMの比の関係が一致していないように思えたのですが。

【坂本委員】 これはもう少し詳しく説明をしますと、Andersen Low Volumeというのはフィルタ法ではかっているものでございます。そういう意味では、場合によると湿度の影響を受けてございます。それから、一方、図1.2.7のSPMはβ線で、これもやや湿度の影響を受けていると思いますけれども、PM2.5のTEOMの測定方法は、このときはまだ50度の測定をしていましたので、そういったところもここには入っているかなという気がいたします。これについてはまだ、十分な、先ほどの粒径分布と照らし合わせる形では見てございませんので、今後検討させていただきたいと思います。

【島委員】 どうもありがとうございました。

【内山座長】 そのほかに。
 高野委員、どうぞ。

【高野委員】 72ページの図3.4.3で教えていただきたいのですけれども、非常に小さな粒子の侵入が率として低くなるというのは、これは実際には凝縮して大きくなっているから、見かけ上、このような値になるという考え方でよろしいでしょうか。

【坂本委員】 もう一度お願いいたします。

【高野委員】 より小さな方の粒径のものが侵入の率としては低いというふうになるのですけれども、これは。

【坂本委員】 例えば、これは屋外から屋内へ入っていく場合のすき間における沈着がどう変わるかということもかかわってまいります。そうした場合に、拡散係数の大きな小さい粒子の方がいわば入って行く過程でくっついてしまうものが増えてくるという形になろうかと思います。

【内山座長】 そのほかにいかがでしょうか。
 横山先生、どうぞ。

【横山委員】 この最後の方に触れてございますし、あるいはこれは疫学の方で論ずるべきかと思いますけれども、これから論ぜられる多くの疫学的な調査においては、いわゆる地域濃度というものが1点ないし複数点のモニタリングステーションの濃度でもってあらわされているわけです。日本の最近の調査では、これが地域のいわゆる代表値として使うことの妥当性は証明されていると思うのですけれども、多くの論文の中において、必ずしもこのようなことがきちっと証明・確認されていないで、単に、ある地域にある1個ないし複数個のモニタリングステーションをもって、その地域の大気環境濃度としておる。要するに、それの場合に曝露影響関係をグラフでとってみると、1点ないし2点の濃度でもって、数百人、数千人の曝露濃度としているわけですけれども、そうしても大丈夫であるということが論ぜられているのならともかく、そういうものが必ずしも論ぜられないような場合に、この曝露の、地域環境濃度に当たってのモニタリングステーションの選定が妥当である、あるいは的確であるという判断をする何らかの物差しみたいなものはあるのでしょうか。今日のこのご報告を拝見いたしますと、日本のデータはオーケーということですけど、ほかのデータでは必ずしもそうでもないデータもあるようなので、ちょっとお伺いしたいと思います。

【坂本委員】 今おっしゃられる話は、当然そういうことはあろうかと思います。なぜかと申しますと、そこの地形的な要因、それから、その地形に関係して季節別にそこで起こされる粒径の違いとか、そういったものはありますので、ある程度それはあると思います。その一方では、例えば、東京都のような形で、比較的たくさんの測定点があるものについては、その濃度分布、それからどういったところが一つのグループに分けられるとか、そういった解析をしていくことによって、どの程度のエリアの代表性があるということは言える部分もある。それをさらに確かめるのは、組成になると思いますけれども、今の測定局を設置するときに、当初は道路等々からの距離、それから、直接発生源の影響を受けるようなところから、ないようところに設置していた場合でも、その後、属性が変わってしまうようなところについては、別途注意をして見る必要があろうかと思います。

【内山座長】 新田先生、どうぞ。

【新田委員】 ただいまの横山委員のご指摘、疫学の方の立場からちょっと補足させていただきますと、先ほど坂本委員の方でご紹介になりました資料1-2の65ページの冒頭の方に書いておりますが、個人曝露量は基本的には環境由来の曝露とそれ以外の曝露と、二つ分けて整理をされて、概念的にそういう整理をされております。今のところの日本での結果、それから諸外国での結果は、70ページの方に結論的なことを書かれておりますが、環境粒子の個人曝露濃度の代替として環境濃度を用いることの妥当性が示されたというような理解を全体的にはしております。
 ただ、個別の疫学研究で、それぞれ、初めに申し上げましたような環境由来の曝露がどのぐらいの割合があって、環境以外の曝露がどれぐらいあったかという、個別な疫学研究でそれぞれ示されている例は、ほとんどないと言っていいかと思います。独立した個人曝露量のこのような調査の結果を前提に大気汚染の疫学研究が組み立てられているという、そういう理解でございます。
 もちろん、そういう面がありますので、疫学ワーキングでただいま検討しております内容でも、曝露評価にかかわる不確実性というのは非常に大きく、それがどのように結果に影響を与えるかということは慎重に検討をすべきだろうというふうに考えております。

【内山座長】 よろしいでしょうか。
 そのほかにございますでしょうか。
 先ほど坂本先生が口頭でご説明なさった米国と日本の平均濃度の違いとかは、最終的にはここに入るのですか。それとも、そういう項目の予定はないのですか。

【坂本委員】 まとめとかそういったところに、今のような、特記すべきというようなことがあれば、書くという形になろうかと思います。

【内山座長】 そのほかにございますでしょうか。

(なし)

【内山座長】 そうしましたら、次に毒性ワーキングの検討の方にいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、引き続き、毒性ワーキングからのご報告をお願いしたいと思います。
 毒性ワーキングの方では、検討事項のうち生体内沈着、体内動態につきましては、工藤委員のご協力を得ながら小林委員が中心となって作業を進めてきているところでございますので、小林委員の方からご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【小林委員】 それでは、資料1-3に基づきまして、生体内沈着、体内動態に関する知見を整理したもののご報告をいたします。
 ここでは、大きく分けますと四つのことに関して検討しております。一つは生体内沈着、それから2番目として17ページ以降に粒子状物質の動態とクリアランス、それから3番目としまして、23ページ以降に曝露形態、これは吸入曝露と気管内投与、これによってどのような気道内分布、動態の違いが出てくるかということと、過負荷の問題、負荷量が大きい場合にどうなるかというようなことに関して報告いたしております。それから、25ページ以降は、この沈着・動態に関しては数学的モデルでいろいろ補うというところがありますが、それに関してご報告するとともに、実際に汎用のモデルが二つございまして、それで計算して大体どんな予測が立てられているか、そのようなことに関して報告しております。
 それでは、最初の生体内沈着からご報告いたしますが、その前に、この報告自体はディーゼルの排気粒子のリスク評価検討会の報告や、米国のEPAのクライテリアドキュメントを中心にして、新しい知見も加えながら作成したものでございます。
 それでは、まず第1番目の生体内沈着の方でございますが、3ページを見ていただきます。呼吸器系、これからいろいろなことでお話しするところにもかかわってまいりますが、「胸郭外」領域、「気管気管支」領域、「肺胞」領域、この三つに関しての沈着やクリアランス、また計算モデル、そういう形で扱っております。一応、部位としては、図1.2.1に書いてあるような形で行っております。
 3ページには、呼吸器系における神経分布、どういった神経が支配しているかというようなことに関して、1.3で触れております。それから、1.4では粒子の特性と沈着に関してでございますが、1.5と含めて、気道沈着がどういう形で行われるか、どういう部位に沈着するか、それについて1.4と1.5で書かれております。
 5ページ、図1.5.1を見ていただきますと、気道の分岐数と1μmから10μmの粒径の粒子沈着の関係が報告されております。大ざっぱに言いますと、5μmより大きいものは、比較的分岐部の気管支に近い部分に、3μm以上になりますと、比較的肺胞に近い気管支の方に沈着が移っていくということが示されています。全体像としては大体このような沈着をするということになります。その機構に関してはその図の上7ページの図1.5.2に書いてあります。
 また、7ページの図1.5.2に、慣性による衝突と重力による沈降、遮断、拡散、こういったものによって沈着が行われております。これらが粒径によって異なってくるということで、沈着部位が決まってくるということになります。
 1.7、1.8、1.9では呼吸パターン、換気、それから粒径、こういったものが沈着部位に影響を与えるわけでありますが、その点に関して触れております。
 まず、11ページの図1.9.1、この図自体は鼻呼吸と口呼吸の粒径による沈着部位の違いを沈着率で示しているわけですが、全体としてこれを見てみますと、今、0.1から1μmの領域は、aが胸郭、bが気管気管支、cが肺胞領域でありますが、全体として0.1から1あたりでは非常に沈着率が小さく、1μmより大きくなると沈着率が増し、0.1μmより小さい領域でも沈着率が増すことが示されております。これらは口呼吸と鼻呼吸、いわゆる呼吸のパターンによって違いが見られます。
 次に、換気の影響に関して見ますと、1回換気量が大きくなりますと気流は肺の深部まで達するようになりますが、これが病気とか気流の閉塞を伴ってきますと、全体として沈着が増加すること、気管支領域の沈着が増加し、肺胞領域では減少するということが認められております。
 それから、粒径に関しては、もう一度11ページの図1.9.1を見ていただきますとわかりますように、肺胞領域では0.1μm以下になりますと、拡散等による沈着がふえますために増加してまいります。さらに小さくなりますと、これも拡散による沈着が増加いたしまして、aに見られますように胸郭外の部分に沈着が多くなる。肺胞から気管気管支領域、それから、鼻への沈着がふえるという形をとります。それから、1μmより大きくなりますと、慣性による衝突によりまして、より大きい粒子では胸郭外への沈着が増加します。全般的な傾向としては、こういう傾向がございます。
 11ページ以降は、その生物学的要因、性別が違うと違うのではないかとか、年齢によって違うのではないか、こういったことも疫学の場合には必要になってまいると思いますが、これらの点について12ページの下に書いてありますように、男女による傾向というのは、差があるという報告もありますが、余り明確な男女差があるとは言えておりません。
 それから、年齢の影響に関しまして、まず、老齢の方の場合は、呼吸パターンが変わってくれば変わる訳ですが、ほとんど、正常であれば、沈着率は老齢とはあまり関係がありません。それから、小児の場合は、呼吸数や呼吸量の表面積が大きく変わる場合もあり、リスクが大きくなる可能性があるということが報告されております。
 それから、呼吸器系疾患を持っている場合の沈着はどうかということが14ページ以降に書いてありますが、15ページの中段あたりに「気道閉塞により全肺、特に気管支領域での沈着が増加する」ということが報告されております。
 刺激物質、いろいろな物質が混在してガス状物質も混在している場合に、気道収縮が起きるような状態であれば、気管気管支領域の粒子沈着が促進されるであろうということが報告されて、可能性があるということです。
 それから、15ページの1.12、種差がありますが、これは動物実験のいろいろな結果を人にどのように外挿するかという場合に大事なところでありますが、これに関しましては、まず一つは、動物によってインハラビリティーの問題がありまして、吸入できる粒径があるということが大きいと思われます。ラットで言うと3から4μmあたり、それから、ヒトで言うと8μmあたりで、鼻のところに粒子があってもなかなか吸入されないということがあります。これは後ほど、数学的モデルのところでも出てくると思いますが、それを考慮する必要があるということです。それから、動物と人では気道の構造がそもそも違いますし、呼吸のパターンも違うということで、沈着率、沈着量も違ってまいりますし、それから、肺への影響を検討する対象となる臓器の面積、重量等も違いますし、部位が同じでも、クリアランスの機構にも違いがあります。沈着量としては、肺や気道の重量や表面積で割り戻して沈着の用量を決定する必要があることが示されています。
 次に、2番目の体内動態のところですが、17ページ以降に記述されています。部位によりクリアランスの機構が違っておりまして、胸郭外では、不溶性の粒子が鼻腔の後方に沈着した場合は咽頭へ向かいますし、粘膜線毛輸送により後方へいって嚥下されるというようなこと、また、くしゃみ、それから、鼻をかむとか、いろいろなことで、ヒトの場合、クリアランスされています。気管気管支領域では粘液線毛運動、これによって咽頭まで運ばれ嚥下されますが、また、咳反射によって除かれるということも行われます。
 肺胞領域では、マクロファージに食われて線毛運動の領域に行くか、もしくは間質のマクロファージ等によって食べられてリンパの方に行くというようなメカニズムでクリアランスされるということです。
 クリアランスの中で、循環器への影響ということを考えた場合に、血中へのトランスロケーション、これが起きるか起きないかということに関しまして幾つかの新しい論文が出ておりますが、全般的に見ますと、血流中に行くということは、定性的には言えているのではないかなと思われる報告が幾つかございます。
 現在の段階は、どの程度行くのか、それらによって心筋とか血管系にどの程度影響を及ぼすかということが計算されることになりますが、まだ、その点に関しては十分な知見がないというのが現状であろうと思われます。
 クリアランスの調整因子として、年齢とかやはり性差、こういったものがあると考えられますが、これらの調整因子は、それほど差はないと報告されています。
 それから、刺激物質が同時に吸入された場合の影響についてですが、明確に書かれてはおりませんが、線毛運動とか、マクロファージへの影響、これがありますので、それがクリアランス全般にどう影響があるかということは、考慮すべき問題だろうと思われます。
 それから、種差の問題ですが、これは沈着のところでもお話ししましたように、気道の構造とかそういったものが変わっておりますために、全体としては沈着部位が変わりますとクリアランスの機構も変わってまいります。そういったところからクリアランスに関する種差が生ずると考えられます。同一部位でも、細胞の構成とかそういったものが系統や種によって違ったりするということで、種差、系統差が出てくると考えられます。
 次に、23ページ以降に曝露形態の比較が記述されています。曝露形態として吸入曝露と気管内投与がよく使われます。気管内投与の場合は、気管気管支領域に比較的均一に分布させることができますが、肺胞領域の場合では、気管気管支に近い部分に量的に多く分布し、末端の方にはあまり行かないというような分布の違いがあるのと、曝露量の問題としましては、一気に高い曝露量の粒子が曝露される。これが吸入曝露の場合と異なってきますので、影響の面でも違ってくるであろうと思われます。
 それから、吸入曝露と気管内投与による粒子のクリアランス、これが3.1に書かれております。これに関しても、やはり分布が違うので、各部位におけるクリアランスの方式、様式が違いますので、投与による影響が出てくると考えられます。
 次に、24ページに過剰曝露、過負荷について記述されています。過負荷は大体1グラムの肺組織当たり1ミリグラムぐらいあると、これは肺胞のマクロファージ、これの貪食は、細胞の容積もありますので、一定容積以上になると貪食しなくなり、それから、移動が阻害されます。こういったことから、先ほど申し上げましたように1g当たり約1mg付近になると、肺のクリアランスに遅れが出てきます。
 この過負荷による影響としましては、慢性炎症や肺腫瘍の発生、こういった問題があり、かつ、動物実験によっては比較的高い濃度で曝露をしますので、人の場合に起こらない影響をカウントしてしまう可能性があるので、過負荷の問題は、常に考慮していく必要があるであろうということであります。
 25ページ以降は数学的モデルについて記述してあります。数学的モデルには、沈着に影響を与える呼吸パターン、粒径、粒子、重量分布、気道の構造等に関して、いろいろパラメーターとして入れるようなことで予測の改善が図られてきています。それから、クリアランスモデルに関しても、同様にいろいろな因子を入れて、検討がされております。
 このモデルの中で汎用モデルとして26ページのICRPモデルとMPPDモデルがあります。これらは、ICRPが米国、MPPDは主にオランダの方々が米国の協力を得て作成しているものであります。
 それのモデルに関して、33ページの4.4にヒトとラットの比較が出ております。35ページの表4.4.1に、ラットとヒトの、比較する場合に用いたパラメーターが書かれております。これらのパラメーターを用い、また、飛ばして済みませんが、37ページの表4.4.2、ここに当該する気道部位の表面積が記述されています。最終的に見ていただきたいのが図4.4.2で、気道部位の表面積当たりの沈着量が、どの程度ヒトとラットで違うかということが示されています。図4.4.2の2の方、a-2、b-2、c-2が結果で、どちらがどのように高いか、1より大きければヒトの方が、沈着が高いという粒径と沈着のラットとヒューマンの比較があります。ここで右の方にヒトの方が非常に高くなっている部分というのは、先ほど申しましたような、インハラビリティー、どの程度吸入されるかということで、ラットでは3μm以上あたりになると、鼻呼吸の場合、吸われなくなる。ヒトの場合はそこでも十分呼吸器内に入ってきますので、急激に高い値というのが生ずるということであります。
 全体としては沈着、動態に関して、いろいろな化学物質を含んだ粒子での検討がまだまだ必要である段階ではあろうと思いますが、全体としては、このようなことでございます。
 以上でございます。

【内山座長】 ありがとうございました。
 以前のDEPの報告書のときに比べまして、いろいろモデルを使ったものが、非常に新しくなっているというところかと思いますが、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。
 一つお聞きしたいのですけれども、最初のところの動態で遮断というのがありますよね。6〜7ページの繊維性物質のところの説明で。衝突、沈降、拡散というのはこれまでもよく聞くのですが、今回、繊維状物質ということで入っていますが、これは繊維状で3μm以下の長さのものは末梢気道までに普通は限られると。それ以上長いもので径が3.5μm以下のものは、それ以上の長さでも末梢までいくというふうに、そういうふうに読んでいいのですか。

【小林委員】 私の理解はそうですけど。気流に乗って……。

【内山座長】 気流に乗って、細いものは3μm以上の長さのものでも末梢までいくと。

【小林委員】 はい、アスベストのようなものは。

【内山座長】 繊維状のものでも太いものは3μm以下の長さしか行かないというふうにとっていいですか。ちょっとここら辺がわかりづらいのです。この遮断であると書いてあって、図の方の説明は、3.5μm以下の長い繊維はより末梢に行くと書いてあって、図1.5.2というふうに出ていますが、どちらを遮断と言うのですか。両方言うのですか。

【小林委員】 今、内山先生の言われているのは、この図でいう上、衝突のような形のものと、それから、下の沈降のようなものの両方。

【内山座長】 6ページの1.5.3の遮断という説明では、3μm以下の長さが末梢気道まで行くのだと。それで、「繊維の沈着は気流速度より、長さと形によって決まる。これが、遮断(interception)である」というふうに説明されていますが、図の方の実際のものは、径3.5μm以下のときは、こうであって、これが1.5.2であるという7ページの説明ですが、私の理解が悪いのかもしれないのですが。アスベストの場合は、非常に細いけれども5μm以上のものでも末梢あるいは肺胞まで行くというふうに理解していたので、少しそこら辺のところを、もう少しわかりやすく、整理していただければと思います。

【小林委員】 はい、わかりました。

【内山座長】 よろしくお願いします。
 ほかにございますでしょうか。
 工藤先生、何か、追加、補足ございますか。よろしいでしょうか。

【工藤委員】 幾つか細かいことというか、もう一度再確認をきちっとしておかなきゃならないところがあるということであります。
 これはもう簡単なことですけど、2ページのところの肺胞域に沈着した粒子が肺胞マクロファージに貪食されて気管支領域へ輸送されると、これは基本的にそのとおりですが、この後ろの方ではリンパの流れの方へも行っておりますので、そこのところを指摘しておく必要があるということ。
 それから、図1.5.1のWeibelモデルですけれども、これについては、やはりもう少しちょっと描き足さないといけないかなということを思っております。というのは、Weibelのモデルですと、0次が気管ですね。それで、ここに終末細気管支TBというのが書いていませんが、これは16次で、23次が肺胞の領域、これはWeibelのモデルですが、要するにこの気管のところで沈着がゼロということになっているということですね。これはあくまでもWeibelのモデルを使った場合の数学的な計算から出しているものですから、こういうふうになっているのですけれども。だけど、実際は上気道から気管に入っていくので、そこは、そこのところを誤解があるといけないので、ここのところをちょっとはっきりさせておかないといけないかなというのと、それから、沈着機構の前に、このWeibelモデルを理解するためには、各、これは横軸ジェネレーションになっていますので、第一分枝、第二分枝ということで、気管から始まっていますので、ジェネレーションごとの気道系の積算断面積、これがWeibelで示されていますので、これを示しておいた方がいいのかなと。ということは、どういうことかと申しますと、ここでは平均気流速度1秒間に50cm3という形に、500ccですよね。それで出しておりますけども、これ、断面積があると、それぞれの気流速度が出ます。線速度が出てくるのです。これを頭に入れないと、ここはなかなか理解できないので、できればこの「以下」のところを7ページまでを理解するためにも、それがあった方がいいかなということです。
 そのあたりが中心です。少し最終的なあれには、もうちょっとそこのところを手直しします。

【内山座長】 よろしくお願いします。

【工藤委員】 以上です。

【内山座長】 そのほかにございますでしょうか。
 どうぞ、佐藤先生。

【佐藤委員】 今、工藤先生がちょっとお話しになったことにも関係するかと思うのですけど、大体粒子の径というのは、エアロダイナミックダイアメーターですよね。4ページの下の方にも書いてあるように、やっぱりミクロの小さいのと大きいので違うとか、それから、たしか私の知識だと、エアロダイナミックダイアメーターというのは、ターミナルベロシティーなんかから決まるように思っていたのですけど、それと実際の気道内の線速度というのは随分違いますよね。そうすると、エアロダイナミックダイアメーターで出したとしても、なかなか代表値というか、出すのも、粒子の大きさを表現するのがうんと難しいような気がするのですけど、その辺何か、もう少しお考えをお聞かせいただければと思うのですけれども、教えていただきたいのですが。

【工藤委員】 この79年のGerrityPらの論文は、結局、数式をいろいろ仮定して入れていく過程に線速度や何かも全部、当然入ってきているわけですね。例えば、気管の断面積が3cm3あるいは5cm3とすれば、ここで言っている500ccだとすれば、流速で言うと1mですね。だけど、これはずっと末梢へいくと、どんどん速度が遅くなって、もう、細気管支のレベルでは、毎秒2mmぐらいになるわけです、Weibelで計算すれば、です。ですから、そこから先は、もう、流れというものは存在しなくて、完全な拡散になるのですね。要するに、ガス体でもそうです。ですから、いわゆる乱流の領域、層流の領域、そして、もう固まりとしてのフローがない拡散の領域、そういうふうに、通常の気体でもそうなりますので、その中にまじってどういうふうに挙動するかということになりますから、それでの沈降とかなんとかという、重力の影響とかいう数学的なモデルですね。ですから、あくまでもそういう仮説に基づいたものという計算式だと。

【内山座長】 よろしいですか。
 では、もう少しそこら辺のところは加筆・修正をしていただくことで。
 では、溝畑先生。

【溝畑委員】 先ほどの沈着の話ですけれども、我々工学の方では「遮断」という言い方じゃなく「遮り」という言い方をするのです。今おっしゃっていましたように、エアロダイナミックダイアメーターという形で扱えば、それはみんな一緒ですけれども、幾何学的な形が違いものですから。結局そこにひっかかると。それで、エアロダイナミックダイアメーターではなく、形状が関係してくると、実際、「遮り」みたいな効果でフィトレーションが起こるということなので、モデルとしてはそういう、実際の現象としてもそういうことが。フィルタでも1ミリの孔があいていても、周りにひっかかってしまうようなものが出てくるわけですね。それが実際起こっているということですね。と、私は理解しているのです。ですから、「遮断」と言われたときに、えっ、と思った訳ですけれども、我々の工学の方では、「遮り」という言い方をしているので。要するに、物理的にひっかかってしまうよということと理解したらいいのじゃないかと私は思っていますけども。

【小林委員】 ありがとうございました。

【内山座長】 生理学的な用語と工学的な用語とはまた違うと思いますので、そこら辺も少し誤解のないように、インターセプションということには変わりないのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 そのほかにございますでしょうか。
 それでは、これは次回にでも、また少しリバイスしたものをお示しいただければと思いますので、このくらいにいたします。
 続きまして、毒性学研究の健康影響についてということで、毒性ワーキング長の高野委員の方から1-4についてご報告をお願いいたします。これは少し長いので、20分か25分ぐらいでお願いします。

【高野委員】 それでは、毒性学研究の健康影響に関する知見の整理ということで、資料1-4に基づきまして説明させていただきます。
 まず、導入の部分で、この背景、それから、目的、方針、方向性、それから、構成というものが大体説明されておりますので、この導入の文書を1ページ目からご説明させていただきたいと思います。
 まず、導入におきましては、毒性学研究の意義と申しますか、そういったものが述べられておりまして、実質的に米国におきまして粒子状物質の環境基準が決定されたことは疫学的知見が大きかったわけでございますけれども、こういった疫学的知見に関します粒子状物質による死亡率、それから有症率の増加というものを説明しうる病態生理学的メカニズムというものに関して、多くの毒性学的知見が、ある仮説のもとに行われてきたということが述べられております。
 実際には、どういったことを目指して一般に毒性学的研究が行われてきたかということに関しまして、(1)から(4)というものを挙げさせていただきました。
 まず、1番目には、粒子状物質及びその構成成分によって、いかなる病態生理学的影響が惹起され得るのかと。また、そのメカニズムというものはどういうものであるかと。それから、2番目には、粒子状物質の性質、例えば、サイズですとか、化学組成といったもののうちに、健康影響を支配するものは何なのかと。3番目には、粒子状物質の健康影響に関して、感受性というものは存在するのか。また、いかなる集団が感受性の高い集団であるのか。また、その感受性はいかなる要因に規定されているのか。4番目といたしまして、粒子状物質とほかの汚染物質の間で複合的な影響はあり得るのかと。こういった問題を解決しようということで、種々の毒性学的研究がなされているということが説明されております。
 それから、第二パラグラフにおきまして、特に疫学的研究におきましては、感受性の高い集団がございますので、毒性学的研究におきましても、そういった人の集団を想定いたしまして、そういった性質を高度に再現できる障害モデルあるいは疾患モデルといったものも使って研究がなされているということが説明されております。
 それから、一部の毒性学的研究はもちろん量−反応関係を特定するということを目的として行われているものもございますけれども、多くの場合には、そういった量−反応関係を特定するということ以上に、疫学的に観察されている健康影響の生物学的な妥当性というものを検証することを意図しているということが説明されております。
 そういった目的を背景といたしますので、一般に、用いられている濃度は環境濃度と比較すると高いということ。それから、逆に、動物を用いている実験ということで、曝露期間はヒトに比べると短いということ。それから、先ほど小林委員の方からご説明がありましたように、粒子の吸入能力、生体内沈着あるいは体内動態といったところで、ヒトとこういった実験に用いられる動物との間に差があるということは認識しておく必要があるだろうということが述べられております。
 それから、2ページにまいりまして、次の段落では、では、実際、どういった研究を主にレビューしてまとめているかということが述べられておりまして、曝露条件といたしましては、吸入曝露、それから、気管内、肺内、鼻腔内への投与、それから、インビトロの実験を含むということが説明されております。
 それから、粒子状物質の種類といたしましては、都市大気の粒子状物質を濃縮させたCAPs、あるいはROFA、ディーゼル排気、TSP、金属成分、金属粒子等々といったもの、金属粒子も含めまして、こういったものが投与された、曝露された実験を対象としているということが説明されております。
 それから、特に重要なCAPsに関しまして、若干の留意事項が述べられます。どういうことかと申しますと、CAPsというのは非常に多くの成分を含むわけでありますけれども、こういった化学的な組成の詳細な同定はまだ不足しているということ。それから、非常に小さな粒子自体は濃縮されていないということも述べられております。
 それから、ROFAに関しましては、特にアメリカにおきましては、金属が比較的高濃度含まれているということが述べられておりますし、また、ディーゼル排気の成分に関しましても、非常に多くの成分があり、また、エンジン、それから、エンジン作動条件、それから、経時的な変化があるということも留意する必要があるであろうということについて触れております。
 では、実際にどのように整理していったかということが次の段落に書いてあります。これは、まず毒性に関する影響メカニズムの解明を中心に知見を整理して、その知見を踏まえた影響に関する評価を行ったわけですけれども、実際的には、各器官、これから述べますけど、各臓器、器官における粒子状物質の影響に関しまして、想定しうる仮説というものをまず列挙させていただきました。その仮説を検証するというような形で、動物実験及びヒトボランティア実験の文献等から内容や対象物質が適切な科学的知見を列挙いたしまして、吸入曝露、気管内投与による実験の種類、あるいは対象粒子の種類の違いも考慮しながら、障害の仮説の確からしさを評価するという方法をとりました。
 実際の目的とする臓器系でありますけれども、3ページ目に順番に列挙されておりますが、1)から4)までが臓器組織系統になります。
 まず、第1に呼吸器系への影響について知見を整理し、まとめました。第2には心血管系、それから、第3に免疫系、あるいはその他に神経あるいは生殖系、4番目は変異原性について知見を整理しております。
 それから、ちょっと視点を変えまして、5番目に関しましては、粒子の成分と健康影響の関係に関する知見を整理いたしました。
 また、6番目は、同様に粒径と影響の関連について知見を整理するというような方法をとりまして、最後に、まとめという章をつくりまして、これに導入をくわえて大体八つの章で構成されるということを、現在、予定しております。
 まず、実際、肺と循環器に関し、かなり作業が進んでおりますので、こちらの方からご説明させていただきたいと思います。まず、2.1の1ページ、肺及び呼吸器への影響というところでありまして、肺に関しましては五つの仮説を立てております。
 (1)肺傷害及び炎症が悪化する。(2)気道反応性の増加及び喘息の悪化がみられる。(3)呼吸器感染に対する感受性が増加する。(4)疾患モデル動物では粒子状物質の曝露による影響に差異が生じる。(5)複合大気汚染により影響の増悪が生じるといったものを挙げております。
 そして、この各仮説に関しまして、こういった仮説を説明し得るのではないかという文献のまとめを次の2.2の論文の紹介のところでざっと列挙しております。これは仮説ごとに論文を順に並べておりまして、この論文に基づきまして仮説を検証するという作業に入ります。
 それが飛びまして36ページにございまして、36ページに、2.3、論文による仮説の検証というのがございまして、これは、まず、肺傷害及び炎症が悪化するということの論文をこの前で、数行ずつぐらいで列挙したわけでありますが、そのエッセンスをさらに抜き出して評価したというものがこの2.3の部分でございます。
 実際には、例えば、第1段落でヒト、それから、第2段落で動物の知見がまとめられておりまして、詳細は割愛させていただきますが、36ページの下から4行目に、現段階での評価的な文章が書かれております。実際には、「高濃度のPM曝露はヒトの気道や肺に炎症反応を誘導する。動物実験においてはより高濃度のPM曝露により肺傷害が生じることが確認されている」。

【内山座長】 高野先生、ちょっとページ数が我々の持っている資料と違うと思いますので。

【高野委員】 違いますか?すみません。39ページですね、すみません。39ページですか。申しわけありません。ちょっと前の資料と変わっていたようで、39ページから、論文による仮説の検証というのがございます。すみませんでした。
 この(1)のところで肺傷害及び炎症が悪化するというところで、ヒトと動物の知見が第1段落、第2段落でまとめられているということです。
 下から4行目のところに、今、説明させていただきました、「高濃度のPM曝露はヒトの気道や肺に炎症反応を誘導する。動物実験においてはより高濃度のPM曝露により肺傷害が生じることが確認されている」ということが載っています。
 それから、39ページの下のところ、2行目、(2)で、気道の反応性の増加および喘息の悪化がみられるということで、ここでもまず、ヒトのボランティアの知見がまとめられまして、第3段落におきまして動物実験の知見が整理されております。
 そして、40ページの下から4行目ぐらいからでありますけれども、このまとめを現段階で評価しているところでは、「動物実験においては、さまざまな種類のPMが気道の抗原反応性を増強する粘膜アジュバントとして働き、喘息やアレルギー性鼻炎を悪化させる作用のあることが確認されている。ヒトにおける研究成績は限定的ではあるが、DEやDEPについては気道反応性の亢進および喘息、鼻アレルギー症状を悪化させる可能性がある」というような文章を現在考えております。
 それから、41ページは、呼吸器感染に対する感受性が増加するという仮説に対しまして、幾つかの論文のエッセンスを並べ、(4)のすぐ上の2行のところに書いてございますけれども、現段階では、ヒトにおいては証明されてはいないが、動物実験においてはPM曝露による呼吸器感染の感受性の増加が確認されているという評価であります。
 それから、(4)の仮説は、疾患モデル動物では粒子状物質の曝露による影響に差異が生じるという仮説でございまして、これは1)から4)まで、慢性気管支炎のモデル、肺高血圧のモデル、高血圧のモデル、それから、加齢動物のモデルというものが実際には検討されております。
 こういった検討におきましては、(5)の上の3行でありますけれども、疾患感受性動物によってはPM曝露による影響や既存の病態が悪化する可能性が指摘されていると。しかしながら、問題といたしましては、こういった疾患感受性動物が人の疾患モデルとして適切であるかどうかということに関して、まだ議論が残っているということがあるかと存じます。
 それから、42ページに、複合大気汚染により影響の増悪が生じるといった仮説に関しまして、幾つかの論文のエッセンスを並べております。現段階では、最後からの2行にまとめられておりますけれども、複合大気汚染により呼吸器系への影響が増悪するか否かというものは、さまざまな成績があって、まだその方向性は定まっていないというような評価とさせていただいております。
 次のまとまりでありますけれども、循環器系への影響というのが55ページからまとめられております。これはもう少し、イントロ部分、55ページの上の方を若干短くしていく可能性はございますけれども、いかなる仮説を挙げたかということが、下の方、(1)から(8)までに並べられております。
 実際には(1)から(8)までの上の数行でも述べられておりますけれども、微小粒子状物質を吸入いたしますと、自律神経系への影響を介した、あるいは肺の炎症、血液の凝固系あるいは凝固線溶系の変化、粒子状物質成分の血管内への浸出といったものを介した、あるいは、これらの組み合わせによる影響というものが惹起される可能性があるのではないかということで、次に掲げられた仮説が挙げられております。
 まず、第1には、微小粒子状物質の曝露によって不整脈が誘発されやすくなるのではないかと。それから、2番目には、不整脈の発現性に心血管系の生理学的、形態学的変化が影響を及ぼしているのではないかと。それから次に、心機能の変化において自律神経機能の影響が生じているのではないか。血液の凝固線溶系への影響が見られるのではないか。心機能変化において呼吸器系の刺激が影響しているのではないか。微小粒子、あるいはその成分は血液中に浸出して心血管系の影響を及ぼしているのではないか。そして、疾患モデルは正常動物に比べて循環機能変化に差異を来しやすいのではないかと。それから、複合汚染によって影響が増悪されるのではないかという仮説であります。
 こういった仮説につきまして、また幾つかの論文を次の56ページから列挙させていただいております。
 そして、この検証でありますけれども、91ページから論文による仮説の検証という文章があります。まず、微小粒子状物質の曝露によって不整脈が誘発されやすくなる、と。これはやはりさまざまな実験研究報告のエッセンスがここで今度まとめられて、述べられております。
 まとめと申しましても、結構長い文章で、すべて説明することはできませんので、実際には93ページの中ほどをごらんいただきたいと思いますが、「数多くの研究で」という言葉から始まるところでありますけれども、特に疾患モデル動物を用いた研究におきまして、微小粒子状物質の吸入あるいは気管内投与によって、期外収縮、徐脈といった不整脈が観察されてくる、と。一部の報告では、疾患モデル動物と正常動物の比較がなされていないものもありますけれども、ほとんどの報告では疾患モデル動物に異常所見がどうも多いようであるというふうに報告されております。
 それから、全体的に判断いたしますと、心血管系に対する微小粒子状物質の影響につきまして、影響が見られないという知見も確かに存在いたしますが、それにも増して期外収縮や徐脈といった心機能に明瞭な変化を示す根拠が多く存在する。この知見による影響の違いが何によって生じているものかについては依然不明な点が多いものの、微小粒子状物質の吸入により、実験動物の循環機能について不整脈に関連する変化が生じやすくなるといえるのではないか、というふうに評価をさせていただいております。
 それから次に、不整脈の発現性に心血管系の生理学的、形態学的変化が影響を及ぼすということでありますけれども、これについても幾つかの論文のエッセンスが述べられておりまして、94ページの中ごろ(3)の上のところでありますが、現段階におきましては、「CAPsやROFAの吸入曝露によって主に血管系の形態的な変化を促進する傾向が存在し、とくに潜在的に血管系に異常を持っている動物では血管病変の悪化がより促進されるといえる。このような血管系の異常は、心臓に対する圧負荷を増大させ、不整脈を誘発しやすくするものと考えられる」という評価でございます。
 それから次に、3番目、心機能の変化において自律神経機能の影響が生じるというところでありますが、95ページの(4)の上におきまして述べられておりますが、「ヒトボランティア実験による知見では影響を明瞭に示す知見は不足しているが、多くの動物実験の成績により微小粒子状物質の曝露によって自律神経機能に影響が生じている報告が多く見られている」ということが述べられております。
 (4)血液の凝固線溶系への影響に関しましては、95ページの下から数行で評価を述べさせていただいておりますけれども、「動物実験の結果から、一部の報告を除き血液成分に影響が現れるとする報告が多いといえる。多くの実験では高濃度の粒子状物質への曝露ではあるが、血液凝固系が活性化し、血栓の形成を誘導していくことが示唆された。このような結果は、ヒトボランティアの研究におけるCAPs曝露による血中フィブリノゲンの増加に関する報告や大気汚染の曝露による血栓症が起こる臨床的報告と傾向が一致している。このような血液性状の変化は、冠動脈閉塞や肺塞栓症を起こしやすくし、また末梢血管抵抗を増大することで心臓への圧負荷を高める可能性がある」というようなことを触れております。
 それから、(5)でありますが、96ページですね、心機能変化において呼吸器系への刺激が影響するということでありますけれども、これはどちらかというと、一般論の説明を最初の数行でしておりまして、炎症に関しましては、サイトカインあるいは生理活性物質の産生と血流への放出、それから、気道近くの神経あるいは心血管系への自律神経反射、それから、炎症による肺循環障害などがあり得るのではないかということなのでありますけれども、報告自体は余り多くありませんので、呼吸器系への刺激によってそれなりに心血管系へ影響を及ぼすという報告がある、という程度にとどめさせていただいております。
 それから、6番目に関しましては、微小粒子(粒子中成分)が血液中に浸出して影響を及ぼすのではないかということでありますけれども、これも現時点では、正確な判断はつかないという状況でございますので、最初の数行で、一般的にどのような経路で粒子あるいは粒子の成分が浸出していくのかということを説明させていただいております。
 それから、97ページは疾患モデル動物の問題でありますけれども、これに関しましても、98ページの下の方に評価文章的なものを載せていただいておりますけれども、冠動脈閉塞による心筋梗塞モデル動物及びモノクロタリン誘発肺高血圧症モデルにおいて、特に心機能異常があらわれやすいようであるといったことです。それから、その次に、心筋梗塞モデルにおけるこういった変化の意義、あるいは肺高血圧モデルにおけるメカニズムの過程というものが少し触れられております。
 循環器の最後は、98ページの下、複合大気汚染によって影響の増悪が生じるのではないかということでありますけれども、これも実は余り報告自体は多くないということでありまして、最後の1行で「O3や寒冷ストレス(交感神経緊張亢進)がROFAなどの心血管系作用を高める可能性は否定できない」といった程度の結論にさせていただいております。
 それから、免疫その他の影響に関しましては、104ページに免疫系その他の影響というところが載っておりまして、これは呼吸器と重なる部分が結構ございましたので、仮説としては免疫系に関して二つ、それから、その他の影響に関して二つ、挙げさせていただきました。実際には、104ページの(1)から(4)まででありますけれども、免疫系に関しましては、呼吸器における感染抵抗性が低下する、それから、アレルギー性の疾患が増悪するというのが2番目、これは呼吸器と非常に似通った部分でもあります。それから、その他の影響といたしまして、3番目に生殖器への影響が生じる。4番目、神経・行動への影響が生じる、というものであります。
 104ページからは、この仮説に関しまして、それらの根拠となるような論文がまた列挙されております。
 そして、論文に基づく仮説の検証でありますけれども、115ページにそのまとめがございます。まず、呼吸器における感染抵抗性が低下するということに関しまして、関連の論文のエッセンスがまとめられております。
 そのまとめでありますけれども、116ページの(2)の「アレルギー性疾患が増悪する」の上の段の文章でございますけれども、CAPsやDE曝露は、肺胞マクロファージの持つ細菌を殺す能力を低下させ、インターフェロン産生を抑制し、種々の細菌感染の感受性を高める可能性が示唆された。また、感染要因がTh2応答性に関与する知見も得られた。全身性の影響として、血中の凝集抗体価の低下も見られた。ただし、一部の実験で、細菌のクリアランス能力が6カ月間の低濃度DE曝露によっては影響がない、ということもありましたので、もう少し研究はやはり必要であろうという一文を加えさせていただいております。
 それから、アレルギー性疾患が増加するという仮説に関しましても、幾つかの論文のエッセンスを次にまとめさせていただいております。
 そして、117ページの下から4行ほどでまとめ的な文章を入れさせていただいております。「動物実験ではアレルギー性炎症の増悪がDEやDEPより認められたが、ヒトボランティア実験では、喘息患者について増悪が引き起こされない知見とともに、アレルギー感作を増悪させる知見が存在している」ということですので、総体として見ると、DEやDEPがアレルギー感作の増悪に影響を生じさせているのではないか、というような評価とさせていただいております。
 それから、118ページ、119ページに、生殖器への影響が生じる、それから、4番目には神経・行動への影響が生じるという仮説に関しまして、幾つかの論文を挙げさせていただいております。これらの論文はDEに関する論文でありまして、まだまだ科学的な知見が十分ではないのではないかと。もちろんメカニズムの解明には至っていないというのが現状であるというように、ともにまとめさせていただいております。もちろん影響が見られるという報告はあるのでございますけれども、まだまだその知見は十分とは言えないであろうという現時点での評価でございます。
 そして、あと、変異原性の問題、それから、粒子の成分と健康影響の関係、あるいは粒径と健康影響の関係に関しましては、現在その作業を進めているところでございますので、仮説の方だけちょっと簡単に説明させていただくことにとどめたいと思います。
 まず、変異原性、遺伝子障害性及び発がん影響ということでありますが、これに関する仮説は123ページ、下から7行ほどに(1)から(3)まででまとめられております。(1)は、都市大気微小粒子は変異原性を有する、(2)都市大気微小粒子は遺伝子障害性を有する、(3)都市大気微小粒子は発がん性を有するということで、この仮説を説明する、あるいは検定するための論文のまとめを現在進めているところでございます。
 124ページでありますけれども、粒子成分と健康影響の紹介であります。これも、現在、作業を進めているところでございまして、仮説の方を紹介させていただくことにとどめたいと思います。124ページの上から七、八行目でございましょうか、(1)微小粒子状物質の成分は毒性発現の重要な要素である、(2)微小粒子状物質の毒性が特定の成分により引き起こされる、ということでありますけれども、もちろん、これは仮説が必ずしも正の方に検証されるわけではございませんので、これは逆に、例えば(2)などに関しましては、なかなか特定の成分を確定することは困難でないかというような結果になりつつあるところでございます。
 最後に、129ページに粒径と健康影響の関係ということでありまして、この仮説は7.1の仮説の紹介の最後の2行でありますけれども、「粒径(表面積の大きさ等)により健康影響(細胞損傷・炎症の強さ)に違いがある」ということを仮説として挙げまして、これを検証するための論文をまとめまして、その作業を進めているところでございます。
 すみません、ちょっといろいろあるものですから、ページ数等を間違えまして、申しわけありませんでした。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。
 それでは、5節以下はまだ現在進行中ということで、主に1から4までのところでご説明いただきましたが、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。
 島先生、どうぞ。

【島委員】 高野先生、詳しくまとめていただいてありがとうございました。先生もおっしゃっていたように、呼吸器系のところと4番の免疫系のところが少しオーバーラップしているようなことが気になったんですが、例えば、41ページには、仮説として、呼吸器感染に対する感受性が増加するとありまして、115ページは免疫系のところで、呼吸器における感染抵抗性が低下するということですけれども、これは特に免疫系の影響ということで、あえて表現は使い分けておられると理解してよろしいでしょうか。

【高野委員】 そのとおりでございます。なるべく抜けがないようにということで、若干視点を変えてまとめておいた方が、抜けがなくてよろしいだろうということで、あえて重なりの部分は若干残るであろうという認識の上で、視点を変えた文章にしていくという形です。

【島委員】 ちょっと似たような意見になりますが、40ページの下の方の結論部分ですが、これは気道反応性と喘息の悪化について、ヒトでは限定的ではあるが悪化させる可能性があるというふうな書き方がされています。一方、免疫系のところ、117ページになりますけども、アレルギー性疾患が増悪するという仮説に対して、総体として見ると、DEやDEPがアレルギー感作の増悪に影響を生じさせているということですけれども、感作の増悪ということが何を意味しているのかがよくわからなかったものですから、教えていただきたいのですけれども。

【高野委員】 わかりやすく言いますと、呼吸器の方は、どちらかというと、気道の反応性、過敏性の方に意義を置いておりまして、免疫の後半の方は、感作というのは例えば抗体がより上昇したとか、症状自体には関連が必ずしもないのですけれども、免疫反応として亢進が認められているというようなものも含んでいる。というようにご理解いただいたらよろしいかと思います。

【島委員】 はい、結構です。

【内山座長】 よろしいでしょうか。では、そこはちょっと表現を工夫していただいて、誤解のないようにしていただきたいというふうに思いますが。
 そのほかにございますでしょうか。
 香川先生、どうぞ。

【香川委員】 細かい、本当に細かいことですけども、「肺傷害および炎症が悪化する」ではなくて、「誘発」。「悪化」というのは、ちょっと言葉が。

【内山座長】 何ページ。

【香川委員】 仮説の4ページですね。4ページの仮説の。悪化というのは、もう既に傷害とか炎症があったものを悪くする、増悪ですね。この場合は、PMを投与すると肺の傷害とか炎症が誘発される知見になっていますから。それから、「気道反応性の増加」ではなくて「亢進」という言葉が適切ではないかと思います。細かいことですけど。

【高野委員】 そうですね。そのとおりだと思います。もう一度、実際の担当の方に確認させていただいて、その辺の言葉の使い方は考えたいと思います。

【香川委員】 わかりました。

【内山座長】 ありがとうございます。
 そのほかにございますでしょうか。
 佐藤先生、どうぞ。

【佐藤委員】 今の香川先生のご発言と同じようなことになるかもしれないですが、仮説を書かれているところでちょっとわかりにくいというか、すっと頭の中に入ってこないような表現があったので。やっぱり、仮説だから、もっとわかりやすく書いていただいた方がいいだろうと思いますけど、例えば、55ページの循環器系への影響のところの仮説ですけれども、よく中身を見ればわかるのかもしれないのですけれども、「不整脈の発現性に心血管系の生理学的、形態学的変化が影響を及ぼす」等というのは一体どういうことなのかというのがよくわからなかった。その次のもよくわかりにくかったのですけれども、もうちょっとわかりやすいというか、一目見て頭の中に入るような表現にしていただければというふうに思いますけれども。

【内山座長】 高野先生、何か。いいですか。

【高野委員】 私も循環器は専門というわけではありませんので、ご専門の方からいただいたものをこのように載せておりますけれども、恐らく専門の方から見ると、ここまで書かないと多分間違いがある、と思って書かれた部分もあるのではないかと思いますけれども、先生のおっしゃる意味もよくわかりますので、また、担当の委員と相談させていただきたいと思います。ありがとうございます。

【内山座長】 わかりました。では、少しご相談されて、また、ワーキングで練っていただきたいというふうに思いますが、よろしいでしょうか。
 そのほかにございますか。
 高野先生、少しお聞きしたいのですが、全体として、例えば循環器も呼吸器も、仮説として挙げられたものがほとんど、程度の差こそあれ肯定されていて、一つか二つ、まだはっきりしない、あるいは否定できないというぐらいの表現だと思います。それでは、この中で疫学の呼吸器系の変化あるいは循環器系の変化の中で何が一番メカニズムとして考えられるのか。現在の表現ですと仮説はすべて肯定するような実験結果があるというふうにとれてしまうのです。まとめのところあたりで、少し、この仮説の中で、本当に疫学にこういうことが起こるとすれば何が一番考えられるのかというようなところまで書き込めますでしょうか。

【高野委員】 また、疫学の担当委員の方々と相談をさせていただきながら考えていきたいと思いますけれども、一応、やはり炎症、それから、自律神経系の刺激の問題等々、幾つか説明し得るような流れにはなり得るのではないかというようには考えております。

【内山座長】 そのほかにございますでしょうか。
 新田先生、どうぞ。

【新田委員】 ちょっと一つ確認させていただきたいことがあるのですが、2の呼吸器のところは、ご紹介いただいたまとめの文章のところにも、動物実験ではこういう知見というか評価、それから、ヒトのボランティアの実験ではということで、二つ、それぞれに関して記載されているように思った訳ですけれども、3の循環器の影響の方は動物実験の結果が中心に書かれて、一部だけヒトのボランティア実験ではとありますけれども、これは循環器に関してのヒトのボランティア実験は、呼吸器に比べて知見が少ないということでしょうか。

【高野委員】 毒性のワーキングの方で扱っている文献としては少ないということで、恐らく疫学の方の論文を含めればもちろん多くなると思いますけれども、そちらの部分は含んでいないというふうにとらえていただいてよろしいかと思います。

【内山座長】 これは、たしか、前回、香川先生からもご指摘があったように、ヒトのボランティア実験でのメカニズムの解明はこれから、徐々に行われ始めたところだと。特に循環器系に関してのメカニズムとして何かというところはこれから始まってきたところかなというご意見をいただいたと思うのですが、そのようなことでよろしいでしょうか。そうしましたら、最後のまとめのところに、循環器系のところはまだヒトのボランティア実験は不十分であるというようなところも少し書いていただくとよろしいかと思います。確かに、私も気になったのですが、呼吸器のところは、これはあくまでも動物実験で、ヒトにそのままモデルとして当てはまるかどうかわからない、というのがところどころに書いてありますが、循環器のところにはそれが書いていなかったので、そこら辺のところも、最終的なまとめのところに書く必要があれば書いていただければと思います。
 香川先生、どうぞ。

【香川委員】 あと、例えば39ページの(1)のところで、「高濃度のPM曝露により」、「以上のように高濃度のPM曝露は」といって、いろんなところで「高濃度」という表現を使っている訳ですが、個人的には、ここの39ページの吸入濃度は100ないし300μg/m3、これは決して高濃度じゃないと思いますが。だから、何か高濃度とか低濃度の目安みたいなものをつくっていただいたらいいのではないかと思いますけれども。

【高野委員】 すみません。導入部分で高濃度である場合が多いというふうにまず述べておりますので、基本的には、確かに高濃度ですとわざわざ限定する必要はない部分もあると思います。なかなか、どの濃度から高濃度であるかという部分は、気管内投与まで含めますと難しいところがございます。今、先生ご指摘の2行に関しましては、恐らく前の方の高濃度は削除したはずが残っているだけかもしれません。と申しますのは、炎症と傷害は分けようという議論をいたしまして、より少量でも炎症が起こって、より多くなれば傷害も出てくるのだという議論をいたしておりましたので、そういう意味での後の「高濃度」は残したつもりだったのでございますけれども、前の部分の「高濃度」は削除したつもりが残っている可能性もございます。

【香川委員】 これは可能な限り、この場合は、閾値濃度の評価はもちろん必要ないと思いますけれども、実験で使われている濃度範囲で表示した方がよりわかりやすいのではないかと思う訳です。どのぐらいの範囲の濃度のところでこういうことがと。まあ、最後のまとめなんかでも。幾つかのクライテリアドキュメントも、たしかそういうふうになっていたと思います。

【高野委員】 そうなりますと、使われている粒子がいろいろですので、例えば、ROFAで使われている量、DEPで使われている量とか、非常にさまざまでございますので、この前の数行のまとめのところを見ていただければ、その濃度というのは大体わかる仕組みにはなっているのですが、ここの仮説の検証の部分にまで濃度を入れるというのは、さまざまな粒子があり過ぎるものですから、ちょっと難しいかなという気が、現在はいたしますけれども。

【香川委員】 だから、例えば、EPAなんかは物質で濃度表示をしながらまとめたりもしていると思うので、もちろん、いろいろな物質を使っていますけども、実験で使われる物質って、大体決まっていますよね。だから、可能であれば、高濃度とかという漠然とした表現じゃなくて、このぐらいの濃度のものとかという、そういうのが表現できれば、非常にわかりやすいのではないかと思います。

【内山座長】 わかりました。では、そこら辺は誤解のないように、できる限り、特にまとめのところでは、できるところは具体的にということで、高野先生はよろしいですか。そこら辺のところはまた検討していただけますか。

【高野委員】 はい。

【内山座長】 むしろ、以前には低濃度といったときに、どのぐらいの数値かを逆に示さないと、低濃度で影響が出るとしたら、今、我々が実際に曝露されているような低濃度なのか、今まで行われてきた動物実験に比較すれば低濃度なのかという議論をしたことがありますが、誤解のないように最終的にまとめていただければと思います。
 そのほかにございますでしょうか。

(なし)

【内山座長】 それでは、毒性に関しましては、5節以下は、今現在、進行中ということでございますので、また、次回以降、議論したいと思います。
 それで、ちょうど4時半になりましたので、1回ここでお休みをいただきたいと思います。では、5分お休みをいただいて、4時35分から再開させていただきたいと思います。

(休憩)
(再開)

【内山座長】 それでは、まだお一人お二人、お戻りでない先生がいらっしゃいますが、8分たちましたので再開したいと思います。
 それでは、疫学研究の健康影響につきまして、疫学ワーキング長の新田委員の方からお願いいたします。これも長いですので25分ぐらいで、よろしくお願いします。

【新田委員】 それでは、資料1-5に基づきまして、疫学ワーキングの方での現在までの検討をまとめたものをご説明させていただきます。
 まず、「はじめに」、導入部分ですけれども、ここでは大気汚染の健康影響に関する疫学研究の概論ということで、幾つかの研究手法があるという、それぞれの研究手法の特徴について説明をしております。
 それから、重要な点、ただいま毒性の研究のご報告をいただきましたけれども、疫学研究の最も重要な特徴、1ページの真ん中辺に書いておりますけれども、現実の世界における大気汚染曝露とその健康影響の関連性を検討しているということが疫学研究の最も重要な点である、と。一方で、そのために観察研究であるということで、因果関係の推論にいろいろ制約がある、不確実性が伴うというようなことを書いております。
 そのあと、個別の研究の紹介をしておりますが、先ほども議論がありましたように、大気汚染による健康影響に関する疫学研究の場合には、1ページの下の方に書いておりますが、共変量それから健康影響指標については個人レベルのデータに基づくものの、曝露評価については地域の平均濃度を用いるというような場合がほとんどであるということで、妥当性、不確実性というのが非常に疫学知見の評価に当たって重要となってくるということを書いております。
 この点に関しましては、まだ、目次だけ21ページの方に示しておりますけれども、7-1の疫学評価に関連する影響要因の中で、測定誤差及び曝露誤差というところで十分検討を加える予定になっております。
 2ページ目、それから、大気汚染の疫学研究で特徴的な研究デザインとしては、時系列研究というのがございます。これは大気汚染物質濃度の時間変動、多くの場合には日変動ということですけれども、それと死亡、またはその他の健康影響指標に与える影響を検討する、統計的な解析を行うというような研究が数多く、諸外国で公表されております。この時系列研究の特徴に関しましては、その段落の最後の方に交絡因子の考慮の問題で長所があるというようなことを述べております。
 それから、その下のパネル研究というのも、短期的な影響を調べている研究ですけれども、一部はヒトボランティアの実験に通ずるところがございますが、特定の集団で大気汚染の影響を見ていくということで、ヒトボランティアの実験と違うところは、実際の環境での曝露との関係を見ているという点で、ここの疫学の分野のまとめで、ここのパネル研究は取り上げております。
 それから、そのあとのコホート研究、疫学研究の中では一番重要であるという位置づけをされているということで、他の研究に比べて優れていると一般に考えられているということを述べて、その理由、特徴に関して述べております。
 そのほか、幾つかの研究手法、大気汚染の健康影響に関する疫学的な知見の中で出てくる研究手法を紹介しております。
 3ページ目の方では、介入研究や自然の実験と言われる研究のことを書いております。これは因果関係を評価する上で非常に重要な位置づけをされておりますが、大気汚染の防止効果というようなもので大気汚染濃度が急激に変化したような場合に、交絡因子の影響などが少ないことが期待されると、そのような状況で大気汚染と健康影響の関連性、特に因果関係を評価する上で重要だろうということですけれども、実例としては、非常に少ないということがいえます。
 このようなたくさんの研究スタイルがあるわけですけれども、この疫学研究の評価に当たりましては、取り上げている大気中の粒子状物質としては、まずPM2.5の評価、微小粒子を代表するPM2.5、それから、粗大粒子のうちの吸入性粒子を代表するPM10-2.5というその領域、それから、これまで健康影響として一番たくさんの知見がありますPM10と、それから我が国で環境基準が設定されているSPMと、大体四つを取り上げておりますが、中心的にはPM2.5の検討を中心に考えて、その他の大気中の粒子の粒径別の指標を比較するというようなことで、以下のところをまとめております。
 それから、健康影響としては、短期的な影響、それから長期的な影響、二つ、それぞれ分けて記述して、最後に全体のまとめというふうに考えております。短期影響の方は数時間から数日程度までの曝露と、一応、そういう時間的な曝露の想定をしております。それから、長期曝露の方は1年からそれ以上という長期の曝露ということで、途中数カ月間の曝露というのは、研究報告がございますけれども、適宜、長期影響の分野で取り上げているものがございます。
 それからもう一つ、ただし書きとして3ページの下の段落に書いておりますけれども、疫学の研究では、単位濃度当たり、例えば、PM2.5が10μg/m3当たりというような単位濃度当たりの相対リスクというような表現、もしくは、そのリスクの増分のパーセントというような表現をしばしば用いております。これは近年、疫学的な知見の論文ではよく見かける表現で、今回の評価でも採用しておりますけれども、これは濃度−影響関係の対数スケールで相加的で、線形であるというような仮定を暗黙に置いた表現になっております。ただ、この仮定は実証されたということではなくて、このように表現で統一的に影響の大きさを評価できるという、そういう利点が重視された表現になっております。それから、閾値の問題も暗黙な仮定を置いておりますけれども、これに関しましても議論があるところですので、別途、7章の方で紹介をする予定にしております。
 以下4ページ、短期影響、長期影響、順に内容をご紹介させていただきます。
 まず、短期影響に関しましては、死亡を指標としたたくさんの研究がございます。この研究では、死因として外因死、事故による死亡等を除くすべての死因による死亡、我々全死亡とここでは呼んでおりますが、その全死亡との関係、それから、循環器系疾患による死亡との関係、さらに呼吸器系疾患による死亡との関係です。多くは短期影響の死亡の場合には、全死亡、循環器系死亡、呼吸器系死亡という三つの種類の死亡に関して微小物質との関連性が検討されております。それから、一部、さらに特定の死因、心筋梗塞、COPD等の関係を報告しているものもございます。全体、文献レビューの結果を見ますと、諸外国から我が国の知見も含めて200を超える短期の死亡に関する文献が出ております。
 その中では、複数都市研究と我々呼んでおりますけれども、各国もしくはヨーロッパの幾つかの国を統合したような複数の都市の研究結果を統合した報告が幾つか出されております。今回はその複数都市における研究を重要視したようなまとめをしております。
 以下、幾つの研究を個別に報告をしておりますが、その研究の全体のまとめを5ページの中ほどの段落の方に示しております。
 短期影響の日死亡で申し上げますと、「以上示したように、」ということで、「疫学的観点から優位性の高いと考えられる複数都市研究を中心に検討したが、PM2.5およびPM10と日死亡」――先ほど申し上げましたように、全死亡、呼吸器系疾患、循環器系疾患、三つの指標に関してですが、「日死亡との関連性に関する報告では多くの場合影響推定値が正を示しており、統計的にも有意なものが多かった。これらの結果は、北米、ヨーロッパだけでなく、日本をはじめ世界各地で行われた研究に共通しており、一貫性を示していた」。基本的には、そういう評価をしております。
 なお、リスク推定値、リスクの大きさに関しましては、都市間、評価対象とした疫学研究の中、それから、その複数都市の中のそれぞれの都市の結果でも、かなり開きが見られておりました。この地域間の不均一がどのような原因によるものなのかという検討も行われておりますが、現時点でははっきりとした説明できる因子を特定できていなかったというふうに考えております。
 その後で全体の不確実性の評価にかかわる部分で、短期影響の特に問題となるような統計モデルの問題、それから、共存汚染物質の影響の問題、それから、粒径に関する記載も少し書いておりますが、粒径に関しましては全体をまとめた評価も、この後書き込んでおります。
 次、入院及び受診ということで、短期影響の検討のもう一つは、医療機関への入院、もしくは受診、特に救急受診と大気汚染、粒子状物質の濃度との関係という研究がたくさんございます。これは諸外国、特に欧米での研究がほとんどでございます。
 ここにも冒頭に書いておりますが、このような入院・受診に関しましては、非常に貴重な知見を与えているというふうに考えておりますけれども、医療制度それから患者の受療行動というようものに非常に影響を受ける指標ということで、関連性の大きさの一貫性を評価するのはちょっと難しいだろうという判断で、主として影響の有無、どちらの方向に影響があらわれているかということを中心に検討をしたいというふうに考えております。そのことを書いております。
 この入院・受診に関しましてのまとめを7ページの最後の方の段落に書いております。「以上」のところからですけれども、まず、呼吸器に関しましては、先ほど述べましたように、医療制度、受療行動、いろいろ問題がある。そのために関連性の強さや結果の一貫性を評価することは困難な要素が存在するが、日死亡で認められていたような関連性と同様のものがPM10もしくはPM2.5の曝露に関して全体的に正の関係、そして、その関係の多くは有意差が認められているということで、大気中の粒子状物質の曝露と入院・受診との関連性を示すものと考えられたという書きぶりをしております。
 それから、循環器系に関しましても、同様に心血管関係の入院の増加と関係しているという報告があるということで、なお、PM10-2.5に関しましては報告数が少なくて、はっきりと結論的なものを述べるのは難しいだろうと、今、現時点では考えております。
 続きまして8ページには、そのほか、短期的な症状とか機能変化に関しての研究成果をまとめております。
 まず、循環器系に関しまして説明をここに書いておりますけれども、ここでは具体的なエンドポイントに関して疫学知見の一貫性を評価するというよりは、先ほど高野委員の方から説明がありましたような、動物実験とヒトの疫学の実験をつなぐような、メカニズムに対する根拠として、どういうふうなものが疫学の方で出ているかというふうな、そういう観点からまとめをしております。
 今のところは、かなり、疫学の方でも循環器への影響、全体の知見はそれほど多くはありませんけれども、動物実験で示された、もしくはヒトボランティアの実験で示されたものと共通するようなメカニズムを示している知見が幾つかあるというふうに思っております。
 それから、その後、呼吸器系の症状、機能変化との関連性ですけれども、これは基本的には肺機能もしくは呼吸器症状と粒子状物質の濃度との関連性を検討したものが多くあります。それぞれに関しまして、喘息もしくはCOPDの患者さんを対象にした研究、パネル研究として健常者を含むような研究、2種類あります。それぞれの結果のまとめを、7月に公表いたしました微小粒子状物質曝露影響調査、日本での結果も含めて評価をしたものを10ページの上の方の最後の段落、症状、機能変化のところの最後ですが、「以上」のところでまとめております。「以上、これまでの研究結果からすると、喘息患者のピークフローに関しては概ね大気中粒子状物質(PM10およびPM2.5)曝露の影響が認められる。一方、呼吸器症状については、ピークフローほどの関連性は認められないものの影響を示唆している。喘息患者以外では、ピークフロー、呼吸器症状ともに、粒子状物質との関連性は疑われるものの、喘息患者に比べて一貫性に欠いている」と、こういう評価を、現在、疫学ワーキングの方では検討した結果として書き込んでおります。
 続きまして長期曝露影響の方に移りたいと思いますが、10ページの方で、まず、死亡、長期的な曝露によって死亡率が上昇するかどうかというような研究が幾つかあります。基本的には前向きコホートと言われている疫学の研究のタイプで行われた結果がここに幾つか示されて、代表的なものを六つ、ここでは紹介をしております。
 長期影響のこういうコホート研究、数多い日死亡の研究と異なりまして、数百の研究があるというわけではありませんが、一つ一つが大体10年から20年ぐらいの期間をかけた研究成果がここで示されているということで、全体の研究のまとめを表3.1に示しております。
 12ページの最後の段落でちょっと資料、ワープロのミスが入っておりますが、ここには「表3.1」と入れていただければというふうに思います。12ページの最後の段落の「PM2.5の死亡に対する効果の大きさを」というところのそのあとの表現でございますけれども、ここに「表3.1」と入れていただければと思います。
 基本的には、この代表的な六つの疫学調査の結果を示しておりますけれども、まず、全死因の死亡、全死亡に関しましては、相対リスクの増加分、大体10%から20%ぐらいの増加ということで、PM2.510μ当たりで10から20%の増加ということが言えます。リスク比もしくはハザード比で申し上げますと1.1から1.2の間ということになります。
 それから、循環器・呼吸器系疾患、呼吸器系疾患の中でも肺がんの死亡については、やや発生数が少ないということで、ばらつきが大きくなっておりますけれども、概ね正の関連性を示す一貫性のある結果になっているというふうに考えております。
 先ほど冒頭で申し上げましたように、疫学研究の中では、コホート研究が、一番信頼性が高いというような評価がありますので、私どももこの長期影響の死亡に関するコホート研究を全体の評価に当たっても重視するという方向で考えております。
 それから、長期影響、14ページになりまして、死亡以外の研究成果、まず循環器系の研究ですけども、これも先ほど申し上げましたように、基本的にはメカニズムとしてどのような可能性があるかという循環器系のリスク要因幾つかに関しまして調べている報告があります。
 それから、最も重要だと考えられるものが、14ページの中ほど以下に書いております。一つだけコホート研究で心血管疾患の発症を調べた研究が、WHI研究と書いておりますけれども、米国のWomen’s Health Initiativeという研究でコホート研究がございます。これではかなり、ただいまの死亡に比べてリスクの大きさより、さらに大きいリスクが報告をされているということで、循環器の結果としては重要なものだろうというふうに思っております。
 それから、その後、呼吸器系の長期影響の研究を書いております。これまで大気汚染の研究の中で非常に数多くの疫学的な知見が呼吸器系に関してあるわけですけれども、諸外国それから我が国での研究の多くは断面研究であるということで、曝露と健康影響の時間的な関係が不明瞭になりやすいという欠点が幾つかございますけれども、幾つかこの評価に当たって注目すべき成果が報告されております。
 この中でも、米国の6都市研究、それから、カリフォルニア州の小児の研究、ヨーロッパにおける幾つかの疫学研究の報告を紹介させていただいておりますけれども、17ページの方にそのまとめを書かせていただいております。「以上のように、大気中PM2.5への長期曝露と呼吸器症状・疾患、肺機能との関係については、欧米諸国における疫学研究を中心にいくつかの断面研究及びコホート研究で関連性が報告されており、その多くは交絡因子の影響を調整しても関連性は有意であることを示している」。それから、PM10に関しましても同様の結果が得られているということです。
 これらの知見を総合しますと、大気中のPM2.5及びPM10への長期的な曝露が呼吸器系に影響を及ぼすことが示唆されるというふうに考えております。
 なお、長期のこういう研究の場合には、共存汚染物質の影響をどう評価するかという点が非常に重要なわけですけれども、現在得られている知見、もしくは長期影響のこういう疫学の手法上の制約を考えますと、示されている関連性がPM2.5単独の影響を示したものかどうかということに関しては、もう少し慎重に検討する必要があるだろうというふうに、ここでは書いております。
 それから、その後、呼吸器・循環器以外では、成長・発達に関する研究が幾つか諸外国で発表されております。この知見は非常に重要なものであるというふうに考えておりますけれども、現時点では研究成果、知見の数が少なくて、一定の結論をこれに関して導くことは難しいだろうと、今後注目すべき健康影響指標だろうという、そういう評価をしております。
 その後、ちょっと、先ほど毒性のところでもありましたように、特定の成分と、その後、粒径に関しての検討、全体をまとめた検討をここに書いております。
 まず、特定の成分に関しましては、現在、疫学の方で健康影響指標と関連性を最も報告の数があるのは、硫酸塩、もしくは粒子の酸性度を含むそういう報告でございます。米国の6都市調査等々でいろいろ報告がされております。短期影響のもの、長期影響のもの、両方ございますけれども、基本的なまとめとしては、18ページの中ごろから下の方に書いておりますけれども、このように、硫酸塩については、短期、長期ともにいろいろな複数の影響指標に関して有意な関連性が報告されておりますが、基本的にはPM2.5の影響よりも大きいものではなかったというふうに考えております。その他の成分に関しましては、知見の量・質、非常に限られておりまして、ここで結論的なことを述べるのは難しいだろうというふうに思っております。
 それから、成分に関しましては、18ページの最後の段落に書いておりますが、粒子の成分、それから、そのパターン等から発生源を推定して、発生源別に健康影響との関連を評価した報告がございます。先ほど資料1-2でレセプターモデルというご紹介が坂本委員の方からありましたけれども、基本的にはあのモデルを応用したような、それと健康影響を結びつけたような研究がございます。これでも幾つか特定の発生源との関連を示すような報告もございますけれども、結論を述べるにまだ至っていないというふうに考えております。そのほか、自動車排ガスとの関係を想定したような研究も含まれております。これも含めてPM2.5の影響という観点から、補助的な情報というふうにはなり得るとは思っておりますが、特定の発生源に関してPM2.5の影響を述べるということは、現在の疫学知見からは難しいのではないかというふうに判断しております。
 それから、粒径と健康影響に関しましては、基本的にPM2.5とPM10という二つの指標に関する知見がたくさんあるわけですけれども、我が国ではSPMという基準が設けられているということで、特にSPMの影響をどう見るかということも含めて、そこに書き込んでおります。
 20ページに全体のまとめを書いておりますけれども、まず、死亡に関する短期影響に関しましては、PM2.5とPM10-2.5を比較したようなものがありますけれども、現時点ではPM10-2.5がPM2.5に比べて重要だというような結論は導けないだろうというふうに思います。
 死亡以外の入院・受診に関しましても同様な、PM10-2.5の影響がありという報告はございますけれども、PM2.5の影響に比較してより重要だというような知見ではないというふうに思っております。長期影響に関しましても、同様の評価をしております。
 SPMに関しましては、日死亡の研究が我が国の研究、それから、ことしの7月に発表いたしました微小粒子状物質での日死亡との関係、SPMでも見られております。
 資料の最後に、報告書にあるものを少し再構成したものをお示しさせていただいております。
 参考資料として、国内知見による粒子状物質(PM2.5、SPM)を比較したものですけれども、基本的にはPM2.5で示されたようなものと同じようなパターンがSPMでも示されているということです。ただ、SPMの濃度変動とPM2.5の濃度変動、相関は高いですけれども、絶対値の分布にやや違いがあるということで、統計的な有意性という意味では、少し異なった結果が出ております。
 2ページ目には長期影響の方で、同じく微小粒子状物質曝露影響調査で、小児の喘息様症状、保護者の持続性せき・たん症状を抜き出して、再構成してここに示しておりますが、基本的には少しSPMの方が、濃度範囲が広いということで、広がった印象ですけれども、全体の地域的な関係、7地域ありますけれども、その関連性のパターンは、小児の喘息様症状、保護者の持続性せき・たん、その他の呼吸器症状に関しても、ほぼ同様の結果が得られておりますが、類似の傾向を示しているというふうに考えております。言いかえますと、現時点でPM2.5の影響とSPMの影響を区別して議論するのは非常に難しいのではないかなというふうに思っております。
 20ページから21ページの方に書いておりますけれども、PM10とかSPMにおいて見られているような健康影響のかなりの部分が微小粒子、いわゆるPM2.5で説明できるとしても、もちろん、粗大粒子の影響が存在する可能性は残ると思いますけれども、現時点でそれを明確に疫学の方から一貫性をもって示すのは困難であろうというふうに思います。
 その後、まだ現在作成中ということで、不確実性の問題をいろいろ個別に十分に検討した上で、最後、まとめを書く予定にしております。
 まとめに関しましては、従来から疫学の知見の総合評価で用いられておりますHillの判定条件と言われているようものを参照して、全体のまとめをする予定にしております。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。
 7、それから8のまとめのところは、まだ、今現在進行中ということですが、いかがでしょうか、何かご質問。
 香川先生、どうぞ。

【香川委員】 この引用文献を見ますと、ほとんどが2002年とか、以前の文献が主ですよね。そうすると、PM2.5は測っているのでしょうか。でも、先生のここではPM2.5の何μg/m3以上になったら何かと、いろいろ書かれている訳ですけれども、これは換算値のデータですか。私、実際にPM2.5を測定した疫学データって、そんなに数が多くないと思いますけれども、ここにいろいろPM2.5の濃度表示が出ておりますけれども、実際に全部これはPM2.5を測った値なのでしょうか。

【新田委員】 基本的には、PM2.5を実測したものは多いと思います。中には、特にヨーロッパの研究の場合には、黒煙ですね、ブリティッシュスモークから換算したものも含まれておりますが、基本はPM2.5を実測したものを重要視してここにまとめております。100% PM2.5を実測したものだけということではありません。

【香川委員】 PM10とPM2.5も、両方はかった差でやっている。換算じゃないと。

【新田委員】 基本的には、そういう論文だというふうに考えております。

【香川委員】 あと、欧米の粒子の測定は、日本みたいに1時間値とか、そんな連続測定しているところは少ないですよね。年平均値といったって、月に何回か測る、極端なものは、春、夏、秋、冬に1週間ぐらい測った平均値で年平均値としていますけれども、ここに書いてあるのは、結構、回数多くはかった値も表示されているのでしょうか。

【新田委員】 特に基準は設けておりません。ご承知のように、短期影響の場合には、米国ですと、6日に1日ということが基本パターンになっておりますので、その点に関しましては、きょう、資料として具体的にお示しできておりませんが、7.1の測定誤差というところで、そういう間欠測定した場合の誤差がどういう結果に影響を与え得るかということは検討をしたものを書き込む予定でおります。
 ただ、これまでの欧米でのいろいろな評価を見ますと、その間欠測定が大きな問題だというふうには、誤差は大きくするだろうけれども、結果に偏りを与えるということではないというような評価になっているかというふうに理解しております。

【内山座長】 富永先生。

【富永委員】 コメントを二ついたします。
 1点は、11ページの中ごろから、WHI(Women’s Health Initiative Observational Study)について書かれておりますが、ここでは六万数千名、対象者、これは研究の規模は大きい訳ですけれども、居住地から30マイル以内の最も近い測定局のPM2.5を割り当てた値でありまして、30マイルというと50キロぐらいですね。だから、これは非常に荒っぽい研究だと思います。
 それから、マイナーなコメントとしましては、表3.1の表頭で心肺系死亡というのが全死因死亡の右にありますけど、「心肺」ではなくて「心血管系」だと思います。心と肺は一緒にしないです。心血管系であろうと思います。
 それから、この表は非常に興味深い表でありまして、これだけで何か結論を得ようとしているのだと思います。ですから、ここで過剰RRとありますけれども、これは本文の方では、ちゃんと、交絡因子は喫煙を初めきちんと調整、考慮されているというふうに書かれておりましたので、ここは単にただRRじゃなくて、注意の米印か何かつけまして、他の交絡因子で調整されている相対リスクであるということ。それから、特に、オランダの研究では、ほかの因子は調整しているけれども、喫煙は調整されていませんね。ですから、この表3.1は、脚注のところにもう一、二行追加したらいいと思います。
 以上です。

【内山座長】 はい。

【新田委員】 ただいまの富永委員のご指摘に関してちょっとお答えさせていただきます。
 まず、11ページのWomen’s Health Initiative Observational Studyの曝露評価に関しましては、曝露評価だけの論文が出ておりますので、それを引用して、その点に関して、もう少し詳しくここで述べるようにしたいというふうに思います。
 それから、表3.1の心肺系というところは、実は一番初めに、このコホート研究大気汚染に関しまして出した6都市の研究で、呼吸器系の死亡数が少なかったということで、論文で、cardio pulmonaryということで、cardiovascular diseaseとpulmonary disease 、この死亡をまとめた表を出しているということで、それ以降、それに合わせた表現になっております。ここで心肺系と書いてあるのはcardio pulmonaryということで、cardio vascularとpulmonaryを合わせたものというふうにご理解いただければと思います。また、ここは少し注釈を入れて、誤解のないように表現をさせていただければと思います。
 それから、調整因子かどうか、それから、どういうもので調整したかというのは、この表でわかるような形でつくりたいと思います。

【内山座長】 よろしいでしょうか。
 香川先生。

【香川委員】 今の表3.1の心肺系死亡というのは、これはたしか私の理解するところでは、死亡票で心臓系と肺、呼吸器系の区別が原疾患できちっとなっていない可能性があるので、それで、疫学データの再解析のときに、要するに心臓系の病気と肺の病気を一緒にした方が、むしろ、そういった評価が正確にできるのじゃないかというので、一緒にしたのだと思います。それがここの心肺系死亡となっているのだと思いますけども。私の記憶違いかもわかりませんが。

【新田委員】 そういう議論も確かにあったかと思います。ただ、再解析のところで死因に関しての誤差を評価した結果、私の記憶ですと、1%以下の死因の分類の誤差だったというふうに報告書に記載されていたかと思いますので、結果的には死因分類の影響は大きくないだろうというふうに思っています。この心肺系というふうな形でまとめられた米国のクライテリアドキュメント、スタッフペーパー等でもこのようなまとめ方をされている例が多いのですけれども、その経緯に関しまして、もう一度ちょっと確認をして、それにあわせて私どももまとめの表を作成させていただければと思います。

【内山座長】 ありがとうございました。
 そのほかにいかがでしょうか。
 高野先生。

【高野委員】 8ページの2.3.1の部分なのですけれども、短期影響の中で比較的クリティカルケアに至る前の状態を見たという、そういった指標を見たという報告がここにまとめられているかと思うのですけれども、心拍数、血圧、CRP、フィブリノーゲン、あるいは虚血性心疾患の心電図変化といった、非常に生理的な指標が、今までのほかの場所ですと、PM10とPM2.5の影響は余り差がなかったというわけですけれども、ここでは結構PM2.5の影響が大きく出ているということで、毒性の方から見ると非常に興味深いのですけれども、この辺、何か感想といいますか、印象といいますか、内容についてご説明いただけるとありがたいのですけれども。

【新田委員】 循環器に関しましては、呼吸器に比べて研究、報告が出たのが最近のものが多いということで、PM2.5と相対的に関連を見ているものが多いという結果かなというふうに思います。古い研究というか比較的古いものに関しましては、PM2.5の測定が行われていないので、実際上、直接評価ができなかったというようなことかと思います。
 それから、ついでに申し上げますと、循環器系に関しましてはいろいろな検討が始まったという段階で、個別の、例えば心拍変動の低下とPM2.5の関係が明確に出ているかどうかというのは、しっかりした評価は、ちょっと現時点では難しいだろうなと。全体としてそういう感受性を示しているものがあるというようなことでご理解いただければと思います。

【内山座長】 よろしいでしょうか。
 どうぞ。

【富永委員】 12ページの中ほどよりちょっと上の方で、曝露の測定時期と死亡の観察時期の時間関係ですね、大部分の研究では大体両方ほとんど合致して同じ時期であると書いてありまして、WHI研究では死亡観察時期の方が先で、曝露、大気汚染の測定は後になっています。こういう調査もありますし、日本で行われている研究でも、こういうふうにほぼ同じ時期でしたらデータがありますので解析は可能です。過去に著しい大気汚染があって、過去から現在に及ぶ大気汚染の累積された影響を、死亡率あるいは罹患率で見るとすると、矛盾するものですから、外国のデータがこういうふうにほぼ同じ時期にしているのだったら、日本でもこれでも良いのではないかなと思った次第です。

【新田委員】 ちょっと補足だけ。実はこの点、また同じようなことを申し上げて恐縮なのですけれども、今現在作成中の疫学研究の評価に関連する影響要因のところの7.4の曝露影響の時間構造というところで、短期的なものそれから長期的なものも含めて、今ご指摘いただいたような点を考察する予定にしております。基本的には、なかなか、疫学研究のいろいろな制約で、時間的な関係、明確にするのは難しいというようなことになろうかなとは思いますけれども、それがどういう結果に、解釈に影響を与えているかということは、十分ここで検討するつもりでおります。

【内山座長】 ありがとうございます。
 そのほかにございますでしょうか。

(なし)

【内山座長】 それでは、特にないようでしたらば、これもまだ7、8がこれからということですので、また次回ご検討いただくということで、きょうはこのぐらいにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 そうしましたら、今後、それぞれのワーキンググループにおきまして、きょうの検討会におけるご指摘も含めて、また次回以降の原案をまとめていただくということにしたいと思いますので、よろしくどうぞお願いいたします。
 きょうご議論いただいたいわゆる5項目につきましては、この知見を踏まえて健康影響評価ということを今後まとめていくわけでございます。今もまだ、原案として各ワーキンググループに引き続き検討をしていただいているところですけれども、この健康影響評価、最終的にどのように進めていくのかということを、きょう、簡単でありますけども、委員の皆様と共通認識を持ちたいと思いましたので、各ワーキンググループ長と相談しながら、事務局の方にお願いしまして、この健康影響評価の検討・整理の考え方ということをつくっていただきました。
 事務局から、ちょっと説明をお願いできますでしょうか。

【松田補佐】 それでは、資料2に基づきましてご説明をします。
 本日は、粒子状物質の特性、曝露評価、沈着、動態、毒性、疫学に関する知見の整理の資料が提出されたところなのですが、これらの知見を統合して、微小粒子状物質の影響メカニズム、有害性同定に関する影響の評価を記述していきたいと思っております。
 それで、まず一つ目に、粒子状物質の大気・体内中の挙動に関する整理として、本日、粒子状物質の大気中の挙動や体内における挙動、このことについて資料が提示されましたが、これについてまとめをしていきます。
 また、その次に、粒径の適切なカットポイントの検証として、例えば、物理的・化学的な要素から粒径分布、成分、粒子の成長・寿命から見た検討、あとは、実際の曝露データ、粒子の地理的な均一性や室内への進入率、これらの点からの検討をいたします。またドシメトリー測定からの検討として、沈着・動態の知見に基づいた検討をします。また、実態面から測定方法からの検討、あとは既存の疫学や毒性に関する知見の蓄積から見て、カットポイントを検証する。これら四つの事項から検証したらどうかということをここに書いております。
 また、次は、影響メカニズムのまとめということで、これは毒性学知見を中心に整理していくということで、呼吸器、心血管器、免疫、発がん、発達ごとの整理を進めればどうか、また、その際に、あわせて成分や粒径、高感受性、共存汚染物質の要素ごとの知見、また、沈着・動態の知見も考慮してはどうか、ということをここで書いております。
 次に、有害性同定に関する整理として、疫学知見と毒性学知見の統合という部分です。疫学知見で観察された結果につきまして、毒性学知見で観察された知見と統合して、生物学的な妥当性、整合性、これらを検証していけばどうかと考えております。これについて、呼吸器、心血管器、発がん等それぞれに整理をしていくとともに、あわせて粒径、これは微小成分、粗大成分の違い、あとは成分、共存汚染物質の影響、また、閾値の有無の判定、感受性が高いと予測される集団への影響、さらに日本と欧米等の違い、これらの部分についての事項の考察も含めた形で整理を進めればどうかということを、ここで書いております。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございます。
 きょうご議論いただいた5項目をもとに、今後、健康影響評価の検討整理をするという道筋をお示しいただきましたが、何かご意見、ご質問ございますでしょうか。
 まとめ方、整理で、このようなところが落ちているとか、これは無理ではないかというところでも結構だと思うのですが。
 佐藤先生、どうぞ。

【佐藤委員】 ちょっと、私、よく理解できなかったのですけど、丸の2番目の「粒径の適切なカットポイント」というのはどういう意味でのカットポイントなのか、よく理解できなかったのですけど。

【松田補佐】 これは微小粒子の区分、また、粗大粒子の粒径の区分ですね、ここの部分について、どの粒径が適切な大きさなのかという部分の検証が必要だろうということで、ここの適切なカットポイントということで、事項として立てさせていただというところです。

【佐藤委員】 そうすると、例えば、今後の、規制するなら規制する、あるいは基準をつくるなら基準をつくる場合に、大きさはここという、そういう意味ですね。

【松田補佐】 まだ、規制をするかどうかというのは別としまして、例えば、微小粒子という部分であれば、どこの範囲を微小粒子とするのが適当かという部分について、この中で整理をされれば、見えてくるのではないかというところです。

【内山座長】 これは多分、以前にも問題になったPM10とSPMが、要するにアメリカと日本で違うので、同じ微小粒子をPM2.5でいいのかどうかと議論もあったということを、少しここで整理しようということでよろしいのでしょうか。

【松田補佐】 はい、そうですね。

【内山座長】 溝畑先生、どうぞ。

【溝畑委員】 粒径の適切なカットポイントの検証ということですが、上から三つ目の「線量測定から検討」というのは、この線量というのはどういう。

【松田補佐】 ドシメトリーというのを翻訳したら、線量というのがちょっと適当かどうかはわからないのですが、主には沈着、粒子が体内に入った後の沈着とその動態、その部分からの検討という趣旨で書かせていただいています。

【溝畑委員】 放射線の方だったら当たり前のことだけど、ちょっと何か。

【内山座長】 これはもう、なかなかドシメトリーは日本語に訳しにくいので、ドシメトリーでいいと思いますが、いかがですか。

【小林委員】 本分の中では容量、量−反応関係とか、そういう言葉で使っています。線量というのは、これは]線か放射線かな。

【内山座長】 そこはそういう意味だということで、きょうのところはご理解いただきたいと思います。
 島先生。

【島委員】 言うまでもないことかもしれませんけど、カットポイントの検証というのは、当然、健康影響を評価した上で検証されるべきものだと思いますけども、順序として2番目のところにあるのは適切でしょうか。影響メカニズムや有害性を同定した上でカットポイントを検証するべきではないかなという気がするのですが、いかがでしょうか。

【内山座長】 はい。どうでしょう。

【松田補佐】 順番につきましては、2番目、3番目、4番目のところを2番目のものを、これを4番目にするべきなのかどうか。むしろ、並行して考えるべきなのかということで、今回はとりあえず順番を2、3、4という形で、今のカットポイントを2番目に置かせていただいていますが、当然、島委員からお話があったとおり、それぞれ関連していくものだと思いますので、ちょっと、きょうは、とりあえず順番として2番目に置かせていただいていますが、ここは相互に関連しながら考えていくものだと思っております。

【内山座長】 よろしいですか。きょうのところは丸で、数字は打っていないということで。項目としてこれらの項目がぜひ評価に必要だというところで、先々また考えて議論していきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、そのような形で、きょうご指摘あったことも考慮しまして、また、健康影響評価の検討・整理を今後進めていきたいというふうに思いますので、また、これは次回もご議論していただくことになるかと思いますので、きょうはこのぐらいにしておきたいと思います。
 それでは、議題2の方に移りたいと思います。既存の長期曝露影響調査の活用についてということでございます。
 前回の会議において国内における長期曝露影響の知見が不足しているのではないかというご指摘を受けまして、過去のコホート調査で活用できるものがあれば活用してはどうかというご指摘がありました。これにつきまして事務局の方で委員の協力を得ながら、国内の既存のコホート研究の中から微小粒子状物質の長期影響の推計に活用できるものにつきまして報告があるということでございますので、その知見とともに、今後の活用方法について少しご議論いただきたいと思いますので、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【松田補佐】 それでは、資料3に基づきましてご説明します。
 これまで、この検討会におきまして死亡の長期影響を示す知見として、本日、新田委員からも紹介がありました、例えば米国のACS研究やハーバード大学の6都市研究などが紹介されているところですが、前回の検討会におきまして、国内の微小粒子状物質による死亡に関する長期曝露影響の知見を加えるため、いろいろな分野のコホート研究を用いて基礎データを得るべきだという意見が提出されたところです。
 このため、国内で行われているコホート研究の中から、大気汚染が既に進んでいる都心地区も含めた形で微小粒子状物質による長期曝露影響の推計を行うことができる調査の選定を、委員の協力を得ながら行いました。その結果、環境省において、現在も追跡作業を継続している大気汚染に係る長期曝露調査を活用して、粒子状物質濃度から微小粒子状物質濃度を推定する作業を行うこととしました。
 本資料において、この調査について紹介をするとともに、また、評価に資する活用の考え方についてお示ししたいと思います。
 2番目に、この調査の目的ということですけども、昭和56年以降、がんが死亡順位の第1位となって、がんの死亡数が増加してきている。そこで大気中の浮遊粒子状物質の濃度などと発がん性の関連について明らかになってこなかったということもございまして、当時の環境庁はこれらの関係の解明に資するための調査を昭和57年度から開始しております。
 具体的には、長期的な曝露の影響を見るため、都心地区と対照地区、それぞれ居住する住民を調査の母集団として、喫煙や職業などのデータを把握して、住民の転居や死亡等の追跡を行う前向きコホート研究を行っております。
 次のページにいきまして、調査内容ですが、昭和58年から60年にかけまして、各地域でアンケート等のベースライン調査を行っております。その後、15年間のがん患者、がん罹患死亡者が解析に足るだけの観察数が得られると想定される15年間の追跡調査を行いまして、そのデータを収集した上で、さまざまな関連因子も考慮した上で、長期間の大気環境測定データとの関係を見ることを目標に調査を進めてきております。
 調査地域は、その当時、既にがん登録が行われ、調査体制が整っていた宮城県、愛知県、大阪府において、都心地区、対照地区として、大気環境の測定を行っている測定局の近くにあって、また、地元自治体の協力を得られた地域を選定しております。
 対象者は、調査開始時に年齢40歳以上の男女です。そこで、調査地域でコホートを設定して、その後、別途3地域の調査機関、自治体等が、人口動態調査、住民票等の資料を用いまして、観察対象者の死亡状況、死因、対象地域への転出状況、がん罹患等について追跡調査を実施してきております。
 また、その一方で、大気環境測定データ、これについては、大気汚染によってがんが発生すると仮定した場合、大気汚染曝露から二、三十年以上経過した後にがんが発生をするということもあるので、可能な限り過去にさかのぼって大気汚染データを収集してきたというところです。
 それで、実施体制と現在の進捗状況ですが、昭和57年度にこの検討会、「大気汚染に係る重金属等による長期曝露調査検討会」を設置しております。この検討会の下に、データ収集・解析を行うためのワーキング、「疫学ワーキンググループ」、それと「大気ワーキンググループ」、これらをそれぞれ設置して追跡調査を行ってきているところです。
 また、3地域から追跡データが報告された段階で、国立がんセンターの方でプール解析等の作業を行うことを予定しております。
 疫学ワーキンググループにおきましては、3地域において中途段階の10年間の死亡に関する追跡調査データ、これについては収集してきているところだと。ただ、一部の地域で現在も追跡調査のデータ精査の作業を行っていると。こういうこともあって、15年間の死亡・罹患に関する追跡調査結果の報告には、まだ一定の時間が必要だという状況です。
 その一方、大気の方のワーキンググループについては、先ほどもお話をしたとおり、可能な限り、昔のデータを集めてきているというところですが、3地域の微小粒子状物質の測定データは、平成9年に、一度、試験的に測定はしているのですが、その結果以外は存在しないと、また、推計作業も行っていないと、こういう状況でございます。
 そこで、5番目の健康影響評価作業への活用ということなのですが、本調査については、観察期間が15年の疫学データについて追跡作業を行っている段階にあり、また、大気汚染データとの解析も実施していない状況です。また、解析に必要な微小粒子状物質の測定データはほとんど存在せず、その解析作業には推計が必要になります。
 その一方、国内の微小粒子状物質の死亡に関する長期曝露影響の知見が皆無であるということにかんがみまして、現時点で提出されている疫学データをもとに、さまざまな統計学的解析手法を用いてリスク比の推計を行います。また、既存の浮遊粒子状物質濃度、粒子状物質の粒径分布、また、最近測定をしました、ここのエリアと近接したSPMとPM2.5の、これは微小粒子状物質曝露影響調査の結果ですけれども、こういった濃度比に関するデータを参考に、微小粒子状物質を含めた粒子状物質の長期曝露影響の推計を行うこととしたらどうかと考えております。また、現在、15年間のデータを集め、精査をしているというところですが、これは作業が完了した段階でその解析結果を公表したらどうかということを書いております。
 この微小粒子状物質の健康影響評価に資するために、現時点で提出されているデータを用いて、微小粒子状物質を含めた粒子状物質の長期曝露影響の推計を行うことを目的とした「大気汚染に係る粒子状物質による長期曝露調査検討会」における審議を経て作成される報告を、評価に資する一つの知見として、この検討会に提出したらどうかと考えております。
 また、参考として、ベースライン調査でどの様な項目を調査票の内容としているのかと、今後予定をしている検討会の委員名簿をつけております。
 この名簿は、今、鈴木継美先生に座長をお願いしていまして、また、富永先生には座長代行と疫学ワーキング長をお願いして、また、森田先生には大気のワーキング長をお願いしているところですが、各疫学に関する調査機関の関係者の3機関の方及びがんセンターの方、また、協力いただいている地方自治体の方、それぞれの関係者の方にメンバーとして入っていただいていると、こういう状況でございます。
 以上です。

【内山座長】 ありがとうございました。
 本調査の活用につきましてご発案をいただきました、また、本調査の調査当初から長い期間取り組まれてきております富永委員、今ご紹介ありました座長代行をずっと務めてきていただいていますので、富永先生から少しコメントを、補足説明、ございますでしょうか。

【富永委員】 先ほど事務局から資料3を用いて説明していただきましたが、これは10月30日の前回の検討会で私が口頭で概略をご紹介しました。何も資料がなかったものですから、よくご理解いただけなかったと思いますけれども、この2、3枚の資料で、かなり概要をご理解いただけると思います。
 3ページの中ほどにありますように、昭和57年度からこの検討会が発足しまして、作業を行っておりますが、昭和57年度は、単に58年、59年、60年度、3年間で行った疫学調査の方法、アンケート調査などを決める準備段階でございまして、実際に3地域のベースライン調査が終わったのは昭和60年度でございます。それで、もうほとんどデータは集まった地域もあれば、まだもう少し、2月、3月ぐらいまでがんの罹患のデータなどを入力しなければいけないと、いった地域もございます。
 それで、こちらの検討会としましては、できるだけ早く、本検討会の基礎資料になるように大急ぎで、今、集計・解析をやっている最中でございます。最終的には、本日ご出席の祖父江委員のところ、国立がんセンターで総合解析をしていただく予定にしております。
 ただ、結果を見てからでないといけないのですけれども、全部データが集まって、データチェッククリーニングを終わって、コンピュータへデータを入れると、結果がたくさん出てきますが、その解釈が非常に難しいかもわかりませんので、考察にも相当時間がかかるのではないかと思っております。そのときになってみないとわかりませんが、そういうことが今から想定できます。
 以上です。あとは、事務局に的確にご説明いただきました。

【内山座長】 ありがとうございました。
 坂本先生、何か。

【坂本委員】 微小粒子の濃度を推定するというお話をされていましたけれども、その場合に今の大気のグループに溝畑先生にお入りいただいた方が、間違いなくいいのではないですか。現実に大阪で経年的なデータをお持ちなのは溝畑先生ですので、まあ、忙しくなる、余りこういうことを言うとしかられるかもしれないのですが、絶対その方がいいと思いますけれども。ご検討ください。

【内山座長】 ありがとうございました。この間、溝畑先生からも、私のところに、大分古くからの、大阪市内の、先生の大学のところでのデータがありますよというご提案をいただきました。何か。

【溝畑委員】 とりあえず、見つかった分については、もう報告してありますので。74年ぐらいから、期間が必ずしもずっと一様ではないのですけれども、連続して粒径分布の測定があるのが、最初のころは、だから74年ぐらいですね。74年ぐらいから84年ぐらいまで、あと、90年前後、先ほど紹介があった重金属等によるということで、実はこれは関係していたのですけれども、データを見たら、粒子濃度のデータがないです。成分の方はあるのですが、粒径のデータが、要するに粒子濃度としてのデータがちょっと見つからないので、どうなっているのかなと。計算機の中で一生懸命探したのですが、なかなか見つからなかったんですけれども、とりあえず、見つかった分については、一応、報告は終わっています。

【内山座長】 ご提供をいただいているということですが、もし、富永先生、よろしければ委員の中にもご参加いただければ、より情報がスムーズに、解析もいくのではないかと思いますが、事務局、それは問題ありませんか。

【松田補佐】 終わった後に、検討させていただきたいと思います。

【内山座長】 それでは、当初は重金属と肺がんというような目的で始まったかもしれないのですが、これをもう少し整理すれば、いろいろ今回、行っている検討会での評価にも利用できるのではないかということでご発言いただきまして、今、鋭意まとめてくださっているとのことです。この健康影響評価とは別にもう一つまとめていただかなければいけないので、大変お忙しいとは思いますけれども、できればよろしくお願いしたいと思います。
 そのほかに何かご意見、ご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【内山座長】 そうしましたら、この件に関しましては、今ご説明いただいた資料に基づいて微小粒子状物質に関する長期影響曝露について推計を行っていくということでご了解を得られたと思いますので、解析の方をよろしくお願いいたします。
 そのほかに、事務局より何かございますでしょうか。

【松田補佐】 本日は長時間にわたってのご審議、どうもありがとうございました。
 本日の議事要旨、議事録についは、また、各委員にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
 また、次回の検討会、これは年明け1月に、次回と言いましたけども、次回と次々回、審議時間を十分にとる必要があると思いますので、2回に分けて開催したいと考えております。その2回の検討会において、五つの事項に関する原案を示して議論いただければと思います。先生方も大変お忙しいところを恐縮ですが、よろしくお願いします。
 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。

【内山座長】 どうもありがとうございました。来年もまた、何回か検討会を開催させていただきますので、よろしくどうぞお願いいたします。
 どうも、本当に今年はありがとうございました。